第18回日本ブラジル経済合同委員会開催

経団連と全国工業連合(CNI)共催による第18回日本ブラジル経済合同委員会は、2015年8月31日並びに9月1日に2日間に亘って南大河州ポルト・アレグレ市のリオグランデ・ド・スール州工業連盟(FIERGS)会館に約400人が参加して開催、初めにFIERGSのエイター・ムレール会長は、ブラジルには世界最大の150万人の日系コロニアがあり、日系ブラジル人は勤勉で非常に好意をもって迎えられており、一層の両国関係の強化を推進したいと述べた。

全国工業連合(CNI)のパウロ・ティグレ副会長は、第17回会議で日伯EPA(日伯経済連携協定)のMOU(覚書)に調印、CNIの日伯民間パートナー強化調査によると日本企業の投資を84%が支持しており、二重課税並びにビザ緩和、人材交流などに関する投資環境障害の軽減、天然資源、農業、インフラやイノベーション部門強化で活発的な議論をして、今年末のジウマ大統領の訪日での成果を期待したいと述べた。

 飯島彰己 経団連日本ブラジル経済委員長は、昨年の安倍総理の訪伯、ジウマ大統領は再選で悪化している財政再建に取り組んでいるが、来年のリオ市のオリンピック開催をきっかけに経済成長に期待、また5月の日伯賢人会議への出席、今回の合同委員会での両国EPA立ち上げの働きかけ、日本の協力によるブラジルコストの削減、両国官民によるリスク分担などジウマ大統領訪日を前に具体的な案件にしたいと述べた。

 ムリーリョ・フェレイラ CNIブラジル日本経済委員長は、日本とブラジルは距離的には最も遠いにも関わらず、世界で最も親密的な関係にあり、年末にかけて秋篠宮の訪伯、ジウマ大統領の訪日が続いており、中国の李克強首相とジウマ・ロウセフ大統領は、いろいろなセクターのインフラ整備部門の35項目にわたる2国間協定を締結や500億ドルに達する投資の発表をしたが、これだけ関係の良好な日本がビジネスチャンスを逃さずに、インフラ整備部門などの投資を継続しなければならないと強調した。

梅田邦夫 駐ブラジル日本国大使は、安倍総理の120周年記念メッセージとして、昨年8月の訪伯時にジウマ大統領と会談、戦略的グローバルパートナーとして合意、中南米外交における「三つの指導理念」としてプログレジール・ジュントス(progredir juntos・発展を共に)、リデラール・ジュントス(liderar juntos・主導力を共に)、インスピラール・ジュントス(inspirar juntos・啓発を共に)で中南米との協力に限りない深化をもたらすことなどについて代読した。

アンドレ・コヘア・ド・ラーゴ 駐日大使は、大使館の基本的な役割は政治並びに経済、文化、科学、通商、教育、技術協力等々の分野でブラジルと日本の関係を更に推進し発展させることであり、教育分野および科学・技術分野で両国の教育機関が覚書に調印、日本に於ける「国境無き科学」計画で約50人の学生が訪日、日本は世界2位の経済大国、ブラジルは世界2位の非経済大国であるが、天然資源やハイテク部門で両国は補完関係にあるためにWin-Winの関係を築けると述べた。

今年8月の商工会議所の懇親昼食会に出席したジョゼ・イヴォ・サルトリ南大河州知事は、南大河州での第18回日本ブラジル経済合同委員会開催についてお礼を述べ、南大河州の素晴らしい投資環境に対する日本企業の投資促進を促した。またブラジル三菱東京UFJ銀行と南大河州経済開発・科学技術(SDECT)局と投資促進協定で南大河州政府からジョゼ・イヴォ・サルトリ州知事、ファービオ・ブランコ局長、ブラジル三菱東京UFJ銀行から中南米総支配人の小池淳介頭取、村田俊典本社参与がサインした。

