2023年4月に機械・設備業界の売上が前年同月比10.5%減の221億レアルにとどまる(2023年6月1日付けバロール紙)

 

ブラジル機械装置工業会(Abimaq)は、ブラジル国内の機械・設備販売にブレーキが掛かっている状況が2023年4月の実績から確認されたと発表した。同協会が5月31日に発表したデータによると、4月の業界の純収入は、前年同月比10.5%減の221億レアルにとどまった。3月との比較でも、19.2%の減少。ただしAbimaqによると4月は例年売上が落ち込む月であり、5月には回復に向かい、年間を通じてその傾向を維持する見込みだとしている。

 

ただ、業界の売上の80%を占める国内販売だけを見ると、業界はさらに厳しい状況に直面していたことが分かる。国内市場で計上した純収入は、4月に172億レアルで、前年同月比14.7%減、前月比では17.7%の落ち込みだった。国内生産から輸出を差し引き輸入を加えた国内見掛け消費は277億レアルで、前年同月比7.6%減、前月比では18.8%減少した。

 

同協会のクリスチーナ・ザネラ競争力及び経済統計担当理事によると機械・設備業界は、高金利と信用の収縮という経済状況に直面、打撃を受けている。他と全く異なる原理で市場が動く農業関連産業向けに加え、最低賃金の引き上げやボルサ・ファミリア(Bolsa Família:家族手当)のような社会プログラムから一定の経済波及効果の恩恵を受けた家庭消費関連あるいはサービスに関連した部門を除き、機械・設備業界は業績を好転させられずにいる。

 

ザネラ理事は、「高金利かつそれが長期に及ぶ経済政策のただ中にいる。我々は、既に利下げする余地が生じていると受け止めている。それを当局側が示唆するだけで、投資の再開を後押しするのに重要な役割を果たしてくれるだろう」と指摘する。なお、Abimaqは引き続き、2023年に業界が2.4%成長するという見方を維持している。ただ、国内市場に限定すれば、成長はわずか0.6%にとどまりそうだという。

 

Abimaqによると、月間10億ドル以上を記録してきた輸出も、4月は9億8,200万ドルにとどまった。前年同月比では9.5%の増加だが、前月との比較では20.8%もの落ち込みだという。

 

3月との比較で落ち込んだ理由についてザネラ理事は、12億5,000万ドルを記録した3月が輸出のピークだったと受け止めている。このため、「この輸出の下落傾向が今後数か月にわたって続いていくとは受け止めていない。3月に前倒しされた販売の影響が4月に出たと理解している。このため輸出は引き続き、年末まで11億ドル(※原文では110万ドル)規模を維持すると予想している」という。Abimaqは、2023年の輸出額を前年比+8.6%と予想している。

 

4月は、機械・設備の輸入も前月から16.9%落ち込んで20億ドルにとどまった。ただし、前年同月との比較では、12.1%増加した。この結果、4月に業界の貿易収支は、10億ドルの赤字を計上した。

 

機械・設備業界では、4月末時点で39万0,371人を雇用しており、前月から0.7%減少した。前年同月と比較した場合でも、業界の雇用は0.9%縮小した。

2023年第1四半期にラ米の航空輸送市場でブラジルがトップから転落(2023年6月1日付けバロール紙)

 

ブラジルは2023年第1四半期(1―3月期)、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックで受けた痛手から回復途上にある中、ラテンアメリカの航空輸送市場でブラジルがメキシコに抜かれてトップから陥落した。ラテンアメリカおよびカリブ海航空輸送協会(ALTA)が5月31日、トラフィック・レポートとして発表した。

 

1月から3月にかけてブラジルの航空旅客輸送は2,740万人で、パンデミック発生前の2019年同期と比較して10%の減少。一方、メキシコは2,900万人となり同様の比較でむしろ17%増加した。

 

