鈴木孝憲氏(元ブラジル東京銀行頭取、元デロイト・トウシュ・トーマツ最高顧問)が来伯し、シゲアキ ウエキ氏(元鉱山動力相、元ペトロブラス総裁)とともに2014年11月14日、午後5時市内のレストランで第15回鈴木孝憲フォーラム(旧名:日伯経済ビジネスフォーラム)を開催した。
このフォーラムはウエキ氏と鈴木両氏が日本からブラジルに進出、企業のトップ層を対象に複雑怪奇なブラジル経済の勉強と高度な情報交換の場を提供するためにボランタリーベースで創設、2012年鈴木氏の帰国以降はウエキ氏が運営全般を継続、今日に至っている。
ウエキ氏は自らモデレイター役を演じ、また講師陣は常連のパウロ ヨコタ氏(元中銀理事、元国立植民農地改革院総裁、サンパウロ大学教授)、アキヒロ池田氏(元大蔵大臣首席補佐官、サンパウロ大学教授)、イジドーロ ヤマナカ氏(元農務大臣補佐官)ら諸氏が勤め、今回はアンセルモ ナカタニ氏(元ブラジル古河電工社長)やエリアス アンツーネス経済専門家(元ヴァーレ社役員)等も加わった。
今回のテーマは「大統領選後のブラジルの金融市場と経済の見通し」および「世界経済と金融市場」の二つから構成され、最初にアキヒロ氏からブラジルのマクロ経済指標をジウマ大統領就任前の2010年と2014年現在(予測値)を比較(※)説明の後、鈴木氏が講演を行った。
鈴木氏はブラジルに延べ37年間勤務、ブラジルの輸入代替工業化政策から軍事政権時代を経て今日に至る経済史を要約、12年間に及ぶ労働党(PT)政権の経済モデルとりわけ雇用、賃金政策、国内貯蓄の激減、投資の先送り、競争力の低下による製造業の著しい衰退について説明、憂慮する一方、課題が山積する中で企業経営者は如何に対応して行くべきか、示唆を含め明るい展望についても付言した。
このフォーラムには梅田在ブラジル日本国大使をはじめ坪井サンパウロ総領事館経済担当領事、海外日系人協会の森本理事、渡辺元高等判事のほか多くの会員企業の代表者、取締役また会議所から江上異業種交流委員長に加え平田事務局長が参加した。
※2010年/2014年の比較
年率インフレ(%)5.9/6.5、貿易収支201億ドル/15億ドル、製造業の貿易収支赤(-)712億ドル/(-)1056億ドル、経常収支赤(-)473億ドル/(-)810億ドル、対GDP比の公共赤字2.5%/4.9%、対GDP比の総合負債(連邦・州・市)53.4%/61.7% (出典:IBGE、IMF)