2004年上期業種別部会長懇談会

04年上期の部会長懇談会は、2月5日午後3時~6時30分まで安田保険講堂で開催された。

今回は総務委員会(浅賀健一委員長)と企画戦略委員会(坂野正典委員長)の共催で行われ、浅賀委員長が司会役。

11部会からそれぞれ部会長、あるいは副部会長が「ブラジル経済の03年下期回顧、04年上期展望」を主題に、各部会の活動計画、あるいは日伯FTA等の副題で発表をおこなった。

質疑応答の活発さが目立った(巻末に懇談会寸描)。

 

発表順:

司会  浅賀健一 総務委員長(日本スチール)

挨拶 田中 信 会頭(リベルコン・ビジネス)

コンサルタント部会 桜井悌司 部会長(ジエトロ・サンパウロ)

金融部会 村田俊典 副部会長(ブラデスコ銀行)

貿易部会 中村純一 部会長(ブラジル丸紅)

化学部会 板垣義実 部会長(スリーボンド)

機械金属 松永和彦 部会長(日立製作所)

繊維部会 福島良和 部会長(ブラジル鐘紡)

自動車部会 新沼正広 副部会長(ブリヂストーン)

運輸サービス部会 横山幹雄 部会長(JAL サンパウロ)

建設不動産部会 清水邦保 部会長(竹中工務店)

電気電子部会  盤若幸男 副部会長(NEC ド・ブラジル)

食品部会 渡辺英明 部会長(東山農産加工)

同席者 坂野企画戦略委員長(ブラジル住友商事)、赤嶺総務副委員長(ソール・ナセンテ人材銀行)、石田総領事。


浅賀司会


坂野企画戦略委員長


左から赤嶺総務副委員長、坂野企画戦略委員長、浅賀総務委員長(司会)


桜井部会長(コンサルタント)、村田副部会長(金融)、中村部会長(貿易)、板垣部会長(化学品)、松永部会長(機械金属)、福島部会長(繊維)


左から渡辺部会長(食品)、盤若副部会長(電気電子)、清水部会長(建設不動産)、横山部会長(運輸サービス)、新沼副部会長(自動車)


桜井部会長(コンサルタント)、村田副部会長(金融)、中村部会長(貿易)

 

  • 司会 浅賀健一 総務委員長(日本スチール)


    浅賀司会

    始めさせて頂きます。今日は皆様、お忙しいところをお集まり頂きましてまことに有難うございます。わたくし総務委員長の浅賀と申します。

    今回の部会長懇談会は、お隣りの坂野さんの企画戦略委員会と総務委員会共催でやらせて頂くことになりました。
    まぁ、今日の話し合いの中から共通のテーマなり、横断的な課題がうまく汲み取れれば、今後の我々の委員会活動、部会活動に生かしていきたいと二人で相談して、今回から共催とさせて頂きました。

    今日11部会の発表を頂きますが、部会の数が多いこと、前半ゆっくりですと、どうしても後半の方に押してきますので、いつも順番の遅い方が、なんとなく割 愛してポイントだけみたいな感じになりますので、今回は、持ち時間を少し厳しめにと、厳格な赤嶺副委員長を、時計係りにお願いしまして・・・(笑)。
    要領としましては、お一人当たり持ち時間10分。その後、その部会発表に関する質疑応答の時間5分、1部会当たり10分+5分の割り振りになっておりま す。10分の前の8分ぐらいに、注意を喚起するかねの音が"チ-ン"と来ますので、そろそろまとめる方向で話を進めて頂きたい。また、この調子では15分 たっても終わりそうもない時は、"伝家の宝刀"の「レッドカード」を用意していますので(笑)。レッドカードが出たら容赦なくその場で話を打ち切らせて頂 く。イエローカードはありませんのでくれぐれもご注意頂きたいという風に思います。

    それから、今回は発表者の方々に、年末年始の非常にタイトな 中で準備をして頂き、大変ご負担をかけたと思います。昨年2月の部会長懇談会は10日間ぐらい余裕があったが、今回は年明けすぐに部会を開いてまとめると 言うことで、各部会長さんは大変だったと思います。今回は非常にそういうタイトな中でやって頂くという事で、あまりいろいろお願いできなかったが次回、今 度の秋、秋というか8月にやる時は、パワーポイントぐらい用意したいと。で、話の目次というか、項目程度は聞く方に見て頂きながら話をする。そんなことも 考えておりますので、出来ましたら、お話されるポイントを、聞いておられる方が分かるような感じでですね、お話をして頂けたらという風に思います。

    それから、お話を進める順番は、コンサルタント、金融部会の方から繊維の福島さんの6組まで行ってコーヒーブレイクと。コーヒーブレイクの後は自動車から 始まって最後は"不況知らず"食品部会の渡辺さんのところで景気良く締めて頂きたいと(笑)。ま、こんな風に考えておりますので、よろしくお願いいたします。

    それでは、会頭のご挨拶を頂いてから発表会に入りたいと思います。会頭よろしくお願いします。

  • 挨拶 田中 信 会頭(リベルコン・ビジネス)

    快晴の空に一点の暗雲 - ブラジル経済 -


    田中会頭挨拶

     

    田中でございます。簡単にご挨拶をさせて頂きます。

    本 日は、当会議所のメインイベントの一つ部会長懇談会「2003年の回顧と2004年の展望」に多数ご出席頂き、まことに有難うございました。特に総領事館 からは、石田総領事以下関係者の方々、さらにブラジリアの日本大使館からもわざわざ、笹本一等書記官にご参加いただいております。

    この懇談会は 1970年代、日本企業のブラジル進出ブームの時代に開始され、年初と年央の2回、毎年実施され、すでに約30年の歴史を有しております。当初はコンサル タント部会主催で、その後、総務委員会主催となり、本年は今、ご紹介がありましたように、総務および企画戦略両委員会の主催となり、年々発展を続けており ます。

    当初からブラジルの日系企業はもちろん、日本企業本社、日本の大学や研究機関、関係官庁などから注目を集めてきました。ジェットコース ターのように変動が激しいといわれるブラジルの政治経済情勢において、指針とする正確な情報が少ないこともあり、懇談会における分析や見通しは信頼すべき ものの一つとして尊重されて来たと考えます。さらに、自分の業界以外、他業界の動向も分かり経営上大変参考になると思います。

    しかし、経済予測は難しいもの、ある意味では、極めて当然のことと言えましょう。見通しが100%的中すれば、予測の意味がなくなります。儲かる人ばかりになるわけですね。

    本年のブラジル経済も、昨年から本年1月までは、楽観的見通しが支配して参りましたが、つい先週、アメリカの金利引き上げ懸念やブラジルのインフレ再燃警戒などから株式が下落、ドルやカントリーリスク上昇などで、快晴の空に一点の暗雲が現れた感じです。

    大事なことは、結果自体の予測よりは、それにいたるプロセスにおける分析や問題点の認識などが重要ではないかと思います。

    ブラジル事典についてお願い

    次にこの場を借りて、近く日本で発刊予定の『ブラジル事典』についてお礼と若干のお願いをさせて頂きます。この事典は全員参加で、産業や法律部門などを会 員各位に分担、執筆頂き、一部コロニアの専門家のご協力も頂き、現在日本で校正、編集が進められております。前回、10年前にも『ブラジル経済事典』を出 しておりますが、この場合は、産業や法律だけではなく、全編を会員が担当して、編集もブラジルで行い、日本では印刷、出版だけを行いました。今回は日本側 一流のブラジル研究家の方々、例えば三田先生、西島先生、西沢先生、小池先生等々が、ボランティアでそれぞれの専門分野を執筆して下さり、校正、編集、全 般統括、出版元との接渉なども、小池洋一拓殖大学教授が非常な情熱を持って、全部引き受け下さっております。各自分担分のうち、校正が必要とされる分が皆 さんのところに送られております。ご多忙中とは存じますが、10年に1度の当会議所のイベントを成功させるため、追い込み段階に入った事典出版にさらなる ご協力をお願いします。 最後に、本日の懇談会のために例年同様、立派な会場を提供下さった安田保険の遠藤社長以下関係者の皆様に厚くお礼を申し上げて、 わたくしの挨拶を終わりたいと思います。

    司会: 皆さんの発表が終わった後は、最後の締めとしまして、石田総領事のほうからご講評を頂くことになっておりますので、よろしくお願いします。それではコンサルタント部会の桜井さん、よろしくお願いします。

  • コンサルタント部会 桜井悌司 部会長(ジエトロ・サンパウロ)

     

    大きく変わったブラジル - 輸出振興、見本市会場等

    桜井:
    コンサルタント部会長を命じられましたジェトロの桜井でございます。本日は3つのテーマについてお話させて頂きます。最初は「ブラジルは変わったか、ある いは変わりつつあるか」。2番目は「ルーラの2年目の課題」。それから3番目はそれを受けて、「コンサルタント部会が本年度どう言う展開をするのか」で す。

    最初の、「ブラジルが変わりつつあるのか、あるいは変わったか」。わたしは着任以来3カ月経ちますが、この3カ月の間にブラジルの 輸出振興政策はどういう感じになっているのか、あるいは、ブラジルの外資誘致政策はどういう形になっているのか、に関心を持ち、ブラジリアやリオに行って いろいろ調べ、その結果、「相当変わった」という印象を受けました。それを一つずつ説明させて頂きたいと思います。
    組織面からは例えば輸出振興 を取り上げますと、1998年にAPEXという輸出振興庁ができました。取材していて、非常によくがんばっているとの印象を受けました。2000年の11 月にはECT(郵便公社)が小額の輸出のため、輸出簡素化のExporta Facilを導入しております。2002年には、ブラジルも輸出保険が必要と あってSBCEというブラジル輸出保険会社を設立しております。
    外資誘致政策では2002年に、商工会議所とも関係が深い官民合同のInveste Brasilをつくっております。それから見本市の会場。見本市は輸出輸入振興に大きな役割を担っており、有効な手段ですが、わたくし見本市会場について調べました。
    従来は非常に大きな、面積66,800平米ぐらいの「アニェンビー」だけでした。- 東京ビッグサイトは80,000です -。それまで「アニェンビー」 だけだったのが、93年には「センターノルテ」ができ、驚くべきことに98年から2001年まで、「ITMエクスポ」、「トランスアメリカ」、それから 「イミグランテ」の拡張工事を含め、24,000から40,000平米の大きな展示場が続々できました。97年から98年は、世界的金融危機があったが、 我々はそれ以降の世界は、これは韓国、中国、どこでもそうですが、全く別物であると発想する事が必要という気がします。

    ルーラ大統領の海外訪問はミッション同行
    メルコスール・ミッションも4カ国共同歩調で

    それからポイントの2。仕事についても結構ブラジルは、組織立ってやっている。継続性が出てきたとか、あるいはコストパフォーマンスについて相当力を入れて きた、周到な準備もするようになった。具体例ですと、ルーラ大統領が海外訪問にミッションを同行させています。昨年は23回行いました。アフリカには 150名、中東は150名、インドは50名強一緒に財界人が行っている。従来であれば、ゾロゾロついて行くという感じでしたが、今は相当事前に準備してい る。APEXの総裁とのインタビューでは、インドについては5回、事前に調査団を出しているとの事でした。
    わたし、1月中旬にコロンビアの国際繊維見本市を見に行きましたが、そこではラジルがすごく大きな場所を占めている。カタログも事前にすごく立派なものを作っております。

    3 番目のポイントは連携業務がうまくなった。在日ブラジル大使館も昔と比べて相当働くようになっているし、驚くべきことは最近メルコス-ル4カ国の共同歩調 が見られる事です。例えば2000年12月に専門会議が設立され、2002年には南アフリカへ共同ミッションを出しています。ベルリンに初めて共同貿易促 進センターと言う、展示場付きの事務所を構えています。さらに2003年にはドイツの食品見本市参加、メキシコへの共同ミッション派遣。これは大成功を遂 げたとの事です。
    2004年、今年はルーラ大統領がインドを訪問し、その時はメルコス-ルの代表団も参加しています。さらにベルリンでの展示会、 韓国のソウルでのソウルフーズという食品の見本市、これにもジョイントで参加する計画です。それからルーラ大統領の中国行きの時には、大々的な4カ国のメ ルコス-ル・プレゼンテーションをします。これはまだ交渉中ですが、上海に、ベルリンに次ぐメルコス-ル共同貿易促進センター設立を計画していると言うこ とであります。

    日本にブラジルの新風を吹かせるには

    個人的に考えるのですが、次に日本にブラジルの新風を吹かせるにはどうすればいいかについての提案ですが、日本の企業は中国、東アジアへ一生懸命向いていて、ブラジルとか中南米にはあまり関心を払っていない。では我々はどうすべきかを考えたところ、いくつかあります。
    まずブラジルの変化を読み取る。2番目はブラジルの新しい側面を理解すること。これはすなわち「技術の国ブラジル」。これをしっかり我々は把握しなくては と思います。それから、ここが重要なのですが、駐在員あるいはコロニアの皆様全体が、日常的にしつこく計画的にブラジルの将来性、重要性を日本とか本社に 訴えること、情報発信をすること。従来は東京が悪いという話に終始するのですが、「本社、東京の責任にしない」というのが非常に重要かなと思います。
    さらに我々自身も少し変身しないとダメなのかなと思っていまして、あの〃ブラきち〃、ブラジルきちがいってよく言われますが、その〃ブラきちアンチーゴ(古い)〃から〃ブラ好きノーヴォ(新しい)〃に我々変身すべきというのがわたしの意見です。
    では〃ブラきちアンチーゴ〃とは一体どういう人かと言いますと、ブラジルが大好きで、まぁなんでもアバタもエクボになってしまう。それから昔のブラジルに固執する。そして人にバランス良くブラジルを紹介する努力を、理解してもらう努力をしない。自分だけで納得する。
    これはわたしが勝手に描いた〃ブラきちアンチーゴ〃ですが、では〃ブラ好きノーヴォ〃はどうかと言いますと、ブラジルをバランス良く見る。それから昔のブ ラジルに関わらず、最近の変化を読み取れると言うことです。それからダイナミックに変化するブラジルの新しい姿を正確に日本、本社、他人にねばり強く伝え ることができると、そういうことが必要です。
    古い進出方法を見ますと、とにかく進出して、「小さく生んで大きく育てる」。それで〃ブラきち〃を 送るというのが、昔の方針かなと思います。これに反して新しい進出方針は、世界とブラジル市場を十分にリサーチし、適切なスケールで、最適の人材を派遣す るというのが必要であります。

    ブラジル本年の課題は3.5%の経済成長

    ブラジルの本年の課題としては経済面では、やはり3.5%と言われている経済成長を遂げる。それから失業率の減少、飢餓ゼロ運動の本格的取組み、外国直接投資の増加、国内設備投資の拡大が必要です。
    政治面ではルーラ政権の支持率の維持、全国市長、市議選挙が10月にありますが、これにルーラが勝つかどうか。それからさらに重要法案の税制改革、司法改革、労働組合など目白押しにあるんですが、彼の支持率の高さを利用していろいろ頑張ってもらいたい。
    わたしは今年は、日本とブラジルの関係が面白くなりそうという意識を持っています。それはまず1つは要人の往来。ルーラ大統領が訪日するかは分かりません が、訪日の可能性もあると考えられます。それからアルキミン知事が4月に行きます。それからアモリン外相も日本に行く可能性が高い。それから小泉総理、川 口外務大臣が訪伯すると。まぁ、それによって、いろんな鶏肉とかアルコール等の現実の進展が出るかもしれないし、FTAも進展するかも知れない。

