2019年下期の業種別部会長シンポジウム

2019年下期業種別部会長シンポジュームテープおこし記事掲載

2019822日、インターコンチネンタルホテル)

テーマ:「2019年上期の回顧と展望」

副題:「内外の環境変化にどう対応するか」

発表順序:(発表者および発表順は必要に応じ変更の可能性も御座いますので予めご承知おき下さい)
前半の司会: 讃井慎一(さぬい しんいち)総務委員長
13:00~13:05    開会挨拶     村田 俊典 会頭
    
13:05~13:35    ①  金融部会    津田 双羅(つだ そら)    部会長         (ブラデスコ)
13:35~14:00     ②  貿易部会    猪股 淳(いのまた じゅん)    部会長    (伊藤忠)
14:00~14:25    ③  機械金属部会    山田 佳宏(やまだ よしひろ)    部会長     (三菱重工)
14:25~14:50     ④  自動車部会    下村 セルソ(しもむら せるそ)    部会長    (トヨタ)
14:50~15:15     ⑤  コンサルタント部会     吉田 幸司(よしだ こうじ)    部会長     (KPMG)
xxxxxxxxx コーヒーブレイク (15分) xxxxxxxxxxxx    
後半の司会: 大久保 敦 (おおくぼ あつし)企画戦略委員長
15:30~15:55     ⑥  化学品部会     村松 正美(むらまつ まさみ)    部会長    (PILOT PEN)
15:55~16:20     ⑦  電機・情報通信部会    髙田 正純(たかた まさずみ)    部会長    (NEC)
16:20~16:45     ⑧  食品部会     佐々木 達哉(ささき たつや)    部会長    (味の素)
16:45~17:15    ⑨  運輸サービス部会     湯原 慶(ゆはら けい)    副部会長     (日本郵船)
17:15~17:45    ⑩  生活産業部会(建設不動産・繊維)     今川 尚彦(いまがわ なおひこ)    部会長    (戸田建設)
17:45~17:50       講評    野口 泰(のぐち やすし)総領事    在サンパウロ日本国総領事館
17:50~17:55       閉会の辞    讃井慎一(さぬい しんいち) 総務委員長            

各部会発表資料掲載

Pdf  金融部会    津田 双羅
   Pdf  金融部会 フェルナンド・オノラット・バルボーザ
Pdf  貿易部会    猪股 淳
Pdf  機械金属部会    山田 佳宏
Pdf 自動車部会    下村 セルソ
Pdf コンサルタント部会     吉田 幸司

Pdf  化学品部会     村松 正美
Pdf  電機・情報通信部会    小渕 洋
Pdf  食品部会     佐々木 達哉
Pdf  運輸サービス部会     湯原 慶
Pdf  生活産業部会     今川 尚彦

   Pdf ALL Presentation

 

前半司会

讃井慎一郎 総務委員長

                             

 皆さんこんにちは。いま定刻の1時になりました。ほぼ皆様おそろいでいらっしゃるようですので、定刻通り始めさせていただきたいと思います。ご着席の方をお願いいたします。

 では改めまして、こんにちは。時間になりましたので、本年度、2019年度下期の部会長シンポジュームを始めさせていただきたいと思います。私、本年度カマラで総務委員長を仰せつかっています、みずほ銀行の讃井でございます。よろしくお願いいたします。前半司会をさせていただきまして、後半はですね、隣におられますジェトロの大久保さんにバトンタッチをさせていただきたいと思いますので、長時間になりますけどもお付き合いいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは早速ですが、冒頭にですね、ブラジル日本商工会議所村田会頭より開会のお言葉を頂戴したいと思います。村田さん、よろしくお願いします。

 

開会挨拶

村田俊典 ブラジル日本商工会議所会頭

                             

 皆様こんにちは。開会に当たりまして、私の方から一言ご挨拶を申し上げたいと思います。今日は、まだちょっと総領事いらっしゃっていませんけれども、野口総領事がいらっしゃいまして、ブラジリアの大使館の方からはですね、濱坂参事官、塩野書記官がいらっしゃっておられます。また後ほど講評をいただくということになっていますのでよろしくお願いいたします。

 それから、昨年の下期の部会長シンポジュームで在外日本人商工会議所の活動というテーマで基調講演を行っていただきました城西大学の川辺純子副学長と、ご主人であられます早稲田大学川辺信雄名誉教授にもご参加いただいています。大変ありがとうございます。

 さて、ボルソナロ政権がスタートしてですね、8カ月が過ぎたところでございますが、年金改革法案が下院で可決されるなど良いニュースもございますけども、依然として低迷する景気や、高いレベルでの失業率などを背景に、環境は依然として厳しく、我々会員企業はですね、経営の舵取りに苦労を重ねている日々だと私も推察しております。

 この部会長シンポジュームは、我々会員企業がですね、部会横断的に情報を共有して経営に役立てるという大きな意味をもっております。各部会におかれましては、事前準備も含めですね、たいへんご協力いただきまして、ありがとうございます。

 我々を取り巻く環境は、ブラジルの、先程申し上げました政治・経済情勢に大きく影響を受けるのはもちろんのことでございますが、イノベーション技術をはじめとした新しいビジネスの台頭、および旧来型ビジネスの終焉など、ビジネスモデルの変化も見落とせません。

 また、世界を見回しますと、米国と中国の貿易戦争、日本と韓国の問題、それから近場ではですね、アルゼンチン選挙の行方など、ジオポリティカルな問題が湧き起こっているという環境にあると思います。また、6月末に締結されたメルコスール・EUのEPAが我々会員企業に与える影響もですね、無視できないと思います。

 今日は、このような環境変化にどのように対応していくかというテーマでですね、各部会の皆様に発表をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 なお、先日行われました日伯経済合同委員会では、日・メルコスールEPAに向けた共同声明を署名し、昨日経団連日本ブラジル経済員会の飯島委員長より菅官房長官に建議書を提出していただいております。これもですね、我々商工会議所が一丸となって動いた成果の一つでもあると思いますし、これからも早期締結に向け引き続き努力を重ねていきたいと思っております。皆様のご協力をよろしくお願いいたします。

 簡単ではございますが、開会の挨拶といたします。よろしくお願いいたします。

司会

 村田会頭ありがとうございました。副題等々にご紹介いただきました通りですけども、やや不透明な状況でですね、10の部会から活発なご発表をいただきまして、質疑も含めて皆様にご参加いただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは順に、プログラムにそってですね、ご発表をいただきたいと思います。まずは金融部会様からの発表をお願いいたします。こちら、津田副部会長に加えまして、特別にブラデスコ銀行のチーフエコノミストのフェルナンド・オノラット様にもお話を頂戴できるというふうにうかがっておりますのでよろしくお願いいたします。30分でお願いいたします。

 

 金融部会

津田双羅 副部会長

                           

 皆さんこんにちは。金融部会副部会長を務めておりますブラデスコ銀行の津田でございます。本日はご多忙の折お集まりいただき、誠にありがとうございます。私からはシンポジュームのテーマでございます「2019年上期の回顧と下期の展望」を念頭に、ブラジル経済動向、銀行業界動向、保険業界動向について簡単にご説明をさせていただきます。また、本日はブラデスコ銀行チーフエコノミストのフェルナンドを招いております。私の発表の後、フェルナンドより今後のブラジル経済動向について詳しくご説明を申し上げます。

 一つ目のスライドです。金融部会メンバーによる各種経済指標に関する2019年、2020年の予測数値を纏めております。前回の予測値とは、GDP成長率と政策金利の2点が大きく異なっております。

 まずGDP成長率ですけれども、前回2月のシンポジュームの発表時点では2019年が2~2.8%、2020年が2.5~3%と、各行とも成長の加速を見込んでおりましたが、今回の予測値では2019年が0.8~1%、2020年が2~3%と、若干の下方修正をしております。緩やかな景気回復局面との見方は不変ではございますが、年金改革を含め新政権の各種政策の実効性が不透明な中、消費・投資ともに力強さを欠いたことに加え、ダムの決壊事故や米中貿易摩擦といった内外の逆風が想定以上に影響した結果と考えております。

 続きまして、年末の政策金利ですけれども、こちらも、世界経済成長の減速や、それに対応するための欧米を中心とする主要国の緩和的な金融政策、並びにブラジル国内の経済成長率、インフレ率の伸び悩み等々を鑑みまして、ブラジルでも更なる金融緩和が想定され、2019年は5~5.5%、2020年は5~6%程度を予想しております。

 続きまして次のスライドでございます。こちらのスライドは金融部会の各社の今後の見方についてコメントをサマリーしたものです。アンケートの内容は前回同様、ブラジル経済に影響を与える内外の要因は何か、また今後どのように変化していくことが予想されるかという点です。

 まず1項目目の、ブラジル経済へ影響を与える内的な要因は何かという問いへの回答ですけれども、こちらは前回と同様、構造改革をどこまで実行に移せるかという点がポイントという点で意見が一致しております。ブラジルは政府主導から民間主導へと経済モデルの変革の過渡期にあると考えておりますが、構造改革を着実に実行していくことが、内外の信認を取り戻し、本格的な個人消費の回復や企業の投資活動の活発化等の民間の活力回復へと繋がるものと考えております。先般の年金改革の議論の進展は係る意味でも意義深いものであったと捉えております。

 では、続きまして外的な要因は何かという問いですけれども、こちらはどちらかというとネガティブで、国際社会の不透明な状況というのは2019年以降も引き続き続くことが想定され、ブラジルへの影響も避けられないリスク要因と考えております。特に米中貿易摩擦、アルゼンチン情勢はブラジルへの影響も大きく、特に注意が必要と考えております。

 最後の項目は、短期、中長期の夫々の時間軸でブラジル経済がどのように変化していくと考えられるかという問いかけですけれども、こちらは、短期的には引き続き内外にリスクを抱えつつも、各種構造改革を着実に進めることで、ブラジルの将来への内外の信頼を取り戻すということが考えられると思っております。足元の年金改革に関わる一連の議論の進展は、政権が掲げる各種構造改革の実現可能性への期待を高めるという意味でも意義があり、本格的な経済回復への切欠となる可能性もあると考えております。

 また、中長期的には、各種構造改革そのものによって、産業の競争力が向上し、持続可能かつ強靭な経済へと変化していく可能性もあると考えております。

 続きまして、銀行業界動向です。まず貸出残高の推移ですけれども、2019年上期の個人向け貸出は、引き続き緩やかな回復基調、法人向け貸出は鉱工業セクターの資金需要が若干弱含み貸出残高が減少しております。

 次のスライドは業界全体における平均貸出利鞘の推移になります。足元、個人向けは、クレジットカードの分割払い等の資金需要増加により若干利幅が拡大しておりますが、法人向けは、2017年以降は政策金利の引き下げや、金融機関による審査の厳格化、クレジットポートフォリオの改善等を背景に、貸出利鞘は縮小傾向にございます。政策金利の低下とも相まって、法人様の資金調達コストという点では過去最低水準となっていると思います。

 続きまして不良債権比率。2017年6月以降は景況感の回復に伴い企業業績も改善に向かい、法人向け、個人向けともに不良債権比率は改善傾向にございます。不良債権比率の低下により、金融機関の貸出余力が出ており、各行とも引き続き積極的な融資スタンスを取っていることがうかがわれます。

 なお、スライドにはございませんが、2016年以降公的金融機関の貸出シェアは一貫して減少しておりまして、2016年時点では45%以下でございました民間金融機関のシェアが、足元では50%を超える水準まで増加しております。ブラジル経済のエンジンとして民間の役割が拡大している事がこういったところでも確認できるかと思います。銀行業界といたしましては、引き続き信用創造を通じてブラジルの発展に貢献して参りたいと考えております。

 続きまして保険業界です。2019年上期の保険市場の動向についてご説明いたします。まず保険料収入ですけれども、保険市場は2016年の1.5%を底に、2017年は4.2%、2018年は6.6%の成長を実現してきました。2019年上期も、5.5%と少し鈍っておりますが、なお成長トレンドにあると言えます。

