今年8 月の中央政府の財政プライマリー収支赤字は263億5,000万レアル計上 (2023年9月28日付けヴァロール紙)

2023年8 月のブラジルの中銀、国庫庁並びに社会保障院(INSS)で構成される中央政府のインフラ指数を差引いた実質財政プライマリー赤字は、263億5,000万レアル計上、統計を取り始めた1997年初めからでは過去4番目の赤字幅を記録している。

今年8月の過去12カ月間の累積財政プライマリー収支赤字は、GDP比0.69%に相当する709億レアルを記録している。

今年の中央政府の財政プライマリー目標は最大2,315億レアルの赤字だが、財務省と計画予算省は1,414億レアルの赤字に留まると予想している。

2022年8月の中央政府の財政プライマリーは、503億5,600万レアルの赤字を計上していたにも関わらず、2022年の中央政府の財政プライマリーは、GDP比0.5%に相当に相当する541億レアルの黒字を計上していた。

今年8月の国庫庁は、65億1,900万レアルの赤字を計上、社会保障院INSSも197億1,800万レアルの赤字を計上、中央銀行も1億1,300万レアルの赤字を計上していた。

今年初め8か月間の中央政府の累積財政プライマリー収支は、1,045億レアルの赤字を計上したが、国庫庁は1,234億レアルの黒字を計上した一方で、社会保障院は2,277億レアルの赤字、中央銀行も2億7,400万レアルの赤字を計上していた。

8月の中央政府の純収入は、前年同月比マイナス7.1%に相当する1,347億レアルに対して、支出総額はマイナス18.5%に相当する1,611億レアルを記録している。

今年初め8か月間の純歳入総額は、マイナス5.5%に相当する1兆2,250億レアル、歳出総額は4.5%増加の1兆3,290億レアルを記録している。

 

中銀は今年の経常収支赤字を360億ドル、2024年は370億ドルを予想(2023年9月28日付けヴァロール紙)

28日ブラジル中央銀行の四半期インフレレポート(RI)では、2023年のブラジルの経常収支赤字を前回予想の450億ドルから360億ドルの大幅な下方修正を行っている。また2024年の経常収支赤字も370億ドルに下方修正している。

今年も来年も、貿易収支の堅調な黒字、経常収支赤字を上回る対内直接投資(IDP)の純流入を特徴とする好ましいシナリオが予想されている

今年の経常収支の改善の要因として、輸出額の増加と輸入額の減少の影響を受けて、貿易収支が540億ドルから680億米ドルに改善すると予想されている。

2024年の経常収支の予測では、2023年に比べて輸出が輸入よりも大幅に増加することが見込まれており、貿易収支は記録更新となる710米ドルに達する見通しとなっている。

しかしながら、これに伴う経常赤字の減少は、サービス部門の赤字増加によって相殺される一方、第一次所得支出は若干減少すと見込まれている。

 

9月の鉱工業部門の企業経営者の企業経営者景況感指数(ICI)は、前月比マイナス0,4ポイントの91,0ポイントと3カ月連続で前月割れを記録(2023年9月27日付けヴァロール紙)

ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)の調査によると、2023年9月の鉱工業部門の企業経営者の景況感を計る企業経営者景況感指数(ICI)は、前月比マイナス0,4ポイントの91,0ポイントと3カ月連続で前月割れを記録して2020年7月に記録した89,8ポイント以降では最悪の水準位落込んでいる。

今年7月~9月の四半期の平均企業経営者景況感指数(ICI)は、前四半期比でマイナス1,0ポイントの91,4ポイントに減少している。

今年第3四半期の平均企業経営者景況感指数(ICI)の落込みは、最終四半期の企業経営者景況感指数(ICI)も憂慮されている要因として、金利の高止まり、一般家庭の過度な負債、鉱工業部門の高止まりしている在庫、消費財を中心とした国内需要の減少が鉱工業部門の足かせになっている。

中間財の生産に関連する部門からの外需の影響を受けて、現状に対する企業経営者の認識は改善しているものの、短期的に信頼感を改善するにはまだ不十分であるとFGV IbreエコノミストのStéfano Pacini氏はコメントしている。

9月の調査対象となった19セクターのうち11セクターでは信頼感が低下。この結果は、今後数カ月に関する予想の悪化にもかかわらず、現状のより良い評価を反映している。

9月の企業経営者の現状景況感指数(ISA)は、1,2ポイント増加の89,7ポイントを記録した一方で、先行き景況感期待指数(IE)は、マイナス2,0ポイントの92,4ポイントと2023年2月に記録した91,4ポイント以降では最低を記録している。

