【ブラジルのスタートアップに対する投資が1年で51%増加】

ブラジルの最も価値のあるスタートアップの背後には、潤沢な資金を持ち投資に対する誤りを余り懸念しない投資家のグループがいる。投資ファンドとして集まった彼らは、ヌバンクとモヴィレ、ストーン、99、パグセグーロ、ジンパスのように時価総額が10億ドルを超えるユニコーン企業になったブラジル企業同様に、巨大なビジネスに成長しそうなアイデアを発掘する専門集団である。IT分野で起業の波が沸き起こってきた2011年以来、彼らはおよそ130億レアルをブラジルに投資してきた。

ラテンアメリカ・プライベートエクイティ& ベンチャーキャピタル協会(LAVCA)によると、2018年だけでベンチャーキャピタルと呼ばれるファンドは13億ドル、51億レアルを投資した。これは、2017年の水準を51%上回る規模だという。しかも、このブラジル国内の投資は、ラテンアメリカへの投資全体の65%を占めた。2019年も引き続き、高い水準を維持する見込みだ。3月半ば、日本の大企業ソフトバンクがこの地域のスタートアップに対する投資を目的とした50億ドル(198億レアル)のファンドを発表した。この資金の一部は、ブラジル企業に対して振り向けられると期待されている。

この旺盛な動きは、過去数年、モナシーズとカザック、レッドポイント・イーベンチャー、ヴァロール・キャピタル、500スタートアップスのようなファンドが手掛け始めたムーブメントの一環だ。これらのファンドの最前線には、大企業の元役員や外交官、自ら手掛けた事業を売却して投資家に転じた事業家といった面々が顔を揃える。そのリストにはブスカペの創業者であるロメロ・ロドリゲス氏、メルカード・リブレ元役員のエルナン・カザ氏とニコラス・セカシー氏、元駐ブラジル・アメリカ大使のクリフォード・ソーベル氏、ウルトラ・グループの経営権を持つ一家の資産を相続したファビオ・イゲル氏がいる。これらの人たちは、ブラジルにおけるユニコーン企業の「ハンター」の中核集団の一角を占める。

彼らの投資ロジックは他の市場のファンドが導入しているものとは異なる。リスクに対してより貪欲で、様々な企業に対して同時に10万レアルから3億レアルという規模で投資する。彼らは、これらの企業の大部分が道半ばで力尽きることと、その失敗をむしろ「成功ケース」が埋め合わせるということを知っている。例えば、中国系資本のディジへの99の売却で投資家は、投下した資金の60倍に達するリターンを確保した。時y号の価値は、ほぼ10億ドルだった。

投資ファンドでヴィアジャネットとジンパス、レズルタードス・ディジタイスに投資しているレッドポイント・イーベンチャーズの経営パートナー、アンダーソン・ディース氏は、「スタートアップへの投資は何が成功するのかを考えることだ。若ければ若いほど、あなたは、チームと夢に集中しなければならない」という。同氏によると戦略は、成熟した企業に対する投資、すなわち自社の事業、歴史、創業の経緯といったものに集中するケースと大きく異なる。「それは、未来と過去の戦いだ」。

またユニコーン企業になる可能性を秘めたアイデアに行きつくことも、容易ではない。アメリカの投資ファンド500スタートアップスの経営パートナー、ベディ・ヤン氏は、投資先を見定めるために年間5,000社を評価していると話す。合格率はわずか1%。ファンドのポートフォリオには2,000社が名を連ねており、この内10社がユニコーン企業である。だがブラジル国内では、既に40案件のスタートアップに投資済みだが、そこからユニコーン企業はまだ生まれていない。

「消費の夢」。信用供与が不足している上に高コストなブラジルでは、こうした投資家が、取り掛かったばかりのビジネスを発展させるための重要な資金源となる。むしろ、それ以上の存在だ。つまり、ほぼすべての事業家の「消費の夢」なのだ。その一例が、2018年に締結された合意の総数だ。LAVCAのデータによると、2017年に113件だった事業が、2018年には130%増の259件を記録した。

ブラジル・プライベートエクイティ& ベンチャーキャピタル協会のピエロ・パオロ・ミナルディ会長によると、「経済危機にもかかわらずこれらのファンドの活動は、過去に例がないほど活発だった」という。しかも同会長によると、ブラジルのこうした動きは、まだよちよちと歩き始めた段階だという。「全て、まだ手つかずだ。そのためこの業界は、わずかな期間で2倍に成長する可能性を秘めている」。

99の創業者、パウロ・ヴェラス氏は、この市場がどれほど過熱しているのか、社会には全く想像もできていないと話す。同氏によると過去に、ブラジルは様々な素晴らしいプロジェクトがあったものの、実行に移すための資金が不足していた。だが現在の状況は異なる。「市場には、過去に例を見ないほど、スタートアップに対して潤沢な資金がある」。

2008年からブラジルのスタートアップに注目してきたバロール・キャピタルの経営パートナー、マイケル・ニクラス氏は、この間に機が大いに熟したと話す。「過去10年、ブラジルではブロードバンド・ブームがあり、コネクティビリティーが拡大したことからあらゆるハードルが下がっている」。(2019年5月12日付けエスタード紙)