日メルコスールEPA準備タスクフォース第6 回会合を開催

 日メルコスールEPA準備タスフォース(日伯経済合同委員会、企画戦略委員会、政策対話委員会 合同企画)第6回会合は、2018年7月3日午後4時から6時過ぎまで開催、進行役は芦刈メンバー(ブラジル三井物産/日伯経済交流促進副委員長)が務めた。

 初めに日伯経済交流委員会の土屋信司委員長が開催挨拶として、今回の第6回会合には、パラグアイ並びにアルゼンチン、南伯の日本商工会議所代表、経団連の大前孝雄企画部会長が参加頂いており、7月23日、24日東京での第21回日伯経済合同委員会開催を前にEPA準備タスクフォースの動き、今後のスケジュールなどについて意見交換したい。また本日の協議には官側から野口総領事にフォローして頂き、今後提言書を纏め挙げたいと述べた。

 各会議所からのご挨拶として、南伯日本商工会議所の和田好司会頭は、南伯はラヴァ・ジャット汚職関連で、日本進出企業4社の撤退などを余儀なくされたが、会頭職を引き受けた任期3年の間、日本企業の進出に役立ちたいと挨拶した。

 在亜日本商工会議所の山口尚会頭は、日本進出企業40数社、個人会員180人の小規模な会議所であるが、アルゼンチンの為替危機はさておきマクリ政権誕生後は政府も自由貿易を推し進める政策で、日メルコスールEPA締結をきっかけに進出企業が増加することを期待していると述べた。

 在パラグアイ日本商工会議所の大久保敦理事は、メルコスールの製造拠点と言われるパラグアイには3カ所の工業団地プロジェクトがあるが、消費マーケットはブラジルであり、日メルコスールEPA意識調査の有効回答のうち必要と感じると答えたのが100%と関心も高く、日メルコスールEPA準備タスフォースの会合内容を会員企業へ詳細に伝えると述べた。

 松永愛一郎会頭は、第21回日伯経済合同委員会の発表内容について、初めにワールドカップ開催中にも関わらず、大前孝雄企画部会長や在亜日本商工会議所の山口尚会頭ら遠方からの参加にお礼を述べ、7月23日、24日東京で開催の第21回日伯経済合同委員会での発表プレゼンについて、今年1月に実施した日メルコスールEPAアンケートの回答率は19%と低く、EPAの重要性が理解されていなかったが、今回簡単な意識調査に改善して回答率は70%に達した。そのうちの8割強が製造業ならびに非製造業もEPAの必要性を訴えている。またEU、韓国並びに中国とのEPA締結を脅威と考えている。メルコスール域内国と強調して早期実現のために日本政府に提言していきたい。11月にアルゼンチンで開催されるG-20への安倍総理参加が契機となるため、それに向け提言書を提出し動きを繋げたい。23日、24日の日伯経済合同委員会では、あくまでも枠組みを日メルコスールとした早期の交渉開始を訴える意向のため引続きの協力を要請した。

 二宮康史企画戦略副委員長は、5月のメルコスール加盟4か国対象の日メルコスールEPAに関する意識調査の詳細分析について、高い回答率とEPA締結の必要性が84%に達している。日メルコスールEPA必要性の意識調査では、非常に必要性を感じるが44%、ある程度は40%に達している。ブラジルでは自動車並びに機械・金属、運輸サービス部会、アルゼンチンは電気電子並びに機械・金属、貿易部会の要望が強く、中国とのEPA締結を脅威と感じている。また交渉中のEU、韓国、カナダの順に不利になると回答。 影響が大きい項目として、関税撤廃や削減、通関手続きの迅速化、原産地規則の設定や簡素化。伯並びに亜は関税、通関に期待。パラグアイは原産地規則に期待。ウルグアイは投資分野に期待している。コメントでは欧韓からの劣後がトップを占めたと説明した。