現在の鉱工業部門の需要水準を示す指標は横ばいで、0.1ポイント変動の91.6ポイントを記録している。

.鉱工業部門の在庫水準は、1.6ポイント上昇して115.2ポイントと再び悪化し、業界が依然としてCovid-19 パンデミックによるロックダウンの影響に苦慮していた2020年6月の118.6ポイント以来最悪の結果となった。この指標が 100 ポイントを超える場合、業界が過剰若しくは望ましい以上の在庫を抱えていることを示している。

鉱工業部門の雇用の推進力を測る指標は、4.0ポイント低下して97.0ポイントとなり、2023年4月に記録した96.5ポイント以来最悪の結果となり、また生産予測を測る指標は2.7ポイント低下の92.0ポイントとなり、2022年11月に記録した91.1ポイント以来最悪の結果となった。

逆に、今後6か月の景気動向は0.5ポイント上昇の88.4ポイントとなり、2021年9月に記録した102.7ポイント以来100.0ポイントを下回ったままとなっている。

また鉱工業部門の設備稼働率は、0,9ポイント増加の81,7ポイントと依然として低い水準に留まっている。

今年8 月の純企業設立軒数は17万8,000社 (2023年9月26日付けヴァロール紙)

26日のブラジル商工開発省の企業マップ調査によると、2023年8 月の企業設立数は36万4,000社に対して、閉鎖企業数は18万5,400社、純企業設立軒数は17万8,000社を記録している。

今年5月~8月までの4か月間の純企業設立軒数は64万4,500社、今年初め8か月間の純企業設立軒数は123万社に達している。

今年8月末の企業総数は2,180万社に達しているが、零細・小企業は全体の93,7%を占めている。

また今年8月末の企業総数2,180万社のうちサービス業関連企業は全体の50,6%を半数以上に達しており、商業部門は31,1%、製造業部門は8,9%、建設業部門は8,1%、その他の業種は1%未満となっている。

最新の速報で示された傾向と一致して、活動している企業の分布におけるサービス活動の割合は徐々に増加しており、2023 年の最初の 4 か月と比較して 0.5% 増加と Mdic は発表している。対照的に、商業部門の企業設立数の割合はわずかに減少傾向となっている。

ブラジルの専門職の給与が大幅に上昇(2023年9月26日付けヴァロール紙)

幹部採用コンサルタント会社が作成したMichael Page 2024年の報酬調査では、ブラジルの専門職の給与が高いことが判明、調査対象の15 セグメントのうち 13 セグメントで、前年比では平均給与の増加が判明している。

Michael Page 2024年の報酬調査では、15 セグメントの1.453職種を対象にブラジルの専門職給与の分析が行われた。

調査対象の15 セグメントのうち保険、秘書、情報技術、物流、人事、マーケティング、法律、販売、金融、農業、エンジニアリング、建設、銀行業務部門の給与の上昇が判明している。

しかし小売業部門とヘルスケア部門の給与は、前年並みで推移していることが判明している。

調査対象の専門職の 82% で昇給が見られましたが、12% では前年並みの給与に留まった。一方前年よりの給与が下がった専門職は6%であった。

特に給与が大幅に上昇したセグメントとして、ロボットプロセスオートメーション(テクノロジー)のスペシャリスト職の平均給与が100%増加。石油化学部門(エンジニアリング)の品質マネージャー職の平均給与が 25% 増加。またCFO (財務) の平均給与も21% 増加している。

ブラジル国内経済はまだ比較的不安定で、緩やかな回復の兆しがあり、この回復はたとえ弱気であっても企業や投資家に自信をもたらし、より多くの雇用と収入を生み出すとMichael Page社CEOのRicardo Basaglia氏はコメントしている。

Copomは、議事録で次回のSelic金利の0,5引下げを示唆 (2023年9月26日付けヴァロール紙)

ブラジル中央銀行(BC)の金融政策委員会(Copom)は、26日発表の議事録の中で、前回の声明に関連する変更はなく、次回のCopom会合での0.5%ポイントの利下げシグナルを維持した。

Copomでは次のステップに関して、次回会合で0.50%ポイントの利下げが行われるという予想に全会一致で同意し、これがインフレ解消プロセスに必要な金融収縮政策を維持するのに適切なペースであると評価している。

