ペトロブラスが新たな燃料価格戦略を同社理事会が承認したと発表

ペトロブラスは5月16日、同社の製油所が販売するディーゼル油とガソリンの価格の設定に関して、輸入平価(PPI)に代わる新たな販売戦略を同社理事会が承認したと発表した。

新たな販売戦略では、顧客の代替費用を価格設定における優先的価値に据える。言い換えると、同一の製品もしくは代替の製品であれ、サプライヤー、すなわち供給における主要な選択肢により提示される価格を優先する。

さらにペトロブラスにとっての限界価値も、製品または製油所で使用する原油の生産と輸出入など、同社にとっての様々な選択肢に基づく機会費用を考慮して算出する。

同社は声明の中で、「販売戦略は、顧客が利用できる最良の代替品を考慮し、国内外の市場とのバランスを考慮して、それぞれの販売時に競争力のある価格を提示することを前提にしている」とコメントした。

またこの価格調整は、ボラティリティーが国内価格に反映されるのを回避すべく周期性を持たせず、引き続き市場及び価格検討グループにより実施される。

この新しい販売戦略を通じてより効率的で市場シェアを考慮し、精油資産の最適化を図り、持続可能な方法で利益率を追求することが可能になるとしている。

その上で同社は、長期的な財務の持続可能性と、市場とのバランスの取れた経営の維持、価値創造に向けて取り組んでいくと改めて表明、競争力のある価格設定を通じて戦略計画で想定する投資を保証すると強調した。(2023年5月16日付けバロール紙)

ペトロブラスが23年5月15日から価格戦略の変更を検討へ

ペトロブラスが5月14日、市場への声明を通じて、社内でディーゼル油及びガソリンに対する価格政策の変更を協議していることを明らかにした。新たに導入する計算式について詳細を明らかにしたかったものの、同社はこの変更について、同社の経営審議会がこの週明けに協議して燃料の価格を決定するための新たな販売戦略にまとめられる可能性があるとしている。

同社の声明によると、「この点に関して当社は、起こりえる変更については技術的観点及びガバナンスの実践及び社内の手続きに準拠することを明確にするものである。この問題に関して下される判断は重要事実として、市場に対して適時公表される」という。

国際相場をベースに販売価格を決定するという同社が現在採用している価格政策に対して連邦政府から変更を求めて圧力がかかる中、この議論の成り行きに市場関係者らは注目している。5月12日には、同社のジャン=ポール・プラテス総裁が、来週(5月第3週)にも同社が新たな価格戦略を発表すると発言したが、詳細については言及しなかった。

プラテス総裁によると、これと併せて価格の変更についても発表される可能性がある。同総裁はこの日、「今ここで明かせば、後で誰も興味を持たなくなる。基準となるのは、安定性対ボラティリティーだ」とコメントした。

2023年第1四半期決算に関するマスコミとの共同記者会見の席上、プラテス総裁は、1年を通じて価格の変更がなかった時代にも、2017年のようにわずか1年で118回もの変更が行われた時代にも戻らないと断言した。

この席上、同総裁は「内外価格差は存在しない。存在するのは輸入に対する価格差だ。販売機会を失う気はなく、顧客に対して魅力的な価格を提示する」とコメントした。ペトロブラスは2016年から、輸入平価(PPI)を採用している。この計算式は、国際市場における原油は製品の価格変動と為替相場の変動を考慮する。ルーラ政権発足後に就任して以降、プラテス総裁は、PPIが同社のドグマ(無批判に盲従してきた教条主義)になってはならず代替の価格政策を模索すると度々発言してきた。

リオデジャネイロ・カトリック大学(PUC-Rio)エネルギー研究所のエジマール・デ・アルメイダ教授は、同総裁のこれまでの発言について、PPI政策を逸脱することなく技術的基準に基づき価格政策を調整することを示唆してきたと指摘する。「ジャン=ポール・プラテスの発言だけでなく声明からも、それを強調している」という。

同教授によると、ペトロブラスの価格政策には、例えば調整のタイミングや地域ごとの価格差などに関連して部分的に改善する余地があるという。「常に、技術的に調整する余地はあり、それによって同社が2010年から2014年に発生したような問題を抱え込むと意味するものではない」という。アルメイダ教授はさらに、政府が当初発言していたのは価格決定において国際市場にもはや追従すべきではないということを示唆していたが、もはやそのような価格戦略は実現不可能だという考えも示した。「ペトロブラスに損害をもたらすというだけではなく、エタノール燃料も含めた燃料市場のバリューチェーン全体に構造的混乱を与えるからだ」という。