 大前孝雄企画部会長は、日メルコスールEPA共同報告書などについて説明、第21回日伯経済合同委員会の23日の貿易・投資-日メルコスールEPAセッションで、大前企画部会長がモデレータ―を務め、経団連の椋田哲史専務理事、CNI貿易担当のコンスタンサ・ネグリ氏が共同レポート発表、松永愛一郎会頭、元在ブラジル日本国特命全権大使の日本ブラジル中央協会の島内憲副会長、外務省のロナルド・コスタ国際交渉局長、商工サービス省のアブラン・ネット長官がパネルデスカッションを行う予定でプログラムを組んでいる。5月の日メルコスールEPAに関する意識調査では前回1月の調査を大幅に上回る回答率を達成。11月末のG20サミットに参加予定の安倍総理に正式要望書を提出ための準備段取りを説明。また世界のGDPの30%を占めEUと日本EPA締結との関係などの日メルコスールを取り巻く最近の流動的な状勢などについて説明した。

 また早川宜宏氏は、日メルコスール経済連携協定13項目のうち主要6ポイントの物品貿易並びに原産地規則、貿易円滑化及び関税手続き、貿易の技術的障害及び衛生植物検疫措置、投資・サービス、その他の知的財産権、自然人の移動、ビジネス環境などについて説明した。

 意見交換会では、自然人の移動やビジネス環境の説明、ビジネス環境委員会設立の可能性、ISDS導入問題、NAFTAの行方等意見が出され、参加した各部会代表から業種を代表し意見が述べられた。

 最後に野口総領事は閉会挨拶として、日メルコスールEPA準備タスフォース第6回会合の開催準備は大変な作業で、また意識調査の前向きな結果に対してお礼を述べた。トランプ大統領の二国間貿易交渉に関する発言で、世界貿易政策は揺れているが、日本とのEPA締結を望むブラジル工業界の声も大きく、日本は、来年6月に大阪で開催されるG-20サミットのホスト国であり、半歩でも一歩での日メルコスールEPA締結を前に進めたいと強調した。 

参加者リスト

野口 泰 在サンパウロ日本国総領事、上田基仙 同領事、

大前孝雄(三井物産/経団連企画部会長)、木下泰臣(三井物産)、早川宜広(三井物産)

大久保敦(在パラグアイ日本商工会議所理事/ジェトロサンパウロ)、山口尚(在亜日本商工会議所会頭/アルゼンチン三井物産)、市野健太郎(在亜日本商工会議所第2副会頭/アルゼンチン三菱商事)、和田好司(南伯日本商工会議所会頭/さわやか商会)

タスクフォース:松永愛一郎(伯国三菱商事/会頭)、土屋信司(ブラジル三井物産/日伯経済交流促進委員長)、芦刈宏司(ブラジル三井物産/日伯経済交流促進副委員長)、二宮康史(ジェトロサンパウロ/企画戦略副委員長)、佐久間太郎(双日ブラジル/政策対話副委員長)、櫻井淳(伯国三菱商事/政策対話副委員長)、大塚未涼(ブラジル三井物産/政策対話委員)、柳本安紀(双日ブラジル/政策対話委員)

下村セルソ(ブラジルトヨタ/自動車部会長)、米長浩(ブラジルトヨタ)、土門翔平(ブラジルトヨタ)、竹内パウロ(ホンダサウスアメリカ/自動車部会)、小西輝紀(アイシン)、植田真五(三菱重工/機械金属部会長)、羽田徹(日曹ブラジル/化学品部会長)、村松正美(パイロットペン/化学品副部会長)、関 宏道(ブラジル味の素/食品副部会長)、矢澤吉史(NTTブラジル/運輸サービス部会長)、吉田信吾(NYK/運輸サービス副部会長)、岩井祐治(ソニー)、水口直人(NEC/電気電子部会)、的場俊英(島津製作所/貿易副部会長)、小渕洋(ブラデスコ銀行/金融副部会長)、長野昌幸(ブラジル三井住友海上/金融部会)、西口阿弥(EY/コンサルタント部会長)、岩瀬恵一(ジェトロ・サンパウロ事務所次長)

カマラ事務局:平田藤義事務局長、大角総丙編集長、日下野成次総務補佐、吉田章則調査員、近藤千里アシスタント

Fotos: Rubens Ito / CCIJB

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