土曜日, 1月 22, 2022

【「我々はボルソナロ候補をより厳しく批判すべきだった」とキム・カタギリ連邦下院議員】

 キム・カタギリ連邦下院議員は、「ボルソナロ政権の犯しているすべての過ち」に対して毅然と対決することで過去の行為の「埋め合わせをする」べきだという。 保守系リベラル政策集団ブラジル自由運動(MBL)のリーダーの1人、キム・カタギリ連邦下院議員(DEM:民主党・サンパウロ州選出)が、過去の行為に関連してMBLが行った自己批判に賛同している。同下院議員によると「MBLの大きなミスは、過去に罪を犯していた左派と、単に左派に属して我々と意見を異にしていたというだけの人に敵意を抱く人物を抱きこんだことだ」という。ジャイール・ボルソナロ大統領に関して同下院議員は、同大統領が誤りを犯せばMBLは「黙認しない」が、適切であれば称賛するだろうと話す。以下は、エスタード紙によるカタギリ下院議員のインタビューの抜粋である。  エスタード紙: MBLは最近になって自己批判を行い、これまでの活動にとジャイール・ボルソナロ大統領との関係について再評価を加えました。この問題についてあなたの立場は? カタギリ下院議員: 私にとって弾劾とその後のテーメル政権下でMBLが犯した大きなミスは、権力とのつながりがあって過去に罪を犯していた左派と、単に左派に属して我々と意見を異にしているというだけの人に敵意を抱く人物たちを抱きこんだことだ。これは公開討論を矮小化しただけでなく、目に見える、劇場型のロジックによってそれが強く促進された。今日でさえ、というよりむしろ弾劾当時以上に、激しい対立が建設的なことよりも注目を集めている。この意味で、国会内で共生を志向するのは私にとって非常に好ましいものだ。エスタード紙: あなたは善良な左派が存在すると言いたいのでしょうか?カタギリ下院議員: まさにそのとおり。私が考えることに対して完全なまでに反対意見を持つ左派の人がいて、むしろ善意から、心底それを信じている。横領もせず、汚職によって資金を調達しているのでもない。このことは、政治として建設的な作業を助ける。もしあなたが良い関係を保っていて多くの論争を発生させないことを指針とするならば、種々の法案を可決するのがより簡単な道だ。それは徳のある行為だが、国会議員にはそうふるまうためのインセンティブはない。なぜなら、バトルを選挙民が望んでいるからだ。エスタード紙: その自己批判がMBLに対して、ボルソナロ政権に対する姿勢としてどのような影響を与えるでしょうか?カタギリ下院議員: ボルソナロ大統領に対して我々は常に批判的な姿勢を取ってきた。選挙においても我々は「有用票」を説き聞かせた。これ以前に我々は、(実業家の)フラビオ・ロッシャ氏(PRB:ブラジル共和党が擁立予定だった候補)を支持していた。だがテーメル政権において、ボルソナロも右派であるということで彼を批判するのを人々が避け、かつ内輪もめを避けるために、結果として見逃すべきではなかったことを見逃してしまったと私は確信している。エスタード紙: MBLはボルソナロのどのようなところを見逃したのでしょうか?カタギリ下院議員: 弾劾の表決で、ボルソナロは第2方面軍情報捜査局公安公安活動センター(DOI-CODI)の元長官、カルロス・アルベルト・ブリリャンテ・ウストラ大佐を称賛した。こうした事情から、(フェルナンド)ホリデー(サンパウロ市議会議員で同じくMBL関係者)がボルソナロだけでなく(アソン・リベルタドーラ・ナシオナル:国家開放闘争所属のゲリラ活動家である)カルロス・マリゲーラに言及した下院議員をも批判する1本の動画を制作した。私たちの間でさえ、我々がしたのは正しかったのかという疑問がわいたのを覚えている。というのも、批判を超えた非常な攻撃のウェーブを生じさせたからだ。今日振り返ると、今なら、批判すべきであったしもっと多くを批判すべきだったというのがコンセンサスだろうと思う。今なら、明確な形で我々もそれを埋め合わせできる。あらゆる議題、ボルソナロ政権のあらゆる誤りに対して、正しいものには称賛を忘れず、明確な形で立場を定めることだ。エスタード紙: あなたは先週、選挙において虚偽の告発を公表するのを犯罪とする法案が大統領の拒否権行使により法制化されなかったためにソーシャル・ネットワーク上で批判を受けました。この種の活動について、どのようにお考えでしょうか?カタギリ下院議員: 発表されたものは虚偽であり、この噂を広めた人物の不逞さを示している。まず、言われているような、法案の起草者だというのは虚偽だ。この法案は2011年、フェリックス・メンドンサ・ジュニオル下院議員(PDT:民主労働者党・バイーア州選出)が提出したものだ。2014年の段階で既に下院を通過しており、4月に上院で可決された。私がしたのは、大統領の拒否権を個別にするひとつの修正項目を加えたことだ。個別の拒否権の行使により、虚偽の告発と知りながら選挙を目的としてそれを公表した場合を扱う条項が、削除された。第2に、今回の対応は彼らが描くような黙示録(完全な終焉)ではない。2014年に賛成票を2度投じた下院議員だった当時と同様に、現在もジャイール・ボルソナロ大統領自身、この法案の本案には100%同意している。(2019年9月4日付けエスタード紙)「私が考えることに対して完全なまでに反対意見を持つ左派の人がいて、むしろ善意から、心底それを信じている。横領もせず、汚職によって資金を調達しているのでもない。このことは、政治として建設的な作業を助ける」

【「左派による人権侵害を目の当たりにして我々は沈黙してなどいられない」とブラジル社会党(PSB)のニカルロス・シケイラ党首】

PSBのシケイラ党首が、党内と社会から、ベネズエラに対する態度を表明するよう強い求めがあったと明らかにした。ベネズエラのマドゥロ政権による人権侵害に対して公然と非難するというブラジル社会党(PSB)の決定は、党内及び社会から出された強い要求に対する答えだったと、同党のカルロス・シケイラ党首がエスタード紙とのインタビューで明らかにした。同党首によると、ベネズエラは独裁政権と位置付けられる特徴を備えている。同党首が単なる寄り合いだと話す超党派で非政府組織(NGO)なども参加するサンパウロ・フォーラム(FSP)からの公式脱退問題では、既に直近の3回の会合に同党はそもそも参加していなかったという。今回のインタビューでシケイラ党首は、外にも、ジャイール・ボルソナロ大統領を持ち出しベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領と比較、ブラジルの大統領も同じく民主主義を尊重しないとコメントした。以下は、エスタード紙によるシケイラ党首のインタビューの抜粋である。 エスタード紙: PSBがベネズエラにおける人権侵害を容認しないという方針に転じた理由は何でしょうか?カルロス・シケイラ党首: PSBは民主社会主義、換言すれば、多元主義という理念を基礎にしている。スターリン主義とは異なり、党設立時の私たちの理念は、強権社会主義に対して批判的だった。我々は、ウーゴ・チャベス大統領とその政権、あるいは、ニコラス・マドゥロ大統領とその政権と関係を構築したことはなく、ベネズエラ統一社会党との会合を1度でも持ったことはない。同時に、党が同国の問題について何らの声明も発表していない理由について糺す声があった。私は、人々が正しいと考えた。(マドゥロ政権は)、社会主義とは何らの関係もない。エスタード紙: ベネズエラが独裁下にあるとお思いですか?シケイラ党首: 選挙で選ばれた大統領を戴いてはいるが、実施は避けられないにしても選挙をしたというだけでベネズエラが民主的な体制だと保証するものではない。現在の同国には独裁政権に特徴的な状況がある。すなわち、政治家の逮捕と、表現の自由の欠如だ。私たちブラジル国民にとっても、このリスクがわずかながらも存在する。なぜなら民主主義を尊重せず、拷問官を称賛し、報道機関を追い出す人を大統領に選んだからだ。エスタード紙: サンパウロ・フォーラムを脱退した理由は何でしょうか?シケイラ党首: 3回前の会合から、PSBは参加していない。ラテンアメリカの社会主義政党はこのフォーラムを批判的にみている。参加当時、我々はIDを持っていなかった。結果的に我々は、実質的に部外者なのだから公式に脱退するほうが良いだろうと判断した。エスタード紙: フォーラムに対する批判にはどのようなものがあるのでしょうか?シケイラ党首: フォーラムの活動は非常に中央集権的で、ラテンアメリカの局面に関するより開かれた協議を認めなかった。我々はそこに落胆し、長らく距離を置いてきた。我々はこれまで、そこにとどまることのなく広範囲に関係を構築してきた。我々は、ドイツ社会民主党がコーディネートする社会主義政党と社会民主主義政党が連携する団体、プログレッシブアライアンスに加盟した。ブラジルからの加盟では、我々が最初の政党だった。また我々は、ラテンアメリカ社会主義者連帯(CSL)にも参画しており、これはPSBが長らく調整役を務め、ラテンアメリカの社会主義政党で構成されている。エスタード紙: ベネズエラに対して何らかの立場をとるべきだという要求はありますか?シケイラ党首: 党内外、そして社会からも、この政権と我々が無関係だということを示せと求める声があった。人権が誰か、左翼を名乗る人物により蹂躙されていることに、私たちは沈黙していいはずがない。人権が尊重されていない時には、誰がそれを欲しているのかには関係なく、我々は人権を擁護しなければならない。同じ理由から我々は、フアン・グアイドを大統領として認めなかった。また同じく、ベネズエラ国内の危機的状況についても、ジャイール・ボルソナロ大統領が示唆したようにブラジル、あるいはアメリカのような外国によって解決されるという意見にも賛同できない。ベネズエラ社会こそが、これらの問題に関する決定を下す必要がある。エスタード紙: 労働者党(PT)はその反対の行動をしており、同党のグレイジ・ホフマン党首は、繰り返しマドゥロ体制を支持しています。これについてどのようにお考えでしょうか?シケイラ党首: 我々は左派政党であるが、別の性質を持つ。私はPTについての意見は差し控える。これは、彼らの問題だ。エスタード紙: ボルソナロ大統領は既に自身が再選に向けて立候補すると表明しています。それについてはどうお考えでしょうか?シケイラ党首: 2020年に予定される大統領選について言及するのは時期尚早だと思う。というのも、それまでに別の選挙も控えている。ボルソナロは、大統領として立ち向かうべきただ一つの問題に取り組み終えることなく、この前振りを宣言するという取り組みを終えた。私は否定的に受け止める。なぜなら政党は、国家の問題に対する一つの解決法を見つけ出すことに専念すべきだからだ。(2019年9月4日付けエスタード紙) 「人権が誰か、左翼を名乗る人物により蹂躙されていることに、私たちは沈黙していいはずがない。人権が尊重されていない時には、誰がそれを欲しているのかには関係なく、我々は人権を擁護しなければならない」 

