今年初め10カ月間のブラジルの粗鋼生産は8% 減少(2023年11月23日付けヴァロール紙)

ブラジル鉄鋼院(IABr)によると、2023年初め10カ月間のブラジルの粗鋼生産は、前年同期比マイナス8% 減少を記録した一方で粗鋼販売は5,3%減少を記録している。

今年初め10カ月間のブラジルの粗鋼生産は、2,660万トンと昨年同期の2890万トンを230万トン下回っている。また前記同様ブラジル国内の粗鋼販売は、1,640万トンと昨年同期の1,730万トンを90万トン下回っている。

一方で今年初め10カ月間のブラジルの粗鋼輸入量は、前年同期比54,8%増加の415万トンと大幅に増加したが、粗鋼輸出量は2,5%減少の990万トンに留まっている。また今年初め10カ月間のブラジル国内の粗鋼消費は、0,3%微増の1,999万8,000トンに留まっている。

今年の粗鋼輸入量は498万トン、2024年は598万トンとそれぞれ大幅な増加をArcelorMittal Brasil社のJefferson De Paula社長は予想している。

ブラジル鉄鋼院(IABr)のMarco Polo de Mello Lopes会長は、輸入粗鋼製品に対する9,6%の輸入関税が継続すれば国内鉄鋼メーカーは鉄鋼生産の減少を余儀なくされると示唆、また国内市場を席捲している中国製粗鋼製品に対する25%の輸入関税を連邦政府に要求している。

ブラジルの鉄鋼製品輸入に対する課徴金が他国と比べて乖離しており、米国と欧州連合は25%の割当枠を採用しており、メキシコも同じ割合で実施し、チリでも評価中である。ブラジルの輸入税は9.6%でこの地域の他の市場が中国鉄鋼に対して閉鎖的であることを考慮すると、セーフガードは非常に低いと警告している。

2023年の国内鉄鋼メーカーの投資総額は125億レアルに対して、2024年から2027年の4年間の投資総額は480億レアルをブラジル鉄鋼院(IABr)のMarco Polo de Mello Lopes会長は見込んでいる。

 

今年第3四半期の大手工作機械メーカーROMI社 の純益は4440万レアルに留まる (2023年10月24日付けヴァロール紙)

大手工作機械メーカーROMI社の2023年第3四半期の純益は、前年同期比31,4% と大幅減少の4,440万レアルに留まり、製造業部門の投資回復が遅れている。

また今年第3四半期の同社の純売上も、前年同期比31,5%の大幅減少の2億7,280万レアルに留まっている。

今年第3四半期のROMI社の税引前利益に支払利息と減価償却費を加算したもので、総資本に対してどの程度のキャッシュフローを産みだしたかを簡易的に示す(Ebitda) は、前年同期比39.4%減少の5,570万レアルに留まっている。

同社の第 3 四半期の受注残高は、前年同期比 31.7% 減少の 5 億 5,720 万レアル。受注残高の最大の下落要因として鋳物および機械加工製品で77%下落の5,630万レアルに留まっている。

同社の総受注高のうち、2 億 4,120 万レアルは Romi Machines 部門によるもので、38% 減少を記録した一方で、残りの 2 億 5,970 万レアルは Burkhardt and Weber Machines (BW)の受注残高で47.6%増加 を記録している。

第 3 四半期に販売された製品およびサービスの原価コストは、前年同期比 26.6% 減少の 1 億 9,200 万レアルに留まり、第 3 四半期の財務結果は、 前年同期比9.6%減少の440 万レアルの黒字を計上している。

今年第 3 四半期の Romi社 の純営業収益は、前年同期比31.6% 減少の2 億 7,780 万レアルで、そのうち、1 億 9,390 万レアルはMáquinas Romi社、2,930 万レアルはMáquinas BW、その他の 4,940 万レアルは鋳物および機械加工部品部門から計上している。

