土曜日, 1月 22, 2022

【政府に対する財界の信頼は消滅した】

Iediのペドロ・パッソス所長は、経済の「方向性の欠如」が不安定な状況を生み出し、「財界の不安感」を煽っていると指摘する。ペドロ・パッソス氏はブラジルの工業部門を代表する要人の1人である。化粧品メーカー「ナトゥーラ」創設者の1人で、かつ経営パートナーであり、国内工業部門の大手企業が加盟する組織、工業開発分析研究所(Iedi)の所長でもある。2013年の工業部門の不振についてパッソス氏は、2月第2週、「腐敗した経済環境」と呼ばれるものが原因だと指摘した。実業家である同氏にとって、経済の「方向性がなく」、財界の不安感をあおっているのだという。「財界が信頼を寄せようというムードは存在せず、消滅した」とは、以下のインタビューの中でのパッソス氏の発言である。■2013年の工業生産、とりわけ12月の数字が振るわなかったことについて、どう説明されますか? 悪い意味での驚きで、落ち込みは予想を上回るものだった。最初の分析で、消費財分野の収縮という、あちこちの業界の動向が示された。それでも輸出関連を含めて一部の業界では、良好な実績を積み上げていた。運輸業界、シューズ業界、製材業界は、脆くはあったが、輸出、とりわけアルゼンチン向け輸出を拡大した。全体として見れば悲観的な結果であるが、見通しとしては悪くない。 ■こうした結果に財界はどのように対応するのでしょうか? 経済環境は、この国に大きな被害を与えている。投資比率は極めて低く、景気への信頼感は確認できず、消滅した。政策の方向性もまとまっていない。どこへ向かっているのかという重要なコミットメントが、はっきりしない。こうした経済環境が、不安定な状況を生み出す。2013年12月の結果は、積年の問題がここへ来て表面化したものだ。そして我々は、2014年に低調な年明けを迎えたことからも、この状況に多くを期待することはできない。しかも国際経済のボラティリティーという問題が依然として存在する。このように変動の激しい状況は、この国の判断不足を反映している。どこに向かっているのか、(国が)何に賭けようとしているのかが分かりにくいために、財界に不安定なムードが生まれている。 ■それはどのようなものでしょうか? 経済モデルを新しく定義し直す必要がある。状況は変化し、国はそれに順応しなくてはいけない。Iediがしばらく前から始動させた生産性を追及する行動計画への復帰が重要なのだ。 「疲弊しきった経済政策を認めるべきだ」 ペドロ・パッソス氏は、消費にインセンティブを与え、輸入車に障壁を設け、同時に貿易の自由化を求めるという政策を批判する。 工業開発分析研究所(Iedi)のペドロ・パッソス所長は、インセンティブを柱にした政府の政策がもはや効果を発揮しないと指摘する。我が国は、保護貿易主義モデルを捨てて、メルコスルに囚われた身分から脱出し、太平洋同盟や欧州連合(EU)などの経済圏、アメリカとの貿易協定に向かって歩みだす必要があると同所長は言う。 ■Iediの主張はどのようなものでしょう? 国内市場を視野に特定の業界向けの消費に対してインセンティブを与える政策の効力は、次第に低下している。我が国の政策は極めて受け身で、もはや輸入品による国外からの圧力と、限界にきている国内市場に耐え得るものではなくなっている。このため、成長も期待できない。生産性にはより多くのイノベーションと技術、投資、労働者の育成が求められる。さらに高い競争力を獲得するには、我が国は、輸出と輸入に置いてさらに多くのコミットメントが求められる。換言するなら、国際的な枠組みにブラジルを統合させていく政策と言うことだ。我が国は、発展のシナリオに工業部門を含める必要がある。 ■工業部門を支援するために政府が導入した税制優遇政策について、あなたはどのように受け止めておられますか? インセンティブは、局所的かつ短期的な対処で、持続性がない。既に35%の輸入税により保護されている自動車産業に対して、ブラジルで生産されていない自動車に工業製品税(IPI)を追徴して附帯的に保護するというのは、私の理解の範囲を超えている。それどころか、消費の方向を強力に志向した白物家電へのインセンティブも同様に方向違いだ。与信供与によって台頭するという、今日ではもはや存在しないベクトルを伴った所得層に影響力を持っていた、色あせてしまった数々のインセンティブのパッケージがあるだけだ。そろそろ、我々は戦略を新しい方向に向けるべきだ。 ■あなたは、発展のシナリオに工業部門を含めるべきだと言われました。それは、どのように? そのプロセスは、ブラジルを近代化して輸出入を拡大するために貿易の自由化に向けた明確なコミットメントが第1ステップとなる。続いて、より明確な貿易政策の立ち上げで、これは現在、極めて脆弱なものだ。3番目には、過去20年で我が国が失った、あるいは発展させてこなかった貿易協定を可能な限り積極的に進めるのを明確にするということ。 ■あなたはビジネスコミュニティーで信用が欠けていると言われています。なぜでしょう? 経済政策の判断と目標が、不明瞭だ。ブラジルのインフレターゲットはいったい、6%だったのか、それとも4.5%なのだろうか? テクニカルに言えば4.5%なのだが、では実質的目標はどうなのか? プライマリー収支黒字として確保すべき目標は、幾らだったか? 事業認可による民営化推進は、方向としては評価できるが、実施までに時間がかかり過ぎた。この外に重要な施策として、何か役立ちそうな物があるだろうか? こうしたプロジェクトを組み立てるに当たって、様々な疑問が存在し、これも我々の信用を失わせることになっている。