 次のスライドで保険種目別にご説明いたします。ご覧の通り、自動車保険を除きますと、いずれの種目も二桁、または二桁に近い高い成長を維持しております。一方で自動車保険につきましては、強制保険であるDPVATの保険料率の引き下げを主因として、8.3%のマイナス成長という結果になりました。ただし、この強制保険を除いてみましても、自動車保険の成長はほぼ0%と、競争環境の激化や代替市場への契約流出等の影響が大きいことがうかがわれます。

 次のスライドは保険種目別の損害率のデータです。全体では損害率が50.4%と前年同期で3.3%悪化しております。保険種目別でみますと、自動車保険はブラジル全土における治安状況の改善により車両盗難が減ったことを主因として、損害率が2.2ポイント改善しました。一方で他の保険種目では、2018年に比べて今年の年初は降雨量が多く、水害が多く発生したこと、また昨年の5月はトラック業者のストライキがあり、物流が停滞したことの反動等により、損害率は大幅に悪化しております。

 最後のスライドですが、今後の保険市場の成長見通しについてご説明いたします。2019年のブラジル保険市場は損害保険、生命・傷害保険ともに引き続きプラス成長が予測されていますが、ブラジル経済の全体の成長鈍化、また競争環境の激化を要因として、年初予想から大きく下方修正されております。一方でブラジルにおける保険の普及率は日本や欧米に比べると低い状況にありますので、中長期的には中間所得者階層の増加により保険市場はまだまだ成長余地が大きいと考えています。

 本シンポジュームの副題の通り、ブラジルの内外環境は変化の途上かと思います。かかる変化に適応し、機会として活かすためには、歴史に学びつつも、固定観念に捉われず、今起きていることを冷静に分析し、柔軟かつ迅速に戦略を組み立てて実行に移すということが重要と考えております。この後のフェルナンドの発表が、少しでも皆様のブラジルの環境理解、更には事業のご発展のお役に立てますと幸いと存じております。

 私の発表はこちらで終わります。ご清聴いただき誠にありがとうございました。

 

フェルナンド・オノラット ブラデスコ銀行チーフエコノミスト

                        

 皆さんこんにちは。本日このシンポジュームでお話しできることを嬉しく思います。経済シナリオについてお話しできることを光栄に思います。私どもブラデスコにとって、日系コミュニティとの関係はとても深く、私は特に、個人的に、皆さんの文化、歴史に大きな敬意を感じています。日本語で話すことはできないため、本日はポルトガル語で話し通訳されます。ご出席の皆さんに感謝します。こちらでお話しできることを誇りに思います。

 皆さんがお持ちの印刷された資料はこの発表のより完全な資料ですが、時間の関係があり、20分に限られていますので、発表はより短いバージョンとなります。そのため画面でご覧になる資料では記載されていない部分があるかもしれませんし、発表の順番も必ずしもお手持ちの資料と同じではありません。

 最初に申し上げることは、ブラジルは今日、数十年単位で最も大きな経済的変革の時期にあるということです。現在ブラジルで進んでいる経済政策の変化が、この国を我々がこれまで慣れた国から今後の数年間で新しいブラジルへ変える変化だと認識することは大げさなことではありません。

 主要な変更は公的部門と民間部門の関係に見る事ができます。過去数十年のブラジルは経済における大きな公的支出に慣れていました。民間部門は常にそれについていく存在で、プロセスの主導的位置にありませんでした。ボルソナロ、パウロ・ゲデスによる新しい経済政策は、実際はテメル政権の時に始まったものですが、経済における公的部門の規模を減らし、民間部門を発展させることを提案するものです。それが新たな経済の本質です。

 それは意思決定がありその結果になったのではなく、ブラジルの巨大な財政不均衡の結果として意思決定がなされたものです。日本の公的債務も大きい数字ですが、ブラジルのGDP比70%という債務は新興国としては大変大きなものです。この公的債務によってもたらされた成長の限界が、汚職や不適切な資本配分を生みだしてきた公的部門主体の経済モデルから、民間部門が成長のリーダーになるためのモデルへ変える意思決定を導きました。そのために重要な最初のイニシアチブがテメル政権の2016年に定められた歳出上限でした。過去30年間、年にインフレ率を6%上回っていた公的支出は、今後20年間インフレ率のラインでの増加率、つまり実質的に年0%の増加率となります。皆さんグラフでご覧のように、4年間増えておりません。

 しかしながら歳出上限を設けながら持続可能な成長を実現する為には、社会保障制度改革が必要です。社会保障制度改革法案は下院で承認されたばかりで、我々は10月に上院で最終段階を終えることを期待しています。私はいつもこの比較を挙げるのですが、ブラジルは社会保障に日本と同じくらいの支出をしてきました。法案がまだ承認されておりませんので、今も支出しているということです。我が国の人口に占める高齢者の割合は日本の3分の1であるにもかかわらずです。ですから我々は社会保障制度改革を必要としてきました。ブラジルはGDP比で日本と同じ割合の支出をしてきたのです。

 改革がなされれば、国の公的債務に関するあらゆるシミュレーションで、債務の低下傾向が確認出来るでしょう。これは、以後の話の中で、投資格付けに関して話す際に肝心なことです。歳出上限と社会保障制度改革は、ブラジルを再び返済能力のある投資適格な国へ引き上げる可能性が有ります。公的債務の減少の見通しが立てば、十分実現可能です。

 その一つの結果として、客観的な債務削減の見通しは、ブラジルの金利を考える上で大変重要な変化です。皆さんご存知のように、ブラジルは歴史的に世界で最も金利の高い国でした。昼食で津田さんと、どれだけの日本の個人投資家がオリンピックやワールドカップに先立つ時期に資金をブラジルに投資したかに関して話しました。一つの要因は、ブラジルが世界で最も高い金利を払っていた国の一つだったからです。海外からの投資は良いことですが、高金利のみを理由にした投資は、我々の経済にとっては必ずしも良いこととは言えません。過去数年の深刻な景気後退に苦しんだ経済に伴って政府の支出が減る中で、ブラジルにおける金利は大きく下がりました。10年物の名目金利で年約14%のレベルを抜け出し、現在では7%のレベルまで下がり、表の一番下の段にある新興国の平均の水準となっています。この金利環境は、現政権の戦略の基礎となるものです。国による信用供給の柱の一つであるBNDESが、ブラジル経済における重要な存在であることを少しずつやめようとしています。替わりに、民間銀行と資本市場がブラジル経済に資金を供給しなければなりません。それには市場金利が低くなり、BNDESで利用されていた様な補助金等が必要無くなってこそ可能となります。その為、金利の低下は意味があるのです。 ご参考迄にブラジルの30年間の実質金利を示します。2050年の実質金利は過去最も低い3.5~3.7%です。

 我々が予想する金利の低い経済における主要な結果は、公的部門主導の信用供与から、民間部門主導の信用供与への変化です。例えば新興国を見た場合、クレジットに関してブラジルはGDP比70%で、新興国全体の半分の水準です。これは、ブラジルが高い金利環境の中、公的部門が信用供与を主導していたことが背景となっております。低金利の環境下、民間部門からの信用供与を拡大する余地は、特に資本市場で大きくなります。皆さんの会社でも、この流れは理解しておいた方が良いでしょう。なぜなら、資本市場はこれから数年間に際立った形で進展していくからです。

 ブラジルが斯かる構造的な変化の局面に入る中で、経済は既に幾つかの回復の兆候を示していることを述べたいと思います。これらの兆候は未だ控えめで、経済はゆるぎない形では成長しているとはいえません。私たちは2014年から2018年の間、ブラジル史上最悪の景気後退の中にありました。この間、国民一人当たりの所得は10%縮小しました。経済学的な観点からは、ほぼ不況とみなされていました。これはブラジルの経済政策の失敗の産物であり、世界の経済環境に責任があるものではありません。ブラジルの経済政策の間違いの結果でしたが、その間違いは16年より正され始めました。この間違いを正し始めた時、雇用が創出され始めました。雇用は17年の8800万人から、ほぼ9400万人となりました。この期間にほぼ450万の雇用が創出されました。これらの雇用は多くの場合非正規で、質の良いものとは言えませんが、少なくとも何らかの所得を産み出しています。現在、失業率は下がっていません。なぜなら新たな労働者、若者が労働市場に入ってきているからです。

 しかし、グレーのラインつまり雇用創出の変化は、企業に大変興味深い示唆があります。それは、GDPの60%を占める国内消費の先行きを図る主要な指標と考えられるからです。皆さんご覧の通り、失業率は一定の状態にあります。12.7%です。我々は、就業意欲を喪失した人を合計すると25%程度になると見ています。しかし、皆さんが失業率を見る際、労働参加者が増えていることも勘案し、この期間にも雇用が生み出されているという視点を失ってはなりません。雇用の創出は個人の所得向上に繋がり、個人消費の拡大が期待出来るでしょう。また、企業の観点から見ると、高い失業率は、敢えて直接的な言い方をするならば、給与を抑えた状態で労働力を保つというプラスの効果もあるでしょう。費用の観点からは、給与面で大きな引き上げ圧力がなく事業拡大が出来る環境は、この場におられるブラジル企業、日本企業が高い競争力を保つために重要なことです。

 また、家計、企業の債務が減少していると報じられています。2016年には、経済回復のための大きな逆風、大きな問題は企業、家計の債務の水準でした。足元では過剰債務の問題はなくなりました。銀行は、新規に信用供与する準備ができています。なぜなら、企業でも家庭でも債務の水準が大きく下がっているからです。実際に信用は拡大し始めています。グレーのラインを見ると、過去12カ月間の企業に対する信用は名目で約15%拡大しています。この企業の信用拡大の重要な部分は、金融市場ではなく資本市場から来ています。その下の、14%近く増加している個人向けの信用拡大は、不動産関連のクレジットに大きく基づいています。これはブラジルにとって大変重要なニュースです。なぜなら、今日のような低金利の環境下であれば、住宅購入へのクレジットは今後数年間で大きく伸びることが期待されるからです。事実、現在の水準である6%の低い金利であれば、ブラジルの500万の世帯が不動産のクレジット、更にはモーゲージまで得る事が可能になります。

 青い線の小売売上を見ても分かると思います。これはクレジットに結びついており、グレーの線は収入、雇用により結び付いていますが、クレジットに依存する部分はすでに改善しつつあります。雇用の増加はわずかであるため、収入に結び付いた部分の改善は緩やかですが、どちらも今後数年間で増加していくでしょう。先程お話しした、我々が大変期待している不動産部門は、例えばサンパウロにおける不動産販売のデータで、サンパウロにおける住宅のストックは減少していることが確認出来ます。サンパウロは今日不動産部門において最も活発な都市であり、それゆえこのグラフを用意しました。

 最後から2番目となる、市場についてお話しします。市場はすでに、2016年に始まった構造改革のアジェンダに関連してブラジルの評価を上方修正しております。一番右の棒グラフのカントリーリスク、CDSをみると、ブラジルの今日のカントリーリスクは、ブラジルが投資適格の格付けを得ていた2007年から2014年の期間、左から2番目と同じ水準となっています。市場は既に、ブラジルが投資適格国であり得ると見ています。これはとても重要なことです。

 実際に、一番右のブラジルの外的なリスクに関する指標をみても、ブラジルの対外債務は低く、外貨準備の水準も高く、経常赤字も低くなっています。つまり、全ての指標が、我々の経済の外的リスクが、我々より信用の格付けの良い他の国よりも良いということを示しています。ブラジルの国の信用格付けは上げられる日も遠くは無いと考えます。メキシコと比較すると、ブラジルのリスクはメキシコより年わずか10ベーシスポイント(0.10%)高いだけですが、ブラジルの信用格付けはメキシコより5段階下となっています。我々は、上院で社会保障改革法案が承認された後、今年中にもブラジルの格付けの引き上げの可能性も有ると想像しています。経済成長の回復が順調に進めば、来年末までに次の格上げ、また現大統領任期の最終年が近くなる頃に、ここでご紹介する様な諸改革が進めば更なる格上げもあるかもしれません。市場は確実にこうしたブラジルの改善を先取りしています。ブラジルの株式市場は過去12カ月間で、私がご紹介したような見通しに関連して最も大きく上昇しています。

