2008年上期業種別部会長シンポジウム

総務/企画戦略委員会共催

 

 

  • 司会の言葉 松田雅信総務委員長 宮田次郎企画戦略委員長

    司会  松田雅信総務委員長  宮田次郎企画戦略委員長

    それでは今年上期の業種別部会長シンポジウムを始めさせていただきます。司会を担当いたします総務委員会の松田と隣が宮田次郎企画戦略委員長です。今回は西林万寿夫総領事の他に経済産業省の三田紀之通商政策局米州課長、本間英一通商政策局米州中南米室長が参加いただいておりますので、ご紹介させていただきます。それでは西林総領事(拍手)、三田米州課長(拍手)、それから本間南米室長(拍手)。

    シンポジウムでの発表は質疑応答時間を含めましてそれぞれ十五分ということで、まあ大体十分強をめどに各部会から発表いただきたいと思いますけれども、あそこに、去年もそうでしたけれども、14.59という時間が出ておりますけれども、十分を過ぎますと色が変わるということですので。まあほとんど昨年のケースですと無視されている方もおられましたし、一方とても気にされて画面をしょっちゅう見ておられる方もいらしたんですけども、全体で今日六時まで予定させていただいておりますので、全体で六時までに必ず終われればと思っておりますので、短い時間でまとめるのはたいへんだと思うんですけども、是非ご協力のほどよろしくお願いしたいと思います。

    それから、失礼いたしました、もう一人今日ブラジル日本国大使館の方から宮下総務参事官にも参加いただいておりますが、それからもう一人吉村書記官にも参加いただいておりますので、ご紹介させていただきたいと思います。それでは宮下参事官。(拍手)それから吉村書記官ですね。(拍手)あとさきになりまして申し訳ございません。それではこのシンポジウムの最初に商工会議所を代表いたしまして田中会頭より一言お願いしたいと思います。

    よろしくお願いします。

  • 開催挨拶 田中信会頭

    田中信 会頭

    皆さんこんにちは。本日は当会議所のメインイベントであります業種別部会長シンポジウムに、ご多忙中にもかかわらず多数ご出席いただきまことにありがとうございました。特に毎回ご出席たまわり、最後に講評をいただく西林万寿夫総領事以下サンパウロ総領事館の皆様に加え、今回は在ブラジリア日本国大使館から宮下匡之総務参事官および吉村一元一等書記官、さらに日本から経済産業省三田紀之通商政策局米州課長および本間英一同局米州中南米室長にもご参加をいただいております。ただいまご紹介のあった通りであります。

    このシンポジウムは一年二回、年初と年央に十一の業種別部会長がそれぞれの業界の回顧と展望を行うことになっており、今回は2007年を回顧し、2008年の展望を行うものであります。このシンポジウムは1970年代にコンサルタント部会が「業種別部会長懇談会」として開始したものですが、その後総務委員会、企画戦略委員会が担当として会議所全体の主要行事となり、今日まで三十年以上続いている当会議所の看板行事であります。

    当初参加者は部会長に限られておりましたが、2003年より「開かれた会議所」の基本方針に従い、会員にはもちろんのこと一般のブラジル社会にも開放し、日本語の理解が難しい参加者のためポルトガル語の同時通訳も用意し希望者は誰でも参加できるようにしました。設立以来継続してきた部会長懇談会という名用も一昨年8月8日実施分より「業種別部会長シンポジューム」に変更いたしました。

    この会議では各業種別部会の代表者から生の声でそれぞれの業界の直近の動向が発表されます。この発表のため各部会は部会長を中心に自社業績や業界動向を分析し、その結果を検討整理されますので、各社の経営戦略の決定にきわめて役立つものと思います。さらにこのプロセスを通じてメンバー各社の親睦にも役立つものと思います。さらに外部の企業、学校、研究所など外部機関にとってもブラジルの現状把握に役立つ数少ない信頼すべきデータと評価されております。

    日伯経済関係は二十一世紀入りと前後しまして再活性化が始まり、内容的にも従来の資源確保の投資や伝統的産品の取り扱いの域を脱し自動車生産およびその関連産業、エタノール、CDM(温暖化ガス排出権取引)、デジタルテレビ、航空機、シームレスパイプ一貫生産など世界経済のグローバル化とブラジル産業構造の高度化に対応して大きく変化しつつあります。これに伴いブラジルに要求する投資環境整備も従来の道路、鉄道、港湾、空港などの単純なインフラの整備改善にとどまらず、最近当会議所の重点指向は移転価格税制の改善、社会保険料二重払いの防止、知的財産所有権保護などに向けられております。

    当会議所は2005年、「移転価格税制委員会」を設置し、ブラジル税務当局との折衝を開始、昨年三月に行われた日伯経済合同委員会でもブラジル大蔵省を訪問、OECDのルールに従うよう要請しました。平行して日本、米国、ドイツなど有力なブラジル投資国十二カ国の商工会議所メンバーで組織されているGIE(外国投資家グループ)に共同歩調をとるよう呼びかけました。

    その結果、GIE構成メンバーのコンセンサスを獲得し、ジョエル・コーン議長の名前で大蔵大臣あてに改善要請を提出することができました。去る六月、当会議所は定例昼食会にジョエル・コーン議長を招き講演を依頼したことは記憶に新しいところであります。

    社会保険料二重払いは2006年九月、進出企業会員に対し二回目の調査を実施し、ブラジルの日本企業の二重払い額が世界で三番目に多いことが判明。経団連に報告し改善を依頼中であります。

    知的財産所有権の問題は最近特に会議所会員日本企業の関心が高まっておりますので、ジェトロさんの協力を得て活動開始しております。この三つは当会議所の目下の重点課題であり、日本政府当局のご理解と強力なご支援をお願いする次第です。

    官民合同会議の宿題のフォローアップ窓口であるサンパウロ総領事館とは昨年四回の会合を行い、解決に協力いただきましたが、本年はこの窓口を在ブラジリア大使館とし、より一段とフォローアップ体制を強化していただくことになりました。

    従来、商工会議所は日本進出企業の内輪の親睦会、仲良しクラブ的性格の方が濃厚でしたが、これからはサンパウロ工業連盟、ブラジル工業連盟、諸外国の商工会議所などとの連携の強化、両国政府に対する積極的支援などにより会員企業の具体的ニーズに対応する活動の強化が要請されるようになっております。このような情勢変化を控え、当会議所は2002年定款改正を含む組織の大改革を行い、2003年より今日のような戦う会議所の体制をスタートさせたことは皆様ご高承の通りであります。

    当会議所活動評価の一環であるホームページへの年間アクセス件数は、2005年3万3千件から2006年7万7千件と2.3倍に増加しましたが、2007年は76万件と十倍の増加となっております。最後にこのシンポジウムの担当であります総務および企画戦略委員会、業種別部会および事務局の皆さんのご尽力と会員各位のご協力に心から感謝の意を表しまして私のあいさつを終わります。ご静聴ありがとうございました。

    司会:
    田中会頭ありがとうございます。それでは本日これからの進行を担当させていただきます総務委員長の松田でございます。よろしくお願いします。それでは部会の報告に先立ちまして在サンパウロ日本国総領事の西林総領事にごあいさつをお願いします。

  • 挨拶 西林万寿夫総領事

    西林万寿夫 総領事

    皆様こんにちは。業種別部会長シンポジウムの開催にあたり一言だけごあいさつ申し上げます。

    いつもこのシンポジウム、私講評しているんですが、今日は豪華キャストというかゲストが四人おります。先ほど紹介がありました通りでございまして、その中で三田課長と宮下参事官に終了時にご講評いただくということであります。ブラジルの経済であるとか、日本ブラジルの経済関係について、マクロ面ミクロ面両方から知っていただく非常に良い機会ではないかと思います。よろしくお願いいたします。

    さて今年は、言うまでもなく移民百周年、日伯交流年という年にあたりまして、早速一月前、一月半ばなんですが、数多くの大きな行事がございました。中でも商工会議所と日本経済新聞、エスタード紙の共催によりまして経済シンポジウムが開催されましたが、大成功を収めまして、この場をお借りいたしましてお祝い申し上げたいと思います。

    なおこの模様は今週、確か二月十四日だと思うんですけれども、日本経済新聞に特集として記事になるというようにうかがっておりますので、ぜひともお読みいただければと思います。また、こういった記事が出ることは本当にありがたいことだと思うんですが、というのも私ども実は昨日、カーニバルの休暇を利用して日本から戻ってきたばかりなんですけども、日本にいますとどうしてもブラジルについてのニュースというものは非常に限られている、乏しいと。

    この二週間ほど日本にいたのですが、テレビを見たり新聞を読んでもせいぜいちょっとしたカーニバルの記事であるとか、逃亡犯罪人が捕まったとか、その程度で済んでいて。やはりBRICsの中でどうしてもチャイナが圧倒的に存在感が大きいと。言うまでもなく毒入りギョーザ問題がありまして、毎日そのニュースで大騒ぎになっているので否が応でも中国のニュースばかり見ているような感じなんですが、それに比べるとブラジルについてのニュースが非常に限られているといった感じで、ちょっと残念な感じなんですけれども、一方当地では、皆さんもうお気づきだと思うんですけども、百周年ということで昨年来数多くの特集が新聞や雑誌で組まれまして、まあ先日のカーニバルでは百周年の山車も出たということで、ブラジルの一般の国民の間での日本への関心とか理解が深まっているんではないかと思います。

    そして言うまでもなく経済面でも日伯関係があらゆる分野で強化され再活性化されているという、そういう時期にあたるんじゃないかと思うんですけれども、皆様方におかれましてはこの百周年、そして交流年のムードというものを是非ともご利用いただきたい、大いに活用していただきたいと思う次第であります。

    本日は事情があって私このあいさつの後退席することになっており、たいへん申し訳なく思うんですけれども、先ほど言いました通り豪華ゲストの方々が講評をしていただくということでございますので、安心して退席することができるという訳でありまして、最後にシンポジウムの開催にあたりまして努力された関係者の皆様に御礼申し上げるとともに、今回も毎回のように有意義なシンポジウムとなることを祈念いたしまして私の冒頭のごあいさつといたします。どうも失礼しました。

    司会:
    西林総領事どうもありがとうございました。それでは各部会からの発表に入らせていただきます。まずはトップバッターはコンサルタント部会、高山部会長代理からお願いします。

  • コンサルタント部会 部会長代理:高山直巳

    ジャパンデスクの高山でございます。渡邉部会長の突然の帰国で急遽ピンチヒッターに指名されましたが、野球に例えますと、観客のつもりでスタンドにいきましたら、いきなりバッターボックスに入ってくれと言われたような気分でございます。しかもトップバッターということで、非常に戸惑っておりますが、ここでイチローのように先頭打者ホームランということになれば、劇的なのですが。まあ、せいぜい三球三振にならないよう、一生懸命に務めさせていただきます。よろしくお願いします。

    それではシートをお願いします。さて、私が頂いておりますテーマが「ブラジル政治経済、2007年の回顧と2008年の展望」ということでございますが、まず政治面と経済面に分け、さらに経済は国内経済と対外勘定に分けて、お話を進めさせていただきます。また、展望につきましては、現在皆さんが最もご関心あると思われます「アメリカのサブプライム問題とブラジル経済への影響」についてコメントさせていただきます。

    それでは次、政治面から。2007年の政治面の動きは、前半は国会の上院議長の政治スキャンダルが巻き起こったことで停滞いたしました。ルーラ第一次政権下ではメンサロンなどの不正疑惑問題に揺れた国会は、第二次政権になってまたもや政治スキャンダルで始まったわけでございます。最終的には昨年12月、レナン・カリェイロス上院議長の辞任ということで幕引きとなりました。

    今年も実は、今カーニバルが終わったばかりで国会が再開しようとした矢先に、政府が支払いを保証しているクレジットカード、Cartao Corporativoと言いますが、これを閣僚や政府関係者が私的に流用していたというスキャンダルが暴露されております。これによりましてCPI、議会内査問委員会が設置され、これで今年の前半は国会審議はまた滞り、後半は市長選挙によって、議員さんたちがまた地元に奔走するということで、国会での構造改革法案などの進展はまた望み薄ということになっております。

    話は戻りまして、昨年の後半の国会は、DRUとCPMFの継続を巡る法案審議が中心となりました。DRUとはDesvinclacao de Receita da Uniaoと、「歳入の20%を特定の公共支出に縛り付けるという規定を解除する」というものですが、この法律を政府は継続しようとしていたわけです。こちらの方は上下両院で可決されましたが、銀行小切手税であるCPMFの継続法案というのは上院で否決され、廃案となりました。

    これによって2008年以降の財政予算に狂いが生じた政府は、今年早々に財政パッケージを打ち出して、CPMFで失いました400億レアルもの補填を試みていると。すなわちIOF、金融取引税や企業利益に対する社会負担金の増税、加えて公共支出の削減、さらに経済成長によります増税効果、これらによりまして帳尻を合わせようとしているわけです。

    2007年の政治の動きを一言で表すならば「構造改革などの目立った成果はなかったものの、経済の邪魔もしなかった」ということではないかと思います。このため2007年の経済は、現時点での推定値では5.2%~5.4%という順調な成長が予想されております。経済につきましては後ほどまた述べさせていただきます。

    また、2007年の政治で重要なことはルーラ政権に対する国民支持が高水準で安定推移した点だと思います。第一次政権においても第二次政権においても政治スキャンダルの種は尽きることなく、政治基盤は必ずしも磐石とは言えませんでしたが、にもかかわらず国民支持は崩れることはありませんでした。

    世論調査では、国民の半数がルーラ政権に対して「最高」または「良好」と評価して、「普通」という評価を含めますと85%に達する国民が政権に対して「ノー」という拒否反応は示していないわけでございます。この高支持率の理由は、政府主導によってとられた社会政策、ボルサファミリアですとか最低賃金の大幅引き上げ、公務員給与の引き上げ、小農家への支援プログラムなど、さらにこれに加えて国内経済の順調な成長ということがあってこの高支持率という結果になっているわけです。

    このようなルーラ政権への高い国民支持をもって、今年は10月に控える全国市長市議選挙を迎えるわけです。今年の選挙は2010年に控える大統領選、州知事、国会議員、州議員を含む総選挙の前哨戦とも言えるものとなります。それにあたってPTルーラ政権が高い国民支持を得ているということは、反対政党が安易に政府攻撃をできない状況にあるということでもあります。この点でもルーラ政府には選挙に対して有利に展開していくことが予想されます。

    もう一つ最後に政治面で付け加えますと2005年から2006年にかけまして南米各国では大統領選が行なわれましたが、その当時、次々と各国で左翼政権が誕生しまして、「南米の左傾化」という問題が警戒されました。しかし、今やそのようなことを言う人は誰もいません。南米各国が連携して左旋回の政治が行われるのではないかと言うことが単なる危惧であったということが証明されております。続きまして経済面、お願いします。

    国内経済について申し上げます。2007年のGDP成長率はまだ公式発表はありませんが、現時点での市場の推定値は5.2%~5.4%の成長ということになっております。2007年、去年の年明けにルーラ大統領自らが「経済成長加速化計画」、PACというのを発表しまして、これを起爆剤として5%の成長を遂げるということを発表しましたが、そのPACはほとんど目立った実績も示さないまま今年に持ち越されています。

    政府のPACの思惑は外れましたが、結果的には目標以上の成長が達成されたわけです。これは民間の活力に他なりません。昨年の経済環境はレアル高による輸出産業の伸び悩みが懸念されたり、下半期はサブプライム問題が表面化したりで、必ずしも順調ではありませんでした。しかし結果としては予想以上の成長を遂げたわけです。これはとりもなおさず、ブラジル経済の懐の深さ、底力を見せつけたことになりました。

    では、その成長要因がどこにあったかと申し上げますと、まず国内需要が経済を牽引したということが挙げられます。つまり世帯消費や個人消費の増強が国民の実質購買力を増大させた。この背景には社会政策による大衆の所得の底上げ、雇用の改善、信用取引の拡大、この信用取引の拡大の背景にはSelic金利の低下、ローンの長期化というものがありました。

    さらにインフレの安定、この背景にはレアル高の状況下で輸入が増大したことがインフレ抑制効果となった。こういったことが国内の購買力増強に拍車をかけることになりました。工業稼働率も高水準を維持しまして、昨年は平均で82~83%、四半期平均ベースでも記録的な水準に達しております。稼働率が限界に近づいているということで設備投資も増大しております。

    従いまして2007年は大半の業種において好調な結果が残されております。一次産業では国際価格の高騰を受けて、鉄鉱石をはじめとする鉱業、マイニングですね、アグリビジネスが好調に推移して予想を上回る輸出となりました。インダストリーでは鉄鋼、スチールですね、自動車産業、全ての車両つまり乗用車、トラック、バス、二輪、トラクターなど、さらに家電通信・情報機器、紙パルプなどいずれも過去最高の実績を残しております。

    さらに不動産建設ブーム、サービス部門では金融や商業がやはり記録的な増収増益ということになっております。中にはレアル高で輸出が苦戦を強いられた業種もありますが、これだけブラジル国内需要が増大したということで、救われた結果となっております。

    従いまして、2007年は、この国内経済の順調な伸びのお陰で、ルーラ政権内では2004年の5.7%に次ぐ高い成長率が実現する運びとなっております。2008年もこの勢いを持続させ、4~4.5%の成長というのが今のマーケットの予想でございます。

    続きまして対外勘定。対外勘定は順調なブラジル経済を反映する象徴的な部門の一つでもございます。2002年からスタートしたルーラ政権におきまして外貨事情は一貫して順調な推移を辿ってきております。その意味では2007年も例外ではございません。貿易収支、対外債務の大幅圧縮、外貨準備高の増強、外国直接投資の拡大など、いろいろな対外勘定の指標が好転しております。ブラジルは格付け機関における評価を改善して、早ければ年内にも「投資適合国」の取得の可能性もあります。また近年の特徴としてブラジル企業の海外進出というのも急増しております。

    対外勘定の項目をこれから一つずつ述べていきますと時間が足りませんので、この部分はもう全面的に貿易部会さんにお願いして次に参りたいと思います。よろしいでしょうか。

    それでは展望ということで、2008年の展望、サブプライム問題とブラジル経済への影響、実はこれが今日の本題でございまして、これからさらに十分くらいかかるんではないかと思います。