特別セッションテーマ「日伯経済見通し」のモデレーターとしてカルロス・マリアニ・ビッテンクール 日伯賢人会議座長が担当、ディスカッション参加者として、三菱東京UFJ銀行執行役員、中南米総支配人の小池淳介 ブラジル三菱東京UFJ銀行頭取は、「日本の工業がブラジル工業開発に寄与」をテーマに、日本は初め繊維などの軽工業から現在の産業機械を中心とした付加価値の高い輸出構造に進展、ブラジルの輸出構成は第一次産業が大半、メキシコは工業活性化政策を進めて対外開放路線でNAFTAや自動車貿易促進政策の採用で自動車・家電の輸出拡大、ブラジルは2億人に達する国内消費市場で競争にさらされていないために競争力はメキシコやロシアよりも低い。ブラジルは韓国の財閥方式やメキシコの低賃金による国内工業化以外の工業化を進める必要があり、日本の中小企業の強みであるハイテクの導入や商工会議所がサンパウロ州政府に提示した立地条件の良い輸出加工特区(EPZ)の導入などがブラジルの製造業や輸出促進に極めて効果を発揮すると説明した。

ANAホールディングス社の洞 駿 常勤顧問は、「日伯間の人材交流プロモーション」と題して、 ANAホールディングス社は1952年に設立、従業員は3万5,000人、1日当たりの平均国内便は804便、国際便は1週間当たり平均1,140便を運航、年間の利用客は5,000万人でアジア3位、世界では15位、オリンピックを開催した都市では観光客が増加、2001年の海外からブラジルへの観光客は480万人,2013年は581万人、2011年の日本への観光客は820万人、2015年1月から7月は1100万人、通年では1,800人が予想されており、増加傾向の要因として円安の為替、ビザの緩和、2020年のオリンピック開催予定などが効果を上げており、6月15日からブラジル人を対象に数次ビザ発給、過去数年間に両国の訪問者数は安定して増加してきており、日伯両国のビザ緩和で更に増加が予想されており、同社は昨年の安倍総理の訪伯やオリンピック開催で直行便を検討していると説明した。

三井住友銀行の星 文雄顧問は、2013年に発表された アベノミクスは日本人の頭の構造を変えるためにデフレから2%のインフレに誘導するために大胆な経済政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の3本の矢を打ち出して円安の為替、右肩上がりのGDP、日経株価の上昇に結び付いており、今後のオポートュニティについて持続的成長、岩盤規制の改革、観光立国、女性の社会進出及び活用、財政の健全化などについて説明した。

ジョゼ・アウグスト・フェルナンデス CNI政策・戦略部長は、「我々はどこに」と題して、中国経済停滞による鉄鉱石や農産物の国際コモディティ価格の減少、ペトロブラス石油公社関連の汚職問題によるブラジル経済へのダメージ、財政プライマリー収支の見直し、公共投資の削減、政策誘導金利の引上げ、インフレ抑制、税制改革、石油・天然ガス開発部門の規制緩和や外資開放による投資促進など早急な経済危機脱出の政策推進を余儀なくされていると強調した。

昼食後の 第1セッションテーマ「 経済連携協定とグローバル・バリュー・チェーン (含 日伯経済連携協定に関する共同報告書)」のモデレーターとして、サンドラ・ポロニア・リオスCINDES取締役が務め、ディスカッション参加者としてディエゴ・ボモーノ CNI対外通商部上席主幹は、ブラジルの経済連携協定の推移としてウルグアイ・ラウンド、レアルプラン、EU・メルコスール間の自由貿易協定、中国経済牽引によるコモディティブーム、保護貿易主義、ブラジルの貿易推移、国家輸出プランとしてマーケットアクセス、ファイナンス、プロモーション、自由貿易促進などの説明、日伯EPA(日伯経済連携協定)のジョイントレポート、優先順位をつけてからブラジル政府との政策対話に対する政策対話委員会のAGIR提案書などについて説明、日本経済団体連合会国際協力本部の森田清隆 上席主幹は、「日伯経済パートナーシップ協定ロードマップ」について、2014年9月に東京で開催された第17回日本ブラジル経済合同委員会で日伯EPA(日伯経済連携協定)のMOU(覚書)に調印、そのレポート内容として、日伯EPAの必要性、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定は大筋合意で今後のブラジル政府の参加の重要性、過去15年間の日伯貿易の推移、21分野のTPP協定の交渉、日伯EPAの将来などについて説明、日本アマゾンアルミニウムの中富 道隆社長は、「グローバル・バリュー・チェーンと日伯FTA」について、企業が生産工程の最適化を図るために、複数国にまたがって財やサービスの供給・調達を行うグローバル・バリュー・チェーン(GVC)は北米・ヨーロッパ・東アジアで発展中であり、ビジネス環境の改善、人材交流活性化が必要であり、日本はアジアでGVCネットワークを高度に発展、GVCと世界貿易、東アジアのGVC発展、GVCと日伯リレーションシップなどについて説明した。