 また為替は、ブラジルは新興国の中で最も発展した為替市場を有しています。より大きな奥行きと流動性があります。ですから、世界にボラティリティがあれば、それは他の新興国の場合よりも大きな割合でブラジルレアルへ影響します。それゆえ現在は1ドル4レアル、4.05レアルとなりました。また、ブラジルの金利が大きく下がったことも有り、ブラジルの通貨に対する関心が低くなっていることも影響を与えています。然しながら、我々としては国際的な経済環境が正常化し、ブラジルの成長が再び力強さを取り戻せば、ブラジルレアルは現在の新興国の平均からシュミレーションされる1ドル3.60レアルのレベルに戻ると予想しています。

 発表時間は残り5分となりました。ここで構造改革のアジェンダについてお話しします。ブラジルは現在、民間部門が主導する経済成長モデルへの変革期にあります。民間部門が積極的な投資へと舵をきるには、政府は社会保障制度のみならず、その他の改革を進める必要があります。

 私はよく社会保障制度改革は財政の崖から我々を遠ざけるものだと言います。社会保障制度改革はFiscal cliffという大きな崖からの転落を避ける為に必要な改革ですが、それ自体が必ずしも国を成長軌道に乗せるものではありません。ブラジルを成長軌道に乗せるのは、低金利、生産性の改善を促す改革、そして疑いなく、民間部門からの投資を促進する改革アジェンダです。

 これらの改革のリスト全てを話すことは時間の関係で出来ませんし、本日の私の目的ではありません。スライドには、ビジネス環境改善を見据えた改革の一環として、コンセッション、民営化に関するものを示しています。ブラジルは世界で最も閉鎖された国の一つですが、ブラジルは大いに経済を開放したいと望んでいます。商工会議所会頭の最初のお話にもあったと思いますが、私は日本語は解しませんが、メルコスール、EUということは分かりました。先のメルコスール・EUのEPAはブラジルのビジネス環境にとって非常に重要な契機と考えます。我々は我々の経済を開放することを望んでいます。

 その他、需要の拡大や財政の改革もあります。より広範な改革が必要となります。私はよくこのように言うのですが、「紙はいかなる情報も受け入れます。それらを紙から取り出し、実行に移すことが必要だ」と。私はまた、このように言いたいと思います。「国会や政府をみると、現在は過去数十年の中で、ブラジルが改革へ進むうえでも最も好機に有る」と。改革の幾つかが進めば、需要を刺激し、拡大に転じることが期待出来ます。

 冒頭、ブラジルの長期金利が既に大きく下がったことを示しましたが、短期金利は更に下がるでしょう。なぜなら、インフレが中央銀行のインフレターゲットの下限より低い状態だからです。現在6%のSelic金利は5%まで下がると我々は推定しています。金利が4%まで下がると言うことは、非常識でも不可能でもないと言えるでしょう。金利は今年中にも5.5%、来年には5%以下まで下がる可能性があります。それは、消費者や企業に大変重要な構造的変化を産み出します。これらはもちろん改革の行方次第です。ブラジルはまだ低金利を確立していませんが、その調整に向けて歩んでいます。

 国会で今後数カ月の間により多くの時間を要すると我々が考えているのが税制改革です。全ての詳細に触れる時間はありませんが、基本的に税制改革は、消費と財産にかかる税金を簡素化するものです。ブラジルは漸く付加価値税、Vat Taxを持つことになるはずです。それは、州と企業の間の税務戦争、混乱を終わらせることに役立つでしょう。法人税の引下げという一つの柱があります。その為に政府は資金源が必要です。所得税金が下がるという柱も考えられます。今後12カ月間にブラジルで行われる議論に注目する必要があります。なぜなら、現時点で詳細は決まっておらず、議論に多くの時間が要するものの、着実な進展が期待されるアジェンダだからです。税制改革は、税金を簡素化することで競争力を得るという点で、ブラジルに有意義なものです。税制改革は税負担の水準を減らすことではありません。制度を簡素化することです。しかし、簡素化することで国は企業へ競争力のある経済環境を整え、例えば貿易の開放等のアジェンダで企業が多国との競争で苦しまないで済むような道が開かれます。

 民営化のアジェンダについては、ブラジルは、道路や港湾、鉄道、空港といった分野で約2000億レアル相当の資産を今後4年間で民営化するでしょう。とても大きなアジェンダであり、需要を後押しするために重要なアジェンダです。なぜなら政府は歳出上限が有る中、十分な投資することができません。民間部門がこれらの民営化によって行うことになります。

 貿易の開放は、既にお話ししたように、今後数年間で拡大し、経済が開かれていくでしょう。メルコスールとEUのEPAだけでなく、その他の相手とも交渉が纏まりつつあります。ブラジルは世界で最も閉鎖的な国です。我々は貿易開放を通じて投資を呼び込む必要があります。それは現政権の改革アジェンダを通じて目指している基本的な方向性に合致しております。

 これらの改革により、我々は、ブラジルの経済成長率は2から2.5%に回復すると推定しています。これは、コモディティの景気がブラジルの経済を後押しした最も良い時期を除いた過去の平均を少し上回る数値です。2.5%の成長を想像することは大いに理にかなっています。

 最後にリスクについてお話しします。国際経済/社会の不確実性に伴う、世界経済成長の還俗はブラジルのGDPを引き下げる可能性があります。現時点では予見できませんが、今日の主要なリスクです。また、ブラジルの官から民へ経済の成長ドライバーを変化させる構造改革が、ブラジルの経済成長へ一時的にフラストレーションを産み出すリスクがあります。

 また、皆さんの企業はブラジル国内の州と直接的に関係しています。州は財政的に大きな困難にあります。我々は中期的にはリスクだとみています。大きなものではありませんが、一つのリスクです。政治的なボラティリティのリスクは常にあります。我々は監視する必要があります。

 また、疑いなく我々を妨げるのが、ブラジルの低い教育水準、生産性、技術力です。二つのグラフをお見せします。右は2015年の世界におけるブラジルの算数の試験の成績です。ブラジルは最も低い国の一つで、ブラジルより貧しい国と比較されるレベルでした。ビジネスがし易い国のランキングでも、例えばメキシコより低くなっています。この中で日本は2番目でした。

 また、例えば経済におけるロボットの比重をみても他の国々よりずっと低くなっています。ブラジルは技術を僅かしか取り入れていない国と言えるでしょう。

 最後のスライドになります。我々の見通しです。建設的と考えられるシナリオを共有したいと思います。まだ不確実性は残る道のりですが、我々は、ブラジルが外国の投資家、ブラジル国民、雇用の創出、そしてもちろん経済全体のために良い見通しをもたらすことができる転換点にあると思います。ありがとうございました。

司会

 津田部会長、あとオノラット様、たいへんありがとうございました。よろしければご質問を受け付けたいと思いますけれども、ご質問のある方、挙手をいただけますでしょうか。よろしいですか。

 金融部会、最初のご発表ということで、マクロ経済の状況ですとか、あるいは年金改革後の民営化だとか税制改革、この辺りの明るい話題についても触れていただいたのかなというふうに思います。私も銀行に勤めていますけども、あと触れられていなかったことがあるとすると、まあ銀行全体が、ネットバンクだとか仮想通貨だとか、そういった、新しく金融自体が変わってきているというところがあるのが一つと、あとブラジル固有の話だとすると、レアルの国際化ですとか、外貨との兌換性だとかですね、この辺りというのが今後もしかしたら話題になってくるんじゃないかなというふうには思っております。何かそのあたりコメントありましたら一言いただければと思います。

津田副部会長

 ありがとうございます。まず、イノベーション。金融の世界でのイノベーションはおっしゃる通りで、銀行としての在り方そのものを変える可能性もある変化の一つと我々も捉えておりまして、ブラデスコも、Inovabraというイノべーションを促進するような組織を設けて取り組んでいるところでございます。今の段階では、金融機関としてのミッションそのものまでが変わるとは未だ思っていません。やり方、ツールとしては、イノベーションも取り入れ乍、少しずつ在り方は変わっていくとは思っておりますけれども、ミッションとしては引き続き皆様に寄り添う形で、社会であり企業であり、その発展に役立っていくというのが我々金融機関の本命かなと思っております。

 レアルの国際化、これはまだ実は懐疑的に私は見ておりまして、大変申し訳ないですけれども、ここで具体的に申し上げられることは現時点ではございません。申し訳ございません。

司会

 ありがとうございました。私が言いたいことを言いたかっただけなんですけども、空気の読めない質問になってしまいまして申し訳ありませんでした。それではこれで金融部会様からの発表を終わりとさせていただきます。改めて拍手をお願いいたします。

津田副部会長

 ありがとうございました。

司会

 ありがとうございました。それでは続きまして貿易部会の方からのご発表をいただきたいと思います。猪股部会長、よろしくお願いいたします。予定では25分間ということで承っておりますので、よろしくお願いいたします。

 

貿易部会

猪股淳 部会長

                       

  皆さんこんにちは。貿易部会の部会長を務めております伊藤忠商事の猪股と申します。本日はどうぞよろしくお願いします。早速ですが、貿易部会のプレゼンテーションを始めさせていただきたいと思います。

 最初に総括といたしまして、半期ごとの輸出入額の推移を表にしております。青の棒線が輸出額、緑の棒グラフが輸入額を示しております。2019年の上期につきましては、2018年の下期よりも落ち込んでおります。かつ2018年上半期と比べましても、若干ではありますが輸出入額ともに落ち込んでいるという状況になってしまいました。

 貿易黒字の金額は、前年同期でいきますと2018年の上期が299億ドルに対しまして、2019年、今年の上半期は261億ドルという貿易黒字になっております。

 為替に関しましては、2019年の上期の期中平均は3.84レアルという状況でございました。皆さんよくご存知の通りの状況ですが、新政権への期待感から、1月は3.7レベルで推移していたんですが、その後年金改革法案成立の不透明感からレアル安に振れまして、以降、成立見通しが出てきたことでレアル高に振れたんですが、アルゼンチン大統領選予備選の結果を受けまして再びレアル安が進行しまして、足元は4.03レベルということになっております。

 続きまして、輸出入の中身を見ていきたいと思います。こちらは、商品別の輸出でございます。2019年上期は、前年同期、2018年上期に比べまして、金額・数量ともに若干減少しているという状況でございます。

 輸出については、3点ポイントを挙げさせていただきたいと思います。まずブラジルの輸出の過半を占めます一次産品についてです。

 大豆につきましては、米中貿易戦争の影響で輸出増加しているんじゃないかと思いきや、前年同期比でマイナスという結果でした。しかし、私どもとしましては、全体のトレンドの流れとしましては、アメリカの対中輸出減をブラジルがまかなっている、取り込んでいるという状況に変わりはないというふうに考えております。中国は、去年の7月に25%の報復関税を米国産大豆に課した訳ですけども、その結果、アメリカからの対中輸出は3000万トンが半減したと言われております。一方ブラジルからの輸出は、これは全世界ベースですけども、輸出は2018年が8360万トンです。それに対して17年は6800万トンでしたので、実に1年間で1500万トン増えているという状況になっておりまして、やはりアメリカの落ち込んだ分をブラジルが取り込んでいるという状況になっていて、その状況は今でも変わっていないと思っております。

 ただし2019年の上期につきましては、中国の豚コレラの影響、中国の需要を当て込んだ生産増加による在庫増ということが重なり、数量、金額ともに減という状況でありました。

 下期以降ですが、アメリカの対中大豆の輸出再開がどうなるか今まったく分からないという状況である中、ブラジルの大豆輸出は今のアメリカの減を取り込んだ状態で継続するというふうに考えております。従いまして、この大豆につきましては、中国の需要が最大の懸念点になろうということでございます。

