日伯法律委員会に63人が参加して開催

日伯法律委員会(村上廣高委員長)が2012年8月16日午後4時から6時まで63人が参加して開催、新任の村上廣高委員長並びに 篠原一宇副委員長が挨拶、進行役は矢野クラウジオ副委員長が務めた。

初めに Pinheiro Neto Advogados弁護士事務所のペドロ・コラロシ・ジャコブ税制部門弁護士が「州間の税務戦争の現状」について、州税である商品流通サービス税(ICMS)の税務戦争は、1993年にエスピリット・サント州並びにサンパウロ州で開始、ICMSの税率を各州政府が 引下げ競争を展開する「港湾戦争」と呼ばれる、輸入製品に関する誘致合戦を終結するために、ロメロ・ジュカー上院議員が起草した決議第72号は上院で承認、ICMS税の一律4.0%でサンパウロ州並びにリオ州、ミナス州など20州が恩恵を受けるが、マナウスフリーゾーンを抱えるアマゾナス州並びにエスピリット・サント州、マット・グロッソ州、南マット・グロッソ州、サンタ・カタリーナ州はダメージを受けるために、ダメージを受ける7州に対して8年間に亘って損害の一部分を補填することは、今後決定されることなどについて説明した。

TozziniFreire Advogados弁護士事務所のダニエル・オリヴェイラ・アンドレオリ競争法部門共営者が「CADE(経済防衛行政審議会)への企業買収合併通知の新基準」について、日本の公正取引委員会に相当する経済防衛行政審議会(Cade)が新アンチトラスト法(Supercade)を今年5月30 日から施行、新アンチトラスト法では適用される罰則の支払い比率、主な変更点として買収・合併で は、現行の事後届出制度から事前届出制度に変更、審査期間は240日であるが、当事者かCADEが要求すれば最大330日まで延長が可能となり、現行の届出では、当事者のトータルシェアが20%以上の条件は廃止されて売上だけになり、カルテルに関する改正では、罰金の上限額が現行法の売上の30%から20%に減額になるが、色々と不明な点が多いために、新アンチトラスト法の施行前の駆け込みのM&A申請が急増していたことなどについて説明した。

Gaia, Silva, Gaede & Associados弁護士事務所のエニオ・ザハ共営者が「社会保障院(INSS)への負担金を売上げから納付する新方式の問題点」について、既に国会審議承認を終え、ジルマ大統領の署名待ちの移転価格税制などの暫定措置令563号の減税パッケージ暫定法では、負担金を売上高から納付する新しい形式を可能にし、特定の活動を行う企業へ社会保障院への積立金軽減措置を適用、第2次ブラジル・マイオール・プランでは社会保障院(INSS)積立金の20%の免除の代りに、売上の1%から2%を納付、情報テクノロジー企業並びにIT企業(TI)と通信企業(TIC)、コールセンターのサービスを提供するアウトソーシング企業に対して適用される。

また減税が適用されるセクターとして、道路輸送セクター並びに航空貨物セクター、海上輸送セクター、教育セクター並びに防衛セクター、医療機器セクター、農業機械セクター、玩具セクターまで含まれているが、銀行並びにホテルは製造業ではなくサービス業である点やマナウスフリーゾーンの免税問題などが絡んでいるために、いまだに不明な点や解釈の違いなど問題が多いと説明した。

KPMGのエリオ・ハナダ税部門ディレクターが「訓令RFB1.277号 - 新しい債務(海外居住者へのサービス請負とサービス提供に関する情報)」について、SISCOSERV(国際サービス業に関する統合システム)及び国際サービス業に係る税金並びに税率の計算方法などについて説明、Abe, Costa, Guimarães e Rocha Neto Advogados弁護士事務所のラファエル・ガット弁護士が「インターネット広告の課税」について、企業が広告に使用する媒体は、新聞並びに雑誌、TVだけではなくバナーや広告を通して発生した成果件数に応じて費用が発生するアフィリエイト広告なども含めて、ワールドワイドな広告を使う可能性が高いネット上での広告の課税については色々な解釈がされており、インターネット上の広告に税金を課す通称「グーグル税」がフランスで検討されており、その税収は「出版や新聞、音楽業界などコンテンツ産業の支援に充てる」ことなどが話題になっていると説明した。

左から矢野クラウジオ副委員長/Gaia, Silva, Gaede & Associados弁護士事務所のエニオ・ザハ共営者/TozziniFreire Advogados弁護士事務所のダニエル・オリヴェイラ・アンドレオリ競争法部門共営者/Abe, Costa, Guimarães e Rocha Neto Advogados弁護士事務所のラファエル・ガット弁護士/KPMGのエリオ・ハナダ税部門ディレクター/Pinheiro Neto Advogados弁護士事務所のペドロ・コラロシ・ジャコブ税制部門弁護士(Fotos: Rubens Ito / CCIJB)

左から村上廣高委員長左から/矢野クラウジオ副委員長

会場一杯の63人が参加

63人の参加者は講演でメモを取ったり熱心に聞き入っていた。

 

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