【2020年に世界経済の成長率が3%未満に後退へ】

2020年にブラジルは、石油と鉄鉱石のようなコモディティー価格の下落に苦しむことになる。また、外国投資も減少する見通しだ。世界経済のテクニカル・リセッション(2四半期連続のGDPのマイナス成長)について論じるのは時期尚早だと大半のエコノミストが受け止めはしているものの、2020年に世界経済の成長率が、専門家の間で重要な分水嶺と位置付けられる+3%を下回りそうな様々な兆候が確認されている。例えばイタウ・ウニバンコ銀行は、2019年の世界経済の経済活動を+3.2%、2020年の世界経済の成長率を+3.1%と予想する。だが同銀行のエコノミスト、ロベルト・プラード氏は、「それでも当行は、経済活動がさらに弱まる可能性があると受け止めている。我々は、リセッションの瀬戸際にいる。更なるショックがあればどのようなものであれ、世界を経済危機に引きずり込みかねない」と言う。世界経済成長率の予測は今のところマイナス成長からほど遠いものだが、中国は自国のGDP成長率を+6%よりも大きな水準までデータを改ざんする傾向があることから、全体で+3%を下回ると水準は歓迎されざるものと受け止められているとプラド氏は言う。その上で同氏は、「世界経済の成長率が+3%を下回れば、多くの国がリセッションに陥っているということだ」と付け加えた。こうした意見には、BTGパクチュアル・ウェルス・マネージメントのジョアン・スカンジウッツィ上級ストラテジストも同意している。同氏は、「テクニカルな部分で世界経済のリセッションには言及できないものの、潜在成長率(インフレ圧力を発生させることのない成長ペース)を下回っているという印象は受ける」と話す。国際通貨基金(IMF)は7月、2019年の世界経済の成長に関する見通しを+3.3%から+3.2%に下方修正した。現状、2020年に関する予測は+3.5%とより楽観的だが、6月までIMFの予想は+3.6%だった。XPインベストメントのチーフエコノミスト、ゼイナ・ラティフ氏は、世界経済がリセッションに至りかねないことを話題にするということ自体、既にネガティブな状況だと強調する。「様々な疑問を生じさせるため、市場にダメージを与える。背景にあるのは、不安だ。中国とアメリカの貿易戦争がどこに行きつくのかわからないことで、経済活動の減速がどこで止まるかを知ることはできない」と同氏は言う。マイアミ大学のパウロ・レーメ金融学教授は、貿易戦争がなければ世界経済の成長率は今後数年にわたって+3.2%程度を維持しただろう、と話す。「全てが一定かつプレイヤーの動きも固定されていれば、妥当な成長でバランスが取れていただろう」と同教授は断言した。レーメ教授は、景気の後押しを意図してアメリカが利下げすることに自身は反対すると強調する。「インフレはインフレ目標の範囲内に収まっており、利下げの必要性はない。回避できるもの(貿易戦争により深刻化する景気の減速)を金融調節手段で対応するのは、非常に懸念すべきことだ」という。「全てが一定かつプレイヤーの動きも固定されていれば、妥当な成長でバランスが取れていただろう」マイアミ大学のパウロ・レーメ金融学教授経済成長ドイツでは世界経済の減速は、2017年比で-0.2パーセントポイントとなる+3.6%の経済成長を記録した2018年から続く傾向だ。専門家はこの状況について、貿易戦争が影響したものではなく経済サイクルの自然な局面だと位置付けており、貿易戦争が実際に経済に与える影響はより深刻なものとしてこれから現れ始めるという。ドイツは、世界の2大経済国間の対立の影響を被った最初の国となった。同国経済は、工業製品の輸出、とりわけ対中輸出に大きく依存している。2019年6月にドイツの輸出は前年同月比-8.0%、工業生産も同-5.2%と、2009年以来の大きな後退を記録した。ドイツの主要産業である自動車産業は、排ガス規制の強化に対応するためパフォーマンスを低下させている。当面、欧州連合(EU)で最大の経済国であるドイツの経済の減速は、工業部門に限定されている。だが最も大きな雇用を生み出しているサービス業にまで経済の減速が波及すれば、経済全体に影響が及ぶ可能性がある。BTGパクチュアルのスカンジウッツィ上級ストラテジストは、「労働市場は順調であり、問題は、(工業部門から別の産業への)汚染の度合いだ」と指摘した。ブラジルではまたBTGパクチュアルのスカンジウッツィ上級ストラテジストはブラジルに関して、市場が依然として非常に閉鎖的なために世界経済の減速に伴う貿易の縮小に強く苦しめられることはないと話す。ただ中国経済に対するブレーキは、ブラジル経済にとって重要な品目である原油と鉄鉱石のようなコモディティーの相場を暴落させる。ゼツリオ・バルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)のエコノミスト、リビオ・リベイロ氏は、先行きが不透明で悲観的な状況が国内経済に悪影響を与えかねないと指摘する。XPインベストメントのラティフ氏はこうしたムードについて、ブラジル国内の外国直接投資(FDI)の縮小につながる可能性もあると付け加えた。「完璧な方向転換というものは存在しない。例え我々が国内対策に取り組んでいたとしても、常に、伝染される」という。(2019年8月15日付けエスタード紙)

【連邦下院が煩雑な手続きを低減する暫定令の法案骨子を可決】

労働規定の改正は縮小されたものの法案は月に1度の日曜日の休暇を想定。連邦下院が、繁雑な手続きの簡略化につながる経済活動の自由に関する暫定令(MP)の法案の骨子を可決した。修正項目は最終的にさらに変更が加えられる可能性があるものの、8月14日の下院本会議で表決が予定される。骨子の表決を終えたのは午後11時頃で、終日にわたって交渉が重ねられ、最終的に賛成345票、反対76票だった。同MPが可決され法制化されない場合、8月27日に失効する。労働規定に対する修正を理由に抵抗を受けたものの、連邦政府及び同MP担当者のジェロニモ・ゲルゲン下院議員(PP:進歩党=リオ・グランデ・ド・スル州選出)が、同法案を表決に持ち込むべく骨子をスリム化した。ロドリゴ・マイア下院議長(DEM:民主党=リオデジャネイロ州選出)の介入後、多くの条項が削除された。同下院議長は、ロジェリオ・マリーニョ年金及び労働特別局長と会議を持った外、統一労組(CUT)の首脳陣とも表決前に協議した。「重要なことは条文に残された。我々はMPを救済した」と担当者のゲルゲン下院議員はコメントした。可決した条文では、引き続き、労働者に対して日曜日と祝祭日の就労が認められたが、少なくとも4週に1度は労働者が日曜日に休暇を取ることを認めるよう雇用者に義務付けられた。このインターバルは、8月9日にエスタード紙が報じた以前の版では、7週毎に1度の日曜の休暇とされており、最終的にインターバルが短縮された。「いかなる権利についても何ら手を加えた部分はなく、この点を含めて正しく説明しなかったという対話上のミスが政府にあった。それを継続し、また社会に受け入れられるべくもなかった」とゲルゲン下院議員はコメント。MPは特別委員会を通過した際には53条からなっていたが、今回可決したMPでは20条まで削減された。削除された条項には、公定最低運賃に対する罰金の特赦の外、貨物輸送に関する統一法規の制定などが含まれる。ゲルゲン下院議員によると、連邦政府は来週(8月第4週)、2点の修正をひとつの法案にまとめて国会に再提出する予定という。」「我々は、違憲判断が下される可能性のある部分、及び、議論が平行線をたどる部分に関して削除した」という。また、最終的な条文からは、最低賃金の30倍(2万9,940レアル)以上の雇用契約では統合労働法(CLT)ではなく民法に法的管理を移すという提案が削除された。他方、銀行に対して土曜の営業を可能とするという担当者により修正された部分、さらに労使合意後に労働者は「例外的」部分として日常業務時間外の出退社時間のみ計算することとした部分などは維持された。外にも、eSocial(電子式統合伝票)を120日以内に別のシステムで置き換えること、電子式労働手帳の立ち上げることなども、維持された。許可表決に回された条文では、低リスク事業(低リスク事業の定義は、州あるいは連邦区、市役所により定義されていない場合は行政府が定めるものとする)に対する認可及び許可の廃止と、市場の保護あるいは価格の統制に対する法律に関する規定を定めることなど「規制の乱用」の禁止といった、連邦政府が提出した当初の条文が残された部分もある。教師やテレマーケティング従事者などが日曜に就労することを禁止するCLTの条項、労働手帳に規定を注記するCLTの条項が無効とされた。条項下院でMPを可決させるためにロドリゴ・マイア下院議長は、論争の的になっている条項を削除する介入を行った。MPは、8月27日までに上院で可決しなければ失効する。MPの新版維持された条文 日曜日及び祝祭日の就労の承認。少なくとも4週毎に1度(旧版では7週毎に1度)は日曜日を休日とする。言い換えると、4週間の就労期間に対する休日の1日は日曜日でなければならない。3週連続で日曜出勤することが認められる。 雇用者が代休を与えない場合を除き、日曜日の労働報酬は2倍となる。 通常業務時間と重ならない部分に限り、日常業務時間に対する時間外の計算を認める。個人あるいは集団の労働協定により行われる。 勤務時間管理を義務付ける法人の規模を従業員数10人から20人に引き上げる。 電子式を優先して労働手帳を発行する。 eSocialを廃止する。除外された条文 7週毎に1度の日曜の休暇を義務付け。この場合、労働者は7週に1回、日曜日の休暇取得が義務付けられていた。 最低賃金の30倍以上の賃金を受け取る労働者の法的管理に関して、統合労働法(CLT)ではなく民法とする。 アグリビジネスにおいて必要が認められる場合に労働者は土曜日と日曜日、祝祭日の就労が認められる。 バイク便ドライバーに対する附帯的な危険手当の終了。この提案では、バイク便ドライバーとバイクタクシー・ドライバー、業務にバイクを使用する労働者に対して30%の危険手当を定めることを提案していた。 最初の教育的指導となる労働基準監督官の2度目の立ち入り後に初めて労働基準監督官が適用する罰金の設定基準。抗告期日を迎えると一審で定められた労働基準監督官の判断が確定する。 キャピタル市場に対する中小企業のアクセスを容易にするため有価証券取引委員会(CVM)による規制の緩和を想定する。 同一の医薬品の定期購入に対するオンライン処方箋の発行を認可する。  

【キルチネリズムの勝利がアルゼンチン市場をパニックに- ブラジル市場にも混乱が波及】

8月11日に投開票が行われた予備選挙の結果について市場が「ほぼ逆転は不可能」と受け止めマクリ政権の経済政策に終止符が打たれることを懸念2019年のアルゼンチン大統領選に関連して8月11日に実施された予備選挙でマウリシオ・マクリ大統領が敗北したことを受け、同国の金融市場はパニックに陥り、株安とペソ安などの打撃を受けただけでなく、その影響はブラジルにも波及した。為替相場はペソが暴落し、同国中銀は政策金利を年利74%に引き上げた。この対策によりペソは持ち直したものの、それでも、最終的には先週末9日と比較して8.8%ペソ安の1ドル=52.1ペソで取引を終えた。ブエノスアイレス証券取引市場の株式指標、メルバル(Merval)は、37.9%の値下がり。こうした動きは、ブラジルにも波及し、サンパウロ平均株価指数(Ibovespa)は、同じく先週末の終値から2%値下がりした101,900ポイントで週明けの取引を終えた。為替相場も一時は4レアル台までレアル安が進行したが、最終的に1.09%のレアル安となる1ドル=3.098レアルで取引を終えた。ブラジルの主要貿易相手国であるアルゼンチンの状況だけでなく、米中貿易戦争によって国際市場に緊張ムードが生じていることも、ブラジルにとってはマイナス要因になっている。アルゼンチン市場で発生したパニックは、野党の推すアルベルト・フェルナンデス氏と同氏が策定した選挙候補人名簿で副大統領に指名されたクリスチーナ・キルチネル前大統領が予備選挙で勝利したことによって「マクリ政権の経済政策と国際通貨基金(IMF)との合意が存続の危機に追いやられた」と受け止められたことによると、金融サービス会社INTL FCStoneは指摘した。同様に、ドルに対するアクセスの制限、輸送業界やエネルギー業界に対する助成金など、ネストル・キルチネル大統領と続くクリスチーナ・キルチネル大統領時代に広く使われた介入主義的な措置に対する懸念もある。11日夜に最初の開票データが発表された後、フェルナンデス氏は自身の勝利に関して、マクリ大統領の「労働制度改革に対してノーが突き付けられたのだ」とコメントした。さらに同氏は、10月の大統領選で当選した場合、銀行業界に対して利払いによる「プレゼント」を与え続けることはないと付け加えた。副大統領にクリスチーナ前大統領を指名したフェルナンデス氏の選挙候補人名簿の得票率は47.6%で、マクリ大統領の得票率は32%だった。10月の選挙でもキルチネリズム派(キルチネル政権下で行われた大衆迎合主義推進派)が同様に45%以上の票を確保した場合、1次投票で当選を確定する。銀行業界はすでに、キルチネリズム派の勝利がほぼ確定したものと受け止めている。ゴールドマン・サックスのストラテジスト、チアゴ・セベロ氏はレポートの中で、今回の結果について「ほぼ逆転は不可能である」と断言した。同国の金融市場のエコノミストは、匿名を条件に、キルチネリズム派に対する投資家の信頼の欠如がペソの大幅安を引き起こしたという考えを示しつつも、今回のような開票後の金融市場の混乱が10月に実施される大統領選の趨勢を逆転させるほどの影響を与えることはほぼないと指摘した。この人物は、誕生するキルチネリズム派の新政権がIMFに対してデフォルトはせず、マクリ政権下で支援を受けた560億ドルの融資条件に関して再交渉を求めるだろうと考えている。フェルナンデス氏と親しいエコノミスト、マチアス・クルファス氏は、混乱する市場の沈静化に努めた。同氏は同国の報道機関に対して、フェルナンデス氏が為替へのアクセス管理を再開するような考えはなく、国債の償還に関しても遵守する意向だとコメントした。クルファス氏は、「数週間前から、IMFが派遣したスタッフとは話し合っており、対話の意思についても前向きだ。ただ、この方向性は(経済成長に復帰するという)目的を達成していないと我々は考えており、合意内容について変更したいというのが我々の立場だ」と付け加えた。(2019年8月13日付けエスタード紙) EUとのFTA合意に関してブラジルはアルゼンチンの批准に依存せずメルコスールとEUが仮合意に達した自由貿易協定(FTA)の規定は、関係国が批准した後にそれぞれの国の枠内で発効する。7月にメルコスール加盟国が署名した合意に基づきブラジルは、アルゼンチンの判断には依存せずに欧州連合(EU)とのFTAを施行できる。この合意は、アルゼンチンで開催された最終のメルコスール首脳会談でアルゼンチン政府の提案によりまとめられたもので、FTA協定の正式な合意と欧州議会の批准後に、自国の国会で文書が批准された国は新たな関税規定が有効になるというものである。この合意がまとまる前は、メルコスールが交渉した貿易協定について、ブラジルとアルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイの立法府の全てで批准を受けることで初めて発行するという条件だった。またこの措置は、例えば輸入税の撤廃を定めるといった、経済及び通商問題にのみ有効なものである。政治的合意及び環境分野の取り組みのような、協力関係に関する合意のような問題については、対象外となる。またこの合意が有効になるのは、EU加盟国及びメルコスール加盟国の国会で批准された後である。今回の措置は、アルゼンチンで2019年に実施される大統領選でアルベルト・フェルナンデス氏と同氏が副大統領候補に指名したとクリスチーナ・キルチネル前大統領による野党の選挙候補人名簿が勝利する可能性が次第に高まっていることから、ブラジルに取って「保険」のようなものになっている。予備選挙の選挙運動でフェルナンデス氏は、15年の期間を設けて大部分の製品の輸入税率を撤廃するというEUと締結した合意を見直す必要があると主張した。左派でブラジルの連邦警察により収監されたルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ元大統領を訪問までしたフェルナンド氏は、この合意がアルゼンチンに「脱工業化」をもたらすと言い、マクリ大統領が選挙対策という名目だけで締結したものだと主張した。しかしアルゼンチンの金融エコノミストの1人は、フェルナンデス氏の立場について、選挙演説としてのアピールだと受け止める。「ご破算にするには大きすぎる問題だ。キルチネリズム派が政権を担当していた期間を通じて、フェルナンデス氏は合意に一切反対しなかった。マクリ大統領がやること全てに反対するというのは、選挙演説のトーンとしては普通のことだ」という。ブラジルではジャイール・ボルソナロ大統領が率いるブラジル政府は、両国政府の間の「価値観の共有」を称え、マクリ政権を同盟国の政権と受け止めている。ブラジル政府の経済スタッフは、メルコスールが自由貿易圏の確立に向かうべきと考えており、アルゼンチンの現大統領に関しては、別の貿易協定の交渉を前進させメルコスールそのものの内部改革を推進する上でも、力添えを期待していた。ブラジル政府内では公に、マクリ大統領がさらに4年にわたって大統領を務めることを応援する声があった。だがフェルナンデス氏が予備選で勝利したことで、ブラジル政府は、様々な改革に向けた行動計画に対する脅威が生じたと受け止めている。元貿易局長のウェルベル・バラル氏は、「ペロン主義(ペロン元大統領らが主導した労働者を中心としたアルゼンチンの大衆迎合主義)の政権がメルコスール、そしてブラジルに対して友好的でないことは明らかだ。何よりも、ボルソナロ政権は一方的に輸入税率を引き下げ、新たな自由貿易協定を推進している」と話す。7月に可決したこの措置は、地域の政治的ムードからEUとの貿易協定を守るべくブラジルの外交が立ち上げた、EUとのFTA協定の導入に対するある種の「ファストトラック(迅速処理対応)」と位置付けられるものだった。アルゼンチンでは2019年12月に新政権が誕生するが、それまでにブラジルがEUとのFTA協定に関して国会審議を完了させることは困難である。ブラジルでは、国際協定の批准プロセスは伝統的に歩みが緩やかである。上下両院で可決する必要があり、専門用語で「国内制度化」するまでに行政府内で様々な手続きを踏む必要がある。(2019年8月13日付けエスタード紙)  