 一次産品の二つ目、鉄鉱石でございます。鉄鉱石につきましては、皆さんよくご承知の通りの、Valeのダムの決壊事故がありました影響で、数量は昨年同期比で10%落ち込んでおります。ただし、特にオーストラリアからの出荷不安がございました関係で市況価格が非常に好調であったということで、輸出金額自体は増えているという状況になりました。

 ポイントの3点目はですね、乗用車、自動車関連でございます。金額的にもインパクトが大きい訳ですけども、約40%の落ち込みということで、アルゼンチン向けの輸出不振が数字に表れてきているというふうに考えております。

 続きまして主要国別の輸出でございます。19年の上期はやはり中国が1位となっております。ただし伸び率は1%ということでそんなに大きくはなかった訳ですけども、これは金額ベースですけども、鉄鉱石の輸出金額が伸びた一方で、大豆の落ち込みがあってですね、それが相殺しあって輸出増減率が1%にとどまってしまったものというふうに考えております。2位のアメリカは12%と前年同期比伸ばしましたけども、中を見ていきますと、原油の輸出がこれに寄与したということになっておりました。

 それから、アルゼンチン向けについては皆さんご承知の通りの状況でございます。あと、オランダの落ち込みも結構あるんですけども、これ、オランダ向けの中身を見ていきますと、大豆かすと鉄鉱石ということで、統計上はオランダに出てくるんですけども、やはり最終消費地である中国の需要環境を反映した結果がここに表れているというふうに考えております。

 続きまして輸入でございます。2019年の上期は、前年同期比、総額・総量ともほとんど増減なしという状況でございます。中を見ていきますと、原油の輸入が増えている一方で自動車関連の落ち込みが大きかったというような中の入り組みがございました。

 続きまして、主要国別の輸入の状況です。中国からの輸入があいかわらず1位でございます。昨年同期比で、実に20%も増えている訳でございますが、これ内訳を見ていきますと、この輸入統計の中で浚渫船とかプラットフォームという項目に括られる部分が非常に大きく伸びておりまして、この19年の上期に、大型輸入が一つ二つあったことによって数字が大きく跳ね上がっているという考えております。

 金額規模は大きくないんですけども、インドからの輸入も伸びておりました。原油以外の石油という輸入統計上の項目が伸びていたという状況であります。

 続きまして、2019年上期の対日貿易についてでございます。日本向けで一番大きいのは鉄鉱石になるわけですけども、鉄鉱石についてはやはりValeの事故の影響で金額ベースで12.4%の落ち込みという結果でございます。ただこれ、表にはしていませんけども、数量ベースだと実に20%も落ち込んでいるという状況でありました。金額が12.4%でおさまっているということで、先程と同じように、数量は落ちたんですけど価格が高かったので、数量ほどの落ち込みは示していないという状況だと思います。

 その他、鶏肉、コーヒーです。それから、今は落ち着いていますけども、市況が良かったパルプも対日貿易の輸出としては伸ばしているという状況でございます。

 輸入でございます。輸入につきましては顕著でございまして、自動車部品、乗用車の落ち込みが非常に大きくなっているということで、やはりアルゼンチン向けの自動車の影響はここにも出ているんだと考えております。

 続きまして直接投資でございます。19年上期につきましては、下の左側の棒グラフ、青い部分が上期になるんですけども、ご覧頂いて分かります通り、実は2011年以降で最低の直接投資額が2019年上期であったという状況でございます。やはり、1月にボルソナロ政権が誕生して、その政策動向の行方を見るべく様子見状態であったというふうに受け止めております。

 直接投資、ブレイクダウンしていきますと、特にフランスとカナダが大きく伸びている訳ですけども、ブラジルの経済省の発表資料によりますと、4月に総額86億ドルというペトロブラスのガスの供給システムの買収をフランスとカナダの企業でやっているんですけども、その一部がここに反映されているんだろうということでございます。

 その他、オランダ、ルクセンブルク、それから、この表の中ではその他にまとまっていますけど、ケイマン諸島とかバージンアイランドからの投資も下げ率が大きくなっております。前回のシンポジュームでも話がありました通り、この辺からの投資というのは裏に中国がいるんであろうというふうに見受けられる訳ですけども、米中貿易戦争、中国の国内景気の不振からやはり中国からの投資もちょっと一服感が出たのかなというのが19年上期の状況だったんだろうというふうに、これは推測ですけども、考えておるという次第でございます。

 続きまして業種別の直接投資でございます。石油・ガス採掘関連の投資が落ち込んでいます。それから、金額的には小さいんですけども、ITサービス関係の投資は、大体毎回プラスで出てきております。金額は小さい訳ですけども、やはりブラジルのスタートアップ企業、ブラジルというのはITの参入障壁が低いというふうに言われてますけども、スタートアップ企業などのIT関連には今後も注目していく必要があるんだろうなと考えております。

 次に日本からの直接投資でございます。2017年の底を抜けまして、2018年は17年比増、19年上期についても、18年を超える勢いではあるんですけども、ご覧になられて分かる通り、金額的には過去に比べても大きいものではございません。この先、世界経済が後退局面で、地域的にもアルゼンチンの大統領選の行方がどうなるか分からないという不透明感がある中で、日本からの下期の直接投資がどうなるか、環境的にはそう簡単ではないのだろうと考えております。

 続きまして2019年上期の回顧でございます。先程来話が出ております通り、19年の成長率予測は、期初は2.51%であったものが、現在は0.8%台後半、7月末では0.82となっております。0.8%台後半というのが今の見通しでございます。新政権の政策運営を見極めるという動きが強かったのがやはり19年の上期の総括なのではなかろうかというふうに考えております。

 続きまして2019年の下期の展望でございます。年金改革法案につきましては来月上院で可決される見通しが非常に強くなっているという状況でございます。それに続く、税制改革、それからまさに今推進せんとしております民営化によって、小さな政府が実現できるかどうかというようなことも含めまして、国内の活性化をどこまで進められるかということに下期は注目していきたいというふうに考えています。

 一方で、世界的な景況不透明感はさらに高まると考えております。欧米と中国での景気減速傾向、それから米中貿易摩擦、アルゼンチン大統領選の行方など、今の時点では非常にネガティブとなる要素が多く、やはり大幅な景気回復は期待しにくいというのが2019年下期の状況であろうというふうに考えております。特に、輸出・輸入とも1位を占めます中国の景気動向がブラジルに与える影響は引き続き注視していく必要があると考えております。

 最後に、貿易部会で内外の環境変化にどう対応するかというアンケートをとらせていただきましたが、その結果を抜粋したものを皆様のご参考までに資料としてここに提示させていただいております。

 下期は不透明感が強くなる中で、日々のトレードで申しますと、販売先の与信の状況をなどを、より細かくリスクを見極めて、かつ今のリスクを見直していくのが求められていくのが2019年下期の我々が置かれている環境なのではなかろうかというふうに考えております。

 私からは以上でございます。

司会

 はい、ありがとうございました。ぜひご質問を頂戴できればと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。貿易部会ということで、モノですとか、資本の流れという中で非常にコンパクトにご説明いただいたと思います。たいへんありがとうございました。あと昨今、関連するところで言うと、おそらく、先程も出ていますけども、日・メルコスールのEPAというのが今後長期的な課題になると思いますし、欧州とのEPAが大きく前進したという中でですね、これからということなんだと思いますけれども、何か具体的に手を検討されていることですとか、動き始めていること、事例などもしあれば、教えていただければと思うんですが、いかがでしょうか。

猪股部会長

 非常に景況感が弱くなってきますと、多くの企業さんの体力がだんだん小さくなっていってしまう環境の中で、平たい言葉で言いますと、日々の商売、トレードの中で、貸し倒れとか、商品代金の回収に支障をきたすようなことがないように手を打っていかないといけない。一企業の活動としてはそういうところですね。そういうところから見直していこうということはしています。日・メルコスールは、交渉は進むんだと思うんですが、一方でブラジルがメルコスールから抜けたらどうなるんだろうという不安もありますし、交渉の行方は見守るものの、メルコスール自体の動きというのも見ていく必要もあるかなと思います。

司会

 はい、ありがとうございました。ほか、よろしいですか。それでは貿易部会様からの発表をこれで終わらせていただきます。改めまして、ありがとうございました。

 続きまして、機械金属部会様からのご発表をお願いいたします。山田部会長から25分の予定でお願いいたします。私の質問は出尽くしましたので、皆様ぜひ、質問を考えていただきながらお聞きいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

機械金属部会

山田佳宏 部会長

                          

 皆様、こんにちは。ブラジル三菱重工の山田でございます。機械金属部会長を務めさせていただいております。

 当機械金属部会は多岐の事業分野に携わっておられます機械および金属に関連するメーカー、それから関連する商社の方々を中心としたメンバーで構成をされております。本年8月現在で約40社の皆様に主要部会メンバーとして登録をしていただいております。

 今スライドを示しておりますけれども、今回のシンポジュームでの発表に当たりまして、事前に各社の状況に応じてレポートをまとめていただき、また7月の31日には部会を開催して情報および意見の交換を行いました。私はこの部会に何度か出席しておりますけれども、今年の4月、5月ごろにですね、先程も話が出ておりましたけども、日・メルコスールEPAの関係でも部会の会合を開きまして、あらためて、機械金属部会と一言で言うんですけれども、実は多種多様な会社さんの集まりでございまして、HTSコードで言うと確か機械と金属で、大分類か中分類としては二つぐらいになるんですけれども、当部会の内容としては非常に多種多様です。具体的にはここに出ております通りですね、どういうふうにグルーピングするかというのは非常に難しくて、作っているものなのか、納めている先なのかとか、ちょっとうまくできないところはあるんですけれども、一応その辺はだいぶ大ざっぱにまとめますと大体こんな感じということでございます。

 今スライドに表示されておりますけれども、当部会が関係する会員会社さんの、いわゆる事業分野といいますか、製品分野というのは、計17分野ということです。ですので、ちょっと一概にまとめるのは難しいところはあるんですけれども、いずれにしましても皆様、ブラジルの製造業を足元から支える役割を担っておられるというふうに認識をしております。それでは内容について発表させていただきます。

 構成としましては、まず、ちょっとこれまでの話と一部かぶってしまいますけれども、当部会の事業環境に関係するマクロ指標について簡単にご説明をさせていただきます。引き続いて、セグメント別にですね、鉄鋼以下6つのセグメントの状況を説明させていただきます。このまとめ方は本年2月のシンポジュームの内容と基本的に同様でございます。最後に、副題であります「内外の環境変化にどう対応するか」ということで、部会メンバーの意見を総括させていただきます。

 それではまず、マクロ指標ということで、最初はブラジルの鉱工業生産の状況をグラフにまとめたものでございます。ブラジル地理統計院の資料です。先程ご説明いただきましたブラデスコのフェルナンドさんのお話と大分かぶるんですけれども、このグラフは2015年以降、今年の6月までの状況を示しております。

 皆さんご承知の通りですし、またご覧いただきます通り、2016年まではマイナスが続き、2017年に入ってプラスに転じました。2018年もそれが継続するというふうに期待をしておりまして、去年の5月のトラック運転手のストライキの後も、いったんは持ち直したかのように見えておりました。ところがその後、年末にかけてマイナスが続きまして、今年に入ってからもですね、昨年を上回りそうな雰囲気ではないのではないかというふうに思われます。棒グラフの右から2番目、2019年の5月のところが前年を上回っておりますけれども、これは昨年5月のトラックストの影響で鉱工業生産が大幅にダウンしたために、見かけの数値がこういうふうになっているのではないかというふうに思われます。

 実は、これから各セグメント別にご説明しますけれども、大体この鉱工業生産指数の動向に、当部会の会員会社さんの景況感もほぼ一致をしているということでございます。

 次に土木建設の指数を示したグラフをご覧いただきたいというふうに思います。これもブラジル地理統計院の資料でございます。これは、2012年を100として、その後の推移を折れ線グラフで示しております。