同社は決算報告書に添えられたコメントの中で、2023年の第3四半期は、国内市場と海外市場の両方において、引き続き投資環境が不安定であると示唆している。

また同社は、景況感指数は地域的および世界的な地政学的および経済的不安定を反映して変動するシナリオを示していると説明。その一方で、ブラジルにおける金利低下とインフレ抑制の最近の兆候は、市場全体の信頼感にプラスの影響を与え、新規投資を促進する可能性があると説明している。

第 3 四半期中に、製造業部門経営者の景況感指数 (ICEI) の変動が観察され、10 月には分岐点となる50ポイントを上回る 50.5 ポイントに達している。

製造業部門の企業経営者は現在、厳しい投資環境に直面しているが、より複雑な環境の中でも指数を通じて楽観的な見方をしていると同社は強調している。

今年の輸入鉄鋼製品は記録更新予想(2023年10月24日付けヴァロール紙)

ブラジル鉄鋼院(IABr)によると、今年のブラジルの鉄鋼製品輸入は、500万トン以上に達する可能性があり、過去最高の輸入量に達する可能性がある。

ロシア、韓国、トルコと同様に、1年前と比較してブラジルの鉄鋼製品輸入は138%増加しており、平板鋼、長鋼、特殊鋼およびその他のタイプの鉄鋼製品輸入は 58% 増加している。

ブラジルの鉄鋼製品輸入の過去最高の記録はGDP伸び率が7%を記録した2010年の440万トンとなっているが、今年初め9か月間の累計鉄鋼製品輸入は既に373万トンに達している。今年最終四半期の月間平均鉄鉱石品輸入は40万トンが見込まれているために、500万トンを突破する可能性がある。

今年9月のブラジル国内メーカーの粗鋼生産は前年同月比5.9%減少、今年初め9か月間の累計鉄鋼生産は前年同期比5.4%減少を記録している。

今年4月からの輸入鉄鉱石品の急増はブラジル国内鉄鋼メーカーの脅威となっており、特に不動産・建設業界が不振に陥っている中国からの安価な鉄鋼製品の輸入が急増、9月に輸入された54万4,900トンのうち、56%が中国製品であった。中国は、経済が消費しない余剰を生み出すために、安定したペースで生産し、年間1億トンを輸出しているという事実を隠していないとブラジル鉄鋼院(IABr)のMarco Polo de Mello Lopes会長は指摘している。

コンペチターは、実際の原価よりも低い価格を設定しているため、マイナスのマージンで操業している製鉄所の大部分は中国鉄鋼メーカーであり、さらに、中国政府は地元の雇用を保証することを重視して、企業に補助金や奨励金を提供していると指摘している。

これらの状況を考慮して、我々がブラジル政府に求めているのは、1年間、25%の輸入関税という緊急保護措置とロペス氏は説明。緊急保護措置の目的はブラジル国内市場でのマーケットシェアを維持することだと説明している。 

今年9月の見かけ上の鉄鋼製品の国内消費に占める輸入鉄鋼製品のマーケットシェアは23.2%に達し、2013年から2023年の平均である12.3%のほぼ2倍を記録している。

ブラジルの鉄鋼製品輸入に対する課徴金が他国と比べて乖離しており、米国と欧州連合は25%の割当枠を採用しており、メキシコも同じ割合で実施し、チリでも評価中である。ブラジルの輸入税は9.6%でこの地域の他の市場が中国鉄鋼に対して閉鎖的であることを考慮すると、セーフガードは非常に低い。そして、サンタカタリーナ港経由で流入する鉄鋼の 40% はほぼゼロとなり、ICMS が 12% から 4% に減少すると説明している。

9月のブラジルの粗鋼生産量はがウジミナスの主高炉4月から改修工事の影響で9.3%減少の253万トンに留まっており、今年の最新の予測は前年比5.0%減少の3,240万トンが予想されている。今年9月のブラジルの鉄鋼製品輸出は1.4%微増、今年初め9か月間の追啓では4.4%減少、今年の輸出は0.3%減少の1190万トンが見込まれている。

 

輸入鋼材急増で投資シナリオに向かい風(2023年9月26日付けヴァロール紙)

