総務委員会(伊藤友久委員長)並びに企画戦略委員会(澤田吉啓委員長)共催の2011年下期業種別部会長シンポジュウムが2011年8月23日午後2時から6時過ぎまで、インターコンチネンタル・ホテルに会場一杯となる140人が参加して開催、「2011年の上期の回顧と下期の展望」をテーマに11部会長がパワーポイントを駆使して講演した。
前半の司会は伊藤友久総務委員長が務め、初めに近藤正樹会頭が開会挨拶で会議所のメインイベントの同シンポジウムは2月と8月に開催、今年は日本企業20社が工場建設、増産設備の拡張やM&Aなどを発表してブラジルに進出、インフラ・資源案件は官民一体で協力、今日のシンポジウムは欧米経済の影響のヒントになり、経営戦略の立案に役立ててほしいと挨拶した。
トップバッターは金融部会の小西輝久部会長は上期の回顧として堅調な成長が続くも不安要素としてGDP伸び率の低下、インフレ圧力、金利の上昇、レアル高による輸出競争力の低下、株価の低迷、マクロ・プルーデンス政策による金融引締めや延滞率の上昇、下期の展望として消費拡大ペースの鈍化、利上げサイクルの終焉、欧州ソブリンリスクの上昇、レアルの為替の高止まりなどを挙げた。
コンサルタント部会の都築慎一部会長は暫定法540号並びに541号/2011による「ブラジル マイオールプラン」の目的、手段、主要政策、税制恩典の要約、社会保険負担軽減措置、日系企業の新規ブラジル投資に関する留意点、M&Aにおける留意点、ブラジル投資進出時の問題点や人事採用の留意点などについて説明、自動車部会の中西俊一部会長は、二輪点四輪の販売台数の推移、IPI税の推移、二輪・四輪車の生産の推移、販売形態、メーカーの投資計画、韓国車の販売推移、インポートライセンス発給問題などについて説明した。
電気電子部会の筒井隆司副部会長は家電販売を牽引するCクラス、上半期の家電製造状況、消費者与信の延滞率の推移、家電小売業の寡占化の影響並びに業界の対抗策、家電製造事業環境の変化と展望などについて説明、機械金属部会の西岡信之部会長は鉄鋼、電力・社会インフラ、プラント機器、建設機械、産業用圧縮機、農業機械、各種工具・計測機器並びに潤滑油セクターの上期の回顧として昨年後半の過熱経済の勢いで年頭は好調に推移、しかし徐々に政策誘導金利の引上げで消費が抑制、下期の展望として高金利政策・消費抑制政策の継続、社会インフラ・プラント機器の計画の具体化で入札・発注増加などを説明した。
コーヒーブレークを挟んで後半の司会は澤田吉啓企画戦略委員長が務め、初めに貿易部会の伊藤友久部会長は主要品目、カテゴリー、地域別の輸出入、対日貿易、対内直接投資の推移やセクター別投資額、上期のトピックスとして輸出入ともに増加、一次産品の輸出比率の増加、下半期の展望として一次産品の輸出好調の維持、輸入品の国内製造業に与える影響、好調な対内直接投資、インフラ整備などの特需の高水準の維持などを説明、化学品部会の大澤 巌部会長は写真・デジカメ、筆記具、化粧品、一般用医薬品、家庭防疫薬、農薬、種子、飼育添加物などのセクター別の業績並びに下期の展望、東日本大震災の影響、レアル通貨、人件費の高騰、インフレ、高金利の影響などについて説明した。
運輸サービス部会の岐部ルイス部会長はインフラ不備の物流業界、レアル高による為替で好調な国内外の航空業界、輸入増加のコンテナ船、IT業界ではサーバーの仮想化、業務アプリケーション、上昇するEコマース、人件費と人材不足、急を要する空港インフラ整備などを説明、繊維部会の岡田幸平部会長は金、原油、綿花、トウモロコシ並びにコーヒーのコモディティ価格の変動と推移、綿花相場の大幅な変動、レアル高に伴う輸入製品の席巻、過剰在庫の削減、価格転嫁、業界の陳情としてインド輸入糸に対するアンチダンピングの提訴、アジアからの急増する輸入製品に対するセーフガード、国内繊維産業へのインセンチ-ブなどの連邦政府への働きかけなどについて説明した。
建設不動産部会の大滝守部会長代理は今年と昨年の月間労働者の推移、主な建設資材の価格推移、セメント販売、主要都市の住宅販売件数、建設廃材リサイクル法のコストアップへの影響などを説明、食品部会の天野一郎部会長は日本からの食品輸入に関する手続きフロー、産地証明書発行、コーデックス規格、規制対象の12都県、セクター別輸出動向、原料動向、レアル高の輸出環境の悪化、原料相場の収益悪化の影響などについて説明した。
講評は在ブラジル日本国大使館の金子創一等書記官が8月8日の第5回貿易投資促進合同委員会開催は遠隔地サルバドール開催にも関わらず、大成功裏に終了したことに対して三輪大使、岡田経済産業省経済産業審議官から近藤正樹会頭はじめ会議所関係者への感謝を伝え、またヴィザや移転価格税制に関する日本側の意向がよく伝わったことなどを説明、また大使館並びに総領事館が今後も一層、ビジネス環境整備でサポートすることの述べ、閉会の辞では澤田吉啓企画戦略委員長がすでに商工会議所サイトでのプレゼンテーションの掲載、会員外の参加が少ないので、知人などを誘っての参加依頼、また今回は会場一杯の参加者であるために、次回はもっと広いところでの開催予定を説明、素晴らしいシンポジウムは定刻予定時間で終了した。
開催挨拶を行う近藤正樹会頭(fotos Rubens Ito/CCIBJ)
左から後半の司会を務めた澤田吉啓企画戦略委員長/前半の司会を務めた伊藤友久総務委員長
前列は部会代表の発表者
前列は部会代表の発表者
左から在ブラジル日本国大使館の金子創一等書記官/近藤正樹会頭/サンパウロ総領事館の小林雅彦首席領事
熱心に講演者の話に耳を傾ける参加者
会場一杯の140人が参加