 それぞれの年でデコボコはございますけれども、傾向としては2017年に向けてずっと低下が続き、2017年で底を打ち、その後ですね、上がったり下がったりしておりまして、ちょっと安定しているとは言い難い状況が続いております。2019年に入りまして若干上向き加減になっている模様ですけれども、ご承知の通りの昨今の景況感の中で先行きの見通しとしては不透明ではないかというふうに思われます。

 それでは引き続きまして、ここから各セグメント別の状況についてご説明をさせていただきます。まず、一番最初が鉄鋼でございます。ブラジル鉄鋼協会がまとめておられます数値を使っております。このスライドの左上、ちょっと小さくて恐縮ですけれども、2015年から2018年までの年間の粗鋼生産の推移、それから2019年の見込みを示しております。その右に、表ですけれども、2019年上半期の粗鋼生産、国内販売、輸出を前年との対比で示しております。

 まず、左のグラフからお分かりいただけます通り、粗鋼生産量は2016年に底を打った後、2018年までは対前年比で増加をしております。ところがですね、右の表を見ていただきますと、2019年に入りましてから粗鋼生産量は前年を下回っております。これは自動車輸出用の需要が減少したということが主な原因のようであります。

 下期につきましても、ご承知の通り、Valeの事故に起因する原料価格の高騰、それから鉄鋼需要の伸び悩みによりまして、生産・販売ともにですね、厳しい状況が継続するというふうに思われます。ちなみに、ブラジル鉄鋼協会は2019年の鋼材の見かけ消費量の見通しを、4月は対前年プラス6%というふうに発表しておりましたけれども、7月にはプラス2%ということで、6%から2%に下方修正をしております。

 ただ一方でですね、このスライドの一番下のところですけれども、ブラジル鉄鋼協会は、鉄鋼業におきまして今後5年間で90億ドルの設備投資が見込まれるということも発表しております。ただ我々部会メンバーの感覚としては、近い時期にですね、こういった積極的な設備投資案件が動き出すという様子はないということでございます。

 続きまして電力セグメントについてご説明申し上げます。こちらはエネルギー研究公社の資料でございます。左の棒グラフが2015年から昨年までの電力消費量の推移と2019年上期の前年との対比を示しております。右側の棒グラフが、2018年と19年のそれぞれ上期の電力消費の内訳を示したグラフです。内訳はここにあります通り、産業用、住宅用、商業用、その他というふうになっております。

 2019年の上期の傾向としましてはですね、ちょっと棒グラフ見にくいんですけれども、住宅用と商業用の電力が伸びているということで、電力消費は回復傾向にございます。この傾向は下期も同様というふうに思われますが、当部会の関連企業が関係しますバイオマス関連の新規案件の動きは依然として低調でございます。

 次に建設機械について申し上げます。スライドの上の方にグラフを示しておりますけれども、これも2012年を100として建設機械の生産実績を折れ線グラフで示しております。この資料から、やはり2017年までは生産の減少が続いて、その後回復傾向にあるということをご理解いただけるというふうに思います。

 そうした中で、2019年上期の回顧としましては、建設機械の国内販売はレンタル向けが好調であるということですとか、先程ちょっとグラフを示しましたけれども、昨年底を打った建設需要の好転などによりですね、前年比でプラス28%増ということで、当初予定を大幅に上回っております。一方、農業向けにつきましては、予算不足に伴います、政府金融の支援が中断されたといったことの影響で伸び悩んでおります。それから輸出につきましては、アルゼンチン向けの減少が大きく足を引っ張って減少をしております。

 下期の展望ですけれども、国内需要につきましては土木・建築向け、それから農業関連、砕石・窯業・セメント向け、それからレンタル・アウトソーシング向け、いずれも堅調に推移する見通しでございます。一方、輸出につきましては、米中貿易摩擦の悪影響を無視できず、動向を緊密に注視する必要があるというふうに考えております。

 続きまして、自動車産業に関連するセグメントについて申し上げます。資料としましては、左上に自動車生産協会がまとめました自動車生産台数の棒グラフを、その右に自動車の新車登録、輸出、生産の2019年上半期の、前年つまり2018年上半期との比較を示しております。詳細につきましてはこの後の自動車部会様の発表に委ねますけれども、特に右のグラフから読み取れますのは、前年同期比、前年同期比を黄緑色の折れ線グラフで示しておりますけれども、これは新車登録、輸出、生産の前年同期比なんですけれども、真ん中の輸出がですね、前年同期比40%も落ち込んでおりまして、これの影響で上期の生産につきましては対前年比で少しだけ増えるという状況にとどまっております。

 という自動車生産の動向を背景に、当部会としましては、自動車産業に関連する分野がいくつかございまして、そのうちのまず切削工具について申し上げます。この切削工具は、ただ今申し上げました主力ユーザー様であります自動車産業の動向を反映して、前年同期比を若干上回ったものの徐々に受注が鈍化する傾向にございます。下期につきましては、先程来話が出ております米中貿易摩擦の懸念はありますけれども、自動車業界様以外の、航空機ですとか、建設機械、それからエネルギー、それから新しい分野としてメディカル等へのですね、拡販に伴って、引き続き需要が増加する見通しであります。

 次に、回転機械において重要な部品となりますベアリングについて申し上げます。このベアリングにつきましても自動車の状況と連動して、2019年上期の後半からですね、急速に冷え込んでおりますが、一方で二輪車向けは堅調でございます。また一般産業機械向けは、多くの企業が新規投資を控えまして、上期の半ばから受注が急速に減っております。下期につきましては、二輪は引き続き堅調でありますものの、自動車、一般産業向けは回復は期待薄でございます。

 次にドライブシャフトですが、ドライブシャフトにつきましても自動車生産の動向に連動して上期は前年の同期を下回っております。下期は景気回復の期待感はありますものの、上期の落ち込みはカバーできない見通しでございます。

 次に潤滑油ですけれども、上期につきましては自動車、フォークリフト向けの初期充填オイルの増加により、対前年比で大幅に増加しております。一方、工業分野につきましては、お客様の使用量削減に伴いまして減少しました。下期も上期と同様の傾向が続く見込みです。

 最後に金属加工用の油剤ですけれども、上期につきましては消費量がそれほど拡大しない一方で、コスト削減を目的とした消費量削減活動とかがお客様において行われました関係で苦戦をいたしました。下期につきましても、景気先行き不透明感に伴い厳しい状況が続く見込みでございます。

 続きまして、農業・産業機械関連のセグメントについてご説明をさせていただきます。上にですね、ブラジル地理統計院が発表しました、関連する機械類、つまりエンジン、汎用機械、トラクター、工作機械の生産動向、これも2012年を100とした指数で表した資料を準備いたしました。この4つの製品、それぞれによりまして、若干傾向は異なっておりますけれども、最初の方に申し上げました鉱工業生産指数ですとか自動車生産と中期的にはおおむね同様の傾向。つまり2018年から回復傾向に入ったものの、2019年に入ってから陰りが見られるという傾向が見て取れるというふうに思います。これを参考にしていただきながら、当部会メンバーが実際のビジネスを通じて感じております点を中心に状況をご説明いたします。

 まず小型ディーゼルエンジンですけれども、上期は多気筒、つまり日本製と発電機セットの販売は回復しましたけれども、横型の単気筒が大きく落ち込んで、対前年比で若干の減少となりました。下期につきましては、農作業機械メーカー向けが振るわず苦戦が予想されます。

 次にトラクターですけれども、上期はBNDESの農業向け低利融資が停止状態となっているということにより低迷いたしました。下期につきましては、この融資の再開ですとか良好な農作物の収穫に伴いまして、需要は上向く見通しですけれども、年間では昨年を下回る見込みでございます。

 続きましてポンプですけれども、年初は需要に力強さが見られましたが、現状は足踏み状態で、上期はほぼ昨年と同レベルです。下期につきましては、経済成長見通しの下方修正に伴いまして先行きは不透明でございます。

 最後にレーザー切断機ですが、依然として厳しい状況が継続しております。

 それではセグメント別としては最後になりますけれども、石油・ガス、紙パルプ産業関連のセグメントの状況についてご説明申し上げます。資料としましては、上のグラフにブラジル地理統計院が作成しました石油製品、紙パルプなどの生産実績を、2012年を100とした指数で表したものを左側の折れ線グラフで示しております。それから右側にブラジル紙パルプ産業協会が発表しております紙パルプの生産動向のグラフを準備をしております。

 まず、左側ですけれども、石油製品の生産実績を赤い折れ線グラフが示しております。昨年末に発表されましたペトロブラス社の5カ年計画におきまして、年間3隻のFPSOの建設計画が含まれておりまして、需要拡大の期待が増えております。

 次に、紙パルプの生産実績は左側の青いグラフですけれども、パルプの需要の拡大によりまして、ほぼ一貫して対前年比で増加する傾向にあるのが見て取れるというふうに思いますが、右側のグラフをご覧いただきますと、輸出につきましては昨年を下回る傾向にございます。

 当機械金属部会の会員企業はこれらの石油・ガス、紙パルプ産業において使っていただいております製品を扱っておりまして、ただ今申し上げましたこれら産業の動向を前提に関連分野の状況をご説明いたします。

 まずボイラですけれども、紙パルプ業界の中規模プラントとかボイラの更新計画、それから製紙業界のすでに使っておられますボイラの大型メンテナンス工事等の動向を注視して参ります。

 次にプラント・工場用の制御システム・機器ですけれども、上期は鉄鋼メーカーの保全投資の回復、それから石油・ガス上流分野の新規設備投資、パルプ産業におけます生産拡大投資等に伴いまして受注は堅調でした。下期も同様の傾向の見通しでございます。

 次に移動式のクレーンですが、上期はレンタル会社向け、製紙業界向け、マイニング業界向け等によりまして前年を上回る見通しです。下期につきましては、製紙、マイニング、エネルギー、石油・ガス業界設備、こういった業界の投資の動向を注視して参りたいというふうに考えております。

 以上、当部会を取り巻く環境について、2019年の上期を振り返り、また2019年下期を展望いたしました。最後に、「内外の環境変化にどう対応するか」という副題に対する部会メンバーの見方を紹介をさせていただきます。これは会員の皆様からご提出いただいた内容を部会長としてまとめさせていただいたものです。まず、最近のトピックスの理解について申し上げます。

 これまでにも何度も話が出ておりますが、社会保障改革法案の下院の通過は確かに明るいニュースであるというふうに私どもも受け止めております。しかし一方でですね、実際の実現時期がいつになるのかということについては今の時点では不透明ですとか、先程のブラデスコ様のご説明にもありましたが、これだけでブラジル経済が本格回復するわけではない。例えば税制改革とか、その他の構造改革も必要という状況でありまして、当部会の会社にとってただちにこれに基いて何かアクションがとれるかというと、そういう訳ではどうもなさそうだということでございます。

 次に、EU・メルコスールのFTAの合意についてですが、これに伴ってですね、いろいろ何か対応する必要があるよねということにつきましては、当部会の共通認識であります。例えばブラジルの国内生産をもっと増やすとか、メルコスールの他の国を活用することによってコストを減らすとか、あるいは逆にブラジルからもうちょっとヨーロッパとかに持っていけないかとかですね、まあ色々アイデアはあるんですけれども、しかし、これまた具体的検討を開始するというのにはちょっとまだ時期としては早いのではないかと。

 ということで、当部会にとりましてマクロな環境変化は何なのかということを考えてみました。大きくは二つあると思います。

 一つ目はですね、ブラジルが自由貿易政策を推進するということはほぼ確実というふうに思われておりまして、これに対応するためですね、ブラジルコストの削減ですとか、低い生産性を改善するというための施策は必ず実行されるということではないかということです。