    サブプライムローンの問題そのものについては、世界中のエコノミストやメディアによりまして分析、論議されておりますので、ここではあくまでもブラジル経済への影響、あるいはブラジル経済との関係という点に絞ってコメントさせていただきます。

    アメリカは世界全体の25%のGDPシェアを占めている経済大国でございます。今回はそのアメリカが震源地となって世界経済を揺さぶっている訳ですから、各国への影響も少なくありません。IMFも米国を始めとする主要各国、さらに世界経済の下方修正を発表しております。

    サブプライム問題の衝撃波は、まずニューヨークを中心に世界につながっております証券市場、金融市場を直撃いたしております。これが今度は貿易に支障が出はじめてくると思われます。すなわち、アメリカの輸入の減少、その波紋が全世界に及んでくる。さらにアメリカ企業が世界各国に投資しております企業や産業にも影響が出てくると思われます。それは投資の減少に留まらず、場合によっては資本の引揚げにも波及してくる可能性も含まれております。

    アナリストの論調の中にはアメリカ経済は減速しても高成長を遂げる、新興諸国は左右されないという、いわゆる「デカップリング」という考え方もありますが、ブラジルのように貿易も投資も、さらには文化的要素まで、アメリカに強い影響を受けている国にとっては無傷でいることはまず考えられません。問題はその度合いということになりますが、次に項目別にそれをコメントしてみたいと思います。

    まず、貿易。2006年のブラジルの貿易黒字は、2006年ですね、一昨年です、460億ドル。2007年が400億ドル、これが2008年は250億から300億ドルまで減少すると予想されております。その第一の理由は対アメリカ貿易が減速すること、また長期化しているレアル高によってブラジルの、特に工業製品の競争力が落ち始めていることなどが挙げられます。ただし、その一方で、ブラジルの主要輸出産品であります鉄鉱石をはじめとする資源、また農業コモディティへの需要、国際需要は堅調だという予想がございます。

    次に投資でございますが、対ブラジル投資についても極端に減少するということは考えられません。昨年の対伯外国直接投資は過去最高の346億ドルでしたが、今年は世界経済の減速を反映して200億~250億ドルへ収縮するというふうに予想されております。

    今日のグローバル経済におきまして、アメリカの親会社の不振を海外の子会社が助けるという構造は日常化しております。フォードやGMのアメリカ本国での不振を海外子会社が助ける、あるいは本社よりも海外拠点での生産販売が大きいというような光景は、いろいろな企業や業種で見受けられております。その意味でも安定成長するブラジルからアメリカ企業が資本を引き上げるということは考えにくい。

    また証券や金融市場においてもアメリカでの損失を補填する意味で、特に昨年末から本年始めにかけてブラジルから資金の流出が続いています、しかしそれはブラジルでの企業の好決算による利潤送金であったり、アメリカの損失をブラジルで上げた利益でカバーすると、または現在のレアル高がドルの為替交換率を有利にしていることなどにより、対外送金に拍車がかかっているわけで、ブラジルのカントリーリスク悪化によって資本が逃避しているということではありません。

     マネーの流れ。金融市場の投資の流れも変化して来るでしょう。リスク感が高まれば、投資家は世界でより安全なアメリカの国債(トレジャリーボンド)への投資を優先し、世界の金融市場に分散していた投資金がアメリカに還流してくるということも考えられます。

    しかし一方で、その反対の現象も起きている。一つはドル離れ、すなわち、ドル不安・ドル不信によって金、ゴールドやユーロ、あるいは他の実体資産へシフトする動きが見られております。

    もう一つは、ブラジルのような高金利市場を目指した裁定取引、Arbitragemの増大。現在ブラジルの金利(Selic)は11.25%、これに対してアメリカの金利は今年2回の利下げで3%に低下し、さらなる追加利下げも示唆されています。このような利ざやを狙った金融投資が現在増えておりますし、これからも増えていくという予想もございます。

    まあいずれにしても、今後も米経済の指標や金融機関の損失などが発表されるたびに、マーケットは乱高下は続き、マネーの動きはきわめて流動的になるということが予想されます。

    さてここで、ブラジルにとって新興諸国はアメリカの代わりになり得るかということについてちょっとコメントいたします。新興諸国の台頭によって世界経済の勢力図が大きく変貌し、アメリカ経済の集中度が分散している、こういうような状況下で今回のサブプライム問題に関しましてもそのショックは限定的であるという、いわゆる「デカップリング論」という考え方があります。

    しかしブラジルの立場から考えた場合、例えばブラジル貿易において新興諸国がアメリカの代わりができるかというと、まだまだ力不足の感があります。新興諸国はブラジルとの経済交流の歴史は浅く、その規模もまだまだ小さい。

    例えば、二桁成長を続ける中国は今年の北京オリンピックを弾みにさらなる成長が期待され、ブラジルとの貿易量もあっという間に対日貿易を追い抜き、いまや日本との貿易量の2、3倍にまで加速していると。しかし2007年のブラジルの対米貿易、対アメリカ貿易は65億ドルの貿易黒字である時に対中国貿易は19億ドルの赤字でございます。したがいまして外貨獲得の観点からすれば、中国はとてもアメリカの代わりができるような状況ではありません。もちろんロシアやインドに至っても、貿易量も投資においてもさらに小規模でございます。

    また米国経済が不況に陥れば、中国も対米貿易の減少分を他の国々によってカバーするというように、通商政策をますます積極的な通商政策をとってくることが予想されます。それはほかの世界各国も同じようなことです。つまりそうなれば国際市場での輸出競争がますます激化してくると、こういうような状況で既に対中国貿易で赤字構造にあるブラジルが黒字転換するどころか、赤字幅がさらに拡大するという可能性も出てくるわけでございます。

    次に、サブプライム問題はブラジル経済に限定的であると予想される理由につきましてコメントいたします。これまでやや慎重論を申し上げてきましたが、少なくとも2007年に限って言いますと、サブプライムショックのブラジル経済に対する影響は限定的でありました。それを可能ならしめたのはブラジルの内需であり、ファンダメンタルズの大幅な改善でございました。

    それは基本的には2008年に入っても勢いを失うことなく継続いたしております。ここでサブプライム問題が短期的に、年内に収拾の兆しが見えてくるようであれば、現在のブラジルはこれを乗り切るだけの条件を備えていると思われます。それは次のような理由からでございます。

    第一に、ブラジルの経済に占める輸出比率は13%でございます。また対米輸出はその中で15%程度、金額にして250億ドル。このことはブラジル経済が国内市場に依存していることを示しております。今年も安定成長は続き、所得や雇用、低インフレ、信用取引の拡大、これが継続しております。さらに今年は選挙の年であり、「選挙の年に不況なし」というジンクスの通り、官民の投資意欲も高まってくると思います。

    第二に、ブラジル経済のファンダメンタルズが堅固であるということから、いろいろな経済指標が出ておりますが、中でも外貨準備高に象徴される対外勘定の安定は大きな安心材料になっております。その外貨準備高は今年1月に入ってからも増大の勢いを弱めておりません。1月だけで既に75億ドルの外貨を積み上げております。

    これは、現在1875億ドルの外貨準備、1880億ドルを超えていますが、これは対外債務をほぼ全額をカバーしている金額です。また1月に入ってからの直接投資1月だけで40億ドル。したがって海外からの衝撃波に耐え得るだけの基盤を有しているということができるかと思います。

    さらに第三として、ブラジルの金融機関はアメリカのサブプライムローンに対するエクスポージャーを持っておりません。したがいまして直接的な損失を被っていない。したがってブラジルの信用取引市場はアメリカの市場の問題を抱えていないと、むしろ信用取引は非常に拡大している。今年に入ってからブラデスコやイタウー、大手銀行の決算が発表されておりますが、非常に好決算であり、金融システムは極めて健全な状態にあります。

    第四に、ブラジルの主要産品である、輸出産品であります鉱物資源や農業コモディティの需要は非常に堅調であると。農産物はいまや食料だけでなく、エネルギー原料としても世界的な需要が増大していると。

    最後に五番目として、安定しているブラジルの為替。サブプライム問題で本年1月世界の金融市場に緊張感が走り、ブラジル市場も動揺いたしましたが、1月を終えた時点で顧みると為替はきわめて安定しており、ブラジルの経済基盤が堅固であるということが立証されております。

    すなわち株式市場の乱高下や大手金融機関の巨額損失、アメリカ経済の景気減速への悲観的な見通しの中でもブラジルの為替レートは一月中、1.7レアル台を保って大きな動揺はありませんでした。為替のレアル安は、昨年8月、やはりサブプライム問題が表面化した時、ピークでは2.11までに達しました。ところが今年のサブプライムショックというのはもっと強度であったにもかかわらず、為替は安定しているわけでございます。

    最後に結びに代えまして、今後の見通し。この決め手になるのは、やはりアメリカ経済の趨勢であります。現在巻き起こっております収縮サイクル、これが一巡しないうちはマーケットの乱高下は継続すると思われます。したがいまして、ここしばらく静観するしかないという状況だと思います。IMFではアメリカの経済成長を2007年の1.9%から2008年は1.5%に下方修正しております。世界経済は4.9から4.1ということでございます。

    アメリカ経済の上半期は場合によってはマイナス成長の可能性もあるということですが、後半に盛り返すということがIMF予測にも示唆している。昨日ですか、ブッシュ政権で発表されたのは通貨政策や財政支援策によって3%の成長を維持するというようなことも発表しております。この範囲内で収まるとすれば、ブラジルも4~4.5%の成長の可能性が見えてくると。その意味でも今年の上半期、特に第一・第二四半期)の結果を見る、見極めるということが重要になってきます。

    サブプライム問題のブラジル経済への反応を見きわめるには、まず為替動向が重要なバロメーターとなります。すなわちリスクが大きくなれば、外資の流出が増大してドル買いが増える、反対にリスクが下火になると見れば外資の流入はこれまで通り増大して行くと。それは金融マーケットのみならず、貿易、投資、実体経済にまで及んでくることになります。したがいまして、毎日の為替の動向をバロメーターとして、今後の傾向を皆さんと共に注視して参りたいというように思います。以上でございます。

    司会:どうもありがとうございました。少々長かったですが、非常にサブプライムに対するいろいろな考察ができたんじゃないかと思います。それでは次、金融部会の方から藤井部会長様、よろしくお願いします。あと十バッターあるわけですが、みんなでちょっと頑張って減らして行きましょう。

    コンサルタント部会レポート

  • 金融部会 部会長 藤井良治

    金融部会の藤井でございます。東京海上でございます。はじめに銀行業界、その後保険業界の順でお話をさせていただきます。先ほどのコンサルタント部会からサブプライムローン問題について詳しくご説明がありましたので、私の方からは要点をかいつまんで説明させていただきます。重複する部分もあるかと思いますが、ご容赦お願いいたします。

    まず2007年の政治経済全般をながめてみますと、二期目のルーラ政権は航空問題、リオ州の治安悪化、一連のスキャンダル等、政治面の問題が多い一年でありました。一方経済面は着実な改善が継続し、投資適格国への仲間入りが現実味を帯びてきたと言えます。ただし年末のCPMF延長法案の敗北は議会での求心力低下を象徴しており、今後も予断を許さない状況であると考えられます。主要経済指標につきましては、スライドにまとめた通りであります。まず為替、株価、貿易収支、外貨準備高について、この上から三行目から六行目をご覧ください。

    まず貿易収支は、レアル高や好調な内需にともなう大幅な輸入増加により、貿易黒字の大幅な縮小が懸念されましたが、引き続き高値ゾーンで推移しているコモディティ価格が輸出価格を底上げしたため、輸出は前年比16.6%増加し、過去最高額を記録。この結果貿易黒字は400億ドルを確保し、前年比13.8%減の縮小にとどまりました。

    次にその上の株価ですが、ボベスパ指数は二月の中国を発端とした株価下落や、八月の米国サブプライム問題を発端とした株価下落の影響で、一時的な調整局面もありましたが、問題収拾に向けた一連の対応策を受けて米国株価が回復に向かうとボベスパ指数も上昇に転じ、前年末比46%増の63886ポイントで年末を迎えました。

    為替につきましては、株式市場への資金流入や、過去最高に上った海外からの直接投資額を背景としたレアル需要に対し中銀はドル買い介入を継続、外貨準備高は六行目の通り前年末比110%増の1803億ドルにも達しましたが、介入の効果は限定的でレアル高基調は変わらず、結果、年初1ドル=2.14レアルで寄り付いた為替相場は1.77レアルのレアル高水準で越年しました。

    好調な経済、貿易収支、過去最高水準の外貨準備高、財政状況の改善もあり、下から二番目のカントリーリスク指標、EMBI+はいったん130ベーシスポイント台へ低下しましたが、米国サブプライム問題の余波で上昇に転じ、前年末比約30ベーシスポイント上昇となる221ベーシスポイントで年末を迎えました。
    政策誘導金利、Selicは、スライド最下段ですが、これまでの金融緩和政策の維持により、上期には1.25%引き下げられましたが、食品価格の上昇等を背景にインフレ圧力が高まったことから、下期には利下げペースは0.75%に鈍化し、11.25%で年末を迎えました。

    以上のようなマクロ経済指標、財政改善等を受け、五月にはFitchとS&Pが外貨建債務の格付を投資適格目前のBB+に格上げ、S&PもPositiveとしました。

    次のスライドに入ります。銀行業界に関しましては、個人ローンと自動車ローンが引き続き伸びており、年末には金融システムの総貸付残高が、一番上の通り、9233億レアル、06年末対比27.3%増に達しております。一方、中段以下の延滞債権比率は好調な国内経済にも支えられ、法人取引で2%、個人取引で7%と低位で推移しております。地場銀行を中心とした個人取引を中核業務とする銀行の好調な業績が継続しております。

    次に2008年の展望について述べます。まず概況ですが、米国のリセッション、中国経済、原油価格の推移等の外部要因や、ルーラ大統領の政策運営、エネルギー問題などの内部要因に注目する必要があると考えられます。ただし、歴史的水準にある外貨準備高や底固い貿易収支などに支えられ、問題が生じた際の抵抗力が増していることから、堅調な情勢が継続すると予想されます。

    中銀が集計している各種指標の見通しをこのスライドにまとめました。上から順に説明いたします。インフレに関しましては原油その他コモディティの高値推移、内需拡大にともなう価格上昇などが懸念されますが、慎重な政策金利の運営により、消費者物価指数(IPCA)は昨年の4.46%より若干低い4.29%程度が予想されております。

    政策誘導金利のSELIC金利は、前述の通りインフレ懸念や、これまでの利下げ効果を見極める観測期間として利下げが中断されております。引き続きファンダメンタルズが良好水準を維持することが見込まれていることもあり、昨年末11.25%であったSELIC金利は年内の据え置きが予想されております。GDP、経済成長率は、米国のリセッションや政策金利の据え置きの影響もあり、昨年の5.19%より低い4.5%程度の成長が予想されています。

    貿易収支に関しましては、継続するレアル高、好調な内需の影響もあり、二年連続の減少が予想されていますが、引き続き300億ドル超の黒字が見込まれております。貿易収支の縮小にともない経常収支の赤字転落の可能性は否定できませんが、引き続き高水準の海外直接投資が予想されるため、総合収支は黒字を確保すると予想されております。

    年末のレアルの対ドル為替相場は好調な内需やレアル高などにともなう貿易収支の鈍化、内外金利差を狙った投資継続、加えてブラジル企業の海外投資も予想され、現状比若干のレアル安となる1.8レアル程度が予想されております。

    なお政治面では、十月に予定されている地方選挙は二年後の大統領選挙を占う上でも重要であり、各党の立候補者、他党との連立状況、当選結果など注目する必要があると思われます。

    銀行業界でのトピックスとしては、昨年末の小切手税、CPMFの廃止、年初の金融取引税IOF、社会負担金CSLLの増税、9から15%、などの制度変更が大きなポイントであります。特にCSLLに関しては銀行利益の大幅な圧迫要因であり、かかる変更に異論を唱えている銀行協会と政府の議論の行方が注目されます。以上銀行業界についての2007年の回顧と2008年の見通しについて簡単に述べましたが、ここで恒例となっております、当地銀行四行の今年六月末時点での金利・為替予想を披露します。

    四行はおなじみのブラデスコ銀行、ウニバンコ、ブラジル三菱東京UFJ銀行、ブラジル住友三井銀行の四行であります。ご覧の通り、SELICは各行とも11.25%と、昨年末時点と同水準の予想となっております。先ほど申し上げた通り、四行ともインフレ懸念により、当面の金利の据え置き、中には引き上げもありうると見ている銀行もあります。

    また為替につきましては、二行は昨年末1.77より若干のレアル高、1.75の予想ですが、全般的にレアル高による貿易収支の鈍化、ブラジル企業の海外投資の拡大等によりレアル下げ圧力基調と見ており、また昨今の米国サブプライムローン問題で損失を受けた欧米系金融機関によるブラジル市場への資金流入が今後減少する懸念もあり、これによるレアル安要因も見逃せないとしております。

    これらにより為替はフラクチュエイトの状況にあるとはしていますが、1ドル=2レアルを超えるような大きな変動までは当面予想はしておりません。ご参考いただければ幸いです。

    それでは次に保険業界について述べます。まず2007年の回顧でありますが、保険監督当局の統計に基づき2007年の保険業界を振り返って見ますと、全保険種目合計の収入保険料は表の左側下段の通り前年同期比10.4%増と二桁の増率を示しております。

    種目別に見てみますと、最も特徴的なものは自動車保険であります。他の保険種目が10~16%程度の増率を示している中で、自動車保険は6.6%増と低い伸び率となっており、その内訳ですが、表にはありませんが、強制加入の保険は26.9%の増率を示しているものの任意加入の自動車保険は1.6%ときわめて低い増率となっております。自動車販売は校長ではありましたが、任意加入の自動車保険につきましては競争の激化、料率の低下が大きく影響しているものと考えられます。

    また、収入保険料に占める支払い保険金の割合であります損害率につきましては、表の右側最下段ですが、全保険種目の損害率は53.3%と前年同期比で2.3ポイント収益改善しております。種目別に見ますと、自動車保険、火災新種保険、生命障害保険は改善しているものの、運送保険は悪化しております。

    次に2008年の展望について三点述べます。第一点目ですが、総論では堅調な国内経済を反映し収入保険料は2008年も拡大傾向が続くと予想されておりますが、自動車保険のマーケット動向が与える影響は大きく過剰な値引き競争による損害率の悪化が依然懸念されております。