2019年の両国を比較するとブラジルはメキシコを23%上回る3,000万人を輸送した。これは、国内線の航空旅客輸送が非常に大きかったことによる。しかし2023年第1四半期の国内線の航空旅客輸送は、メキシコが23%増加させたのに対してブラジルの伸びはわずか7%にとどまった。

 

国際線の航空旅客輸送を見ると、メキシコが1,430万人を輸送して他を大きく引き離して1位だった。メキシコの国際線の航空旅客輸送は、同じ期間のブラジルのほぼ3倍に達する規模である。

 

ALTAのジョゼー・リカルド・ボテーリョ会長によると、トップの交代劇にはいくつかの理由があるという。「メキシコに目を向ければ、適切な時期に国境を開放し、地理的に恵まれている上に地域色のある観光に強みを持ち、査証の申請でも比較的効率的な規定を導入、それに活気のある市場だ。一方のブラジルは、航空便の接続を強化しているところだ」という。

 

さらにボテーリョ会長は、ブラジルはこの地域の周辺国同様、よりインテリジェントな査証規定の導入と国際観光振興機関の強化が必要だという見解を示した。

 

「ラテンアメリカを訪問する国際旅客の22%がメキシコを選んでいる一方、ブラジルへはわずか9%しか来ない。この状況は、営業コストの削減と法的安定性の確保、国内観光と何よりも国際観光により良い環境を整備することで、ブラジル国内の航空業界の成長を促すような戦略と政策が必要なことを示している」と同会長は付け加えた。

具体性のない大衆車計画の発表により2023年5月に最大1.5万台の新車の買い控え(2023年6月1日付けバロール紙)

 

連邦政府が新車の販売価格引き下げを伴う大衆車計画を発表したことを受けて、2023年5月は、1万3,000台から1万5,000台規模の買い控えにつながっている模様。業界を専門とするコンサルティング会社のブライト・コンサルティングが試算、発表した。

 

5月30日の新車登録台数は9,299台。同社のムリロ・ブリガンティ生産分析担当部長は、「通常、月末最後の営業日3日は、月間平均の1.3倍に販売が伸びる。この時期は販売がテコ入れされるタイミングなのだが、そうした状況になっていない」と話す。

 

30日の販売実績について同社は「全てが悪かったわけではない」とするが、連邦政府が大衆車計画を導入すると発表する前に予想されていた水準を下回っているという。連邦政府は、12万レアル以下のモデルに対する社会統合計画負担金(PIS)及び社会保障負担金(Cofins)の税率を引き下げることで、この価格帯の販売価格が1.5%から最大10.96%値下がりするとしている。

 

この買い控えがより大きくならなかったのは、現在国内で販売されている自動車の価格のほとんどが12万レアルを上回るためである。全体として見ると、この水準を上回る価格帯の新車販売は連邦政府の発表後も通常の傾向を維持して推移している。

 

とは言え、複数のディーラーの話では、消費者の側の混乱は続いており、一部のケースでは12万レアル未満に限定されるという情報を「販売員による売りたいがための説得術」と考えている消費者もいるようだという。

 

また詳細を明らかにせず減税とそれに伴う値下がりの見通しだけを発表した今回の対応で、新車販売だけでなく中古車販売にも混乱が及んでいる。一部の中古車販売店は、新車価格の値下がりを見越して既に新古車(型落ちの少ない中古車)を値下げしたところも出ている。自動車部品業界のある経営者は、「政府が早急にこの問題に対処するよう期待している。さもなければ、1カ月の販売が丸々失われるだろう」とコメントした。

 

この大衆車計画は、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領(PT:労働者党)が5月25日に減税策とこれに伴う新車価格の値下がりを発表した。しかし財務省はこの発表に関連した減税策の検討に15日かかるとし、この計画が最終的にいつ、どの程度の期間にわたって実施されるかも決まっていない。

 

ブライト・コンサルティングはもともと、5月の乗用車と小型商用車の新車登録台数を18万1,500台と予想していた。「その方向で推移していた」とブリガンティ氏は強調する一方で、今回の発表を受けて7.16%から8.26%の間で下方修正し、1万3,000台から1万5,000台ほど下振れすると予想している。

