第67回定期総会開催

懇親昼食会を前に第67回定期総会は2017年3月17日正午過ぎから開催、松永愛一郎会頭は、2016年度事業・収支決算報告書で、2016年はブラジルにとって歴史に残る一年であり、南米初のオリンピック開催でブラジルの底力とポテンシャルを世界へアピール、また一方で前大統領の弾劾、ラバジャット作戦など前代未聞の政治・モラルの大きな揺れも露呈されたと説明。

資源価格上昇の鈍さや国内消費の低迷から、多くの業種では経済回復が実感出来ないことも多く、また一連の汚職捜査の政治への影響という不安要素が残ることも確かである。しかしそのような中でもブラジル新政権の経済再生の打ち手は着実に進み、インフレ進行是正により金利の低減も明確になってきている。こうしたことで政治の安定やペトロブラスの再建、内向きだったメルコスールの変貌等への市場の期待感も高まっており、まさに今が潮の変わり目だと考える。

この様な状況を踏まえ、アナリストや国際金融機関等によるブラジル経済予想もプラスに転じてきているのが現状である。ブラジルのビジネス環境も大きく変わり始めており、当所としても、税制、労働等の所謂「ブラジルコスト」を是正する為に3年間取り組んできた政策対話活動(AGIR)を更に強化し、会員企業の声を束ねて、日本企業また日本ブラジル商工会議所としてもこの潮目の変化に是非柔軟に対応していきたい。

また日本との関係においては、リオ五輪閉会式での“安倍マリオ”登場に続き、ブラジル大統領として11年ぶりとなるテメル大統領の訪日が実現、こうしたトップ外交を通じて、政治・経済における両国の結びつきが更に強固になっていくことを願うと述べた。

主な2016年の会議所行事トピックスとして、リオ・オリンピック2014年のサッカーワールドカップ開催時と同様に、日系主要5団体による邦人サポーター支援委員会が設立され、会議所も1構成員として積極的に支援を実施。

     現代ブラジル事典

     2005年の旧版から満を持して2016年最新版『現代ブラジル事典』が発刊。 編集者が会議所、

     編集委員には日本のブラジル研究に造詣深い重鎮9名が編集委員となり発行された。

     会議所統一選挙

2年ごとに行われる理事・監事選挙が行われ、2017/2018年度の30社の理事会社、3名の監事が選ばれた。また、次期理事会社からの会頭選挙も実施された。

     定例昼食会、セミナー 

今年の定例昼食会では著名な経済コンサルタントや大学教授の他、アマパ、ピアウイ、セアラ、トカンチンスと様々な州から知事が講演し、農業計画や輸出加工区(ZPE)などについてプレゼンを行った。

また、特にセミナーや講演会が数多く行われた年でもあり、コンサルタント部会の「企業における文化差異への対応についてのセミナー」、日伯法律委員会の「ブラジル知財セミナー」、総務企画委員会の「安全対策セミナー」、日伯法律委員会の「ブラジルビジネスロー研究会」、異業種交流委員会の興味深いテーマを取り上げた講演会2回、「ジェトロ中南米セミナー」、政策対話委員会の「E-SOCIAL についての講演会」などが挙げられる。

      ミッション、見学会

他州日系会議所との連携 - 全伯会議所連携強化委員会は、6月8日、9日にアマ ゾナス日系商工会議所と、6月28日には南伯日本商工会議所と意見交換会や現地の工場見学を行ない連携を深めた。

アルゼンチン・インフラミッション - ジェトロサンパウロ、会議所 相互啓発委員会、総務企画委員会共催のミッションが、7月12日~14日にかけて開催、アルゼンチン政府からのインフラ投資計画のプレゼンテーションを中心としたセミナー、アルゼンチン政府要人や同国インフラ関連企業とのネットワーキング、インフラ関連施設の訪問が行われた。 日本商工会議所会頭が副団長となり引率したメンバーは54社・団体に及び、うち当所の会員企業が約半数以上を占めた。日本政府関係者や事務局を含めると90名強の歴史的な超大型ミッションとなった。