もう1つの好例は、基本法あるいは税法だ。法的にグレーな部分で、課税問題あるいは労働問題に対して偶発的に企業に対する課税として負担が求められるという動きが、目に見えて増加している。これは投資を極めて不安定にする。加えて、こうした不安定な状況によって、企業の資産価値が失われ、そこでも投資余力を縮小させる。 ■それは証券取引市場についての話ですか? そうだ。証券取引市場の悪化は企業の株価の低迷と、さらに、投資と資金調達、買収の機会損失に繋がる。銀行口座の預金が減少するなら、同様に投資の可能性も縮小する。 ■しかしジルマ大統領は財界に様々な見通しを示しています。ダボスで世界トップの財界関係者らに向け、民営化計画のスタートや、新たな貿易協定に向けた努力についてコメントしています。これらは、明るい兆候といえませんか? スピーチの方向はよかったし、前向きだ。だが、実際の行動では、業界基本法や、公会計、とりわけ貿易収支の黒字目標などについて、依然として政府は明確にしていない。 ■2014年を実りある年にするために、工業部門はどのような対応を取ろうというのでしょうか? 信頼感を醸成する雰囲気作りには、まずは、財政政策として、そしてインフレ対策として、実施すべき振興策を明確に、しっかり定義すべきだと思う。実業家が、信頼を感じ取れなければならない。それは非常に重要な、かつ有効な対話への取り組みだ。私は、現在のような経済の収縮期において、見方を転換するのが重要だと受け止めている。我々が短期的に実施する部分に大局的な目的を持つ行動は起こり得ない。では、新しい方向性とはどこを向いたものなのか? それは、国内市場向けにインセンティブを受けて投資を継続させるのか、それとも、ブラジル企業を国際市場に参加させる行動計画へ転換するのか? ブラジルに進出した多国籍企業に対する我が国の努力というのは、ブラジル国内事業を輸出プラットホームとして活用するものだろうか? ■ジルマ大統領による「ブラジルの民衆に対する書簡」は、彼女が再選する可能性を視野に入れたものでしょうか? ちょっと振り返ってみよう。これまでに、第1ステップとして安定化の時期があり、第2ステップでは国内市場にフォーカスして所得の分配と所得層の底上げによって新たな購買力を生み出した。しかしながらこのモデルは既に疲弊しきっており、別のモデルを立ち上げなければならない。選挙の政綱までには終わると言っていい。ブラジル人として我々は、選挙だからといって人々がブラジルについて議論するのをやめて判断を先送りするのを受け入れては駄目だと思う。明日にも制定されそうな法律がないというのに、問題は千変万化、そしてブラジルは国際市場の信用を受ける必要があるのだ。実業家からも信頼されるものが必要だ。さらに大きな投資を呼び込む必要もある。事業認可は一層徹底して推進する必要がある。私は、選挙の年にこうした問題を議論するのが適切だと思う。見通しを変化させ、こうした混乱する環境に止まらない方が、発展するためには良いのだ。さもなければ、2015年の物価はさらに上昇しかねない。 ■その物価の上昇とは、どういうことを意味するのでしょうか? 価格調整ですか、それとも経済危機? 痛みを伴う財政調整で、場合によっては、あらゆる投資を困難にするような一層大きな利上げだ。我々を常に悩ますインフレもある。我々は世界とつながっており、長期にわたって6%ものインフレと共存することなどできない。我々は、消費ベースや大きな国内市場など、既に獲得してきたものを失わないような形でこの経済に対策を講じなければならない。 ■生産性の問題についてあなたは、どこまでこの国の構造的問題が影響したものだと受け止めますか、そして、どこまでが企業自身の投資不足の問題とされますか? 君は、2つを混同して話している。コストと総合的な、つまりインフラと優秀な人材、教育の不足といった生産性の不足ということと、企業が技術の発達をキャッチアップせずに必要な生産性の水準に達していないということだ。ブラジルの自動化水準は、ITと工業生産プロセスの技術革新などと同様に低い。しかも工業分野では、競争力不足という問題も抱えている。保護された産業は、短期的には救済されるとしても、長い時間をかけて競争力を低下させる。あなたが小規模な少数独占状況を確保するとすれば、価格形成にとって障壁となり得る権限を持つということだ。技術革新への投資はリスクを伴う投資のため、国外で競争にさらされている企業だけが実施する。 ■ブラジルがそうした競争力を確保することは可能でしょうか? 受け身の態度を改め発展するなら、ブラジルが国際市場に打って出られると確信している。守備ばかりのチームは試合に負ける。こうした積極性のなさと内向性は財界人に伝播し、政府に感染し、オピニオンリーダーにも波及する。一部の人は、短期的な視点でしか考えていない。我々は無責任なおべんちゃらなど支持しないし、むしろ長期的な、国際市場にブラジルを統合していくコミットメントを欲している。我々は、交渉術を身に着けずに全ての業種をテーブルに載せるほど世間知らずであってはいけない。ブラジルはさらに国際化すべきだが、保護関税を引き下げるための目標設定に向けて計画を立てる必要がある。この計画によって国際市場における企業のイノベーションと強化、シェアの確保といった動きが後押しされるのだ。 ■2013年は、Iediが貿易協定締結に向けた決断を迫る書簡をジルマ大統領に提出しました。進捗が見られますか? メルコスルと欧州連合(EU)との貿易協定を進めるという表明があったが、アルゼンチン問題に関連した国外の動きによって、この行動計画の推進には困難が待ち受けていると思う。