1月29日に開催された建設不動産部会での討議、発表内容を下記のように纏めましたので報告致します。
1、 2002年下期の回顧
* 建設部門
各社とも、大統領選挙の影響から低調に推移し、大型物件についてはその傾向が顕著であった。
日系企業からの案件は非常に少なく、非日系の分野で工事量の確保せざるを得なくなっている。
非日系の分野での活況な業種の特定はなく、過去の実績の延長での受注等に限られている。
レアル安に伴う建設資材の値上がりが、収益面に悪影響を及ぼした。
* 不動産部門
好調であったところと、低調であったところの2極に別れた。
入居率が維持でき、保有不動産が順調に売却出来たところは、好調であったが、入居率が維持できなかったところは、厳しい状況となっている。
*全 般
政権交代の不透明さから、投資家が銀行預貯金投資から不動産投資に切り替えたため、現在供給過剰ともいえる、ビルの工事が増加している。そのため、商業ビルについては過剰感が出てきている。
また、市条例の変更により建築規制(建ぺい率の削減等)が厳しくなることを見越した駆け込み建築申請、工事着工もあり、サンパウロ市内では多くの建設現場が目立っている。
2、 2003年上期の展望
* 建設部門
新政権の政策の様子見から、大きな動きはなく、低調に推移するのではないか。
引き続き、中小の比較的工期の短い物件がターゲットになっていくであろう。
為替変動、労務賃金の調整、インフレ等の影響による、収益の圧迫が懸念される。
3社中2社が前年より業績が落ち込むと予想。
日系企業からの工事については引き続き非常に低調と予想される。
* 不動産部門
需給状態の悪化が懸念され、楽観はできないが、現状の入居率は維持できるのではないか。
更新契約時の賃貸料の調整については、従来使用していた指数では、アップ率が大きすぎるため、別の指数で調整をするようになると予想される。
3、「ルーラ大統領指導下のブラジル政治、経済が建設、不動産業界に与える影響」
新政権が誕生してまがないので、不透明であるが、ここ半年くらいは大きな影響は
ないのではないか。建設労務者を含む低所得者層の賃金調整がどのくらいの水準で
落ち着くか、収益面から大きな関心がある。
低所得者層に対しての貧困対策の一環として、新たな住宅供給政策が出る可能があり、注目している。
国際情勢の急展開(イラク戦争等)により、新政権の経済に不安感が広がりはじめると、投資の減退、テナント需要の減少等、建設不動産業界にとっては厳しい経営環境になることが予想される。
「日伯間のFTA締結の必要性あるいは与える影響」
建設、不動産業界にとっては直接的な必要性、影響も現在のところ考えられない。
以上