ブラジル鉄鋼協会(IABr)の発表によると、2023年のブラジル国内の粗鋼生産は前年比マイナス05%に相当する3,240万トンに留まるよ予想している。またブラジル国内の粗鋼販売はマイナス6%に相当する1,910万トンが見込まれている。

今年のブラジル国内の鉄鋼製品消費はマイナス2,6%に相当する2,290万トンが予想されている。

今年初め8か月間の累積粗鋼生産は前年同期比マイナス8,3%の2,130万トンにとどまり、鉄鋼メーカーの平均設備稼働率は約40%に留まると予想されている。

一方で、今年初め8か月間の累積輸入鉄鋼製品は49,5%増加の320万トンと急増しており、輸入鋼材のマーケットシェアが拡大してきている。

公正な競争慣行に導かれていない中国国有企業から輸入された鉄鋼製品がブラジル国内で氾濫してマーケットシェアを脅かしているArcelorMittal社のJefferson De Paula社長は警鐘を鳴らしている。

中国の鉄鋼メーカーは不振を極めている国内の建設業向け需要の減少を受けて、補助金付きで余剰生産分を海外市場に振り向けるだろうと指摘している。

ブラジルの2024年の鉄鋼生産は前年比3%程度の若干の回復を予想しているが、さらに堅調な成長が見込まれるのは2024年以降だとゲルダウ社のGustavo Werneck社長は指摘している。

ブラジル国内の鉄鋼製品の消費の落ち込み並びに輸入品急増は、まさに完璧な嵐と呼ぶにふさわしい状況であり、全世界が中国の鉄鋼製品の急増に対してセーフガードで防御しているが、輸入制限を課していないのはブラジルだけとブラジル鉄鋼協会(IABr)のMarco Polo de Mello Lopes会長は指摘している。

ブラジル鉄鋼メーカーの増産には、新たな財政枠組みや税制改革、金利の低下、大衆住宅建設“私の家、私の暮らし”(MCMV)プログラム、新たな成長加速プログラム(新PAC)の再開などの公共政策などで歯車が買い合いだすと大きな前進に繋がると指摘している。

ブラジル鉄鋼業界は 今年中に 25 億ドルの投資を計画しており、そのポートフォリオには 2024 年から 2027 年までに総額 95 億ドルのプロジェクトが含まれている。

これらの投資リソースは、鉄鋼メーカーの粗鋼生産能力の向上、生産プロセスの近代化、エフィシエンシー向上を目的としており、温室効果ガス排出量に直接影響を与える。

ブラジルの鉄鋼メーカーで最大の投資プログラムはアルセロールミタルによるもので、2022年から2027年までに総額250億レアルの投資が見込まれている。

この総額のうち重要な部分である114億レアルは、昨年、セアラ州にある年間生産が300万トン規模のCompanhia Siderúrgica do Pecém(CSP)の買収に充てられた。

アルセロールミタル社は平板鋼100万トン、棒鋼150万トンの生産能力を拡大する計画で、この増産拡張が完了すると、総生産能力は 1,760 万トンに達する。

 

今年8 月の世界の粗鋼生産は、中国経済減速も2,2% 増加を記録(2023年9月25日付けヴァロール紙)

世界63カ国が加盟するベルギーのブリュッセルに本部がある世界鉄鋼協会(WSA)の発表によると、2023年8 月の世界の粗鋼生産は、前月比2,2%増加の1億5,260万トンを記録している。

今年初め8か月間の累積粗鋼生産は、前年同期比0,2%微増の12億5,600万トン、今年8月の中国の粗鋼生産は前年同月比3,2%増加の8,640万トンであったが、建設業やインフラ部門の粗鋼生産は減少しているにも拘らず、7月の粗鋼生産は9,000万トンを突破していた。