貿易面では、より積極的な姿勢に欠けていると思う。一例を示そう。政府はしばらく前から、我が国の輸出品に組み込まれている租税コストの一部を撤廃しようと、レインテグラ(Reintegra:輸出業者向け租税還付特別制度)を実施してきた。だがこのインセンティブ、実際のところは我々が支払った税金の還付だったこのインセンティブは終了した。だとすると、我が国の貿易戦略は明確なものではないと思う。貿易の促進にとって基礎的な、より良い商品の流通を促進し、ばらばらな規定を撤廃するのに、どういった協定を選ぼうというのか? 総括すると、我が国は、平均してGDPの12%の輸出入を25%に引き上げるべく狙いを定めれば、我が国がさらに成長するベクトルを確保できるということだ。我が国は中国にはならないだろうが、この国際貿易でもう少し大きなシェアを確保できそうだ。 ■ブラジルはメルコスルと一蓮托生で、過去数年は対アルゼンチン輸出の落ち込みや他の地域との貿易協定出も足かせになっています。政府はどのように、このメルコスル、そしてアルゼンチンに対処すべきでしょうか? アルゼンチンは重要な貿易相手国だし、我が国は彼らを助けなければならなかった。だが、その結果として2か国間協定の推進計画に狂いが生じた。国際社会に統合していくのを大きく遅らせるような、些末な状況に囚われてはいけない。それと同時に、一方ではメルコスルへの加盟が重要なこと、メルコスルによってより広範囲な商業活動に繋がっていることも認めるべきだ。我が国は、発展に対し決定的に影響しない範囲で、他の国を支援すべきだ。これはデリケートな問題だが、現況は耐え難いものだ。 ■実際面としてどのような解決法があるでしょう? アルゼンチンとの協定を破棄するということでしょうか? 協定を結び、場合によっては、何らかのセーフガードや調整作業を考慮して、メルコスルとは関係なく計画を推進するようにしなければならない。ブラジルは、国際的な統合をリードする必要がある。太平洋地域が進めているように、地域統合は極めて重要だ。ブラジルが蚊帳の外にいて良いはずがない。私は、ブラジルが太平洋地域の経済件に加わっていくことが、物流の問題からも、地域の国々の市場としての可能性からも、より繋がりを強化し競争力を高める点で重要だと考えている。私はラテンアメリカのより大きな地域統合を断念はしないが、ラテンアメリカの統合ということだけにとらわれてはいけないということだ。 ■アメリカとの貿易協定に向けた交渉再開が良いと? そうだ。EUとの統合、アメリカとの統合を模索する必要がある。なぜなら、アメリカはEUあるいはアジアと貿易協定を締結しようとしており、彼らはそこで、国際貿易の基準を策定しようとしているからだ。規制、衛生、法律、税関、環境問題、手数料といったすべての問題が、この巨大な協定の中にはめ込まれる。そして我々は議論に加わることなく、それに従わざる負えない立場に立たされる。いずれにせよこの統合プロセスには遅かれ早かれ巻き込まれるのだから、それならば、自分たちの手で運命を切り開いていく方がよほど良い。この交渉に参加し、何らかの役割を演じる方が、聾桟敷に置かれてその後に規定を押し付けられるよりは良いというものだ。(2014年2月8日付けエスタード紙、クレイデ・シルバ記者、リカルド・グリンバウム記者)

【アルゼンチンよ、君は災いなるかな!】

アルゼンチンは、どこへ向かっているのだろうか? 同国の経済は疲弊し、蝕まれ、そして、日ごとに絶望は深まるばかりだ。インフレ率は高止まり、外国為替市場のドル高はペソの価値と信用を奪い、若き経済大臣は人口の61%から支持されず、クリスチーナ・キルチネル大統領は雲隠れしてダボスとハバナに姿を見せただけ、ドルと投資が引き揚げ、対外債権は霧散、モラトリアムの亡霊が再び頭をもたげ、労組は30%未満のベアを拒否し、そして、スーパーマーケットの棚から商品が消えている。不安に駆られた民衆は、タンス預金でドルを蓄え、食料品を自宅に備蓄することで防衛対策、あるいは自宅にシェルターを構築している。国と国民が貧困化している。アルゼンチンの人たちの未来には、何が待っているのだろうか?現時点で経済の方向性を転換するのは、困難としか言いようがない。第1に、クリスチーナ大統領と彼女のスタッフは、信頼の失墜に向かって疾走しており、変革手腕への信用がない。その上、代替策というものを検討したことすらない。あらゆる状況から見る限り、彼女は2015年の大統領選までのらくらとやり過ごそうとしているようだ。だがそれでは遅すぎる(あと1年半もある)し、崖っぷちがいよいよ近づいて同国経済が崩壊の深淵に飲み込まれかねないという印象を受ける。そうして、アルゼンチンが再度のモラトリアムの恐怖に打ちのめされ、貧困化と失業、破滅、大きな社会変動と犯罪の多発といった、2001年のモラトリアムで経験したのと同じ轍を踏みそうだ。人生では、皮肉な驚きに遭遇することがある。2003年3月にネストル・キルチネル前大統領が政権の座に就いた際、彼が見出したのは打ちのめされた経済だった。彼は債権者との交渉の席に臨み、1,900億ドルの公債を1,400億ドルに引き下げ、フェルナンド・デ・ラ・ルアが2001年に宣言したモラトリアムを停止し、経済を回復させて同国を復興軌道に引き上げた。そして今、まさに彼の寡婦にして彼が後継者に仕立てたクリスチーナが、彼の積み上げた成果をぶち壊し、アルゼンチンを谷底に叩き落としかねない状況なのだ。わずか10年余りで、2度目の事態だ。