 それから二つ目ですけれども、これともちょっと関連するところがありますけれども、世界的な潮流であります、ESG投資ですとか、それからICT、あるいはAIを活用するという波はですね、ブラジルにも押し寄せて来ております。ちょっと具体的な内容は申し上げられませんが、ともすると、ICTとかAIというと、どちらかというと、例えば銀行さんの仕事ですとか、そういうようなどちらかというといわゆるモノづくりじゃない方の報道なり関心が強いのではないかというふうに思いますけれども、実は機械分野でも、ICTはもちろんなんですけれども、AIを使ってもっともっと新しい事ができるんじゃないかというような話は出ておりまして、そういう意味で、世界的な大きな波が必ずブラジルにも来るというのが私どもの共通認識でございます。ということで、私どもとしましては、足元で生産性の向上を図りつつ、今申し上げましたようなマクロの環境変化に応じたビジネスチャンスを模索するというふうに考えております。既にいくつか萌芽は出ているのではないかというふうに思います。

 今の2点目は、先ほど讃井様から金融部会についてご質問があった話でもちょっと関連しておりまして、日々入って来るブラジルの、あるいはメルコスールも含めた南米大陸の動きはウォッチしつつもですね、もうちょっとグローバルで大きく起きている変化をうまく活用できないかというのが我々の認識でございます。

 ご清聴ありがとうございました。

司会

 はい、山田さんありがとうございました。よろしければご質問いただければと存じますが。ありがとうございます。マイクをお願いいたします。

発言者

 どうもありがとうございます。2点ちょっとお聞きしたいんですけれども、1点目は鉄鋼のところでですね、対前年比粗鋼生産量がマイナスということなんですが、米中の貿易摩擦の関係で、中国産の鉄鋼にアメリカが関税をかけているという状況がある中で、そういう中国の鉄鋼というのがブラジルに入ってきているという状況があるのかどうかということとですね、もう1点は、農業・産業機械関連のセグメントのところで、トラクターのところにBNDESの農業向け融資が停止状態という、この理由というか背景を教えていただければと思います。

山田部会長

 1点目は、メタルワンの加藤さんいらっしゃったら詳細は補足いただきたいと思うんですけど、ご心配のようなことは結果としては起きていないというふうに聞いております。ちょっと補足していただけますか。

メタルワン 加藤氏

 ご質問の件については、まだ、中国の鉄鋼が、例えば大量にブラジルに入ってきているというふうな流れはですね、まだ起きてはいません。実は昨日ブラジルの鉄鋼協会の会議にも出たんですけども、まあその話題にもなったんですけど、ブラジルの鉄鋼業界も、中国のものが大量に入ってきてですね、値段が下がるという部分は非常に警戒していますし、おいそれとそんなふうな感じでですね、ブラジルが中国の鉄鋼を大量に受け入れるというのは足元ではないんじゃないかなというふうに思っております。よろしいでしょうか。

山田部会長

 ありがとうございます。2点目のBNDESの件なんですけど、ヤンマーの北原さんいらっしゃいませんか、今日は。ちょっと、聞いた話では、まあ結局お金がなくて、ちょっと一時中断しているけど、下期になったらまた始めるようなことが割と頻繁に起きるというふうに聞いております。

司会

 はい、ありがとうございました。大変良いお話だったと思います。私もお聞きしていまして、前半の方は厳しいとか苦戦とか、下回るとか低調とかですね、やや暗いお言葉が多かったんですが、後半に紙パですとかペトロブラスさんだとか、こういった明るい話がありそうで、長期的にはESG、ICT、AIと、まだまだ拡大の余地があって、ブラジルに来ているというのは、これも皆さんお持ちのことだと思います。何と言っても色んな広い業界に影響が表れる中で細かくお聞かせをいただきまして大変ためになりました。ありがとうございました。山田さん、ありがとうございました。あらためまして拍手をお願いいたします。

 それでは続きまして、自動車部会様からの発表をお願いいたします。下村部会長よろしくお願いいたします。

 

自動車部会

下村セルソ 部会長

                       

 皆さんこんにちは。自動車部会の下村と申します。私から自動車部会の報告をします。今回は、上半期の振り返りと下半期の展望などについて、四輪と二輪の順に説明します。

 まず、はじめに四輪の振り返りです。新車市場についてです。19年の上半期は昨年度の同時期と比較すると約12%増加しました。当初の予想をわずかに上回る結果となりました。下半期は、年金改革の実行、金利の低下、低いインフレーション、FGTSの引き出し解除などにより消費者の需要はさらに高まるものと予想されます。一方では、ダイレクト・セールスが占める割合も高くなっており、販売増加に大きく貢献しています。

 続いて月別の販売台数です。今年の前半は当初の予測よりも好調でした。このトレンドが継続すれば、Anfaveaは当初の年間売上の予測をさらに上回る販売に到達すると予想しております。

 次に生産と輸出です。19年の上半期の生産台数は147万台でした。国内市場が好調でしたが、アルゼンチン向けの輸出が減ったため、前年よりも少し減りました。輸出台数については、主な輸出国はアルゼンチンの市場が縮小し、前年比38%減でした。

 次に新車・中古車別の市場です。このグラフから新車需要が伸びていることが分かります。中古・新車トータルで1300万台を超え、順調に伸びています。

 次に下半期の展望です。こちらは2019年の予測です。国内市場は先程申し上げたように、年金改革、金利低下、低いインフレーション、FGTS引き出しの解除などにより販売が増加傾向となり、自動車部会では約280万台の生産で前年比9%増を見込んでいます。生産・輸出台数については、アルゼンチンの影響もあり、減少する可能性があります。

 続いて長期展望です。長期展望としては、重要なテーマはこちらになります。モノ、人の流れを変える自由貿易協定、大気汚染防止のための排ガス規制、将来のビジネスモデルであるモビリティサービス。本日はこの3つの説明をします。

 まず、はじめに貿易交渉の状況ですが、新政権の市場開放路線により、ようやくヨーロッパとの交渉が政府的に合意を迎えました。自動車に関する詳細はまだ確認中ですが、ヨーロッパメーカーは国産車の競争力強化、完成車の関税削減による輸入車の増加を予想され、日本メーカーは厳しい競争にさらされる様相です。日系の部品メーカーも大きなダメージを受けることが予想されています。カナダ、韓国との交渉も進展しており、カナダは今年中、韓国は来年中間までには締結すると予想されています。中身はまだ公表されていませんが、どちらにも自動車が含まれています。昨今ではアメリカと貿易協定の協議を開始する合意に至っており、こちらもブラジルの政府の強い要望により進展がみられるでしょう。

 アルゼンチンの選挙結果が貿易協定の交渉に及ぼす影響を注視する必要がありますが、日系自動車メーカーにとっては、日本との協定がないことは競争力が劣る原因となり、大きな痛手となります。自動車部会としては、日・メルコスールEPAの早期の交渉開始に向けた活動を後押ししていきたいと考えております。

 次は排ガス規制についてです。今年初めにも説明させていただきましたが、昨年末、環境省の委員会で2022年、2025年以降の排出ガス規制の大枠が決まりました。ブラジルの自動車メーカーにとって規制導入のタイミングがとても厳しいので、販売できなくなる車種が出てくる可能性があります。

 こちらの地図でご覧ください。ブラジルは中南米各国と比較すると唯一米国基準の規制を採用しています。ディーゼル車のOBD燃料も漏れの自己診断装置の場合はヨーロッパより厳しいアメリカ基準を採用しており、こちらも開発のための十分なリードタイムではなく、大きな課題となっております。

 こちらは一例ですけれども、自動車に対するNMOGの規制値をヨーロッパ規制のEuro6と比較したものです。ご覧の通りL7およびL8の排出規制は、特に2017年からヨーロッパよりもさらに厳しいものとなっており、達成するには自動車メーカーが大きな電動化が必要となってきます。L7からL8への移行期間もヨーロッパの5年間に比べ、ブラジルは3年間となっているため、開発リードタイムと高額の投資を要します。このように、内容が大変厳しく、リードタイムも少ない事がお分かりいただけると思います。これからの規制導入のタイミングが現実に即したものになるよう、引き続き政府に働きかける必要があります。

 それでは、グローバルにおける環境の変化について説明します。皆様ご存知の通り、自動車産業はCASEと呼ばれて、技術革新によってIT・交信・サービス業などこれまでと事なる業種との競争が進み、自動車メーカーからあらゆるモノやサービスへとつながるモビリティカンパニーへと変革してきています。これを、我々は100年に1度の大変革期と呼んでおり、競合が他の自動車メーカーではなくGoogleやAmazonに広がるなど、20年前、30年前には考えもしなかったことが次々と起きています。来年の東京オリンピック、パラリンピックでもそのトレンドをいくつか取り入れたモビリティの提案をさせていただいておりますので、ちょっとビデオをご覧ください。

(※ビデオ上映※)

 ブラジルでも金融や公的サービスなど様々な分野で新たなサービスが普及し始めており、モビリティ分野においてもUberなどシェアリングサービスが先進国並みに普及しています。この1年で、patineteやレンタルバイクも急激に普及しております。大変革時代に対応していくためには、素早い対応が不可欠となってきております。

 このような状況に対し、今回のテーマである「内外の環境変化にどう対応するか」について日系ブランドの取り組みを説明いたします。

 EPAについては、日本政府やブラジル、アルゼンチン政府に対して、早期交渉開始に向けて継続的に働きかけを実施していくことが重要です。同時に、開かれた市場でも競争力が持てるよう、税制改革などの構造改革の必要性を訴求し続けていきます。

 Proconveについては、規制導入のタイミングが現実に即したものになるよう、政府や関係機関に働きかけていくことが大事です。

 また、今後拡大するモビリティサービスにも積極的に取り組んでいき、電動化にも力を注いでいきたいと思います。

 日系メーカーの取り組みの事例です。電動化に向け、日産は7月にブラジルを含むラテンアメリカ4カ国で電気自動車のリーフを発売しました。トヨタも5月にフレックス燃料ハイブリッド車のカローラの生産・販売を発表しました。ガソリンでもエタノールでも走るフレックス燃料ハイブリッド車の生産は世界初、トヨタ発の試みです。同様に、カーシェアリングサービスは、トヨタはアルゼンチンにて昨年11月にトヨタモビリティサービスを開始しております。ブラジルでも今年中にモビリティ関連のビジネスを開始する予定でおります。

 今日お話したことを次のスライドでまとめます。こちら、本日のまとめとなります。

 続いて二輪業界について説明します。まず生産・販売についてです。二輪市場の上半期の販売は53万台で、前年比117%となりました。クレジット販売の増加が貢献しています。国内市場の販売増加に伴い、生産も前年を上回りました。一方、輸出はアルゼンチン経済の減速により、前年比50%となりました。

 こちらは登録ベースの月別の販売です。先程申し上げた、クレジット販売が増加したこともあり、全ての月で前年を上回りました。下半期も引き続き堅調に推移すると予想されております。

 最後は、二輪販売の支払い形態別の推移です。緑のグラフはローンによる販売比率を示していますが、金利が低く抑えられてローン販売が占める割合が大きいことが分かるかと思います。金利の安定や失業率の改善で販売が増え、今年も二輪市場のさらなる回復を期待しております。

 これで私の発表を終わります。ありがとうございました。

司会

 下村部会長、たいへんありがとうございました。どなたかご質問あられる方おられましたら挙手を。お願いします。

発言者

 日本大使館の濱坂でございます。ご説明ありがとうございました。排ガス規制につきまして、少し教えてください。この問題、非常に難しいと、自動車部会の中でずっと議論されてきたと承知しております。この中で、日系ブランドとしまして、規制のリードタイム、その内容、これに対しましてブラジル当局の理解を求めているということですが、この内容につきまして二つ考え方があると思います。例えば他の中南米同様に、ユーロ5、まあユーロ5はユーロ5で大変ですが、ヨーロッパ基準に求めていくのか、今の規制の骨子案、この中で特に難しいもの、例えば例示にありますようなORVRとか、こういったものを取り除いていく、どちらのアプローチを今お考えになっているのかというのが質問の一つ目でして。もう一つ、この規制に対します、特にヨーロッパメーカー、フィアットやフォルクスワーゲン、ヨーロッパメーカーはどのように対応しているのか、教えて下さい。