 第2セッションテーマ「 天然資源・再生可能エネルギー」のモデレーターとしてIHI社の釡 和明会長が務め、ディスカッション参加者としてブラジル鉱物院(IBRAM)のマルセロ・リベイロ・ツーネス取締役は、 「天然資源と再生可能エネルギー」について、世界の鉄鉱石並びにレアアースの生産地域並びに埋蔵量、ハイブリッド車の駆動モータに使われるネオジム耐熱性に効果のあるジスプロシウムの用途、ブラジル国内のレアアースの生産地域、2016年10月にリオ市で開催される第24回World Mining Congressなどについて説明、SAMARCO社のデニルソン・ロドリゲス・デ・アラウージョ ジェネラルマネージャーは、含有量の低い鉄鉱石を原材料にしたペレット生産メーカーで輸出の大半は中国向けを筆頭に太平洋地域で日本のペレット消費は年間860万トンで世界3位、ミナス州のペレットをパイプラインを通してエスピリット・サント州港湾から輸出、水の消費や二酸化炭素排出量の削減に努めていることなどを説明、新日鐵住金の谷水 一雄執行役員は、中国経済の鈍化で始まった過剰天然資源の供給サイクルの終焉、中国の鉄鉱石・石炭消費の変化、日本は1990年まで中国から石炭を輸入して鉄鋼製品を輸出していたが、2000年以降は中国が鉄鉱石確保でコンペティターとなり、また中国の鉄鋼製品の生産過剰で鉄鉱石の国際コモディティ価格下落、東南アジアで鉄鋼製品生産能力の拡大、1970年代には61高炉が2015年には27高炉のみが操業して競争力激化、カラジャス鉱山プロジェクトやモザンビークのナカラ回廊プロジェクトについて説明、国際協力銀行(JBIC)の矢島 浩一副総裁は、「天然資源開発ファイナンスとJBICのグリーンファシリティ」について、資源開発・取得ファイナンス、産業の国際競争力のための融資、地球環境の保全事業、国際金融秩序の防止、ブラジルの天然資源開発ファイナンスとしてペトロブラスの石油・天然ガス開発、ウルク油田、掘削リグ向け融資、古くはカラジャス鉱山や紙・パルプ生産のセニブラ社向け融資、再生可能エネルギー向けグリーンファシリティ融資、二酸化炭素排出削減プロジェクトや社会経済開発銀行向け融資などについて説明した。