公正に判断して、「キルチネルの成功」というものを衰退に向かわせたのは、彼女ではなく、彼の方だ。ネストル大統領時代の行政は、権威主義的ポピュリズムというモデルを踏襲しており、経済面では、消費の拡大が物価の急上昇を引き起こし、それに対して彼は力ずくで統制しようとした。ブラジル地理統計院(IBGE)のアルゼンチン版に当たる国家資料調査院(Indec)に介入してインフレ指標を偽装し、現在、その堕落ぶりは国外で国際通貨基金(IMF)からも抗議を受けており、企業が自社製品の価格を決定することも労働が給与交渉することもはねつけている。同様に、失業数と経済成長率、社会開発指標に対しても偽装の疑いの目を向けられている。他に、公債が増加に転じたのもネストル大統領時代だ。だが、これらの全てが悪化したのはクリスチーナ大統領時代であり、何よりも、2010年10月のネストル前大統領の死亡後に際立っている。国外の債権者との紛争を受けて、同国が国外で調達する融資は減少、為替危機にも直面してクリスチーナ大統領はドルとの戦いを展開し、その結果、アルゼンチン中銀はペソ救済のために同国の外貨準備高を過去2年で520億ドルから288億ドルへと縮小した。にもかかわらず、クリスチーナ大統領はペソ安を回避できず、1月第5週には1ドル=6.84ペソから8.015ペソへと為替相場は暴落した。インフレの急伸を抑制しようと、彼女はスーパーマーケットの価格凍結という手段に走ったが、それも機能していない。しかもこのところのペソの値下がりで企業のコストが上昇しており、これまで以上に価格調整圧力が高まっている。若き経済大臣アクセル・キシロフ氏は、こうしたミスを修正して新たな経済戦略を策定するのを拒否したばかりか、値上げには罰金をちらつかせて圧力を掛け、「値上げする商人は民衆相手の泥棒だ」というキャッチフレーズを殺し文句にする始末だ。だが企業もエコノミストも、労働者も、現実の世界に目を向けて生きており、2014年のインフレ率を既に40%と想定している。無数の誤った判断と、無秩序、大統領とこの国の未来に対する不透明感を受け、1年以上も前から投資はアルゼンチンから引き揚げている。バーレとペトロブラスを含む外国企業がカバンを畳んでこの国から去ったことで、失業にもつながっている。これでいったい、どこへ向かうのだろうか?(2014年2月2日付けエスタード紙)スエリー・カルダス:ジャーナリスト、リオ・カトリック大学(PUC-Rio)教授  

インタビュー【「太平楽の時代は過ぎ、我が国は構造調整を必要としている」】

世界的な経済状況の変化を受けてブラジルは、まだ議論が始まったばかりの改革を強力に進める必要があるとバーシャ氏は指摘する。国際経済が太平楽でいられた時代は終わり、ブラジルは、国外の資金流動性の低下と一次産品の相場下落に伴う外貨の流入現象という新たなサイクルに適応するため、構造調整に取り組む必要がある。だが、エコノミストのエジマル・リスボア・バーシャ氏は、あらゆる状況から鑑みて、今年は、選挙が実施されることで連邦政府の調整作業が遅れに遅れるだろうと分析する。社会経済開発銀行(BNDES)とブラジル地理統計院(IBGE)の元総裁で、レアル計画の立案者の1人である同氏は、「2004年から2011年にかけて、ブラジルはお祭り騒ぎに浮かれていた」と評価する。上院議員のアエーシオ・ネーヴェス上院議員(PSDB:ブラジル民主社会党、ミナス・ジェライス州選出)の立ち上げた連邦政府政策準備会議における非公式コンサルタントでもある同氏は、しかし、「今に至っては、太平楽を謳歌できた時代は過去のものになった」と付け加えた。以下は同氏とのインタビューの骨子である。連邦準備銀行(FRB)による金融緩和策の縮小で生じた不安定な状況にブラジルが曝されているというのは、どのような状況を示すのでしょう?エジマル・バーシャ:我々が影響を受けている要因は、2つ挙げられる。第1に、「先細り(FRBの拡張主義的通貨政策の縮小)」で、これはブラジルとその他の新興国に投資されてきた資金がアメリカに引き揚げるインセンティブの上昇だ。これは我が国の外、外国資本に依存するあらゆる新興国に影響を与えるプロセスだ。これら新興国の通貨が値下がりするとともに、投資家がそうした国への投資に要求する金利を引き上げるという形でバランスの崩れを誘発する、国外で調達可能な資金の枯渇が生じる。では、2つ目の要因とは?エジマル・バーシャ:我が国が輸出するコモディティーの値下がりにつながる、中国経済の減速だ。ブラジルは2004年から2011年にかけて、コモディティー相場の上昇と同様に外国資本の流入に大きく依存するようになった。現在の経済政策の成果は、正しい方向を向いているでしょうか?エジマル・バーシャ:そこで信用が極めて重要になる。そして信用というのは、単に意思を表明するだけでなく、むしろ、それまでの実績によって積み上げられるということだ。では我が国の経済政策はというと、ここ数年は、最近まですべて、偏って進んでいた。あちこちで信用が失われて破綻している時に信用を回復するには、単にダボスで心地良い宣言をするだけでは駄目なのだ。実効のある取り組みが必要だ。軌道を修正するために経済政策もこのところ幾つか変更されているようですが?エジマル・バーシャ:通貨政策には明確に見て取れるが、極めて緩慢だ。過去数か月、中銀は止血帯をあてがい始めた。非常に明確な方向転換であり、いずれ、そして最終的には、必要とされる措置に行きつくことになる。財政問題では、極めて多くの課題が残されており、かつ、下されるべき判断が先送りされている。