Sigma Lithium社はリチウム生産許可取得で輸出開始か(2023年4月10日付けヴァロール紙)

カナダ資本 Sigma Lithium社は、ミナス州政府環境機関からリチウム鉱の操業許可を取得、ブラジルでは初めてとなるリチウム鉱生産を開始、ミナス州内の Araçuaí鉱山及び Itinga鉱山で今月から操業開始、輸出は5月から予定されている。

第 1 段階で、年間 27 万トンのリチウム濃縮物を生産予定、他の 2 つのフェーズは、6 月または 7 月に操業開始2024 年半ばには、年間76万6,000トンのリチウム鉱の生産が見込まれている。

シグマ社はリチウム鉱の販売と輸出の準備完了、産業プラントはすでに委託、検査を稼働している。今月から海外の顧客に最初の出荷を行うための蓄積を開始。 リチウムの主な市場は、ヨーロッパと米国に加えて、中国を中心としたアジアとなっている。

同社は製品の流通ロジスティクスも変更、 バイーア州イリェウス港からの輸出ではなく、エスピリット・サント州ビトリア港に変更。 ビトリア港は距離は少し遠いが、大型の倉庫施設があるために変更している。

Sigma社 のリチウムプロジェクトは、第 1 段階で 12 億レアルの投資を見積もっている。 フェーズ 2 と 3 では、追加で 10 億レアルが予算化され、新しい施設と組立作業のための機器だけで 1 億 5,500 万ドルが見込まれている。

先月、電気自動車メーカーのテスラ社が、自動車メーカーが自動車のバッテリー用の原材料を確保するための世界的な競争に合わせて、リチウム生産者の支配権を握ることに関心を持っているというニュースが流れたが、 Sigma社は支配権売却を否定している。

ブラジル国内で最も貧しい地域の 1 つである Jequitinhonha渓谷地域は膨大なリチウム鉱の埋蔵が確認されているが、世界的にはオーストラリア、カナダ、チリ、アルゼンチンが依然として技術的投入を支配しており、 .ブラジル国内でも100% 持続可能なプロセスから生まれるプレミアムな製品が必要となっている。

2022年のVotorantim Cimentos 社の純益は30%減少も売上は16%増加(2023年3月15日付けヴァロール紙)

ヴォトランチンセメント社Votorantim Cimentos の2022年の純益は、売上が16.0%増加したにも拘らず、生産コストの上昇の影響を受けて、 前年比30%減少の11億レアルに留まっている。

同社のグローバル ファイナンシャル担当のBianca Nasser ディレクターは、純益の大幅な減少の要因として、近年の企業買収及び大幅な減価償却を指摘。 昨年ヴォトランチンセメントは、 全世界で 前年比1.0%減少に相当する3,680 万トンのセメントを販売している。

同社の昨年の税引前利益に支払利息と減価償却費を加算したもので、総資本に対してどの程度のキャッシュフローを産みだしたかを簡易的に示す(Ebitda) は、前年比6.0%減少の49億レアル、 Ebitdaマージンは5.0%減少の19.0%に留まっている。

昨年の純益減少は生産コスト上昇が影響しているが、世界のヴォトランチンセメントの売上は、生産コスト転嫁による販売価格増加で前年比16.0%増加の258億レアルに達している。

同社の昨年のブラジル国内の売上は前年比23.0%増加の127億レアル、Ebitda は2.0%増加の24億レアルを記録している。ヴォトランチンセメントは世界11カ国で生産販売を行っている。

昨年のヴォトランチンセメントの北米での売上は前年比4.0%増加の74億レアル、 Ebitdaは16%減少の16億レアル、米国およびカナダでの売上は増加したが、Ebitda減少はインフレコスト及びドルに対するレアル通貨下落が牽引している。

ヨーロッパ、アジア及びアフリカの昨年の売上は16.0%増加の34億レアル、 Ebitdaは20%増加の6億⒎600万レアル、ユーロが下落したにもかかわらず、インフレコストを緩和した価格管理が寄与している。

昨年の同社のラテンアメリカ地域の売上は、ウルグアイでの新規競合参入とボリビアでのデモが原因で、17.0%減少の8億1,200万レアル、Ebitdaは42%減少の1億3,800万レアルに留まっている。

今年のセメント販売は高止まりするインフレや金利で先行き不透明感が強い一方で、2009年のルーラ政権の経済成長加速プログラム(PAC)の大衆住宅建設”私の家、私の暮らし Minha Casa Minha Vida”の新規プログラムが依然として不透明となっているために、昨年並みの横ばいになる可能性をBianca Nasser ディレクターは指摘している。