    二点目の再保険の自由化に関しましては、2007年12月に取り扱い細則を定める保険審議会規則が交付され、いまだ不明点は残っているものの、現時点では2008年に具体的なオペレーションが開始される可能性がきわめて高くなっております。各保険会社の対応、マーケット動向等、注目されるところであります。

    最後、三点目ですが、既に決定しておりました新しいソルベンシーマージン指数、銀行の自己資本比率に相当するものですが、その計算規定が2007年12月に内容が大幅に緩和・変更されました。当初の計算規定で懸念されていた業界の再編の可能性はかなり後退したとの見方もありますが、この点も引き続き今後の動向が注目されます。以上でありますが、金融部会からの報告とさせていただきます。以上でございます。

    司会:
    藤井部会長どうもありがとうございました。それでは先ほどちょっとキャンセルしましたけれども、質疑応答を入れたいと思います。何か質問ございましたら、よろしいでしょうか。それでは先に進ませていただきたいと思います。次に貿易部会、佐々木部会長の方からよろしくお願いします。

    金融部会(レポート)


  • 貿易部会 佐々木部会長

    どうも、貿易部会長の佐々木でございます。三菱商事です。先ほどコンサルタント部会の高山さんの方から貿易の対外勘定の詳細については貿易部会ということで振られてしまいまして、これをやる前に自分でリハーサルをやって、どうやったって17、8分かかるんですけれども、あれまで入ると多分20分かと。
    ですから、常に貿易部会というのは数字の説明が非常に長くなるのでその辺をちょっと割愛しながらさせていただきたいと思います。

    それではお願いします。インデックスがなくて誠に恐縮なんですが、自分でインデックスを書いたんですけど、このスライドに落とし込むのを忘れまして。流れとしましては、通年の輸出入実績から入りまして、ブラジルの主要商品別の輸出、それと主要国・地域別の輸出、同じくその輸入ですね。あと対日主要品目の貿易、輸出輸入と、それに2008年の予測というふうな流れになっております。

    まず一枚目の紙からご説明いたします。通年の輸出入の実績ですけれども、まず収支からいきますと、開発商工省貿易局によりますと2007年の貿易黒字は前年に記録した465億ドルから13.8%減少いたしまして、400億ドルになっております。貿易黒字が前年を下回るのは、実に十一年ぶりということです。輸出入でいきますと、2007年の実質GDP、成長率は5%を超えまして、内需が非常に好調だった結果、ついに輸入は1000億ドルを超えたということで、前年比約32%増ですね

    。一方輸出は16.6%増えたんですけども、同じく輸入の方の伸びが大きかったということで465億ドルの実績、2006年の実績が2007年は400億ドルということになっております。下にちょっと書いてありますけども、一次産品の輸出は伸びていますけれどもレアル高の影響で輸出全体のペースが下がっているということが全般的な総論として言えると思います。次のページを。

    これはブラジルの主要商品別の輸出ですけれども、このパワーポイントの中で2007年の輸出は一次産品が28%増の516億ドル、半製品が約12%増えて218億ドル。工業製品は12%増の839億ドルということで、全てのカテゴリーで過去最高を記録しております。これを輸出量で見ますと、一次産品は11%増でございますけれども、例えば半製品は0.2%減ということでやはり全体としては量の微増をレアル高で補っているということが言えると思います。

    次のページですけれども、もう少し詳細に入りますと、一次産品としましては鉄鉱石が18%増の106億ドルでトップ、原油が続きまして、大豆が19%増えております、これは67億ドルですね。鉄鉱石は中国向け、原油は米国・オランダ向けが大きく伸びているのが特徴でございます。鶏肉はですね、アジアの鳥インフルによる世界的な市場の落ち込みから回復して参りまして、特にブラジルの場合には丸鶏を中心とした中東向けが順調に伸びているということで、前年比44%増、42億ドルを記録しております。

    このほか、表の中にございませんけれども、トウモロコシは前年比実に319%増ということで、20億ドル。数字としてはそれほど大きくありませんけれども伸び率としては319%ということで輸出量も過去最高の1090万トンとなっております。一方で、トウモロコシの輸出が増えたことによって国内の飼料の価格が非常に上がりまして牛肉のインフレが二桁に達している地域もあって、これはブラジル人にとっては厳しいということだと思います。

    次に半製品ですけれども、半製品では粗糖は減っておりまして21%減で31億ドル。セルロースは増えて30億ドル等々となっております。工業製品を見ますと航空機、エンブラエルですけれども、前年比46%増で47億ドルで一位。同じく47億ドルだと思います、乗用車も増えております。

    ほかにはですね、自動車の部品が7.9%増えたり、自動車のエンジンが8.4%減ということで、特に自動車部品の輸出を見ますとやはりレアル高が継続しているということで前年並みを維持するのがやっとというのが現状でございます。まあ工業製品、皆様ご存知だと思いますけれども、ブラジルで工業製品というとですね、カテゴリー上でオレンジジュースですとか、燃料・工業用のエタノールですとか、木材、大豆油、こういうのが全部含まれていますので、一概に工業製品を額面どおりに受け取るのは必ずしも正しくないというふうに思います。では次のページお願いします。

    相手国別ですけれども、この中で特徴的なのは、米国・アルゼンチン・中国とここは順番になっているんですが、米国向けは非常に微増にとどまっているのに対してアルゼンチン向けは23%も増えていると。中国向けも同様で28%の増加を記録しております。

    さらに近年、これは六番目にありますけども、ベネズエラへの輸出というのが急増しておりまして、自動車あるいは自動車の部品、携帯電話、鶏肉などが主要な輸出品目になっております。この表には出ておりませんけども、国という枠組みではなくてですね、中東向けということで言いますと、前年比11%増の64億ドルということで中東向けも順調に増えております。次お願いします。

    今度は輸入ですけども、まず主要商品別の輸入から入らせていただきます。2007年度は輸入は全体で、先ほどご紹介いたしましたけども、1206億ドルということで32%増でございます。資本財は33%増の251億ドル。原料・中間財は31%等々、軒並み30%を超えております。次のページお願いします。

    資本財を見ますと、やはり農業機械用部品・付属品と工業用機械がともに前年比二倍以上の伸びを記録しているということです。この要因としましては、先ほどから皆様の話でありますけども、国内需要が非常に好調だということで企業が投資を拡大する意欲をまだ引き続き見せているということで、2007年の第3四半期より農業部門の生産活動が急速に伸びた点などが挙げられると思います。

    次に消費財ですけども、消費財は、前のページにもありましたけども、非耐久消費財が32%、耐久消費財が36%。大幅に増えております。これはブラジルにおける、やはり中間層の拡大というのを非常に明示していると思いますけども、特に耐久消費財など家庭用品ですとか、乗用車を例にとりますと前年比60%以上伸びておりまして、ブラジルの自動車製造業界協会によると、2007年の輸入車の販売台数、全体の9%を占めるに至ったということで約22万4,000台で、前年比で見ますと68%増と非常に大きな拡大を示しております。次お願いします。

    相手国別に見ますと、この中で増加が顕著なのは58%増えている中国でございます。前年同様、アメリカに次いで二位の輸入相手国になっております。表にはございませんけども、中国からの輸入では2006年も上位品目であった液晶パネルですとかコークスに加えまして自動車の部品だとか携帯電話が前年の実績ゼロから2007年は急増しているということが言えます。

    あと、珍しいところと言っては何ですが、ナイジェリアからの輸入も35%と非常に増えております。これは従来からの原油等に加えて液化ブタンですとか、液化プロパンの急増が大きく寄与しております。次お願いします。

    対日貿易ですけれども、全体の輸出・輸入というのが、平均しますと輸出で16.6、これは全部ですね、で輸入で32%増えている中で、やはり対日で見ますと輸出は11%増、43億ドルで、輸入は20%増の46%で、全体の伸び率より低いんですけれども、両方とも40億ドルを超えたというのは今までで初めてということで、堅実に伸びているとは言えると思います。まず輸出の品目なんですけれども、
    ●●●●●中断●●●

    ・・・・十八日に工場を停止するというような状況に追い込まれております。オレンジジュースですけども、60数パーセント伸びているんですが量としましては非常に微増でして、やはりレアル高による価格の要因が大きいと思います。次お願いします。

    輸入の品目ですけれども、個別アイテムを見ている時間はほとんどありませんけど、やはり30%の増を記録している自動車の部品ですとか、28%の航空部品ですね、などはいずれも非常に順調に伸びていると。これはレアル高に加えまして日系の二輪・四輪・部品メーカーの生産活動の拡大を反映しているというふうに言えると思います。

    総括しますと2007年の日伯の貿易構造ですけども、日本から付加価値の高い工業製品を輸入しまして一次資源を輸出するという構造に大きな変化はございません。ただ日本企業のブラジルへの関心が再び高まっているということもありまして、往復で100億ドルにようやく迫る勢いを示していると。ブラジル側も、ガソリンへの直接混合用ではなくて、さとうきびのエタノールを原料としたEPPEの対日輸出を検討し始める等、新たな可能性に目が向けられつつあって今後の伸びが非常に期待されると思います。次お願いします。

    2008年の予測です。今までコンサルタント部会と金融部会、高山さんと藤井さんからいろんなお話があって、数字がちょっと違ったりしてるんですが、これは、ここでご紹介するのはウニバンコの予測ということで、まあそういった今までご発表いただいた数字とこの数字の間のレンジのどこかでこう収束していくんだろうなと思います。

    この中で見ますと、輸出額は前年比16%増の1865億ドル。輸入はやはりもっと増えまして24%増で1495億ドルですから、貿易黒字は7.5%減の370億ドル。先ほどから250とか300という数字がございますので、これも一つの参考というふうに捉えていただければと思います。やはり原油価格の高騰ですとか、好調な内需を受けまして今後も一次産品を中心にブラジルの輸出は増加していくというのが一般的な見方だと思いますが、やはりレアル高が継続しますと輸入の増加が今後さらに続くと。ですから輸入の方がさらに大きくなるということだと思います。

    輸入をブラジル国内の市場という観点から見ますと、2008年もですね、雇用情勢も改善していますし、最低賃金の上昇とか金利の低下、まあ金利が低下するかどうかは先ほどのお話でちょっと分かりませんけども、金利の水準というのは維持されるというふうに見るとですね、引き続き消費財ですとか資本財を中心に好調を維持するのではないかと見られております。

    インフレの加熱を懸念事項として挙げている向きもございますけども、ウニバンコの予想では2007年の実質GDPの成長率は5.3%、2008年の経済成長は4.8、インフレ4.6と。さほど問題視されていないということだと思います。次お願いします。

    以上を持ちましてブラジルの貿易動向の話を終了しますけれども、コンサルタント部会、金融部会とお話のあったサブプライムローン関連の話をですね、三番バッターでしやすいんですけども、まあいろんな見方があるというふうにとっていただければと思います。

    2008年の米国のリセッションは確実視されているようですけども、世界のGDPの三割以上を占める米国がリセッションをするとですね、中国をはじめとする世界各国にも影響があることは確実であろうとは言えると思います。そうなると農産品などのコモディティ価格が低下してブラジルの輸出にも影響を与えることは避けられないではあろうと。

    ただしブラジル経済に占める輸出比率、先ほどもありましたけども、アメリカへの輸出比率、まあ15%未満、実質は13%ということで、ブラジルの経済成長はむしろ国内事情に依存しているというふうに言えると思います。この国内事情を見ても所得の増加ですとかローン販売の増加を受けて個人消費が非常に堅調に維持されておりますので、さらに金利もこのまま維持されるということであれば、投資は好成長を保っていけるというふうに思われます。

    すなわち、多少輸出が落ち込んだところでブラジル経済の好調は維持されるであろうというふうに見られます。金融サイドで見ますとレアル高もありまして、それまで特にポートフォリオ投資が増加していたブラジルの状況を考えますと、多少のキャピタルフライトは避けられないであろうと。つまりブラジル金融情勢は依然として海外情勢の動きにそれなりに引っ張られる面というのはあると思いますけども、やはり足元のブラジル経済のファンダメンタルズは非常に安定しているということで、金融市場の動揺はあっても限定的であって、さらに実体経済への影響は限定的にとどまるであろうと言う見方をするのが自然だと思われます。

    最後に、先ほどのお話にもちょっとありましたけれども、ローン販売がですね、例えば返済期間が今99ヶ月に延びたりしております。こういった中で、ちょっとさっきの数字とは違うんですが、2007年で焦げ付きが、ある時点をとりますと11%発生している。ということは、やはり返済が所得に占める割合が五割六割というケースも相当見られますので、足元の数字をこうやって見ていきますと健全性が若干失われつつあるようにも見られます。

    で今は消費押し上げの要因になっておりますけども、一転してリスク要因になりかねないこともあるのではないかというふうに思われます。以上で私のリポートを終わりますけれども、これを作成するにあたりましてはジェトロの方々の多大な協力、特に大岩さんには非常に助けていただきまして、この場をお借りして御礼申し上げます。どうもありがとうございました。

    司会:
    佐々木部会長どうもありがとうございました。何か質問ございましたら。はいどうぞ。
    質問:
    お話、分かりやすかったです。ありがとうございます。このところ非常に一時注目を浴びてきたエタノールがあまり元気がないというふうな感じを受けるんですが、こと貿易面から、輸出面から見たエタノールの展望、そういったものを少しお伺いしたいと思います。

    佐々木:
    貿易部会長としてというか、なかなか難しいんですけども、エタノールと言いますと何と言っても、皆さんご承知の通りですね、公にされているプロジェクトというか、やるということで例えば三井物産さんですとか、まあ貿易部会委員ですけども、あるいは丸紅さんですとか伊藤忠さんですとかいう名前は非常によく出てきますけれども、私三菱商事でまったく名前が出てこないということで、エタノールどうなる?と今赤嶺さんから直接聞かれるとですね、いやうちの会社は全然やっていませんという話になっちゃんですけど。

    やはり長い目で見ますと、当然伸びてくるんであろうと。ただやはり我々日本の企業、日系企業ということで特に日本向けということだけを頭にして考えていくと、日本にもなかなか難しい点があり、この席の中でも前列に座っておられる方々もおりますので私もあまりうかつなことは言えませんので、ただ全般的にはですね、やはりエタノールは長期的に見れば輸出品目としては非常に成長力があるのではないかというふうに思っております。

    司会:
    ほかに質問どうでしょうか。では佐々木部会長どうもありがとうございました。

    引き続きまして化学部会の方から松尾部会長によろしくお願いします。

    貿易部会(レポート)


  • 化学部会 部会長 松尾新一郎

    こんにちは。えー、最初の三つの部会はですね、いろいろと大風呂敷と申しますかスケールが非常に大きく、千何百億ドルとかですね、黒字が300億ドルとかですね、すばらしい数字なんですが、急に化学部会となりますと化け物部会でございまして、いろいろな分野に分かれております。したがいまして話が細かくなるんですが、どうぞ。

    これはプラスチック樹脂用着色剤ということでございまして、だいたいが素材でございます。プラスチックの色つきですね、例えば車の後ろについている赤いプラスチック材だとか、それから化粧品の、きれいなビンだとかですね。ということで、まあ売上は毎度毎度のことですが、だいたい微増で、利益もそこそこ、それからまあこの辺は予測どおりかなと。で、特に自動車が好調ということでそういう自動車の部品だとか、ライトだとかそういうところでの分。

    それから化粧品ですね、化粧品の容器なんかにずいぶん売上が増したということで全体として予測どおりにそこそこ行ったかなと。それから今年の展望につきましても、相変わらずコンサーバティブとは申しませんけども、微増、微増という予想とのことでございます。一番下に、根拠はどういうことかと、米国経済、サブプライムローンだとかいろいろ言われてますが、化学品部会として一応我々もそういうグローバルな話をしようではないかとやったんですが、これがプラス要因なのかマイナス要因なのか、要は分からんというのが化学品部会の結論でございました。次お願いします。

    次、接着剤です。これは瞬間接着剤および、ねじを締めた時に緩まないようにするような輸送機器向けシール剤ということで、まあ微増、微増というのは前のプラスチック着色剤と同じなんですが、だいたい横ばいかなと思っていたところに、ちょっと増えたんで、予測以上と。というのが、いわゆるレアル高、リストラ、値上げなんかで非常に大変だった。

    ところが農業が、他の話にもありましたように農業がずいぶん好調になってきた。でこれがですね、農業機械が2007年2006年は最悪の事態でございましたけれども、トラクター用のねじを締めるシール剤がうまくいったということでございました。それから今年の展望も、まあ増加、増加でいくと。あいかわらず自動車、輸送機器関連が順調ということで、今年も増加を見込んでいるということでございます。

    ただし、これが有名税というわけかどうかしりませんけども、大体、ガンと瞬間接着剤なんかが売れ始めますとですね、中国品が偽物として、同じものとしてラベルから全部コピーして入ってくるんだそうです。だから売上伸びるのも良し悪しだというのが、そういう細かな瞬間接着剤、2グラム3グラムのパッケージなんですけども、そういうのがでてくると。ということは順調に行っているのかな、ということでございました。次お願いします。

    医薬です。これは医薬といっても湿布、消炎剤でサロンパスさんです。売上は伸びたと。なんとなれば、まあ積極的な広告投資ですね、これは皆さんご存知なようにサロンパスカップで大体ブランドイメージを確立できたかなということでございます。それから段々と、コンテナで物流コスト増ということはですね、やはりそういうふうにブランドイメージが獲得できますと、これも有名税でしょうか、盗まれてですね、闇市でさばかれると。まあさばくだけの市場ができたということでしょうかね。

    それから今年の展望ですが、相変わらずやはり積極的な、今年もサロンパスカップをやるそうですから、広告投資、非常に高いお金らしくて、久光製薬ブラジルではカバーできないで本社からの全面的な援助に頼っていますとこういうことでございますが、やっぱりブランドイメージを確立すると、少々高くても売れると。ブラジルでもそうらしいです。次お願いします。

    高級化粧品で、これも完全にブランドイメージでございます。資生堂さんです。レアル高でプラス要因になっているそうですけども、これは資生堂さんは最終製品を輸入しておられるらしくて、その点こちらのはリセールということですね。売上は微増で、それから利益はなんとか黒字に転換できたんで、今のところは何とかハッピーだと。ただし、2008年に向けて大体の素地はそろったんで、今年は大化けできるかなという展望らしいです。