財政政策に関しては、強い不満が募っていると言えそうですね?エジマル・バーシャ:その通りだ。プライマリー収支黒字は、従来、一定の信用を得ていた。だがその数字を操作しようとしたことで、信用不安を生じた。その上、支出が予算に計上されないように裏予算を作成する目的でBNDESを利用し始めた。このBNDESの、そして連邦貯蓄銀行(CEF)の大規模な支出拡大で、この金融機関2社は、増大する脆弱性が目に見えるようになった。金融危機にはつながらないが、将来的に資本の増強が必要になるという観測が生じている。一部のアナリストは、こうした状況を考慮して、2015年は経済危機が発生しかねないと予想しています。エジマル・バーシャ:2004年から2011年にかけて、ブラジルはお祭り騒ぎに浮かれていた。拡大した国内消費の内、25%は外国資本の流入と輸出するコモディティーの相場上昇による資金調達が支えた。今に至って、太平楽を謳歌できた時代は過去のものになった。資本の流入は止まり、むしろ引き揚げ始めている。そして、コモディティー相場は、値上がりするどころか値下がりし始めた。そこで構造調整が必要になった。経済環境そのものが変化したのであって、二次的な変化ではない。国内需要の大きな調整が必要になっている。それはつまり、国内需要を低減させる必要があるということだ。この構造調整は金利を通じて実施された場合は連邦政府支出の削減を通じて実施されるよりも苦痛を伴うものになるでしょうか?エジマル・バーシャ:金利に比重が置かれれば、民間部門は公共部門と比較して打撃を受けることになる。民間部門と公共部門の支出の合計が総支出額だ。利上げは基本的に、この内の民間部門の支出削減に対して効果を発揮するので、連邦政府は自覚的に支出をコントロールする必要がある。それだけでなく、輸出を拡大して輸入を縮小する必要も生じる。これは、為替相場が下落しなければならないことも意味している。為替相場が下落する際、国内消費も縮小する傾向があるが、それは実質賃金が下落して物価が上昇するからで、インフレが問題として生じてくる。連邦政府は構造修正を厭わないという感じでしょうか?エジマル・バーシャ:行政は極めて稚拙だ。連邦政府は改革すると言っているが、言うだけでは不十分だ。連邦政府はこの問題を議論しようとしているが、10月に選挙が実施されるために、難しい問題をはらんでいる。必要とされる調整は痛みを伴うものであり、それは支持されるようなものではない。このため市場は、この修正が先送りされるだろうと確信している。では、選挙後に何が起こるだろうか?様々な見通しから、2014年はインフレ圧力が高まることが示されています。選挙キャンペーンでは、大衆の資力に影響する問題、インフレが大きなテーマになりそうですか?エジマル・バーシャ:連邦政府は善人と一緒に(穀物の)豊作が食料品価格を統制し続けるのに利用できると期待している。連邦政府がガソリン価格を大幅に調整しそうな気配もない。そして、中央銀行はレアルがさらに値下がりする事態を回避するために強力に外国為替市場へ介入している。為替に介入するための「弾薬」も十分に保有している。これらはいずれも、調整を先延ばしする措置の数々だ。2015年に経済危機が発生しそうでしょうか?エジマル・バーシャ:2002年のルーラ(元大統領)同様に、ジルマも、メイレーレス(元中央銀行総裁)とパロッシ(元財務大臣)を指名して驚かせる可能性はある。ジルマ大統領のこれまでの行動はいずれも、この方向に進んでいることを示している。同様に、私はフィフティー・フィフティーと受け止めているが、メイレレスとパロッシの代わりに大統領が、アルゼンチンとベネズエラがやっているような為替の中央集約化を導入するよう長らく主張しているベルーゾ(元財務省経済政策局長)の方を向く可能性もある。この場合にはレアル安を引き起こす経済危機的な状況に陥っているのだが、返答としては、現状、希望する人に対する為替取引は確保されている。もしブラジルがこうした冒険に向かって歩みだすなら、極めて深刻な事態に陥る。どこに向かおうとしているのか、市場には見えていないのだ。レアル計画は今年、満20年を迎えます。ブラジルの経済政策がこの計画から学んだことの内、重要なものは何でしょうか?エジマル・バーシャ:この国が安定して成長するためには改革に対して不断の努力を払う必要があるということが、非常に明確になったことだ。過去10年はこれが放棄され、「ピビーニョ(わずかな成長に止まったGDP)」が連続するような状況に陥った。「ピビーニョ」にもかかわらず、インフレ率は高止まりしており、しかも、経常収支赤字間で計上している。さらに、脱工業化だ! こうして高コスト体質が続くと、ビジネスは難しいものになる。投資家は国内市場の開発のためにブラジルに進出しているのであって、ブラジルを輸出プラットホームにするためではない。結果として、国内オペレーションは国際的なバリュー・チェーンに組み込まれていない。ブラジルは世界の中で孤立している。ブラジルに対する国際市場のムードが悪化したように見えるのはなぜでしょう?エジマル・バーシャ:BRICS(ブラジルとロシア、インド、中国の頭文字を使ったにゴールドマン・サックス銀行の造語)が使われ始めた2001年、人々は、この言葉を、驚きを持って受け止めた。多くの問題を抱えるブラジルのような国が、21世紀の覇者たり得るのか? これに対する当時の答えは、行政だった。安定化させ、改革を推進し、1998年の経済危機に対処し、1999年からはマクロ経済の3本柱を立ち上財政責任法を制定した政府があった。現在、我が国は「フラジャイル5(モーガン・スタンレー銀行の造語で脆弱な主要新興国であるブラジルとインド、トルコ、インドネシア、南アフリカ)」の仲間入りをしている。そして人々は尋ねるのだ。どうしてこうなった?と。答えはこうだ。行政の不在! 我が国は深刻な構造問題を抱えており、しかも、この問題の解決に向けて何もしようとしていない。労働者党(PT)政権の態度の「おもてなし」のお蔭で、この13年で我が国は、BRICSを離れて「フラジャイル5」の仲間入りをしたのだ。(2014年2月2日付けエスタード紙、ヴィニシウス・ネデル記者)