中国は国内市場の販売減少を補うためにブラジルをターゲット市場の一つとして、鉄鋼完成品の輸出ペースを高めているが、年間の粗鋼輸出ペースは1億トンとなっている。

今年初め8か月間の中国の累積粗鋼生産は、前年同期比2,6%増加の7億1,290万トン、今年8月のインドの粗鋼生産は、前年同月比17,4%増加の1,190万トン、今年初め8か月間のインドの累積粗鋼生産は10,5%増加の9,220万トンを記録している。

今年のインドの粗鋼生産は1億4,000万トンを見込んでいるが、国内経済が好調に推移しており、また同大な鉄鉱石の埋蔵量を擁するインドは外資系企業に国内への投資を積極的に働きかけている。

一方今年8月のブラジルの粗鋼生産はマイナス5,9%の272万トン、今年初め8か月間のブラジルの累積粗鋼生産はマイナス8,3%の2,130万トンに留まっている。

ブラジルは国内の鉄鋼需要の低迷に加え、ウジミナス製鉄所の最大高炉が改修工事を受けた4月以来の生産停止の影響を受けている。

今年の農業・建設・鉱業向け産業車両生産は前年比7,4%増加予想(2023年9月11日付けヴァロール紙)

全国道路用具製造業者協会 (Anfir)の発表によると、今年の農業機械・建設機械・鉱業などの向け産業車両生産は前回予想の13万5000台から14万5000台と1万台の上方修正を行っている。

今年下半期のブラジル国内経済が予想を上回る伸び率が期待されており、大衆住宅建設“私の家、私の暮らし”(MCMV)プログラムや投資総額が1兆7,000億レアルに達する新経済成長加速プログラム(PAC-3)による需要が見込まれているが、2022年の産業車両販売台数の15万4,700台には届かない。

Selic金利の低下の開始と、より多くの貨物の輸送を可能にする重量車両販売が好調に推移しており、また2023年第2四半期(4~6月期)の国内総生産(GDP)の成長率が、前期と比較して0.9%増加を記録したことも市場関係者を楽観視させている要因となっている。

この部門の最大手企業では大型と呼ばれるトレーラーおよびセミトレーラーのセグメントが当初予想を上回る成長を担うと指摘。当初計画の7万5,000台に対し、8万5,000台が販売されるとAnfir協会のJosé Carlos Spricigo会長は予想している。

今年初め8か月間の産業車両の累積販売台数は前年同期比4,8%増加の5万7,970台、今年の販売台数は8万7,000台が見込まれている。

今年初め8か月間の「ボディ・オン・シャーシ」として知られる軽車両の新車登録台数は前年同期比マイナス15,66% に相当する4万800台、今年は 6万台前後が予想されている。

今年初め8か月間の全産業車両の累積新車登録台数は前年同期比マイナス4,75%に相当する9万8,800台に留まている。

2024年は投資総額が1兆7,000億レアルに達する新経済成長加速プログラム(PAC-3)が牽引して全産業車両の生産及び販売は好調に推移すると予想されている。

 

今年上半期のブラジル国内の機械・装置部門販売はマイナス14%(2023年9月5日付けヴァロール紙)

ブラジル国内の機械・装置部門は他の製造業同様に逆風にさらされており、ブラジル国内の機械・装置部門販売はマイナス14%と大幅な落ち込みを記録している一方で、機械・装置輸入は14%増加を記録している。

しかしブラジル国産の機械・装置輸出は増加してきているものの、機械・装置の貿易収支は大幅な赤字を記録している。

ブラジル機械・装置工業会(Abimaq)では、今年の国内の機械・装置販売は昨年を5%~8%下回ると予想している

ブラジル国内の機械・装置部門では長年にわたって設備投資向け金利18%~24%の高金利支払いを余儀なくされていた。

またブラジル中央銀行は政策誘導金利Selic金利をルーラ政権の切り下げ圧力にもかかわらず、高金利を維持してきたが、切下げサイクルの前倒しは可能だったのではないかとブラジル機械・装置工業会(Abimaq)のJosé Velloso会長はコメントしている。

ブラジル中央銀行は8月に政策誘導金利を13.75%から13.25%に切り下げたが、Selic切下げによる効果が表れるには半年以上を要するために、年内のSelic金利引下げの直接的な効果は期待できない。