ただし、銀行のアナリストや燃料業界の専門家の間では、ペトロブラスが原油の国際相場を無視して国内で販売する燃料の価格を引き下げかねないという強い懸念がある。プラテス総裁が言及したような地域別あるいは州別、個別の顧客に対する価格慣行の実現可能性についても疑問視する声が強い。複数の専門家が、ペトロブラスは何をしようとしているのか詳しく説明する必要があると指摘している。(2023年5月15日付けValor紙)

ブラジル中央電力公社の今年第1四半期の純益は前年同期比マイナス81.9%の大幅減を記録(2023年5月5日付けヴァロール紙)

ブラジル中央電力公社(Eletrobras)の2023年第1四半期の純益は、前年同期の27億レアルに対して81.9%減少のの4億8,860万レアルに留まり、大幅な減少を記録している。

しかし今年第1四半期の純売上は、前年同期の81億6,000万レアルに対して12.7%と二桁台増加の92億レアルを記録している。

ブラジル中央電力公社の第1四半期の営業利益は、昨年同期の28億1,000万レアルに対して41.6%増加の39億8,000万レアルと大幅に上昇している。

また同社の第1四半期のファイナンシャルコストは31億3,000万レアルを記録、税引前利益に支払利息と減価償却費を加算したもので、総資本に対してどの程度のキャッシュフローを産みだしたかを簡易的に示す(Ebitda) は、44.0%増加の48億9,000万レアルを記録している。

 

ペトロブラスの今年第1四半期の石油派生品生産はマイナス4.2%(2023年5月4日付けヴァロール紙)

ペトロブラス石油公社の2023年第1四半期のブラジル国内の1日当たりの石油・天然ガス・液化天然ガス(LNG)の生産量は、前年同期比マイナス4.2%の264万バレルに留まったが、海外の石油派生品を合わせた生産量は268万バレルに達している。

今年第1四半期の石油および液化天然ガスの生産は、前年同期比マイナス4.0%の214万バレル、天然ガス生産は、マイナス5.1%の49万9,000バレルに留まっている。

今年第1四半期にはサントス海盆の岩塩層下原油開発向けのItapu油田の海洋油田・ガス田のある洋上で石油・ガスを生産するための浮体式設備を備えたプラットフォームP-71 が操業開始及びカンポス海盆の新規の8カ所の油田で操業開始している。

今年第1四半期のペトロブラスの石油製油所の設備稼働率は、85%と昨年同期よりもマイナス2.0%となっているが、前四半期比ではマイナス1.0%となっている。

ペトロブラスの設備稼働率が低下した要因として、Henrique Lage精油所 (Revap), Alberto Pasqualini製油所 (Refap)及びPresidente Bernardes製油所 (RPBC)のメンテナンスプログラムによる減産となっている。

今年第1四半期のペトロブラスの石油派生品販売は前年同期比マイナス0.2%の169万7,000バレル、前四半期比ではマイナス4.2%と3カ所の石油製油所の4.3%の減産が影響している。

ブラジルの電力エネルギー部門 M&Aによる資金調達は、300億レアルに達する可能性(2023年3月21日付けヴァロール紙)

今年第1四半期は、米国の銀行倒産と、UBS が買収した伝統的なスイスの金融機関であるクレディ・スイスの危機によって金融市場のボラティリティーの上昇、ブラジルの M&A部門では電力エネルギーでの合併と買収が続いており、今後数か月間で 総額250 億レアルから 300 億レアルの資金調達の可能性が見込まれている。

ここ数か月は、電力エネルギー部門大手や投資運用会社が、特に電力エネルギー生産分野と配電分野で自社資産売却を進めており、大半は再生可能エネルギー資産となっている。

投資銀行では、事業売却による事業主の変更、新規投資家からの資金サポートを受ける可能性のある重要なM&A案件が少なくとも 7 件見込まれており、カナダ資本のブルックフィールドは、Elera 社との共同事業である再生可能エネルギー事業の一部売却すると発表している。

また イタリア資本Enel社はセアラーエネルギー会社(Coelce)の売却を計画しており、負債を含まない売却総額は60億レアル~80億レアルに達すると予想されている。またEnel社はグループ内の可能再生エネルギー事業の一部売却で主幹銀行と契約している。

またスペイン資本のNeoenergia社は送電網事業の一部売却で、買収を希望してい投資家を探すために主幹銀行と契約したが、事業売却による資金調達は20億レアルに達すると予想されている。

Eneva,社は、再生可能エネルギー資産プラットフォームの戦略的または財務的パートナーを探しており、電力エネルギー市場での将来の事業チャンスを捉えるための準備を整えて目的でパートナーを選定している。 またPEC Energia社 は、新しい風力発電プロジェクトに投資できる投資家を探している。

フランス資本 EDF社もまた風力発電事業の Folha Largaプロジェクトの売却先を探している。 Atlas社は太陽光発電のポートフォーリオ事業の売却を目論んでいると業界では予想している。