第3セッションテーマ「 ビジネス協力と投資機会」のモデレーターとしてFIERGS対外関係・通商部のセイザール・ミュラー コーディネーターが務め、ディスカッション参加者としてSoftex社のジョゼ・アントニオ・アントニオーニ社長は、Softex社はブラジル国内に22支店を擁しており、事業内容として企業の国際化サポート、輸出プロモーション、ブラジルITマーケットの規模、年間伸び率、スマートフォンやコンピューター使用状況、ユーザー数の推移、投資先の割合、地域別マーケットシェア、中小企業向けソフト開発、ソフトウエアの貿易収支、日伯のサービス事業貿易収支、今後期待できる分野、成功事例や補完関係などについて説明、BNDES銀行国際部のセルジオ・フォルデス・ギマランエス責任者は、インフラ整備部門向け投資伸び率の推移、遅れているエネルギー部門向け投資、通信・ロジスティック部門の投資計画、2016年から開始予定のインフラプロジェクト入札と内訳などについて説明、ブラジルトヨタ社の近藤剛史社長は、「自動車工業のグローバル競争力強化に向けて」と題して、5月開催の賢人会議中のレコメンデーション、連邦政府と自動車業界のイニシアティブについて自動車工業政策、自由貿易並びに輸出に関するプロモーション政策、人材育成、労使協定コラボレーションについて、それぞれ連邦政府の説明とトヨタの提言とレコメンデーション、修好120周年、リオ、東京オリンピックにつながる人的交流の提言、7月発表のワークシェアリング、賃金カットのPPE、南部地域のインフラ改善コンセッションなどについて説明した。

またブラジル日本商工会議所政策対話委員長で伯国三菱商事の松永愛一郎社長は、政策対話委員会として取り組んでいる Action plan for Greater Investment Realizationの略である AGIR活動は、ブラジル進出日本企業の立場で、ブラジルコストの改善やブラジル産業の国際競争力強化に向けた提案・議論を行なう為の活動であり、日本企業によるブラジルへの更なる投資実現と日伯間の新たなビジネス機会の拡大を目指しており、この目的の実現に向けて商工会議所では昨年に政策対話委員会を設立、その傘下に「産業競争力強化・中小企業育成」、「インフラストラクチャー」、「課税」、「労働」、「通関」の5つのワーキンググループを設け、①在伯日系企業の積極的な投資活動を妨げたり、国際競争力の低下を招いている要因、②各業界のサプライチェーンを支える裾野産業がブラジルでなかなか育たない理由、③高い技術力とノウハウを持ち、ブラジル企業の競争力向上に貢献し得る日本の中小企業がブラジル進出を躊躇する原因等を調べ、両国経済が共に繁栄し得る為の具体的な改善提案書を取り纏めるべく半年間に亘り議論してきた。優先提言5項目として、「裾野産業の育成・中小企業の進出促進」を図るための提言として、「1)部品メーカーへの税制優遇等、中小企業支援施策の策定」、「2)裾野産業における人材育成の促進」、「3)利便性のある経済特区、輸出促進特区の設置と効果的な運用、金融制度改革を提言するもので、「4)海外投資家に対するインフラ投資環境の改善として、外貨導入によるインフラ整備の促進」、「5)電力の効率的利用によるエネルギーコスト削減によるインフラ整備」を提案などについて説明した。

第4セッションテーマ「 インフラ整備」のモデレーターとして経団連日本ブラジル経済委員会の大前 孝雄企画部会長が務め、ディスカッション参加者として海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)の波多野琢磨社長は、「輸送並びに都市計画開発向け海外インフラ投資協力」について、JOINのミッション並びに資本参加比率、事業内容、長期現地建てファイナンス、フォーカスエリア、海外インフラ輸出促進計画、安全性と信頼性、JICA JBICなどとともに海外インフラ事業構築、PPP案件増加による日本企業にとってビジネスチャンス拡大などについて説明、企画予算省のマウリシオ・ムニス・バレット・デ・カルヴァーリョPAC担当取締役は、鉄道・道路コンセッション向け第2次ロジススティック投資計画(PIL-2)について、空港並びに港湾、鉄道、道路の4分野にわたる1984億レアルのインフラ整備計画、そのうち道路向けコンセッション投資は66億レアル、鉄道向けは864億レアル、港湾向けは374億レアル、空港向け投資は85億レアルの予算が計上、PIL1との制度上の差異や個々のプロジェクトの年度別執行計画、官民のリスク分担、競争入札における技術評価の方法、ファイナンス手段さらにはPAC(経済成長加速プログラム)との関係などについて説明した。

