日伯自動車裾野産業協力イベント開催

ジェトロサンパウロ事務所は、ブラジル輸出投資振興局(APEX)、ブラジル自動車部品工業会(Sindipecas)、サンパウロ州政府投資局(Investe SP)の協力を得て、2019年3月22日にSindipeças本部にて日伯自動車裾野産業協力イベントを開催、日系企業約30人と地場企業約60人、商工会議所からは平田事務局長と吉田調査員が、セミナーと商談・交流会に参加した。

イベント開催にあたり、APEXのカリナ氏、Sindipecasのエリアス氏、ジェトロサンパウロの大久保所長がそれぞれ挨拶を行なった。その開会挨拶の中でAPEXのカリナ氏は、昨年9月にジェトロ本部で行なわれたブラジルビジネスセミナーについて触れ、海外で初めてROTA2030について発表したイベントで、日伯自動車産業協力の大切さを強調、未来のクルマ開発に向けたイノベーションや投資の促進には、部品メーカーとも協力していくことが重要だと説明した。

日系自動車産業界からのプレゼンでは、ブラジルトヨタのセルソ下村氏が、事業の歴史、中南米でのビジネス概要、近年の投資動向について説明、トヨタの持続可能な社会づくりとその為の技術開発に向けた挑戦に関して講演を行なった。トヨタは、2050年までに二酸化炭素を90%減少するべく、世界初のフレックスハイブリッド車の開発事業を2018年3月に発表するなど、ハイブリッド車や電気自動車等、新技術の開発に力を注いでいると述べた。

一方、2018年のハイブリッド・電気自動車販売台数が約4000台足らずとまだ少ないこと、技術力不足のためハイブリッドエンジンのブラジル現地調達率が低くなること、また生産コストが他国と比較して高いことなど、ブラジルでのビジネス課題や新技術開発の難しさについて触れ、部品メーカーと一緒なって企業の競争力強化と技術開発に取り組んでいくことの必要性を説いた。

ホンダサウスアメリカのロベルト・モレノ氏とパウロ・ミヌンシオ氏は、中南米でのビジネス、発電機やモーター事業、マナウスフリーゾーンでの二輪の生産とR&Dの事業、四輪の生産とR&D事業の概要などについて説明、フレックス二輪車の開発やホンダジェット新技術についても述べた。四輪生産工場の電力分を賄なえる風力発電所を2014年に操業、2000年と比較して2015年には二酸化炭素を半分に減少させたと説明した。

金利、物流、税金や負担金など所謂ブラジルコストが、他国よりコストを上げていると指摘し、企業の競争力強化のためのROTA2030ファンドの活用についても言及した。ROTA2030については、環境や安全基準の向上のための開発や投資、また税務恩典やペナルティを課す施策だとして、Inovar Autoと違い技術革新や開発に部品メーカーと一緒に取り組んでいく要素が盛り込まれており、業界で一緒になって競争力を強化していこうと述べた。

サンパウロ州投資局Investe SPのチアゴ・メセナス氏は、投資局の事業概要、また産業別のサンパウロ州の生産規模を説明、オレンジジュースや砂糖は世界一、航空機産業においてはブラジルの94.6%の生産を占めるとした。自動車については、2017年にブラジルの46.5%である126万台を生産、69%の部品メーカーがサンパウロ州に集中しているなど、サンパウロ州の重要性について述べた。

ICMS税務クレジット残の活用、IPTU税やISS税の免税や減税などの税務恩典について、そして近日発表されたばかりの規範命令64130号(Decreto No. 64.130/2019、IncentivAuto)について説明した。IncentivAutoは、自動車産業生産工場や新製品開発事業に10億レアルの投資と400人の雇用を超える事業に対する恩典を与える施策で、プロジェクトを州投資局に提出、FUNAC(Fundo de Apoio aos Contribuintes)が分析を行い、FUNAC融資の援助を得られることになる。

セミナーの最後に、大久保所長は、交流・商談会に参加した日系企業11社の企業や事業概要、取り扱い製品や顧客、また今後のビジネス展望などについて説明した。交流・商談会は、セミナー会場付近に設置された日本企業11社の商談デスクで行なわれ、延べ60件程度の商談・交流が行なわれたイベントとなった。

 

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