Siemens Gamesa社のカマサリ工場操業停止は風力発電業界に警鐘(2023年3月14日付けヴァロール紙)

Siemens Gamesa社のカマサリ工場操業停止のニュースは、地政学的緊張、インフレ環境、マクロ経済リスク、さらにはCovid‐19パンデミックの影響に直面して、競争力を維持するのが困難に直面しているブラジルの風力発電業界に警鐘を鳴らしている。

風力発電関連エネルギー機器メーカーのSiemens Gamesa社(シーメンス・ガメサ)は、生産体制を調整し、現在の国内市場の需給バランスをとるために、バイーア州カマサリ市の風力発電生産工場の操業の一時的停止を余儀なくされていると代理店 TC Mover社が説明している。

カマサリ工場の一時的な操業停止は、風力発電所や将来のプロジェクトの運用と保守を含む、シーメンスガメサの現在のオンショア契約には影響しない。 再生可能エネルギーと風力産業が果たす重要な役割、およびこれらの課題を世界的にリードするブラジルの高い可能性に対する同社の信頼は揺るがない。シーメンスガメサがブラジルの顧客に最高の風力技術とサービスを提供し続けることを約束している。

Siemens Gamesa社はブラジルで長期契約を結んでいますが、Tucanoコンプレックス社などとの問題を抱えており、機械の試運転の遅れが原因で AES Brasil社 への払い戻しを余儀なくされていた問題があった。

現在のブラジル市場では、Vestas社、GE社、Siemens Gamesa社、Nordex Acciona社、および Wobben社が風力発電関連サービスを提供しており、アメリカ資本の GE Renewable Energy社 がブラジルでの新しい風力タービン生産停止を発表、現在は Siemens Gamesa社の操業停止により、業界内の機械不足と価格上昇の可能性が懸念されている。

 

今年2月の太陽光発電による電力エネルギー供給は風力発電を追い越して2位に浮上(2023年3月7日付けヴァロール紙)

鉱山動力省の発表によると、2023年2月の太陽光発電による電力エネルギー供給量は26ギガワットに達し、風力発電の25ギガワットを追い越して、水力発電による電力エネルギー供給量に次ぐ2位に浮上している。

太陽光発電によル電力エネルギー供給は、分散型発電 (GD) モダリティで住宅、ビル、駐車場、農家の屋根に太陽光パネルを設置して、消費者自身が電力エネルギーを生産している。

鉱山動力省によると、GD セグメントだけでも、今年の最初の 2 か月でほぼ 1 ギガワット増加し、トータルで18 GW の電力エネルギーを得ている。

鉱山動力省によると、風力発電と太陽光発電はブラジルの総電力供給の約 25% を占めており、2022 年末には 205 ギガワットの電力エネルギー供給に至っている。

2022年の予備データによると、再生可能エネルギー源からの電力エネルギー供給は、ブラジル国内で供給される電力の 85% 以上を占めており、水力発電、バイオマス発電、太陽光発電、風力発電が組み合わされている。

ブラジル政府は、DG に関連するソーラー パネルの拡大が「再生可能エネルギー源と分散型マイクロおよびミニ発電を奨励する公共政策の反映」と説明している。

連邦政府は、官報でガソリンとエタノールの連邦税復活に関する 暫定令MP発行。(2023年3月1日付けヴァロール紙)

連邦政府は、3月1日に官報(DOU)でガソリンとエタノールの連邦税復活に関する暫定令MP発行した。昨年の大統領選挙でルーラ候補と第二次決戦で不利になると判断して燃料に関する社会統合計画賦課金(PIS)及び社会保障賦課金(Cofins)を一時的に免税していた経緯があった。

しかし昨日の午前中にペトロブラス石油公社は、ガソリン及びディーゼル燃料の値下げを発表していたが、午後にはフェルナンド・ハダジ財務相がガソリンとエタノールの連邦税復活を示唆していた経緯があった。

ガソリンの場合、課税は 1 立方メートルあたり 470 レアル、つまり 1 リットルあたり 0.47 レアルで、そのうち約 0.08 レアルが PIS で、0.38 レアルが Cofins であった。 エタノールの場合、課税は 1 立方メートルあたり 20 レアル、つまり 1 リットルあたり 0.02 レアルであった。

暫定令MP は今年6 月 30 日まで適用され、「原油または瀝青鉱物からの油」に対する 9.2% の輸出税率を加えている。

リットルあたりの PIS/Cofins 税率と輸出税は、2月28日の昨日、Fernando Haddad財務相 がすでに発表していた経緯があった。

ペトロブラスは石油およびディーゼル燃料の卸売価格を明日から引下げる(2023年2月28日付けヴァロール紙)