また全国農業連合(CAN)インフラ・ロジスティック部門のルイス・アントニオ・ファイエット顧問は、「ブラジルのアグロビジネス開発チャンス梃入れ」について、ブラジルと日本の協力によるブラジルの農産物供給並びに輸出拡大、世界で唯一残されている膨大な大豆栽培向け耕作可能地、北半球と反対の収穫時期による優位性、早急な改善が必要な農産物輸送コスト削減向けインフラ整備プロジェクトの推進などについて説明、国際協力機構(JICA)の黒柳俊之理事は、「ブラジルにおけるインフラ整備開発向けJICAの協力」について、ODAローン、水力発電所から送電網の漏電調査による技術協力、急速な都市化がもたらす弊害を緩和し、天然・食料資源の安定的供給に資する分野への支援、マデイラ回廊並びにタパジョス回廊、アラグアイア・トカンチンス回廊の調査完了などについて説明した。

第5セッションテーマ「 イノベーション・技術」のモデレーターとしてPARITグループのリカルド・フェリゾーラCEOが務め、ディスカッション参加者として日本電気の池野昌宏理事は 、「ICT技術による安全」について、NECは40年以上にわたる指紋認証の技術研究への取り組みにより、指紋認証のグローバルリーダの地位を獲得、米国の50%以上の州でNEC指紋認証システムが導入、またブラジル国内の14空港で顔認証システムの導入、アルゼンチンでは都市管理システムの一環としてビデオシステム導入、その他サイバーセキュリティシステムによるインターポールとの戦略パートナー、地滑り予測システムなどについて説明、新日鐵住金厚板事業部厚板技術部の堀 裕二上席主幹は、鉄成分の構成、鉄生産の工程、生産プロセス、二酸化炭素削減、レアアース使用削減への取組、鉄鋼製品のラインアップ、プレソルト向け鋼管、プラットフォーム向け鋼材テクノロジーなど高度な産業にニーズに答える製品の開発について説明した。

またブラジルテルモ社の藤田誠社長は 、テルモ社は1921年に北里柴三郎博士をはじめとした医学者が発起人となり、優秀な体温計の国産化をめざして「赤線検温器株式会社」を設立、医療を通じて社会に貢献するという企業理念のもとに、世界初のホローファイバー型人工肺や日本初の各種使い切り医療機器など、人々の健康に役立つ様々な製品を世界160カ国以上で提供、コスタリカ工場では主に脳血管治療用コイル、ステントなどを生産してグローバルに供給、1999年にテルモ・メディカル・ド・ブラジル社を設立してブラジルに進出、ブラジルでは死亡原因のトップが心臓疾患でテルモでは、患者さんに優しい心臓病治療法推進として、安全性が高いtrans Radial Intervention(手首からカテーテルを挿入して心臓を治療する方法)で業界をリード、しかし医療業界のビジネス環境整備が早急に必要であり、日本とのEPA締結で日本の比類ない最先端技術を搭載した医療機器の輸入が大幅に減少してブラジル医療に大きく貢献できると説明、エンブラエル社のジョゼ・セラドール対外関係部長は、 エンブラエルは1969年に設立されたブラジルの航空機メーカーで、1994年に民営化されリージョナルジェット機分野において高い市場シェアと実績があり、従業員総数は1万9,000人、修士課程修了者は1,300人、日本のサプライヤーとして川崎重工、ブリジストン、THK過去10年間で160億ドルの貿易黒字を計上していることなどを説明、エンブラエルは、1969年に設立されたブラジルの航空機メーカーで、リージョナルジェット機分野において、高い市場シェアと実績を誇っていることなどを説明した。 

