平成24年度官民合同会議開催

平成24年度官民合同会議は、2013年2月25日午前9時から正午過ぎまで松原ホテルで開催、三輪 昭在ブラジル日本国特命全権大使 / ブラジル日本商工会議所名誉会頭、中南米局南米課の今田克彦首席参事官、片平 聡公使参事官、福嶌教輝在サンパウロ日本国総領事 / ブラジル日本商工会議所名誉顧問、商工会議所からは近藤正樹会頭はじめ32人が参加した。

初めに三輪大使が「ロウセフ政権の動向」について、政権支持率は62%に達してカルドーゾ政権第1期並びにルーラ政権第1期を上回る高支持率を維持しており、コントロールされたインフレ、GDP伸び率は低いが堅調なマクロ経済、自国産業競争力を強化する産業政策の導入、インフラ整備、金利の引き下げ、クレジットの拡大、ブラジルコストの削減、留学生送りだし10万人計画などについて説明した。

外務省南米課の今田首席事務官は、配布資料の「第1回・メルコスール経済関係緊密化のための対話(概要)」で、日本・メルコスール各地域の経済貿易状況、貿易投資促進、自由貿易協定について説明、「メルコスールの概要」では加盟国、準加盟国、目的・原則、域内のGDPについて説明、「太平洋同盟」では加盟国、オブザーバー、特徴、目的、経緯について説明、「日ブラジル関係の活性化」に向けてでは、ジウマ・ロウセフ大統領の訪日招請について説明、「ルーラ大統領訪日の際に公表の日伯共同文書」では、日伯21世紀協議会などについて説明、また他に在外邦人の安全、邦人保護、安全対策チームの設立、国境なき科学による留学生の受け入れについて説明し、その後の質疑応答では、アルジェリアで発生したテロの発生に対する対応、交番制度の全国的な普及など予防安全対策の拡大の要請などが挙がった。

続いてサンパウロ州工業連盟(FIESP)国際関係・貿易担当のロベルト・ジアネッテ・フォンセッカ理事が講演を行い、ブラジル経済動向について昨年のブラジルのGDP伸び率は1.0%前後であったが、国内消費は10%近く上昇、製造業部門のGDP伸び率はマイナス2.0%からマイナス5.0%と大幅に落ち込んだと説明した。

輸入関税を引き上げる保護貿易に傾いており、ドル高の為替に誘導したにも関わらず、輸出の伸びが鈍化、また中国は為替を人工的にコントロールしており、エタノールの生産減少で、ガソリン輸入が大幅に増加して貿易収支が悪化しているにも関わらず、外貨準備高が非常に大きいために問題はないと説明している。

ブラジルは公共投資並びに教育、インフラ整備に投資、4000万人がCクラス入りして消費が拡大、クレジットはそれほど拡大していないが、ブラジルの金融システムは健全であり、今後は国内のロジスティックセクターの強化が必要で水上輸送、南北鉄道の整備、サントス港やパラナグア港の港湾整備、2月にギド・マンテガ財務相と社会経済開発銀行(BNDES)のルシアーノ・コウチーニョ総裁がニューヨーク並びにロンドンで海外投資家によるブラジル国内のロディスティック部門の投資を活性化させるためのロードショーを実施、数か月後には東京並びにシンガポールでも実施すると説明した。

ジアネッテ理事は、ペトロブラス石油公社がゴイアイス州並びにマット・グロッソ州からリベイロン・プレートを経由して、サントス港並びにサン・セバスチャン港へエタノールパイプラインを敷設して、トラック輸送の代りにパイプラインで効率よく輸送する計画を説明、また米国並びにヨーロッパ連合がFTAの交渉開始を発表したが、ブラジルはメルコスールに加入しているために縛られており、ブラジルと日本はタイアップしてモザンビ-クやガーナなどで、インフラ整備事業や食糧の増産プロジェクトを進めることは非常に重要であり、また日本からブラジルへの投資を歓迎、今年1月に始まったFIESP連盟と商工会議所の意見交換会を更に進めて連携強化したいと説明した。

近藤会頭は初めに今月22日に開催された業種別部会長シンポウジウムの発表資料が参加者に配布されていることを説明、今年のブラジル経済は緩やかに回復するが、マクロ経済は業種によっては回復がまだら模様と説明、2009年から始まった貿易投資委員会でのビジネス環境改善として、最長3年間有効な商用マルチビザが昨年1月1日から発効され、本社からの出張者をはじめ新たな進出の可能性を求め、毎日のように会議所を訪問する方々から今までと違い査証申請すると24時間以内に発給され、しかも3年間有効となった事で非常に助かっていると感謝されていると説明。

2点目に日伯社会保障協定が昨年3月1日から発効、理不尽不合理な年金保険料の二重払いが解消され、企業および企業駐在員の年金保険料の負担額が軽減され大幅なコストダウンになった他、両国間の人的交流や経済交流が加速度的に促進されていると述べた。

