ブラジルへの技術移転に関するセミナーに50人が参加して開催

コンサルタント部会(澤田吉啓部会長)主催の「ブラジルへの技術移転に関するセミナー」が2012年6月22日午後4時から6時まで50人が参加して開催、司会は澤田吉啓部会長が務め、講師は「技術移転の現状」については、大野&押切弁護士事務所のフランシスコ・トシオ・大野弁護士がポルトガル語で講演、フラビオ・押切弁護士が日本語に通訳、また「技術移転に関する租税等」については、押切弁護士が日本語で講演した。

技術移転セミナーでは、技術移転契約とは特許制度によって保護されていない、製品の生産へ使用する技術の取得を主な目的とした契約であり、この種の契約は、製品のプロセス又は技術資料の提供を目的とするもので、その技術取得に使用された技術開発法並びにプロセス又は方法の最新化に必要なすべての情報を含まなければならないと説明した。

技術移転契約には、更に技術援助も含むことができ、 これは、提供者の技術者の派遣或いは技術導入者の社員の訓練と育成を目的とするものであり、契約書には、移転される技術に関する資料及び情報の明細を記述するとともに、当該技術が応用される製品並びに産業部門を明確にしなければならない。

日本の特許局に当たる国立工業所有権院(INPI)の活動として、1958年の大蔵大臣指令436号II項は、「商標又は称号の使用が特許、プロセス又は製造法の使用に由来しない場合」、商標の使用に対するロイヤリティーは、最高限度を1%に限定、商標の使用が特許、プロセス又は製造方法等に由来がある場合のINPIの見解では、商標使用の対価はゼロとなり、技術移転契約書及び特許の使用契約書は、期限的制限があるのに対して、商標の使用は必ずしも期限付ではない。

INPIの純売上高の計算法によると、当事者間で取決められていない諸経費も純売上金の計算の控除の対象になっており、「ロイヤリティーや技術指導料のベースとなる純売上金額の計算では、当事者間で取決められた費用の他に、租税公課や輸入材料及び技術提供者或いは同提供者と直接又は間接的関連ある他者からの購入品、更に手数料、返品に対する債権、運賃、保険料、包装材等がある。

多くの場合、技術移転を受けて国内において製造し販売する場合は 、技術を受入れる側が製品の問題に対する全責任を負うが、 この種の条文は、問題の原因によっては議論の元となるが、しかし、国際契約書にその条文を盛込むことは稀ではない。

INPIは、交付する証書に原則として、登記を行うにあたり条件とした事項、或いは少なくとも技術受入れ側が裁判所で、異議を訴え得る事項を記した書簡について言及している。

技術移転とは一般に、ブラジル側が製品を製造するのに必要なすべての情報及び資料の提供を意味し、訓練又は実践的指導による技術援助を含むものであり、 INPIにおける契約書の登記は、税務上の控除並びに対価の送金の絶対条件で、
この種の契約について形式的な処理要綱を持っていないが、今もまだ契約書の登記の際には、強制的条件を押し付けていることなどを説明した。

続いて、フラビオ・押切弁護士は、「技術移転に関するロイヤリティーや技術指導料金の控除に関する法人所得税法の規定」について、使用料金(ALUGUEL) – 費用の控除条件として、収益の製造に必要な費用であり、物品や権利の購入又は利益の偽造配当ではなく、特許の購入に使われた金額は、特許の有効期間ないに償却する、但し商標の購入に使われた金額は償却できないと説明した。

押切弁護士は、INPIへの登記並びにBACEN(中央銀行)への登記についても説明、会社の事業開始又は新製造方式を導入してから5年間、但し、必要性を立証すれば更に5年間延期でき、ロイヤリティー(特許や商標の使用料)と技術指導料金は当該製品の純売上金額の5%であり、5%をオバーした金額は利益の配分とみなされ、課税の税率では源泉所得税は15%、技術開発計画への納入金は10%などについて詳細に説明した。

プレゼン資料:Apresentação da Palestra

技術移転の現状 大野&押切弁護士事務所のフランシスコ・トシオ・大野弁護士

技術移転に関する租税等 大野&押切弁護士事務所のフラビオ・押切弁護士

左から大野&押切弁護士事務所のフランシスコ・トシオ・大野弁護士/フラビオ・押切弁護士

司会の澤田吉啓部会長

50人が参加したセミナーの様子

50人が参加したセミナー

 

https://camaradojapao.org.br/jp/?p=36721