下村部会長

 質問ありがとうございます。今ですね、この件について全カーメーカー、同じ意見です。これは良い事です。Anfaveaの中では全部一緒になっていて、まずL7、L8ありまして、L7の中にはORVRとかそういうことが、まずディスカッションやっているのは、ORVRはさっき説明にあった通りですね、ガソリンスタンドに行く時にはガス出るんですよね。それを出ないようにORVRを車に付けましょうと。だけどそうしたらですね、新しい車しか対策にならないんです。我々たちは、そうじゃなくて、ガソリンスタンドがなおったら前の車、今の車全部対応できるんじゃないかと、今アプローチしております。だから、そういう意味では、本当の目的がそういうガスのエリミネーションをやるのだったら、もっとeffectiveなことは、車じゃなくて、ガソリンスタンドの方がいいんじゃないですか、今、と考えております。これが一つですね。ただ、じゃあ政府がですね、Anfaveaが払ってくださいと、そういうディスカッションに今なっているんですけども、まあこうなっています。これがL7の状況で、今何とかそれを、エリミネーションは考えております。L8の場合は、ちょっと、グラフを見る通りすごく厳しいと。もう一つは、せっかくですね、ブラジル政府、Rota2030をアナウンスしました。で、Rota2030のスケジュールと今のスケジュールは合っていないんですよ。Rota2030がもっと、5年間でリーズナブルなリードタイムになっておりますので、合わせて下さいと。せっかくRota2030で言ったことを、守っていないのか、だからRota2030の一番良い所は、そういうプレディクタビリティですね。もうちょっと将来を見ながらそういうフォーカスをちゃんとできるようなせっかくのプログラムなので、その中でこういうレギュレーションでちょっと合っていないのは良くないんじゃないですかと今アプローチしております。

司会

 はい、ありがとうございました。非常に実情にそった質疑をいただいたと思います。たいへんありがとうございました。自動車のところで言いますと、ビデオにもありました通りですね、世の中で言われています単に乗るだけではなくて生活に密着したと、こういったところが改めて見えましたし、色んな産業に影響があるのかなというふうに思いました。あと、ご説明は短かったですけども、二輪車の方については実績が非常に堅調であるということで、これは非常に日系の関係の方も多いというふうにうかがっておりますので、明るいニュースじゃないかなというふうに思います。たいへんありがとうございました。拍手をお願いします。

 それでは続きまして、コンサルタント部会ですね。前半、コーヒーブレイク前の最後のコメントになります。吉田部会長の方からよろしくお願いいたします。

 

コンサルタント部会

吉田幸司 部会長

                     

  皆さんこんにちは。コンサルタント部会長をさせていただいております、KPMGの吉田と申します。時間通りですとあと10分ぐらいしかないので、時間通り終わらなかったら大変申し訳ないんですけども、なるべく短くポイントをまとめてお話しさせていただきたいと思いますので、最後までお付き合いいただければと思っております。

 最初のページは他の部会長の方々がお話しされておりますので、割愛させていただきます。2ページ目からになりますけども、これ、前回ですね、2月の時にもご紹介させていただいたんですが、何かといいますと、KPMG、私どもの属しているグループですが、年に1回ですね、世界各国のCEOの方に今の景気はどうですかという質問をさせていただいているアンケート結果というところになります。

 年に1回、前回は2月にご紹介させてもらったんですが、毎年1月か2月にさせていただいているものですから、ちょうど今回の上期のタイミングに結果が間に合ったということで、ちょっとご紹介させていただいているものになります。今回はですね、前回、日本が入っていなかったじゃないかというようなコメントもあったものですから、今回は最初から日本を入れさせていただきました。

 今回の調査はですね、全世界で64カ国の2535人のCEOの方から回答をいただき、このうち日本は100人。ブラジルは50人となっております。一つおことわりしたいんですが、グローバルというところがあるんですけども、グローバルのところについては、これ64カ国全部ではなくて、11カ国を選んで1300人のCEOの方のコメントだけになっておりますので、64カ国ではなくて11カ国とお考えいただければと思います。

 今後3年間ですね、自分が成長していく自信があるとかですね、世界が成長していく自信があると答えた割合がどうかというところなんですけども、こちら、日本は結構低めになっていると。グローバルもそれなりに低めになっている。これ実際ですね、ブラジル、高めになってはいるんですけども、ブラジル、実は、去年同じ調査をした時には53%でしたと。それが今74%になっていると。自国のところですね、ブラジルが成長していく自信があるかどうか。これは76%。昨年79%ということで、自国にはあまり変わりはないんですけども、非常に自信があるというところになってくると、9%から42%まで増えているということで、ブラジルの経営者は非常に世界経済に自信を持ってきていると。

 何が大きく違うのかなというところなんですけども、やっぱりボルソナロ大統領、去年のタイミングではまだ大統領が誰になるのか分かりませんでしたというのが、新しい大統領になったと。これからやっぱり経済良くなっていくんじゃないかというふうに思った経営者の方が多かったんじゃないかなというところですね。

 一方で、自社のところですね。前回は自社の成長に自信があると言っていたのが100%でした。今回は88%になりましたということで、世界が伸びます、国が伸びますと言っているのに、自社についてだけは自信がありませんという方が12%いたということで、なぜ下がったんだろうとちょっと考えたんですけども、一つだけ思い当たるのがGDPの成長率。年初2.8%と出てました。自社が2.8%以上今年伸びるだろうか、3年間GDP以上伸びるだろうかと思った時に、ちょっとブラジル人保守的になって、そこまで伸びないというふうに考えた経営者がいたんじゃないかなと想像したところになります。

 あと、今後自分が成長していくに当たってですね、何が最も脅威になるかと。いくつかの選択肢があるんですけども、そこから一つだけ選んでくださいという質問をしました。グローバルと日本、非常に結果が似ています。特に一番上ですね、昨今の地球の状況を表していると思うんですけども、気候変動リスクが今後リスクとして一番高いんじゃないかと。まさにですね、フランスとかの異常気象もありますし、このブラジルにおいても確かに、最初冬すごく暑かったのに今寒くなっていたりとかですね、やっぱり異常気象という状況が起きているというのは言えるんじゃないか。それに対して、グローバルと日本については、やはりここに対しては今後のビジネスにリスクがあるというふうに考えているということが言えると思います。

 一方、ブラジルですね。これ、実は気候変動リスク、出てきていません。どうだったんだろうかと色々見ましたら、一応選んだ経営者はいましたと。二人でしたと。結局4%ですね、50人中2人だけが気候変動リスクが今後高まっていくというふうに考えていたという結果になっております。

 もう一つご紹介させていただきたいのが、これですね、最近よく言われているところだと思うんですけども、低酸素、クリーンテクノロジーに対する世界の流れを予測して取り組めるかが自社の成長になると、最近のこの環境を考えたことが自社の成長になるかというところですけども、ちょっと日本の結果は出ていなかったんですが、グローバルとブラジルだと明らかにブラジルの方が低いというところで、やはり日本の企業さん、日本も気候変動が非常に激しくなっているものですから、そういう意味では日本企業さん、この気候変動に対して非常に取り組みが進んでいるという意味では、ブラジルがこの率が低いというところを考えると、日本企業さん、この環境ビジネスでブラジルに入って来る余地はあるんじゃないかと個人的には思ったところになります。

 ただですね、皆さんニュースでご存知だと思うんですけども、今アマゾンの方で今までにないぐらいの火災が生じています。ボルソナロ大統領が言っているのは、何か環境団体が変なことを言っていると、あれは別に火事じゃないというようなことを言って、ボルソナロはどちらかというと環境保護よりも開発を重視していると言われておりますので、ボルソナロ大統領がいる時は、この環境の部分については話がもしかすると進まないかもしれないというふうに言われているんですけども、将来的にはやはりこの環境のところというものは注目を浴びていくはずであるというふうに言えるんじゃないかなというところになります。

 次のところですけども、昨今のビジネス環境を考えると、非常に早くビジネスが変わって行っているという中で、じゃあそのビジネスを自分が変えていくのか、今までの市場を自分が壊して変えていくのか、もしくは、相手が行くのをそのまま追随していくのかというところになるんですが、そのところについては、日本は結構控えめですね。59%となっています。実際これは去年48%でしたので、率は上がってきているんですけども、ブラジルは76%ということで、やっぱり自分が壊していくんだと、自分がフロンティアになるんだという意識が非常に強いんだなとここで感じ取られたところになります。

 そのためにはやっぱり失敗はどうしても出てきます。やっぱり、新しい事を挑戦する、100%うまくいく訳はありませんと。特にシリコンバレーの用語で良く言われているのは、皆さん聞いたことがあると思うんですが、Fail fast、失敗しながら始めるというのがよく言われています。これがGoogleが成功した秘訣とも言われていますし、Amazonの社長も何十億ドルも損失を出したというふうに言われておりますので、Fail fastというのが受け入れられる土壌があるかどうかというところが、ひとつ、この市場を破壊していくところで非常に重要なキーワードになるのかなと。失敗から学ぶ社風を作っていくかどうかというところについては、大体グローバルもブラジルも日本も高いと。一方でそれを受け入れる土壌が既にできているかというところなんですが、日本人、中々、控えめなところがあると思うんですけども、失敗を受け入れていると言い難いと。41%しかありません。ブラジルは70%ということで、土壌はもうできているよと、いくらでも失敗してもいいよと言っている経営者が、一応結果としては多かったというところになっております。

 CEOアンケートの中をもうちょっとご紹介させていただきたいんですけども、レジエンスという言葉を皆さん聞いたことありますでしょうか。2013年度のダボス会議の時にこの言葉が出てきたかと思います。一般的に国際競争力が高い国=レジリエンス力が高い国というふうに言われておりまして、日本は違いますというふうなダボス会議の時の報告書になっています。

 このレジリエンスって何か、そのまま訳すと回復力というふうになるかと思うんですけども、日本語で何かいい言葉がないかなと考えた時ですけども、イメージだと七転び八起きというのがやっぱりぴったりくるのかなと。やっぱりビジネス、右肩上がりで上がっていく訳ではありません。失敗することもあります。失敗して下がるんですけど、それを打ち破って上がっていくということで、こけても立ちあがるというふうに考えていただければ分かりやすいのかなと。じゃあこけても立ちあがって、どのビジネスを本当にやっていくんだというところのアンケートとしては、日本企業についてはコアの事業を守ることが一番大事ですと。ブラジルは結構分かれておりまして、その中で私が個人的に着目したのは、やっぱり市場を壊していくんだと、本当に新しい事をやっていくんだという比率が非常に高いと。24%になっていました。

 一方で、じゃあ壊していくんだったらスピードというのは非常に大事だなと思った時なんですけども、そのスピードというものが企業の存続を左右するかとなってくると、結構意外とブラジルは60%で日本よりも少なかったと。ここらへんについては、すみません、なぜ少ないのかまではですね、私も色々資料見たんですけども、自分でも考えたんですが、中々ちょっと思い浮かばなかったところではあるんですが、自分がフロンティアとして頑張っていくけども、まあスピードは別にそこまでじゃないよという意味では、ブラジル人の気質をもしかすると表しているところなのかなというふうに思ったところになります。