Copm議事録には、先週の会合でSelic金利を13.25%から12.75%に引き下げるに至った議論の詳細が記載されている。

金融政策委員会(Copom)では、予想されるディスインフレの動向に対する信頼感をさらに高める相当なポジティブサプライズが必要となるために、Selic金利の0.5ポイント以上の引き下げは可能性が低いと意見が一致している。

金融緩和サイクルの切下げ率に関するCopom委員会のシグナルにも変化はなく、長期にわたる切下げサイクルの延長は、インフレの今後の展開、特に金融政策や経済活動に最も敏感な要素、インフレ期待、特に長期のもの、インフレ予測に依存することが強調された。

Copom委員会は、インフレ率を目標に収束させるという確固たるコミットメントを維持し、サイクルの延長は中央銀行の法的義務を反映するものであることを強調している。

 

9月の企業経営者の景況感指数(Icei) は、29セクターのうち21セクターで前月比マイナスを記録(2023年9月25日付けヴァロール紙)

製造業部門の企業経営者対象の全国工業連盟(CNI)調査によると、2023年9月の企業経営者の景況感指数(Icei) は、調査対象の29セクターのうち21セクターで前月比マイナスを記録している。

この企業経営者の景況感指数(Icei) 調査は、9月1日から13日にかけて1,988人の加盟企業経営者対象に実施。小規模企業は778社、中規模企業は719社、大規模企業は491社であった。

9月の企業経営者の景況感指数(Icei)が悪化したのは、自動車セクター、建設業向けサービスセクター、プラスティック材料セクター、家具セクター、金属セクターなどとなっている。

一方で9月の企業経営者の景況感指数(Icei)が改善したセクターでは、保守サービスセクター、機械・電気関連材料セクター、機械・装置セクター、紙・パルプセクター、皮革セクター、履物・アクセサリーセクターであった。

8月は、製造業界の信頼感は金利低下の始まりに前向きに反応したが、金利は依然として高水準にあり、経済活動や信用に悪影響を及ぼしているとCNI経済分析担当のMarcelo Azevedo部長は指摘している。

また経済の現状に対する認識の悪化だけでなく、今後6カ月間の見通しのせいでもあり、信頼感の低下は広範囲かつ強烈だったとMarcelo Azevedo部長は説明している。

9月にはブラジル全土で製造業界の企業経営者の信頼感が低下。中西部地域は-2.9ポイント)、北部地域は-2.5ポイント、北東部地域は-2.2ポイント地域でマイナスを記録している。

一方南東部地域は-1,3ポイント、南部地域の製造業界の企業経営者の信頼感指数は-1,2ポイントと他の地域よりも落ち込みは少なかった。

. 小規模企業の信頼感は 2.3 ポイント低下し、52.2 ポイントから 49.9 ポイントになった。 50 ポイント未満のデータは自信の欠如分岐点を示している。この指標は中規模企業は-1.8ポイント、大規模企業は-1.5ポイント低下した。

 

 

最終フォーカスレポートは2025年までのインフレ、Selic金利、為替を据え置き(2023年9月25日付けヴァロール紙)

25日のブラジル中央銀行の最終フォーカスレポートによると、今年のGDP伸び率は前回予想の2,89%から2,92%に上方修正したが、2024年のGDP伸び率は前回同様1,50%に据置いたが、2025年のGDP伸び率は1,95%から1,90%に下方修正している。

2023年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回予想の4,86%に据置、2024年も3,86%。2025年のIPCA指数も3,50%に据置いている。

また今年末の政策誘導金利Selicは前回同様11.75%に据置、2024年末は9.00%、2025年末のSelic金利は8.50%それぞれ据え置いている。

今年末のレアル通貨に対するドルの為替は前回同様R$ 4,95、来年はR$ 5,00、再来年の為替もR$ 5,10にそれぞれ据え置いている。

ブラジル地理統計院(IBGE)は9月1日、2023年第2四半期(4~6月期)の国内総生産(GDP)の成長率が、前期と比較して0.9%増加を記録したとする国民経済統計を発表した。

ヴァロール紙が74社のコンサルタント会社並びに金融機関対象の調査によると、今年第2四半期のGDP伸び率の最低予想はマイナス0.8%、最高予想は1.1%増加、平均予想は0.3%増加であった。

連邦政府の今年8月の実質歳入は前年同月比マイナス4.14%の1,727億8,500万レアル(2023年9月21日付けヴァロール紙)

21日に国庫庁の発表によると、連邦政府の2023年8月のインフレ指数を差引いた実質歳入総額は前年同月比マイナス4.14%の1,727億8,500万レアルに留まっている。