【アルゼンチンよ、君は災いなるかな!】

アルゼンチンは、どこへ向かっているのだろうか? 同国の経済は疲弊し、蝕まれ、そして、日ごとに絶望は深まるばかりだ。インフレ率は高止まり、外国為替市場のドル高はペソの価値と信用を奪い、若き経済大臣は人口の61%から支持されず、クリスチーナ・キルチネル大統領は雲隠れしてダボスとハバナに姿を見せただけ、ドルと投資が引き揚げ、対外債権は霧散、モラトリアムの亡霊が再び頭をもたげ、労組は30%未満のベアを拒否し、そして、スーパーマーケットの棚から商品が消えている。不安に駆られた民衆は、タンス預金でドルを蓄え、食料品を自宅に備蓄することで防衛対策、あるいは自宅にシェルターを構築している。国と国民が貧困化している。アルゼンチンの人たちの未来には、何が待っているのだろうか?現時点で経済の方向性を転換するのは、困難としか言いようがない。第1に、クリスチーナ大統領と彼女のスタッフは、信頼の失墜に向かって疾走しており、変革手腕への信用がない。その上、代替策というものを検討したことすらない。あらゆる状況から見る限り、彼女は2015年の大統領選までのらくらとやり過ごそうとしているようだ。だがそれでは遅すぎる(あと1年半もある)し、崖っぷちがいよいよ近づいて同国経済が崩壊の深淵に飲み込まれかねないという印象を受ける。そうして、アルゼンチンが再度のモラトリアムの恐怖に打ちのめされ、貧困化と失業、破滅、大きな社会変動と犯罪の多発といった、2001年のモラトリアムで経験したのと同じ轍を踏みそうだ。人生では、皮肉な驚きに遭遇することがある。2003年3月にネストル・キルチネル前大統領が政権の座に就いた際、彼が見出したのは打ちのめされた経済だった。彼は債権者との交渉の席に臨み、1,900億ドルの公債を1,400億ドルに引き下げ、フェルナンド・デ・ラ・ルアが2001年に宣言したモラトリアムを停止し、経済を回復させて同国を復興軌道に引き上げた。そして今、まさに彼の寡婦にして彼が後継者に仕立てたクリスチーナが、彼の積み上げた成果をぶち壊し、アルゼンチンを谷底に叩き落としかねない状況なのだ。わずか10年余りで、2度目の事態だ。公正に判断して、「キルチネルの成功」というものを衰退に向かわせたのは、彼女ではなく、彼の方だ。ネストル大統領時代の行政は、権威主義的ポピュリズムというモデルを踏襲しており、経済面では、消費の拡大が物価の急上昇を引き起こし、それに対して彼は力ずくで統制しようとした。ブラジル地理統計院(IBGE)のアルゼンチン版に当たる国家資料調査院(Indec)に介入してインフレ指標を偽装し、現在、その堕落ぶりは国外で国際通貨基金(IMF)からも抗議を受けており、企業が自社製品の価格を決定することも労働が給与交渉することもはねつけている。同様に、失業数と経済成長率、社会開発指標に対しても偽装の疑いの目を向けられている。他に、公債が増加に転じたのもネストル大統領時代だ。だが、これらの全てが悪化したのはクリスチーナ大統領時代であり、何よりも、2010年10月のネストル前大統領の死亡後に際立っている。国外の債権者との紛争を受けて、同国が国外で調達する融資は減少、為替危機にも直面してクリスチーナ大統領はドルとの戦いを展開し、その結果、アルゼンチン中銀はペソ救済のために同国の外貨準備高を過去2年で520億ドルから288億ドルへと縮小した。にもかかわらず、クリスチーナ大統領はペソ安を回避できず、1月第5週には1ドル=6.84ペソから8.015ペソへと為替相場は暴落した。インフレの急伸を抑制しようと、彼女はスーパーマーケットの価格凍結という手段に走ったが、それも機能していない。しかもこのところのペソの値下がりで企業のコストが上昇しており、これまで以上に価格調整圧力が高まっている。若き経済大臣アクセル・キシロフ氏は、こうしたミスを修正して新たな経済戦略を策定するのを拒否したばかりか、値上げには罰金をちらつかせて圧力を掛け、「値上げする商人は民衆相手の泥棒だ」というキャッチフレーズを殺し文句にする始末だ。だが企業もエコノミストも、労働者も、現実の世界に目を向けて生きており、2014年のインフレ率を既に40%と想定している。無数の誤った判断と、無秩序、大統領とこの国の未来に対する不透明感を受け、1年以上も前から投資はアルゼンチンから引き揚げている。バーレとペトロブラスを含む外国企業がカバンを畳んでこの国から去ったことで、失業にもつながっている。これでいったい、どこへ向かうのだろうか?(2014年2月2日付けエスタード紙)スエリー・カルダス:ジャーナリスト、リオ・カトリック大学(PUC-Rio)教授  

【フォルクスワーゲンが未来のフォルクスワーゲン・ビートルとしてup!に大きな賭け】

