第4回磐田信用金庫経済ミッションとの意見交換会

第4回磐田信用金庫経済ミッションとの意見交換会は2013年10月8日午前10時から正午過ぎまで開催、初めに平田藤義事務局長が会議所の沿革、組織、委員会や部会活動、事務局の役割や全世界に向けた情報発信、様々 なセクターとの意見交換、両国政府への提言や他国会議所との連携について説明。日伯経済合同委員会(CNI/経団連)や日伯貿易投資促進委員会(MDIC/METI)などの場を通し2012年初めから商用マルチビザ発行、2012年3月から日伯社会保障協定発効等の具体的な成果が挙がった事などを説明、EU諸国並びに周辺7カ国、韓国はすでにビザフリー、中国にもマルチビザで先行されており、日本からの中小企業進出を促進する上でビザフリーは避けて通れないと強調、日本からの中小企業進出の最大のボトルネックとなっているビザのフリー化に向けて、来伯の関係閣僚や政治家に鋭意働きかけていることを強調、また中小企業進出への支援構想、メディカル分科会の設置、10月25日にブラジリアで開催される第1回日伯貿易促進産業協力合同委員会での国家サニタリー庁(ANVISA)に関する提議などについて説明した。

当会議所の会員数は現在354社(うち進出企業214社)であるが、3年後の2016年には500社(進出日本企業 350社)を目指していると説明、現在のドイツからのブラジル進出企業数が1,600社であるのに対し、日本は僅か400社に過ぎず、両国の進出企業会員数の比較で見てもドイツの1,400社に対し日本の215社には約7倍の差が生じたのは何故なのか特性要因分析の手法を用い、その根本的な要因として本国からの資金的援助やフリービザの有無が大きく影響していると推測、地政学的な関係強度(両国の関係は距離の二乗 に反比例)、ダイレクト便の有無、移民の歴史、本国の文化/言語教育普及の違い等が根本的な要因として挙げられるが他方、戦略的要素と考えられる職員数の規模の圧倒的な違い、会議所内の進出支援ビジネスセンター設置の有無、会員企業の現地化の差なども可なり影響していると強調、また煩雑で負担の大きい税制や多い労働訴訟/高い人件費、ブロクラシー大国、インフラ未整備、保護主義並びに治安の悪いブラジルを日本勢は概ね悲観的にみているが、欧 米諸国とりわけドイツは将来のビジネスチャンスと肯定的に捉えているのではと参加者に対し自問・疑問を投げかけた。日本のマスコミは6月20日の抗議デモを悲観的にみているが、ドイツの見方は「眠れる巨人がついに目を覚ます歴史の一通過点」と捉え、むしろポジティブな見方をしている事にも大きな差が生じていることなどを説明した。

日伯法律委員会のリカルド・ササキ副委員長は、「ブラジル経済の現状及びブラジル法制度」について、1970年代のブラジルの奇跡と呼ばれた高度成長、1980年代のハイパーインフレ、通貨危機、カントリーリスクの上昇、カルドーゾ政権のインフレの安定、経済の自由化、ルーラ政権の安定した経済成長、カントリーリスクの低減、2010年のブラジルのGDPは世界7位、2050年には4位の予想、人口構成と所得分布、日本企業の投資動向、ブラジルの法制度、裁判システム、労働訴訟が毎年200万件新たに発生、毎年1万5,000人の弁護士が誕生、ブラジルには75万人の弁護士、1万7,000人の裁判官、ブラジルにおける債権回収の法的側面、ブラジルにおける労働訴訟の概要、教育レベルの向上やインフラ整備、治安の改善、技術力の向上など問題は山積みしているが、日本からの素晴らしい技術を導入すれば膨大な底力が開花、日本とは補完関係にあり、世界最強のパートナーになると説明した。

意見交換会ではブラジルコスト、労働訴訟問題、銀行員や教師のストライキなどブラジルに来て初めて実感できることや日本の物つくりは世界で通用するが、言葉や時差の違い、ビザの問題、諸制度の違い、実在するコピーマーケット、中小企業の進出では、M&Aやジョイントベンチャーの活用などの検討などについて、大いに意見交換が行われた。

参加者は小松工業株式会社の小松敏幸社長、中部メタル株式会社の野末赳夫常務取締役、磐田信用金庫アジア・ブラジル業務支援デスクの相川アンジェラ氏、Lautenschleger, Romeiro e Iwamizu 弁護士事務所のマリオ・イワミズ共営者、リカルド・ササキ日伯法律副委員長(味の素)、平田藤義事務局長、日下野成次総務担当

左からリカルド・ササキ日伯法律副委員長(味の素)/Lautenschleger, Romeiro e Iwamizu 弁護士事務所のマリオ・イワミズ共営者/磐田信用金庫アジア・ブラジル業務支援デスクの相川アンジェラ氏/小松工業株式会社の小松敏幸社長/平田藤義事務局長/中部メタル株式会社の野末赳夫常務取締役

 

Foto: Rubens Ito/CCIJB

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