    セミナーなど会員に役立つイベントを

    最後に、じゃそれを受けて、コンサルタント部会は一体何をするかですが、3つのことをやりたいと思っています。
    1つは、基本的な認識としては商工会議所の会員のお役に立つということをやりたいと考えていまして、まず1つはセミナーの実施。年間6回から7回セミナー をやりたいと思います。第1回から第2回、第4回まではもう講師と大体の時期が決まっております。それで第1回は2月12日に「ブラジルにおける見本市ビ ジネスの動向」ということで、わたしがやるんですが、その他にはアーンストヤングの牧野さん、遠山コミュニケーションの遠山さん、それからヤコンの山下さ ん。この当たりがもう決まっており、それ以外にも後3、4回やりたいと言うことであります。
    最後に後2つ。コンサルタント部会の会員である調 査、PR会社、会計事務所等の「ダイレクトリー」を作製したいと考えています。これはサンパウロの日系、ブラジル系の調査、コンサルタント、PR会社等が コンサルタント部会に入っているが、一体どこの会社がどういう形でやっているのか分からないので、一応ダイレクトリーを作ろうかということであります。
    それから「進出企業現地化実態調査」というのをやらせて頂きたいと思っています。これは3年ごとに日本の進出企業がどの程度の現地化を図っているかを調査するということです。
    まぁ、こういうことをやりたいと思っておりますので、その予算配賦をよろしくお願いしたいと言うことと、それから今日お帰りに当方で作りました「ブラジル最新事情」を読んで頂いてコメント等ありましたら、いろいろ教えて頂きたいということであります。以上でございます。

    司会:
    非常に分かりやすい、具体的な数字、回数、人数が出てきました。我々も新聞をいつも流し読みしていて気に止めていなかったような事を、まとめてお話頂きましてありがとうございました。
    最初にいきなり「質問は?」と言われてもしにくいと思いますが、どなたかご質問がありましたら、桜井さんに。
    それでは、この後また金融部会のほうでマクロの話が出てくると思いますので、その時いっしょにご質問を受ける事にしたいと思いますので、金融部会の村田さん、よろしくお願い致します。

  • 金融部会 村田俊典 副部会長(ブラデスコ銀行)

    ルーラ政権、順調なスタートを切った1年

    村田:
    金融部会の副部会長をしております村田でございます。これから説明するものはエッセンスですので、基本的には商工会議所のホームページのほうに、その辺り 皆さん会社でお使いになられるように内容をきちんとしたものを貼り付けます。原稿もまとまっているものがございますので、後でそれをご覧頂ければと思いま す。
    それでは2003年の回顧から申し上げたいと思います。パート1はマクロ経済、パート2は保険業界について。それからパート3は、金融部会の出しています2004年度の為替・金利予測ということでお話したいと思います。
    まず2003年ですが、ルーラ政権は左翼政権の誕生という非常な不安から始まったんですが、順調なスタートを切った一年と言えると思います。最初にやったのはIMFの支援を継続させるためにオーソドックスな経済運営をして行くことを内外にアピールしたということ。
    為替相場はレアル高傾向で安定し、インフレも沈静化してきた。今後さらに低下の余地も生まれているということです。
    結果、株式市場も2003年は大きく上昇し、ブラジルのリスク指標となってるEMBIというのは470ポイント割れ。C-Bondも98%を超えると言うところまで行って、数字から見て非常な改善がなされた年だと思います。

    諸改革法案を成立させた03年
    04年は社会の要求がポイント

    政 治面では重要な課題であった社会年金改革それから税制改正、この辺になんとか目処をつけることができた年であると。特に社会年金改革は、大幅な年金財政の 改造、後は官民の不公平是正を目的としてなんとか12月に上院本会議を通過させていますし、税制改革はいろいろと利害関係が多域にわたることで難航もして おりますが、とりあえず2004年のプライマリー収支を達成するためと、税制改革を3段階に分けて、財政源必須の項目、えー、CPMFとかDRUを第1段 階として、ICMS等の改正は2005年以降とした改正案を12月土壇場で成立させています。
    こういうことで、ルーラ政権は安易なポピュリズミングに流されることなく、地道な構造改革を優先させてきております。
    一方では、過去のルーラを支えたPT党員の中での不満だとか、それから1年間、あの高金利で我慢した社会の要求あたりが2004年にどうやって出てくるかが今後のポイントだと思います。
    経済全般に関しては、先ほど簡単な指標も申し上げましたが、マーケットは非常に回復しています。
    2003年の特筆すべき事項としては記録的な貿易黒字が挙げられると思います。過去最高、通年では248億ドル。黒字額では世界でも10位以内ですし、経 常収支も1992年以来、初の黒字転換をしています。30億ドルと非常に小さいが、黒字になったと言うことで数字は改善しています。

    地場銀好調、外銀苦戦の03年
    経済は04年に金利低下で回復期待

    それから農作物も輸出が非常に進んだ年で、輸出総額730億ドルの貿易の中でも非常に成長の割合がすごかったのが農作物です。特に中国向け輸出が大きくなって、一方で日本向けは後退しています。
    銀行業界に関して言うと、利鞘を確保した地場大手銀行が非常に好業績を上げております。そろそろ決算が発表になると思いますが、恐らく15%、20%増の 収益が達成されている銀行が多いと思います。一方で外銀はレアル高による為替ヘッジ取引の損失やカントリーリスクの親銀行の慎重な見方もあり、苦戦を強い られており、2000年に占めていた外銀の28%のシェアもだんだん低下して来て、非常に外銀は苦戦していると言えると思います。
    2004年に 関しては、抑制的な財政運営の緩和にたぶん重点をおいて雇用回復、景気の浮揚を図って行くという風に考えられると思います。また、10月のいわゆる市長選 挙織り込みで、政府としては貧困問題、所得の再分配、土地制度改革、社会福祉問題をいろいろと既得権益層との駆け引きによって譲歩したりしながら行くと全 体的な運営を見ています。
    経済成長率は、金利低下により内需回復が景気を刺激して、2004年は3%台に回復すると見込まれています。

    今年末為替は3.2レアル辺り
    selic金利は13~14%見当

    それから皆さんがあの一番気に掛かると思いますレアルの対ドル相場動向は国内景気、それから貿易収支、外貨資金繰り、米国金利動向の4点がおそらく注目になってくると思います。
    ただ、2004年は、2003年がレアル高にぐっと進んだ反動もあり、緩やかなレアル安傾向になる向きが大きいと言うことで、市場関係者の大方は年末1ドル3.2レアル辺りを見込んでいると思います。
    金利はまぁ徐々に引き下げられ、Selic金利は大体13から14%という見通しが多い。
    貿易黒字は、内需が回復し輸入が増えて、去年よりも減少して200億ドルぐらいの着地となり、経常収支はまだ少し赤字に転落すると思いますが、対GDP比レベルでは問題のないところに着地すると思います。
    直投は民営化等いろいろとあった過去の300億ドルとかのピークを2003年度は100億ドル割れと言うとこまで落ち込んだが、2004年度はやや回復して120億ドル程度の直投が見込まれております。
    銀行業界は貸出しのポートフォリオを一斉に積み上げるぞと。それから金利が下がりますから、この部分の収益拡大を目指すことでかなり貸出運営に重きがおかれると思いますので、比較的そういう意味では、貸出競争も起こって来るのかなぁと思っております。
    マクロのおさらいをざっと、それから展望を申し上げました。

    昨年保険料収入は13%増

    保険業界を次に簡単に説明しますが、保険業界の収入保険料は対前年比で13%の増加。済成長率を大きく上回って市場は非常に拡大したと言えると思います。
    種目別には生命保険が64%増と突出増加しております。これは年金払い型商品で、VGBLというのがありまして、一括払い型のまぁ、税金を先延ばし出来るという商品ですが、これ67%の達成ということで、非常に貢献してます。
    あと、事業収益の中では損害率が上がって、保険業界の収入は金利が減少し運用益が減った事もあって、やや減少していると言うことです。
    2004年の展望は、保険業界では12%の増加を予測してます。それから内部監査体制って言うので、いろいろ昨今話題になってる自動車保険の全損処理辺り をですね、問題がありまして、臨店検査が入るということで、その辺り、非常に検査が厳しくなったらですね、業界大変に拍車がかかる可能性があるということ です。

    金利、為替予測 - 6月末と12月末

    最後にパート3として、わたしども4行、1コヘトーラ(ブローカー)が金利予測、為替予測をしておりまして、これも表にして後で貼り付けますのでざっと聞いて頂ければ。
    為替の6月末の予測は、一番低いところがレアル高のとこは2.6~2.9のゾーン、大体平均で2.75レアルぐらいですが、その予測をされてる銀行から、一番レアル安が3.25。後は3の近辺、3.0いくつと言う辺りです。
    12月末の予測は、一番レアル高が同じく2.75ぐらいのゾーンで、レアル安が3.45。平均でいくと3.1前後のところです。
    金利は6月末はほぼ15%台。ほとんどのところが大体15%の予測でして、12月末が13から14%の間となっています。
    この中でキーワードになるものに、やはりどこの銀行さんもドル、金利の上昇を挙げてらっしゃいます。ドル、金利が上昇するとこの前、FMCが一寸コメント 出して上がるかも知れないみたいな事を言っていますが、それによってかなりレアルが安くなる局面が来るであろうと言うことがポイントだと思います。
    後はインフレ目標を達成できるか、インフレが再燃するかどうか辺りが金利の動向に、関わって来ると言うことです。

    司会:
    どうもありがとうございました。村田さんからもご紹介ありましたように、カマラ(商工会議所)のホームページを見て頂きますと、前回の部会長懇談会、今回 も、いずれ整理できましたら、ホームページに載ります、まとまった資料で出ますので、是非ご利用頂きたいと思います。はい、どうぞ。

    中銀のドル買いの真意はどこに

    渡辺:
    中銀が年明け早々ドル買いで介入して来ましたが、表向きは外貨準備高増という理由を言っています。なんか非常に唐突な感じで、今ひとつ理解できないんですが、あの真意は何だったんでしょうね?
    村田:
    中銀の真意が分かれば非常に・・・・・・と思いますが、えー、ここはちょっと。
    渡辺:
    銀行としてはどういう見方をしたんですか? あのドル買いに関しては。
    村田:
    ド ル買いに関しては、まぁ貿易収支辺りの懸念がありますから、適正なレベルまで持って行きたいというのが多分マーケットの統一された見方だとは思いますけど も、足下、やっぱりこうレアルが弱くなって来ているのは、やはりそのインフレ懸念と。先ほど田中会頭おっしゃいましたがアメリカ連銀の金利を上げるオプ ションを持っていると言うような感じのコメント内容ですね。まぁ、レートに影響していると言うことで、エマージングそのものが売られていますから、そう言 うことで動いていると思いますけども。中銀が本当にどう動いたと言うところまでは、一寸わたしも存じ上げません。申し訳ないです。
    大手銀の利鞘ゆえ、多少の利下げでは内需回復は困難では
    坂野:
    金 利ついて質問があります。現在市場では基本金利Selicだけが騒がれていますが、現実の問題は国内大手銀行の中小企業及び個人に対するスプレッド(利 鞘)の幅が大きすぎるということではないですか? 多少のSelicの切り下げをやっても内需はそんなに回復しないのでは? それと国内大手銀行のスプ レッドはこれほど必要かどうか? 貸し倒れ比率が高いという理由はわかるが、現実に御行を含め大手銀行はかなりの利益を上げている。GDPが0.5%以下 の状況下で大手銀行が前年比15-20%アップの利益を上げている現状を見るに、やはり銀行の金利が高すぎるという気もしますがいかがですか?

    利鞘にデコボコあるが、セグメントでは適正
    以前もっと高い時期あり今低下 - 指標で景気回復見てとれよう

    村田:
    ご 希望にお答え出来るかどうか分かりませんが、説明したいと思います。最初のSelic金利だけ下げても内需が強くならないんじゃないかと言うことに関しま しては、我々そのCDIの先物金利ということで1つ指標 があるんですけど、これとマーケットでプラクティスされているリスクプレミアムを乗せた数字の比較があるのですが、それを見る限りは、いわゆるピーク時に はもっともっと高い、いわゆるスプレッドを、リスクプレミアムを乗せて銀行は貸出運営をしていましたし、当然あの、いわゆるリザーブ・リグアイアメントが 引き上げられた時期に関しては、流動預金から上がってくる収益を確保しなきゃいけないと言うことで、金利をさらに上げている時期も以前、03年にはござい ます。それから行くとですね、いま足下のその指標は大分下がっておりますので、その指標を見れば景気は緩やかに回復するだろうというロジックは見てとれる と思います。
    次のご質問の、何故そこまで貸出金スプレッドが引き上げられなければいけないかに関しましては、やはり先ほどおっしゃった引当率が非 常に高いと言うことが1つ大きな原因です。これはあの、いわゆる大型の、大手企業の貸出に関しては、ま、そこそこの数字や利鞘でやっておりますが個人のい わゆるシェッケ・エスペシアルとかいわれる部分、この辺り非常に高い。これは、あの、返せない人も多いマーケットでですね、それなりの確率、引当と利鞘を 確保するというのは仕方がない。だから全体でいくと非常に高いけども、セグメントをとって見ると適正なスプレッド運用がなされているのではないかと言う風 に考えております。例えば、消費者ローン、あの消費者のマーケットでも、例えば車のリースだとか、車購入のための貸出、この辺はぐっと利鞘も小さく運用し てますんで、この辺はその目的によって大分違うと言うことで。銀行サイドからいくと適正であるというのが(笑)お答えになろうかと思います。

    Selic便乗値上げ、玉突き現象が心配だが

    二宮社長(東洋紡ブラジル):
    あ の、以前のインフレの話ですけども、あの例のCofinsね。我々のとこで2月にすでにですね、買うものにはどんどん、4%から5%、ひどいとこは7%も 値上げして売ってきているんですよね。で、我々の方もそれではもう経営が成り立ちませんから、もうどんどん先に同じようなパーセンテージで、前にどんどん 押して行ってるんですよ。わたしのはまぁ、大変に小さい会社ですから、それ自体が与える影響なんて知れてるんだけども、各社全部が同じような方向へ走り始 めた時に2004年のインフレに対するインパクトは大変に大きいんじゃないかと思うんですよね。一応まぁ、仕事上必要なので、それが一体今後、玉突き現象 でどんな現象が起こって来るのかに関していま、一生懸命いろんな雑誌とか新聞とか読んで勉強する姿勢できてないんだけど、姿勢としては、そういう形でいま 見てるんですよ。で、それに対するご専門家のご意見を1つ、簡単に、わたしでも分かるように1つ教えてもらいたい。以上です。

    中銀は心得て利上げもあり得ると市場に警告

    村田:
    マー ケットでは、実は12月ぐらいから1月になったら、そのいわゆる税制改正のインパクトもあって、玉突きでその値上げが起こるんじゃないかと心配をしていま した。従いまして、非常にインフレに関する1月というのはビビットになっていたと。これは中銀も同じように感じていましたし、エコノミスト辺りもどんな風 に中銀が動いてくるのか、この影響をどう考えるのかを注目していました。従ってこの前ですね、トントンと下がってきたやつを下げませんでしたから、 Copomはですね。この辺りでやはり、危機感をマーケットに流して、「ちゃんとその辺は分かっておる」と言うことのメッセージ出したと言うことが、1つ はよかったのではないかと思っております。従ってその玉突きがどれぐらい、悪影響を及ぼすかというのは分かりませんけども、及ぼす前に逆に金利上げなきゃ いけなければ、中銀は金利を上げてくると。「いまは下がっているけども逆にしてもいいよ」というぐらいの覚悟がこの前のCopomの決議だったと思ってお ります。
    二宮:インフレが起これば金利を上げてくるということか?