 

ブラジルの今後5年間の鉱業部門投資総額は504億ドル(2023年2月7日付けヴァロール紙)

ブラジル鉱業協会(Ibram)の発表によると、ブラジル鉱業部門の2023年~2027年の短期投資5か年計画の投資総額は、2022年~2026年の投資総額を24.8%上回る504億ドルに達すると発表している。

今後5か年の鉱業投資総額504億ドルのうち65億ドルは、環境保全プロジェクトに投資されるが、2022年~2026年の環境保全投資総額42億ドルを23億ドル上回る投資が予定されている。

また鉄鉱石向け投資は前5か年計画比24.0%増加の169億2,000万ドル、銅鉱石開発向け投資は255%増加の44億⒎000万ドル、ニッケル鉱開発向け投資は60%増加の23億4,000万ドルが見込まれている。

ブラジル国内での最大の投資先は、パラー州で32.1%増加の139億⒎000万ドルと投資全体の約28%のウエートを占めている。

また今後5か年のミナス州向け投資は26.3%増加の114億4,000万ドル、バイア州は23.6%増加の102億4,000万ドル、アマゾナス州向け投資は5.8%増加の25億ドルが見込まれている。

2022年の鉄鉱石の販売は前年比26.0%減少の2,500億レアル、生産量は12.0%減少の10億500万トンに留まったとブラジル鉱業協会(Ibram)では発表している。

2022年のブラジルの鉄鉱石販売が大幅に減少した要因として、中国の需要低下及び鉄鉱石の国際コモディティ価格の24.8%下落、また亜鉛鉱は2.0%、銅鉱石は5.9%、錫鉱石は5.1%それぞれ価格減少していた。

昨年のブラジルの鉄鉱石生産は3.8%減少の3億5,820万トン、輸出額は27.9%減少の416億⒎000万ドル、昨年のブラジルの鉱物関連輸入は25.4%増加の112億ドル、貿易収支は37.6%減少の305億1,000万ドルの黒字を計上している。

資源大手ヴァーレ社の2022年の鉄鉱石生産は目標を下回る3億1,000万トンに留まる(2023年2月1日付けヴァロール紙)

鉄鉱石輸出で世界を牽引するブラジル資本ヴァーレ社の2022年の鉄鉱石生産は前年比1.6%減少の3億779万トンに留まり、生産目標にしていた3億1,000万トンを若干下回った。

昨年末のヴァーレ社の短期生産目標として、2023年の同社の鉄鉱石生産は3億1,000万トン~3億2,000万トンに設定、2026年は3億4,000万トン~3億6,000万トンに設定、3億6,000万トンを突破するのは2030年以降を見込んでいる。

昨年のヴァーレ社の鉄鉱石生産が目標を下回った要因として、パラー州カラジャス鉱山の Serra Norteシステムにおける環境ライセンス認可の遅れ、またカラジャス鉱山 Serra Sul地域に位置するS11D鉱山の難航している鉄鉱石生産の一方で、順調なミナス州の鉄鉱石生産及び他社からの鉄鉱石の買入が生産減少の歯止めとなった。

ヴァーレ社は昨年末に年間4 億トンの鉄鉱石生産量を追求しないことを明らかにした要因として、2019 年のミナス州ブルマジーニョ鉱山のフェイジョン1鉱滓用ダムの決壊事故による安全優先の生産を決定している。

ヴァーレ社の鉱業会社としての目標は、ますますガス排出量の削減を支援する鉄鋼メーカー向けの鉄ソリューションのプロバイダーを目指している。

ヴァーレ社の昨年第4四半期の含有量が62%以上の高含有量の鉄鉱石生産は前年同期比24.2%増加の8,120万トンを記録している。

同社の昨年第4四半期のニッケル生産は1.3%減少の4万⒎400トン、昨年1年間のニッケル生産はカナダに擁するSudbury 鉱山及びパラー州Onça Puma 鉱山の生産回復で前年比6.4%増加の17万9,100トンを記録している。

またヴァーレ社の昨年第4四半期の銅生産は前年同期比14.5%減少の6万6,300トン、昨年1年間の累積では、パラー州moinho de Sossego 鉱山のメンテナンスの延長の影響で前年比14.7%減少の25万3,100トンに留まっている。

 

資源大手ヴァーレ社の第3四半期の決算はコモディティ価格減少に伴って悪化(2022年10月28日付ヴァロール紙)

ブラジル資本ヴァーレ社の2022年第3四半期のオペレーション決算は、鉄鉱石やニッケルの国際コモディティ価格の減少に伴って悪化しており、売上総額は前年同期比19.2%減少の520億レアルに留まっている。