    それから、最初に申し上げましたように、プラスチック原料の着色剤のところでもあったんですが、化粧品用のパッケージが売れているということがございましたけども、なんとブラジルは金額で言いますと世界三位の化粧品のマーケットらしいです。アメリカ、日本に次いで、フランスを追い抜いて世界三位らしいです。次お願いします。

    筆記具、これはパイロットペンさんです。テレビコマーシャルを去年はずいぶん高いお金を出してやった成果が出て、ブランドイメージが向上したためか、これも中国製品に比べて十倍近く高いらしいですけども、売上利益ともに増えていったと。それから今年の展望につきましても、ブラジルの好景気を期待しまして昨年どおり売上利益ともにプラスの方に向かっていくという展望だそうです。次お願いします。

    ロジン、テレビン油。これは松脂から作るものですけども、売上利益ともに増加したけども、残念ながら増加の程度が足らんと、年度計画に行き着かなかったので予測以下だそうです。生松脂の値段が年初から30%下がったんで、非常に助かったということだそうですけども、レアル高のためにやはり四割ほど輸出は減ったと。

    まあ建築工事の遅れというのはこの国ではよくあるそうで、戸田建設さんに頼まなかったから遅れたのかなと思いましてですね、ということで、いわゆるこれまではバッチ生産でやっていたところを連続生産で製品が出てくるというような製造システムに変えたんで、変える工事が遅れたのでうまくいかなかった。今年に至ってはそれが完成するので、今までのバッチ生産から連続生産に移行できるので、売上利益ともに倍加すると見ている。次お願いします。

    農薬。農業生産が順調だと。昨年は四十年来の最悪の年であったわけです。結局売上利益ともに大幅に増加したんですが、どうってことない、例年並およびちょこっとプラスに移ったくらいかなと。一昨年がですね、39億ドル、農薬のマーケットが39億ドルくらいまで落ちたんですが、昨年は50億ドルにまた戻ってきたと。50億ドルです。これが精一杯でございます。

    それでもブラジルはアメリカ、日本を追い抜いたんではないでしょうか、二位か三位の農薬の市場でございます。大豆、トウモロコシが非常に、他の、メタノールにせよエタノールの話にせよ、大豆、中国向けに快進撃だというのは農薬の世界でも同じでございます。それから08年につきましてはそんなに、50億ドルから増えるという見通しはんまったくございませんで、せいぜい50億ドルの横ばいがいいところではないかというのが農薬五社の見通しでございます。次お願いします。

    えー、トウモロコシの値段がエタノール景気で上がっていますね、こうなりますと鶏さんの餌がものすごく高くなってくるんです。私ども住友化学がやっております鶏用の飼料添加物、これがですね、もう全然あきまへん。大幅値上げするんですけども、とにかく、あまり大きな声では言えないんですけども、ドルにリンクした小売価格なんですね。いわゆる卵の値段、鶏の値段はドルリンクでやられますから、いわゆるそういうアミノ酸でございますね、キロ当たり5ドルになれば、為替レートが3レアルであれば15レアルの手取りがあるんですが、最近は5ドルで売っても、ご存知の通り10レアルにも至らないわけです。

    一方こっちの経費は全部レアルですね。今度はドル換算にするとガンと上がります。それでようやく黒字になるのが精一杯でございます。で今年の展望につきましても、油の値段が上がってますから、合成アミノ酸の値段が上がります。そして穀類の価格が高騰していると、もうマイナス要因ばかりでございまして、売上も落ちる、利益も落ちるでありましょう。せっかく水面上まで来たんですが、今年はまた沈むかなと、暗い気持ちでございます。次お願いします。

    家庭防疫薬。あまり大きな声では言えませんが、デング熱、それからイエローフィーバーですね、これがございまして、皆さん蚊の退治をやりましょうということがございまして、売上利益ともに増加いたしました。ただし価格面ではやはりジェネリック品が入ってまいります。中国、インドからの製品がございまして、引きずられまして値下げは強制されると。

    今年の展望につきましては、売上利益ともに伸びるだろうという期待をしております。ひとつにはデング熱、黄熱病が相変わらず下火にならないということで、エアゾールの消化が増えるんではないかと。次お願いします。

    商社さん。佐々木さんが先ほどおっしゃいましたので深くは申しませんが、各商社さんですね、三社入っておられまして、扱い、商圏の分野によってプラスマイナスはなはだしいんです。これを一緒に微増であり減少であり、予測以上であり以下であり、もう何のことやらさっぱり分からんというのが商社さんでございます。次お願いします。

    昨年までは十分野でおしまいでしたけども、今年からは一応食品分野に入っておられます高砂香料さん、これ作っているのは化学品ではございませんかということで、ペーパーパーティシペーションという格好で入っていただきまして、2007年2008年の展望についてお伺いしまして、我々化学部会の資料として、日系企業のブラジルでの動向について一つの参考になればということで出しました。売上増加して、同じようにようやく黒字にできたかなと。大改善とおっしゃっていました。

    これですね、人員削減して、2008年人員強化というのは、要はですね、フレーバーリストというんですか、非常にクオリティの高い人間をしっかり確保しないと、とにかく人海戦術でやってもいかんらしいんですね、個々の分野は、難しいところがございまして、要するにトイレッタリーみたいな分野と食品分野と二つの大きなのがあって、食品分野というのは非常に難しいと。

    チューインガムとかですね、一つのプロジェクトで当たったらもう全世界的なブランドですから、ものすごく大きくなるらしいんですけども、それは非常に難しいですねと。だからしかるべき人員は強化したいと、ただしたくさんの人間、人海戦術でやってもうまくいくものではないという分野らしいです。次お願いします。

    見ての通りですね、07年の回顧はだいたい横ばい・増加で11分の10。利益も11分の11。まあそこそこうまいこといったなというのが2007年。2008年はご覧の通りです。以上でございます。ちょうど10秒オーバーしました。お粗末でございました。

    司会:
    松尾さんどうもありがとうございます。15分は質疑応答を入れての15分ですので、よろしくお願いします。質問ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。それではどうもありがとうございます。
    引き続きまして機械金属部会、嶋末部会長からよろしくお願いします。

    化学品部会(レポート)

  • 機械金属部会 嶋末繁 部会長

    CBCの嶋末でございます。機械金属部会につきましてご報告させていただきます。機械金属部会はここにございます八種類の業種について報告させていただきます。総括いたしますと各社、活況を呈しているという状況でございまして、設備投資をして生産能力を拡大しているというメーカーが多数あります。ただ先ほどから話がでておりますが、サブプライムローン問題で後半クエスチョンマークだなというふうなメーカーも数社ございました。

    それではまず鉄鋼関係。これは鋼板のマーケットの状況でございますけども、生産につきましてはアルセロールミッタル、ツバロンの高炉が操業を開始しまして増加しております。国内需要につきましては、好調な自動車生産、それから好景気、PAC等の影響で、ここにありますように前年比18%の新記録の増加となっております。今年の展望といたしましては、国内につきましては需要はその後も堅調に推移、したがって9%程度の伸びが予想されておりまして、記録を更新することは確実になっております。

    一方輸出に関しましては、板の製造能力増はいまのところ予定されておりませんので、国内需要が順調に伸びれば輸出量の大幅削減は避けられないという状況になっております。こういう環境の中で、好調な自動車生産を背景にしまして、需要の急増する表面処理鋼板および厚板の逼迫感が強くなっておりまして、これを補うために鋼材輸入はさらに増える見込みとなっております

    続きまして電力プラントのうちの電力でございます。このように建設中、計画中の案件が多数ございますけども、2011年には電力危機の見通しが言われております。政府はこの対策としてPROINFA、代替エネルギー振興プログラムあるいはマデイラ川水力発電所の入札、アングラ第三原子力発電所の計画、こういうものを発表しておりますが、例によって実現まではまだまだ曲折が予想されております。

    こういう中でバイオマス等の自家発電設備、これは活況を呈しております。ここにございますけども、バイオマス発電が全体の3.6%を占めるまでになっております。特にエタノール工場のさとうきびかすの発電、これが2.6%にまでなっております。ただ先ほども話がありましたように、エタノール関係、今まではそれいけどんどんで急激な伸びをしておりましたけども、ここにきて少しクエスチョンマークが出ているようではございます。

    続きまして石油化学関係でございます。2006年に石油の自給できるだけの生産量を可能にしましたペトロブラスは2008年から五年間で1,124億ドルの投資をしまして生産量を1.5倍にするという計画を発表いたしております。この結果、リファイナリー、プラットフォーム、タンカー、パイプライン、こういうものの関連設備の受注が活況を呈しております。この活況はしばらく続くものと思われます。

    続きましてパルプ関係。パルプの国際価格はトンあたり600~700ドル。これに対して欧米の生産コストは大体500ドル。ブラジルは半分の250ドルといわれております。したがいまして、競争力は非常にありまして、各メーカーとも投資意欲旺盛で毎年6~8%程度の生産の伸びが続いております。またこの業界は2007年から六年間で109億ドル投資するということで、やはりパルプ工場向けの設備は活況を呈しております。

    続きまして農業機械関係。2007年はアルコールブームから穀物相場が全面的に高くなりまして、農家の購買意欲が旺盛となりまして、国内輸出とも大幅に2006年に比べて伸びております。2005年2006年はレイオフをするような状態でございましたが、現在は3直体制に移っております。今年の展望は穀物の需給関係はタイトな状況が続くと見られております。

    またここにありますように、高価な収穫機等が売れ出して市況は底堅いものと見られております。したがいまして、今年はさらに20%アップして過去最高の2004年を超える見通しという報告を受けております。
    ●●●中断●●●
    ・・・・・欧州にシフト中。輸入は増加し、販売構成が変わってきているといずれにしましても需要増がございますので、工場を増築し対応しているということでございます。販社につきましては需要が旺盛で供給不足のところはありますが、人員増、販売網整備につとめまして一昨年比40%アップとなっております。

    今年の展望でございますが、状況は2007年と同様。したがいましてメーカーは10~15%程度の増を見込み、アルゼンチンに子会社を設立するなどチャンスと見て積極的に投資をしているという報告がありました。販社につきましては人員増、販売網整備につとめ更なる成長を目指すとの報告がございました。

    続きまして精密測定機器。ノギス、マイクロメーター、そのほか大型の測定器等でございます。自動車部品メーカーを中心に好調であることと、品質管理マインドの向上がありまして追い風となって好調が続いております。ただし報告のございました企業は日本の本社の外為法違反問題で輸入することができなくなって20%のダウン。2007年はコンプライアンスや内部統制の充実を図る年となったとの報告を受けております。また、2008年、今年につきましては、輸入が再開できますので、2006年と同レベルに戻すことを目標にしておりますと。また工場の新型計測機開発で拡販につとめるとの報告をもらっております。

    続きまして軸受け関係。軸受け関係は世界的な品不足感が続いている、こういう中で車は拡大、農機が開腹、それから鉱山、エタノールなどの大型機械の補修市場は好調である。こういう中で生産はフル操業を続けております。またレアル高で輸入品への切り替えが発生しているという報告を受けております。

    なおこの業界でも中国品がどっと、45%急増という形でどっと入ってきておりまして、税関の協力も得て偽ブランド品の対応をしているという報告がありました。今年の展望でございますが、市場はさらに拡大し、量産のみならず大型機械向けも増加、供給不足も深刻化されると見ておりまして、設備を増強中であります。

    潤滑油。このピンク、これは自動車生産台数。黒は自社の潤滑油の生産量でございます。ご覧のように自動車生産とほぼ平行して生産数量が増えております。2007年の回顧としましては、利益率の悪い鉄鋼向けが半減しまして、車・家電向けは大幅増。こういうことで好調に推移し106%の増収という報告を受けております。今年の展望につきましては、一部の顧客で販売量が低下していると。ただ昨年と同レベルに維持できるようにつとめるということでございます。

    最後に産業用冷凍機の状況でございます。2007年2008年とも新規設備の建設ラッシュが見込まれております。食品業界、これは国内、輸出ともに増加しておりまして、最近の特徴としては中小企業においても投資を増やすところが出てきていると。また従来南部に、ブラジル南部にあった物流センター、これが東北地方にも移りまして、こちらで物流センターが増えているという報告が来ております。

    また、ビール飲料も消費増大、またH2Oなどという特定の清涼飲料水、こういうものの投資も増えているようでございます。そのほか食品ではヨーグルト、冷凍野菜などが拡大中でありまして、冷凍機業界はしばらく業容拡大が続くということで、現在新工場、PLゴルフの入り口辺りに作っておりまして三月に稼動開始するという報告が来ております。以上が機械金属部会の報告でございます。

    司会:
    どうも嶋末さんありがとうございます。それではちょっと質疑応答に入りたいと思いますが、質問ございませんでしょうか。それでは先に進ませていただきたいと思います。前半の最後ですが、自動車部会、峯川部会長の方からよろしくお願いします。

    機械金属部会(レポート)

  • 自動車部会 峯川尚 部会長

    自動車部会を担当させていただいておりますホンダの峯川でございます。よろしくお願いいたします。本日は四輪車の業界、二輪車の業界を中心に2007年レビューをふまえ2008年の展望についてご紹介をさせていただきます。それでは四輪車の方から始めさせていただきます。

    昨年の国内生産は自工会の当初予測である271万台を大きく上回る形で前年14%増の297万台を超える年間生産となりました。乗用車のみでも239万台にいたる規模となり、生産量の最高記録を更新する実績となっております。近年のレアル高もあり、輸出台数が伸び悩む中で、好調な国内需要に支えられたものだと言えます。また、全体に占める割合は低いものの輸入車は顕著な伸びを示していることにも注目されます。

    こちらは国内販売でございます。国内販売についてですが、こちらは208万台という自工会の予測を大幅に上回る246万台という実績となり前年比については約28%増という結果となりました。トラック、バスの販売は横ばいながら、乗用車、ライトトラックが順調に伸びております。またこの数字は1997年に記録した194万台の販売という記録を大きく上回る年間販売台数の最高記録となるものでございます。

    次に乗用車の販売状況でございます。好調な乗用車販売についてですが、ブラジルにおいて特長的なリッターカーの販売比率、リッターカーと言いますとあの小型のですね、だいたい1リッターから1.2リッターぐらいの車で、この場合は1.0で分けておりますが、リッターカーですが、この販売比率が2001年以降漸減傾向にあります、近年は55%前後で安定してきておりますが、このカテゴリーでは106万台を超える販売となっております。

    次に支払い形態別の四輪車販売でございます。これは指標で概観してみたいと思います。グラフはメーカー系のファイナンス会社の協会による指標をもとにした試算でございますが、金利低減の中でリース販売の伸びが市場を牽引していることが見て取れます。

    次に四輪の小売販売、それから在庫状況でございます。先ほど触れました通り、昨年の国内販売は246万台を超えるものとなりましたが、内訳を見ますと輸入車の伸びが顕著になってきていることも確認できます。また年末の在庫水準はメーカー在庫で四日、店頭在庫でも十三日ということで、品不足感すら感じられる低水準な在庫となっていることがうかがわれます。

    次に各社の能力拡大に関する投資の件でございます。これは乗用車についてでございます。今申し上げたような状況を受けまして、ご覧いただけるように各社の生産能力拡大計画が加速してきております。これからの三年間で70万台を超える生産能力が追加されることになり、ブラジルにおける供給量は380万台を超える規模となってまいります。これらに加えてインドのタタ、中国のキズイ奇瑞(きずい)自動車、通称ブランドでチェリーという名前で知られておりますが、この中国のキズイ自動車等も参入を表明しており、好調な市場を背景にしつつ、競合が熾烈なものになっていくと予想されます。

    次に2008年の四輪車の販売予測でございます。国内においては前年比17.5%増の289万5,000台の販売予測となっており、引き続き輸入車販売の顕著な伸びも続き、38万台を超える規模になると見ております。輸出はレアル高もあって引き続き苦戦を強いられるという予測ながらも、国内生産は324万台まで伸びていくと予想しております。各社ともにやや減速感はあるものの好調な経済を背景に、今年もさらなる市場の伸びを期待しているということが言えると思います。

    次に、今度は変わりまして二輪車業界の動向でございます。二輪車の生産販売の推移でございます。当初は145万台、その後の見直しで151万台までいたると見込まれていた業界予想をですね、さらに大きく上回り、昨年の二輪車販売は前年比26%増の160万台という結果になっております。また輸出は、やはりレアル高のため大きく落ち込んだものの、国内の旺盛な需要に支えられて173万台を超える生産を達成しております。

    またこれを二輪の方も支払い形態別に見たものでございます。二輪販売についても、近年の成長を支払いの切り口で見ますと明らかにクレジット販売の拡大が市場の伸びに連動していることが把握できます。現在の経済シナリオが継続する前提であれば、二輪需要はまだまだ喚起されると見込まれますが、保有増にともなう事故の増加等により、規制強化などの社会的圧力の強まりが懸念されるところでもあります。こちらのグラフで見てお分かりになりますように、クレジットの領域が非常に大きく伸びております。

    またブラジルで伝統的な金融の方式でございますコンソルシオ、無尽でございます。この真中の部分でございますが、ここはあまり量に変化はないんですけれども、伸びは完全に頭打ち状態になっていると。このような状況でございます。

    次に2008年の業界予測でございます。引き続き輸出環境は厳しいものの、国内需要は182万台まで進展するとの予測であります。生産量は194万台規模にいたると見込んでおります。多くの新規参入メーカー、特に中国メーカーが何社か今年も参入を予定しておりますが、そのような参入メーカーも入れ、さらに輸入車の増加もあり、市場での競合が激化していくものと予想しております。
    二輪の方の各社の能力拡大でございます。

    こちらの表がそれをまとめたものでございますが、近年の急激な市場進展と大衆層の二輪消費への参入加速もあり、既存各社が生産能力を引き上げており、数年以内に80万台分の供給能力が増えるということが考えられます。この総計で320万台を超えてくる計算となりますが、加えて中国メーカーを供給元とする新たな工場建設の認可、さきほど申し上げたような例でございますけれども、認可申請がすでに提出されておりまして一気に100万台近い生産能力の拡大が実現する見通しでございます。二輪車業界といたしましては生産関連法規の整備や管理管轄体制の強化などが急務であると考えております。

    最後に部品業界の動向でございます。こちらのグラフはSindipecas、部品製造社協会さんから発行されたデータを元にしたものでございます。この左のグラフはレアルで表示された部品売上でございます。これは同協会加盟企業のうち、代表52社の売上、伸び率データであるため、必ずしも自動車関連部品製造企業を代表しないものでございますけれども、2007年については、堅調な完成車国内販売の増加にともなって引き続き売上が増加し、11月までの実績と12月の最終見込みを反映した最終予測数値ながら過去最高を記録、前年比8%増の700億レアルに達する見込みであります。