機械・装置業界では税制改革、財政枠組み、Selic金利の引下サイクルの始まりについて、より楽観的に見ており、これらはマクロ経済の重要な要素だが、ブラジルの金利高による生産コストは依然として非常に高く、足かせになっている。

ブラジル国内の製造業部門の設備の近代化及び生産性を挙げるための設備投資は、過去10年間の平均は18%~19%と依然として低く、最低でも25%が必要とVelloso会長は指摘している。

今年上半期の機械・装置部門の国内販売は前年同期比マイナス13,9%に相当する1,081億8,000万レアルの大幅な落ち込みを記録した一方で、機械・装置輸出は18,9%増加の66億ドルを記録している。

今年上半期の機械・装置部門の輸入を含めた国内販売はマイナス8%に相当する1,796億7,000万レアルを記録している。今年上半期の機械・装置部門輸入は14%増加の133億ドルを記録している。

 

 

 

今年上半期の世界の粗鋼生産は前年同期比マイナス1,1% の9億4390万トン (2023年7月25日付けヴァロール紙)

今年6月の世界の粗鋼生産は前年同月比マイナス0,1%の1億5,880万トン、上半期の世界の粗鋼生産は前年同期比マイナス1,1% の9億4,390万トンであったと世界63カ国が加盟するベルギーのブリュッセルに本部がある世界鉄鋼協会(WSA)の発表している。

世界最大の粗鋼生産で主要消費国である今年6月の中国は0.4%増加の9,110万トンとなった。今期の累積量は5億3,560万トンで、同期比1.3%増加している。

今年6月の世界の粗鋼生産の57,4%は中国の生産で世界の過半数を占めており、上半期の累積粗鋼生産は56,7%と世界の過半数を占めている。

中国の鉄鋼市場は、鉄鋼の主要消費者である不動産セクターを中心とした国内経済の不確実性によって打撃を受けており、習近平国家主席による景気刺激策導入が期待されている。

今年6月の世界の粗鋼生産では、インドの粗鋼生産は12,9%増加の1,120万トンを記録している。徐々に粗鋼生産が上昇してきているイランの今年上半期の粗鋼生産は1,610万トンで世界8位とブラジル及びトルコを追い越している。6月の粗鋼生産は320万トンであった。

今年6月の世界の粗鋼生産でマイナスを記録したのはドイツの粗鋼生産はマイナス8,4% の290万トン、世界3位の日本はマイナス1,7%の730万トン、ブラジルはマイナス(12,5%の260万トン、トルコはマイナス1,5%の290万トンを記録している。

トルコの粗鋼生産は今年2月に発生した大地震の影響を受けており、今年上半期の累計粗鋼生産はマイナス16,3%と大幅な減少に留まっている。

今年上半期のブラジルの粗鋼生産及び消費共に減少(2023年7月19日付けヴァロール紙)

ブラジル鉄鋼協会(IABr)の発表によると、2023年上半期のブラジル国内の粗鋼消費は前年同期比マイナス1.6%に相当する1,150万トンに留まり、また粗鋼消費はマイナス0.1%、今年1年間の粗鋼消費はマイナス2.6%の2,290万トンに下方修正されている。

また今年上半期のブラジル国内の粗鋼生産はマイナス8.9%に相当する1,597万トン、6月の鉄鋼メーカーの設備稼働率は前年同月比マイナス6.1%の62.7%まで落ち込んでおり、ブラジル国内の鉄鋼メーカーの粗鋼生産能力は5,100万トンを擁するにも拘らず、3,400万トンの生産に留まっているとブラジルArcelorMittal社のJefferson de Paula社長は指摘している。

今年上半期のブラジル国内の鉄鋼製品販売はマイナス5.7%の960万トン、圧延鋼販売はマイナス3.8%、棒鋼販売はマイナス8.0%とそれぞれ減少している。

今年上半期のブラジル国内の鉄鋼製品販売がマイナス5.7%の960万トンに留まっている要因として、消費の82.5%を担う主な粗鋼販売先の建設業部門や耐久消費財部門、自動車部門の消費が落ち込んでいるためとJefferson de Paula社長は指摘している。