    村田:
    そうですね。中銀はそれしかないというか、それをまず最初にやってくると思います。

    司 会:
    お金の話になると俄然盛り上がりまして(笑)、いい感じになって来たんですけども。この後、鶏肉の話も含めて貿易部会の中村さんのほうからお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

  • 貿易部会 中村純一 部会長(ブラジル丸紅)

     

    03年貿易黒字、国際収支好転に貢献

    中村:
    中村と申します。貿易部会より発表させて頂きます。貿易部会では「2003年の回顧と2004年の展望」というレポートと、それとジェトロさんの協力を頂 きまして3種類の統計資料を準備してあります。1つは、ブラジルの主要商品別輸出入統計、それから2つ目は、主要国別輸出入統計で、これは特にブラジルの 対中国貿易についてハイライトをしてあります。3つ目としては、対日の主要商品別輸出入統計を準備しておりますので、後ほどご参照頂ければと思います。
    ではまず、昨年の貿易の回顧についてですが、一言で言えば、昨年の貿易収支はルーラ政権と同様に当初の見通しと異なり、ポジティブ・サプライズとなって、 過去の最高記録である196億ドルを大幅に超えて248億ドルの史上最高の黒字を計上しました。結果的に、ブラジルの国際収支に大きく貢献したと言うこと がいえます。
    その要因としましては、旺盛な外需により輸出が大幅に増加したこと。それから国内の景気が停滞していることもあり、輸入があまり増えなかった結果であるということが言えると思います。

    航空機にとって代わった自動車輸出

    昨年の輸出につきましては、品目別には、大豆、鉄鉱石などの一次産品、それからパルプ、スラブなどの半製品が大幅に増えています。完成品では自動車の輸出が伸びており、一昨年1位であった航空機を抜いて自動車の輸出が第1位となっています。
    輸出相手国別では、アメリカ、アルゼンチン、中国となっています。特に注目すべきは、東欧、アフリカ、中東などへの輸出が軒並み増加している事であります。
    一方、輸入につきましては、資本財、消費財などの輸入が減っています。一部原材料、それから中間材料が、昨年より増えてはいるものの、輸入全体としては、微増に留まりました。
    対日貿易につきましては、輸出輸入ともに増加しておりますが、輸出で、第6位、輸入で第4位という風になっております。今後日本とブラジル間のさらなる経済交流の拡大が期待されるところであると思います。

    今年は196億ドルの貿易黒字予想

    2004 年度の展望では、中央銀行の見通しとしましては、750億ドルの輸出、560億ドルの輸入。貿易黒字が196億ドル程度という風になっております。これは 世界経済が回復基調にあるなかで、輸出は緩やかながら増加ペースにある事と、輸入については、国内経済の回復が見込まれること、それからルーラ政権が2年 目に入りまして、政権運営の基軸を「経済開発と雇用創出」に移しまして、GDPの3.5%成長を目指して、何らかの景気の刺激対策がとられるであろうと言 うところからでございます。
    対日貿易につきましては、特に昨年末の米国の、BSEの問題。それから今年の1月に始まりましたアジア各国での鳥インフルエンザの問題で、ブラジルが脚光を浴び初めております。

    鳥インフルエンザ騒ぎ、ブラジル国名がひんぱんに日本のTV、新聞に

    最 近のNHKのテレビ・ニュース、日本の新聞などでも、ブラジルの名前がひんぱんに出てくるようになりまして、わたしどもとしては、極めて喜ばしい限りであ るという風に思っております。ちなみに、内輪の話で恐縮ですが、昨年、1月から12月、1年間の鶏の対日輸出量は1200トン程度であったんですが、今年 の1月だけですでに2000トン程度を成約しておりまして、この2000トンというのは向こう3カ月間分の出荷量で、アジアの鳥インフルエンザ騒ぎが今年 いっぱい続くとも思われませんけれども、いまヒヨコにすると4月ごろには肉で売れるそうですから、今年の前半は、ブラジル産鶏肉の対日輸出が期待されると ころであろうと思っております。
    加えまして鉄鉱石、大豆、鶏肉など、値段が軒並み上がっており、金額的にも対日輸出額が大きくなるものと思われ ます。ただ1つ懸念材料と致しましては、昨年日本とメキシコとのFTAの交渉が難航したこともありまして、日本政府のFTAの交渉スタンスがどちらかと言 うと、フィリピン、ベトナム、マレーシアだとか、アジアにシフトしていること。それから昨今は船が足らなくて海上運賃がえらい高くなっていると言うような ことが、懸念材料として挙げられると思います。

    部会で今年4回のセミナー計画

    最 後に貿易部会としましては、今年は4回程度の、セミナーを開催しようと思っております。第1回はすでに1月末にNEXIの長谷川所長に来て頂きまして、貿 易保険について講演して頂きました。第2回目は3月~5月ごろ。第3回目、第4回と引き続きやる予定です。第2回目については、いわゆる「カーボン・デ ヴェロップメント・メカニズム」についての啓蒙活動も兼ねてセミナーを開催したいと思います。それから第3回目としては、その昨今、気に掛けなければいけ ない事であろうと思います「コーポレート・ソーシャル・レスポンサビリティー」についてセミナーを行いたいと考えています。それから最後、ブラジルおよび 中国の貿易についてもう少し詳しく知りたいということで、勉強会を開きたいと、こういう風に考えております。以上でございます。

    司会:
    ありがとうございました。それではご質問ございませんでしょうか?ないようでしたら、次回、あの次回の質疑の時に質問して頂いても結構ですので、化学部会 の板垣さんの方に参りたいと思います。化学部会は何と言っても業種、品種の数が多いんで、「10分間でしゃべれるか」って言うところあるかと思うんです が、よろしくお願いします。

  • 化学部会 板垣義実 部会長(スリーボンド)

    きびしかった消費財業界

    板垣:
    今年から務めさせて頂きます板垣と申します。いまお話ありましたように、化学、正式には「化学品部会」ということで、化学原材料をつくっている会社ではな く、そういう原材料を使っていろんなものに加工している、そういったものを輸入したり、ここで現地生産して販売しているという会社の集まりでございます。
    初めて今回、化学品部会で司会を務めまして会議を開きましたが、いろんな業種に分かれてどうまとめていいかよく分からない状態だったんですが、ざっくりと3つぐらいに分けてみました。
    部 会の中でも昨年厳しかった状況にあった業界から行きたいと思います。まずはコンスーモ(消費財)業界。この業界には写真のフィルム、化粧品、文房具、それ から家庭用の接着剤であるとか、一般大衆をターゲットにした商品を輸入したり、現地生産して売っている会社がございます。 昨年初めの部会で、ある社長さ んが「2003年は非常に厳しい年になるであろう。ベルトの穴を2つぐらい締め直して、気を引き締めて行かんといかん」とおっしゃってたんですが、結果的 にはその通りになりまして、コンスーモ業界と致しましては、非常にデリケートな業界でもあるんですが、昨年のルーラ政権がやって来られたいろんな政策、非 常に良かった面がクローズアップされておりますけれども、その反面、平均給与が減ったり失業率が前年比に比べますと若干アップしたりとか、そういった形 で、例えば接着剤なんていうのは1本、2レアルとか安いんですが、それですら買わない、買えない人たちがおりまして、わたしどもの会社の商品の場合、 2002年に比べて2003年は、生産本数で25%減っておりますし、売上でいきますと17%も落ちております。
    あるいは化粧品ですと、これはほとんど輸入品ですので、非常に高い。最近は非常に安いジェネリック品も出回っておりますし、化粧品もかなり苦戦しております。
    全体的には、写真フィルムもそうですね。競合メーカーさんが出て来られたり、価格競争が激化して、前年比減収・減益になった企業さんが多かったと思います。
    下 期に入り、金利の低下等が進み、あるいはドル安、レアル高に転じた傾向もありまして、輸入原材料等の価格が安定してきました。それに伴い、上期の落ち込み を下期で何とかカバーして帳尻を合わせると言うような企業さんが多かったと思います。ただ通年では前年比マイナスの結果になっていました。

    伸びている自動車、2輪向け工業材料売上

    次 に工業材料を生産している会社です。ターゲットは自動車会社さん、あるいは2輪メーカーさん、その他、電気メーカーさんもありますし、そういった工業向け の材料をつくっている会社です。どういった会社があるかというと、皆さんの車の中、家庭の電化製品の中にある、いろんなプラスチック類、それから繊維類が あると思うんですが、それに着色をする着色剤をつくっている会社、工業用の接着剤であるとかシール剤をつくっている会社、あるいは工業排水・水処理の会社 といったような業界がございます。
    この業界は去年、自動車に関して言えば、欧米系の自動車メーカーはかなり苦戦したと思うんですが、その一方 で、日系の自動車メーカーさんはかなり伸びています。2輪メーカーさんに至っては、日系企業さん独壇場ですし、先ほど申しましたけども、平均給与もあまり 伸びてないと言うこともあって、自動車には手が出ないけどもバイクには手が出る、と言うこともあるんだと思います。そういった関係で2輪の業界さんは非常 に伸びているということで、この業界に商品を供給している企業は、1年を通して比較的安定をした売上を伸ばしております。
    私どもの会社の統計で申し訳ないですが、自動車、電気、その他の工業製品で、大体どこも20%ぐらいの伸びを示しております。

    大豆、綿花豊作で農薬販売伸びる

    次に農薬業界。先ほどからブラジルの輸出が非常に伸びてるとのお話があります。その原動力の1つであります大豆であるとか綿、こう言ったものが非常に豊作で あったと。 大豆に関しましては、アメリカで減産がありましたし、アジアとかヨーロッパ諸国で需要が非常に増したこともあって、国際取引価格が高騰したこ と。作付面積がブラジルで初めて2000万ヘクタールの大台を突破したと言うことがあります。
    それから綿に関しましてはやはり、若干他力本願的で すけども、世界第3位の輸出国であるオーストラリアが干ばつで大幅な減産になっています。やはり国際価格が高騰しまして、それから一方でブラジル産の綿の 品質が向上したと。国際的に品質が認められたと事もあり、作付面積が24%前年比増という事もありまして、使用する農薬であるとか、殺菌剤であるとか、こ ういったものの量が非常に増えた。統計上、2002年に比べて56%の売上増、業界全体として56%の売上増を記録したそうです。化学部会の中で昨年一番 の勝ち組だと思います。
    ここに所属されております農薬メーカーさん、それから商社の担当の方々は、非常に顔色とかですね、非常にツヤもあって(笑)余裕の状況がありました。コンスーモ業界の皆さんとは全く対照的なことでした。

    3.5%の経済成長期待、だが一抹の不安もある

    続きまして、本年度の展望ですけれども、ルーラ政権が昨年実施した政策は段々実を結んで行くんではないかと思っています。
    それと、経済成長率が3.5%という、政府発表がありますけれども、これは非常に皆さん、期待しております。農薬業界は昨年良かったけれども、今年がいい かどうかは天候もありますし、サビ病呼ばれる病気があの最近広まっているということもあって若干の心配もあるようです。
    その3.5%ってのは非 常に期待はしているんですが、一抹の不安も持っております。金利は、先ほどもご紹介ありましたけども16.5%で止まっておりますし、ルーラ政権の目玉商 品であります税制改革とか年金制度改革は、我々の企業活動にあんまり恩恵が見込めないではないかと思いますし、後で渡辺さんが説明されると思いますけれど も、Cofins。これが今月から7.6%に上がっています。この影響がどのようになるかが非常に心配ですし、インフレの懸念であるとか、平均賃金がやは り低いと言うことで、全体的には警戒感を持って望んでいるというところです。できれば金利をさらに下げて行って、一ケタ台に乗せて頂きたいと思っております。
    それから個人的な観測なんですが、日系の自動車会社さんの業績は良かったと申し上げたけれども、ブラジル全体の自動車の生産台数はここ数年 あまり変わっていない。限界じゃないんでしょうけれど、一つの数字のところで止まっていると。シェアの奪い合いをしているというように思うんですが、自動 車ってのは、ご存知のようにいろんな業種のみなさんがつくった部品を集めてつくっておられますので、この業界が伸びて行かないと、ほかの業界も伸びないん じゃないかと言う風に思っております。

    FTA若干影響は農薬くらい

    それからFTA等に対する影響なんですけども、我々の業界の中でいろい ろ意見を聞いたんですが、FTAAとかFTAに若干影響を受けるであろうと言うところは農薬業界なんですが、ただ、農薬業界は、ほとんどが輸入品だそうで す。この輸入品の場合は、関税が免除になっているそうで、その影響はあまり大きくないであろうと言うことです。それよりも、中国とかインド、それからジェ ネリック品がもうかなり入ってきていると言うことで、こちらの対策のほうが興味があるという意見が多数出ております。

    今年は環境関係各社取り組み調査に努力

    最後ですが、化学品の独自テーマについてどうしようか、いろいろ話し合いましたが、化学品と言いますとやはり毒とか、危険だとか、危ないとかっていうイメー ジが非常に多い、大きいと思うんですね。ブラジルで、我々製造販売させて頂いてる限り、やはり環境に関する取組みって言うのは、非常に大事であろうという ことで、昨今非常にクローズアップされております環境ホルモンであるとか、環境負荷物質といったようなものを、極力配慮したような形での製品づくりをして 行こうではないかと。特に農薬は口に入るものに使っておりますので、全世界的に規制が厳しいそうなんですね。ヨーロッパにはGAPという規制があって、こ れに合致しない農薬は一切輸出入はできない。それから最近各企業さんが、独自の規定を持っておりまして、その独自の規定の中に含まれるその環境負荷物質等 が入っているような製品は一切、サンプルとしても持ち込めませんし、評価もして頂けない、もちろん使って頂けない。ということで、非常に我々の商品を使っ て頂くためのビジネスにも関わってくると言うこともあり、今年1年かけて、化学品部会としましては、このような環境負荷物質、あるいは環境ホルモンに対す る取組みを各会社が、どのように取り組んでいるかをまとめまして、次回の懇談会に発表させて頂きたいと思っております。以上です。

    司会:
    非常に幅広い内容をまとめて頂きまして、ありがとうございました。ご質問がございますか? はい。

     

    伸びた鶏肉輸出の価格は?

    赤嶺:
    すみません、時計のほうに気を取られていて先ほど、貿易部会の中村部会長にお伺いするのを忘れていたんですが、日本への鶏肉の輸出、今年1月は1カ月間で2000トンですか?

    中村:
    はい。

    赤嶺:
    2000トンに急上昇したということですが、値段の面はいかがでございますか? ブラジルから持っていって、日本国内で売るのにそのフレートとか、そのような問題点は指摘されていませんでしょうか?

    価格は6割くらい上昇

    中村:
    値段だけではですね、そのフレートを除いて、すでにもう約6割ぐらい値段上がってます。12月23日か24日だったと思うんですが、アメリカでBSEが起 きた時はえらい安かったんですよ。それが現在はすでに60%超えるぐらい高くなっていますね。で、フレートは入ってません。

    司会:
    で、中村さん、先ほどおっしゃられたのは、丸紅さんの取り扱いだけですか?

