平成19年度官民合同会議が11月22日に、聖市内ホテルに48人が参加して開催

平成19年度官民合同会議が11月22日午前9時から午後4時まで、メリア・モファレジホテルに官 民代表48人が参加して開催、日伯交流年・ブラジル日本移民100周年における官民協力、今後の日伯関係の活性化、会議のフォローアップなどについて大い に意見の交換が行なわれた。

司会は新井辰夫公使が担当、初めに在ブラジル日本大使館の島内憲大使、ブラジル日本商工会議所の田中信会頭、外務省本省の水上正史中南米局審議官がそれぞれ冒頭挨拶を行なった。

最近のブラジルの政治・経済情勢セクッションでは、水上審議官がビジネス環境整備について、島内大使がブラジルの内政・外交政策について、田中会頭は最近のブラジルのマクロ経済情勢と経済動向についてそれぞれ熱の入った講演を行った。

続いて地域経済の動向では、アマゾナス日系商工会議所の山岸照明相談役は、同会議所には32の進出企業が会員となっており、マナウスフリーゾーン (ZFM)の売上や雇用に多大に貢献しているが、ZFMの抱える問題、役割や将来に対する任務などについて説明、また来年の交流年/日本移民100周年祭 では州政府やSuframaがバックアップして色々な行事、シンポジウム、日本移民関係出版など予定されていると説明、パラー日系商工会議所の田中國博理 事はパラー州の地理、主要産業、豊富な天然資源、バイオエタノールへの転作や森林資源の伐採規制による影響、ドル安の為替による価格競争力を無くした輸出 産業、二世への引継ぎなどについて説明した。

続いてリオ・デ・ジャネイロ日本商工会議所の堤寿彦会頭は、最近の産業トレンドでは、石油関 連輸出が好調、深海海底油田による石油・天然ガス採掘用プラットフォーム建設、パイプラインの整備、好調なメタルや造船業界、インフラ投資などで金融業界 も好調であるが、改善されない治安及び日本人観光客の減少してきているが、交流年の来年に期待、新規邦人企業進出減少による日本人学校就学児童の減少など を説明、移民100周年祭関係では30ぐらいのイベントが予定されているが、来年2月3日のカーニバルに日本・移住100周年テーマのチームが参戦するの で参加者を募っていると説明した。

またパラナ日伯商工会議所のアントニオ上野会頭は、会員企業は125社であるが、会員企業が各地方都市 に分散しているために、主要都市に支部を設置しているが、進出企業は僅かに20%で60%が地場企業、同州はブラジルでも有数な農業州であり、日系企業は 農産加工で実績を挙げており、また日系の連邦議員、州議員、市長なども多く輩出、また日本への経済ミッションも毎年派遣していると説明、ルイス・ニシモリ 理事は、移民100周年祭では日本文化の継承や日本移民の貢献をブラジル社会にアピールするチャンスであり、パラナ州ではローランジアでは5万人参加の大 掛かりな式典、EXPO移民展、夢パーク、マリンガ市の日本公園、ロンドリーナでは大学建設、アサイ市では築城、クリチーバでも日本公園建設などのプロ ジェクトの進行具合を説明した。

最後に南伯日日本商工会議所の上野真美副会頭は、南大河州及びサンタ・カタリーナ州の生活環境指数、人的 資源、南大河州が抱える公共財政、税制、エネルギー、情報産業や医療産業部門への海外からの投資誘致などを説明、日本移民100周年関連では、来年9月に 関係日系団体が合同で開催、南日伯援護協会が主体に開催準備を行なっていると説明した。

水上審議官は日本側の日伯交流委員会や政府等の準 備として、オープニング及びキックオフイベント、記念式典、記念貨幣や記念切手の発行、外務大臣表彰、ブラジル側の記念式典について説明、西林総領事は1 月16日に行われるキックオフコンサートや主要事業について説明、参加協力を要請、田中会頭はブラジル日本商工会議所の交流年/移民100周年への取組み について、100周年分科会の設立、100周年祭典協会実行委員会への参加、会議所プロパー事業などについて説明した。