今年第3四半期の税引前利益に支払利息と減価償却費を加算したもので、総資本に対してどの程度のキャッシュフローを産みだしたかを簡易的に示す(Ebitda) は、前年同期比46.5%減少の192億8,000万レアル、純益は18.5%減少の232億8,000万レアルに留まっている。

今年第3四半期の1トン当たりの含有量が高い鉄鉱石の平均国際コモディティ価格は、前年同期比27.2%減少の92.6ドル、ニッケル鉱は前四半期比17.3%減少の2万1,600ドルに留まった一方で、前年同期比では19.0%と二桁台の増加を記録していた。

今年第3四半期の鉱物の全てのポートフォーリオは順調に推移、鉄鉱石生産はほぼ9,000万トンに達し、ニッケル鉱及び銅鉱生産も順調に推移した一方で、世界的なインフレによる生産コストの上昇もオペレーションの改善に努めていると同社の Eduardo Bartolomeo社長は説明している。

今年第3四半期の鉄鉱石の生産は8970万トン、そのうち高含有量の鉄鉱石生産は6,530万トン、低含有量の鉄鉱石生産は3,660万トン、ヴァーレ社は各四半期の生産は販売量を上回って、中国などの輸出策向け在庫確保を行っている。

今年第3四半期の1トン当たりの鉄鉱石の平均売上原価 (CPV) は、前年同期比5.14%増加の43億ドル、また鉄鉱石を含む全ての鉱物の1トン当たりの鉄鉱石の平均売上原価 (CPV) は、前年同期比15.1%増加の63億ドルに達している。

同期の1トン当たりの鉱物の海上輸送費コストは15.8%増加の1,230ドル、第3社からの購入を含む港湾迄のロディスティックのC1コストは10.2%増加の19.4ドルを記録している。

国際コモディティ価格の下落並びに生産コストの増加にも関わらず、Vale 社は競争力を維持しており、第3四半期の中国向け輸出の1トン当たりの鉄鉱石とペレットの損益分岐点価格は 前年同期比1.21%増加の 58.2 ドルを記録、 これは鉄鉱石の国際コモディティ価格が下落するシナリオでも、Vale が利益を上げているかを示している。 第 3 四半期の世界市場での鉄鉱石の国際コモディティ価格は 103.3 ドルで、昨年同期の 162.9 米ドルと比較して 36.5%と大幅な下落を記録している。

今年第3四半期のカナダのサドバリー鉱山のニッケル鉱生産は2021年第1四半期以降では最大の生産を記録、またカナダの Copper Cliff Complex South Mine鉱山のニッケル鉱生産は倍増、10月初めに英国の “Financial Times” 紙は、ヴァーレ社はファイナンシャル アドバイザーを雇ってベース メタル セグメントの 10% から 15% の株式を売却して25億ドルを調達したと掲載している。

今年は安全対策のために5カ所の鉱滓用ダムの廃止を決定、既に7カ所の鉱滓用ダムの廃止と合わせて全体の40%に相当する12カ所の鉱滓用ダムの廃止をすると Bartolomeo社長は説明している。

ヴァーレ社は、今年の鉄鉱石生産目標を3億1,000万トン~3億2,000万トンに設定(2022年10月18日付けヴァロール紙)

17日発表の資源大手ヴァーレ社は、2022年の国際コモディティ商品の鉄鉱石の生産量目標を3億1,000万トン~3億2,000万トンに設定している。

同社の今年初め9か月間の鉄鉱石生産量は2億2,694万トンに達しているが、目標を達成っするためには第4四半期の鉄鉱石の8,306万トンの生産が不可欠となっている。

ヴァーレ社の今年第3四半期の鉄鉱石生産量は、8,970万トンと昨年同月の8,869万トンを僅かに1.1%上回っている。

パラー州カラジャス鉱山の北部山脈鉱山(Serra Norte )の鉄鉱石生産向け採掘ライセンスの認可遅延の影響で、パラー州北部システム(Sistema Norte) の鉄鉱石生産は、前年同期比マイナス6.4%を記録したにも拘らず、今年第3四半期の鉄鉱石生産量は、前年同月比1.1%増加の8,970万トンを達成している。

カラジャス鉱山のS11D鉱山の鉄鉱石生産は前年比で安定していたが、露天掘りの多くの表土を処理する必要があるため、表土/鉄鉱鉱石の比率が悪化し、鉄鉱石の生産量が減少したと同社は説明している。