パラグアイ政府の「救済」に向けてボルソナロ大統領が譲歩

譲歩パラグアイのマリオ・アブド・ベニテス大統領に対する弾劾の脅威が高まる中、ブラジル政府は、同国が支払う電気料金を段階的に引き上げる合意を無効とすることを受け入れた。これにより、パラグアイ大統領を罷免しようとする運動は勢いを失う模様だ。ジャイール・ボルソナロ大統領が、イタイプー二カ国間水力発電所が発電した電力の余剰分に対してパラグアイへの負担を拡大させる二国間協定の無効措置を受け入れた。この判断は、弾劾の脅威にさらされているパラグアイのマリオ・アブド・ベニテス大統領が引き続きその職にとどまることが重要だというメッセージをブラジル政府が伝えたという意味を持つ。この決定後、パラグアイでは多くの上院議員及び下院議員が、弾劾支持を撤回した。ブラジル政府は8月1日、イタイプー二カ国間水力発電所の余剰電力に対するパラグアイの支払い額を段階的に増加させブラジル側が恩恵を受ける二国間合意を破棄するというパラグアイの決定を受け入れた。この合意は、ブラジルの現在の支出に関連した不均衡を縮小する内容だった。ジャイール・ボルソナロ大統領の判断は、5月24日に署名された協定が7月第4週になってその内容が明らかになってから弾劾の脅威にさらされているパラグアイのマリオ・アブド・ベニテス大統領に、引き続き大統領職に確実にとどまることを希望してのものだった。また8月第1週にブラジリアで実施を予定していた両国の外務省代表者会議を、前倒ししてアスンシオンで実施した。エスタード紙が入手したこの会議の文書によると、2019年から2022年にかけてブラジルの電力公社エレトロブラスとパラグアイの国家電力管理公社(ANDE)の間で締結可能な契約の工程表を策定することを目的に協議を再開するよう、契約当事国双方の高官がそれぞれの国の技術チームに指示した。これで二国間契約は、「イタイプー二カ国間水力発電所の電力の供給契約に関する新たな交渉に向けた技術的仕様の定義まで後退する」ことになる。それでも当該文書によると、この問題で合意が形成されていないことにより「二カ国間事業体の電力サービスにかかわる売上に被害を及ぼしかねないこと、さらにこの点から、短期間で問題解決を見いだすことの重要性を強調すること」では、両国の認識が一致した。イタイプー二カ国間水力発電所の余剰電力に関する協定は、ブラジルの消費者が負担する形でパラグアイが消費する電力を助成する形になっていると、ブラジル工業大手電力需要家協会(Abrace)のパウロ・ペドローザ会長は言う。「それはまるで、ブラジル国民の負担する電気料金で『外交政策のコストを負担している』かのようだ。ブラジル国民がパラグアイ向けに負担している助成は存在しており、そのことをしっかりと伝える必要がある」とペドローザ会長は言う。2018年にパラグアイの消費者が負担した電気料金は平均すると、1MWh当たり24ドルだったのに対して、ブラジルの消費者が負担したのは1MWh当たり38ドル(58%割高)だった。これは、発電能力に関連した基本料金をより高く、追加購入分あるいは余剰分と位置付けられた電力については発電所の運転コストが除外されて安価に設定されることによる。これにより2018年にブラジルの消費者には16億レアルの負担が発生、平均で1.2%の料金の上昇につながった。ペドローザ会長によるとこの状況は、まさに高額な電気料金ゆえにブラジルが投資機会を失うという点で、矛盾を発生させているという。「ブラジルの成長が足踏みしている間、工業は投資を控える。だがパラグアイでは、より安価な電気料金を利用しようとブラジルの投資家までもが同国に投資するなど、年間6%の成長を達成している」と同会長はコメントした。さらに同会長は、パラナ川沿いのシウダード・デル・エステから300kmも離れた首都ア    スンシオンに住宅街を造成したり市営市場を建設したりするケースでパラグアイ側の電力需要の増加というブラジルにとって無関係なエネルギー分野の財政負担で、ブラジルが相対的にパラグアイ以上の負担をしている事実があると指摘した。発電された電力の85%がブラジルに振り向けられているため、実際には、ブラジルの消費者が契約に伴う支払を負担している。同じく同国における奨学金からインターネットのブロードバンド接続の普及に至るまで、同発電所の収入が様々な政策に振り向けられているという主張もある。2009年にパラグアイ政府は、同国で消費せずにブラジルに販売する電力の料金を3倍に引き上げることに成功した。この合意はルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領(当時)が署名したもので、パラグアイのフェルナンド・ルーゴ前大統領(当時)にとっては選挙公約を果たした形となった。この費用は当初、国庫管理局が負担したが、2016年からは電気料金に転嫁されて消費者が負担している。撤回8月1日に署名された文書は、パラグアイによる「一方的かつ単独による」判断だということに言及しており、5月に両国が署名した二国間契約に関するパラグアイ側の要求が受け入れられなかったことを明示している。ただ、合意が無効にされて以降、パラグアイでは複数の下院議員と上院議員が、アブド・ベニテス大統領の政策に対する弾劾審議支持を撤回し始めた。パラグアイの報道機関によるとコロラド党(アブド・ベニテス大統領が所属する政党)の党首、ペドロ・アリアナ下院議員は、今回の文書が前回の二国間契約の修正を示しているとの考えを示した。このため同下院議員は、弾劾支持を取り下げる判断を下した。さらにオラシオ・カルテス元大統領も同様の行動に出た。複数のアナリストが、こうした離反により弾劾プロセスの推進は事実上、阻止されたと受け止める。民主化及び社会包含活動センターの設立者でイタイプー二カ国間水力発電所問題の研究責任者でもあるミゲル・カーター氏は、「アブド・ベニテス大統領は、政治的基盤を多く失ったとは言え、置かれている状況は改善した。彼は支払い問題に関して謝罪し、誤りを認める正しい行動をとった」とコメント。さらに、「今後も周囲の罷免と解任が続くだろうが、大統領は政治危機を脱するだろう。ただ、イタイプー二カ国間水力発電所をめぐる問題は同大統領の在任期間中、懸案であり続ける」と付け加えた。一連の政治スキャンダルの最大の被害者の1人は、国家反逆罪で告発されたウーゴ・ベラスケス副大統領だろう。彼は、余剰電力を市場価格でパラグアイに売却するのを認める条項を削除するのに決定的な役割を担ったはずだ(別記事「『二国間合意は政治的なものだった』とパラグアイの電力公社総裁が不満を吐露」を参照)。アブド・ベニテス大統領は8月1日の合意の後、大統領府でおよそ30分にわたって演説した。「私に誤りがあったのなら謝罪する。我々は誤っていて、今も誤りを続けているが、それが悪意から行われたことは決してない。パラグアイという国家の行く末に関して交渉はやぶさかではない」と同大統領は発言した。(2019年8月2日付けエスタード紙) 安価に電力を使用するパラグアイイタイプー二カ国間水力発電会社のデータによると、ブラジルと同発電会社を共同で運営するパラグアイは、2018年に同水力発電所が発電した電力を、平均1,717 ㎿消費した。この内、平均898㎿に対してパラグアイは1MWh当たり43.80ドルを支払った。残りの平均819㎿に対して同国が支払った料金は、1MWh当たりわずか6ドルだった。この価格差が発生する理由は、両国が締結した合意に基づき、同発電所の電力で必要とする年間の総量をパラグアイが規定するためである。仮に同国がその規定以上の電力を必要とする場合、パラグアイは、年間を通じて余剰電力の供給を受けられる。この余剰の電力の料金から、同水力発電所の建設費に関連した融資の金融コストが除外される。この事情により、余剰電力は極めて安価になる。パラグアイは提出した年間の消費量が実際よりも過少であることを認識していたが契約外で低廉な余剰電力を利用するためにごまかしたと、ブラジルの技術関係者は指摘する。その上、水力発電所建設の実現に向けてブラジルは電力の供給契約量を保証する目的で、パラグアイが必要としない電力分について、コスト高に基づいた高額の料金設定も受け入れた。この結果、ブラジル工業大手電力需要家協会(Abrace)によると、2018年には電気料金にして1.2%の値上がりに相当する16億レアルをブラジルの消費者が負担した。5月に署名された二国間契約では、2022年までパラグアイが購入する電力が規定された。その計算に基づくとパラグアイは、現在購入している電力に対して少なくとも約2億ドルの負担増となる。(2019年8月2日付けエスタード紙) 2012年のルゴ大統領弾劾によるパラグアイへの制裁を持ち出しブラジルが警告ベニテス大統領に対して高まった弾劾の脅威を受けてブラジル外務省が、民主的秩序を破綻させる行為に警告した。ブラジルの外務省が、パラグアイで発生しかねない「民主的秩序の破綻」に対して警告するとともに、同国に対して、2012年にフェルナンド・ルゴ大統領の弾劾後に「メルコスールの民主主義条項(ウシュアイア附属議定書)で定めた規定」を同国が履行するとしたことに言及した。当時、パラグアイはメルコスール加盟国としての資格停止処分を受けた。外務省は声明の中で、パラグアイで仮に新たな弾劾が発生した場合、メルコスールの加盟国としての資格が停止される可能性があると示唆した。2012年に同国では、ブラジルとの国境付近での土地立ち退き執行中に17人が死亡するという事故が発生した後、わずか36時間の弾劾裁判で左派政権のフェルナンド・ルゴ大統領が罷免された。当時、この弾劾裁判で同大統領は外にも縁故主義と、軍隊の規律引き締めと暴力行為の阻止に手ぬるく対応したとして告発された。この罷免を受けて、ジルマ・ロウセフ大統領(当時)が中心となってメルコスール諸国は、翌年に新たな大統領選が実施されるまで、メルコスール及び南米諸国連合(Unasul)の加盟国としての資格を停止する処分を下した。ただしジルマ大統領は反対派から、パラグアイを処罰する動機となり得るようなイデオロギーに凝り固まっていると非難されている。ただ、弾劾の手続きに関してパラグアイの民主主義に害をなさなかったとどのように反証できるのかについて加盟国が問題視したため、同国への資格停止処分が下された。この資格停止は、メルコスールの発足後21年の歴史で初の処分となった。弾劾を受けて誕生したパラグアイ新政権は、2013年4月に大統領選挙が実施されるまで、会合への参加も意見の表明も許されなかった。外務省は8月1日に発表した声明の中で、大統領同士の「極めて良好な」関係と、現在の二国間関係で確認されている「完全な価値観の共有」について強調した。同省によると、このような国際関係は前例がないものであり、「この地域の民主化の促進及び居住者の権利の保護」に対する両国首脳の「戦略的ビジョンの一致」の賜物である。同省はさらに、「推進中の取り組みが全うされ、しかも新たな取り組みへとつながっていくよう、マリオ・アブド大統領との協力が続くことをブラジルは期待している」と表明した。外務省によるとブラジル政府は、パラグアイ大統領が引き続き同国を統治するための「あらゆる条件」を備えていることを「確信している」という。(2019年8月2日付けエスタード紙) 「二国間合意は政治的なものだった」とパラグアイの電力公社総裁が不満を吐露2人の理事の辞任を受けて繰り上げ就任したファビアン・カセレス総裁が、二国間合意について4年間で3億5,000万ドルの負担増をパラグアイに強いると発言。国家電力管理公社(ANDE)のファビアン・カセレス総裁代行が、イタイプー二カ国間水力発電所の電力に関する二国間合意にマリオ・アブド・ベニテス大統領が応じたのは「技術的判断以上に政治的判断」をしたためで、同電力公社は5月にブラジル政府との間で締結された交渉には参加していないと発言した。この二国間契約は8月1日、その規約がパラグアイ大統領を弾劾仕様とする政治危機に発展した後、無効になった。エスタード紙とのインタビューでカセレス総裁は、「合意にANDEは関与していなかった。ブラジルの外交関係者らはエレトロブラスの技術者らの支援を受けていたが、これに対してパラグアイの代表者らは専門チームがいなかった。まことに、最終判断は技術的なもの以上に政治的なものだった。私は、この協議に参加していた人たちは、署名しているものが与える影響を理解していなかったと考えている。この契約は負担が非常に大きく、パラグアイが購入する電力に対して、4年で3億5,000万ドルの負担増となる水増し価格だった」とコメントした。Andeの技術理事の同氏は、先週、合意内容に対する見解の不一致を理由に辞任を表明した当時のペドロ・フェレイラ総裁との連帯責任を負う形で辞任を申し出た。ところがフェレイラ総裁の後任として総裁に就任したアルシデス・ヒメネス総裁も同様に数日後の7月28日に辞任したためにカセレス氏の辞任も認められず、同氏がANDE総裁代行に就任することになった。電話によるインタビューで同氏は、この二国間契約が「パラグアイにとって何らの恩恵もない」とコメント、ブラジル資本の財界関係者がロビー活動によりパラグアイ政府に対しANDEが擁護している条項、すなわち、パラグアイの電力公社がイタイプー二カ国間水力発電所の余剰電力をブラジル市場に販売可能とする条項の撤廃を働きかけた可能性についても否定しなかった。「それ(ロビー活動)は、可能性としてありうる。ANDEの(元)総裁(ペドロ・フェレイラ氏)は、それが起あった可能性はあるという考えを示した。私は確認していないし、これについて言及もできない。報道機関を通じて聞いたに過ぎない」と同総裁はコメント。パラグアイの新聞、ABCコロール紙によると、当該の条項が協定から削除できるように、ホセ・ロドリゲス・ゴンザレス弁護士がブラジルの財界関係者の会合に関与した。ウーゴ・ベラスケス副大統領に関係する同弁護士は、ブラジル企業のレロス・コメルシアリザドーラ・デ・エネルジアが恩恵を受けるべく活動した可能性がある。この会合は5月10日、シウダード・デル・レステで行われたとされており、マジョール・オリンピオ上院議員(PSL:社会自由党=サンパウロ州選出)の代理人として実業家のアレシャンドレ・ジョルダーノ氏が参加したと見られている。パラグアイのメディアが報じた録音でロドリゲス弁護士は、ジョルダーノ氏はこの会議で上院議員として、ボルソナロ政権の支援を受けていると自己紹介したとコメントしていた。エスタード紙に対してジョルダーノ氏は、パラグアイで行われたANDEとの会合にレロスの代表として出席したことは認めたが、これは、パラグアイの電力公社による公開事業入札に対して関心を表明するものだったと話す。そして、この会議でボルソナロ政権に影響力を持つことをほのめかしたことは否定した。4年前からレロスと取引関係にある整地会社と鉄工会社を経営する同氏は、「ボルソナロ大統領との家族付き合いは全くない。私が出席したのは経営する企業の関心からであり、イタイプー二カ国間水力発電所に関する合意とは無関係だ」と話す。レロスの経営パートナーで実業家のクレベル・フェレイラ氏も同様に、パラグアイ国内で行われた会合における同社の関心が、電力の調達だったと断言する。「我々は、ANDEのオープンな呼びかけに対して代表者の1人を送っただけのことだ。15分間の会議で、その他の国の財界関係者も参加しており、合意とは何ら関係のないものだった。様々な要因が偶然にも一致しただけだ」と同氏は言う。カセレス総裁は、ブラジル市場にANDEが参入する可能性があることで財界関係者に不快感を与えはしたが、レロスとの協議では合意内容に関する議論はなかったと話す。(2019年8月2日付けエスタード紙) 