    中村:
    うちだけ、うちだけですよ。

    赤嶺:
    全体ではいくらになりますか?

    中村:
    それはちょっとね!各社のその何ていうんですか、あの、リスク・・・できない部分もありますしね。それと、各社によって占める割合が違うわけですね。だか ら、当初の場合なんかは鶏肉の占める割合って極めて少なかったんですね。で、元々取扱量そのものが少なかったということですね。従って、急に増えたという ことが言えると思いますが、別のところにとっては、そんなに増えてないかもしれないですね。量的には。

    赤嶺:
    ありがとうございます。

    司会:
    あと、化学品につきましてご質問ございますか?それでは、機械金属のほうに参りたいと思います。私自身も機械金属部会に所属しておるんですが、せんだって の機械金属部会では、鋼材値上げ問題で集中砲火を浴びまして(笑)。そんなに儲かってるのに何で値段上げる必要があるのかと言われて、「それはウジミナス の問題です」と答えたんですけども(笑)。松永さん、よろしくお願いいたします。

  • 機械金属 松永和彦 部会長(日立製作所)

     

    松永:
    製鉄、軸受け、切削工具は追い風。業容拡大には、為替の安定が、極めて重要。

    機械金属部会の部会長の拝命を賜りました、松永でございます。今日は、宜しくお願い致します。大きく3つに分けてご報告せて頂きます。

    業種が、複数有りますので、大きな1つ目は、全体の話。2つ目はその中で、個別に出てきた要望事項やFTAに関するコメント。3つ目の最後は、時間の許す範囲で各分野の当面の課題、背景、トピックスを、お話したいと思います。

    まず全体ですが、総じて2003年の業績は、予算の達成率は別としましても、2002年と比較して、良かった。2004年は更に良くなると言う見通しが多かったです。
    我々の業界は、一にもニにも、為替の安定が重要です。この点で、2003年は、非常にステーブルなビジネスが出来たと言うコメントが、ありました。

    ただ中身が、いろいろ分かれておりまして、これも3つ位に分けられます。1つ目は、一番厳しかった電力で、目標に対して七掛け位を達成したという所もございました。

    そんな中で、一部の会社ですが、モーター工場を稼動しておりましたが、諸般の事情により方針的に閉めた所も御座いました。

    2つ目は、何とか当初の目標に対してクリアしたと言う所。汎用エンジン、あるいは、ネジ関係、いわゆる産業の米粒としてのネジの部分です。

    3つ目は、ある分野に特化し、ビジネスを拡大して業績が非常に良かった所。製鉄、ポンプ、軸受け、切削工具。前年度比売上げ3割アップは、軸受と切削工具です。

    為替に関しましては、マチマチなんですが、本音を言うとやはり、3レアルを切ると厳しいと言う意見が有りました。出来れば3.1レアル位にして頂きたいと。あと、一応イメージとしてブラジルで作る全体の量の、2割を輸出したい。キーコンポーネントを輸入してますので、ドルヘッジをするような形で、輸入分相当を輸出し、北米に持って行きたいと言う所が幾つかありました。

    これが、大きな1つ目の全体の、マクロイメージでございます

    <要望事項>

    1. 鋼材の輸入税0運動の推進。
    2. 移転価格税制、研究開発費計上ルール変更に対する対応施策。
    3. GIE、欧米商工会議所との連携でブラジル政府に税制、行政改善の働きかけを推進。
    4. フォーメ・ゼロ(飢餓ゼロ計画)実現による、零細農業への政府支援。農業灌漑用水政府援助。

    大きい2つ目の要望事項です。これはバラバラと出てきたやつを4つほど拾いお話させて頂きます。

    1つ目は、かなり難しい話なんですが、「鋼材の輸入税を0にして頂きたい」。そういう切実な要求が御座いました。

    2つ目は、この開かれた商工会議所を、活用したいという観点からの話ですが、「移転価格の税制に関して各社の話を良く伺いたい」。我々は、昨年から何回かこの話をしておりますが、可能な範囲で、各社の対応を伺いたい。次に研究開発費引き当ての話しですが、日本からの支援無しで研究開発をしている会社がその費用を引き当てる際に、ルールが変わり、今後単年度で全額引き当てが可能になりました。その場合、その分、業績は下がります。その辺を、どうすべきかと言う話が御座いました。この辺のお話しを伺いたいと言う趣旨です。

    3つ目は、金岡さんがやられている仕事に繋がると思いますが、GIEと、欧米商工会議所と連携し、ブラジル政府に対して法制、行政の改善をお願いしたい。「是非来てくれ」と言う良い話を伺って来ている所もある訳ですが、一旦進出しますと、"継続は力なり"と言いますけども、続けて行くのが本来ですので、法制、行政の改善も継続して頂きたいと言う、お願いです。

    4つ目は、大統領が言われてる「フォーメ・ゼロ」(飢餓ゼロ計画)の実現をお願いしたい。飢餓に苦しんでる方々をゼロにしたいというのは当然の話なんですが、零細農業を政府の援助で支援して頂いて、リライアビリティーの高い物での生産性を上げて行きたいと思います。現状は、先立つものが限られているので、中国製が、レアル高に伴って、入って来ており、2003年は、苦戦を強いられた所もありました。あるいは農業灌漑用に関し、政府の援助をお願いしたいと言う声もありました。

    <FTA>

    FTAに関しても、まばらなのですが、1つ目として、既進出の重工業は、国内税に苦しんでいて、外国から入ってくる競合先と、関税で何とか凌いでいる。従って、もしFTAを進めるのであれば、国内税を削減して欲しい。放っておいても欧米とのFTAに入って行くのですが、まずは目先の話が、1つあるのかと思います。

    同じニュアンスなんですが、本音としては、体力が付くまで現状維持を、希望している所もありました。

    それから2つ目は、自分の所は、100%輸入しているので是非、決めて欲しいと言う所が、あります。具体的には民間ベースの話が詰って来たので、一日も早く政府間レベルに上げて頂き、ルーラ大統領が日本に行く時に、小泉首相に話をして頂きたいというお願いです。
    大きい3つ目、業界の課題に関しまして、一言ずつ申し上げます。
    製鉄は今、業界再編が水面下で進行しております。為替が3を越えるレアル高だと輸出が非常に厳しいので、6:4で国内のベースロードを確保したい。ただ、中国の景気が良いので、為替次第で、輸出にも振りたい。全体の約半分、1500万トン/年を、輸出にアロケートする力は持っています。
    電力は、水力へ政府がシフトして、電力料金を押さえ込むという流れがあり、大分、ディスカレッジしてるので、ならばその分、業績の良いパルプ、石油、製鉄、鉄鉱石へシフトしたいという流れが、ございます。
    ポンプは、FTA後に欧米メーカーが、入って来るのは時間の問題ですので、今から現地生産比率と品質を上げ準備を進めておこうと言う所もございます。
    汎用エンジンは、フォーメ・ゼロの話ですね。
    軸受、切削工具は、追い風の勢いに乗り、現地生産比率と輸出比率を上げて、為替の振れの影響をミニマムにしたいという所がございました。

    以上で、ご報告を終わります。

    司会:
    どうもご苦労さまでした。それではご質問をお受けしたいと思います。

    移転価格税制についての業界温度差は?

    坂野:
    先ほどの要望事項一つに移転価格税制と言う話がありましたが、業界でもかなり温度差があると思いまが、機械金属部会の中でも温度差はありますか?
    要は、移転価格税制に敏感なところとそうでないところの温度差はどうですか?

    松永:
    幾つかの会社から要望事項が出て来ており、去年8月に1回話をしたのですが、今回は、締切が1月末で、もう間に合わないと言う所が出てきました。その方は、1月28日の打ち合わせ後に個別相談をされておりました。
    各社が、実態としてどんな対応をされるのか、知りたいと言うのが、ポイントだと思います。
    そこの所を持っている方達を、坂野さんのお力をお借りて、ご紹介頂きたいと思いますので宜しくお願いします。

    司会:
    じゃあ、あの、福島さんの方からお願いしたいと思います。

  • 繊維部会 福島良和 部会長(ブラジル鐘紡)

     

    一人あたり年間繊維消費量9.5kg、 - 日本は22kg
    まだまだ買って頂ける余地あり

    福島:
    繊維業界、持ち回り部会長の福島でございます(笑)。繊維産業といいましても大変幅広く天然繊維、化学繊維、合成繊維ありで、最近では、トウモロコシ、バ ナナ、あるいは牛乳、タケ、こう言うものを原料とした繊維が開発され、ま、大変幅広い、多岐にわたっていると言うことであります。
    さらに、原料から製品までと、消費者の手に届くまでには多くの工程も経ておりますし、流通過程も大変複雑で、奥行きも非常に深い産業であります。
    日系企業がブラジルで、企業活動を行っておりますが、この繊維産業のごく一部を担っていると言うことですので、冒頭お話をさせて頂きたいと思います。
    7000年の歴史は天然繊維にあるわけですが、合成繊維、化合繊維、これらの歴史は150年程度だと言われております。
    さらにブラジルの年間1人あたり繊維消費量は、2001年の統計しかありませんが、1人あたり9.5キロの消費です。ちなみにアメリカ30キロ、日本では 22キロぐらいと言われており、比較的暖かい国であるということ、さらには経済が非常に不安定で個人収入の経済的な問題もあり、日本の半分以下というのが ブラジルにおける1人あたりの繊維消費量であります。
    日本ではもうタンスの肥やしになっていると言うことですが、ブラジルではまだまだ、買って頂ける余地はあるというのが、繊維の実態ではないかと思っております。

    日系は8社が紡績、織物、染色に進出、

    次に、素材ごとに部会の中でのまとめですので、綿関係、コットンですね。それと羊毛、シルク、それとファスナー関係と、この4素材といいますか、この4区分でお話をさせて頂きます。
    まず綿ですが、詳細な統計はないんですが、製造設備などから推定しますと、ブラジルのことですが、繊維生産量の8割程度が綿ではないかと言われております。
    この綿の業界の中に、日系企業は現在8社が進出をしてきており、紡績、織物、染色、ま、この分野で企業活動を行っております。さらに基本的には国内で原料を調達し、国内販売が中心になっている。国内での販売が中心です。

    世界に認められたブラジル綿
    だが価格高騰でわれわれは苦しい

    原綿は先ほど化学部会の方でお話がありました。昨年は85万トン。これは、対前年111%の生産です。これは世界の生産量の約15%がブラジルで生産されていると言うことです。72万トンほどが国内で消費をされる、18万トンが輸出されている状況です。
    この原綿市場が、先ほどもありましたが、一躍ブラジルの綿花が世界に認められてしまったと。我々にとっては非常に不幸なことですが、世界から買いが入って価格が急騰しているという状況です。
    昨年の10月から2カ月で、約35%原綿相場が上がっている。この大半は農薬あるいは肥料会社へ行ってるんだろうと思いますが(笑)、ま、"そちらが太れ ば我々は細る"という状況であります(笑)。原因は先ほどもありましたが、最大の生産国で、最大の消費国でもある中国の需給バランスが非常に崩れている、 あるいはオーストラリアの凶作がブラジル、世界の綿花相場を上げている。加えてブラジルの品質が非常に良くなったということで、海外からも買いが入ってい ると。ちなみに2003年度は18万トンが輸出されたと言うことですが、今年はすでに40万トン以上がもう輸出成約されているとも言われておりますので、 益々原綿市場は荒れる、一部の産業は儲かる、我々は苦しい、と言うことが続くと思います。
    この原綿を買って我々は、糸にして販売しているわけで すが、末端需要が非常に低調である。失業率も高い、実質所得も下がっている。末端需要が非常に低迷していると中で、原料代が上がると言うことがあり、値上 げに踏み切っておりますが、各社の足並みの乱れ等ありまして、原綿は35%上がったんですが、製品は7%から10%までの値上げに留まらざるを得なかった と言うことであります。

    原料高製品安つづく

    原 料は、我々としては現金買いが原則です。サイトをつければ当然金利を取られますが、これを加工して売る場合には、60日あるいは90日というサイトで決済 せざるを得ない。ここにも非常に苦しい部分があり、極めて厳しい環境であると前回も報告しましたが、「原料高の製品安」という状況は未だに変わっていない と言うことであります。
    本来、下期というのは、春夏物のシーズン、あるいはナタル(クリスマス)商戦等があり、市況回復は期待できるんですが、残念ながら2003年度、力強い回復にはならず低調に終わったと言うことであります。

    原料高で今年も厳しい環境予想

    綿の市場の2004年度につきましても、ブラジル経済は、非常に楽観的な予測が出ていると思います。ただし、繊維業界はさらに厳しい環境になるだろうと先ほども申し上げましたが、1つには、小売、店頭市場が非常にまだ回復していない。
    2点目には原料価格が下がらないと言いますか、高止まりをしており、まだまだ高くなる可能性がある。
    3 点目はレアル高で、輸出競争力がない。逆にレアル高で製品輸入が増えるであろうと。ま、こう言うこと。さらに、業界の整理淘汰が進みますので、当然信用不 安が益々増して行くだろう。こう言うことから、2004年度もまだまだ楽観を許さない、厳しい状況は続くという風に考えております。

    不公平な取引是正を要望 - 羊毛

    次に羊毛関係ですが、羊毛も昨年、原毛相場が非常に上がりました。一昨年から上がったんですが、昨年上期にようやくピークで、下期には緩やかな下がり相場となったと言う状況であります。
    国内市況の低迷により、一時、低価格乱売合戦が行われましたが、これは、お互いが体力を弱めるという結果になって、体力にあった適品適量への回帰が顕著に見られているのが現状であります。
    これは羊毛業界から出ておるんですが、中小企業相手の商売をする、そういう中で、セン・ノッタであるとか、あるいはメイア・ノッタというのが、ブラジルの 取引の中で行われていると。これは綿の業界でもあるんですが、何とかこういう不公正な取引を是正できるような対応をぜひお願いしたいという要望が出ており ます。

    日本の和装業界低迷でシルク不況

    それとシルク関係でありますが、これも同様に「原料高の製品安」の状況です。大半、80%以上が日本向けの、日本あるいはヨーロッパ向けの輸出という状況 でして、日本の和装業界が低迷している、あるいはレアル高ということで、製糸会社としては非常に苦しい状況が続いております。
    以上、天然素材、3素材を申し上げましたが、すべて「原料高の製品安」という状況に陥っております。

    フアスナーはすこぶる好調

    次 にファスナー関係ですが、ここは前回もそうでしたが、非常に好調という状況です。これは、1つにはファッション性の高いジーンズが非常に好調であること。 ジーンズもスタンダード品はちょっと落ち込んで来ているようですが、ファッション性の高い、要はファスナーをたくさん使うようなジーンズが売れていると言 うこと。
    あるいはジャケット分野でも、ファスナーは2倍以上の増販になっていると非常に好調です。2003年下期は、対前年同期比118%、2004年の見込みでも115%という成長を見込んでおられるのがファスナー業界であります。
    以上で繊維部会の報告を終わりますが、一点お願いであります。え-、 是非ですね、駐在員の皆様方、日本から衣類は持ち込まないで(爆笑)、ブラジルでお買い求めを頂きたいとお願い申し上げまして、終わりにさせて頂きます。

    司会:
    それでは前半一環含めましてご質問がありましたら、はい、どうぞ。

    中国で需給バランスが崩れた理由は?