今年第3四半期の北部システムの鉄鉱石生産は、昨年同期の5,302万トンから4,965万トンと300万トン以上減少した一方で、南東部システム (Sistema Sudeste)は1.0%増加、南部システムSistema Sulは25.9%増加してカバーしている。特にパラオペーバ鉱山( Paraopeba)の鉄鉱石生産は56.2%と大幅増加を記録している。

ヴァーレ社は今年の鉄鉱石生産の目標を達成するためには、第4四半期の生産は昨年同期の8,247万トンを60万トン近く上回る8,306万トンの生産を達成しなくレばならないが、パラー州の年末は好天に恵まれるために、露天掘りにとっては作業がしやすいメリットがある。

今年初め9か月間の鉄鉱石ペレット生産は2,385万トンに達しており、今年1年間の生産目標の3,400万トンの達成のためには、第4四半期のペレット生産は1,000万トン強が必要となっている。

また今年初め9か月間のニッケル生産は13万1,800トン、今年のニッケル生産目標は17万5,000トン~19万トンに設定、今年第3四半期のニッケル生産は71.5%増加の5万1,800トンに達している。

今年初め9か月間の銅鉱石生産は18万6,800トン、第3四半期の生産は前年同期比7.4%増加の7万4,300トン、今年1年間の銅鉱石生産目標は27万トン~28万5,000トンに設定されている。

今年第3四半期の鉄鉱石販売は前年同期比3.5%増加の6,905万トン、鉄鉱石ペレット販売は6.0%増加の852万トンを記録している。

今年第3四半期のニッケル販売は前年同期比6.0%増加の4万4,300トン、前記同様に銅鉱石は7.8%増加の7万500トンを記録している。

ヴーレ社はニッケル及び銅鉱石の中長期生産を引上げ(2022年9月8日付けヴァロール紙)

ブラジル資源大手ヴァーレ社は、傘下のカナダ企業ヴァーレ・インコ社が所有するカナダのニッケル・銅・コバルト鉱山での中長期の増産計画を発表、ニッケルやコバルト生産は電気自動車のバッテリーに不可欠であり、コバルトの多くは、銅やニッケル採掘時に副産物として採掘されるために、電気自動車メーカーでは、バッテリー製造のために資源確保で熾烈な競争を余儀なくされている。

同社では2022年から2023年のニッケル構成生産を17万5,000トンから19万トン、2024年は20万トンへ引上げるが、中期計画では23万トンから24万5,000トン、長期計画では30万トン以上の生産を計画している。

ヴァーレ社では2022年の1トン当たりのニッケルの国際コモディティ価格を1万2,300ドルと予想しているが、中期のニッケルの国際コモディティ価格は1万ドルに下がると予想している。

一方2022年の銅鉱石生産は27万トンから28万5,000トンを見込んでいるが、2023年から2026年は39万トンから42万トン、2027年には45万トン以上の生産を見込んでいる。中期計画では39万トンから42万トン、長期計画では90万トン以上を見込んでいる。

2022年の1トン当たりの銅鉱石の国際コモディティ価格は4,000ドル、中期の銅鉱石の国際コモディティ価格は2,300ドルまで下がると予想している。

資源大手ヴァーレ社は今年の鉄鉱石及び銅鉱石生産を下方修正(2022年7月20日付ヴァロール紙)

資源大手ヴァーレ社は、2022年度のガイダンスでは鉄鉱石生産を3億1,000万トン~3億2,000万トン、銅鉱石生産を27万トン~28万5,000トンにそれぞれ下方修正している。

マラニョン州ポンタ・ダ・マデイラの鉄鉱石の湿度レベルの均一化の臨時オペレーション、中西部システムの売却、世界の鉄鉱石需要対応などの要因で、今年の鉄鉱石生産は前回予定の3億2,000万トン~3億3,500万トンから1,500万トンの下方修正を余儀なくされている。

またヴァーレ社のガイダンスでは今年の銅鉱石生産を、Sossego 鉱山プロジェクトの保守が予定よりも長引いているために前回予想の33万トン~35万5,000トンから5万トンの下方修正を余儀なくされている。

今年第2四半期の鉄鉱石生産は前年同期比マイナス1.2%の7410万トンに留まった一方で、鉄鉱石ペレット生産は8.3%増加の867万トンを記録、鉄鋼石生産が減少した要因として、サプライチェーンの一時的な制限と、粗鋼生産ライセンスプロセスの遅延が悪影響を及ぼした。