今後の日伯関係の 更なる活性化セクッションで、水上審議官は日伯戦略的パートナシップのために賢人会議の設立、日伯関係の背景では両国の人の絆、経済関係などの概略を説 明、JBICのリオ事務所の相川武利首席駐在員が日伯経済強化では、ブラジルの豊富な天然資源取引など、伝統的な相互補完関係から更なる相互補完関係と対 等な協働関係として、日本の先端技術、省エネ技術での相互技術協力、ジョイントベンチャー促進、第3国市場での共同取組み、IT分野等先端サービス産業や 環境面での取組、人材育成、当面の優先分野として鉄鋼等金属産業、バイオ燃料、インフラ整備、林産品、自動車産業、エネルギー資源開発などを挙げ、連邦政 府はCDM分野での外貨獲得に期待していると説明した。

個別分野報告では、三井物産社長の大前孝雄副会頭は「バイオエタノールの現状と課 題」と題して、世界の燃料用バイオエタノールの導入状況、日本のバイオエタノール導入計画、対ブラジル投資の動向、ブラジルにおける日本企業の主な取組、 日本政府・政府系機関へはエタノールの具体的導入プログラムの早期確定、エタノール利用インセンチブ、制度面での支援について講演した。

三井住友銀行の内田肇部長はCDMとして二酸化炭素排出権取引及びブラジルでの取組、今後の事業展開、ブラジルでのCO2取引の有望性や支援について講 演、プリモッテック21の三好康敦社長は、ブラジルが採用したデジタル放送の日本方式、日本でのデジタルテレビの現状、南米への普及活動及び課題、南米諸 国での放送方式統一の重要性、ブラジル側での日本側支援ニーズ及び人材育成、受信機普及、インフラ投資へのファイナンスについて講演した。

南米新日鐵の中川理取締役は「鉄鋼業界の世界的な再編成について」と題して、2000年以前の生産量は年平均1.0%と低率で推移したが、2000年以降 の鉄鋼需要は、中国が年率20%を超える需要増で、世界平均5.0%から7.0%と大幅に増加、また鉄鋼企業の統合、再編・淘汰が継続、資源メジャーの寡 占化、アルセロールによるミッタルの買収劇、買収で得た教訓と日本製造業の強さの源泉を守るための対策、巨大鉄鋼会社誕生での今後の影響、欧米や日本での 鉄鉱再編などについて講演した。

大前孝雄副会頭は「日伯社会保障協定の早期締結に向けて」と題して、日伯社会保障協定に向けた取組の経 緯、2008年への日伯交流年の締結などに向けた対応、会議所アンケート結果からの試算値によるブラジルの日本進出企業の社会保険料はイタリア、チェコに ついで3位で二重払い規模が大きいので、二国間での早急な解決の必要性などについて講演した。

ホンダの鍋島直裕取締役補佐は移転価格税制 について、商工会議所での取組の経緯や連邦政府へのレター提出、FIESP、防衛委員会や日伯経済合同委員会でのアプローチ、今後の取組み方として色々な 方法でのアプローチ継続の必要性について講演、最後にジェトロサンパウロ事務所の渡邉裕司所長は、知財所有権について、回収率が非常に悪かった300社対 象のアンケートでも実害に遭っている企業が7社、間接的被害が12社と実態の把握の必要性、国際知財フォーラムの立上げ、北京へのミッション派遣での意見 交換、ロシアやアジア各国での知財対策会議(IPG)の立上げによる情報交換及び改善の要請、ブラジルでのアジアからの輸入コピー商品増加による日本企業 の被害増加が予想されるために、情報交換やアンケート調査での協力を要請して講演を終えた。

水上審議官は第2回作業部会では両国の社会保 障制度システム違いによる社会保障制度の論点の整理が行なわれたが、6ヵ月後の第3回作業部会での調整などについて説明、島内大使は作業部会では社会保障 での信頼関係の確立ができたが、締結推進に向けては国内経済界の要望や支援が必要であり、知財所有権では担当省でも反応がよいが、日本のノウハウが必要、 移転価格税制では官民連携が必要となってきており、フォローアップのための定期的合同作業部会開催を提案して、参加者全員がフォローアップメカニズムに賛 同した。

島内大使は閉会挨拶で期待通りの会議となり、充実した色々な議論ができ、また来年の交流年・100周年事業では各地で準備ができてきており、日伯関係の更なる活性化が大いに期待できると結び、田中会頭も前向きな議論と結論ができたことに感謝して閉会となった。

 

平成19年度官民合同会議の様子

071122 官民合同会議2

パワーポイント使用して講演

071122 官民合同会議3

積極的な意見交換が行なわれた

https://camaradojapao.org.br/jp/?p=31302