エンブラエル工場見学 — 11月25日、運輸サービス部会によるエンブラエル工場見学が行われ、40人が参加した。

     官民連携活動

農業・食糧対話 — カチア・アブレウ ブラジル農務大臣出席のもと、第2回農業・食料対話をトカンチンスで開催。日本の農林水産省審議官が出席。松永会頭が海外投資家に対するインフラ投資環境の改善策として“外貨規制の緩和”についてプレゼンを行った。また、藤江食品部会長が「ブラジルへの投資環境の改善・整備ー農業大国としての更なる発展に向けて」と題し発表。

政策対話 — AGIR活動を提言する政策対話委員会主導で、3回にわたる政策対話会議が開催された。日本の中小企業支援政策などの紹介、ブラジル自動車サプライヤーの競争力強化に向けた提案がなされ、具体的な対話が進んでいる。

メルコスール大使会議 — 4月25日、梅田大使がアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイの大使を招集、メルコスール諸国の政治・経済・外交、日メルコスール経済関係強化等について最新情報の報告会を開催した。日本企業がメルコスールで活動を行う上での障害や課題等を把握して今後の外交や日本企業支援の検討に役立てるために、ジェトロ、JICA、JBIC、会議所代表者が出席し、活発な意見交換も行われた。

下院議会での公聴会 — 8月3日、ブラジル下院議会(ブラジリア)において「日伯企業間の新たなビジネスチャンス拡大に向けた提言」と題された、下院経済産業商業開発委員会主催の公聴会が開かれた。

AGIR活動の概要と本年1月からMDICとの間で行なっている政策対話の進捗報告ならびに食品部会が取りまとめた提言の説明を行った。

第19回日伯経済合同委員会開催 — 10月4日、5日の両日、日本経団連と全国工業連盟(CNI)は経団連会館において第19回日伯経済合同委員会を開催、政策対話委員会において、AGIR活動の進捗ならびに今後の活動方針を説明、提言実現に向け両国経済界の引続きの支援を要請。

第10回日伯貿易投資促進・産業協力合同委員会開催 — 10月6日、経済産業省と産業貿易省(MDIC)は経済産業省において第10回日伯貿易投資促進・産業協力合同委員会(貿投委)を開催、政策対話委員会において、AGIR活動の進捗報告ならびに今後の活動方針として労働、課税分野におけるブラジルコストの改善に向けた新たな政策対話への取り組みを提案、ブラジル産業界全体の国際競争力強化と日系企業の進出支援に向けたMDICの協力を要請した。

続いて深井泰雄財務委員長が2016年度収支決算報告として、P/Lベースの収入、支出、収支プラス、収入サイドとして通常会費の対予算、資金運用益は政策金利(SELIC)が予想以上に高く推移、支出サイドとして、対予算の人件費、職員の人件費調整や休暇節減効果、家賃交渉による低減効果。2017年度収支予算計画(案)では、P/Lベースの収入、支出、収支プラス、収入サイドでは会費収入のインフレ調整、退会があり得る事を見込みコンサーブ、資金運用益はSELICを控え目に予測、支出サイドとして、一般支出経費のインフレ調整、特別事業費として部会・委員会の活動費は各々の部会・委員会からの要求額を予算計上などについて配布した資料に沿って説明した。

また坂間カロリーナ監事会議長は2016年度監事意見書として、ブラジル日本商工会議所の2016年度(2016年1月1日より、同年12月31日まで)の事業報告書並びに貸借対照表、収支決算書、財産目録(什器(じゅうき)及び造作)を監査したところ、適性であると認めたことを報告した。

最後に松永愛一郎会頭が挙手による承認を確認、また松永愛一郎会頭は「委員会の体制変更」について、先ず1点目は、統合していた2委員会『総務委員会』、『企画戦略委員会』を改めて本来の別個の委員会として分離。また2点目として、2016年に設置した『全伯会議所連携強化委員会』を一旦休止するが、全伯会議所連携強化委員会の活動を止める訳では無く、いくつかの役割・業務を各々日伯交流委員会および企画戦略委員会に委嘱。会議所の伝統的な委員会体制に差し戻した上、基本の活動方針にのっとり本年もよりよい会議所活動を目指すと説明した。

Pdf2016年度事業・収支決算報告書 / 2017年度事業・収支予算計画書(案)

左から坂間カロリーナ監事会議長/松永愛一郎会頭/深井泰雄財務委員長

RI / CCIJB

 

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