異業種交流委員会に24人が参加して開催

異業種交流委員会(和田亮委員長)が2011年9月14日午後7時から8時過ぎまで24人が参加して開催、講師はジェトロ・サンパウロセンターの紀井 寿雄調査担当ディレクターがタイトル:「大統領選直前のアルゼンチン」と題して講演した。

紀井調査担当ディレクターは10月23日のアルゼンチンの大統領選では現職のクリスチーナ・キルチネル大統領が8月の予備選挙で過半数の50.07%で圧倒、他の3有力候補はいずれも10%から12%で低迷しているために、第一次選での当確が有望と予想されていると説明した。

今回の大統領選は夫のキルチネル元大統領が立候補する予定であったにも関わらず、急死したために立候補、そのために同情票と好調を維持しているアルゼンチン経済が他の候補の追随を許さなかった。

キルチネル前政権以降は統計機関の数字の操作疑惑はあるが、2003年以降の経済成長率は8%から9%を維持、リーマンショック翌年の2009年も0.9%増加、しかし実際はマイナス成長であったと見込まれている。

昨年のGDP9.2%の伸び率はアルゼンチンの輸出の主力である農産物輸出は旱魃解消並びにコモディティ価格の高騰で大幅に増加、また金融緩和政策もV字型回復に寄与している。

2003年以降の政府発表のインフレ率は一桁台となっているが、サラリー調整率からの換算では実質は25%から30%、為替はドル介入、経常黒字や金融緩和による海外資金の流入で安定、キルチネル政権の命綱は財政黒字並びに貿易黒字、それを引き継いだクリスチーナ政権は命綱を守る保護貿易主義を目的に非自動ライセンス制度の強化、財政黒字保持のために「1ドル対1ドル」の根拠ない行政指導を行った。

クリスチーナ政権の命綱はパリクラブ債務問題並びに自動車メーカーの新規投資、フリーゾーンのフエゴ島の電気電子産業の投資など名目と違う、単純な組み立で産業育成には結びついていない。また当選後の第2次政権の課題として不透明な政策予見、パリクラブ問題の解決や高い賃金上昇とインフレをあおる労働者よりの労働政策などを解決しない限り、海外からの新規並びに追加投資は困難をきたし、また大統領3期は禁じられているために、後継者の育成が重要であると説明した。

24人が参加した8月の異業種交流員会の勉強会風景(fotos Rubens Ito/CCIBJ)

中央は立って講演するジェトロ・サンパウロセンターの紀井 寿雄調査担当ディレクター

https://camaradojapao.org.br/jp/?p=35649