 

5月の販売に対してこのようにブレーキがかからなければ、前年同月を3.8%上回っていた形だ。だが現在、いつ開始されるかもわからない値下がりの見通しだけを連邦政府が発表した影響で、5月は前年同月を3.5%から4%下回ることになる可能性が出てきたという。

基礎的財政黒字が2023年1―4月に縮小するも赤字額の予想は変更なし (2023年5月31付けバロール紙)

 

連邦政府の基礎的財政収支(プライマリーバランス)は、2023年1―4月期だけで前年同期と比較して300億レアル以上も減少した。しかしながら財務省は、2023年の基礎的財政赤字をおよそ1,000億レアルで据え置いたままにしている。

 

1―4月で見た中央政府(国庫管理局と中央銀行、社会保障院)の基礎的財政収支は、前年同期が790億レアルの黒字だったのに対して2023年は471億レアルの黒字にとどまっている。

 

国庫管理局のロジェリオ・セロン局長は共同記者会見の席上、「非常に厳しい状況となる1―4月期を乗り越えた」とコメント。同局長は2023年の結果について「良好」と位置付けるとともに、基礎的財政赤字について、「最悪でも」GDP比で1%、1,000億レアル台でおさまる兆候だと評価した。同時に、2022年下半期に前政権が実施した減税措置を撤回することと2022年末に同様に実施された歳出の拡大を埋め合わせることの難しさについても指摘した。

 

4月の結果を受けてXPインベスチメントスは、2023年の基礎的財政収支についてこれまで通り1,196億レアルの赤字とする予想を維持したものの、「下振れするバイアス」が発生していると同社のエコノミスト、チアゴ・スバルデロット氏はレポートで指摘した。この見通しについて同氏は、州税の商品サービス流通税(ICMS)の税額控除に対する「社会統合計画負担金(PIS)及び社会保障負担金(Cofins)の課税ベースの変更」を考慮した。ただし、「このところ発表されている対策については一切考慮していない」と付け加えた。これらの最近の対策とは「オンラインカジノ及び電子商取引に対する課税」とICMSの免税額を利益と見なして法人所得税(IRPJ)及び純利益に対する社会賦課金(CSLL)の課税ベースに参入することなどである。同氏によると、これらの対策は「2022年に大きな影響を与えない」ものになりつつあるという。

 

ただ、赤字額としては従来の見通しを維持したものの、スバルデロット氏は、4月のデータは「(歳出と歳入の)収支のいずれの方(側)においても、傾向が変化していることを示している」と指摘した。歳入では例えば「原油相場の値下がりによって原油生産に関連したロイヤルティ収入が大きく減少する傾向にある」という。

 

「加えて、経済活動が下半期に減速する可能性があり、労働市場がその活力を失うことで労働者の源泉徴収による所得税収入や社会保障費の納付に大きな影響を与える可能性がある」と付け加えた。

 

歳出面での変化は、最低賃金の引き上げが年金及び社会保障の給付額に与える影響を考慮し始める必要があると同氏は指摘する。

 

BTGパクチュアルのエコノミスト、ファビオ・セラーノ氏も同様に、12カ月間で見た基礎的財政収支について「6月以降により激しい落ち込みが始まるはずだ」という。下半期には、「2022年に納付を受けた特別歳入を考慮する必要がある上、最低賃金の引き上げと公務員給与の引き上げがデータに表れ始める」と指摘。同氏は2023年の基礎的財政赤字を、1,088億レアルと予想している。

FGVが2023年5月のICOMが87.3ポイントへ3.7ポイント上昇したと発表(2023年5月30日付けバロール紙)

 

ゼツリオ・バルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)は、2023年5月の商業信頼感指数(ICOM)が前月比3.7ポイント上昇して87.3ポイントに達したと発表した。98.0ポイントを記録した2022年10月以降で最高という。5月を期末とする浮動四半期(3―5月期)のICOMは、前の期から+0.5ポイントの85.0ポイントを記録した。

