安倍総理は「日・ブラジル医療分野規制に関するセミナー」で薬事規制分野での協力を表明

ジェトロ並びに独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)とブラジル国家衛生監督庁(ANVISA)、日伯援護協会主催による「日・ブラジル医療分野規制に関するセミナー」は2014年8月2日午前10時から午後5時までサンパウロ市内のローザ・ロザルンに400人近くが参加して開催した。

初めにジェトロの石毛博行理事長は開催挨拶で、100年以上前に日本移民はブラジルに移住、安倍総理は10年ぶりの総理の来伯であり、日本側からは近藤PMDA理事長、ブラジル側からはバルバーノANVISA長官が参加、日伯の医療や医薬品分野の会合は初めてであり、ジェトロでは医療の国際化を進めており、日本の高い医療レベル、技術、経験をブラジルで生かしたいと説明した。

続いてバルバーノANVISA長官は、テーマ「日本・ブラジル医療を取り巻く最新動向及び今後の協働」で、2011年にANVISA長官に就任、ANVISAは、1999年に設立された、医薬品・医療機器・食品等の製造・販売における許認可権限を有する、ブラジルの特別機関であり、ブラジル国内の5000都市には8万2000軒の薬局、6300病院を擁しており、ANVISAは医療全般をカバーして社会に貢献、医薬品医療機器総合機構(PMDA)とタイアップしてブラジルでの医療規制などを改善していきたいと説明した。

近藤PMDA理事長は、ANVISAとセミナーを共催できるのは非常に素晴らしく、パートナーのANVISAはブラジルの医療分野などで大きな貢献をしているが、PMDAは2004年に設立、薬事法上の評価を行う日本の独立行政法人であり、審査担当者の大幅増員や高い専門性のノウハウの蓄積で、2008年度には22カ月かかっていた新薬の審査期間を2012年度には10カ月と4年間で半分以下に短縮させることに成功し、世界トップレベルの審査スピードに引き上げることができ、今後はお互いの交流を密にしてWin-Winの関係を構築したいと説明した。

「潰瘍性大腸炎」と呼ばれる難病を抱えていた安倍総理は、薬事手続きの承認の早期化は非常に大切であり、数年前に新薬が承認されたために難病を克服して再度総理に就任した私は一貫して規制緩和を掲げてきており、今後一貫して新薬審査の短縮を図ると説明、今回のブラジル訪問を機に、医療・保健分野における協力関係に同意したことを踏まえ、日系病院などへの支援を通してブラジルの医療・保健サービスの充実に支援していくと強調した。

ANVISAのジョゼリート・ペドローザ医療機器部門マネージャーは、テーマ「医療機器・医薬品審査の効率化」で、効果的な医療機器の生産、ブラジルにおける医療機器規制、ビジネス・フレームワーク、規制スキームの見直し、ANVISAの組織構成、ブラジルのヘルスケアシステム、ブラジルの医薬品生産の推移、医薬品の輸出入の推移、ANVISA研究室ではシャーガス病、B並びにC型肝炎、エイズ対策に取り組んでいることなどを説明した。

ANVISAのマルセロ・モレイラ生物製剤部門ジェネラルマネージャーは、ANVISAの生物製剤部門組織構成、ブラジルの生物製剤ライセンス、ワクチン開発、生物製剤規制の推移、規制フレームワーク、生物製剤承認期間の短縮、国際医薬機関との協力体制などについて説明した。

PMDAの山田雅信審議役は、ANVISAの医薬品の承認は迅速化、効率化が課題であったが、PMDAは新薬承認の短縮化を達成のためにスタッフ250人体制から750人態勢に増員、また組織の改革、チーム審査制度の導入、最新科学委員会の設立、大学並びに研究機関との人材交流プログラムの導入、先駆けパッケージ戦略、申請データ―のデータベース化などを行ったノウハウを擁しているので、ANVISAの医療機器・医薬品審査の効率化に協力できると説明した。

安倍総理

ブラジル国家衛生監督庁(ANVISA)のバルバーノ長官

独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の近藤理事長
 

ジェトロの石毛博行理事長

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