【サンパウロ州内の工場閉鎖件数が過去10年で最大を記録 2019年1―5月に2,325社が姿を消す】

国内最大の工業地帯であるサンパウロ州で、2019年1―5月に2,325社が姿を消した。国内最大の工業地帯、サンパウロ州で、2019年の年明けから5か月間で製造業及び鉱工業に関連する2,325社の法人登記が抹消された。商業登記所によると、この数は過去10年で最大であるだけでなく、前年の水準を12%上回った。ブラジルが2014年から2016年かけて記録した景気後退局面以降、経済回復の足取りが緩やかなものにとどまり製造業の縮小と失業という痕跡を残していることを、このデータは示している。2014年から2018年にかけてブラジルの国内総生産(GDP)が-4.2%というマイナス成長を記録、同じ期間に国内の製造業は14.4%縮小した。MBアソシアードスのエコノミスト、ジョゼー・ロベルト・メンドンサ・デ・バーロ氏は、「生産が大きく落ち込んでおり、明らかに、工場の閉鎖と解雇という形で企業に影響を与えたことを示している」と指摘した。これと並行する形で1月から5月にかけて、サンパウロ州内では製造業関連で4,491社が開業している。伝統的に法人の新規登記数が登記抹消数を上回るものであるが、常にそれがポジティブな指標になるというわけではない。その事情についてメンドンサ・デ・バーロス氏は、工業GDPがマイナス成長ということは法人の新規登記件数とは関係なく生産が縮小していることを示しているために、恐らく、大企業が廃業してより小さな規模で複数の企業が開業したのだろう、と話す。ジャウー市履物工業組合のカエターノ・ビアンコ・ネット委員長は、300人から400人を雇用して大企業と位置付けられる企業が多数、ここ数年で廃業したと話す。ビアンコ・ネット委員長は、「大企業が廃業すると多くの場合、別に新たな中小規模の企業が3社から4社、誕生する。そのいくつかは元従業員が起業したもので、雇用の規模は小さい」と言う。 ジャウー市の履物工業地帯は婦人靴の生産で国内を代表する地域として知られ、2000年代半ばには1万2,000人を雇用していていた。だがビアンコ・ネット委員長によると、現在、業界が抱える雇用は5,000人だ。最近になって同委員長は、フランカ市とビリグイ市の近隣の履物業界の経営者らとともに、サンパウロ州のジョアン・ドリア知事(PSDB:ブラジル民主社会党)を訪ねて業界の回復に向けた計画書を手渡したところだ。 工場を閉鎖した企業には、内資系企業だけでなく多国籍企業も含まれる。一部の企業はコスト削減を目的として従業員を別の事業所に配置換えしたが、別の企業は操業そのものを停止し、失業者の一群を後に残した。この失業者の一部は、給与や補償金を受け取ることもできなかった。 サンパウロ市西部の自動車部品メーカーのインデブラスは、4月に生産活動を停止し、150人を解雇した。給与が遅配、退職金も用意されず、解雇された労働者らは48日にわたって工場前でピケッティングを行った。最終的に労働裁判所において和解し、会社側が18か月に分割してこれらを支払うことを提案した。 サンパウロ市金属労組のエルロン・ソウザ理事は、「他の企業が和解後に行ったように、同社が最初の数回の支払いを行った後に支払いを停止するのを懸念している」という。 厳しい局面国内各地の工業部門も、サンパウロ州工業が置かれているのと同じ状況に立たされている。小企業が廃業しているだけでなく、大規模なグループ企業も、生産性が低い事業所を閉鎖してより近代的な設備を持つ事業所への統合を進めており、そのほとんどのケースで、労働者が新たな事業所に配置換えされることはない。タイヤ・メーカーのピレリも5月、リオ・グランデ・ド・スル州グラバタイー工場を閉鎖し、900人を解雇すると発表した。この工場が手掛けていたオートバイ用タイヤの生産は今後、サンパウロ州カンピーナス市の工場に統合され、こちらの工場では今後3年で300人を新たに雇用する見込みだ。同社は今回の判断について、「国内の厳しい局面を視野に入れて」求められる再編措置だったと強調する。2019年に工場を閉鎖した企業のリストには外にも、ペプシコ/クエーカー(リオ・グランデ・ド・スル州)、ペプシコ/マーベル(南マット・グロッソ州)、キンパリー・クラーク(リオ・グランデ・ド・スル州)、ネスレ(リオ・グランデ・ド・スル州)、マルウィー(サンタ・カタリーナ州)、ブリタニア(バイーア州)、パケタ(バイーア州)が名を連ねる。サンパウロ州ABCパウリスタ地域では、自動車部品メーカーのズットラが1月、5月に工場を閉鎖して250人を解雇すると発表した。その後にストが発生し、リオ・グランデ・ダ・セーラ市役所、ABC金属労組を交えた労使交渉の後、同社は、工場閉鎖計画の先延ばしを決定した。(2019年7月21日付けエスタード紙) 

論評【責任の分担】

ゼイナ・ラティフ*今回の年金制度改革には多くのメリットが存在する。主なものには、年金の最低受給年齢を(ほぼ)全ての(州公務員と市職員を除いた)人に対して定めることが挙げられる。現状では、社会保障制度で負担する保険料の最低納付年限を証明できない最も哀れな人たちだけが、最低受給年齢を満たしてようやく年金を受給している。ただ、男女の最低受給年齢を揃えるといった論争の的になるような問題に踏み込むことを連邦政府が避けたため、「責任の分担」について道を開いてそれを支える「ものだと言える」とは言えないものになった。民間部門に対する一般年金制度(RGPS)と自身の連邦政府公務員の独自社会保障制度(RPPS)の差を縮小しようとする努力はあった。民間部門では全体の最低受給年齢を引き上げた(女性が62歳、男性が65歳)が教師(それぞれ57歳と60歳)と警察官(55歳)には低い水準を認め、2003年以前に採用された公務員 ― これは公務員全体の45%という大きな比重を占める人たちに相当するのだが ― には移行期間の規定をより緩やかなもの(満額の受給が可能な年齢を女性で55歳、男性で60歳)にとどめた。公共部門と民間部門の間で生じている規定の違いは、縮小されはしたが満足のいくものではなかった。そして、完全な撤廃には訴訟になることも認知された。政府案で提示された改正をすべて考慮すると、独立監査協会(IFI)は、連邦のRPPSにおける歳出削減効果は45%だと算出した。他方、民間部門のRGPSでは、効果はより小さく15%だった。だが、ジャイール・ボルソナロ大統領が不平等に対する戦いで敗北したと批判する前に、よく考えるべきだ。より特権的な人たちに対する調整に重きを置きつつ、より貧しい人をさらに守るのだと認識することが重要だろう。選挙キャンペーンにおけるボルソナロ大統領の公約には、所得分配の改善という主張がなかったことを忘れてはならない。XPインベスチメントスの調査によると、彼が重視しているのはより恩恵を受けている所得分位であり、この所得分位では政府の支持率がより高く、しかも年明け以降に上昇を続けている。下院も同じく、格差を縮小しようと取り組んだ。年金給付額を最低賃金と連動させるという条件は維持され、営農者の年金受給条件と継続給付恩典(BPC:生活保護給付)の受給者に対する条件の改正部分は、いずれも必要な改正だというのに削除された。つまるところ、世銀のレポートに基づけば営農者向けの年金受給者の76%、BPCの受給者の70%が、所得ピラミッドのより富裕な60%を占めており、彼らは既に受給者に加算されているのだ。これらのプログラムはその構想において、判例の観点からも不規則性という観点からも一貫性を欠いているという問題を抱えており、それこそ、暫定令第871号(MP 871)が照準を合わせている部分である。失望させられたのは外でもない、社会的な感受性がより大きいと期待される、まさに左派の態度によってである。彼らが改革に反対票を入れたからではない。それは民主主義のゲームの一部だ。そうではなく、彼らが州と市を含めることを支持しなかったからであり、より大きな恩恵を受けているグループに対する規定の緩和を彼らが提案したからなのだ。いくつか例を挙げると、社会主義及び自由党(PSOL)は特別給付金規定に不可欠な改正を抑え込むために際立った働きをした。世銀の研究によると、特別給付金の受給者の67%が、より富裕な60%の人たちに含まれる。ポデモス(Podemos)党と民主労働者党(PDT)は、公務員に対する規定でより穏健な規定を提案したし、労働者党(PT)も国際的に失策の烙印が押されているにもかかわらず人口1人当たりの所得を引き上げる遺族年金の算出規定の変更(故人の収入の全額を置き換えて給付)を提案した。これらは全て、国庫に対して大きなコストを発生させる政策だ。だが喜ばしいことに、いずれも案も否決された。州公務員と市職員をも考慮したより厳しい内容の改革は、年金給付額の増加に予算が圧迫される公共サービスに依存している貧しい人たちにとって、好ましいものだっただろう。外にも、年金保険料の納付期間がわずかしか確保できていないより哀れな人たちへの視点も欠いていた(全額給付を受けるための期間が40年に引き上げられた)。さらに、今後の下院における2次表決、そして上院での表決と、年金制度改革にはまだ気を許せない課題が残されている。これ以上の驚きがないことを願うばかりだ。(2019年7月18日付けエスタード紙)*毎週木曜日に寄稿するXPインベストメントのチーフエコノミスト。  