    輸出入に関しましては、輸出が前年比1.6%増の89億レアルにとどまった一方で、輸入は約33%増の90億レアルに達し、為替相場の影響は国産部品からコストの安い輸入部品に代替されたことにより、輸出輸入のバランスが2006年の黒字大幅増から2007年には一気に赤字になっているというのが部品業界の実態でございます。以上で自動車部会の報告を終わらせていただきます。ありがとうございます。

    司会:
    峯川さんどうもありがとうございました。質問等ございましたら、どうでしょうか。それではちょっと最後に巻き返していただけまして、ただいまちょうど16時になるころでございます。今から15分をめどに休憩させていただきたいと思います。16時15分に再開ということで、よろしくお願いします。どうもご苦労さまでした。

    (休憩)コーヒーブレーク

    司会:
    若干まだおそろいになっていない方がいらっしゃるんですが、時間も押してますので始めさせていただきたいと思います。後半のトップバッターは食品部会、尾崎部会長様の方からよろしくお願いします。

    自動車部会(レポート)


  • 食品部会 尾崎英之 部会長

    皆さんこんにちは、食品部会長をやっております尾崎と申します。会社は東山農産加工、キリンビールでございます。今年初めて発表した時に、上の数字が黄色から赤になりまして、さらに赤も超えて20分近く話してしまいましたので、今回は、もうカウントダウンが始まってますが、白い数字のうちに終われるように頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。じゃお願いいたします。

    食品部会は全部で23社ございます。そのうち食品の製造販売している会社が15会社ございまして、今回は食品部会まとめて一つという形での報告ができませんので、まず全体的に去年の回顧と2008年の展望につきまして全体を最初に述べさせていただいた後に、それぞれ各、十の業界について簡単に述べさせていただきます。お願いします。

    2007年度のポイントととしましては、全体として四点ございます。国内食品・飲料市場は安定的な成長を遂げまして、大体業界の平均で成長率が5%から、成長率の高い業界では10数%の成長を遂げました。背景としましては、5%を超える経済成長やインフレ背景だというふうに考えております。

    二番目のポイントとしては、低所得者層向けの低価格商品が好調に推移しまして、これが今までの発表の中にもありましたが、政府のボルサファミリアやプログラム・フォーミ・ゼロですか、ああいった救済策が寄与しているものと考えております。

    三点目としましては、世界的なコモディティの需要増からですね、原材料のコストアップ、またスーパー、アタカードを買収したCarrefur等の流通再編成が起こったことによって流通からの要求の増加が増えまして、全体的に販売は好調なんですが、低価格商品が増えたということ、また流通からの要求も増えたということで全体的に利益率は低下傾向を示しております。四番目のポイントとしましては、為替高により輸出採算の悪化が続いているということがございます。

    2008年の展望について述べますと、ポイントとしては五点ほどございます。一つは、景気・インフレ等に安定傾向が続き昨年同様の成長を期待しております。二番目としましては、為替高、これは今後も続きまして、輸出企業を中心に厳しい状況が継続するものというふうに判断をしております。

    三番目としましては、輸出が厳しいということで国内販売へのシフトや業界の再編成、M&A等の動きも活発化が予想されております。四番目としましては、国内各社がコスト削減、物流費や管理費用等の削減に取り組む一方でですね、また、新しい動きなんですが、安定的に成長するブラジルに対してグループ全体で積極的な投資を行って、シェアを奪取するという、そういう成長戦略をとる企業も2008年度は見られました。続きまして、各業界について発表させていただきます。

    乳酸飲料です。2007年度の回顧につきましては、対前年比数量ベースで5%増と穏やかな成長を遂げております。ドル安レアル高でスーパーでは輸入品があふれておりますが、乳製品は従来通り国産品が主流で、その競合が激しくなっております。乳酸飲料の中で特に原料の脱脂粉乳がオーストラリアの旱魃やアルゼンチンの水害、中国の使用量増加等により高騰しておりまして、1トンあたり昨年度に比べて2倍の5000ドルということで、原料の確保が課題になってきているということでございます。

    一方で、下にちょっと書いておりますけれども、PIS.COFFINSが2007年度免税になったということ、また二年前の2005年にサンパウロの州政府によってICMが18%から7%に引き下げされたこと、こういった減税や免税の措置があったことによってある程度の原材料価格の高騰を吸収していると言う報告がございました。

    2008年度につきましても市場は穏やかな成長を期待しております。競争の激化や原材料の高騰は今後も続くことが予想され、原料の安定確保のために現在75%の国産化、脱脂粉乳の比率を100%にするということを検討中というご報告がございました。

    国内家庭用食品です。昨年度の回顧につきましては全体で約7%の成長を遂げたということです。政府の貧困救済策であるボルサファミリア等が市場の裾野を広げたことによって、調味料、粉末飲料、また個食用のスープが全体で8%以上の増加を遂げたという報告がありました。2008年度につきましても安定した経済成長の下にですね、引き続き前年並みかそれ以上の成長を期待をしております。国内の競合が激しくなり、またスーパー等の流通要求が高まってきており、ブランドの差別化やきめ細かいエリアマーケティング等をこれから導入していくということのご報告がありました。次お願いいたします。

    素材用食品。素材用食品とは具体的にはMSGバルクと飼料用のアミノ酸でございます。2007年度、昨年度につきましては粗糖価格が落ち着いたのですが、為替高によって輸出採算が悪化で厳しい事業環境が継続しているということです。中国製品の低価格構成が続いているんですが、中国政府が付加価値税のリファンドを廃止したということによって、末端の製品価格が上昇が見られるということです。

    また国内ではピラシカーバ市で韓国系のメーカーが飼料用のアミノ酸の生産を開始しまして、国内の競争激化が予想されております。2008年度につきましては、中国製品の輸出攻勢や国内での競争激化が続くものと、また原料高、原油高、輸送費上昇の厳しい事業環境であるものの、ブラジルは世界的に供給拠点の重要な役割を担っていくというご報告がございました。

    冷凍果汁。2007年度は主力のアセロラ果汁飲料がたいへん好調だと、まあ背景には世界的な健康志向があるというふうなことです。ただ原料不足から買い付け競争となりまして、アセロラ自体の価格が高騰化していると。また日本でのポジティブリストの対応のために、農薬管理体制を構築しまして、これがコストに大きくインパクトを与えているということです。

    また、引き続きレアル高の継続から輸出採算が厳しく、全体的に販売数量は好調であるものの、為替高によって売上高は前年並み、コスト高、設備投資の償却増によってこの業界でも利益は厳しい方向にあるという報告がございました。2008年度につきましても、まあ背景として健康志向が継続するだろうということで、アセロラ需要の引き続き拡大を考えております。

    また農薬について、徹底的な農薬管理をした原料確保が求められているということです。国外市場につきましては、製品の差別化や品質向上と同時に輸出先との価格交渉がこれから必要になってくるという報告です。また、国内市場につきましては、ビタミンCを添加または農薬コントロールを若干軽減したコストコンシャスな製品をもって市場開拓をするということが今年の課題になっております。次お願いいたします。

    香料です。2007年度につきましてはC・Dクラス向けの低価格品の食品や飲料の販売が増加しております。ただ数量面での増加はあるものの、競争が激しく、販売価格は低下傾向と。したがいまして全体的に増収であるものの、原料高から採算は悪化傾向を示しているということです。為替高につきましては、輸入原料安となり若干原価高を相殺する効果があったということです。

    2008年度につきましては、国内食料・飲料市場の安定した成長を期待しているということで、業界再編等のですね、まあM&A等による業界再編の活発化も予想されております。また、ブラジルの成長する市場に対して今年は積極的な設備投資を行いまして、製菓、飲料分野において市場シェアを奪取するという成長戦略を今年は採用するという報告がございました。次お願いいたします。

    食品添加物。2007年度はこの業界もC・Dクラス向けの食品、飲料の新製品投入がラッシュということで販売は好調でございました。ただ、C・Dクラス向け商品のためにですね、価格志向が強く、日本からの輸入製品の購入までには至っていないということです。

    ブラジルでも食の世界もですね、量や価格から質への動きがあって、日本や米国で許可されている天然着色料に対するブラジルでの引き合いが増えているということなんですが、ブラジルの法規、アンビダではまだ未許可ということで、これからこういった問題を解決していかなければならないという報告がございました。

    また、為替高から主力のオレンジオイルやコーヒーエキスの輸出採算はたいへん厳しくなっており、また日本国内の最近の偽装や農薬問題から、当地にて完全なトレーサビリティーを備えた原料確保が条件となってきており、この点でのコスト高も頭の痛いところだというところです。

    2008年度につきましては、輸出は為替高が続くことによりまして厳しい状況が続きまして、輸出に関しては高付加価値商品、健康性や機能性をもった商品へシフトする一方、輸入は為替高を利用しまして日本製品の天然着色料等ブラジルにない素材をこちらに輸入し、販売を拡大していきたいというご報告がございました。次お願いいたします。

    健康食品。健康食品につきましては輸入健食と輸出健食、この二つに分けて報告させていただきます。輸入健食につきましては為替高によりましてコスト減となり、また背景として健康に関する関心が増えたということもあって、それとまあ日本からの輸入健食品ということで高付加価値イメージが背景にありまして非常に好調に推移したということでございます。

    一方輸出健食、アガリクス、プロポリスはですね、数年前の中国産のアガリクスの問題、それと為替高によりまして市場は縮小傾向を示しております。ただしアガリクス、プロポリスの中でもオーガニック製品や日本のポジティブリストに適合した商品等の高品質商品につきましての販売は上昇傾向を示しているということです。

    2008年度につきましては、輸入健食は追い風、まあ為替高が続くということで追い風が吹いておりまして、中間所得層の増加や高齢化社会に向かいつつある中、健食への関心は増加していくものだろうという風に考えております。一方の輸出健食につきましては厳しい状況が続くことが予想されまして、今後は高付加価値や品質の差別化、さらに顧客との対面販売、まあ直接販売や、周辺技術を生かしたアルコール飲料の開発、また受託製造等に活路を見出すというご報告がありました。次お願いいたします。

    乾燥麺。2007年度はこちらも政府のボルサファミリア等が寄与いたしまして低所得者層の多い北部、北東部市場においてたいへん好調な販売を続け、全体として二桁台の成長を遂げたということです。ただ市場はプレーヤーが増加したことによる競争の激化、また小麦粉、パワー麦●●という、昨年度の後半に主要原材料価格が高騰しまして、コストアップが響いてきていると。

    また、流通再編成、Carrefurがアタカードを買収しましてPao de Acucarグループを抜いてナンバーワンになったと。また流通の要求が非常に多くなりまして、販売費やいろいろな協賛金への要求が非常に高まっているということです。また低所得者層の多い北部、北東部市場において販売が好調ということは、物流費が必然的に増加いたしまして、この地域での収益は販売は好調なんですが収益としては悪化を示しているというご報告がありました。2

    008年度につきましても市場は成長は継続、特にCDクラス層については販売は好調が継続するというふうに考えております。国際的に穀物相場が上昇しておりまして、今年につきましては製品価格へは転嫁はやむを得ないというふうに判断しております。一般的な情報なんですけども、ブラジルの乾燥麺、一人当たり八食だそうです。日本は年間五十食と、まあ単純に比較をする意味はないかもしれませんが、まだまだブラジルでは乾燥麺●●●
    ●●●中断●●●
    ・・では消費の増加、まあ流通再編にともなう要求増加等から国内の競争プレーヤーが増加し、競争が激化しております。

    2008年度のサフラにつきましてはブラジルは豊作、表年で、豊作の見込みで、対前年比が20%~30%増のまあ4000万袋以上のコーヒーの生産が見込まれております。一方ブラジル国内においては、消費が多様化、コーヒーが家庭から外で飲む飲用機会の外部化や、品質向上、パッケージの多様化等からですね、まあブラジルは従来の生産国、コーヒー等の生産国の顔から消費国の顔を持つようになると、二面の顔を持つようになるというふうなご報告がございました。

    最後に酒類です。主に清酒類なんですが、2007年度の外食・フードサービス業界も昨年度二桁近い安定した成長を遂げております。為替高により輸入品が増加しまして、国産品は低価格戦略をとってきまして競争がたいへん激化しております。また安易に国内の原材料価格の上昇を販売価格に転嫁できませんで、限界利益率は低下の一途をたどっております。

    2008年度は、日本食は低カロリーや健康志向、高付加価値からここブラジル、特にサンパウロでは300店から400店ほど日本食レストランがあると言われてまして、確実に日本食が定着化してきております。一方で国内外品との競争激化や、原材料のコスト上昇、またサンパウロ州において二月一日からsubstituicao tributariaと申しましてICM税の前払い一括制度が始まりまして、競争環境がたいへん厳しくなってきております。ただ今年は日系移民百周年ということで、日本文化としての日本食をアピールしていく絶好の機会というふうに捉えております。ちょっと、また赤になってしまってすいませんでした。

    司会:
    はい尾崎さんどうもありがとうございます。それでは質問、どうぞございませんでしょうか。それではどうもありがとうございました。続きまして電気電子部会の方から、私の方からここで時間セーブのためやらせていただきます。次お願いします。

    食品部会(レポート)

  • 電気電子部会 部会長

    まずですね、Abineeのデータということで、電気電子業界の販売ペースですね、1ミリオンというのが単位でございますが、この数字をちょっと今回拾ってみました。2002年を基軸として書いてるんですが、全体としましては2002年以降毎年10%を超える堅調な販売が実施されているというのが我々電気電子業界の実情かなと思われます。

    その中でも、特に産業系ですね、一番目のラインのところ、Industrial Automation、それから三番目のIndustrial Equipment、それからその次のGeneration,Transmission and Distribution on energy、まあ電力系ですね、それから一つおいて電材系Electrical Material for Installations、この辺は非常に堅調な動きを示してまして、この過去二年というのは10%あるいは場合によっては2-30%を越える成長を示しているということになります。

    その中でPC系あるいは通信系での伸びというのが若干、金額で見ると鈍化し始めていると。ただですね、コンピュータ系では1,000万台需要を超えたというふうな昨年度の発表も出てます。まあそうした中で単価の下落とか、あるいは携帯電話の若干、単価ダウン、その辺が効いているのかなと、そういうふうなところ思っています。

    一方最後の二つのLinha Brancaというのが白物、最後から二つ目ですね、Linha MarronというのがAv系という家電でございます。ここも順調には来ているんですけども。Linha Marronの方が2007年明けてみると数量は確実に増えています。ただ単価が非常に下落してまして、レアルベースでの数字というのが驚くなかれ前年比ダウンとして出てきたということにですね、ちょっと私としてもショックを覚えているとそういう状況でございます。次お願いいたします。

    一方我々の生産拠点であるマナウス、これがどういう状況になっているかということで、テレビに関しましては着実にブラウン管からいわゆる薄型テレビへの移行というのが、まあ先進国に比べて数年遅れという状況ではありますが進んでおります。それで我々の業界の中では薄型が10%をいつ超えるんやというのが、各国で非常に大きな関心になるんですが、ちょうど2007年に1,000万台強の、1,100万台強の生産の中の約100万台が薄型だったということで、2007年度の第2四半期には確実に薄型の売りが10%を超えたなという実感を我々持っております。

    ただ、ここもご多分にもれず非常に浮き沈みの激しいところがございまして、四つ目のホームオーディオですね、ステレオ関係ですけども、これの需要ダウンが非常に顕著に出てます。まあ原因としてはいろいろあるんでしょうが、PC系の伸びとか、あるいはiPodとかいう半導体オーディオ、こういうポータブル系に置き換わっているのかなと、そういうようなところ思っております。

    それから先ほど、前半の最後にありました車関係の非常に大きな伸びに支えられてカーオーディオは非常に顕著な伸びを示しているという状況です。あと、電子レンジが唯一北の方で、エアコンもあるんですけども、北の白物としては電子レンジが一番大きなものなんですが、これも非常に大きな伸びを示しておりまして、特にC、D、この辺の需要層ですね、ここに浸透しているのかなと思っております。

    残念ながら為替高によって輸出環境が非常に悪化しておりまして、特に一番顕著なのが携帯電話の生産でございまして、2005年の3,800万台をピークにこの二年連続して1,000万台ずつ生産台数を落としているというのが今のマナウスの状況でございます。それ以外にもDVDであったり、いろいろな商品で価格が、単価がある一定以下に落ちちゃうとマナウスで生産しても割に合わないというふうな状況に落ちていってましてですね、まあ輸入の洪水が続いているというのが現状じゃないかなと思っております。次お願いします。

    ここにありますのが、マナウスフリーゾーンでの輸出・輸入の状況なんですが、緑の輸出というのはもうご存知の通りどんどん減っていきます。それで逆に薄型テレビというのは、パネルがアジア生産ですので、薄型にいけばいくほどマナウスの輸入が増えるという、こういう状況になります。マナウスフリーゾーンでの雇用状況も、携帯が一番大きいのかなと思うんですが、2006年度ピークを迎え、以降ですね、雇用を減少させるというちょっと残念な結果になっているのが今の現状でございます。次お願いします。

    先ほどのLinha Marronの金額の低下というところなんですが、テレビの価格、順調に単価下落を進めさせておりまして、まだ進んでおります。これをどこで止めるのかというのが我々業界の大きな課題になるのかなと。まあ完成品の方でこれを進めさせるとですね、部品業界さんにも影響を与えるというふうなこともありますので、いつかどこかで止めないかん価格というふうには認識しております。

    その中でですね、部会参加企業の概況ですが、家電関連ではテレビ、それからよく伸びているのがデジカメ、それからカーオーディオ関連、この辺が非常に順調に伸びておりまして、それで南の白物産業も含めて白物については過去二年は非常に堅調な動きを示しているのかなと思っております。しかしながら、先ほど言いました価格破壊の進行に悩まされているというところでございます。

    前回もずっと述べているんですが、部品生産事業というのがですね、ブラジル国内生産を継続することが量的あるいは税制的に非常に困難な状況に陥ってまして、私どもパナソニックも部品事業については昨年度撤退させていただきまして、そういう状況が今後さらに続いていくのかなという状況になっております。通信につきましては、固定系は非常に不振ということを聞いておりますが、一方でブロードバンド系は好調、それからこれからデジタルテレビ系というところにつながっていくんじゃないかなと思ってます。それから地上波デジタルなんですが、昨年十二月にサンパウロ市内で放送が開始されました。それで、グランジ・サンパウロというところですね、補足される人口というのは約1,000万人ぐらいかなというのが今のデジタルテレビを受けられる人口層でございます。これが来年度以降ですね、ちょっと次お願いします。