 

Ibre/FGVのエコノミスト、ロドルフォ・トブレル氏は、「5月のICOMは、前月の落ち込みを補う上昇を見せた。この上昇は、現況に対する楽観的見方と今後数カ月の悲観的観測の縮小が後押しした。現況判断が改善したものの、商業部門は依然として、2022年末から2023年の年明けにかけて記録した落ち込みを完全に取り戻していない。今後数カ月間の見通しは、少なくとも景気に対する消費者の信頼感とマクロ経済環境がよりポジティブになるまでは、現在の低空飛行状態が続く」と分析している。

 

5月の現況指数(ISA-COM)は前月比2.7ポイント上昇して90.1ポイントで、2022年10月に102.3ポイントを記録して以来の高水準。一方、期待感指数(IE-COM)は4.8ポイント上昇して85.1ポイント。前月比で7.0ポイント減を記録した4月の落ち込みを部分的に取り戻した。

分析:外遊せずとも自ら外交で墓穴を掘ることが可能だと示したルーラ大統領(2023年5月30日付けバロール紙)

 

南米諸国会議の結果は、ウクライナ侵略戦争の調停役を買って出た時のようにわざわざ地球上をはるばる移動しなくても、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領(PT:労働者党)が自ら外交問題で墓穴を掘れるのだということを示した。ブラジルにとっては歴史的な因縁があり口出しするだけの理由もあるベネズエラ問題のようなものですら、「自宅」に居ながらにして、それが可能なのだ。

 

ブラジリアで開催される南米12か国の会議の基調を整え地ならしする、大統領好みの言葉で言い換えるならば「譚(はなし)」を作ろうとするルーラ大統領の試みに異を唱えたのが、若き2人の指導者、ウルグアイのラカレ・ポウ大統領とチリのガブリエル・ボリッチ大統領だ。

 

ラカレ・ポウ大統領は、ルーラ大統領が就任直後に同国を訪問した際、公の場でメルコスールに対するブラジルの頑固なまでの防衛姿勢を公に批判していた。ボリッチ大統領は、極右がベネズエラ移民の増加が原因だと主張する暴力事件の急増による支持の落ち込身に直面している。

 

南米諸国会議の主催者として、ベネズエラとの二か国首脳会談を進めたことにリスクがあったことは明らかだ。そしてルーラ大統領は、その声を無視することに決めた。経験豊富なブラジルの外交官らに言わせれば、実に不要な会談だった。

 

これは二か国首脳会談で見せたベネズエラの体制に対するブラジル大統領の論調を南米諸国会議の基調にしようと画策したブラジルの罠なのではないかと示唆して最初の足並みの崩れをもたらしたのは、ラカレ・ポウ大統領だった。ブラジルとベネズエラの二国間首脳会談に驚いたとコメントしただけにとどまらず、「反民主主義で権威主義」のベネズエラの経緯をルーラ大統領が「譚」と呼んだことにも、同様に驚きを表明した。

 

ウルグアイ大統領派さらに踏み込んで、民主主義と人権、制度秩序の保護というビジョンを盛り込んだ最終宣言に全員が署名することでベネズエラの政権を保護しようという、出席した全員が必ずしも同意しない試みにも公の場で反対の意を表明した。

 

2019年の選挙でラカレ・ポウ大統領は、ペペ・ムヒカ候補とタバレ・ヴァスケス候補に圧倒的な差をつけて選出された。従って、彼はルーラ大統領の右側に軸足を置く。では、ボリッチ大統領はどのような発言をしたのだろうか? チリの元学生運動のリーダである同大統領は、原則に対して「物事を絨毯の下に隠してみて見ぬふりをする」ことには同意できないと、同様に立場を明確にしている。「これは譚の一節ではない。現実であり、かつ、深刻な問題であり、私は、わが国で暮らす何千人ものベネズエラ人の瞳と痛みの中にそれを見出す機会を得た」。