【メルコスールが国際ローミング料金の徴収終了を可決】

批准後30日で施行。ボルソナロ大統領が持ち回りのメルコスール議長に就任メルコスール加盟国がアルゼンチンのサンタフェで第54回首脳会議を開催し、各国における音声及びデータ通信で国際ローミング料金の徴収を終了する提案を採択した。外務省が明らかにした。ローミングは、ユーザーが自身のキャリアの営業エリア外に移動した場合に課徴される料金。声明によるとこの協定は、ブラジルとアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイの、メルコスールに加盟する署名国の間で行われた通信に関して、ローミング料金の課徴を廃止する。このローミング料金の課徴終了は、署名国の国会批准から30日後に発効する。EU問題今回の首脳会議で持ち回りのメルコスール議長国に就任したジャイール・ボルソナロ大統領は、メルコスールと欧州連合(EU)がこのほど締結した協定は、イデオロギー上の偏向を受けていない南米グループの新しい方向性の「確かな結果」を具現していると発言した。同大統領は、「この機会を利用して、このブロックの近代化と開放に向けた政府のコミットメントを確かなものにすることを希望する。国会議員時代に強く批判してきたイデオロギー的な偏向は排除した。我々はこの障壁に打ち勝った」とコメントした。さらに同大統領は、「よりスリムでダイナミックな」メルコスールに向けて取り組みたいと明らかにした。また対外的にはブラジルが、メルコスール議長国となっている期間、他の国々との協定締結に向けて取り組んでいくことを希望するという考えも示した。ブラジル大統領のこうした姿勢は、アルゼンチンのマウリシオ・マクリ大統領からも支持を受けた。マクリ大統領は、「EUとの合意はゴールではなく、スタート地点だ」とコメントした。他方、対内的にはメルコスール加盟国間で「関税の統合の実施」に取り組むとボルソナロ大統領は発言。「メルコスールの統一関税に自動車と砂糖を加えるべく取り組む」ことを明らかにした。(2019年7月18日付けエスタード紙)  

【「ムードは広範な税制改革に好ましい状態」】

下院が支持するPECの起草者がエスタード紙に対してICMSに関する議論を先送りする気はないとコメント。下院が支持する税制改革案、憲法改正案第45号(PEC 45)の起草者で民度ある財政センター(CCiF)のエコノミスト、ベルナルド・アピー氏は、連邦政府と州政府、市役所がそれぞれ独自に導入している消費への各種租税を廃止して付加価値税(IVA)を導入するには、現在の状況はこれまでにない好ましいムードを醸成していると確信する。ただ同氏は、税制改革を連邦税としてIVAを導入することだけで済ませるというボルソナロ政権の経済スタッフの見解には反対している。エスタード紙とのインタビューでアピー氏は、各州の財務局長が収税の商品サービス流通税(ICMS)を除外した税制改革は受け入れないという立場を表明していることに言及した。ブラジル200研究所が提案した連邦単一税(IUF)の導入は、「大惨事」を引き起こすと同氏は受け止める。以下は、同氏に対するインタビューの要点である。エスタード紙(E) 各州政府はPEC 45を支持するでしょうか?ベルナルド・アピー氏(BA) 州財務局長らの書簡では、州政府は改革においてPEC 45を支持するとコメントしている。彼らは、地域開発用財源の確保と損失の補填を求めている。彼らは、単一税(IBS)に対して、単一の税率ではなく3種類の税率を設定し、マナウス・フリーゾーン(ZFM)に対して別待遇とすることを求めている。外にも、連邦政府が管税委員会に参加しないこと、より広範囲かつ使途を定めて近代化された単一のIVAでICMSを置き換えることを希望している。E PECと州政府の提案にはどのような相違があるのでしょうか?BA 奇妙なことに、州政府は3種類の税率を扱うこととその平等性を支持している。PEC第45号は、州政府に対して税率設定の裁量を認めている。彼らの主張はこうだ。連邦政府の立場が連邦IVAを導入する方向で協議が進むのであれば、州IVAと市の売上・小売税が導入される場合に限り受け入れる。この2つの選択肢のいずれでも、ICMSをIVAに置き換えることを希望する姿勢を財務局長らは明確にしている。E 各州政府の立場をPEC第45号にまとめることは可能でしょうか?BA 私は可能だと思う。単一の、納税者にとってより分かりやすい税金を我々が好むことは明らかだ。むしろ、各州政府の立場はいずれも、根本的にPEC第45号と矛盾していない。E なぜ、連邦政府が希望するような段階を踏んで実施することが悪いというのでしょうか?BA 納税者にとって何よりシンプルな方法は単一税だ。我々はPEC第45号のモデルが専門的により良いものだと考えている。もし政治的に修正する必要が生じても、(骨子を)骨抜きにしない限りブラジルは恩恵を受けることになる。E より広範な改革を求める各州政府の立場は強固なものだとお考でしょうか?BA 州政府は、ICMSが州の財政基盤として縮小傾向にあることを理解している。これは、経済活動が次第に商品ではなくサービスに移行している傾向があることで生じている。現在、物品のリースにはICMSあるいはサービス税(ISS)が発生しない。これは、次第に拡大しているグレーゾーンであり、州政府にとって非常にデリケートな状況を生み出している。E サービス業界はどのようになるでしょうか?BA サービス業界の企業に実害を与えるものにはならないだろう。実際には、むしろ利益を得る。その理由は現在、ISSを負担しており税額還付が発生しないからだ。IBSでは、税負担は拡大するが還付により全額を受け取ることになる。要約すると、サービス・プロバイダによって支払われた税金と全額還付として回収された金額とを考慮すると、税負担は減少するだろう。ここが消費に対して課税されるIBSを理解する上で重要な点だ。消費チェーンの中間にいる企業は単に税金を集めるだけなのだ。E では、最終消費者に提供されるサービスはどうでしょうか?BA 例えば整備工場や理髪店のような最終消費者に対するサービスで重要な部分は、単純化された制度にまとめられる。これは継続される。だがサービスの一部は、通信会社、ネットフリックスのような大規模な企業によって提供されている。なぜ、ネットフリックスはシューズを販売するよりも安い税金を支払うというのだろうか? もう1つの重要なポイントは、富裕層の家庭ほど貧しい家庭よりも多くのサービスを利用する一方、貧しい人たちはより多くの商品を消費しているということだ。E 連邦政府が進める2段階の改革は国会の可決を妨げないでしょうか?BA もし政治環境が広範な改革に好都合なものなら、私は、行政府がそれに反対する理由は見当たらないと見ている。政治的に広範な改革を推進するほうがより困難を伴う議論になるというのは事実だ。だが国会は、広範な改革を審議することをいとわないことを示している。州政府も同様だ。連邦政府の立場については私の理解するところではない。州政府は、ICMSに関する協議を先送りすることを望んでいない。E あなたの免税措置に関する提案はどのようなものでしょうか?BA この部分には恐らく、様々な意見が存在する。ただ、これは私の意見であって議会の意見ではない。減税に対する最善の方法は、公的社会支援諸機関(Sシステム)や教育支援基金、零細・小企業支援サービス機関(Sebrae)、国立殖民・農地改革院(Incra)といった社会支援組織に関連付けられていない分担金を削除することだ。E 経済省が必要性を訴えている支出分担金(CP)と金融取引暫定分担金(CPMF)についてどのようにお考えでしょうか?BA...

【上院議員が地方自治体向けのPECを準備】

より深く老齢年金を理解するために年金制度改革に州及び市の規定を包含させることに対する抵抗を受け、上院はこれらの制度と同等の地方自治体向けの法案を提出する。年金制度改革で州及び市の老齢年金規定を再び盛り込むことに反対する下院議員らの抵抗が下院本会議で強まったことを受けて、ダヴィ・アルコルンブレ上院議長(DEM:民主党=アマパー州選出)と上院の各党リーダーらは、州及び市の地方公務員に対する定年及び老齢年金の同党の既定を別の法案の形で国会に提出して定める方向で協議を始めた。別法案で対応する場合、年金制度改革は上院議員によって断片化の憂き目にあう形だ。上院議員らは、下院で可決した民間イニシアティブ及び連邦公務員に対する被雇用者を対象にした新たな年金規定に関しては批准する。だが、州及び市の地方公務員を対象にした年金制度改革に関しては、別の憲法改正案(PEC)として分離し表決する。この場合、PECは下院に送致され、下院の審議を受ける。上院で条文に修正が加えられた場合は全て下院に差し戻されるという事情から、この方向性が考慮されている。実際に断片化されると、年金規定は上下両院で共通に合意されている条項が発効する。提案は7月10日、下院本会議で州及び市を今回の年金制度改革法案に再び盛り込もうとした修正案をノーヴォ党が削除した後、上院で合意がまとまろうとしていた状況の下でより活発に議論される問題になった。上院憲法・法務委員会(CCJ)で年金制度改革法案の担当者になると見られるブラジル民主社会党(PSDB)のタッソ・ジェレイサッチ上院議員(セアラー州選出)は7月10日、原則論として、州及び市を対象として再び年金制度改革法案に盛り込むことに上院内で支持が得られている点を考慮すれば、同党のPECとして審議することが解決策のひとつになるだろうとコメントした。同上院議員によると、アルコルンブレ上院議長はこの考えに賛同する模様だ。「話を聞いた上院議員の過半数が州及び市を盛り込むことに賛成している」と言う。またこの提案は、大統領が所属する社会自由党(PSL)の内部だけでなく、当選回数を重ねたベテラン上院議員の間でも前向きに受け止められている。上院の党リーダーで州及び市を再び盛り込むことに賛成しているマジョール・オリンピオ上院議員(PSL)は7月10日、同党の地方自治体向けPECを審議する案についてひとつの「方策」とコメントだけでなく、各党のリーダーが党所属議員と実現可能性について話し合っている。上院における進歩党(PP)のリーダー、エスペリドン・アミン上院議員はこの案に関して、「極めてシンプル」と評した。「上下両院で見解が一致しているものはここ(上院)で可決、公布され、追加された条文或いは見解が一致しなかったものに関しては下院がさらに審議を重ねることになる」と言う。アミン上院議員によるとこの代替策として、2つの選択肢が俎上に載せられている。すなわち、州及び市を強制的に改革に盛り込むか、さもなければ、補完法を通じて州政府及び市役所が新しい年金制度のへの参加を可能にするかである。この後者のオプションを選択すれば下院ではより大きな支持を取り付けられると上院CCJ議長のシモーネ・テベット上院議員は話す。なお下院での抵抗ぶりについてタッソ上院議員は、仮にPECが送致されたとしても下院議員らは既に「別のムード」に包まれており、法案に対するハードルも下がっていると受け止めている。(2019年7月11日付けエスタード紙)以下グラフのPDF版 