    多田社長(伯国三菱商事):
    あのー、綿の説明でちょっとお聞きしたいんですが、実はさっき中村さんが説明されたところでもあります、鉄鉱石とか、鉄鋼製品、あるいは大豆ってのは、こ れ全部中国なんですよね。で、要するに中国がものすごい勢いで輸入しているせいでお値段も上がっているって事ですけども、綿のところで生産国かつ消費最大 国の中国で「需給のバランスが崩れた」というご説明がありましたが、「バランスが崩れた」ってのは具体的にはどう言うことなんですか? やっぱり中国の消 費が増えて、中国から出て来なくなったとか、あるいは別のところから輸入するようになったとか、そういうことですか?

    福島:
    えー、1つはですね・・・。

    多田:
    はい。

    福島:
    中国も綿花の不作というのがありました。で、それと、もう1つは生産が増えてるということですね。まぁほとんどが輸出に回ってる、あー、綿製品として輸出されてるんですが、綿の生産が増えたと言うことで、中国だけ見ると需給バランスが非常にタイトとなっていると。

    多田:
    まだ、中国の中でその消費が増えたということではない?

    福島:
    ではないです。はい。

    多田:
    ありがとうございました。

    司会:
    ほかにご質問ございますか?

    赤嶺:
    先ほどお話の中に「メイア・ノッタ」っていう言葉が出たんですけれども、それは何ですか? 半額、値段の半額だけノッタに記入するということですか?

    福島:
    あのー、わたしも詳しくはですね、知りませんが、あの例えば10トン出すと5トンのノッタ・フィスカルを切るというようなこととか、ま、値段を操作するとかですね、いうことだと思います。はい。詳しくは知らないんですが。

    赤嶺:
    はい、分かりました。ありがとうございます。

    司会:
    ほかにございますか?

    懐の深いところ、浅いところのある繊維業界

    坂野:
    さきほど説明のあった"原料高の製品安"ですが、例えば鉄鋼の場合は原料の鉄鉱石の値上げを製品に転嫁しています。原料の原綿が前年比38%値上がりし製品では7-8%しか上げられないということは、まだ繊維業界はそれを吸収できる懐があるということですか?

    福島:
    大体まぁ、これ高いんですけど、ま、5割か6割ということがありますね。ま、ということは、7%上げたということは14%上がったと、はい。ま、いうこと にはなりますが、はい。ま、それと、これは各社二宮社長おられますんで、あれですけど、各社体力差ありますんで、懐の深いところと浅いところと(笑)いろ いろあります。

    司会:

    それではあの、前半一環これでコーヒー・ブレイクに入り、15分後に再開したいと思いますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

    (コーヒ-・ブレーイク後)

    司会:
    皆さん、あの、ご休憩中ですが、ボチボチ後半戦に入りたいと思いますので、着席お願いいたします。
    あの本日は、前半の説明につきましては、各部会の部会長さんのご協力を頂きまして、極めてスムーズに時間通り運んで参りましたので、後半戦も引き続き、よ ろしくお願いいたします。それでは後半のトップバッター、恐れ入りますが自動車のほうから行きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

  • 自動車部会 新沼正広 副部会長(ブリヂストーン)

     

    自動車年間生産143万台

    新沼:
    ブリヂストンの新沼です。自動車部会のほうから報告させて頂きます。部会長であられますトヨタの岡部社長さん、それから副部会長のヤマハの内山社
    長さんが、海外出張中のため、私が代わりに説明させて頂きます。なお、私につきましては、1月中旬から副部会長ですので、なかなか慣れていない部分がありますが、よろしくお願いいたします。

    「2003年の回顧と2004年の展望」について、自動車、2輪、自動車部品と3つに分けて説明させて頂きます。

    まず「自動車」ですが、去年の上半期につきましては、「どしゃ降りの雨が降っている」という表現で、販売が非常に低調でしたが、下期からの、IPI税制措置の優遇、基準金利の低下、それから年末に向けました各自動車メ-カ-さんの積極的なセールスキャンペーンが奏効しまして、国内の販売台数が、年間で143万台、前年対比3.4%減になりました。

    年間を通して販売が落ち込んだ要因としましては、政府が推進してきた「インフレ再燃防止」優先の「高金利政策」、それから「完全失業率の上昇」、「実質所得の低下」などが、消費者の購買意欲をそぎ、販売減少になった原因とみられています。

    一方、輸出につきましては、ルーラ政権の中でも最も重要な優先課題であり、輸出の好条件により、輸出台数が51万台強と、過去最高となっております。自動車業界としては、輸出の伸びが国内の市場をカバーしたという形になっています。

    なお、輸入車の販売、ブラジルに入ってくる輸入車の販売につきましては、「国内市場の低迷」、「高関税」、「現地通貨安」により、約7万台と前年比マイナス36%の大幅減となっています。

    今年は199万台生産を予測

    2004年の展望としましては、政府から発表されています、「3.5%のGDP成長率の上昇」、それから、一層の金利引き下げの期待、インフレの沈静化、為替の安定傾向により、自動車工業会(Anfavea)としては、国内市場の成長率をプラス7%、生産レベルでは199万台と、前年比10%増の期待をしております。一方で、自動車の税制優遇措置が2月末までとなっております。3月以降の措置はまだ決まっておらず、販売に対して、先々不透明な部分が出て来るのではないか、と危惧しております。

    二輪は年産95万台強

    2輪につきましては、2003年、生産が年間で95万台強、販売が85万台弱となり、前年比10%近い伸びを示しています。輸出につきましても、北米の市場を中心に増やしており、輸出台数では10万台強ということで、前年比50%の大幅な伸びを記録しています。2004年の展望につきましては、引き続き2輪は、地方部を中心に潜在需要が、かなり見込まれており、一層の低金利の実施、そして金利引き締め策の緩和等によって、さらなる成長が見込まれております。

    一方で、懸念事項としましては、アマゾナス州政府の税制改革、恩典の変更が今後2輪業界に与える影響が大きいことから、各社さんともその対応に注意を払っている状況です。

    自動車部品には厳しい年だった

    自動車部品につきましては、2003年、自動車メーカーさんの生産販売に影響を受け、生産台数が直接、販売に関係する部品メーカーにとっては非常に厳しい年になりました。一方で、自動車メーカーさんとの直接関係を持たない、輸出に軸足を置いている部品メ-カ-にとっては、ビッグ・チャンスの年になったと考えております。自動車分野と同様に自動車部品業界全体としては46億ドル、過去最高の輸出高を記録しており、輸出に販路を持ったメーカーと国内に販路を築いてるメーカーとでは、業績にかなりの差が出て来ています。主要輸出国先としましては、米国、メキシコのほかに、中国向け自動車エンジンの輸出、それから、ユーロ高を背景に欧州向けの輸出も、かなり増えて来ております。部品業界全体の稼働率は、平均60から65%ですが、
    雇用人数はかなりの人数になっており、自動車業界の裾野の大きさを改めて感じております。

    為替条件の安定により、輸入部品、それからドルリンク原材料の価格急騰等の問題は軽減されておりますが、為替とは関係しない、国内での原材料費の値上げ、それから人件費のアップが、製造原価の上昇を引き起こし、経営を圧迫しており、引き続き厳しい経営環境になりつつあります。
    2004年全体につきましては、インフラ等さまざまな問題は短期で完結されないために、引き続き厳しい状況にはなっております。部品メ-カ-は、自動車業界の動向を見ながらの対応が求められています。

    FTA、FTAAに関して

    最後に自動車業界にかかわる課題ですが、まずFTA、FTAAに対し、ブラジル政府のFTA取組み姿勢はかなり積極的であり、米州だけではなく、アジア、アフリカ諸国との締結に向けた動きが活発化しております。このような中、日本政府の対応には、やはり苛立ちを感じている、といった状況です。対ブラジルとの関係において、北米やEUに後れをとりますと、対日取引が相対的に厳しくなる事は否定できませんし、それによって自動車メーカーさん、部品メーカーが不利益を受けるところがかなり出てくる、と予測されています。日本政府の今後の対応に期待したいところです。

    業界を取り巻く環境

    次に、自動車業界を取り巻く環境ですが、賃金、2003年の賃金交渉は業界平均で約20%弱のアップになり、大幅なアップとなっております。特にサンパウロ周辺の組合は非常に過激?な組合が多くなっており、各社ともその対応に頭を悩ましております。

    また、一方で労働法、労働裁判、賃金規定などが、ブラジルでは硬直化している、との指摘もあり、弾力的な対応をしようと思ってもなかなか踏み切れない状況です。

    2輪業界を取り巻く環境については、先ほどご説明しておりますが、マナウス地域の税制恩典の改正が検討されており、内容によっては、大きな影響を受けるのではないか、と各社ともに十分な注意を払っております。

    詳しい資料につきましては、インターネットをご覧頂きたくよろしくお願いします。以上です。

    司会:
    ありがとうございました。質問をお受けしたいと思います。どうぞ。

    田中会頭:
    よろしいですか?

    司会:
    はい、どうぞ。

    田中
    すみません、さっきあの部品を輸出するメーカーは、米国、メキシコ、中国向けが伸びたという風なご説明ありましたけれども、日本向けの部品輸出っちゅうのはどういう状況になってるんですか?

    新沼:

    手 元に資料はありませんが、一般的にブラジルで生産している部品は、第一が当地での販売、第2が輸出という形になっております。価格的な条件により、北米、 メキシコへはFTAもにらんだ輸出になっておりますが、輸送上の理由/仕様の違いもあり、日本への輸出はあまり聞いておりませんが。

    ソフトウエアでは伯企業が対日進出
    だが自動車部品はなかなか難しい

    山田議長:
    実はブラジルから自動車の部品が、外国に出るか出ないか、あるいは出ているのか、出ていないのかについて。私の理解では、ここ2、3年前に、ジェトロさん が積極的にブラジルの部品業界の人たちを日本に連れていった。いまジェトロさんがコンピューターのソフトウエアの業者を日本にいろいろお世話をして、その ソフトウエアをブラジルから日本に輸出させると言うようなことをやっているように。以前にその自動車部品の業者を日本に連れて行ったが、現在どういう風な 状況になっているのか、ちょっと、ジェトロの桜井さんにお話を聞きたいと言うことなんですが、よろしくどうぞ。

    桜井:
    わたし自身あんまり詳しいことは分からないんですが、1番最近やったのはITのソフトウエアでして、これはまぁ大体3年ぐらいでやったんですが、その関係 では、ある程度成果が出ています。数社ですか、もう日本に進出しています。その前の段階では自動車部品を取り上げました。一応もう3年ぐらい前に終わって いるんですが、その当時はまだブラジルの自動車部品はなかなか難しいだったと聞いています。日本の企業、とりわけ自動車メーカーは非常に品質に相当厳しい とこがありまして、その関係で3年間ぐらいやったんですが、なかなか苦戦したというのが実状です。これ以上のことはわたしも把握しておりません。

    山田:
    どうもありがとうございました。

    鉄鋼品も外から入るのは難しい -自動車メーカーのケース

    司会:
    それではちょっと。あの私、部品ではないんですけれども、鉄板の話をさせて頂きますと、実は昨年私どもの名古屋で、火災がありまして。結果的にその後、北 海道の地震に伴う苫小牧の火災とかで、名古屋の火災はイメージが薄らいでしまって身内としては大変助かったんですけども。実は、その時にウジミナスでつ くっている、我々の合弁事業でやっているウニガルの自動車用のまぁ、一番難しい板をですね、結果的には2万数千トンだったと思いますけど日本に持って行き ました。
    で、これがですね。ちょっと今日は自動車メーカーさんもおられないんで、実態を申し上げるとなかなか。"使い慣れ"とおっしゃるんです けども、品質はうちの名古屋でつくったものも、ウジミナスの工場でつくったものも、ゆぎ差はないと。テストをしても変わらないけども、「横に名古屋がある のに何でブラジルの板を使わなくちゃいけないのか」って言う。やっぱりずっと使い続けているって言うことで、新しいものにトライすることに対しては非常 に、まぁやっぱりメーカーさんは、その、品質にシビアだってことは勿論あるわけですけども、厳しいんですね。だから、物を変えるっていうことに対して抵抗 感があるんですね。そういうことがあります僕側の業界でも。だから、???でつくったものをトヨタさんに持ってってもですね、同じスペックでつくっても、 やっぱし名古屋のものの方が、馴染みがあっていいって言う。なんか酔っ払いみたいな感じなんですよね(笑)。やっぱり行きつけの店がいいってそういう感じ ですね。

    ほかにご質問がありませんでしょうか? それでは、次、運輸サービス部会は、実はもう65社の構成メンバーですね。65社を10分でやると言うのは非常に難しいと思うんですけども、ある程度幅がありますんで、すみません、よろしくお願いいたします。

  • 運輸サービス部会 横山幹雄 部会長(JAL サンパウロ)

     

    同時多発テロ、戦争、SARS影響から脱出しつつある - 航空、

    横山:
    運輸サービス部会の部会長を長い間続けております横山です。ほんとうは全体を把握されている平野さんとかが妥当だと思いますが・・・。
    部会のほうは23日に新年会を兼ねて開催しまして、いま65社というご報告があったんですが、10社に参加して頂いたと。それからレポートは11社から頂いております。従って、その参加された会社の方のレポートが中心となります。ご了承頂きたいと思います。
    わたしどもの部会、多岐にわたっているんですが、いま皆さんご報告されたような活動の成果として、最終的にその人とか、物の移動部分を担当しているわけで すから、大体まぁ、貿易を始めとして好調だったと言うことで、全体的には物流を始め好調だったと総括できるかと思います。
    まとめ方としましてと りあえず、運輸、運送部門をまとめて、航空、海運、フォワーダー、それからクーリエの一部を物の移動の部分から報告させて頂いて、その後でそれに関します サービス部門、例として、旅行エージェント、ホテル、観光、それから通信と、こういった順番で手短にご報告させて頂きたいと思います。
    まず、航空ですが、これは皆さんご承知の通り、最近の同時多発テロ、戦争、それからSARSに代表されます伝染病等々の影響、これがいかに公共交通機関に影響を与えるかと言うことを実証した最近の数年であります。
    保安検査とか、それから防疫の態勢の強化、これはいつでも快適なご旅行を求められるお客様に、サービスの観点では相反するものですが、やらざるを得ないと言うことで、今後は官民共同での対策が必要と思っております。
    全体としては、各社とも上期ひどかったのからは回復をしまして、業績も徐々に回復しつつあると。アメリカ系航空会社の最近の決算にしても、徐々に回復の傾向が見られております。
    ただし、日伯間の問題ですが、安定的な需要はあるものの、旅客動向の大きな変化が見られる。これは、路線の過半数を占めている出稼ぎのお客様ですが、アメ リカのビザ政策で、これが8月に変えたわけですが、この影響を受け、アメリカ経由便を懸念して、ほかのルートへの流出が顕著となっております。これは、 ヨーロッパ経由、バンクーバー経由、カナダ、メキシコ経由などですね。
    従ってこの傾向は、アメリカがビザ政策を続ける限りは長期化する可能性があります。
    これは後ほどご報告しますが、旅行業界、ホテル業界等々にも大きな影響を与えています。

