竹中平蔵元金融大臣などが講演した10月の懇親昼食会に160人か参加

小泉政権下で金融担当大臣、総務大臣などを歴任した竹中平蔵慶応義塾大学教授並びにウジミナスのウイルソン・ブルメール(Wilson Brumer)社長が講演した10月の懇親昼食会には160人が参加、正午過ぎから午後2時30分までマクソウドホテルで開催された。

竹中教授は「世界における日本とアジア経済の役割」と題して、初めに「ブラジルには大きな思い入れがある」と述べて、世界でも抜きんでた多機能なセルラー電話に代表されるような独自の発達を遂げている日本の先端技術はその独自さゆえに海外での普及が困難であり、日本のハイテク技術は"ガラパゴス現象に陥っていた"と説明した。

日本式地上波デジタルテレビ方式も"ガラパゴス化"に陥っていたが、私は是非海外で普及させたかったために、アモリン外相と会談した時に「日伯方式になると説明したら、ブラジルが採用してくれた」と述べた。

竹中教授は「日伯方式は南米の主要国が採用、アジアでもフィリピンが採用、アフリカでも普及させたいが、初めに採用してくれたブラジルには大いに感謝している」と述べた。

また「日本経済の活性化するのは難しくない。世界に誇る環境技術や多額のR&D投資、資本や人材もある」と説明、「しかしリーダーシップがない」と述べて、小泉政権下の郵政民営化で株価が上昇したように「リーダーシップの有無でどうにかなる」と説明した。

竹中教授は「法人税が40%で世界最高であるが、5.6兆円を使う子供手当を5年間先延ばしにすれば、法人税を17%まで引下げることが可能で財源確保ができる」と強調した。

管直人総理大臣については「政権交代は良いことだが、民主党は未成熟で既存のものを否定しようとした。しかし管総理は運がよい。年に3回も総理が交代しそうになり、国民はだれでもよいから変わらないでくれ、今後は脱小沢氏や政策の見直しを図る余地がある」と説明した。

竹中教授は中国について「8年後の中国のGDPは日本の2倍になり、中国のGDPは予想よりも早く米国を追い越す。人民元は政府が人為的にコントロールして3年間で20%切り上げた。だが一人っ子政策で労働人口の減少などの要因で中国の経済成長が2015年から傾いてくるので、ブラジルが主役になる」と強調して講演を終えて中山立夫会頭から記念プレートが贈呈された。

ウジミナスのウイルソン・ブルメール社長は「ウジミナスの立場から見たブラジル鉄鋼業界の展望」と題して、今年のGDPの世界平均は4.6%、日本2.4%、中国は10.5%と2桁台を維持、ブラジルは7.53%と昨年のマイナス0.19から一転して大幅な経済成長が見込まれている。

また昨年の中国の鉄鋼生産は世界全体の46.4%に相当する5億6,780万トン、日本が8,750万トンで7.2%、インドが6,020万トンで4.9%、ブラジルは2,650万トンで9位であったが、大半の国は世界金融危機の影響で生産が落ち込んだが、中国とインドは増産している。

しかしブラジルはレアル高の為替で輸入鉄鋼製品が国内消費の20%を占め、7月の白物家電向け鉄鋼製品は工業製品税(IPI)の減税政策中止の影響を受けて33%減少している。

昨年の韓国の一人当たりの鉄鋼生産は936キロとブラジルの97キロの10倍に相当、中国は405キロ、日本は419キロ、米国は金融危機の影響を受けて187キロまで減少、2016年までの製鉄関連投資は400億ドルに達するが、不足しているロジステックの投資、良質な人材不足などのブラジルコストやレアル高の為替による鉄鋼製品の輸出の減少に結びついている。

しかし記録を更新する自動車生産、造船業、設備投資用工作機械、農業機械や道路などのインフラ部門が今後の鉄鋼生産を押し上げると予想、今年初め7カ月間の鉄鋼生産は自動車部門が31.4%と牽引して、全体では前年同期比15%増加、また今年の消費は21.6%増加の2290万トンが予想されている。

同社では収益性を上げるために川上の鉄鉱石の生産から川下の資本財の深海油田開発のためのプラットフォームなどを製造、2008年から2011年の平均投資額は17億5,000万レアルで積極的に投資を行っていると講演を終えて、中山立夫会頭から記念プレートが贈呈された。

昼食会の司会は平田藤義事務局長が務め、初めにブラジル住友銀行の小西輝久社長、ブラジルテルモ・メジカル社の三瓶弘行社長がそれぞれ着任挨拶、3分間スピーチではコンサルタント部会長でデロイト会計事務所の都築慎一ダイレクターが「ブラジルの税を知る」を出版して会議所で委託販売、10月20日午後3時から5時30分まで移転価格税制セミナーの開催、エアーフランスKLM航空日本支社コーポレート部門の神田洋右氏はヨーロッパ経由の東京/大阪便の新規フライトを説明、海外林業コンサルタント協会の豊田貴樹研究部長がサンパウロ州クーニャ市における日本の農林水産調査議場のCDM植林総合推進対策事業についてスピーチを行った。

講演中の竹中平蔵元金融大臣 (fotos Rubens Ito/CCIBJ)

160人が参加した懇親昼食会の様子

左から記念プレートを受取る竹中平蔵元金融大臣/中山立夫会頭

左から記念プレートを受取るウジミナスのウイルソン・ブルメール社長/中山立夫会頭

講演者の竹中平蔵元金融大臣/ウジミナスのウイルソン・ブルメール社長を囲んで記念撮影

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