ブラジル二輪製造会社協会(Abraciclo)の発表によると、生産の大半を占めるマナウスフリーゾーン(PIM)の二輪車メーカーが5月最終週から生産を再開、2020年6月の二輪車生産は7万8,130台を記録、前月比並びに前年同月比それぞれ大幅に増加を記録している。 今年6月の二輪車生産は前月比427.6%の3桁台増加を記録した要因として、5月の二輪車生産が僅かに1万4,609台に留まっていた。昨年6月はマナウスフリーゾーン(PIM)の二輪車メーカーが集団休暇を採用していた要因で14.7%増加に留まった。 今後の二輪車生産は、小売業界の正常営業の復帰の時期に左右されているとブラジル二輪製造会社協会(Abraciclo)のマルコス・フェルマニアン会長は指摘している。COVID-19パンデミック前の今年の二輪車の月間平均生産は10万台を見込んでいた。 フェルマニアン会長は、既にコンソルシオ販売で契約されているにも拘らず、納入されていない二輪車残っているために、短期間の二輪車生産はコンソルシオ販売が保証する。ブラジルコンソルシオ管理者協会(Abac)は、10万台以上の二輪車が契約済みと指摘している。 今年上半期の二輪車生産は、前年同期比27.0%減少の39万2,200台、二輪車メーカーは3月末から生産中止を開始、1ヶ月以上の生産中止後の5月から生産を再開している。 今年初めの今年の生産は、前年比6.1%増加の117万5,000台を見込んでいた。6月の二輪車の新車登録台数は前月比57.1%増加の4万5,855台、しかし前年同月比では42.7%減少している。 今年6月の1日当たりの二輪車販売は、2,293台を記録して5月の1,460台を大幅に上回ったにも関わらず、昨年6月の3,107台を大幅に下回っている。今年上半期の二輪車の新車登録台数は、前年同期比33.9%減少の35万100台に留まっている。 今年6月の二輪車輸出は前年同月比3.2%増加の2,945台、5月の二輪車輸出は僅か236台であった。今年初め6か月間の二輪車輸出は、金融危機のアルゼンチン向けの下落で前年同月比48.8%減少の1万432台であった。

インタビュー【「太平楽の時代は過ぎ、我が国は構造調整を必要としている」】

世界的な経済状況の変化を受けてブラジルは、まだ議論が始まったばかりの改革を強力に進める必要があるとバーシャ氏は指摘する。国際経済が太平楽でいられた時代は終わり、ブラジルは、国外の資金流動性の低下と一次産品の相場下落に伴う外貨の流入現象という新たなサイクルに適応するため、構造調整に取り組む必要がある。だが、エコノミストのエジマル・リスボア・バーシャ氏は、あらゆる状況から鑑みて、今年は、選挙が実施されることで連邦政府の調整作業が遅れに遅れるだろうと分析する。社会経済開発銀行(BNDES)とブラジル地理統計院(IBGE)の元総裁で、レアル計画の立案者の1人である同氏は、「2004年から2011年にかけて、ブラジルはお祭り騒ぎに浮かれていた」と評価する。上院議員のアエーシオ・ネーヴェス上院議員(PSDB:ブラジル民主社会党、ミナス・ジェライス州選出)の立ち上げた連邦政府政策準備会議における非公式コンサルタントでもある同氏は、しかし、「今に至っては、太平楽を謳歌できた時代は過去のものになった」と付け加えた。以下は同氏とのインタビューの骨子である。連邦準備銀行(FRB)による金融緩和策の縮小で生じた不安定な状況にブラジルが曝されているというのは、どのような状況を示すのでしょう?エジマル・バーシャ:我々が影響を受けている要因は、2つ挙げられる。第1に、「先細り(FRBの拡張主義的通貨政策の縮小)」で、これはブラジルとその他の新興国に投資されてきた資金がアメリカに引き揚げるインセンティブの上昇だ。これは我が国の外、外国資本に依存するあらゆる新興国に影響を与えるプロセスだ。これら新興国の通貨が値下がりするとともに、投資家がそうした国への投資に要求する金利を引き上げるという形でバランスの崩れを誘発する、国外で調達可能な資金の枯渇が生じる。では、2つ目の要因とは?エジマル・バーシャ:我が国が輸出するコモディティーの値下がりにつながる、中国経済の減速だ。ブラジルは2004年から2011年にかけて、コモディティー相場の上昇と同様に外国資本の流入に大きく依存するようになった。現在の経済政策の成果は、正しい方向を向いているでしょうか?エジマル・バーシャ:そこで信用が極めて重要になる。そして信用というのは、単に意思を表明するだけでなく、むしろ、それまでの実績によって積み上げられるということだ。では我が国の経済政策はというと、ここ数年は、最近まですべて、偏って進んでいた。あちこちで信用が失われて破綻している時に信用を回復するには、単にダボスで心地良い宣言をするだけでは駄目なのだ。実効のある取り組みが必要だ。軌道を修正するために経済政策もこのところ幾つか変更されているようですが?エジマル・バーシャ:通貨政策には明確に見て取れるが、極めて緩慢だ。過去数か月、中銀は止血帯をあてがい始めた。非常に明確な方向転換であり、いずれ、そして最終的には、必要とされる措置に行きつくことになる。財政問題では、極めて多くの課題が残されており、かつ、下されるべき判断が先送りされている。財政政策に関しては、強い不満が募っていると言えそうですね?エジマル・バーシャ:その通りだ。プライマリー収支黒字は、従来、一定の信用を得ていた。だがその数字を操作しようとしたことで、信用不安を生じた。その上、支出が予算に計上されないように裏予算を作成する目的でBNDESを利用し始めた。このBNDESの、そして連邦貯蓄銀行(CEF)の大規模な支出拡大で、この金融機関2社は、増大する脆弱性が目に見えるようになった。金融危機にはつながらないが、将来的に資本の増強が必要になるという観測が生じている。