 

ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領が会議に出席したことが、生産的な会合を阻んだわけではない。出席したすべての国が、ベネズエラとの外交関係を維持しているのだ。それでも、同国に対する禁輸措置への非難もなかった。ベネズエラ国民を主な被害者とする過剰な力の行使に対する批判は、かなり共有されている。

 

問題は、ベネズエラを舞台に呼び戻そうとするブラジルの善意が、頑迷な反米主義に汚染されていることだ。ルーラ大統領は自身の発言を通じて、民主主義と人権、共和制の護持を普遍的な価値とするのではなく、帝国主義の「譚」に変換できることを示した。

 

このような姿勢に、国益を見出すのは難しい。外務省は、大統領がその場で発言したことが重要ではないと言うがごとく、読み上げられた発言、公式の文書、翻訳に固執する態度を示した。その様は、近隣諸国を困惑させたほどだ。

 

まだ1週間と経っていないのであるが、米国南方軍のラウラ・リチャードソン将軍がブラジルを訪問した。同将軍はBBCに対して、南米におけるロシアと中国の「邪悪な活動」を懸念していると発言した。豊かな自然を持つこの地域が、中国の「シルクロード・インフラ計画(一帯一路)」に則られるようなことになれば、同国に国家安全保障上のリスクを生じさせると強調した。

 

今回の南米諸国会議は、いずれの首脳も置き去りにすることなく、一致団結してこのような対立から利益を導き出す南米の指導者たちの会議の先駆けにできた可能性があった。地域経済のペースを左右する大国間の不均衡によって脅かされているのは、実は各国の安全保障なのだとこの大陸に示す機会にできた可能性もあった。だが、そうならなかった。そして、ホスト国の責任を隠すのも難しい。

レンタカー会社がルーラ政権の打ち出した大衆車計画への支持を表明(2023年5月30日付けバロール紙)

 

ブラジル・レンタカー協会(Abla)のマルコ・アウレリオ・ナザレ会長が、工業製品税(IPI)と社会統合計画負担金(PIS)及び社会保障負担金(Cofins)の減税を通じて低価格車の価格を削減する連邦政府の大衆車計画について、業界は「歓迎している」と表明した。

 

ただし同協会は、この景気支援策が業界にポジティブな効果を発揮するには、減税と同時にレンタカー会社に対する融資枠を設定する必要があるという考えも示した。同時に、この計画が導入される期間についても懸念があると指摘した。

 

「5月31日と6月1日にブラジリアに赴き、この問題に関係する様々な省局と意見を交換する」とナザレ会長は言う。

 

連邦政府が発表した大衆車計画は、価格が12万レアル未満のエントリー・モデルと小型のハッチバック及びセダンを対象にしている。この対象車種は、202年12月時点で業界が保有していた車両143万台の58%に該当するという。

 

業界が求める対策のひとつが、ブラジル国内に昨年およそ2万2,000社を数えたレンタカー会社向けの補助を伴う融資枠の設定である。高金利によってモヴィーダのような業界大手でさえ、保有車両の買い替えプロセスにブレーキをかけている。業界は、2022年に実施されたように連邦政府が融資を部分的に補償することで金融機関にとってはリスクの低減に繋がり金利を引き下げられると主張している。

 

「個人が車を購入してもレンタカー会社が購入しなかったとすれば、政府は、自動車産業向けの振興策を完成させることはできないだろう」と同会長はコメント。また現在の高金利によって2022年に国内で販売された乗用車と小型商用車の30%が業界によるものだったと指摘。その数年前は業界が国内で生産された車両のおよそ20%を購入していたことにも言及した。

 

またナザレ会長は、「業界(自動車メーカー)は、設備稼働率がおよそ50%に低下している。今が、生産を回復させる時だ。設備稼働率を高め、生産性を高め、固定費を削減し、より手ごろな価格を実現する」とし、「個人の購買力にレンタカー会社が加われば、生産能力を引き上げ、雇用と所得を創出できる」と強調した。