【メルコスールとEUがFTAで合意 - ただし発効には国会の承認が必要】

20年に及んだ交渉の末、メルコスールと欧州連合(EU)が6月28日、両経済ブロックで自由貿易圏を構築する協定に合意した。本紙サイト「Estadao.com.br」が他に先駆けて報じた。今回の自由貿易協定(FTA)では、10年以内にブラジルがEUに輸出する品目の90%に対して輸入税を免除することを想定している。現在、EUが輸入税の非課税対象としているのは、ブラジルがEUに輸出する品目全体の24%である。これに伴ってブラジルとメルコスール加盟国(アルゼンチンとパラグアイ、ウルグアイ)は、その他の競合国と比較して優位性を確保してEUへの輸出を拡大をすると期待している。連邦政府の説明によると、このFTAによりブラジルの対EU輸出が、今後15年で1,000億ドル拡大する可能性がある。ブラジルは2018年、EU加盟28か国に対して421億ドルを輸出した。ブラジルの輸出相手国・地域として見るとEUは、中国に次ぐ第2位の市場である。さらに経済省は、今回の合意について、GDPへの経済効果として今後15年で1,250億ドル、この期間にブラジルに投下される投資は1,130億ドルに達する可能性があるとしている。コラム系ブログのジレット・ダ・フォンテ(Direto da Fonte:1次情報の意味)でソニア・レイシー氏は、5月16日の時点で交渉がまとまる準備が整っていたとコメントしていた。今回の合意に伴い、オレンジジュースと各種フルーツ、インスタントコーヒー、魚介類、植物油といったブラジル産農産物のEU向け輸出で、関税が撤廃される。反対にメルコスールは、自動車と機械、化学品、医薬品、その他のEUから輸入する製品に対して関税を撤廃する。ただし協定のこうした効果が実感できるまでには、協定の批准に対する長期の手続きを踏む必要がある。FTAが立ち上げられるのは、欧州議会と、南米4か国の国会がこれを承認した後である。しかも、EUを構成する28か国の国会がそれぞれ承認してからの発効となる。今回の合意はブラジルの輸出に弾みをつける可能性があるものの、同時に、ブラジル国内市場に対する欧州製品の参入を容易にもする。ただこの場合、完全に非関税となるまでの期間はより緩やかな足取りとなる。一部の業界に関しては、完全に市場を開放する、すなわち完全を撤廃するのが発効から15年後になる。そうした業種には、例えば自動車業界がある。ワイン業界も同様に、市場の開放に向けた足取りは緩やかで、関税を撤廃するまでに12年をかける。だがブラジル政府によるとこうした業界、品目は例外的なものだ。大部分の品目が、この年数に至る前に税率がゼロに引き下げられる。合意の最終版はまだ詳細な文言に関してレビューが行われており、数日内の発表が予定されている。交渉がまとまったことに、両経済ブロックの代表者らが喜びを表明した。ジャイール・ボルソナロ大統領は6月29日朝、G20に出席するために滞在していた日本の大阪市内で、「私自身は国家統制主義者だということを告白するが、それでも、私たちの誰もが前に向かって歩みだした」と記者団を前に認めた。メルコスールとEUを合わせると人口は約7億8,000万人で、経済規模は世界のGDPのおよそ25%を占める。FTAが発効すれば、世界最大の自由貿易圏が誕生することになる。交渉 ブリュッセルで行われエルネスト・アラウージョ外務大臣が出席した協議の最終ラウンドで、EU側はいくつかの部分で譲歩の姿勢を新たに示した。同外務大臣によると農産物のセーフガードに関する提案もその一例であり、EUの提案には含まれていなかったもので、最終稿から削除された。またテレーザ・クリスチーナ農務大臣は、EU側が牛肉とエタノール、砂糖といった分野で「数量及び税率」で譲歩したことを強調した。これらの品目に関してEUは、輸入枠の拡大に強く抵抗していた。「農業分野で我々は、フルーツから食肉に至るまで、より多くの品目を確保するだろう。ブラジルの生産者は、EUというこの巨大な市場にアクセスする様々な選択肢が盛り込まれたメニューを手にすることになる」と同農務大臣はブリュッセルの共同記者会見でコメントした。同じく、EU側も今回の合意を祝意を示した。EUは声明で、域内の企業がメルコスール域内国の関税撤廃だけで40億ユーロ以上の支出削減効果を確保するとコメント。EUは、交渉終結に向けた交渉の最終ラウンドで、これまで以上に意欲的な姿勢を示した。EUから離脱するというイギリスの決定は、自由貿易と多国間交渉の推進の可否に関して域内諸国の議論を活発化させた。その一方で、アメリカのドナルド・トランプ大統領に端を発した貿易戦争でEUは、これを圧力と受け止めカナダや日本、メキシコといったアメリカ以外の貿易パートナーと関係強化を加速させ、ここへきてブラジルとアルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイとのブロック形成に至ったのである。メルコスール加盟国もまた、今回のFTA交渉をまとめるにあたって、同様に、チャンスの扉が開かれると受け止めている。今回の署名は、2019年に同国の経済史上で最悪のもののひとつに数えられる経済危機に見舞われているアルゼンチンのマウリシオ・マクリ大統領だけでなく、ボルソナロ大統領にとっても成果のひとつとして利用されるだろう。「これは史上最も重要な貿易協定のひとつとなり、我が国の経済に巨大な恩恵をもたらすだろう」(ジャイール・ボルソナロ共和国大統領)(2019年6月29日付けエスタード紙)【コラム】 メルコスール=EU自由貿易交渉 最後に妥協したのはブラジルメルコスールと欧州連合(EU)の合意に向けて最後のガイドラインを大阪滞在中のジャイール・ボルソナロ大統領が示す連邦政府は、メルコスールと欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)に関する交渉の最後の数時間に緊張が高まると受け止めていた。ただ、タイムゾーンが全くの正反対だった。G20の首脳会議でジャイール・ボルソナロ大統領が滞在していた日本のタイムゾーンは、FTAの交渉チームが滞在していたベルギーのブリュッセルのタイムゾーンよりも7時間、早かった。交渉妥結に向けた最後の、そしてよりデリケートな争点で合意に至る頃、大統領は就寝していた時間帯だ。ブリュッセルと連絡を取るため、大阪からは、大統領の訪日に随行したフィリペ・マルチンス国際問題担当大統領府特別補佐官が夜を徹して最後のガイドラインを示して調整した。必要な場合には就寝中の大統領を起こす権限も、マルチンス特別補佐官には与えられていた。その権限を行使する必要に迫られた状況だった。エルネスト・アラウージョ外務大臣とテレーザ・クリスチーナ農務大臣が率いるブリュッセルの交渉チームは、最後の争点をまとめるたことに苦戦していた。欧州ではすでに午後、大阪では未明の時間帯に、アルゼンチンとパラグアイ、ウルグアイの交渉チームは条件を飲んだ。ゴーサインを出していないのはブラジルだけ。だがボルソナロ政権にとっては、合意内容をブラジルの希望に沿うものに修正する必要があった。交渉が袋小路に入った時、ボルソナロ大統領を起こすことが検討された。だが最終的に、大統領を起こす必要はなかった。交渉に参加した関係者の情報によると、合意には日本滞在中のブラジルのミッションとブリュッセルの交渉チームの連携が決定的に重要な役割を果たした。メルコスール=EU自由貿易協定では、持続的な開発に関する条項を想定していたが、ドイツとフランスは、森林伐採に関してブラジル政府とこの問題について協議するまでこの問題の協議を保留する判断を下した。そして大阪でボルソナロ大統領は、ドイツのアンゲラ・メルケル首相と会談したが、それは関係者によると、フランスのエマニュエル・マクロン大統領との会談が「極めてハード」で時には「手厳しい」とまで評されたと比較して、より落ち着きを取り戻したものになった。マクロン大統領との会談でボルソナロ大統領は、パリ協定の批准を継続すると繰り返しコメントし、国外のアグリビジネスに関して反対したPRを撤回することと環境保全に関して着実に取り組むことも厭わないと発言した。さらには、フランス側にアマゾン地域を訪問するよう招待もしたのだった。(2019年6月29日付けエスタード紙)    

【メルコスールとEUの貿易協定は工業部門にとって勝利】

メルコスールと欧州連合(EU)が最終的に、長期に及んだ折衝を終結させ、自由貿易協定(FTA)の合意に至った。両経済圏を合わせると、GDPは19兆ドル、人口7億5,000万人の市場が誕生する。今回のFTAは、欧州市場に対してブラジルの輸出品のアクセスを拡大し経済を活性化させるという理由から、ブラジルの歴史上で最も重要な通商協定である。同時に、ブラジルの工業製品に対する最大のサプライヤーに市場を開放することになり、競争力を確保するための構造改革の加速も求められることになる。ブラジル企業にとって特恵待遇でアクセス可能な国際市場が現在の世界の輸入の8%から25%に引き上げられるため、EUとの市場の統合はブラジルにとり、国際貿易における重要国との同盟関係に向かって一歩、前に踏み出したということである。EUが農産物市場をどこまで開放するかにもよるが、全国工業連合会(CNI)は、今回の合意でブラジルの対EU輸出がほぼ100億ドル増加すると試算している。ブラジルの製造業にも、ダイナミックなプラス面がある。例えば、EUへの農産物輸出の拡大はブラジルの工業部門にもプラスの波及効果をもたらす。というのも10億レアルを輸出するごとに、国内では鉄鋼業界や化学業界、機械・設備業界などでおよそ3億レアルの工業製品が消費されるという相関関係があるためだ。今回の協定ではさらに、衣料から化学品、さらには航空機に至るブラジルがEUに輸出する工業製品に対して現在2.5%から17%で設定されている輸入税率をゼロに引き下げる。その上で、現在のEUに対する輸出額の56%が、工業製品だという点は強調しておくべきだろう。市場へのアクセス以外にも、今回の合意には、2経済圏の間で通商を促進することとブラジル国内のビジネス環境の近代化を促す規定が存在する。財の輸出入に対する煩雑な行政手続きの簡略化するため、さらに、技術規定に対応するため、政府調達市場を開放するため、そして、貿易に対してこれまで以上に中小企業が参画するのを促進するために、対応を進めることが重要となる。国内の競争激化は、否応なく国内改革を深化させる。だが貿易協定を通じたブラジルの経済開放は緩やかなものでブラジルの財界にとっても予測可能となり、最長で10年間にわたり段階的に、生産チェーンの論理に従って進められる。市場が突然解放されるようなことはなく、ブラジルには、前例のない貿易協定で得るものがあるよう確かな政策を計画して導入するために活用できる時間が与えられるだろう。こうした状況ではあるが、企業は、今後数年間に自社の事業モデルに貿易協定が与える影響への予防的な準備に注意深く対応すべきである。戦略的交渉によってまとめられた貿易協定は、ブラジル経済の3つの産業に対する投資回復に欠くことができない。だが潜在的な可能性をフルに実現できるかどうかは、これらの協定の内容とブラジルの競争力を高める国内の各種改革の行動計画の練度に左右されるだろう。(2019年6月29日付けエスタード紙)   

【ブラジルのワイン生産者への減税も検討】

EU側が助成を受けていると主張して合意に抵抗する国内ワイン業界を支援するため、連邦政府が対策を交渉している。合意の例外に含まれたワイン生産者に対して、連邦政府が支援をする可能性が浮上してきた。この対策には、業界の近代化と輸入と減税に向けた基金の設立が含まれる見込みだ。欧州連合(EU)と締結した自由貿易協定(FTA)の例外に含まれたことで、ブラジルのワイン生産者らは今後数年、連邦政府の支援を受ける。交渉中の対策は、業界の近代化を目的とした基金の設立から減税まで含む包括的なものになると、エスタード紙に対して3人の関係者がコメントした。EU側は、今回の合意にメルコスールがワイン市場を開放することを含めるよう強く主張した。ブラジルの生産者は、欧州の生産者が助成を受けており、市場競争に際して有利になるような融資にアクセスできると主張してこれに抵抗した。この業界を含めることが協定の合意に不可欠と想定していた連邦政府は、数週間前から、生産者側の抵抗を緩和するために業界の代表者らと協議を進めてきた。一連の 交渉はオニックス・ロレンツォーニ官房長官が中心となり進めたが、パウロ・ゲデス経済大臣が率いる連邦政府経済スタッフから了承を受けたものだった。大統領府関係者によると連邦政府は、業界に対して「不可逆的な生産性に関する包括政策」を提示した。この狙いは当たり、ワイン工業の近代化に資金を調達するための基金の設立を想定した、業界との技術提携協約合意に署名する運びとなった。その財源は、原則として、業界の企業が拠出する。ただし経済省の関係者の1人によるとこの計画は、農業保険、さらに国家家族営農強化計画(Pronaf)の資金を業界に振り向けるといった、既存の枠組みの活用も視野に入れている。さらに連邦政府は、業界向けに現在提供されている融資条件の改善方法を検討するのに加えて、コルク栓とビン、ブドウ果汁のような投入財と機械・設備に対して発生する税金をどのように削減できるか分析すると確約した。ブラジルワイン協会(Ibravin)のオスカル・ロー会長は、「業界は、ブラジル政府に対して減税を要求してきた歴史的な経緯がある。EUとのFTA合意で、業界が置かれる状況は悪化するだろう。業界は、競争状態を恐れはしない。ただ我々が競争するのは、ヨーロッパの助成金と国内の高い税負担なのだ。1本のワインに対して、55%が税金である。我々はそこに不当な競争があると受け止めている」と話す。ブリュッセルで締結された合意に基づくとメルコスールは、最大12年でヨーロッパ産のワインに対する輸入税率をゼロに下げる。ブドウ栽培業界との会話が進む一方、乳業部門も同様に補償金を確保する可能性がある。連邦政府関係者によると、今回の合意では、チーズなどでEUの生産者に対して輸入税率を8年でゼロに引き下げる。これらの問題に関して、経済省も連邦政府官房室もコメントを避けた。(2019年6月29日付けエスタード紙)

