第3回日伯貿易投資促進合同委員会の会合がブラジリアで開催

日伯貿易投資促進合同委員会は2008年の日伯交流年(ブラジル日本移民100周年)に、時の甘利経済産業大臣が訪伯、現職のミゲル・ジョルジ開発商工大臣と会談、設立された。産業界からのビジネス環境上の問題に関し、伯政府に対して問題提起し、率直に議論するための対話の場である。開催方法も、両省庁の次官級(経済産業省は経済産業審議官、開発商工省は事務次官)をヘッドとするメンバーで構成、年1回程度、日伯間で交互に開催することになっているが、ブラジル側からの前向きな提案を受け半年毎に開かれて来た。今回の第3回会合は第1回同様、ブラジリアで開催された。

第3回日伯貿易投資促進合同委員会(以下貿投委と略称する)は2日間に亘って開催された。4月15日午前9時から午後6時半まで各種ワーキング・グループ(WG)が会合、16日は午前9時半から12時までプレナリー会合、13時30分から14時15分まで共同記者会見が行われた。さらに15時から多国籍企業間で重要かつ喫緊案件となっている移転価格税制暫定措置法478号に関し連邦収税局の法人所得税課と個別会合が行われた。

日本経団連からは第1回貿投委会合にも参加された讃井暢子常務に加え、今回はじめて同常務に高須優華国際協力本部の担当者が同行した。当会議所との窓口業務も担当、精力的に協力頂いている高須氏は、今回ブラジルの実情把握が実地体験出来、根気よく今後の業務に活かしたいと述べた。

ブラジル日本商工会議所から中山立夫会頭ほかブラジル三井物産、南米ホンダ、パナソニック・ブラジル、南米味の素、伯国三菱商事、南米新日鉄、伊藤忠ブラジル、丸紅ブラジル、双日ブラジル、ブラジル三井住友銀行、ブラジル住友商事、東芝ド・ブラジルなど会員企業に加え本社からも大勢が参加した。

●15日の午後以降、同会合に参加した平田事務局長の談話
4月15日のWG会合では貿易投資促進、ビジネス円滑化、知的財産等のほか、今回新たに日伯双方の希望により資源インフラ(石油資源、鉱物資源)も議題として俎上に挙がった。
日本側から現邦進出企業を含め総勢80名が参加、発言・交渉におけるプレゼンスの点では有利に展開できたと言える。日本政府関係の在ブラジル日本大使館/経産省通商政策局、貿易経済協力局、商務情報政策局/特許庁/NEXI/JOGMEC/JBIC/JETRO/JICAに加え日本経団連ほか企業5社(計約50名)ブラジル日本商工会議所、進出日本企業11社(計約30名)からなる構成だ。

ブラジル側は16日のプレナリー会合において開発商工省(MDIC)/外務省(MRE)/社会経済開発銀行(BNDES)/農業畜産食糧供給省(MAPA)/国立工業所有権院(INPI)/ブラジル牛肉輸出者協会(ABIEC)/ブラジル・インスタントコーヒー業界(ABICS)/全国工業連盟(CNI)/PETROBRAS/BRFoodsなど約40名が参加した。

●会合の概要については、在ブラジル日本国大使館のサイト、下記URL(※)大使館情報4月号に掲載されているところ参照願いたい。
(※)http://www.br.emb-japan.go.jp/nihongo/index.html


●2010年4月16日(金)連邦収税局との会議の概要

1. ブラジル日本商工会議所からの移転価格税制改正に対する修正要望説明
1.1 マージン率35%の修正要望
1.2 二重課税回避のための仕組みの整備
1.3 電気電子業界の要望説明
1.4 自動車業界の現状と要望説明
2. 連邦収税局からの回答・説明

1.1 先ず、ブラジルの移転価格税制については、1996年法律9430号によって最初に定められ、1997年より施行されたのであるが、連邦収税局よりの通達 243号をめぐって数多くの行政訴訟が発生し、ブラジル日本商工会議所の説明の中でも触れられていたが、今回、ベースとなる基準(収税局の解釈)を明確にする必要があった。

1.2 今回の2009年暫定法第478号によって定められたマージン率35%は、マージン率の最も高い業界を基準として設定した上限のマージン率であると考えている。ブラジルでは憲法第150条によって定められているとうり、法律に基づかない増税はできない為、先ず、上限のマージン率を定め、その後の業界・セクター別の適切なマージン率を決定していくプロセスを踏みたいと考えている。恐らく、暫定法478号は今年の5月中に法律化される予定であるので、その後に業界・セクター別のマージン率を決定していきたい。マージン率の決定については、個人的な意見であるが、今年の下半期の前半には決定をしていきたい。しかるべきマージン率が決定された後、2010年会計年度の移転価格の計算には遡ってそのマージン率を適用することとなる(年内にマージン率が発表されない場合は35%の利益マージンが適用される)。

1.3 業界・セクター別マージンの決定には、過去数年の連邦収税局内の申告データを活用していく方向であるが、出来る限り各企業の現実に近づけていく努力を行ないたい。それ故、ブラジル日本商工会議所のデータ等があれば、ぜひ参考の為に提出して頂きたい。

1.4 移転価格税制そのものの、OECDモデル(国際標準)への準拠の要望については、ブラジルとOECD先進諸国の過去の経緯や発展状況が異なる為、対応することは基本的にできない。ただ、移転価格課税が為された場合の二重課税解消のための日伯租税条約での対応的調整規定の整備については、今後、議論をしていく余地はある。一方、日伯租税条約については、部分的な修正を行なうよりは、古くなっている条約ということもあり、全面的な見直しが良いと考えている。

1.5 輸入取引における為替変動による調整項目の付加については、現在の所、考えていない。
1.6 非関連者取引については対象外としている。見直しは考えていない。
1.7 現行法第9430号20条により、不満のある企業は(省令第222号に基づいて)個別に(マージン率の)申請は可能である。
1.8 現時点ではできないが、将来は製品ごとの申請も受け付けたいと考える。

通商産業開発省(MDIC)貿易局のウエルベール・バラウ局長/開発商工省のイヴァン・ラマーリョ事務次官/全国工業会(CNI)のジョゼ・マスカレーニャス副会長(Foto Djacir Almeida-MDIC)

左から島内憲大使/経済産業省の石毛博行経済産業審議官(Foto Djacir Almeida-MDIC)

日本から政府関係者や民間企業代表者など80人が参加(Foto Djacir Almeida-MDIC)

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