 

しかし一部のアナリストは、分野別補助制度を再開した場合の効果について、疑問を呈している。これらのアナリストは、様々な業界が競争力を改善するには、構造的なソルーションの導入こそ望ましいと主張する。しかも大衆車の購入にインセンティブを与えることは、連邦政府が取り組んでいる環境アジェンダやエネルギー転換アジェンダと逆行するものだと指摘している。

 

大衆車計画によってレンタカー業界が確保するアドバンテージのひとつが、車両の買い替えプロセスの支援だ。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより自動車メーカー各社は生産台数を縮小しており、これに伴ってレンタカー会社も車両の保有期間を長期化させざるを得ず、維持コストが上昇してきた。この結果、業界の平均的な車齢は2019年の15カ月から2022年には24カ月に伸びた。

 

短期的に見れば今回の大衆車計画は、レンタカー会社が車両の売却で得られる利益を減らして業績にまいなすの影響をもたらす可能性がある。だが長期的な計画になるならば、およそ18カ月の中期的に、当初の悪影響は相殺されると見られている。ただし、連邦政府が示唆した大衆車計画の導入期間はわずか4カ月である。

 

またレンタカー会社のウニダスは書面で、同社が協議を見守るとコメント。その上で、「消費行動が変化していると当社は受け止めており、次第に、所有する商品から使用する商品へと移行している」という見解を示した。一方、ロカリザとモヴィーダは大衆車政策に関してコメントしていない。

FGVが2023年5月のICIが前月比1.6ポイント減の92.9ポイントと発表 (2023年5月30日付けバロール紙)

 

ゼツリオ・バルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)は5月29日、2023年5月の工業信頼感指数(ICI)が前月比1.6ポイント減となる92.9ポイントにとどまったと発表した。5月を期末とする浮動四半期(3―5月期)は、2―4月期と比較して0.3ポイント上昇して93.9ポイントを記録した。この比較で上昇するのは3か月連続。

 

Ibre/FGVのエコノミスト、ステファノ・パシーニ(Stéfano Pacini)氏は、「工業部門の信頼感は、現況だけでなく今後数か月の期待感でも悪化しており、減速した。セグメント別に見た落ち込みは、耐久消費財と非耐久消費財を使用するセグメントで、需要の悪化と在庫水準の上昇が確認された。需要の冷え込みと高金利、インフレという現在の厳しい状況は、経営者らに生産の削減に向かわせ、2020年の新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック期間に確認されたのと同様、今後6か月のビジネスに対するネガティブな見通しを生じさせている」という。

 

5月の場合、調査対象となっている19のセグメントのうち13のセグメントでICIが低下した。さらにこの結果は、現況指数(ISA)だけでなく期待感指数(IE)も悪化した。5月のISAは、前月比1.7ポイント低下して91.8ポイント、IEも同様に前月比1.7ポイント低下し94.0ポイントにとどまった。

 

またISAを構成する項目の内、需要水準に対する認識が前月比2.5ポイント下落して92.4ポイントとなり、全体を押し下げた。

 

在庫水準に関する項目は、前月から1.6ポイント上昇して106.6ポイントに悪化した。これに伴い、2022年9月からニュートラルの100ポイントを上回った格好。在庫指標は、100ポイントを上回ると在庫に余剰が発生していることを意味する。

 

また全体に与える比重は小さいものの、現在のビジネス状況に関する経営者の認識を計測する項目では、前月比-0.5ポイントの90.6ポイントまで低下した。これは、2022年9月以来の低い水準となる。

 

今後の展望については、3月に大きく改善した後、2か月連続で悪化した。中でも、今後3か月の生産の見通しに関する項目が大きく悪化、前月比-4.1ポイントの96.6ポイントに下落、全体を押し下げた。

 

なお、5月の製造工業稼働率指数(NUCI)は、前月比-0.6ポイントの80.1%だった。

ブンゲがブラジル国内で農業融資事業を展開するフィンテックを設立 (2023年5月30付けバロール紙)