    たたる米国のビザ政策

    ア メリカとブラジル間は、同様、ビザが厳しいという理由で、それから最近、報復ではありませんが、指紋の押捺等々の問題がありまして、これもやはり両国間の 運送に悪影響を与えると思います。一方、ヨーロッパとブラジル間、南米間はユーロが強いという影響もあり、絶好調ということになっております。
    それから航空機メーカーでは、エアバス社がボーイング社とずっと争っているんですが、初めて受注機数、それから引き渡し機数で抜きまして、世界一となって おります。これは次世代の航空機をめぐる争いで、超大型機エアバス社、それから中距離型のボーイング社とやっていますが、熾烈な戦いが繰り広げられており ます。
    上期ですが、全体的には安定的な上昇気流に乗ると思われますが、大統領選を控えておりますブッシュ政権のこのビザ政策、これによって動きが変わるという風なことがあります。
    それから国内の方はヴァリグ、TAM、この2社が経営統合するということを発表してから時間がかかっていますが、この行方について具体性が見えてくると思われます。

    船腹不足と好調の海運

    続きまして海運業界ですが、これはまぁ、貿易が活発化して来るということで、先ほど中村さんの方からも船が足りないと言うような報告もありましたが、定期船 分野については第4四半期には、船腹の不足が見られるほど好調であったと。ただし、その中でアジア、南米東岸航路のみが赤字ということです。
    それから不定期船のバラ積み貨物分野、これが絶好調ですが、中国が穀物とか鉄鉱石とかの資源輸入を急速に増大させたと言うこともありまして、傭船料が前年同期比で3倍以上に高騰したと言うことになっております。
    それで船が手当てできないで、ビジネスが成約できないというずれもあったと。この恩恵にあずかって航空貨物の方も好調が続いております。南米域内では、アルゼンチン経済の回復等で荷動きが堅調に推移したようです。
    ブラジル国内については、マナウス地区から各消費地に向けた工業製品の出荷が増加しており、これまでのトラック輸送から海上輸送へ移行する動きも出てきたようです。
    上期は、いま申し上げましたような船舶需要、それから傭船マーケットの高騰等々もありまして、船舶の不足傾向は続くと。業績としては絶好調と予想されています。
    南米東岸関連定期分野での問題としまして、40%ぐらい運賃が下がっているという報告です。これを運賃修復すると言われておりまして、まぁいい言葉だと思いますが、- 収支安定を計る必要がある - それがポイントのようです。
    それから、不定期船分野の異常ともいえる状況は今後も続くと言うことです。あと日本郵船さんの報告では、4月からサンパウロ近郊に国内物流用の倉庫を開かれると聞いています。
    それから新たな動きとしては、先ほどからいろいろ話題になっておりますが、牛とか鶏の問題で日本や極東地域への、まぁ、牛肉は口蹄疫の問題があるんですが、鶏肉の輸出強化によりまして、冷凍コンテナの伸びが大いに期待されると。

    フオワーダー業界も上期は好調

    フオワーダ-業界は上期は好調でした。輸入が下期は全体的に減少したと言うことですが、北米や中国向けの自動車用部品、部材等々、第三次品の輸出が増加傾向 にあったと。ただし、フオワーダ-業界さんでは各社とも顧客からのコストダウン要求、それから、マーケット・プライスの低下、これは特に通関業者さんが、 競争相手が増えたということもあって、手数料が相対的に低下したこともあって、経営上は非常に厳しいと言うことです。
    それから、引越荷物については、下期は増加傾向にあったようですが、残念ながら、ご家族の帯同者が少ないこともあって、全体としては、減少と言うことです。
    上 期の展望ですが、積極的なブラジルの外交政策を反映して貿易は活発になる。それはご報告の通りです。ただし、為替が安定すればという前提ですが、フオー ワーダー業界さんの話ですと、さきほどご報告がありました、だいたい3レアル内外ってことですが、これであれば儲かることのようです。

    上期増収増益予想の構内物流
    バイク便は過当競争になやむ

    それから、構内物流ですが、これはまあ再三、ご報告がある通り、鉄鋼業界の好調。山九さんの報告ですが、ウジミナス、コジッパ、CSNを担当されている山九さんは、鉄鋼業界の増産体制の影響で当初計画を達成すると。上期も増収増益の予定ということです。
    そ れから、国内バイク便、サンキュウ・プレスさんの報告ですが、"潜り業者"が増えているようですが、これは規制が緩く、正規業者が、担当行政に圧力をかけ ているようですが、効果があがらない。一つには、簡単に会社が創設できて、失業者の雇用対策となっている点もあり、行政が本格的に取り締まらないことが理 由のようです。
    ただし、上期につきましては、多くの労働問題を抱えつつも、道路整備等々の遅れでバイク便は依然増加していくだろうという見方です。

    ・ 依然苦境下の旅行エージエント
    ・ ホテル、観光業も依然低迷

    大 幅に遅れておりますが、次にサービス部門です。旅行エージェント業界ですが、これは先ほど、航空の方でご報告した影響が非常に顕著に現れているということ で、特にデカセギ業者さんのお世話にビザの取得方法、それから飛行機の予約等々の対応に追われる状態ですが、それが収益に結びつかない、つながらないと言 うことで、苦境に立たれている業者さんが多いと。
    2004年についても、ビザ問題がなるべく早く解決して欲しいと言うのが、切実な要求のようで す。欧州の航空会社もいろんな対応をしておりますが、やはり、太平洋線の方がいいと。これは乗り換えとか、荷物の個数とか重量のルールも含めてですが、私 の意見ではなく、代理店さんの意見でございます。
    それからホテル、観光業界。これは2002年に過去10年間で一番低かったようですが、稼働率が 50%。これが徐々に回復傾向にあります。多くのホテルは、セールスを強化、サービスを改善して、新しいマーケットを開拓しているようです。売上も徐々に 伸びていると。ここ数年続いておりました、ホテルの増加傾向、これも多くの地区で止まりまして、結果として、ホテルの稼働率があがって、収益も出ている現 状のようです。
    ただし、地区差がありまして、儲かっているところは省略しますが、ベロ・オリゾンテ、クリチ-バ、フォルタレーザ、サンパウロの高級ホテルが稼働率が下がっていると。逆にいいますと、他のフラッチとか、そう言うところは稼働率が大幅に向上しているようです。
    2004 年の問題点としては、オペレーション・コストが上がり過ぎているので、それを下げると。それから、国内線の航空業界の再編。これで飛行便数が減少している と。それに伴って料金を上げているようなこともあって、ご利用されるお客様が減って、イベントも減っており、ホテル業界としては、非常にダメージを受けて いると、そういう報告です。最後に通信業界のご報告です。― ここで時間切れ。赤嶺副委員長からレッドカード示される -

    横山:
    じゃあ、通信業界は一言で。携帯電話、これが爆発的に伸びて、固定電話は減っていると。この傾向は続くだろうと言うことです。すみません。早口で来たんですけど、駄目でした(笑い)。

    浅賀:
    どうもご苦労様でした。質問はございますか? はい、どうぞ。

    遠ざかるバリグ、TAMの合併
    金岡:
    バ リグとTAMの合併が解消したと言うことですけど、これからどうなるのか。我々使う方の立場としては、競争してもらった方がいいんですけど、バリグも相当 な負債を抱えていますから、BNDSあたりが、やっぱし、合併が救済というか、資本を入れる前提条件だと。こんなことを言ったように思うんですけど、これ から、どのようになるんでしょうか。

    横山:
    あくまで個人的な見解としてですが、たぶんないと思われます。というのは、経営統合をするという方向から、徐々に遠ざかりつつあるのが現状です。

  • 建設不動産部会 清水邦保 部会長(竹中工務店)

    司会:
    それではちょっと押しておりますので、次、建設不動産部会、清水さんお願い致します。

    労賃アップが収益阻害要因

    清水:
    建 設不動産部会の清水です。建設不動産部会は、建設業を主体とする建設業者とアパート・住宅販売を含む不動産業者の集まりでございます。1月の23日に 「2003年の回顧、2004年の展望」ということで、討議を行いまして、今日はその討議内容を総括して発表させて頂きます。
    まず、2003年の 回顧ですが、建設業については、建設投資が落ち込み、受注は各社とも厳しい状況でありました。売上、施工高については、工事利益の確保、繰越し工事によっ て目標に近い数字が確保できたという模様です。それから、労働賃金調整が5月に12%、8月に6.72%となり、収益面で大きな阻害要因となりました。そ れに税制、民法の変更による税務、法務対応に人手が増え、人件費が高騰しております。特にPT政権ということではないんですが、官庁申請の許認可期間の無 用な延長や費用の上昇が見られました。これは、サンパウロ市内のゾーニングの変更による駆け込み申請が多くあり、その辺で処理が出来ないことが影響してい ると思われますが、なかなか、建築許可、建築の使用許可が出ない状況となっております。

    高級アパートの販売堅調

    不動産業についてですが、ルーラ政権の経営、経済運営の先行きにもう一つ、安心感がないのか、新規の案件の話はあるが、客先がなかなか最後の決断に踏み込め ない引き合いが多かったと。それから、賃貸料の家賃調整は、従来使っていた指数が大きくなり過ぎて使えず、別の指数を使っての調整となった。ちなみに従来 の指数はIGPMで、これはジェトゥリオ・ヴァルガス財団の総合物価指数ですが、昨年は20数%になっていました。実際に家賃調整の時に使った指数はサン パウロ総合大学の消費者物価指数で、8%で調整になっております。それと、ルーラ政権で期待された雇用回復が思うように行かなかったため、住宅購入層の動 きが少なかった。6万から7万レアルの一般アパートの販売は落ちたが、高級アパートの販売は堅調でした。で、そのため、販売件数は前年割れしても、販売額 は前年を上回るという会社もありました。

    建設、不動産共に下期回復期待

    2004年の展望ですが、建設業については、上半期はまだ投資の案件が実体化してこないために緩やかな増が予想されると。実際の海外からの投資が建設業にくるのは下半期ではないかと言うふうに見ております。
    日系からの大型建設投資案件については、昨年同様低調と思われます。建材は、建設業が上向き始めた後に影響が出てくるので、アルミ建材については今年いっぱいは厳しいのではないかと予想しております。
    不 動産については、上半期は低調であろう。下半期から回復して来るのではないかと見ております。先ほどの家賃調整のIGPM、IPC、FIPE指数がほぼ同 じになりつつあって、金利がもう一段下がって来れば、不動産販売、投資も増加して来るのではないかと、アパートの販売も昨年同様、高級物件は堅調に推移す ると予想されるが、一般アパートは、政府の雇用政策に期待せざるを得ないと。で、銀行の預け利息が月1%を下回ってくれば、不動産に勢いがついて来るんで はないかと予想しております。
    その他ですが、サンパウロ市内の中古アパートの売買の動きは少ないんですが、家主の言い値は実勢価格よりも倍近い ケースが多いようです。それとサンパウロ都心部の不動産の値段は高止まりして、あまり変化はないんですが、それ以外の場所は高騰傾向にあります。ちなみに パウリスタに面した新しい事務所ビルの場合、売買価格は平米あたり7,000から7,500レアルとなっております。

    サンパウロ旧都心区で不動産価格急騰

    サ ンパウロ周辺の土地も値上がり傾向になっており、2、3年前から倍以上、値上がりしている地区もあります。特にロドアネル周辺については、10倍以上も値 が上がっているところもあります。サンパウロの旧セントロ地区では、州政府が5棟ビルを買い上げ、関係機関を移動させているため、不動産価格が急騰してお ります。それと、日系建設会社の減少により、特にラボ、薬品、食品の日系工場の案件に地元の建設会社が衛生局、厚生省がらみの対応に対しての技術対応力、 政治力を背景に食い込んで来ており、今後も厳しい競争が予想されます。
    それと、世界的にアルミ地金が15%以上値上がりしており、ブラジルにもそ の影響は今後出てくると予想されます。それと、アルミサッシのスペックの統一、規格の統一化は足並みが揃っておらず、また、ガラスも含めた統一規格の必要 性もいわれはじめ、混迷を深めております。以上です。

    司会:
    質問をお受けしたいと思います。いかがでございますか。

    渡辺:
    ちょっと、聞き逃したんですけど、賃上げは8月に12%…。

    清水:
    5月に12%で、8月に6.72%です。これは労務賃金になるんです。

    渡辺:
    これ、年に2回あがって来るんですか。

    清水:
    あの、1回の調整だったんですけど、1回にあげたら、ちょっと影響が大きいと言うことで、2回になりました。

    渡辺:
    ということは、合計18%強。

    清水:
    はい、そうです。

    清水:
    ちょっ と、言い忘れたんですけれども、2月4日付けの会議所からのブラジル経済情報で、Cofinsのアップについて、土木建設については平均22.3%アップ という風になっとりますけれども、実際の建設コストが22.3%アップするわけではなくてですね、税金、政府に対する税金に、今までの比率が、まーあ のー、どういう計算がしてあるか、ちょっとそのー、計算根拠、もう一度、精査しないといけないんですけれども、単純に計算していくと、22.3%ぐらい の、アップで税金分が増えて来ると言うことですね。それが直接、建設コストに影響してくるっていう意味ではないようです。

    司会:
    ありがとうございました。ご質問はございますか? え、よろしいですか? それでは続きまして、電気・電子の方に行きたいと思います。では、盤若さんよろしくお願いします。

  • 電気電子部会  盤若幸男 副部会長(NEC ド・ブラジル)

     

    業界全体の昨年売上12%増予測

    盤若:
    本日は部会長の瀬山さんがご出張のため、代理でNECの盤若から電気電子部会の報告をさせていただきます。
    報告は以下4点に分け説明いたします。最初に03年下期総括、2番目に下期の業界
    ごとの市場、業績分析、3番目にこの04年上期の展望総括、最後に部会としての
    共通課題につき報告いたします。

    最初に前期の総括ですが、まずブラジル全体のこの業界の状況を眺めてみたいと思い
    ます。Abineeの昨年度3Q後の予測で年間ベースでありますが、売上ベースでは、前年比12%増加の63BR,雇用数でマイナス2%、操業度で28%改善となっております。売上増加率の12%を下回った分野は、8分野中電力関連と電機関連の工事
    材料部門だけで、ブラジル全体でも概ね業績は回復していると言えます。また、Jobless recoveryの傾向も同時に見られます。
    ア ンケートの回収率が低くて当電気電子部会としての総括は難しいところはありますが部会としての総括をしたいと思います。売上ベースでは、前年同期比で家 電、電子部品では20~30%の増加、他分野はばらつきが大きく一概にはいえない状況です。業績は計画どおり及びよかったという評価と悪かったと言う二つ の評価にわけますと、ほぼ5分5分で03年上期よりは改善したといえます。また、今回よかったという企業も全体の30%も占めたことは前期との大きな違い です。

    昨年、家電は為替安定で収益改善
    2番目に、下期の分野ごとの市場、業績分析に移らせていただきます。
    最初に家電業界
    数量ベースでは前年同期比、TV43%増量、audioも21%アップ、ビデオ
    +DVD(読み取り機)では61%の増加がありました。金額ベースでは、前年同期比
    で 26%増加(但し白物は含みません)で回復が見られます。02年下期の大統領選挙に関連し発生した金融危機、景気後退から脱し、この下期はリバウンドした といえます。一方、数量ベースでは増えたものの、TV,ビデオ、オーデイオは約10%の価格ダウンがありますが、価格ダウンを越える増量効果、為替安定化 により収益は改善されたと伺っております。また、期初に通常発生する返品もなかったと聞いております。