一部のアナリストは、こうした状況を考慮して、2015年は経済危機が発生しかねないと予想しています。エジマル・バーシャ:2004年から2011年にかけて、ブラジルはお祭り騒ぎに浮かれていた。拡大した国内消費の内、25%は外国資本の流入と輸出するコモディティーの相場上昇による資金調達が支えた。今に至って、太平楽を謳歌できた時代は過去のものになった。資本の流入は止まり、むしろ引き揚げ始めている。そして、コモディティー相場は、値上がりするどころか値下がりし始めた。そこで構造調整が必要になった。経済環境そのものが変化したのであって、二次的な変化ではない。国内需要の大きな調整が必要になっている。それはつまり、国内需要を低減させる必要があるということだ。この構造調整は金利を通じて実施された場合は連邦政府支出の削減を通じて実施されるよりも苦痛を伴うものになるでしょうか?エジマル・バーシャ:金利に比重が置かれれば、民間部門は公共部門と比較して打撃を受けることになる。民間部門と公共部門の支出の合計が総支出額だ。利上げは基本的に、この内の民間部門の支出削減に対して効果を発揮するので、連邦政府は自覚的に支出をコントロールする必要がある。それだけでなく、輸出を拡大して輸入を縮小する必要も生じる。これは、為替相場が下落しなければならないことも意味している。為替相場が下落する際、国内消費も縮小する傾向があるが、それは実質賃金が下落して物価が上昇するからで、インフレが問題として生じてくる。連邦政府は構造修正を厭わないという感じでしょうか?エジマル・バーシャ:行政は極めて稚拙だ。連邦政府は改革すると言っているが、言うだけでは不十分だ。連邦政府はこの問題を議論しようとしているが、10月に選挙が実施されるために、難しい問題をはらんでいる。必要とされる調整は痛みを伴うものであり、それは支持されるようなものではない。このため市場は、この修正が先送りされるだろうと確信している。では、選挙後に何が起こるだろうか?様々な見通しから、2014年はインフレ圧力が高まることが示されています。選挙キャンペーンでは、大衆の資力に影響する問題、インフレが大きなテーマになりそうですか?エジマル・バーシャ:連邦政府は善人と一緒に(穀物の)豊作が食料品価格を統制し続けるのに利用できると期待している。連邦政府がガソリン価格を大幅に調整しそうな気配もない。そして、中央銀行はレアルがさらに値下がりする事態を回避するために強力に外国為替市場へ介入している。為替に介入するための「弾薬」も十分に保有している。これらはいずれも、調整を先延ばしする措置の数々だ。2015年に経済危機が発生しそうでしょうか?エジマル・バーシャ:2002年のルーラ(元大統領)同様に、ジルマも、メイレーレス(元中央銀行総裁)とパロッシ(元財務大臣)を指名して驚かせる可能性はある。ジルマ大統領のこれまでの行動はいずれも、この方向に進んでいることを示している。同様に、私はフィフティー・フィフティーと受け止めているが、メイレレスとパロッシの代わりに大統領が、アルゼンチンとベネズエラがやっているような為替の中央集約化を導入するよう長らく主張しているベルーゾ(元財務省経済政策局長)の方を向く可能性もある。この場合にはレアル安を引き起こす経済危機的な状況に陥っているのだが、返答としては、現状、希望する人に対する為替取引は確保されている。もしブラジルがこうした冒険に向かって歩みだすなら、極めて深刻な事態に陥る。どこに向かおうとしているのか、市場には見えていないのだ。レアル計画は今年、満20年を迎えます。ブラジルの経済政策がこの計画から学んだことの内、重要なものは何でしょうか?エジマル・バーシャ:この国が安定して成長するためには改革に対して不断の努力を払う必要があるということが、非常に明確になったことだ。過去10年はこれが放棄され、「ピビーニョ(わずかな成長に止まったGDP)」が連続するような状況に陥った。「ピビーニョ」にもかかわらず、インフレ率は高止まりしており、しかも、経常収支赤字間で計上している。さらに、脱工業化だ! こうして高コスト体質が続くと、ビジネスは難しいものになる。投資家は国内市場の開発のためにブラジルに進出しているのであって、ブラジルを輸出プラットホームにするためではない。結果として、国内オペレーションは国際的なバリュー・チェーンに組み込まれていない。ブラジルは世界の中で孤立している。ブラジルに対する国際市場のムードが悪化したように見えるのはなぜでしょう?エジマル・バーシャ:BRICS(ブラジルとロシア、インド、中国の頭文字を使ったにゴールドマン・サックス銀行の造語)が使われ始めた2001年、人々は、この言葉を、驚きを持って受け止めた。多くの問題を抱えるブラジルのような国が、21世紀の覇者たり得るのか? これに対する当時の答えは、行政だった。安定化させ、改革を推進し、1998年の経済危機に対処し、1999年からはマクロ経済の3本柱を立ち上財政責任法を制定した政府があった。現在、我が国は「フラジャイル5(モーガン・スタンレー銀行の造語で脆弱な主要新興国であるブラジルとインド、トルコ、インドネシア、南アフリカ)」の仲間入りをしている。そして人々は尋ねるのだ。どうしてこうなった?と。答えはこうだ。行政の不在! 我が国は深刻な構造問題を抱えており、しかも、この問題の解決に向けて何もしようとしていない。労働者党(PT)政権の態度の「おもてなし」のお蔭で、この13年で我が国は、BRICSを離れて「フラジャイル5」の仲間入りをしたのだ。(2014年2月2日付けエスタード紙、ヴィニシウス・ネデル記者)