    こういう形で2008年の頭くらいからベロ・オリゾンテ、ブラジリア、リオデジャネイロ、サルバドール、フォルタレーザという地方の中心都市で試験放送ないしスタート。それ以降2016年がテーハ、アナログのテーハという流れの中で順次広がっていきます。

    今のところ我々もそれなりにデジタルテレビへの傾注を始めていますが、まだサンパウロに限られているということで、我々の商売の需要に爆発的に力を注ぎきるほどのファクターにはまだなっていないのかもしれませんが、確実に今後数年の流れの中でこの動きが入ってきますので、まあ部品系ですとチューナーの販売あるいはNECさんのような送信系の販売、あるいは完成品として我々のデジタルテレビチューナー同梱されたテレビの販売というふうなところを今後期待していきたいところです。

    それとともに各、周辺国ですね、動きも始まっておりまして、アルゼンチン、チリ等々ですね、いろいろな動きが出ていますのをですね、我々も注意しながらできる限りブラジルかというふうなところを日本勢としては目標にしながら動いてまいりたいと思います。すいません一枚戻してください。

    我々部会参加企業の2008年への期待と不安ということなんですが、基本的には、先ほどからございます経済的には安定するなということと、我々が一番望む為替の安定が、まあ1.75付近だったらそれでいいんですが、とにかく為替が安定してほしいというのが我々の思いでございます。

    不安としてはやはり米国経済、サブプライムの影響、それから特にさらなる価格下落ですね、あとほとんど不能になってしまった輸出環境がさらに悪化していくのかなと。まあ今はまだ少しは残っている輸出なんですけれども、これも非常にしんどいのかなと思っております。

    それと、原材料が非常に高騰しておりまして、コストダウンのネタに非常に汲々とするような状況になってきております。それであと移転価格であったり、スト関係であったり、それから給料アップのプレッシャーであったり、レアルの売りが伸びなければ非常に厳しいというのが我々の状況です。それであと中国製品の動き、これは知的財産権等々の問題も含めてですね、やはり非常に気にしているところでございます。以上でございます。

    司会:
    松田さんどうもありがとうございます。松田さんに対しまして何かご質問がありましたらどうぞお願いします。特にないようでしたら次に行きたいと思います。
    それでは、三分短縮しましたので、次は建設不動産部会からですね、阿部部会長、さらに四、五分お願いします。

    電気電子部会(レポート)

  • 建設不動産部会 阿部勇 部会長

    建設不動産部会を担当しております、戸田建設の阿部でございます。いつも建設不動産部会は短時間で終わるので、特徴がございますので、今日もさっさと参りたいと思います。

    一応全体の指標からまずご説明します。これも毎回申し上げております、セメントの販売量が我々の業界の動向を非常に的確にあらわしているということで、ただ残念ながら昨年の九月までの統計しかございません。対前年比、一月から九月末の九ヶ月間の販売総数での対前年比が16%アップということですね。一昨年の十月から十二月に約1万(1,000万●●)トンの販売量がありますので。次お願いします。

    これは一番右側の2007年が下がってますから、あれから1万(1000万●●)トン上がりますと、4,300万トンまで上がるということで、非常にやはり2004年から急激にセメント販売量は伸びているのがグラフで分かるかと思います。次お願いします。

    これがサンパウロの不動産販売件数。確か一年前のあれですと、不動産が非常に伸びてると言っても数字で言うとほとんど変わりませんということを実は申し上げたんですけども、今年のこれ十月までですね、十ヶ月間の販売件数が前年比で61.5%、非常にやはり皆さんがご覧になっているサンパウロ近郊の住宅の販売件数のいうのが本当に素晴らしく伸びております。次お願いします。

    これはグラフなんですけども、グラフだけで見ちゃうとあまり大したことないみたいなんですけど、一昨年、二年前ですか、そこがほとんど変わっていないのが昨年はやはりぐっと伸びているというのが分かるかと存じます。その次お願いします。

    これが建設業の雇用者数。ブラジル全体で見ますと、これも九月までの総数で対前年比9.5%です。次お願いします。

    これもグラフなんですけども、一番下の赤いところが2003年ですね、最近で一番不況だった時。それに比べますと、どんどんどんどん伸びて、2007年はこれ統計値九月末なんですが、まだ上がっている感じがしますね。非常に活況です。次お願いします。

    これはサンパウロ州だけですね。ブラジル全体のものに比べるとどうなんですかといいますと、同じ九月までで15.6%。先ほどが国全体で9.5ですから、やはりサンパウロ州が建設業も引っ張っているという傾向があるというのがお分かりになると思います。次お願いします。

    これも同じようなグラフですけども、2007年の折れ線グラフは非常に、九月以降も伸びていそうな傾向にございます。次お願いします。

    これはPIBですけども、建設業、実は2006年の方が高い伸びを示しておりました。2007年第1四半期は逆に2.27でちょっと低かったんですけども、第2第3ですか、少しずつ回復してきて今に至っているということだと思います。次お願いします。

    建設業全体の売上額ですね。100万レアル(単位)ですが、これも順調に伸びているということですね。次お願いします。

    これも去年お見せしたんですが、日本とブラジルの年間の完成工事高ということで、ブラジルは少しずつやはり伸びていますが、日本は少しずつ下がっていると。統計が2005年と古い数字で申し訳ないんですけども最近のがまだ出ておりませんでした。これが大体全体的な指標になります。次お願いします。

    共通テーマの2007年の回顧と2008年の展望なんですけども、建設業界、これも毎回お話しているように、分母になる企業数が非常に少なくて、建築、不動産、建材、それと家具ですね、この四つに分けてご説明させていただいてます。次お願いします。

    建築の2007年の回顧ということですが、これはアンケートいただいたのは3社です。3社さんの大体最大公約数的なところを表示してございますけども、全体的に見積もりの引き合いは好調に推移しております。傾向としましては、大型案件の割合が増加している、それと生産設備への投資が増加しているということが特徴的に挙げられます。

    それから、入札から発注までの期間短縮の傾向がございます。ご計画されてから実際に工事着工まで非常に早い、短時間で進んでいるということですね。それとさらに工事期間が短縮化、最近インフレは、一般的な世の中ではあれなんですけど、建築資材はかなり上がった時期がございまして、工事金額も当然それにつられて上がっているんですけども、金額が大きくなっても逆に工期は短縮傾向にあるということで我々業界にとっては非常に厳しい状況が今ございます。で、その下にございますように技術者、労働者の不足というのが顕著になっておりまして、その結果どうなるかと申しますと、人の奪い合い、賃金上昇ということが現れております。

    それと建築資材価格の多くが上昇ということで、今日ちょっとグラフにはできなかったんですけども、ピニーという、これ建設物価指数というのが毎月発表されているんですが、昨年の四月にがくっと上がっていますね。まあ上がっているというのは建材の全体のあれですから、パーセントで言うと3%、3.5%程度なんですけども、ものによっては20%上がった建材もございます。ある程度年の後半は落ち着いたんですけども、年の暮れから今年にかけてまた再び上昇傾向にある資材関係もございます。ということで今、労賃と建材、材料費と両方ダブルパンチで上がっているということでございます。次お願いします。

    建築部門の今年の展望ですが、引き合い案件は昨年同様非常に堅調に推移するであろうということは、我々の業界、部会は我々以外の部会の皆様の動向にリンクしているということで、大体堅調に、皆様のお話伺っているあれからしても、今年も引き合いの方は増えるのではないかというふうに思っております。

    それと人材、建設機械の確保が重要課題ということなんですが、お仕事を頂戴しても人・機械・物が順調に入らなければ工事が順調に進まないんですが、例えばの話としてカッコ書きにしてありますが、一月から工事着工しようと思ったところ実際に使う基礎工事の杭がですね、杭を打つ機械が二ヶ月待ちということになります。これはまずいということで、お客様と話して杭の種類を変えてもっと早期に着工できるようにしたんですけども、中々それもうまくいかないと。ただ最近の雨で造成工事が遅れたために、どちらかというとたどり着いて同じ杭でもできるかなということで今そういう話もあるんですけども、非常にそういう意味では人・物、それから機械ですね、建設の工事をするための機械の需要が逼迫してまして、手に入れにくい環境にございます。今後、今年もこの傾向が続くんではないかと思います。

    それから建設資材の価格が上昇傾向ということで、主だったところではセメント、鉄筋、屋根材、防水材、そういったところがかなり顕著に上がっております。ただし、そうは言っても価格の競争は厳しさが常態化しておりまして、決して上がった分だけ転嫁して受注できるという環境にございません。グロス●●でいくらという、そういう世界の競争ですので非常に厳しい競争を強いられております。

    それから毎年五月に、いわゆる人件費の問題ですね、シンジカット●●(不明)●●の話し合いで決まるんですけども、世の中の物価指数4.5ぐらいですか、今年見られているのは、それで収まるとはとても行かないだろうと。下手すると二桁、10%以上工賃が上がるんではないかなということで心配をしております。次お願いします。

    次に不動産の方なんですが、これもよく新聞などでも出ておりますけども、住宅ですね、戸建て・アパートを問わず住宅の方が非常に活発です。特に中低所得者向けの住宅が増加しているということで、販売してから非常に短期で完売する案件もあると聞いております。それから、まあ大都市圏、サンパウロとかリオデジャネイロあるいはサルバドールといった大都市圏からどんどん地方へ、地方の方へ住宅開発が延びていると。

    それもサンパウロ近郊であった話なんですが、一案件の規模が大型化ということで、3,000戸、日本でもある一時期から500戸とか600、あるいは1000戸という大型の案件が一つのマンションであったんですけど、こちらでも最近そういう傾向が見えると。それも3,000戸というのはかなり大きいんですけども、そういった傾向が見られますということです。それとアパート販売価格が上昇傾向にあってデベロッパーの収益は向上傾向にあるということで、ただここでも資材・労務が不足傾向にあって、思ったように計画通りに行くかどうか心配であったということですね。次お願いします。

    今年の展望の方なんですが、アパート販売は引き続き好調に持続するであろうと。ただサンパウロの中心部の高級アパートはもうそろそろか?というクエスチョンマークなんですけども、これも確か二年ほど前から私同じようなことを言っていると思うんですけどね。いまかいまかと言われていながら、まだ続いているというのが現状なんですけれども、まあ業界の方から伺うと、まあ本音のところはもう本当にそろそろかなという部分があるそうです。

    ただ大手デベロッパーは今まだ強気の投資を継続しております。ということで今後どうなるか、ちょっと先行き分からないんですけども、大手デベロッパーが中小の地方のデベロッパーを買収してそういう業界再編というのもあるようです。それともう一つ、新規参入者による価格競争が激化して労務不足が問題であると、これも継続してございます。次お願いします。

    次、建材です。建材に関しましては、昨年の回顧として住宅向けアルミサッシの需要増大、これは今のそのままですね。あと、材料材、アルミ地金、これはある一時、数年前たいへん急激に高騰したんですけども、今は高いまま高止まりで安定をしているということで、まあ為替と同じなんですけども、安定していればそれをベースにいろいろ価格設定ができるということで、まあそういう傾向にあるということですね。

    それから工事管理エンジニアの質の低下ということは、先ほど言っている人の不足が、これのお話はですね、自社のエンジニアが質の低下じゃなくて、お客様の方の管理する側のエンジニアの質が低下した結果、思い通りの工事が進められなくて、余分な経費を使わされたという、そういう相手からの影響を受けたというお話がありました。次お願いします。

    建材の今年の展望なんですが、やはり住宅建設が好調に伸びるということなんですけども、ただ中高所得者向けの住宅に関しては少し伸び悩むのではないかなということが考えられております。あと新規参入業者による安値競争と労務不足が重なり受注環境は激化するということですね、同じことです。次お願いします。

    最後に家具ですけども、昨年の回顧。これは一社さんだけのあれなので、一社さんの特徴ということなんですけども、好調な経済成長と活発な不動産投資の影響で売上は32%アップしましたと。ただ原材料、鉄、プラスチック、鋼板が値上がりで収益の方はかなり厳しかったということですね。それとここもやはり新規参入ということで、競争が非常に激化したということですね。次お願いします。

    今年の展望なんですが、アメリカのサブプライム、これも先ほどから皆様おっしゃってる、その影響がどういうふうに出るか分からないということで、この会社さんは実は今年の五月ぐらいから新規設備投資、工場の新築をされるご予定があったそうですけども、来年そこで開業できるかどうか今非常に悩ましい状況であると。やはりサブプライムのことが気になるということですね。それから低価格販売の競争相手が出現しているため価格競争は激化と、これもまったく同じ環境でございます。

    ということで四業種の話を終わりまして、最後に個別の部会テーマということで、これも毎年同じようなお話で恐縮なんですけども、毎年下半期に見学会あるいはセミナーを開催しております。ここ二年はずっと見学会になってしまったんですけども、今年はどういう形になるか分かりませんけども、決まり次第ご連絡いたしたいと思います。以上でございます。

    司会:
    はいどうもありがとうございました。何か質問ございましたら、よろしいでしょうか。それでは次に進ませていただきます。次は運輸サービス部会、森田副部会長様よろしくお願いします。

    建設不動産部会(レポート)

  • 運輸サービス部会 森田透 副部会長

    寺本部会長がちょっと出張で出席されませんので、私が代理として発表させていただきます。サンキューの森田と申します。じゃあお願いします。

    まず最初、我々の業界はですね、航空業界、それと海運業界、それとフォアーダー、旅行サービス、そして通信という形で非常に多岐にわたっておりまして、非常に分かりにくいかと思いますけども、まず航空業界から言わせていただきます。

    まず2007年の回顧ですけども、旅客需要として国内が対前年比約8%増と。これは七月のTAMの事故などによって一時需要が落ちたということですけども、その後回復を図っていると。国際間につきましては対前年比約1.2%の微増ですね。こういう状況であると。それと2006年のGOLの事故、それと2007年に起こりましたTAMの事故、これをきっかけに航空管制およびインフラの問題ですね、これが非常にクローズアップされ、便の発着等について非常に混乱をきたしたということがありました。それと最後にBRA社ですね、これが倒産したということですね。次お願いします。

    2008年ですけども、まず好調なブラジル経済を反映してブラジル=アジア・ヨーロッパ間の貨客の動きが活発化するであろうと。そのため運航便の増加が考えられると。具体的にはAIR CHINA、EMIRETESの増便、KE、KOREAN AIRLINEですね、VARIGの運航等の再開が計画されていると。それとあと、ラテンアメリカおよびヨーロッパ行き運賃自由化と燃料サーチャージですね、この徴収自由化が実施される見込みであると。

    国内線のマーケットシェア争い、これがまあ激化するであろうということで、まあここに書いてありますけども、現行シェアとしてTAMが約49%、GOLが約40%、あとはVARIG3%、その他8%ということですけども、今後これがどのような傾向を表していくかですね。次お願いします。

    それとあと、これは●●●
    ●●●●中断●●●●
    (ガルーリョス空港駐機料の破滅的値上げ通告。空港当局はGRU空港混雑の解決策として、三時間を超えて駐機する航空機の一時間あたり駐機料を三月中旬より5,200%値上げ)

    ●●すると昨年末に通告されております。で現在、IATA、これは国際運送協会ですね、これとエアラインと当局間にて今鋭意折衝中と。あと、まあこれは各国政府および在伯大使館等も本件を重視して、エアラインとともに積極的に協力して交渉する姿勢であると。

    ちなみにこの5020%という駐機料の値上げになりますと、JALは年間15億円、アメリカンエアラインで約100億円のコスト増になるということですね。まあJALさんとかは一晩飛行機が寝るわけですからこれは非常にコスト増になることはいたしかたないと。これは今、現在調整中であるということで、そのうち結果が出るかと思いますけども、ちょっと異常な数字です。次お願いします。

    次に海運業界ですけども、2007年の回顧といたしまして、強いレアル通過を背景に、まあこれまでの皆様の発表の中でもありましたように、非常に好調であると。特に極東から前年対約30%増と非常に貨物の動きは増加していると。輸出につきましてはやはりレアル高の傾向で、まあありますけども輸入ほどの伸びはないが、順調に推移ということで、特に極東向けが10%増と。あとチキンと肉類を中心とした冷凍貨ですね、これが14%増していると。あとアルゼンチン向け輸出が活発化ということで、25%以上の伸びを示しているということです。次お願いします。

    2008年の展望ですけども、輸入につきましてはブラジル、アルゼンチンの経済好調により中国とアジアからの荷動きが好調を維持するということを今期待していると。輸出につきましても南米東岸ですね、食料供給基地としての役割が年々重要度を増しているということで、今後とも冷凍貨を中心とした伸びを予想していると。まあこれは毎年言われていることなんですけども、港湾、陸上輸送、通関、こういったバックグラウンドとしての一番基本的なところのインフラですね、これの改善が遅々として進んでいないということで、非常にこの辺の改善が望まれるということです。次お願いします。

    次にフォワーダー業界ですけども、まず2007年の回顧としまして日本発の航空貨物の実績ということで、全世界向け、これは日本発のデータとしてのものですけど、日本発のデータで全世界向けで131万,6000トンで対前年比約0.4%ダウンと。米州向けが303千トン(30万3,000トン●)ですね、対前年マイナス4.4%と、減少傾向にありますけど、その他米州、主にブラジルということでこれが1,600万トン(1万6,000トン●)ですね、対前年比23%という形の大幅な増加になっております。

    特にこれまでも発表の中でございましたように、自動車関係、その他それに準じて機械類ですね、こういったものが非常に増加している傾向でうまくいった結果になっているということです。あと、ちょっと外れまして鉄鋼構内物流ということで、鉄鋼構内に関しましても鉄の順調な伸び、これに支えられまして構内作業、構内での製品のハンドリング等ですけども、こういったものも順調に推移と。で上期のある一部の製鉄所の中での構内作業の他社のスト等によっての業務停止があったんですけども、まあこういったものもありましたけども何とかその損失を収益でカバーできる程度のボリュームで年度計画は達成したということですね。それと最後にクーリエ部門。これは輸出入物件が若干減少したと、輸出物件は微増ということですね。次お願いします。