【メルコスールとEUがFTA交渉をまとめ合意】

2019年6月28日に外務省と経済省、農務省が共同で声明を発表6月27日と28日にブリュッセルで行われたメルコスールと欧州連合(EU)の閣僚会議で、両ブロックの連携協定の通商分野の交渉がまとまった。ブラジルからは、エルネスト・アラウージョ外務大臣とテレーザ・クリスチーナ農務大臣、マルコス・トロイジョ経済省通商及び国際問題担当特命局長が出席した。今回の合意は、世界のGDPのおよそ25%、7億8,000万人を要する市場として、メルコスールとEUの関係においても歴史的な節目と言えるものになる。国際貿易において緊張と不確実性が強まる現在の状況において、合意がまとまったことは両ブロックの経済開放及び競争条件の強化におけるコミットメントを強く示すものである。EUとの貿易協定で、世界最大の自由貿易圏のひとつが生まれることになる。経済的規模と適用範囲の広さから、今回の合意はメルコスールの過去の交渉において、最も広範囲かつ最も複雑なものである。その範囲には、関税だけにとどまらず、サービスと政府調達、通商上の障壁、衛生対策及び植物検疫、知的財産のような規制にかかわるものまで包含する。合意内容に基づくと、ブラジルが強い関心を持つオレンジジュースと各種フルーツ、インスタントコーヒーなどの農産物に対する関税が撤廃される。ブラジルの輸出会社は、食肉と砂糖、エタノール、その他の品目に対して、輸入割当枠を通じてEU市場へのアクセスを拡大できる。さらにブラジル企業は、工業製品に対する関税の完全撤廃の恩恵を受ける。これにより、EUが自由貿易協定(FTA)を締結済みの貿易相手国と競争条件が等しくなる。今回の合意では、カシャッサ(サトウキビを原料とした蒸留酒)とチーズ、ワイン、コーヒーなど様々な製品でブラジル固有の製品として認定される。また通信と建設、流通、観光、物流、専門サービス及び金融といった様々な分野で、実際的なアクセスを保証する。政府調達では、EU域内で1兆6,000億ドルと推算される入札市場に対してブラジル企業がアクセスできるようになる。合意で定められた取り組みに基づき、輸出入及び財の移転手続きに関するコストを削減し、またその取り組みを加速させる。合意は国内の生産者に対してより高い技術水準かつ低価格な中間投入財に対するアクセスを保証するため、ブラジル経済の競争力を高めることになる。障壁を引き下げ、規定の法的安定性と透明性を高めることで、投資と雇用を創出して、所得を拡大させつつグローバルな・バリューチェーンにブラジルが参画するのを容易にする。今回の合意により消費者もまた、競争力のある価格でより多様な製品にアクセスできるという恩恵を受ける。経済省の推算に基づくと、メルコスールとEUのFTA協定によりブラジルのGDPには15年間で875億ドルの経済効果があり、非関税障壁の削減及び生産要素の総生産性で期待される経済効果を加味すれば1,250億レアルの経済効果が得られる可能性がある。ブラジルに対する投資の増加は、同じ期間、1,130億ドル規模になる見込み。2ブロック間の貿易関係では、ブラジルの対EU輸出が、2035年までにおよそ1,000億ドルに拡大する。EUは、メルコスールの貿易パートナーとして第2位の規模で、投資面では最大のパートナーである。逆にEUにとってメルコスールは、貿易パートナーとして8位である。2ブロック間の貿易高は、2018年に900億ドル超だった。2017年にEUがメルコスールに保有する資本ストックはおよそ4,330億ドル。ブラジルは2018年にEUとの貿易高が760億ドルで、70億ドルの貿易収支黒字を計上した。ブラジルの輸出は420億ドル以上で、ブラジルの輸出全体のおよそ18%を占めた。ラテンアメリカに対するEUの外国直接投資(FDI)においてブラジルは、そのおよそ半分を占める大きな存在感を示している。ブラジルはEUのFDIにおいても、戦略的価値の高い業種を中心として第4位の投資先国である。(2019年6月28日付け政府発表)  

論評【新しい政治】

ゼイナ・ラチフ* Zeina Latif改革に州政府を参画させるための州知事との対話が欠落ジャイール・ボルソナロ大統領は、年金制度改革の協議において共和国大統領として自身に期待されていたような役割を果たさなかった。恐らく、このスタイルは彼が新しい政治(ノーヴァ・ポリチカ)と名付けたものの一部だろう。彼がそれを表明した時、よりデリケートないくつかの争点で政府側の主張を擁護する目的でより緩やかな改革を要求するすることに労力を振り向けた。2019年の年明けに発表されたコンセプトは、ボルソナロ大統領が改革の旗振り役になるというものだったが、これは実現しなかった。彼らがとった態度によって、国会に送致された法案に間違った修正が加えられることとなった。その一例は、女性のほうが平均余命が長いにもかかわらず、そして女性に対する不公平はより寛大な年金規定ではなく別の公共政策によって撲滅すべきところ、女性の年金受給開始年齢を引き下げたことだ。ゼツリオ・バルガス財団(FGV)のセシリア・マッシャード教授が指摘したように、女性を差別化するという規定のロジックに基づくならば、黒人に対しても何らかの補償的措置が必要になる。別の修正が、連邦警察官及び文民警察官、刑務官に対する規定に加えられた。55歳に達した際の退職金の金額に関して、受け取っていた給与の全額ではなく80%に制限すると年金規定が変更された2003年以前に採用された場合も含め、退任時の給与の全額が保証されることになった。それ以前には、法案に軍人の年金制度の変更も盛り込まれていたが、同様に、世界的にも例を見ない全額交付が維持され、この規定が軍警察官と消防士にも拡大して適用された。また、年金制度改革に地方自治体を組み入れるための方策を模索するという観点から言えば、確かに州財政の置かれた状況が各州で様々に異なること、そして多くの知事が日和見主義であることでこの問題をより難しくしているという事情はあるにせよ、対話そのものが欠落している。その調整役としてふさわしい人物が仮にいるとするなら、それは大統領だ。前政権の提案では、州政府に対して連邦政府の規定に反対するのであれば独自の改革の可決に最大6か月の猶予を与えていたことを思い出すだけの価値はあるだろう。最終的に、国会に提出された改革は大統領自身の判断により意欲的な改革という性格が鳴りを潜めたものの、非常に優れたものだった。ボルソナロ大統領と距離が置かれているものの、国会で法案に対する審議には進捗が見られる。困難はあるにしても、複雑な問題を抱える議案への表決が抱える特有の障壁、そして様々な政党が乱立して国家的問題に対するコミットメントが存在しないという脆弱な政治構造が持つ障害を、克服している。そうなっている主な理由は、年金制度改革がなければブラジルは破綻に向かい、この場合、誰も勝者たり得ないということを政界の主導者たちが認識しているからで、年金制度改革問題は政治的に機が熟したテーマだということが挙げられる。この方向性に沿って、国会の一部が社会と支配層に対する自身のイメージ改善を模索している。それはすなわち、国の成熟にとって大きな利益だ。悲しむべき注釈を加えるなら、人口と経済に対する深刻な事態を伴ってこの国が崖っぷちに立たされてようやく、それが実現に向かうという点だ。しかも、社会保障改革が可決し成功を収めたからといって、それがその他の構造改革の可決にも当てはまるとは意味しない。行政府のトップの指導力なくして、国会が単独で予定された改革を進めるのには限界がある。論争の的になるような議題で、しかも機が熟していないような問題ならとりわけ、行政府の政治的なコミットメントがなければ強い抵抗を受けるだろう。最近の例を挙げれば、基礎衛生(下水処理)業界基本法の大幅改正を提案した暫定令(MP)だ。連邦政府の技術者が法案の策定で協力したにもかかわらず、政府に賛同する政治勢力が不足した。結果としてこのMPは、審議未了で廃案になった。州の基礎衛生公社が確立した縄張り問題を克服することなくして、同一の問題に関する法案を推進するならば様々な困難に直面するだろう。年金制度改革の可決をボルソナロ大統領が言うところの「新しい政治」が成功した証左だと大統領自身が主張し政治的実績に加えることはできるだろう。だがそれは、仮に政府が今後の挑戦で同様の戦略を繰り返すのであれば無謀という外はない。(2019年6月27日付けエスタード紙)* XPインベスチメントのチーフエコノミスト  

コラム【玉磨かざれば光なし(不幸な事件とダークホース)】

ロベルト・ロドリゲス*豚コレラが、中国における豚肉の生産と消費に対して甚大な被害を及ぼしており、これに伴って発生する中長期的な影響は完全に評価を終えていない状況だ。この恐ろしい病気(と言っても人類に対する直接的な感染の脅威はなく、豚にとっては死に至るものである)が抑え込まれ撲滅できるかにかかっている。この疫病は、既に欧州でも発生が確認されており、アジア地域にとどまらない、世界のすべての地域にとって潜在的な脅威なのだ。仮に直ちに抑え込みに成功したとしても、既に何1,000頭もの親豚が殺処分され新規生産基盤が縮小しており、生産のサイクルが破綻したことで生産状況が正常化するのにはおよそ3年はかかる。しかし、もし本当に今の時点で飼育頭数が大幅に減少したのであれば、同様に中国の生産者による大豆とトウモロコシの需要も減少するはずで、輸出の減少とこれらの製品の値下がりにつながる。すでにコーヒーと牛乳、サトウキビで記録されてきたような、我が国の農業輸出の落ち込みという状況が拡大するはずだ。ブラジルの農業輸出では大豆が全体を牽引していること、そしてはるか遠くの中国が最大の輸出先国であるという点に注意を払うだけの価値はあるだろう。ブラジルは、わずか数か月で食肉生産を拡大できるし、この場合、輸出している穀物の大部分を通常の条件で国内市場に振り向けることになる。そして食肉輸出は、付加価値という点で追加のアドバンテージとなる。大豆とトウモロコシは、ここで生産された食肉に組み込まれることになる。これを実現するには、企業の財務状況がひっ迫している状況で生産拡大に向けた生産者の投資という与信供与に対する需要につながる問題は言うに及ばず、ブロイラーと豚の確保にとどまらない、より多くの食肉加工会社に対する輸出認可に向け最大限に迅速な政府の交渉が求められる諸条件のクリアが必要になる。この道筋をつけるため、状況のより良い理解と必要とされる合意をまとめようと、テレーザ・クリスチーナ農務大臣が中国とアジア諸国を訪問している。だが我々は、例えばアメリカと欧州連合(EU)も同様に、この機会をうかがい、同じ方向に駆け出していることを忘れてはならない。そして5月10日に中国から輸入する2,000億ドルの製品に対して関税を10%から25%に引き上げるとドナルド・トランプ大統領が発表したアメリカの場合、食肉のより大きな供給という提案が「貿易戦争」の休戦を決定づける可能性がある、ということだ。そのため、収益という点からブラジルの農家には脅威であり、深刻な被害を回避するため、迅速に対応する必要がある。そして、アグリビジネスの国際市場が持ついくつかの局面について、分析するだけの価値がある。この活力に満ちた業界の輸出で投機的な手法が発展してきたことは知られている。その作用もあって、2000年に200億ドルを輸出していたブラジルのアグリビジネスは、2018年には、20年足らずで5倍となる1,000億ドルを記録した。ただ、これがブラジルにあふれんばかりの誇りを与えてはくれるにしても、競合する国々も同様に成長したのだ。主な食肉(牛肉及び鶏肉)の場合、シェアも失っている。農務省の最新データによると、鶏肉では、2010年に世界の鶏肉貿易の41%をブラジルが占めたが、2018年には31.2%に低下した。そして牛肉の場合、同じ期間に23.7%から16%に下落した。言い換えると、ブラジルは著しい進展を記録したものの、強豪国も寝ていたわけではなく、むしろブラジル以上に成長したということだ。ブラジルは世界の食肉貿易で依然としてトップを走っているが、次第に、言葉の遊びではなく文字通り「痩せつつある」のだ。迅速かつ適切に対応すればプラスに利用できる豚コレラは好機となるという意味で、連邦警察が立ち上げたカルネ・フラッカ汚職捜査とトラパッサ汚職捜査のような不幸な災難は「体制」を強化する。それは、政府と民間部門がうまく調和し奏でる交響楽であり、別の生産チェーンにおいても同様の対応が可能だと実証できるだろう。農産物の世界貿易においてブラジルは極めて重要な存在だと認識するのは重要なことだが、そうした製品は半ダースしかないのだ。すなわち、大豆複合品、食肉、コーヒー、砂糖、オレンジジュース、トウモロコシだ。むしろ、同様の地位を確保するのに、フルーツと綿花、魚介類、カカオ、パーム油、紙パルプ、ゴム、花卉、その他の穀物、牛乳といった品目には、取り組むべき余地がまだ多く残されている。そして、隊列は進む。我が国は食糧安全保障において、最大のパートナー候補となるべき国だが、疾走する原石のダークホースを数多く保有している。(2019年5月12日付けエスタード紙)*元農務大臣でゼツリオ・バルガス財団のアグリビジネスセンター・コーディネーター。  