また今年初め8か月間の累積実質歳入総額は、前年同期比マイナス0.83%に相当する1兆5,170億レアルを記録している。

今年8月及び今年初め8か月間の実質歳入総額は、8月としては統計を取り始めた1995年以降では、2022年8月に次ぐ歳入総額を記録している。

今年8月のインフレ指数を差引かない名目歳入総額は、前年同月比0.27%微増を記録している。

8月の連邦政府のインフレ指数を差引いた基礎的財政収支対象経費からロイヤリティ収入等の臨時歳入を除いた実質一般歳入総額は、マイナス3.33%の1,670億3,600万レアル、今年初め8か月間の累積実質一般歳入総額は、0.69%増加の1兆4,430億レアルを記録している。

また今年8月の国庫庁の石油ロイヤリティなどの実質臨時歳入総額は、前年同月比マイナス22.92%の57億4,900万レアル、今年初め8か月間の累積実質臨時歳入総額は、マイナス23.22%の745億8,100万レアルとなっている。

今年初め8か月間の免税や支払い延長による累積歳入免除総額は、938億6,400万レアルと前年同期を222億3,800万レアル上回っている。

今年初め8か月間の累積歳入免除の内訳は、ディーゼル燃料向け消費に関する社会保障賦課金(Cofins)並びに社会統合基金(PIS)向け免税総額は252億5,000万レアル、工業製品税(IPI)は152億レアル、給与関連免税は54億6,400万レアルであった。

また健康保険プラン関連は21億1,300万レアル、利益分配に対する課税関連は20億8,500万レアル、資本資産の加速減価償却は14億9,500万レアル。その他には、零細・小企業向け簡易税務申告(Simples Nacional)は422 億 5,700 万レアルの免税額を記録している。

 

中央銀行の通貨政策委員会 (Copom) は、政策導入金利(Selic)の0.5%切下げ決定

20日開催のブラジル中央銀行の通貨政策委員会 (Copom) は、政策導入金利(Selic)を現行の13.25%を0,50%引き下げて12.75%に決定した。

ヴァロール社が140社の金融機関及びコンサルタント会社対象の調査では、139社が0.5%の切下げを予想していたが、唯一1社だけが0.25%の切下げを予想していた。

声明では「予想されるシナリオが確認されれば、COPOM委員会では全会一致で次回会合で同規模の縮小を予想し、これがディスインフレプロセスに必要な金融収縮政策を維持するのに適切なペースであると評価する」と強調した。

Copom委員会はまた、長期にわたる金利緩和サイクルの全体的な規模は、インフレ圧力の今後の展開、特に金融政策と経済活動に最も敏感な要素、インフレ予測の特に長期的なインフレ期待に依存することを強調すると付け加えている。

1999年のインフレ目標設定以来、最も積極的な利上げサイクルを経て、Selic金利は8月までの12か月間、年率13.75%を維持していた。2021年3月から昨年8月まで、当局の金融政策により金利は11.75%ポイント上昇していた

8月2日開催のブラジル中央銀行の通貨政策委員会 (Copom) では、政策導入金利(Selic)を13.75%を0,50% 引き下げて13,25%に決定したが、議事録では次回の会合では同規模の引き下げを予想していると示唆していた経緯があった。。

2020年8月5日のブラジル中央銀行のCopom会議で2,25% から2%に引き下げたが、3年ぶりのSelic金利の引き下げを実施していた。

また20日午後、米連邦準備制度理事会(FRB)は、インフレ抑制のための利上げを見送り、政策金利の誘導目標を5・25%~5・5%の据置を決定。インフレ上昇率は依然として高水準だが、金融引き締めによる経済への悪影響が懸念されており、利上げの効果と副作用を慎重に見極める必要があると判断して利上げを見送った。利上げ見送りは今年6月以来2会合ぶり、2022年3月に始まった今回の利上げ局面では2回目となっている。

Portal MoneYou社の調査によると、インフレ指数を差引かない名目Selic金利12.75%に対して、ブラジルのインフレ指数を差引いた実質金利6.4%は、メキシコの実質金利6.61%に次いで世界2位の高金利に後退、3位はコロンビアの5.1%となっている。

世界の名目金利の比較では、ブラジルの名目Selic金利12.75%は6位。トップはアルゼンチンの118%, トルコ25%, ハンガリー14%, コロンビア13,25% 、ロシアは 13%で5位にランク付けされている。

2021年1月以降のSelic金利の推移