    2番目に電子部品業界
    会社によりばらつきが大きいのですが、数量ベースでは携帯端末の需要が相変わらず
    旺盛で増量はあったものの、売価ダウンが激しく収益面では厳しかったというある企業、
    他では増量に対応するため、人員増加を余儀なくされ、売価ダウンもあり,収益が圧縮
    された企業もあり、結果としては、この業界でつきものの売価ダウンの激しさが直撃
    したと考えます。携帯端末ベンダー依存からの脱却が大きなテーマと聞いております。

    電力、通信、公共投資凍結たたるが
    携帯電話は競争激化で市場伸長

    3番目に電力及び通信業界
    この業界で共通するのは公共機関または順ずる機関で実質公共投資が凍結されたことから、売上に充分つながらなかった問題が発生しました。
    手前どもの通信業界についてご紹介いたします。まず通信オペレーターのインフラ
    投資は(携帯端末を含まず)約9BRで、民営化ピーク時の2000年の約6割減で
    あります。投資の中身が昨今大きく変わっており、固定系オペレーターはボイス
    からデーターネットワーク構築にシフト、モバイル系オペレーターはGSM技術を
    採用した新オペレーターである、TIM、Oiの参入により、競争が激化し需要
    が喚起され大きく伸長しています。それに伴い、携帯端末の需要は旺盛でありました。
    この結果、昨年8月に通信民営化後5年経過し、携帯加入者数が固定系を超え、年末の携帯加入者数は46百万に達しました。昨年度の加入者の純増は約11百万で,昨年度
    の純増は02年に比べ約倍増でした。
    うちしかアンケート結果がありませんので、全体をあらわすものではありませんが、
    売上は前年同期比63%でありますが、固定費削減と収益重視のプロジェクトの選択と
    集中が功を奏し、業績面では予算を上回ることができました。私どもの業界は通信と
    ITが含まれますが、シーメンスとアメリカのシスコの一人勝ちが相変わらず続いて
    いるということで、日本勢は苦戦しております。

    各業界、上期売上増期待

    3番目のテーマである04年上期の展望
    いずれの業界も売上は前年同期比、維持から20%アップの見通しをたてられております。為替の安定化を含む経済基本政策が今後も継続する前提というより、どちらかと
    言えば、それを期待し見通しを立てられている企業が多数ありました。一方、政府には期待しない大幅変動を見込んでも事業がなりたつよう運営する方針の企業も少数ながらありました。
    経営課題として一番数が多かったのは、コストダウン、2番は同数で営業力の
    強化、固定費維持努力または削減、運転資金の圧縮でありました。課題から判断すると
    市場の回復兆しはあるものの、決して、たずなを緩めないという各社の対応が伺えます。
    新Cofinsシステムの取り扱いについては売価に転嫁する企業が大多数でありました。新製品の投入については、家電の薄型TVがあります。

    FTAがらみ、マナウス税制恩典の前途を懸念

    最後にこの業界の共通課題を参考までに3点紹介します。これはこの上期に限らず
    中期的視野で検討すべきものであります。

    1点目はmake or buyの議論
    古くて新しい議論ですが、需要変動が激しい国で、国産優先、それに相反し部品調達率が低く、恩典が少ない事情がある。企業側では最先端技術を持ってくるにしても
    当地で加工技術のスキルがまだない。この状況下で新製品を国産するか輸入販売するかの議論。家電では液晶、プラズマTVがこれに該当します。

    2点面はマナオスの恩典
    恩典が2023年まで延長されたものの、FTAAでは域外扱いとなり、この恩典維持の先行き

    3点目に中国ベンダーの参入
    韓国勢の台頭は当然ですが、家電、通信、IT業界では中国ベンダーのアグレシッブ
    な対応が日増しに強くなっております。低価格は当然ですが、ファイナンス力、ロビー力は侮ることができず、中国勢参入への対応策をどうするか各社頭が痛いところ
    です。

    中国勢の脅威にさらされる日系家電、通信、IT業界
    そ れと、3点目に中国ベンダーの参入。この分野ではもちろん韓国勢、韓国メーカーさんの台頭は当然でございますが、特に家電、通信、IT業界さんでは中国ベ ンダーさんのアグレッシブな対応が日増しに強くなっております。価格は当然、低価格でアグレッシブなのは分かるんですけども、それ以外にファイナンス力、 ロビー力は侮ることができません。中国勢参入の対応をどうするか、各社、頭が痛いところでございます。以上で終わらせて頂きます。

    司会:
    ありがとうございます。ご質問の方はどうぞ。挙手をお願いします。

    松永:
    Make or Buyの議論について部会での結論はどうなりましたか?

    盤若:
    結論は出ておりません。別の小部会でを招集したいと思います。生産されているメーカーさんは基本的に家電と電子さんで、ほとんどがマナウスでございます。と言うことは、マナウスの恩典も絡めての議論となり、複雑な問題であります。

    ファイナンス面でも中国に負けておれない
    司会:
    どうぞ。はい。

    村田:
    最後のほうで、中国系企業が侮れないと言うお話あったと思うんですが、やはり、やり方としてはお金を「ドン」と持って来て、なんか、もう、めちゃくちゃやるみたいな、そういうところが多いんですか。ファイナンス力っていう意味でもあれなんですけれども。

    盤若:
    ま あ、単純に言えば、ここのオペレーターさんに、バンク・オブ・チャイナからファイナンスを持って来ています。そういう意味では、もちろん日本からは弊社が 非常にお世話になっているJBICさんからのファイナンスを持って来ておりますけれども、条件面でも、若干悪いそうですけれども遜色ない。と言うことは、 やっぱり、今後も我々としては、通信の業界としては、そういう魅力があるファイナンスを、相手さんにもよりますが、継続的に持って来れなければ、やっぱ り、競争が非常に厳しくなると。中国勢の場合、基本的に、まだまだブランドが定着していない、サポート力があるのかという疑問、もちろんありますが、もっ と単純にいいますと、製品そのものが、非常にいいんですね。いいという意味は、例えば、データ関連の機器ですと、アメリカのシスコのコピーなんです。だか ら、悪いはずないんです。要は同じなんです。名前だけが違う製品で、決して悪くないという意味でも侮れないのがこの業界で中国勢の、強さになって来ており ます。はい。

    村田:
    うーん! ありがとうございました。

    司会:
    ご質問ございますか。はい、どうぞ。

    「マナウス協議会」活用の検討を
    田中:
    さっ きの、Make or Buyの問題、マナウスの恩典地区の問題ですけれども、ご承知かどうか、過去に「マナウス協議会」ってのを会議所でつくって、マナ ウスに進出しているところがいろいろ検討して、政府に対して陳情に行ったり、そう言うことをやった実績があるわけですね。いま、それはほとんど活動ありま せんけれども、坂野さんの企画戦略委員会にまだ、「マナウス協議会」の担当が残っておりますんで、もし何かそう言うことを検討して政府と交渉して行く必要 があるんであれば、それを復活させ、活用されたらどうかと思います。

    横山:
    えっ と、先ほど、通信の報告をしようと思ってまして、丁度、今、やって頂きまして、本当にありがとうございました(笑)。 それで、あのー、ご質問するのがちょっと、適当かどうか分かりませんが、いま、我々も困っているんですが、携帯電話のクローンってのがありますよね。で、 この辺の対策っていうのは、何か具体的に進んでいるんでしょうかね。

    携帯電話のクローン化対策

    盤若:
    実 は私も2回やられているんです。結局、クローン化された場合ですね。 例えば私はVIVOの契約なので、VIVO側で番号をアイデンチファイして、えー、 基地局というんですけれども、ラジオの無線機の基地局側でその番号が次は盗まれないようなソフトを組み込むと言うプロテクトはやっております。そういう意 味では、対策は施していつつあります。そういう意味では、クローン化は少なくなると思います。それと、たまたま私が去年の11月に持っていたのは、モト ローラーの端末だったんですけど、古いやつで、いまは別のに変えました。新しいやつでは盗みにくいと言うこともありますから。そういう意味でも、2、3年 前のモデルを持っていらっしゃるなら、最新のやつに変えたほうが盗まれにくいんじゃないかと。まー、ウチは儲からないけれども、他社さんは儲かると思いま すんで(笑)。
    それと、これはTPOの問題ですけれども、いずれにしても、空港側で、機内で切っていたやつを空港のターミナルに着いて車から出て1キロ以内では、やっぱり、パワーオンすると盗まれるケースが多いです。

    XXX:
    空港は多いらしいですね。

    盤若:
    機内で切って、空港到着後、運転手さんにかける場合は注意してください。

  • 食品部会 渡辺英明 部会長(東山農産加工)

    きびしかった03年 - 売上げ軒並み減

    司会:
    お待たせしました。食品部会のほうから、最後、締めて頂きたいと思います。よろしくお願い致します。

    渡辺:
    食 品部会から報告します。まず、昨年の簡単な振り返りをして、2004年の展望。一つ目は景気がどうなって行くんだろうか。しして二つ目は食品の安全の問題 についてお話した後に、食品部会では、特に決まったテーマがなかったもんですから、「2004年、2年目のルーラ政権への期待と要望」を、副題にさせて頂 きました。
    まず、昨年の振り返りですが、前回、去年の7月、ここで報告させて頂いた時、「食品業界が久々に厳しい年になった」というご報告をさせ て頂きましたが、その後、8月になって更に悪くなり、8月は"どしゃ降り"状態で、9月の後半にようやく雨が止んで、日が射すのかなーと思っていたんです が、そのまま12月になり、12月に入っても最初の1週目あたりは全然盛り上がらない。結局、このまま年を越すのかなーと思ったら、最後の最後になって薄 日が射し始めたということで、希望を残して新年を迎えたというのが全体の概況だと思います。
    で、いかに悪かったかを数字的に申し上げますと、まず 食品全体の消費量は4%ダウン。それからスーパー全体の売上ですが、もちろん、これは食品だけではないんですが、IPCAを差し引いた実質売上でやはり 4.5%ダウン。それから、発酵乳を含む乳製品の製造量も7%ダウン、即席麺の総消費量は10年振りに前年を下回る、レストランに至っては来客数で2、3 割のダウン。長年レストランを営んでいるオーナーたちは、創業以来最悪の年と口々に愚痴をこぼしていたという報告です。マクロの数字だけを見ますと、1年 目のルーラ政権は合格点と言えるかもしれませんけれども、景気低迷という大きな課題を残しての1年だっといえます。

    明るさに水さすSelic据えおきとCofins引き上げ
    そ れで、2004年ですが、まず、景気がどうなるかでは、若干、明るさが見えて迎えた新年ですが、年初から非常に水を注されることが起きています。一つは Selic金利の据え置き。二つ目はこれと関連しますが、Cofinsの税率アップであります。特に二つ目のCofinsの税率アップについては、インフ レに相当大きなインパクトを与える可能性が強いと判断しています。毎年この時期、年が変わると各社、昨年のコストアップ分を値上げで吸収しようという時期 に入ります。で、例えば昨年、どういうコストアップがあったかと言いますと、為替が安定していたために輸入、例えば輸入原料で加工している食品メーカーな どは、比較的コストアップなかったんですが、例えば大豆とか輸出競争力のある原料を使って加工している食品メーカーは引き続きコストアップが続いている。 例えば大豆の業者は、去年の12月から今年の1月にかけて、また、値上げを通告していますが、いいところで30%、ひどいところになると、100%と。丁 度、端境期ということもあるんですが、それぐらい、この1月に値上げを通告してきている。

    輸出競争力持つ大豆、ブロイラー、エビ
    で、 大豆の状況をちょっとお話しますが、輸出量は2003年が2,070万トン、前年比で33%増。2004年見込みが2,600万トン、前年比で24%増。 この勢いで来ているために、先ほど中村さんからもお話がありましたけれども、産地から積み出し港への輸送手段とかインフラがやっぱり追いついてこない状況 ですね。それから港湾での設備、倉庫がもう追いつかない状況になっています。加えて、コーヒーの安値が続いたためにコーヒー畑を大豆畑に変える農家も結構 出て来ていると言うことです。
    ついでに輸出競争力のある商品をもうちょっと話しますと、ブロイラーについては、いま、神風が吹いていますが、その 他に養殖エビ。これは2003年が6万2,000トン生産で、前年比で60%増ですが、この95%が輸出に回っています。で、2004年に至っては12万 トン、倍増する予定と言うことです。
    大豆に話を戻しますと、大豆を原料とする加工食品、例えば味噌とか醤油ですけれども、いくら値上げをしても追 いつかない。例えば、手前どもの味噌ですが、去年の1月に15%値上げして、何とかなるかなと思ったら、ドンドン大豆値が上がって、結果的に赤字になって います。で、今年の2月にまた15%あげるんですが、どうも、この勢いだとまた赤字になって終わりそうだと。こんな状況です。
    人件費のアップ。こ れもコストアップなんですが、先ほど建設業界もすごいなと思いましたけれども、当社関連、食品加工業界では、サンパウロでは12.5%ですが、工場のある カンピーナスでは17.5%という賃上げになっております。これはどういうことかと申しますと、9月にカンピーナスは毎年賃上げしてます。2002年の9 月から年末にかけての超インフレがまるまる乗っかった。それで、去年の2003年にそれがまるまる反映して賃上げが17.5になった、と言うことです。
    極端な例かも知れませんが、まあ、この諸々のコストアップを各社、この時期に値上げで吸収したいと考えておるわけですが、このCofinsの税率アップが、こうした値上げをしたい企業に「絶好の口実」を与えたと言えると思いますね。
    Cofins 税率アップについて部会で、どう処理するかって聞きましたところ、全てのメーカーが価格に転嫁するという答えでした。すでに、この税率アップを見越して、 12月に値上げをした会社が1社、1月に値上げをした会社が1社。2月から値上げをするというのが残りの会社ですけれども、こうやって、値上げを発表しま すと。最後まで抵抗して、なかなか手強いのは大手スーパーですが、今回の場合は既に1月の後半から値上げの攻防戦が始まっているんですが、Cofinsの 税率アップという大義名分がありますので、比較的スーパー側もですね、早く小売価格に転嫁するんじゃないかと、いう予測もできるわけです。

    諸コストのアップ、3月のインフレ指数に跳ね返る?
    じゃ あ、どうなるのかという事ですが、1月のインフレ指数のIPCが0.65%と発表されております。いままでお話した流れに沿いますと、いま、スーパーと価 格攻防戦をやっていますが、これが大体片付いてスーパーが小売価格に転嫁する2月末から3月ぐらいに、インフレ指数に跳ね返って来るんじゃないかと予想し ております。従いまして、一応、政府のインフレ目標のIPCAで5.5%ですか、これはひょっとすると軽く超えちゃうんじゃないかな、と心配しておりま す。そうすると、どういうことが起きるかというと、中銀は金利を下げないでひょっとすると上げるかも知れない。ということは景気が回復しない悪循環にな り、去年と同じ事になるかも知れないというのが心配です。まあ、我々、企業経営側からすると、多少のインフレはあって仕方のないことで、むしろ、金利が高 止まって、消費が伸び悩む、売上が伸びないって言う方が、よっぽど、企業経営としては厳しいことなので、このCofinsの税率アップがかなりインパクト をもって、インフレに跳ね返るとまた、景気が低迷するんではないかと心配しております。