    2008年の展望ですけども、レアル高が続くと工業製品の輸出にブレーキがかかることが危惧される反面、輸入貨物が期待されるということですね。特にまあ、これは全体的な傾向ですけども、中国から輸入が引き続き大きく伸びるであろうという予想ですね。あと鉄鋼構内に関しましても、ご存知のように鉄の活発な生産活動によって引き続き順調に推移すると。

    一方、いま建設の方でもございましたけども人件費、これがやはり非常に高騰傾向ということで、人材の確保、こういったものに非常にこれから懸念が考えられます。あと特に税関関係でですね。三月三十一日からSISCARGAといいます港湾局と税関を結んだ新しい、税関内部のコントロールをするためのシステムなんですけども、これが導入されるということで、これは直接その通関とかそれには関連はないんですけども、これがある程度足を引っ張って遅延につながる可能性もあるというものなんですけども、この辺で船会社、輸出入、まあシッパーさん、コンセイゲン●●(不明)●●さん、それとまあ乙仲との連携と相互理解ですね、この辺で密な情報交換をしていってスムーズに輸入貨物、輸出貨物の処理をしていく必要があるという、こういったものが今懸念材料としてございます。次お願いします。

    次に旅行ホテル業界ですけども、2007 年、海外旅行はやはり航空運賃がドル建てということで、まあ海外旅行が増えたということで、国際線は順調、海外旅行は順調な伸びを示していると。ただ一方、先ほどあったような航空混乱の影響で、旅行中止、先送りが出てきたこともあったということですね。あと国内旅行に関しましてもやはり全体的に好調であるということで、国内パッケージ商品が順調な伸びを示したと。

    ホテルですけど、これはサンパウロを中心としまして、サンパウロ全体の宿泊稼働率は約67%ということで体前年比2%増ということですね。部屋数4万2000室に対して2万8000室が稼動ということで、平均レートが162レアルということらしいです。で、対前年度17%アップということで、値段も上がっているということですね。次お願いします。

    2008年ですけども、引き続きレアル高ということで今後も海外旅行は伸びるであろうと予想されております。ブラジル訪問客に関しましてやはりブラジルの治安の問題、あとこちらでの物価高があるので伸び悩みじゃないかと。ただし移民百周年での日本からの来訪客ですね、これが増加に期待をしているということです。あと国内旅行につきましては、経済好調により需要拡大を予測しているということですね。

    あとホテルに関しましても、200以上のホテルが新規オープンして直接雇用1万人増加していると、間接要員3万人の労働市場発生を予測しているということですね。やはりここでも最終的にはインフラの問題、空港の問題ですね。これが大きく、これからの課題であろうということです。

    通信業界ですけども、2007年の回顧。携帯電話の加入数ですけども、これが1億2,100万台ということで、約80%がプリペイド方式であると。ここにありますようにVIVOが約30%、TIMが26%、CLAROが25%ですね、その他21%というシェア割になっていると。パソコン市場に関しましても大幅な伸びを示している。特にノートブック、これが税制が変わったおかげで価格が下がってますけども、この影響で非常に伸びて100%の伸びということですね。

    あと昨年12月2日に開始されましたデジタル放送、現在グローボ、SBTその他が配信中ですけども、変換装置の販売が今遅れ気味ということらしいです。次お願いします。

    あと2008年の展望としまして、旧TelemarのOiがBrasilTelecomを買収ということで、この合併が成立しますとブラジル資本の巨大電話会社、これが誕生するということで、スペイン系のTelefonicaとメキシコ系のEmbratelこれが対抗することになると。まあモノポリ化が進んでサービスがどうなるかですね、これから。今年はあと、こういったIT関係を支えるものとして停電のリスク、または節電の可能性があると報道されているので、企業は通信設備とかサーバー類ですね、これをデータセンターに移行することを検討するであろうということです。以上これで終わります。

    司会:
    はいどうも森田さんありがとうございます。何か質問ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。それでは最後になります、繊維部会の須賀部会長さんからよろしくお願いします。

    運輸サービス部会(レポート)

  • 繊維部会 須賀治 部会長

    それでは繊維部会から発表いたします。私、倉敷紡績の須賀と申します。
    まず昨年の繊維業界の状況を一言で申し上げますと、「一月、二月の薄日から、雨が降りまして、のち晴れ」。八月ごろから急速に晴れ間が広がっております。半年前のシンポジウムで確か私は、雨がずっと続く最悪の年だと申し上げましたけれども、サンパウロの気候と同じく急に晴れ間が広がったという状況でございます。状況を申し上げますと、年央まではレアル通貨高に起因まして、輸出が減り、輸入が増え、3年連続の暖冬などで国内マーケットは低調でしたけれども、低中所得者層の消費の拡大から需給バランスは急速に改善され、閉めてみましたら繊維産業にとりましてまずまずの年となりました。

    2008年も、輸入品のラッシュはあるものの消費の拡大が続いていきますと、業界全体は大きく落ち込むことは無いと思います。それでは紡績にとりましててコスト、品質の大きな決め手となります原料事情からまずご説明いたしまして、そのあと糸、繊維製品、ファスナーの順に話を進めていきたいと思います。
    まず国際原綿。ご覧の通り、世界の綿花生産は中国が29%と最大です。続いてインド、アメリカの順でございます。ブラジルは5位で6%。

    次に綿花の消費でございますけれども、圧倒的に中国が42%、これを占めております。ブラジルはわずか4%。中国の消費は年々1割ほどアップしておりまして、綿花の需給、相場は中国の動向次第ということが顕著でございまして、年々中国のウエイトが増しております。

    次にブラジルの国内原綿の状況です。綿花生産は前期比で47%増の、去年は152万トン採りました。輸出も10万トン増となりました。綿花の質はばらつきが多く、この数年間では非常に悪い方でございました。今年の生産量はですね、5%増ですね、160万トンと予想されておりまして、先物契約もかなりできておりまして、六月の新綿収穫までは相場は高値が予想されております。

    続きまして国内の綿糸の状況です。ちなみにこのグラフは私どもクラボウの販売価格であります。想定される一般的な糸価格ということでご理解いただけたらと思います。前半はレアル高によりまして非常に輸出が不振で、輸入急増となりました。通常私ども綿糸の輸出は2割から3割しておるんですけれども、昨年の輸出比率は1.7%まで落ち込んでおります。前半非常に苦戦を強いられましたけれども、先ほど申しました通り、八月頃より市況が急速に改善しまして、需要に生産が追いつかない状況となりまして現在もその状況が続いております。

    これは何回も申すまでもなく、所得が伸びて衣料の需給が増えたと、それから世界的な合成繊維やビスコース原料の高騰によりまして綿原料へ、綿糸への回帰が影響しているのではないかと思っております。2008年もまずまずの年になると予定しております。

    空紡糸でございます。空紡糸と言いますと一般に太い糸で、タオルとかTシャツ用途が多いんですけども、空気圧で糸を紡いでいる糸でございます。で非常に経済性のある糸ということですけども、空紡糸も綿糸同様の動きでございます。

    では綿糸の貿易についてご説明いたします。綿糸の輸出は約1万1,000トンで、2006年の実績を5割強下回りました。一方、綿糸の輸入は約2万1,000トンで、前年より4割増えております。2006年まで黒字だった綿糸の貿易は一挙に大幅な赤字となりまして、ブラジルの綿糸は国際綿糸市場で完全に価格競争力を失っております。我々の最大の競合相手はインド、パキスタンの糸でございます。

    次に繊維製品の貿易について申し上げます。昨年十月に衣料関税が大幅に引き上げられました。20%から35%でございますけれども、引き上げられたにも関わらず、輸入増加にまだまだ歯止めはかかっておりません。この表の通り、中国から非常にたくさん増えております。実に5割、これチャイナですけれども、半分以上が中国ということで、ものすごいカーブで中国の製品が伸びております。また密輸品も非常に増えているということでございます。今までジャケットとか婦人服の入用が大半だったんですけども、最近ではブラジルの得意とするジーンズの輸入も見られております。

    次に合繊糸です。簡単に申しますと、総量では輸出・輸入とも前年対比で伸びております。ビスコ-ス、これは光沢のある軽いつるつるした糸なんですけども、この人気は継続しておりますけども、在庫がちょっと増えておりまして、今年ビスコースが減りましてポリエステルの増加が見込まれております。

    次に薄地織物。シャツ地でございますけれども、昨年は輸入増、輸出減の傾向、これは継続しております。輸入では合繊がさらに増えております。おそらく今年も輸入増、輸出減の傾向が続くと思われます。

    では次に、ブラジル国内の紳士服地・小売り販売市場についてご説明いたします。先ほどの糸とまったく同じで、輸入増加の逆風が吹きましたけども、全体的には消費に引っ張られ、小売り、アパレル、輸入業界ともに、売上高は前年比1割から1割5分ほど増加になっております。市場はカジュアル化が進み、天然素材が好調です。小売業界は2大商戦と言われます母の日とクリスマス商戦、これがともに1割から1割5分増加しております。

    冬物在庫もまったくなくなり、まあ80%以上消化しておりまして、夏物も消化がよく、これからはじまる冬物の仕入れに期待できそうです。アパレルは輸入製品との競争が激しくなり苦戦した面はありますけれども、小売りの売り上げ増に引っ張られて、年末の品揃え受注で下半期は非常に好調でした。スーツ、スラックスメーカーも年末まで生産がフル稼働の状況でございます。

    輸入業界はドル安でコストダウンとなりましたけれども、逆に輸入税が上がりました。それから中国をはじめとする工賃の上昇で仕入値が10%から20%上がったと。で、利益を圧迫しているという報告を受けております。

    最後になりましたけども、ファスナー。完成品がどんどん入ってきていると。で、衣料国内生産が若干減っているということで、ファスナー市場の縮小傾向が続いております。輸入品ファスナーとの競争激化で数量的にはダウンしたものの、ジーンズ分野を中心に付加価値商品の販売が伸びております。若干時間が残っておりますので、ここで生産設備と生産量について簡単に触れておきます。

    紡績でございます。ご覧の通り紡績もほぼ横ばいの設備で、微増する生産量でございます。減ってはおりません。これを見ても、綿の比率が非常に高いということですね。ブラジルは綿製品を好むという国民性が伺われると思います。設備もさほど変化はございません。
    次、織物。織物もほぼ横ばいの生産量でございます。生産設備もさほど変わっておりません。はい、次。

    メリヤス。これもほぼ横ばい。若干増えておりますけども、上期は増えておりますけれども、生産量はまあ若干増えている。ここでも綿のウェイトが非常に高い、そういった特徴があろうかと思います。まああの、これを見ましても、紡績、織物、糸とも設備は減っていない、生産量も減っていないと。ブラジル繊維産業の力強さを感じております。

    終りに、まあここに書いてます通り、非常に密輸品が横行しております。繊維製品の輸入の相当量の密輸品でございます。これらの密輸品の取り締まりにつきまして、引き続き当局にお願いしたいものでございます。

    ブラジルの繊維産業は輸入増の逆風はあるものの、消費は確実に伸びております。大いにブラジルのパワーを感じております。昨年八月、日本でブラジルファッションを紹介するイベントが開かれましたけれども、中身のモデルの関心でなく、ブラジルファッションに対する関心が日本で非常に高まっております。

    日本の繊維産業の差別化商品を生産するノウハウ、それとブラジル女性のファッションセンス、美意識、これを生かして市場を創造する場が増えることを我々大いに期待しております。モデルは既に一流、ファッションもブラジルは一流になりつつあります。では最後に、皆様方にぜひブラジル産の繊維製品をご愛顧いただくことをお願い申し上げまして、私共の発表といたします。半年前は五分ほどオーバーしたので、ちょっと端折りました。よろしくお願します。以上です。

    司会:
    どうもありがとうございました。それでは質問ございませんでしょうか。それでは司会の方を宮田さんにバトンタッチさせていただきます。

    宮田:
    それでは以上で十一部会の発表が終了したわけですけども、時間いろいろ迫っている中でたいへんな準備をしていただいて貴重な発表をいただきどうもありがとうございました。それでは、このシンポジウムの最初にご紹介させていただきましたゲストの方に講評をお願いしたいと思います。初めに経済産業省通商政策局、三田米州課長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
    ちなみにカマラ、商工会議所の案内書に通商政策支局と案内されておりまして、新聞社じゃないんで何かおかしいなと思ったんですけど私冒頭それをそのまま読み上げまして失礼いたしました。

    繊維部会(レポート)

     

    繊維部会 - 発表原稿

    繊維部会 2007年の回顧と2008年の展望

    2007年の回顧と2008年の展望(1)

    0.            繊維業界の状況一言で申し上げると「薄日から雨、のち晴れ」
    年央まではレアル通貨高に起因し、輸出減、輸入超過、3年連続の暖冬などで、国内マーケットは低調だったが、低中所得者層の消費の拡大等から、需給バランスは急速に改善され、繊維産業にとってまずまずの年となった。
    2008年も、輸入品のラッシュはあるものの消費の拡大が続けば、業界全体が大きく落ち込むことは無いと推定されるし、昨年からの流れでまずまず良いスタートが切れた。原料から製品の流れに沿って説明します。
    まず、紡績にとってコスト、品質の大きな決め手となる原料事情から説明します。

    1.原綿(綿花)
    1-1.国際原綿 世界の綿花・生産量(2)
    世界の綿花生産(118百万俵)は中国が29%(35百万俵)と最大で、次いでインド(25%)アメリカ(19%)の順である。ブラジルは5位で6%である。
    世界の綿花・国内消費(3)
    綿花の消費(128百万俵)は中国が43%を占める。ブラジルは4%である。中国の消費は年々1割ほどアップしている。
    綿花の需給、相場は中国の動向次第であることが顕著であり、年々そのウエイトが増している。 

    1)            2007年の回顧
    国際綿花相場(5)
    5月半ばに46.90¢の底値をつけたが、その後、中国綿の在庫が激減しているとの確認が取れたことや投機筋も入り、綿花相場は上昇し続け70¢超となった。 

    2)2008年の展望米国農家の綿作離れ、世界経済の景気後退懸念で綿花の消費が冷え込むことも想定されるが、大豆、トウモロコシに始まったコモデテイー人気が綿花に波及しており、今後、実需筋からの買により年末には90¢相場の到来すらありうると予測する。   

    繊維原料・綿花相場(7)
    1-2.国内原綿
    1)2007年の回顧
    綿花生産は前期比47%増の152万㌧、輸出も10万㌧増となった。
    綿花相場は、R$1.15迄下落し、安値が11月末まで続いたが、綿糸の市況回復により年末はR$1.29まで急騰し、年明け後も値上がりが継続している。
    綿花の質は、バラツキが多くこの数年間では悪い方であった。

    2)            2008年の展望
    繊維原料・国内綿花(6)
    生産量は5%増と予想。先物契約が既に80万㌧(内輸出が62万㌧)
    6月の新綿収穫まで相場は高値が予想される。
    遺伝子組み換えの種については、品質の評価が定まらず普及が遅れている。 

    1.            綿糸

    国内綿糸(8)
    2-1.国内綿糸
    1)            2007年の回顧
    レアル高による輸出失調と、3年連続の暖冬で秋冬物マーケットの低調から慢性的な綿糸供給過多となり、非常に苦戦を強いられたが、8月頃より急速に回復し、需要に生産が追いつかない状況となった。
    これは景気の拡大による中低所得者層を中心とした衣料需要増大、世界的な合成繊維やビスコース原料の高騰に対する綿原料への回帰が影響している。
    綿花安=低コストのまま販売価格が上がった為、採算面は大幅に改善したため、まずまずの年となった。

    2)            2008年の展望
    クリスマス商戦において春夏物衣料品は顕著な伸びをみせ、また綿花高による綿糸先高感から、綿糸需要が高まっており良いスタートが切れた。
    ただレアル高の進行で中国からの製品輸入やインド、パキスタン、インドネシア等のアジア諸国からの輸入糸が増加しており、国内の需給バランスを悪化しかねない要因が多い。

    安価で良質な原料が確保できるか否か、めりはりのある季節が到来するのか否か。

    税制(輸入税)の動き等、変動要素が多く不安材料があるが、国内消費が確実に拡大すると見込まれる。

    国内綿糸・空紡(12)
    2-3.空紡
    1)2007年の回顧
    レアル高による輸出減、綿糸全般の価格低下による空紡糸の経済性が薄れたことで、前半は苦戦したが、好調な冬物商戦、輸入繊維品の抑制(関税の上昇と厳格な検査体制)などで市況は回復した。
    2)2008年の展望
    冬物在庫払底による太番手需要の増大、移民100年祭向けTシャツ需要拡大、地方選挙によるポジテイブな経済発展により、消費拡大に期待大。 

    国際綿糸(9)
    2-2.国際綿糸
    1)2007年の回顧 
    綿糸輸出は、10,620㌧で、2006年の実績を5割強下回った。
    一方、綿糸輸入は、21,365㌧で、前年より4割強増加した。
    2006年までは黒字だった綿糸貿易は一挙に大幅赤字となった。
    レアル高基調により、ブラジル産綿糸は国際綿糸市場で価格競争力を失った。
    輸出比率の高かった東北部のブラジル紡績(3割から5割の輸出比率)も輸出を減らし国威顧客向けにシフトした為、国内綿糸市場の供給過剰と価格下落を招いた。
    競合相手はインド綿糸で、ブラジル大手アパレルもコーマ定番糸の輸入を拡大した。
    下半期になり、国内の綿糸需要が拡大し供給過剰は解消した。

    繊維製品の輸出入(10)
    2007年の繊維製品(原料、原糸、綿織物、縫製品)の貿易はあらゆるアイテムで輸入が増加し大幅な貿易赤字となった。(644百万U$の赤字) 

    2)2008年の展望
    為替が現状のまま推移した場合、綿糸輸出は赤字採算の為、輸出を更に減らし国内向けにシフトすると考えられる。
    一方輸入はインドの定番コーマ綿糸を中心に高水準に推移されると予想される。
    輸入は、綿糸に止まらず、織編物や縫製品も増加し、国内繊維工業の操業や販売に悪影響を及ぼす可能性が高い。
    台頭する中国からの衣料輸入(11) 
    年後半より、衣料関税が上がるが、輸入増加に歯止めがかからない。近年中国からの増加が著しく、輸入衣料品の50%以上をしめる。ジャケット類、婦人服の輸入が大半だが、最近ではジーンズの輸入も見られる。 

