企業経営委員会(破入マルコス委員長)主催の「変化の激しいブラジルにおける企業経営のポイント」セミナーは、2015年7月29日午後4時から5時30分まで60人以上が参加して開催した。
講師のNK Contabilidade社の橋本晃顧問は、日本進出企業の代表者として10年近くブラジルで企業経営者として積んだ経験を基に講演、初めに日本企業の置かれた環境の問題点、日本とブラジルの企業経営の相違点、特に日本企業の課題としてグローバルな事業運営をマネージできる人材不足、1994年のFHC大統領によるレアルプランでハイパーインフレが収束、1999年の金融システムが不安定で通貨レアルが急落、2002年の大統領選挙をめぐっての通貨投機、2003年のルーラ大統領による財政緊縮措置、2005年以降の強い需要によるコモディティーの高価格維持、2008年のリーマンショックによる世界金融危機発生もブラジルは金融危機を乗り越える。
2010年のヨーロッパのPIIGSと言われる国々で財政危機、2011年末のDilma第1次政権誕生、2012年のブラジルの経済成長力低下の開始、2013年の経済停滞及び政府への大規模抗議行動の発生、 ブラジルを含む金融市場でのフラジャイル5への注目、 2014年のブラジル最大規模の疑獄事件“Lava Jato”が発覚、また水不足問題が浮上、2015年の顕著な景気後退並びに政府の信任が失墜について説明した。
ブラジル国内には人口が2億人で膨大な消費市場を抱え、豊富な天然資源、世界的な食糧補給基地など底知れないポテンシャルを抱えている一方で、税率の上昇、 労組からのベアの圧力、公共負担の上昇、在庫費用、 航空便による輸送費、廃棄製品、為替リスクなどの予測できない数々のリスクを抱えており、サポート産業が無いため輸入品への高い依存など悪環境での企業経営を強いられていると説明した。
また大半の部品・材料、テクノロジー製品は海外でしか調達ができず輸入に依存、如何に早く本当に必要なだけ持ってくる重要性の認識、サプライチェーン全体をサプライヤーとWin-Winの関係でマネージすることの重要性、レアル通貨(R$)下落時のシュミレーション、為替の管理の重要性、リスクと危機の違い、ビジネススキームの基本モデル、企業経営の基本構造、NKのビジネスモデル、有名な中国の兵法家の孫子が唱えた「孫子の兵法」と云われる言葉で「戦略の失敗は戦術で挽回できず、戦術の失敗は戦闘では巻き返しできない」ことなどについて説明した。
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講演中のNK Contabilidade社の橋本晃顧問
熱心に講演に聞き入る参加者
Mais de 60 representantes das empresas associadas prestigiaram o evento.
左からMaurício Kinjô, Rogério Kita e Akira Hashimoto (NK Assessoria Contábil e Fiscal) e Marcos Haniu (Authent)
Fotos: Rubens Ito / CCIJB)