変革のアルゼンチンにJETROが大型インフラミッションを派遣(2016年7月12~14日)

12日から14日までJETRO(米谷光司理事、大久保 敦サンパウロ事務所所長)主催のアルゼンチン・インフラミッションに当所の相互啓発委員会(粟屋 聡委員長)が共催、首都ブエノスアイレスに76名の大型ミッションを派遣。米谷光司JETRO理事を団長に村田俊典ブラジル日本商工会議所会頭が副団長となり引率したメンバーは54社・団体に及び、うち当所の会員企業が約半数以上を占めた。日本政府関係者や事務局を含めると90名強の歴史的な超大型ミッションだ。

在亜日本国大使館(福嶌教輝大使をはじめ計5名)、JETRO事務局(稲葉公彦ものづくり産業部長をはじめ、計10名)、日本本社、米国法人、メキシコ法人、アルゼンチン法人、当所の貿易(商社)部会、電気・電子部会、機械金属部会、金融部会、食品部会、運輸サービス部会、自動車部会、コンサルタント部会のメンバー多数に加えて会議所から平田藤義事務局長が参加した。

2015年12月に発足したマクリ政権は前政権の保護主義的な政策を転換、為替規制、対外債務問題の解決を急ピッチで進めている。インフラ投資や輸出の条件が整いつつある。前政権下での投資停滞により老朽化したインフラの更新が政策の目玉の一つになっている。インフラ事業に強みを持つ日本企業及び日系企業の同国におけるインフラニーズの把握及び有望案件発掘がミッションの目的である。

JETROおよびアルゼンチンの投資貿易促進庁が歴史的な由緒ある市内のサンマルティン宮殿を会場に3日間におよぶセミナーのプログラムは(1)アルゼンチンへの投資機会、(2)水資源及び環境、(3)交通・ロジスティック分野における投資機会、(4)「通信分野における投資機会」、(5)エネルギー・電力・省エネ分野、(6)天然資源分野の展望、(7)地域での投資機会の7つのテーマから構成されていて各々の分野の政府機関(大臣、副大臣、総裁、副総裁、局長や補佐官および担当次官等々)から投資案件について詳しい紹介があった。参加者には後日、PPT資料が送付される予定。

初日12日はテーマ(1)「アルゼンチン経済の現状及び展望」、「アルゼンチンへの投資機会」、「投資の為の法的枠組み」、「金融システム概況及び中央銀行の役割」およびテーマ(2)「水資源及び環境インフラと投資機会」、セミナー2日目はテーマ(3)「鉄道インフラと投資機会」、「空港システムと投資機会」、港湾インフラと投資機会、テーマ(4)「通信分野における投資機会」、テーマ(5)「エネルギー分野の投資機会」、「電力分野の概況及び投資機会」)が、そして最終3日目の14日にはテーマ(6)「工業分野の投資機会」、「アルゼンチンにおけるJOGMECの活動」、「農業分野の投資機会」)およびテーマ(7)ベルグラーノ計画について「アルゼンチン北部における投資機会」)等、質疑応答を含め広範囲かつ盛り沢山のプログラムである。

3日間のプログラムの特徴としてセミナー以外に午後あるいは午前の部に現場視察が織り込まれ非常に充実した企画。初日は午後2グループに分かれ①地下鉄・メトロバス、②YPF(国営製油所))を視察、2日目は①ブエノスアイレス港、②AySA、3日目は午前中に①ブエノスアイレス市街中監視センター或は②ENARSA火力発電所視察見学会で連日バス2台に分乗、行く先での対応を含め参加者から大好評であった。

昨年12月に誕生したマクリ政権で変貌するアルゼンチンに一早く目を付けた米国、オバマ大統領が訪亜、同国から大勢のミッションが派遣されたのに続き、今年5月にはミケティ副大統領が訪日、安倍総理と会談後にこのミッションが実現した。

去る5月、当所の定例昼食会に福嶌教輝在亜日本国大使(前サンパウロ総領事)が駆けつけ「アルゼンチンの現状と見通し」と題した熱弁講演が大型ミッションの誘い水効果の一つとして挙げられる。

初日12日(火)、大久保JETROサンパウロ所長が司会、米谷理事が開会挨拶、ミッションメンバー紹介、板倉輝幸一等書記官が「アルゼンチンの現状と見通し」について講演の後、アルゼンチンの投資促進庁による挨拶、村田会頭挨拶、米谷理事挨拶、福嶌大使挨拶につづきミケティ副大統領が挨拶した。

ミケティ副大統領は今回インフラミッションが実現できたのは去る5月、日本を訪問した際に安倍総理と会談、その成果だと思う。真面目な国、日本とのさらなる関係強化が進展する事に対し感謝している。

亜国の変革は冒険では無い、国民全体が決めた事、政府は議会ではマイノリティーであるがアライアンスを組んで賛成多数を得ている。生活水準を上げ色々なリソースを持つ亜国はメルコスール諸国以外にチリなど世界との関係拡大を目指す。

行政面では各種色々な法案を国会に提出、一般市民の支持を得ている。輸出入のバリヤーを排除、貿易促進局が中心となってビジネス環境改善を図っている。全力で信頼回復に努めている。

ここ4年間に1000億ドル規模のインフラ投資を計画している。アルゼンチンは長期のスパンで見る目が不得手、日本企業が持つプロジェクトの質の重要性を認識している。オープンな行政府下で透明性を担保する事が極めて重要、ブエノスアイレス市の経験を全土に活かしたいと信頼性の回復を強調した。

写真提供: ジェトロ・サンパウロ

開会セッションの模様

村田会頭とミケティ副大統領

地下鉄視察集合写真

AYSA視察

ブエノスアイレス港視察

火力発電所にて集合写真

https://camaradojapao.org.br/jp/?p=42080