    合繊ファイバー/糸(13)
    2-4.合 繊 [ ファイバ-/糸 ]
    1)2007年の回顧総量では輸出・輸入とも前年対比で増加となった。
    ビスコ-ス人気は継続(セルロース:柔らかくて軽い、光沢のある長い絹状の繊維)。 

    2)2008年の展望
    国内生産の規模は前年並みに推移すると見られる。ビスコースは、在庫増加の傾向があり鈍化し、ポリエステルの増加が見込まれる。
    薄地織物(14)
    3.織物
    3-1.薄地織物
    1)2007年の回顧
    輸入増、輸出減の傾向は継続した。
    輸入では合繊(婦人/紳士用)が更に増加した。 

    2)2008年の展望
    輸入増、輸出減の傾向は変わらない。
    消費の伸びで、合繊の輸入は増加する見込み。
    国内生産は、ほぼ前年並みに推移する見込み。 

    紳士服地・小口販売市場(15)
    3-2.紳士服地小口販売市場 
    1)2007年の回顧
    暖冬の連続、繊維製品の輸入増など、逆風が吹いたが、全体的にはブラジルの消費に引っ張られ、小売りをはじめ、アパレル、輸入業界ともに、売上高は前年比10%から15%増加になった。
    市場は、カジュアル化が進み、天然素材が好調で、合繊素材離れが続く。
    【小売業界】
    小売りの2大商戦(母の日とクリスマス商戦)がともに10%から15%増加。冬物在庫も7月の寒さで80%以上消化した。
    夏物も消化がよく、これからはじまる冬物の仕入れに期待ができそうである。
    【アパレル】
    輸入製品との競争が激しくなり苦戦した面があるが、小売りの売り上げ増に引っ張られ、年末の品揃え受注で下半期は好調。
    スーツ、スラックスメーカーも年末まで生産がフル稼働。 
    【輸入業界】
    ドル安でコストダウンとなったが、一方で輸入税(縫製品で20%が35%、生地が18%~26%)が上がった。
    また中国をはじめアジア地域の工賃の上昇、原油の高騰によるコストアップ等で仕入値が10%から20%上がり、利益を圧迫した。 

    2)2008年の展望
    ブラジル経済の成長と共に消費が伸びることに期待したい。

    ファスナー(16)
    4.ファスナー
    1)2007年の回顧
    レアル高から衣料完成品輸入が急増、衣料国内生産の減少が続きファスナー市場の縮小傾向が続く。輸入品ファスナーとの競争激化で数量的にはダウンしたが、ジーンズ分野を中心に付加価値商品の販売が伸びた。 

    2)2008年の展望
    通貨高による衣料全般、靴などの完成品輸入及びファスナー輸入は継続していくと見られ、市場を取り巻く環境は楽観できない。
    付加価値の高い商品の需要が増加するものと期待したい。 

    終わりに(20) 
    密輸品が横行しており、繊維製品の輸入の相当量が密輸品。
    これらの取り締まりを、引き続き当局にお願いしたい。 

    輸入増の逆風はあるが、消費は確実に拡大しており、ブラジルのパワーを感じる。
    昨年、日本でブラジルファッションを紹介するイベントが開かれ、日本で関心が高まっている。 

    日本の繊維産業の差別化商品を生産するノウハウと、ブラジル女性のファッションセンス、美意識を生かして、市場を創造する場が増えることを大いに期待したい。

  • 講評 三田米州課長

    ご紹介いただきました、経済産業省の通商政策局米州課長をしております三田と申します。本日はたいへんこのような貴重でかつ有益な機会に出席させていただき、本当に有益な話をたくさん聞かせていただきまして誠にありがとうございました。講評というようなお話ではございますが、多分あまり講評という資格がなくて、むしろ本当に勉強させていただいたと、こういうのが正直なところではあるのですけども、せっかくの機会なのでいくつかお話をさせていただきたいと思います。

    今回私、経済産業省の東京の本省から中南米室長の本間とともにこちらにうかがったわけでありますけれども、これは、当省の中でも、今後のブラジルとの経済関係を今年強化していきたい、という強い方針だということでございます。確かにここ数年間で例えば二十一世紀委員会とか賢人会議とかいろいろなご提言をいただき、かつ一番大切なのは実際のご企業の方の活動であり、それを今日うかがっても思ったのですが、次第に活性化というのか再活性化してきているということだと思いますけれども、特に私ども政策的には、日本政府として移民百年というこの機会にさらに大きな活性化した流れを作っていきたい、こういう風に考えております。

    こういう観点からどういう風に進めればいいのか是非現地の皆様の声をうかがい、あとまたブラジルの政府の担当者と昨日一日かけて話をしてきたんですが、こうやって議論して少しでも今後の検討をするために今回うかがった次第であります。そういう意味では、経済動向というのは我々東京にいて色々読んだりしてもなかなか分からないのですが、そういうことではなく、今日、まさにその現場のビジネスの本当にビビッドなお話をうかがえてたいへん印象的であったということでございます。その上でいくつか気づいた点を申し上げさせていただきたいと思います。

    まず一つは、今日最初に三つの部会から全体の経済、そしてその後で八つの部会から個別のお話がございましたが、やはり非常に安定して今成長を続けているブラジルの非常な活況ぶり、さらに言えばそのポテンシャルというのを再度認識させていただいたということでございます。今日お話のあったようにマクロ的にも、レアル高というのはあるかもしれませんけれども、かなり政治的にも安定した部分があります。

    また、私ども今東京にいるとデカップリングがどうだとかいろいろな議論になるのですけども、その影響もアジアに比べると多分限定されたという感じで今日お話にあったと思います。そういった意味で言って安定した環境がうかがえるということと、今日各部会にあって私が感じたのは、消費市場といいますか、その市場の質というのが政府の政策もあいまって非常に良くなっている。私どもいつもアジアで中国とかインドとか比較するのですが、一人あたりのGDPとか比べても大分違いがあるわけで、そういった意味でも、市場の質という意味でも非常に期待できる市場ではないかということです。

    その辺りこちらにおられる皆様は十分認識されて、むしろその中でどういう風に競争していくかというのを考えておられるということだと思いますけども、その点を我々もっと再認識してブラジルとの政策を進めていく必要があると思っております。次に、今日の議論ではあまりなかったのですが、我々ブラジルについては、これから伸びていく良質な市場という意味とともに、資源大国、これはエネルギーであったり鉱物であったり、場合によっては農業であると思いますが、まあそういった点があろうかと思います。

    さらに言うと将来的にブラジル企業とのアライアンスを組んだ形でのビジネス拠点というのですか、例えばアフリカや欧州への進出、あるいは南米市場の統合を踏まえた発展という点があろうかと思います。あるいは逆に、今私どもアジアの統合というのは一つの大きな我々の通商政策の課題になっていますけれども、そこに逆にブラジルの企業と組んでやっていくというこういうビジネスチャンスもあるのではないかと、まあ個人的には思っています。そういうことも含めてブラジルのポテンシャルというのを十分我々がまず認識することが大事かと思います。

    一方で、二番目に思ったのはまだまだ日本でそういうことが認識されていないなと。私も東京におりますと、大分最近は関心が高まってきております。さきほど総領事の話にもシンポジウムの話などありましたけれども、そういった中で関心がかなり、大分増えてきた。とはいえまだ関心があってもですね、そのビジネスチャンスなり具体的な機会につないでいないというところも十分あるのではないかと思います。

    もちろんここにおられる皆様方はむしろそういう中で出てこられて長い間歴史を作られているということであると思いますけれども、さらに日本とブラジルの間全体をつないでいくためのいろんな政策というのを進めていく必要が非常にあるなと。まさにこれは我々政府として、まあ東京とこちらの現地の両方をつなげていく政策というのを進めていきたいと、こういうように思っております。今年の一年、日系移民の百周年ということもあって様々なハイレベルの往来というのがあると思います。そういう中でもそういった認識を高め、よりビジネスの機会を増やしていくような取り組みというのをしていきたいと思ったということです。

    三番目に、もう一方で非常に感じたのは、そういった活気がある中でも非常に厳しい競争というのがあるということ。それは例えばレアル高の中での輸出ということがいろんな各業界の中でお話があったと思います。また、経済が好調な中でむしろ逆にコストが高くなっていった。あるいは国内での競争が激しくなる、あるいは輸入品との競合と、こういった様々な競争、厳しい競争の中でやっておられるのだなというのを非常に感じた次第でございます。

    その中で、もちろん基本的な市場の競争とは別に、やはりその、俗にブラジルコストと言われている、いろんなコストあるいはビジネス活動を妨げる要因があろうかと思います。今日のお話の中でも例えば税制、移転価格税制、知的財産権、社会保障、あるいは中国からの密輸の問題、通関、インフラと様々な問題点が出てきました。今回まさに移転価格税制ではかなり一生懸命されたというお話が最初に会頭のお話でもありました。

    こういう問題について、我々東京の日本政府そして現地の大使館なりそういった政府関係者、そしてあと皆様方が一緒になり、相手方のブラジルの政府に対してどう働きかけていくかという、そういう仕組みを考える必要があると思います。それは大きな仕組みとともに今度は個別の案件ごとにどういうふうに働きかけていくか、多分各論と両方あると思いますが、そういうことを考えていく必要があるんだなと言う風に思っております。現在、いくつか今私ども、個別あるいは総論で考えているものがございますので、ぜひそれを進めていきたいと、こういう風に思っている次第でございます

    これが、大きく気づいた点三つでございます。最後に多分もう一つ、それだけいろいろと前向きなことを言う中でですね、先ほどお話が出ていたエタノールの話はこちらから一言申し上げないとですね、ここで真正面に取り組んでいないというお話もあると思うので申し上げます。今回ブラジル政府関係者と会う中でも色々とお話がありましたし、ブラジル側の日本、日本の市場に対する期待の高さを伺い知ることができました。ただ、正直に申し上げれば、日本国内の関係者にも様々な思いや意見があり、もちろん私にとって理解できるものもそうでないものもありますが、いずれにしても、現時点で私が威勢よく元気なことを言えるという状況ではありません。

    とはいえ、このエタノールの話だけのために、このブラジルとの関係強化を止めていくわけにはいかなくて、むしろこういう流れがいろいろとできていく中で、より強くしていく中で少しでもこういった問題への解決というのができるように一歩一歩努力していきたいというのが今の正直な状況でございます。以上、あまり個別の話というよりは多分ちょっと大きな、抽象的な話になりましたけれども、今回このようなたいへん、四時間も、正直言って東京でもこんなに勉強できる機会というのはなくて本当にありがたく思っております。今後も引き続きよろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。

    司会:
    三田課長どうもありがとうございます。非常に前向きかつ率直なコメントをたいへんありがとうございます。それでは続きまして在ブラジル日本国大使館宮下参事官に講評をお願いしたいと思います。

  • 講評 宮下参事官

    ブラジル大使館での総務参事官をしております宮下と申します。本日はありがとうございました。参事官としてご紹介されることが多いんですけども、実は去年の夏、秋くらいから経済担当の参事官も兼任しておりますので、経済班長ということでも皆様とこれからいろいろとやっていきたいと思いますのでよろしくお願い申し上げます。先ほど三田課長の方からも申し上げましたけれども、本日このような有益な機会を設けていただきまして、非常に包括的かつ詳細にわたってブラジル経済の現状、各企業の方々が抱えていらっしゃるような悩み、そうしたものをこのように勉強させていただく機会をいただいたことに非常に感謝しております。今回の会合をオーガナイズしていただいた方々、オペレーションしていただいた方々、準備にあたっていただいた方々にお礼を申し上げます。

    先ほど三田課長の方が、基本的に講評という趣旨の中身のお話を申し上げたと思いますので、私ども大使館がですね、今年一年間こんなことを考えていて、こんなことを皆様と一緒にやりたいということをこの場で簡単にご披露申し上げてお願い方々ご説明させていただければと思います。
    言うまでもなく今年2008年は日伯交流年、移民百周年ということでブラジルに対する関心が非常に日本で高まっている時であります。余談ではございますけれども私年末年始日本に帰りまして、十年前に私のポストに携わっていた人と会ったんですけれども、その人が言うには、「いいね君はたくさんやることがあって、僕の頃はあまりやることがなくてね」というようなことを言っていてですね、羨ましがられたのかどうなのか良く分かりませんけれども複雑な思いで受け止めたんですけれども、ことほど左様に非常にたくさん今年はやることがございます。

    六月には皇太子殿下がご訪伯されるのをはじめとしてですね、今年さまざま一年間かけて様々な形の要人の訪問、往来というのが、既に決まっているのもありますし、これから徐々に決まっていくものもあろうかと思います。今の日伯関係、日伯経済関係はこのように、比較的好調かつ堅調なきざしを見せておりますけれども、こうしたものの一端になったのは、今から思えば2004年の小泉総理の訪伯と05年のルーラ大統領の日本への訪問というのが一つの、一つのきっかけとなったことは、まあ否めないことだと思います。

    私ども外務省、特に大使館、日本政府としてはですね、この2008年という得がたい機会を使って様々な形で要人の訪問をはじめとする仕掛けを作って日本からブラジルへの関心、また逆にブラジルから日本への関心を高めていきたいという風に考えております。そうしたものが今後どのような形で具体化していくか分かりませんけれども、そうしたものが具体化したあかつきには皆様方のいろいろご協力をいただくこともあろうかと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

    他方、2008年はですね、確かに日伯交流年で様々なイベントが一年間かけてここサンパウロをはじめブラジル全土で企画されていますけれども、私ども大使館としては今年の、2008年を一過性のお祭り、まあ多少お祭りがあってもいいと思うんですけれども、お祭りだけに終わらせることなくですね、今後十年、二十年なりの日伯関係、日伯経済関係の足場づくりみたいなものをですね、しっかりこの機会に固めていきたいと。まあ多少先ほど申し上げたような高いレベルの交流等を通じてモメンタムを作るということもありますけども、それだけに留まらず着実に、今までどちらかというとなおざりにされてきたような、しっかり、地道な仕事というのを大使館としてやっていきたいという風に思っております。

    昨年の官民合同会議の場でもご出席された方々はご記憶かと思いますが、大使の島内の方から大使館としても今後商工会議所、各企業の皆様、総領事館等々関係機関の方々と協力していくつかの課題に取り組んでいきたいとして、知的所有権の問題と移転価格税制の問題についてはワーキンググループを作って皆様と一緒に今年から取り組んでいきたいというような意向を表明したということを覚えていらっしゃると思いますけれども、大使館としてもですね、当のコミットメントを果たすべく今様々に準備しております。

    既に何人かの関係者の方にはご案内差し上げていろいろとお知恵を拝借していると思いますけども、ほど遠くない将来にそうした会合をまず立ち上げて、移転価格税制、知的所有権またはそれ以外の問題についても皆様からご要望のあった問題については一緒に取り組んで、政府、相手国政府への働きかけ等も含めて、しっかりとそうした地道な作業もやっていきたいという風に考えております。大使館も2008年に入りましてですね、まあささやかながらその質も強化しまして、特に経済分野の担当官の数も増えたりしてですね、多少なりとも陣容を強化させていただいているつもりでございますので、大使館にぜひ足をお運びいただく機会があればと思います。

    ブラジリアはですね、東京ほど遠くはないですけど、サンパウロからすれば多少遠くて、特にブラジリアからサンパウロを見ると、たまに田舎から出てくると非常にまばゆい思いがしてですね、何ともいたたまれない気持ちになることが時々あるんですけれども、距離の壁というのは、東京ほどではないけれどもブラジリアにもございますけれども、ブラジリアにお立ちよりの機会があれば是非私ども大使館を訪れて、躊躇することなく訪れていただければと思います。

    私経済班長の宮下です。今日また来ております経済担当の経産省から出向している吉村書記官等がですね、皆様方の窓口として務めさせていただくつもりでございますのでよろしくお願いします。冒頭田中会頭から「開かれた商工会議所」というごあいさつがありましたけれども、大使館も開かれた大使館を目指して参りたいと思いますので、是非よろしくお願い申し上げます。拙いですけれども、私のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

    司会:
    宮下参事官どうもありがとうございます。商工会議所としましても是非引き続き大使館と緊密な連絡を取っていろいろとご相談をさせていただけたらなと思っておりますのでどうぞよろしくお願いいたします。それでは、プログラムの方ではですね、特にご案内してなかったんですけれども、ブラジル日本移民百周年協会松尾執行委員長の方からですね、是非一言お話をということですので、松尾委員長に一言お願いしたいと思います。

  • 松尾治 百周年記念協会執行委員長

    皆さんこんにちは。ただいま紹介にあずかりました、百周年記念協会の執行委員長を務めています松尾治と申します。私はこの百周年協会に行く前には文協、県連におりまして、このたびは百周年に全力投球するということで一応県人会、県連から離れるようにしております。そして今年2008年、もう百周年の年に入りましたので、たいへん遅れていると、百周年事業の用意が遅れている、資金活動の行動もたいへん遅れているというふうに感じています。本日はこの、今日の部会長の勉強会に参加させていただきまして、たいへん勉強させていただきました。そしてこの15日の昼食会にも出席させていただいて、商工会議所の会員の皆様方のご協力を仰ぐようになると思いますのでよろしくお願いいたします。簡単ですが、これであいさつに代えさせていただきます。

    司会:松尾委員長どうもありがとうございます。それではプログラムの最後ですけれども、今回のシンポジウムを主催してもらった松田総務委員長に最後のあいさつをしていただきたいと思います。松田さんお願いします。

  • 閉会の挨拶 松田総務委員長

    どうも皆様長い間ご苦労様でした。実はですね、今日始まる前に平田さんから17時35分終了目標でやってくれと言われまして。今ちょうど17時45分ということで、終わってみればご講評の三田課長と宮下参事官に非常に協力をいただいたなという、我々が見ていた時間からしまして非常に簡潔に力強い発言をいただいたというのが今回のシンポジウムの一番大きな特徴であったかと思います。それで、今までのシンポジウムから、ブラジリアあるいは東京からですね、遠いところをお越しいただいたということに対しまして改めて感謝の拍手を贈りたいと思います。どうもありがとうございました。それではですね、これでお開きとさせていただきますが、この後ここの一階の方で懇親カクテルパーティーということで若干場を設定させていただいておりますので時間の許す限りよろしくお願いします。本日はどうもありがとうございました。

 

開催日:2008年2月12日(火)

会場:ソフィテルホテル

時間:午後2時から6時

 

 

 

 

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