また今年第2四半期のニッケル鉱生産は前年同期比マイナス16.1%と二桁台の減産の3万4,800トンに留まった要因として、カナダの Sudbury鉱山は保守のために28日間の操業停止、 インドネシアの Clydach精錬所及び Matsusaka精錬所の保守による操業停止であった。

今年のセメント販売は前年割れ予想(2022年7月12日付ヴァロール紙)

全国セメント工業組合(SNIC)の発表によると、経済動向の指標の一つである2022年のブラジル国内のセメント販売は、2019年から2021年間の3年間連続増加から一転して、前年比1.0%~2.0%減少が予想されている。

今年上半期のブラジル国内のセメント販売は、前年同期比マイナス2.7%に相当する3,080万トンに留まっていると全国セメント工業組合(SNIC)の統計に表れている。

今年6月のブラジル国内のセメント販売は、前年同月比マイナス5.3%の520万トンに留まっており、6月の1日当りの平均セメント販売は、マイナス5.1%に相当する225,300トンに留まっている。

全国セメント工業組合(SNIC)のPaulo Camillo Penna 会長は、2009年のルーラ政権の経済成長加速プログラム(PAC)の大衆住宅建設私の家、私の暮らし Minha Casa Minha Vida”に替わる“ブラジルシンボルカラー大衆住宅 緑と黄色の家 Casa Verde e Amarela”プログラムを批判、連邦政府による早期の大衆住宅向けの新規優遇制度の導入の必要性を指摘している。

先週7日の勤続期間保障基金(FGTS)理事会による“ブラジルシンボルカラー大衆住宅 緑と黄色の家 Casa Verde e Amarela”プログラムによるクレジット上限枠は、7,000レアルの家族収入を僅か8,000レアル迄の引上げに留まったことをPaulo Camillo Penna 会長はセメント販売の増加に繋がらないと指摘している。

2015年~2018年迄の4年間のブラジル経済のリセッションによるセメント業界にとって暗黒の時代から2019年のセメント販売は前年比3.4%増加、2020年は10.6%増加、2021年は6.6%増加の6,440万トンを記録していた。20217月から20226月の過去12か月間のセメント販売は6,350万トンに留まっている。

一般家庭の負債拡大、高止まりするインフレ指数、13.25%の二桁台のSelic金利による住宅ローン金利の上昇などの要因で、建設不動産業界は住宅向け銀行ローンの与信強化、新規住宅販売向けリリース軒数の減少を余儀なくされている。

2021年のセメントメーカーの設備稼働率は68.9%に達していたが、今年のセメントメーカーの設備稼働率は、販売予想の下方修正に伴って67.6%に留まっている。

全国セメント工業組合(SNIC)では、今年のブラジルの国内セメント販売は前年比1.0%~2.0%減少に相当する65万トン~130万トン減少を見込んでいる。またセメント生産するためのコークスや電気エネルギーなどの原材料価格は、過去12か月間で73.5%と大幅な上昇を記録して収益性を圧迫しているとPaulo Camillo Penna 会長は指摘している。

 

5月のブラジルのセメント販売は1.0%微減も今年初め5か月間では2.2%微増(2022年6月7日付けヴァロール紙)

全国セメント工業組合(SNIC)の発表によると、20225月の経済動向指標の一つであるブラジル国内のセメント販売は、 前年同月比0.9%減少の550万トンに留まっている。

今年5月のブラジル国内のセメント販売が微減した一因として、セメント生産用の原材料コスト上昇で、製造業部門向けセメント価格転嫁を余儀なくされたと全国セメント工業組合(SNIC)は説明している。

また海外要因として、ロシアによるウクライナ侵攻の影響による石油、天然ガスやコークスなどの国際コモディティ価格の上昇が更に、セメント生産コストの上昇を助長していると全国セメント工業組合(SNIC)は指摘している。

一方国内要因として、過去最高水準に達している家庭収入の52.5%に達する一般家庭の負債レベル、4月には10.5%に減少した失業率も依然として二桁台を維持している上に、今年初め4か月間の新規雇用者の7.9%に達する実質賃金の目減りを指摘している。

更に二桁台が継続しているインフレ指数、今後も上昇が懸念されている政策誘導金利Selicは既に12.75%に達して、住宅購入向けクレジット金利の上昇を招いているために、4月及び5月は2ヶ月連続で上昇、また今年第1四半期の住宅販売リリース軒数は2.6%減少、2020年以降では初めて減少を記録している。

今年初め5か月間のセメントの累計販売は、前年同期比2.2%減少の2,560万トン、5月の1日当りの平均セメント販売は4.7%減少、今年初め5か月間の1日当りの平均セメント販売は3.1%減少している。