ノーベル化学賞・鈴木章博士の講演会

ブラジル日本文化福祉協会(文協)、サンパウロ日伯援護協会、ブラジル日本都道府県人会連合会、国際協力機構(JICA)、国際協力機構研修員OB会(ABJICA)、ブラジル北海道協会、ブラジル北海道大学同窓会が主催した鈴木章博士の講演会に招待を受け、ブラジル日本商工会議所会頭(近藤正樹)の代理として平田藤義事務局長が参加した。

午後4時、会場入り口で山下譲二文協副会長等と伴に鈴木博士を出迎え、氏はそのまま記者会見に臨んだ。ニッケイ、サンパウロ両新聞社の記者や参加した来賓からのインタービューに一つ一つ丁寧に答えた後、会場に移動「ノーベル化学賞への道」と題しスピーチを行った。

現在から過去に遡る受賞内定の秘話から、スウェーデンのストックホルムで行われた授章式の詳しい模様、また受賞に至った経緯など、博士の人生観を含め約2時間に亘る大講演会であった。ノーベル賞受賞者によるサンパウロ講演会は久々だけに、コロニア社会挙げてのお祝いになった会場は約200人(満員)の聴衆者で埋め尽くされた。歓迎の挨拶は文協の山下副会長および大部一秋サンパウロ総領事が、また三上 隆 北大理事・副学長からは鈴木博士の経歴紹介があった。

平田事務局長談話
鈴木カップリングを発見された偉大な学者とはとても思えないほど非常に気さくな方である。「外国に出て色々な人と出会いその人の考えに触れる事が大切」、「フロンティア精神を持ち己の道を切り拓くべし」、「どの様な世界でも独創的なまた教科書に載るような仕事をせよ」、「精進努力」こそが人生哲学と語る先生に、「目から鱗が落ちる思い」と熱っぽく語る事務局長。

講演会が始まる前の記者会見の席上、約40分に至る会見の終り頃を見計らい、先生もきっと若い頃に札幌農大のクラーク博士の言葉「少年よ、大志を抱け!」に触発され、夢や希望に満ち溢れ、大志を抱かれたのではと勝手に想像しながら「先生は何歳の頃にノーベル賞に輝きたいとか何らかの夢や目標をお持ちになられたのですか?」の問いには淡々と「元々そのような夢や目標などを持っていた訳ではありません。詳しくは後の講演会でも触れますが・・・。」と最後の質問に至るまで懇切丁寧に答える先生の優しさに感動。

「・・・」の部分はまさに前述した人生哲学の所産に負う所であり、1963~65年、米国パデユー大学でハーバート・ブラウン博士(1979年ノーベル化学賞を受賞、2004年に他界)に師事して研究活動、それから随分時が経った後の2002年、ブラウン博士の90歳の誕生日に招待を受け、誕生会の講演会席上ではじめて同博士が推薦を表明されたとの事だ。偉大なる巨星ブラウン博士をして精進努力の成果があったからこそノーベル化学賞受賞に輝き、また全世界に住む日本人や日系人が共有すべき誇りである、と平田事務局長はブラジル日系社会からもノーベル賞受賞者輩出の将来に期待を寄せた。

 

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