    食品安全
    ブラジルもしっかりした品質管理体制が必要
    食 品の安全についてお話しますが、ブラジルの農産物は非常に輸出競争力がついたけれども、これは単純にレアルが切り下がっただけではなくて、やはり、品質が 良くなって来ている点も見逃せないと思います。しかしながら、昨年、コーヒーの農薬問題が日本への輸出時に発生するなど、依然として問題も多いわけです。 他国の例ですが、タイの政府は2004年を「食品安全年」としてキャンペーンを展開中というが、ま、現在、鳥インフルエンザが出ているので、例としてはあ まり、タイミング良くないですが、国内5ヵ所に年間40万件の検査を行える体制を取ったりして、実現できれば、品質管理体制に対しての国際的な信頼が高ま ることを期待していると言うことです。ブラジルも世界における大きな食糧原料供給国としてしっかりした管理体制を敷いて行けるかどうかが、今後の輸出拡大 のポイントになっていくと思います。

    為替安定、税制明瞭化と簡素化を希望
    「2004年、2年目のルーラ政権への期待と展望」ですが、景気の回復は共通の課題として今日は話しませんが、一つ目はやはり為替のことです。
    1 年目、為替が安定して非常に良かった。まあ、相場自体が悪かったところもあるでしょうが、じゃあ、適性な相場がいくらかと申しましても、これは立場によっ て全然違うわけで、輸入原料を加工している食品メーカーは、まあ、2.7ぐらいで十分だと。輸出を中心としているメーカーは、3から3.3は欲しいと。た だ、いずれにしても、乱高下のない安定した為替が望ましいというのが共通した意見でした。
    最後にもう一つですが、税制の明瞭化、簡素化を何とかしてくれないかと、いうのがありますね。景気回復策の一環として、一部の工業税、IPIの税率を下げるかと思うと、今回のようにCofinsの税率を上げてくると、非常に矛盾したことが起きている。
    で、 今回のCofinsについても、例えば、2,400万レアル以下の売上で、売上から利益を推定して法人税を納めている会社には特例として税率は3%のまま とか、それから仕入れが輸入品を原材料としている大手企業とかサービス業とかは、もともとCofinsがないですから、もろに上乗せ分が跳ね返って来ると いうようなことで、非常に複雑であります。しかし、複雑であるが故に、結局、何%かっていうのは、相手側には分からないわけで、絶好の便乗値上げの材料に もなってしまうと言うことです。以上、食品業界、食品部会からの発表です。
    最後に私も3年間、この部会長懇談会、出席させてもらいましたが、今回を持ちましてめでたく引退する事となりました。3年間、どうもありがとうございました。

    司会:
    ありがとうございました。とともに、ご苦労様でございました。それではご質問を受けたいと思います。

    金融機関だけでなく、下々の国民も幸せにしてよ

    赤嶺:
    引 退じゃなくて真に残念なる勇退をなさる、渡辺食品部長のお話を伺いしながら、ずっと考えてきたことがあります。後で中村金融部会長にもお答え頂きたいと思 うのですが、ルーラ政権が今までやって来ていることは、「高金利で銀行だけを、金融機関だけを幸せにしているじゃないか。私ども、下々の国民もどうか幸せ にしてよと」と、こういうことを申し上げたいのですが、国民を幸せにするにはまず懸案の持続性のある長続きのする経済成長、それから、雇用促進、さらには 貧困対策、最後に美味しいごはんを国民に食べさせる。渡辺部会長の目指してきた事だと思うんですが、その辺り、渡辺さん、勇退なさる間際に、肝心の一番懸 案である持続性のある経済成長、そして、国民に美味しいごはんを食べさせると言うような、見通しは実現するのでしょうか。一つ、忌憚のないご意見をお願い したいと思います。

    渡辺:
    まあ、あの、1年目の ルーラ政権を振り返ってみて、やはり、一番、そのー、問題だと思ったのは、インフレに異常に固執しているという点でありまして、経済成長が出てくれば、イ ンフレが出てくるのは、多少、やむを得ないということなんですけれども、インフレばかりを気にして結果的に経済成長が損なわれたと言うことです。従って、 もし、今年も同じ考え方で行くのであれば、残念ながら、また、去年のような不景気が続く可能性が強いと。ですから、ある程度割り切って5.5%を突破して もですね、まあ、10%ぐらいになってもいいじゃないかと、その代わり、景気が良くなったと言うような政策を私としては、個人的には望んでおります。

    銀行は経営努力で儲かっているのです
    村田:
    私、 あのー、金融部会の副会長で、部会長は今日、所用で来れなくて代理でございます。えー、貸し出し金利の高金利政策っていうのは、やはり、我々の業界として も、下がるべきだと思っています。実質金利が高いのがこの国の経済成長を阻害している一番大きな、ものの一つですから、これは、全員の努力で下げて行くも のだと認識しております。その過程のなかで銀行、金融業界としても出来るだけのお手伝いをして行こうと思っておりますが、銀行だけが儲かっていると言うこ とに関しては、まー あのー、どうかなと。経営努力をしながらやっておりますので、その辺は、誤解のないように。あの、下がっていくみんなの気持ちは一緒 だと、言うことですので、よろしくお願いします。

    赤嶺:
    大変失礼致しました。中村金融部会長と冒頭申し上げましたけれども、村田副部会長の誤りでした。平に訂正の上、お詫び申し上げます。

    赤嶺:
    大変失礼致しました。中村金融部会長と冒頭申し上げましたけれども、村田副部会長の誤りでした。平に訂正、お詫び申し上げます。

    司会:
    ほかにございますか。

    渡辺:
    先ほどちょっと、二宮さんの質問を遮っちゃったんですけれども、こんなとこで何か参考になりましたでしょうか。Cofinsの。

    司会:
    今 日はこれまでお話を伺って、いくつか共通のテーマ、我々の直面する課題が出てきたと思います。ただ、いまのような政金の話になると商工会議所が束になって ブラジル政府に文句を言ってもですね、何か、すぐ、改善されることはない。でも、ない中で、何かやっぱし、どういう風にしのいでいくか、工夫していくかと 言うところは、何か余地があるのかなと言うことで、今日、いろいろ聞かせて頂いた話はまた後ほど、ホームページに掲載する形で皆さんにもお目に掛けます し、また、坂野さんともいろいろと相談して、どういう格好で、この後、我々の活動につなげて行くかと言うことを考えて行きたいと思います。
    それでは、最後に総領事にコメントを頂く前に、ブラジリアのほうから、ブラジリアの大使館から笹本様がお見えでございますので、何か、お気づきの点なり、感想などありましたら、一言、お話を頂きたいと思います。

    米利上げでも途上国への資金流入がパタツと止まる事はなかろう

    笹本一等書記官:
    笹本でございます。私、いつもブラジリアにおりまして、なかなか、あの民間の方々からのご意見を伺うことがありません。今日は本当に参考になりました。ありがとうございました。
    それで今年の成長の話なんですが、まあ、国内の要因っていうのは、特に問題になることはないと。あと、先進国の場合はですね、久しぶりに日米欧がそろって今年成長するだろうと言われていまして、で、非常にブラジルにとってはフォローの風が吹いている年だと思うんですよね。
    た だ、2点、皆さんもおっしゃられた通り懸案があって、アメリカが利上げ局面に入ることによって、途上国への資金が細るんではないかと言われているのが一 つ。もう一つは、まあ、最後にお議論になりましたインフレの話なんですが、そのー、アメリカの利上げについては、確かにこれから引き締めの局面に入って行 くのでしょうが、しかし、それほど急激ないわゆる、途上国への資金の流入がぱたっと止まる事はまずないだろうと、いうのが大方の見方です。
    問題な のはインフレで、これはいろんな見方があって、中銀サイドとか一部のエコノミストは、いまのインフレの圧力はあくまで一時的であると。むしろブラジルは長 年、景気低迷が続いたので、生産余力というのは相当あるはずだと。従ってインフレの圧力はそんなに強まらないと言うのが一つの説ですね。
    ところ が、一方で今日、皆さんからご意見を伺ったところ、例えば賃金の圧力ですとか、Cofinsという要因があって非常にその価格面に転嫁が行われていると。 一昨日だったと思うんですが、ジルセウ官房文官長が企業に対して、安易な値上げをしないように警告した。で、きょう皆さんからお伺いしたところだと、どう もその、インフレの圧力は一時的なものではなくて大分、長く続くんではないかと言うことですね。実はこの、インフレに対して皆さんからいろんなご意見が あったんですが、むしろある程度のインフレは許容してもですね、成長すべきだと。これは一つの意見なんですね。ところが一方でインフレっていうは弱者に対 して非常に苛酷ものであると。例えば、昨年、そのインフレが10%から20%になったにも関わらず、賃金はほとんど上がっていないですね。ですから、実質 の所得っていうのは大幅なマイナスになっていると。これが去年の急激なリセッションになった大きな要因の一つだと思うんですね。だから、その5.5%とい う数字に拘る必要はないと。これは確かにその通りだと思うんですね。で、実際、そのインフレも上下2.5までは許されていると。ですから、8%までは、ま あ、許されるんですね。ただ、皆さんがおっしゃるように、ブラジルでは非常に安易に価格に転嫁する傾向があるので、中銀としては非常に悩ましい局面であ るって言うことは確かですね。ただ、非常にそのインフレの圧力が強く、利下げの幅が限られるとなると、成長も中途半端なものに終わってしまう。いま難しい 局面に向かっているところです。すみません、何か、まとまりのないことを申し上げまして、以上です。

    石田総領事の講評

    司会:
    ありがとうございました。それでは、最後に、総領事の方から、講評を頂きたいと思います。

    石田総領事:
    講評というような大それたことが出来るかどうかは別として、印象を述べさせて頂きたいと思います。
    今日は本当に、商工会議所の11もある部会からそれぞれ詳細なご報告を承って、私も、そう言うことを初めて聞く機会をもって、非常に参考になりました。本当にありがとうございました。
    も ちろん、ルーラ政権が就任以来とってきたいろいろな経済政策は、各部会によって、それぞれ受け止め方は違うと思いますし、また、各業界に与えている影響も それぞれ、違うと言うことはよく分かりましたけれども、全般的な評価としては最初に桜井コンサルタント部会長が、「当初の懸念を払拭して堅実な経済運営を 行ってきた。1年目は相当、前政権の政策を引き継いで経済安定のほうに力を入れて、そのために経済成長をある程度犠牲にしてきた面がありますが、そのため もあって、今年はかなりな高成長が望めると。そういう基盤を築いたということで、私は一般的に評価できるのではないかと」、いう風に言っておられたことに 私は賛同したいと思います。同時に桜井部会長が「ブラジルは非常に変化をしている。いい方向に変化している」と言われましたけれども、この点についても、 私は、同意致ししたいと思っております。
    それから、何人かの方が、FTAのことについて若干、懸念を表明されておりましたけど、中村貿易部会長 が、「まあ、日墨のFTAの状況もあって、日本のFTA政策がアジアシフトになるのではないか」と言ったようなご意見がありましたし、それから、自動車副 部会長からも「ブラジルがFTAに熱心なのにも関わらず、日本の対応に苛立ちを感じる」という風な意見がありましが、なかなかこの点については、クリアー な角度のお返事ができないけれども、別に日メキシコのFTAが若干、頓挫していると言うことで、その影響でアジアシフトになっている事はないと思います。 最初からですね、順序からいうと、メキシコの次はアジアだと言うことになっていますから、これは誤解のないようにして頂きたいという風に思います。
    さ らにこの問題については、金岡FTA委員長にきちんとした報告書を作って頂き、それに基づいて、今年の春には、政府に提言を出して頂くことになっている と、理解しています。さらに日本政府に対して現地の声、それから、現地の元となる親会社の声を、経済界の声を政府にドンドン反映して頂いて、圧力をかけて 頂ければという風に、考えております。
    それから、皆さんのご報告を聞いておりまして、やっぱり、いろんなところで、中国の進出、中国の存在感、影 がかなり大きくなっているなと言う風な感じが致しました。貿易部会からも中国に対する去年のブラジルの輸出が2倍以上に伸びているような話もありました し、化学品部会、機械金属部会から、中国の攻勢に対する懸念が述べられておりましたが、私どもも近来の中国の積極的な攻勢は非常に注目に値すると。だから そのう、対抗してどうこうって言うのではないんですけれども、事実として、やはり中国が非常に、対ブラジルシフトを強めているのは、私どもも強く感じると ころです。
    それから、最後になりますけれども、これも桜井コンサルタント部会長が「今年は日伯関係にとっておもしろい年、期待できる年になる」と 言っておられまして、私どもも、是非、そうなったらいいと思っておりますが、まだ具体的に決まっているというのは、そんなにありません。ま、アルキミン知 事が日本に行かれるのは、日本政府が招待をするということで4月の後半、確実にこれは決まっております。それから、おそらくアモリン外務大臣が3月ぐらい に日本に行くじゃないかと言う期待を持っております。しかしながら、それ以外の、ルーラ大統領が日本に行く話であるとか、あるいは、日本から小泉総理が来 られるという話は、もちろん、可能性はかなりありますが、それは今の段階で、確かに決まったと言えないのが非常に残念なところでございます。是非ですね、 そういうチャンスがありますし、そこのところは、もちろん、我々も東京サイドには、プッシュをして行きたいと思いますので、実現することを期待しつつ、私 も努力したいと思います。私のほうからは以上です。本当に今日は皆さんの、あの、各部会の率直な見解を聞かせて頂きまして、大変参考になりました。本当に ありがとうございました。

    司会:
    どうも、ありがとうございました。

    「部会長懇談会」をいま一歩発展させたい

    司会:
    では、閉会にあたりまして、坂野企画戦略委員長から、あいさつさせて頂きます。

    「部会長懇談会」をいま一歩発展させたい

    坂野:
    今 日は長時間にわたり、ありがとうございました。当初、出席数が足らず心配していましたが、これだけの人数の方々に参加いただき本当にありがとうございまし た。今回、私も総務委員長の浅賀さんと並列になっていますが、ほとんどの準備は総務委員会と商工会議所の事務局の皆さんに準備していただき、私はほとんど 何もやっていません。私が今回(主催者として)入っている理由を一つだけ説明し私の挨拶を終わらさせて頂きます。
    従来、"部会長懇談会"は前年度 の回顧及び本年度の展望について、皆さんで情報を交換し、それぞれの業界・部会がおかれている立場を確認することが主体でしたが、その後のフオローが商工 会議所として不足しているのではないかとの反省もあり、今回の形式を取ったものです。先ほど浅賀さんからも説明がありましたとおり、中身によって会議所だ けで出来るのもありますが、会議所だけではなく、本日ご出席いただいた総領事館、大使館および他国の商工会議所との連携でやれることが多々あるのではと 思っています。本日の皆さんの発表で会議所、日本政府に対する要望がありましたが、まず行動することで本日のサマリーをして、会頭とも相談しながら優先順 位をつけてやっていきたい思っております。既にFTAなどはスタートしていますが、これ以外にどのようなことが行動に移せるのかを考えて生きたいと思って います。本日はどうもありがとうございました。

    司会:
    どうも、長時間、ありがとうございました。

    -終わり-

    部会長懇談会寸描
    浅賀名司会。会議所の更なる活動活性化に結びつけるための材料を求めて坂野委員長の的確な質問。時間係の赤嶺副委員長は時計とニラメッコで、質問を忘れるほ ど。各部会長は「我が部会」のためにと、発表内容を濃くし懸命の奮闘だが、殆どに「チーンチーン」と制限時間接近を警告するかねの音。時間オーバーで遂に レッドカードを出され、無念の発表中断やむなきに到るケースも見られた。

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