 

ブンゲ(Bunge)は5月29日、ブラジル国内で農業融資を行うフィンテック、「フィンクロップ」を設立した。生産者とリセラーに5億ドルの原資を確保し、同社にとっては検証済みの社会環境基準に基づいた大豆とトウモロコシ向けオリジネーション(融資創出)に対するビジネスチャンスを拡大するものになる。

 

穀物と油糧種子の取引とか項において、このフィンテックがリスク評価の中心的存在として社会環境基準に焦点を合わせ、提携する農産物のリセラーが商品を分割販売する際に安全性を高めると同社は強調する。

 

ブンゲ自身は生産者への融資は行っていないものの、生産者が肥料などの農業用の投入財をリセラーから調達する際に生産物を前倒しで販売することで生産者らが自身の生産活動で資金を調達する、いわゆる「バーター」オペレーションに参入している。

 

ブラジル国内金融分野を担当するフローレンス・ショシャニー財務部長は、「バリューチェーン全体を通じて、コントロールされたリスクと検証可能なESG(環境・社会・ガバナンス)の要素を調和させた金融商品への強い要望があると受け止めている。フィンクロップを通じて、ブラジルのアグリビジネスに革新的かつ効率的なソルーションを提供するという当社のコミットメントを改めて表明する。持続可能性への当社のコミットメントに従って、オリジネーションを拡大するための戦略の一歩だ」と強調した。

 

当面は、ブンゲのパートナーであるエコシステム・リセラーに限定してサービスを提供する。どす屋によるとフィンクロップは、AIのアルゴリズムの支援を受けて信用評価を行う。

航空運賃の高騰を受けて2023年4月に陸上移動の出張が増加(2023年5月29日付けバロール紙)

航空運賃の値上がりを受けて、常に割高なチケットを受け入れてきた法人旅客業界においても、利用するモーダルを変更する動きが強まっている。

 

ブラジル法人観光旅行代理店協会(Abracorp)によると、4月の場合、航空チケットの販売額は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが発生する前の2019年4月の水準を2.85%下回った。営業日数の減少も影響したとAbracorpは指摘している。

 

しかし航空会社は、価格にかかわらず航空便を利用したいという市場の需要が上限に達しつつあることを示している可能性もあるとしつつも、航空会社らは四半期決算において、法人需要は引き続き堅調で第1四半期の売上はパンデミック発生前の状況を上回っているとコメントしている。

 

Abracorpのデータによると、2023年4月の1日当たりの法人向け配車パッケージの販売はパンデミック発生前の2019年4月と比較して31%増加した。売上で見ると108.13%増加して3,070万レアルに達した。この結果、法人の出張旅行に占めるレンタカーのシェアは、2.8%に上昇した。2019年4月のシェアは、1.39%だった。

 

道路旅客輸送も成長しており、4月の売上は303.46%増加して360万レアルとなった。シェアも、同様に0.08%から0.34%に拡大した。

 

反対に航空モーダルは一部の顧客を失い、売上も同様に減少している。4月の場合、法人向けに販売されたパッケージは6億6,570万レアルで、同じ期間の比較で2.85%減少した。シェアは、2019年4月の65.84%から63.41%に低下したという。ただし、2023年4月の営業日は2019年4月よりも3日少なかったことには注意が必要である。

 

Abracorpのグスタボ・タナベ氏によると一連の結果は、出張業務において、急激に値上がりした空の便の利用がレンタカーに置き換わっていることを示すもので、とりわけ、近距離の出張でその傾向が強いという。

 

なお、業界の11セグメント全体では出張ビジネスの売上は10億7,000万レアルで、パンデミックが発生する前の水準を0.87%上回ったという。「ただ、2023年4月の営業日は18日で、2019年は21日だった。この差は、最終的な数字に影響する大きなものだ」と同会長は指摘した。

 

なお、Abracorpは2023年の業界の売上について、2019年を20%上回ると予想している。