ルーラ大統領は更新した大衆住宅建設“私の家、私の暮らし”(MCMV)プログラムの暫定令MP発令で、政権終了する2026年迄の4年間に200万軒の大衆住宅建設及び100万人の新規雇用創出を謳っているが、この大衆住宅プログラムによる鉄鋼需要は今年下半期から効果が表れるとブラジル鉄鋼協会(IABr)のJefferson de Paula経営審議会会長は説明している。

今年6月初めに開始された連邦政府主導による大衆自動車販売促進プログラムによる鉄鋼メーカーの粗鋼販売は、トラックやバス、農業機械販売が低調に推移しているために、限定的と鉄鋼業界では見込んでいる。

今年上半期のブラジル鉄鋼メーカーの鉄鋼製品輸出はマイナス4.2%に対して、鉄鋼製品の輸入は43.2%と大幅な増加を記録している。

今年上半期の鉄鋼製品の輸入が43.2%と大幅な増加している要因として、レアル通貨に対するドル安の為替、過剰な世界的な粗鋼生産の拡大で過当競争になっているとJefferson de Paula経営審議会会長は説明している。

2023年のブラジル国内の見かけの粗鋼製品の消費量は2.6%減少す、粗鋼生産量は5%減少の3,238万トン予想、設備稼働率は6月に記録された値よりわずかに上昇し、63.6%となる見込みにも拘らず、2022年と比較すると3.3ポイント低下が予想されている。

今年のブラジル国内の粗鋼販売はマイナス6.0%の1,900万トンと年初予想の1.9%増加から大幅なマイナス予想に下方修正されている。また輸出はマイナス0.3%の1,190万トンと年初予想の2.5%増加から下方修正されている。

一方今年の粗鋼製品の輸入は25.6%増加の420万トンと年初予想の2.5%増加から大幅な輸入増加が予想されている。ブラジル鉄鋼協会(IABr)では現在上院議会で審議されている税制改革法案はブラジル産業界やサービス業界の進展に繋がると支援している。

最大手工作機械メーカーROMIの今年第2四半期の売上並びに純益とも減少(2023年7月18日付けヴァロール紙)

最大手工作機械メーカーROMI社は、6月の製造業部門の企業経営者の僅かな景況感指数改善で、今後数カ月間のビジネス環境改善に期待している。

サンパウロ州サンタ・バルバラ・ダ・オエステ市の本社を構える最大手工作機械メーカーROMI社は、今年第2四半期の売上並びに純益とも減少している上に、受注残が前年同期比マイナス41.0%と大幅に減少している。

ROMI社経営陣は、第2四半期の売上高の減少にも関わらず、利益率が維持されていることを強調しており、6月の全国工業連盟(CNI)加盟の製造業部門の企業経営者の景況感指数(Icei)は回復、7月の企業経営者の景況感指数(Icei)は51.1ポイントと分岐点の50ポイントを上回っていると指摘している。

2022年10月の大統領選挙後、製造業部門の企業経営者の景況感指数(Icei)は60.2ポイントから48.8ポイントに急落し、現在は回復が鈍化している。7月の製造業部門の設備稼働率(UCI)は、下半期からより健全な水準への回帰の始まりとなる可能性がある。

世界的なインフレと高金利のシナリオで、海外市場は投資を実行するためのより困難な環境となっているため、ブラジル国内での回復が重要となっている。

海外不況の影響により、Romi 機械部門の受注は 25% 減少しました。このような不利な状況下で、同社はドイツの子会社であるBurkhardt-Weber社の受注は19%増加を達成と指摘している。

今年第2四半期の収益悪化が堅調であったのは鋳造・機械加工部品部門で、受注が85%減少し、電力価格の下落で風力エネルギー分野の撤退や投資延長の見直しを余儀なくされている。