.ペトロブラス石油公社は、31日から同公社傘下の石油製油所の石油およびディーゼル燃料価格を国内外の価格差の解消に向けて引下げると発表している。

ペトロブラスは石油製油所の1リットル当たりのガソリンAの卸売価格を現行の3.31レアルから3.18レアルの0.13レアルの引下げを行うが、値下げ率は3.93%に相当する。

またディーゼル燃料も現行の4.10レアルから4.02レアルの0.08レアルの引下げを行うが、値下げ率は1.95%相当となっている。

ペトロブラスは、一般消費者向けのガソリンポストで販売されているガソリンの組成として73%のガソリンと27%の無水エタノールの必須混合で、一般消費者向け価格のペトロブラスの取分は1リットル当り2.32レアルと説明している。

またディーゼル燃料の場合は、混合率はディーゼルA90%、バイオディーゼルが10%、ペトロブラスの取分は1リットル当りの取分は3.62レアルとなっている。

ペトロブラスはブラジル国内市場における石油と天然ガス派生品の価格形成において、レアル通貨に対するドルの為替レートの接続的なボラティリティの転嫁を回避する。同社は、消費者への燃料価格の形成と構成に関する詳細情報は同社のウェブサイトで入手できると説明している。

 

国家電力庁は6月末予定の新送電網入札を承認(2023年2月14日付けヴァロール紙)

14日に国家電力庁(Aneel)の理事会は、エネルギー変電所の容量を増やすための新送電網のコンセッション契約公告を承認、投資総額158 億レアルが見込まれている。

新送電網のコンセッション入札は、6 月 30 日に予定されており、入札公示公開は 、連邦会計検査院 (TCU) による承認後、5 月 31 日に公開されが予定されている。

この新送電網のコンセッション入札はバイア州、エスピリット・サント州、ミナス州、ペルナンブーコ州、リオ州、セルジッペ州及びサンパウロ州の9ロットで総延長距離は6,184キロメートル、総送電能力は400メガワットが見込まれている。

新送電網のコンセッション入札で最も投資額が大きいのはロット1でバイア州とミナス州の1,116キロメートルの送電網の建設で、投資総額は36億レアルが見込まれている。

また同じくバイア州とミナス州に跨る1,614キロメートルの送電網建設のロット2の投資総額は43億4,000万レアルが見込まれている。

2022年のペトロブラスの石油・天然ガス生産は前年比3.1%減少(2023年2月9日付けヴァロール紙)

ペトロブラス石油公社の2022年の1日当たりの石油・天然ガス・液化石油ガス(LPG)の平均生産量(BOE/dia)は、前年比3.1%減少の264万8,000バレルに留まった。

しかしペトロブラスの2022年第4四半期の石油派製品の1日当たりの平均生産量は、前年同期比2.0%増加の364万1,000バレルを記録している。

同社の2022年の事業の特筆として、昨年4月にサントス海盆のプレソルト鉱区のメロ油田で原油・天然ガス開発向けプラットフォームFPSOグアナバラでの生産開始、1 日あたり18 万バレルの原油生産をしている。

さらにペトロブラスではサントス海盆のプレソルト鉱区のイタプ油田で、昨年12 月に原油・天然ガス開発向けプラットフォームFPSO P-71 で原油の生産開始、1 日あたりの原油生産能力15万バレルを擁しており、今年下半期には15万バレルの生産能力に達すると見込まれている。

ペトロブラスの発表では、昨年最終四半期の石油およびLPG生産は1.9%減少の211万1,000バレル、2022 年の石油とLPGの採掘量は、前年比 3.1% 減少の214 万 2,000 バレルに留まっている。

また昨年最終四半期の天然ガス生産は、前年同期比2.5%減少の50万バレル、昨年1年間では前年比3.1%減少の50万5,000バレルに留まっている。

下流領域の石油派製品生産では、2022 年のペトロブラス傘下の石油製油所の総稼働率は、前年比5.0%増加の 88% に達したものの、昨年第 4 四半期の総稼働率は 86% に留まっていた。

ペトロブラスの2022年の1日当たりの石油派製品販売は、前年比2.9%減少の175万3,000バレル、昨年最終四半期の販売は、前年同期比2.8%減少の179万6,000バレルに留まっている。

ペトロブラス石油公社の昨年の総売上高の減少にもかかわらず、昨年のディーゼル燃料の販売の59% を占める低硫黄 S-10 ディーゼルの売上は一貫した伸び率を記録している。昨年の石油派製品輸出は、前年比10.8%減少の51 万3,000 バレルに留まったが、昨年第 4 四半期の輸出は 39.5% 増加の 61万 4,000 バレルを記録している。