3番目に3.11大震災以降、日伯貿投委の最大課題の一つであった日本産食品の輸入規制緩和については、昨年8月の当所食品部会の懇談会でも大きく問題視され、直後に大使館や総領事館の担当官等がサントス港の現場検証をした他、昨年10月、日本の農林水産省外務部がブラジルの衛生監督局とブラジリアで会合、福島県産を除き規制緩和見直し中と11月9日に開催された日伯貿投委で報告され、韓国や中国産に置き換えられたりして影響がでているため、当所会員を含むリベルダーデ界隈の日本産食品販売店にとっては素晴らしい朗報となっていると説明。
第4点として1997年から施行された移転価格税制はその後、細則や暫定令が公布されて来たが、ブラジル独自の制度のため改正・公布の都度、整合性や矛盾点が多く、外資系企業の親子間取引においては大きなビジネス障害要因となっていた。

特に2009年2月に開催された日伯貿投委から本格的に取り組み、国際標準にはまだまだ程遠いが、法律12715号(2012年9月17日)の再販価格基準法のマージン率の設定は一部デジタルカメラや光学機器製品のマージン率40%を除き、一定の評価に値する改善が見られた。

特筆すべき主な報告事項として、当所の会員企業数が昨年9月、1990年に記録した333社(進出186社、地場147社)のピークに達し、昨年9月の会員数の内訳は進出企業193社、コロニア、ブラジル、外資企業を合わせた地場の企業数は140社、その後下ぶれする事なく12月末には進出企業200社、地場企業140社で合計340社と増加の一途にあり、進出企業だけに限れば昨年1年間に23社が入会した。

進出企業の入会は勢いが衰えず、今年1月にはさらに6社が登録、過去13カ月の入会企業を製造業とサービス業に大分類すると各々18社(62%)、11社(38%)と概ね6対4の比率となり、さらに業種別に分けると最も多いのが自動車7社、機械5社、電気電子3社、化学品2社、食品1社そして建設不動産3社、運輸サービス3社、貿易2社、コンサルタント2社、金融1社の構成となっている。今日現在の進出企業数だけに限れば1980年に記録した過去最高215社に後僅か11社の入会が実現出来れば年内に記録を更新する事が可能となる。

昨年、特筆すべき案件としてペトロブラスのプレソルト沖合プロジェクトがあり、ペルナンブーコ州では6月にI社がEAS(アトランチコスル造船所)と造船技術支援契約を締結、12月には漸時、技師を現地造船所に派遣し、合計30人超となっている。

バイア州においては5月にK社がE社と技術支援契約及び出資契約を締結し、7月に頭金を入金して造船所の建設工事が開始、又南大河州でもM社がE社への資本参加を含む技術協力の交渉を開始、SENAIよりJICAに造船技術協力の依頼があり、機械金属部会に造船分科会を設けて3社が情報交換を行いながら協力することになり、この分科会設置に際しても将来の技能工や技術者育成を見込み、JICAの支援と協力のお陰であった。

国際公共政策研究センター(CIPPS)の「世界経済とブラジル経済の景気動向調査」にアンケート調査協力会員企業が昨年4月から受益者参加、精度の高い多変量自己回帰モデルを使い分析する調査に47社67拠点が参加し、不透明な世界経済の中でこの権威ある分析調査の結果は、企業経営の羅針盤的な役割を担ってくれるものと期待されており、統計的に意味のあるアンケートサンプルサイズが確保できる年央あたりに、同理事長からこのモデルについて講演される可能性があると説明。

今年1月、福嶌教輝総領事がSKAF会長を訪問の際、SKAF会長から日伯間のEPA構築の提案された事を踏まえ、去る2月14日FIESPの国際関係担当から【将来2国間のビジネス促進にあたってEPA協定の構築について前向きに検討したい。ワーキンググループを作るにあたって当会議所およびサンパウロ総領事館の参加のもとで2月28日に第1回会合を開きたい】との趣旨で会合開催の提案があった。

最後に官に対する要望事項として近藤会頭は、貿投委で取り上げて改善したものも多くあるが、ブラジル経済の発展のために更なる環境整備のためにサポートの継続を要請、また平田事務局長はFIESP連盟との連携強化や今後の対応について、来週、ジアネッテ取締役と話し合いの場を持つことで合意したことを説明している。

南米公文社の喜田川直也社長は、ブラジルへは36年前に進出、公文では47カ国で430万人の生徒が学んでおり、南米には6カ国で18万人が学んでいるが、そのうちブラジルでは15万人が学んでおり、ブラジルは日本並びに米国に次いで生徒数が多く、数学、英語、ポルトガル語、日本語を教えており、生徒の能力に合わせる方法を採用しているが、教師の力量を引上げる必要が常にあり、教育を通してブラジルに貢献したいと述べ、その後質疑応答が行われた。


 

https://camaradojapao.org.br/jp/?p=37689