閉会セッションでは
経団連の飯島彰己日本ブラジル経済委員長第18回日本ブラジル経済合同委員会
飯島委員長閉会ご挨拶
1. 閉会にあたり、日本側を代表して一言ご挨拶申し上げ
ます。皆様のご協力のもと、一日半にわたり、日伯双方の経済界から総勢300名の参加者を得て、両国関係の新たな発展の可能性について、幅広く意見交換頂き、所期の目的を達成することができました。厚く御礼申し上げます。
2. 今回の合同委員会における主な議論を振返ってみたいと思います。
(1) まず、日伯両国の経済状況につきましては、ブラジル側より、足元は厳しい経済環境にあるものの、回復に向け
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て引続き産業競争力の強化を図っていく、との発言がございました。これに対して、日本側より、ブラジルの更なる工業化進展の重要性や日本でのアベノミクスの現状の説明がなされました。
(2) 日伯EPAに関しては、経団連とCNIによる報告書が発表されました。この一年間の成果を大変喜ばしく思います。『報告書のための報告書』に終わることが無い様、12月のジルマ大統領来日に向けて両国政府に対する働きかけを開始することが両国間で確認されました。
(3) 天然資源・エネルギーセッションでは、天然資源確保を重要な国家課題とする日本にとって、今後もブラジルが有力な資源調達先であることが再確認されました。
加えて『天然資源開発とCO2削減の両立』及び『再生
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可能エネルギー』に関する公的融資への取組み方針が紹介され、地球環境保全や持続可能な開発という視点を踏まえた日本側からの支援表明がなされました。
(4) ビジネス環境と投資誘致の議論では、ブラジル側より、今後有望な投資分野の紹介があり、また新たな分野での投資促進の重要性がブラジル側より指摘されました。
日本側からは、ブラジル産業の国際競争力強化に向けた課題が自動車産業での具体例で披露され、そうした課題克服に向けた政策提言活動AGIR(アジール)のこの1年の活動進捗の報告がありました。今回48項目に亘る提言書が取り纏められたこと、またその中から5つの優先提言項目がブラジル産業界とも確認されていること、大変喜ばしく思います。(日伯官民による未来志向の政策対話に向けて今後も積極的な活動推進を期
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待します。)
(5) インフラについては、まず旅客輸送インフラの整備・増強を目的として、両国民間企業の間で新事業会社が設立されましたが、更に官民連携によるインフラ整備支援を推し進める為、日本政府により新機構が設立されました。
また穀物輸送インフラ分野では、昨年の両国首脳共同声明を踏まえ、ブラジル政府からは『ロジスティクス・インフラ投資計画』が発表され、日本政府からは『北部穀物輸送インフラ開発を通じた両国協働の可能性に関する調査結果』が発表されました。今後両国関係者が連携し、具体的協業プロジェクトの選定とその実現に繋げていくことが不可欠です。
(6) イノベーション・技術については、スマートシティ、鋼板製
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造技術、医療、航空機分野等、日伯両国の技術力が最大限に発揮される分野が紹介されました。
3. 以上を踏まえ、本年末に予定されているジルマ=ルセフ
大統領の訪日の際に、日伯経済関係の強化に向けた具体的な提案を行いたいと考えております。日伯双方の皆様の一層のご協力をお願い申し上げます。
4. 次回の第19回経済合同委員会につきましては、ブラジル側とも相談し、来年のしかるべき時期に、東京にて開催することで合意致しました。
最後に、ミュレール会長をはじめ、リオグランデ・ド・スウ州工業連盟の皆様、フェレイラ委員長はじめCNIの皆様による格別のおもてなしに感謝申し上げます。
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また、活発にご議論頂いた日伯双方の参加者の皆様に対しまして、心よりお礼を申し上げ、私からの閉会のご挨拶とさせて頂きます。ありがとうございました。
以 上

ムリーロ・フェレイラCNIブラジル日本経済委員長

閉会にあたり、ブラジル側を代表して一言ご挨拶申し上げます。 飯島委員長他、参加者の皆様には厚く御礼を申し上げます。

特に更なる日伯関係に進展をもたらした経団連とCNI関係者にお礼を申し上げます。また今後一層の両国の協力の進展に期待いたします。委員会では一層開かれた対話、両国の貿易や投資促進の進展に大いに期待しています。地球の裏から来られた皆様の無事の帰国を祈っております。言葉に表せないほど感謝いたしております。また会いましょう。

 

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