【豚コレラでブラジル産豚肉の対中輸出が記録を更新】

対中輸出が4月に42%拡大した。過去には、2005年の鳥インフルエンザでブラジルは世界最大の鶏肉生産国になった経緯がある。アフリカ豚コレラ(ASF)の発生に伴い中国では2018年8月から1億5,000万頭から2億頭の豚を殺処分しており、世界最大の豚肉生産国かつ消費国ある中国では35%の減産につながった可能性があり、ブラジル経済にもその影響が出始めている。2019年4月にブラジルは、中国に対して3,580万ドルの豚肉を輸出した。月間の輸出額としては、1997年に始まった統計史上最高額となる。またサンパウロ大学ルイス・デ・ケイロス農業高等専門学校応用経済先端研究センター(Cepea/Esalq)によると、2018年4月の水準と比較すると42%の増加。Cepeaのアナリスト、マリステラ・デ・メロ・マルチンス氏は、「豚コレラにより供給が縮小しているため、中国は、豚肉と鶏肉の輸入を急激に引き上げている」という。2月以降、中国は、サウジアラビアを追い抜きブラジル産鶏肉の最大の輸入国になっている。4月に中国の豚肉輸入と鶏肉輸入は、ブラジルの豚肉輸出全体の28%、鶏肉輸出全体の11.5%を占め、主要輸出先国としての地位をより強固なものにした。鶏肉と豚肉の生産チェーンをまとめるブラジル動物蛋白協会(ABPA)によると、この2品目の輸出拡大の影響について、どの程度の規模になるのか現時点では予測は出ていないという。同協会のフランシスコ・トゥラ会長によると、鶏肉は生産サイクルが短いため、需要には迅速に対応しやすいという。一方、中国人1人当たりの年間豚肉消費量は40kgだ。2018年にブラジルが輸出した鶏肉は64万6,000トンで、EUとアメリカ、カナダに次ぐ第4位の輸出国だった。2019年には輸出量が90万トンに達すると期待されている。だが、ブラジルには輸出急増を妨げるいくつかの要因がある。肥育 最初の要因は、豚の生産サイクルそのものが長いこと。種付けから生まれた子ブタが最初に屠畜可能になるまでに、ほぼ1年を要する。第2の要因は、中国が調達するのは輸出資格のある食肉会社が生産した製品に限られるということだ。現時点で中国への輸出が認可されている食肉処理場は、わずか9か所である。「この問題は、ブラジルにとっては大きなチャンスになる。なぜなら、中国では豚肉生産が従来の水準に回復するまでに2年から3年を要すると見られるからだ」と、トゥラ会長は言う。同会長によると、2005年の鳥インフルエンザでは、ブラジルが世界最大の鶏肉輸出国へと変貌した。トゥラ会長は、豚肉においてもブラジルは、コスト面で競争力を備えており、過去の歴史を繰り返す可能性があるという。豚コレラが中国とその他のアジアの国々で猛威を振るっている間、国内最大の生産地帯であり輸出地帯であるサンタ・カタリーナ州の養豚業者は、高値を存分に謳歌することになる。2月以降、食肉会社の系列外の独立系生産者に対する報酬は、33%も増加している。一方、サンタ・カタリーナ州豚肉生産者協会のロジヴァニオ・ルイスデ・ロレンジ会長によると、食肉会社の系列の生産者は、価格をおよそ20%引き上げた。「中国で発生しているこの問題の影響を我々は享受しており、今後数か月で価格が高騰すると確信している」とロレンジ会長は言う。同協会は、州内で8,000人の養豚業者をまとめる。サンタ・カタリーナ州コンコルジア市で生産者に対して親豚を供給するスルヴィ農場のオーナー、クライル・ルザ氏は、過去2年間は需要の落ち込みと業界の低迷で老齢の親豚を利用していたこともあり親豚の半数を屠畜に回した時もあると話す。「生産者らは親豚グループを刷新させなかった」と、同氏は言う。だが今、豚の販売拡大に農場は親豚の屠畜を見合わせている。過去60日で、問い合わせは30%から40%拡大しており、親豚の価格も20%から30%増加した。「誰かの不幸は別の誰かの幸運なのだ」と、中国における豚コレラで生産者が確保している利益についてルザ氏は言う。もうひとつの側面同じく、この問題はインフレにも影響している。ゼツリオ・バルガス財団(FGV)によると、豚肉の卸売価格、は2019年5月に入ってからだけで、17.09%も値上がりした。中国で危機に陥っている豚肉生産のもうひとつの側面が、豚の飼料に使われるブラジル産大豆(粒)輸出の縮小だ。大豆業者をまとめるブラジル植物油脂工業会(Abiove)によると、業界は2019年に大豆輸出額が21億ドル減少すると予想しているという。(2019年5月12日付けエスタード紙)  

【国際的な富豪の資産がファンドの資金に】

元役員と元事業家をマネージャーに据え、様々なグループが共同で投資し、投資先を多様化させている。ブラジルのスタートアップに対してベンチャーキャピタル・ファンドが投資する資金のほぼすべてが、技術系企業の創業者とその他の機関投資ファンドらから国際市場で調達された資金である。この業界の先駆者のひとつモナシーズは、7ファンドを国外からの資金だけで設立、その1つに限り国内資本との合資としている。その最後の国内外から資金を調達したファンドでは、インスタグラムの創業者でシリコンバレーで最も影響力を持つブラジル人の1人、マイク・クリーガー氏のようなブラジルの富豪と事業家などから1億5,000万ドル(5億9,400万レアル)を調達した。ブラジルでスタートアップが爆発的ブームになる以前の2005年に設立されたモナシーズは、ブラジル生まれのユニコーン企業、99に投資した。同様に、ユニコーン企業の仲間入りを果たしたコロンビア資本のラッピにも出資している。マッキンゼーとアメリカのファンドであるジェネラル・アトランティックといった企業で経歴を持つエリック・アーチャー氏とウルトラ・グループの経営権を持つファミリーの資産を相続したファビオ・イゲル氏が設立したファンド・マネージャーの最初の投資は、経営パートナー自身が設立した教育会社で、これは当時、投資先となるスタートアップのオプションがなかったことによる。だがこれ以降、ファンド・マネージャーはラテンアメリカで88社に対して既に資金を提供している。現在、同ファンドの投資ポートフォリオには60社が名を連ね、この内42社がブラジル国内企業である。これらの中には、グロー(ブラジル企業のイエローとメキシコ企業のグリンの合併により誕生)やロジ(配達スタートアップ)、ネオン(デジタル銀行)、ヴィヴァ・レアル(不動産)のように、新しいユニコーン企業の座を射止める有力候補が控えている。ブラジル国内に潤沢な資産を持つ別のファンドが、アルゼンチン系カザック・ベンチャーズである。同ファンドは、メルカード・リブレの元役員と創業者によって立ち上げられた。2011年に設立されたこのファンド・マネージャーは、既にアメリカと中国で3つのファンドで資金を調達しており、その総額は4億3,000万ドルに達する。カザックの経営パートナー、サンチャゴ・フォッサッティ氏によると、これらの資金を60社に投資しており、この内3分の2がブラジル国内だという。これらの中には2社のユニコーン企業が存在する。すなわち、ヌバンクと、スポーツジムのマーケットプレイスでこのほど10億ドル企業の仲間入りをしたジムパスである。起業の世界でよくあるように、これらのスタートアップには別の、重要な大規模な投資グループも参画している。すなわちバロール・キャピタル・グループとレッドポイント・イーベンチャーズである。バロール・キャピタル・グループは、クリフォード・ソーベル元駐ブラジル・アメリカ大使が設立したもので、既にブラジル国内の30のスタートアップに投資している。ジムパス以外に同ファンドは、ブラジルのポータブル決済端末のユニコーン企業、ストーンにも出資している。バロール・キャピタル・グループの経営パートナーであるマイケル・ニクラス氏は、当初はブラジルのプライベートエクイティへの投資というアイデアで始まったと話す。「ところが、ベンチャーキャピタルにもビジネスチャンスがあることが分かり、2012年に市場の様子を見るためにファンドを構築した」という。他のファンドと異なり、資金の調達はブラジル人を対象にした。レッドポイント・イーベンチャーズも同様に、2012年、シリコンバレーの2つのファンド・マネージャー、レッドポイント・ベンチャーズとイーベンチャーズが提携して設立された。「これらのファンドの設立者は、2010年、『飛び立つキリスト像』が世界を駆け巡った時にブラジルへ進出した。だが、ブラジルの複雑な事情から現地の人間がプロジェクトの面倒を見る必要性を理解した」と、レッドポイント・イーベンチャーズでロメロ・ロドリゲス氏とパートナーを組むアンダーソン・ディース氏は言う。同ファンド・マネージャーは、既に31社に投資している。「当初から目的は、シリコンバレーの優れた慣行と経験をブラジルに持ち込むことだった」。「様々なファンドがブラジルに進出を始めたのは2010年、『飛び立つキリスト像』が世界を駆け巡った時だが、ブラジルの複雑な事情から現地の人間がプロジェクトの面倒を見る必要性を理解した」 レッドポイント・イーベンチャーズの経営パートナー、アンダーソン・ディース氏(2019年5月12日付けエスタード紙)  

【ブラジルのスタートアップに対する投資が1年で51%増加】

ブラジルの最も価値のあるスタートアップの背後には、潤沢な資金を持ち投資に対する誤りを余り懸念しない投資家のグループがいる。投資ファンドとして集まった彼らは、ヌバンクとモヴィレ、ストーン、99、パグセグーロ、ジンパスのように時価総額が10億ドルを超えるユニコーン企業になったブラジル企業同様に、巨大なビジネスに成長しそうなアイデアを発掘する専門集団である。IT分野で起業の波が沸き起こってきた2011年以来、彼らはおよそ130億レアルをブラジルに投資してきた。ラテンアメリカ・プライベートエクイティ& ベンチャーキャピタル協会(LAVCA)によると、2018年だけでベンチャーキャピタルと呼ばれるファンドは13億ドル、51億レアルを投資した。これは、2017年の水準を51%上回る規模だという。しかも、このブラジル国内の投資は、ラテンアメリカへの投資全体の65%を占めた。2019年も引き続き、高い水準を維持する見込みだ。3月半ば、日本の大企業ソフトバンクがこの地域のスタートアップに対する投資を目的とした50億ドル(198億レアル)のファンドを発表した。この資金の一部は、ブラジル企業に対して振り向けられると期待されている。この旺盛な動きは、過去数年、モナシーズとカザック、レッドポイント・イーベンチャー、ヴァロール・キャピタル、500スタートアップスのようなファンドが手掛け始めたムーブメントの一環だ。これらのファンドの最前線には、大企業の元役員や外交官、自ら手掛けた事業を売却して投資家に転じた事業家といった面々が顔を揃える。そのリストにはブスカペの創業者であるロメロ・ロドリゲス氏、メルカード・リブレ元役員のエルナン・カザ氏とニコラス・セカシー氏、元駐ブラジル・アメリカ大使のクリフォード・ソーベル氏、ウルトラ・グループの経営権を持つ一家の資産を相続したファビオ・イゲル氏がいる。これらの人たちは、ブラジルにおけるユニコーン企業の「ハンター」の中核集団の一角を占める。彼らの投資ロジックは他の市場のファンドが導入しているものとは異なる。リスクに対してより貪欲で、様々な企業に対して同時に10万レアルから3億レアルという規模で投資する。彼らは、これらの企業の大部分が道半ばで力尽きることと、その失敗をむしろ「成功ケース」が埋め合わせるということを知っている。例えば、中国系資本のディジへの99の売却で投資家は、投下した資金の60倍に達するリターンを確保した。時y号の価値は、ほぼ10億ドルだった。投資ファンドでヴィアジャネットとジンパス、レズルタードス・ディジタイスに投資しているレッドポイント・イーベンチャーズの経営パートナー、アンダーソン・ディース氏は、「スタートアップへの投資は何が成功するのかを考えることだ。若ければ若いほど、あなたは、チームと夢に集中しなければならない」という。同氏によると戦略は、成熟した企業に対する投資、すなわち自社の事業、歴史、創業の経緯といったものに集中するケースと大きく異なる。「それは、未来と過去の戦いだ」。またユニコーン企業になる可能性を秘めたアイデアに行きつくことも、容易ではない。アメリカの投資ファンド500スタートアップスの経営パートナー、ベディ・ヤン氏は、投資先を見定めるために年間5,000社を評価していると話す。合格率はわずか1%。ファンドのポートフォリオには2,000社が名を連ねており、この内10社がユニコーン企業である。だがブラジル国内では、既に40案件のスタートアップに投資済みだが、そこからユニコーン企業はまだ生まれていない。「消費の夢」。信用供与が不足している上に高コストなブラジルでは、こうした投資家が、取り掛かったばかりのビジネスを発展させるための重要な資金源となる。むしろ、それ以上の存在だ。つまり、ほぼすべての事業家の「消費の夢」なのだ。その一例が、2018年に締結された合意の総数だ。LAVCAのデータによると、2017年に113件だった事業が、2018年には130%増の259件を記録した。ブラジル・プライベートエクイティ& ベンチャーキャピタル協会のピエロ・パオロ・ミナルディ会長によると、「経済危機にもかかわらずこれらのファンドの活動は、過去に例がないほど活発だった」という。しかも同会長によると、ブラジルのこうした動きは、まだよちよちと歩き始めた段階だという。「全て、まだ手つかずだ。そのためこの業界は、わずかな期間で2倍に成長する可能性を秘めている」。99の創業者、パウロ・ヴェラス氏は、この市場がどれほど過熱しているのか、社会には全く想像もできていないと話す。同氏によると過去に、ブラジルは様々な素晴らしいプロジェクトがあったものの、実行に移すための資金が不足していた。だが現在の状況は異なる。「市場には、過去に例を見ないほど、スタートアップに対して潤沢な資金がある」。2008年からブラジルのスタートアップに注目してきたバロール・キャピタルの経営パートナー、マイケル・ニクラス氏は、この間に機が大いに熟したと話す。「過去10年、ブラジルではブロードバンド・ブームがあり、コネクティビリティーが拡大したことからあらゆるハードルが下がっている」。(2019年5月12日付けエスタード紙)