 CEOの調査の最後のところになるんですけども、こちら挙げさせていただいたのは、いま時代が変わっていきます、各部会長の方からもありましたけども、働き方も変わっていきますと。そうすると、人に求められる能力というのは必ず変わってきますと。であれば、その人が、働き方が変わっていったことによって求められる能力が変わっていくことに対して、企業としてそれをちゃんと教育していきますかというところに対して、4割以上の従業員に対して教育しているかというところですと、グローバルだと82%なのが、ブラジルは結構低く68%になっていたと。社内で育てていくという人が7割ぐらいはあるんですけど、グローバルから見たら少ないと。じゃあ、十分新しいスキルを持った人が街中にいるのかなと、労働者マーケットにいるのかなというところいなった時に、ブラジルの経営者としてはそんなにいませんと。新しい技術を持った人を雇おうとすると難しいと答えているのが66%になっているというところでは、これはコンサルタント部会の話にもなったんですが、これからの企業さん、生き残っていくためには教育が非常に大事だと。国の教育ではすごい時間がかかると、20年、30年かかってくるという意味では、自ら企業さんが従業員を教育していくことが大事じゃないかと。それによって会社を強くしていくという中では、いまブラジルの企業の中では、教育をやってスキルの習得を予定しているというのは68%と他の国よりも少ないという意味では、日本企業さんは残念ながら結果がなかったんですけども、日本企業さんはやっぱり教育を大事にするかと思いますので、皆さんの会社でブラジル人の方に対して教育をやっていくというのは、今後皆さんの会社が強くなっていくための一つの方策かもしれないというふうに思ったところになります。

 ここで一応CEOのアウトルック調査について終わらせていただくんですが、それ以外にも実は、サイバーセキュリティの件とか、中国の一帯一路政策についてどう思うかとか、色々項目があったんですが、ご興味あればまた別途お話しさせていただければと思います。

 ここからちょっと視点を変えまして、コンサルタント部会の副部会長の今井さんの方からご提供いただいたデータになるんですけども、ブラジルに海外の会社が投資していく時にどういう手法を重要視していきますかという中の一つとして、JPモルガンが出している新興市場証券指標というのがありますと。これを見ていただくと、ルセフ大統領の政治混乱の時はリスクが上がっていましたというところが、直近ではだんだん下がってきていますと。どれぐらい下がっているのかなというところで、確かにブラジルがBRICsと言われたころよりはちょっと高いかもしれないんですけども、だんだん下がってきているという意味では、この指標だけ見ると、外資から見ると投資をしていくというのはもしかすると魅力的に映るかもしれないというふうな一つの指標になっております。

 続いてBOVESPA指標と海外直接投資というところなんですが、皆さんご存知の通りBOVESPAはどんどん価格が上がってきました。ただ、上がっていった中としては、国内の機関投資家とかの投資が多くて、海外からの投資は下がって行ったというところで、リスクとしては下がっているはずなのに、株式市場への投資というふうに見ていくと、国内機関投資家が増えて海外からは逃げて行っているという状況になっていったというところになります。

 ではブラジルの株式市場というものをですね、他の海外の市場と比べたらどうかというところになります。この点線で囲っておりますMDBとか、あと隣のYTBのところを見ていただければと思うんですが、どのぐらいブラジルの株式市場が価格が上がったか、時価が上がったかというところなんですが、時価の上がり方については、日本とか韓国、アジアは中々低いんですけども、ヨーロッパ、アメリカと比べるとブラジルの株価の上がり方というのはそんなに遜色ないのかなと。

 一方で、株を投資していく一つの指標として使われる、このPEと書かれているところなんですけども、株価収益率ですね。株価を一株当たり利益で割った時の指標がどうですかと。これ一般的に、14~20が適正数値だと言われています。そういう意味では、ブラジルは11.87、という意味では、株式市場としては投資するには魅力的、価格がちょっと安いふうに出ていると言えるのかなと。もしかすれば、リスクが高いからやっぱり株価が上がりきっていないというふうに言えるのかもしれないというところですね。ちなみにNasdaq、23.8とちょっと高めになっているんですが、Nasdaqはアメリカですけども、新興市場となっておりますので、どちらかというと期待高の銘柄が多いものですから、Nasdaqは通常一般的には高めの数値になると言われているところになります。

 そういうブラジルの株式市場ですけども、じゃあこの上期に上場した会社が何社ありましたかというところになります。残念ながらブラジルの上場した会社は2社しかありません。一つは、皆さん利用したことがあるかもしれませんが、スポーツ用品をやっているCENTAURO、ここが上場しました。もう一つが、一応民間の電力会社としては契約者数2番目を持つと言われておりますNEOENERGIAというところの2社しかブラジルの株式市場に新たに上場した会社はありませんでしたというところになります。

 今後ブラジルの株式市場に新しくどういうところが上場する予定をしていますかというところを少し調べたものになります。下3つはですね、Caixaが4つの民営化をすると言っているところの3つになるんですが、上から2つ目、3つ目ですね、ここのSmartFit、皆さん見たことがあると思うんですけども、フィットネスですね、今上場をねらっておりますし、あと、私個人的には使ったことがないんですが、このVivaraというジュエリーの会社ですね。私はお店の中にも入ったことがないんですが、一応旗艦店はモルンビーショッピングの中に入っていると言われていますが、そこも今後上場していこうということで、Vivaraについては既に上場申請書が出されていて、10月に上場を予定していると言われているところになります。それでもやっぱり数は中々ちょっと少ない感じになってくるんですが、じゃあこれを世界と比べたらどうかというところが次のスライドになります。

 グローバルのIPOの動向。特に今年2019年度はアメリカにおいてIPOバブルと言われております。実際件数もですね、6月までにアメリカ97件、日本もそれなりに多いんですが、日本は38件ということで、世界的にIPOの件数が非常に多くなっていると。どういうところが多かったかといいうところですけれども、多分皆さん大体名前を聞いたことがある、有名なところだと思うんですが、Beyond Meatですね。非常にこれについては上場の時から株価が非常に上がったところになります。あと、上場して投資家をがっかりさせた銘柄として代表株として言われるのがUberとLyftと。皆さんよく使われていると思うんですが、Uberについては結局、上場してもこの第2四半期も赤字でしたということで、Uberは一度も今まで黒になったことがないというところですけども、上場していると。

 で、今後ですね、一応上場されると期待されている会社名をこちら下に6つほど挙げさせていただきました。皆さん知っている会社ってありますでしょうか。多分有名なところではAIRBNBとかは有名だと思いますし、その下のWEWORKというところも皆さんご存知かと思うんですが、この中でですね、一つ色々調べていきますと、右側のRobin Hoodという会社があります。これ、モバイル株取引ということで、2013年に会社ができましたと。で、これ、最近資金調達をしましたと。この資金調達をした結果、どれぐらいの時価総額があったかとなってきますと、8200億でしたと。日本の会社の今株式市場に上がっている上場会社で8200億となってくると、どのような会社があるかというのを調べてみますと、大成建設さん、これが8251億円、日本の株式の中で151番目でした。この上に来るのが出光興産さんが8300億円ということで、たった6年でこのような会社の規模にも追いついてきているというような会社が今後上場してくる会社としてアメリカに控えていると。あとですね、この左側の一番上のPLANTIRというところについては、日本のOKWAVEという会社が実は出資をしているんですが、ここについては上場する時に、今410億ドルと言われておりますので、4兆5000億ぐらいの価値が出るんじゃないかというふうに言われておりまして、そういう意味では今後アメリカにおいては非常に上場株の期待も高いものがあると。ただ、今まで上場株の有望だと言われていたWEWORKについては、結局この第2四半期も赤字でしたということで、WEWORKって本当に価値があるのかというのはちょっと疑問点がつくというのが最近噂されているところになります。

 あと、株価収益率の比較というところで、先程言った株価収益率がアメリカとブラジルを比較してどうかというところです。これ、何を取ってきてあるかというと、ブラジル会社でアメリカに上場している会社の株価収益率を取ってきているものになります。結局、なぜアメリカに上場するのかというと、お金がすぐ回収しやすいからと言われているところを証明しているところになると思うんですが、PagSeguroについては株価収益率が36倍とか非常に高い率になっているんですが、ブラジルで上場している会社は一番高くても21倍というところで、やっぱりブラジルよりもアメリカで上場した方がお金という面では企業家にとっては良いと。ただアメリカで上場すると株主からのプレッシャーも高いですし、規制当局からの規制も厳しいというところで、そっちがあっても高いお金を取りにくるのか、まあそこまでではないブラジル市場に上場するのかというのは、これは企業家さんの判断かなというところになります。

 ブラジルのスタートアップ企業、今まで投資額というところで一例を見ていましたけども、ソフトバンクさん、最近よく言われていると思います。ソフトバンクさんの投資がありましたという中で、ソフトバンクさんが南米で50億ドルの投資をすると発表された後、ネットで色々調べた限り、今のところソフトバンクさん、合計で南米に投資している金額はRappiも入れて20億ドルぐらいだと思いますので、ソフトバンクさんまだ30億ドルぐらい投資できる枠を持っているというところになりますので、まだまだソフトバンクさんは盛んに投資してくるのではないかなというふうに個人的には思っているところになります。

 すみません、ちょっと時間がないので。時間があれば税制改正をお話ししようと思っていたんですが、飛ばさせていただきます。

 ブラジルにおけるスタートアップ企業、最近よく言われていると思うんですが、新しい企業形態ができていますというところを少しだけご紹介させていただければというふうに思います。

 今回ですね、どこの市場をお話しさせていただこうかなと考えました。よく言われるFinTechもあります。ブラジルなので農業系のAgritechもありますと。あと、それ以外にやはりHealthtechもあったりとか、あと2018年度からかなり注目を浴びてきている法律関係のLegaltechというのもありますと。そういうのがあったんですが、今回はRetailtechとEdTech、小売と教育のものについてピックアップさせてもらいました。他のところについてもしご興味があれば、今後のシンポジュームでお話しさせていただきますし、個人的にもお話しさせていただければというふうに思います。

 ではなんでこの二つを取ってきたかというところなんですが、Retailtech、小売ですね、Amazonが出てきましたと。実際Amazonを利用された方がAmazonのサービスはひどいと、こんな小売は伸びないということを仰る方もいらっしゃるかもしれませんが、Amazonが本格進出で出てきましたと。あと奇しくも、昨日ですね、メキシコ駐在されている方はご存知かもしれないんですが、FEMSAというメキシコの大手の小売りが、ブラジルのシェルのガソリンスタンドを運営しているRaizenと組んでコンビニ事業をやっていきますということで、メキシコの会社が本格的にブラジルのコンビニ事業に入ってきたということもあって、こちら、小売りついては元々ブラジルはポテンシャルが高いと言われていた所はあったんですが、投資も実際起きてきているというところで挙げさせてもらったところになります。

 あとEdTechについては先程お話しさせてもらいましたけども、ブラジルで従業員さんに教育していくことが大事じゃないかと。これが企業さんにとって、今後企業の競争力を高めていく一つになるんじゃないかとお話しさせてもらいましたので、このEdTechについても取り上げさせてもらいましたというところになります。

 じゃあRetailtech、ブラジルは今Retailtechどんな感じかというところなんですが、会社数、調査の結果ですけども、FinTechは553社ということですが、Retailtechについては269社というところで、まだまだ小さいです。ただ、Retailtech、ポテンシャル高いと言われていたんですが、どれぐらい高いかと示すところとしては、やっぱりインターネットユーザーが非常に多いですよとか、eCommerceの占有率が4%しかないと。アメリカは10%だと。実際、このeCommerceの成長率を見た時には、ブラジルはこれは12%伸びましたと。伝統的なところは2%しか伸びていないというところについては、eCommerceについては非常に伸びていっている。あとブラジルでインターネットでものを購入する人は、皆さん既に購入されていると思うんですが、購入数量が増えていくというところでは、Retailtechというところについては非常に今後伸びていくことが期待されるんじゃないかというところになります。

 代表的な会社、どういうところがあるかと、実はこれいくつか用意しているんですけど、時間もないので割愛させていただければと思うんですが、一つだけご紹介させてもらうと、このWinwinという会社ですね。どういうものかというと、アプリを入れると、ショッピングモールとかどこか近くに行くとその近くの店舗にある割引券、クーポン券がぽこっと入ってきますというものをブラジル人が開発しましたと。アイデアとしてはポケモンGoから来ましたという意味では、日本人のアイデアがブラジルのスタートアップ会社によって利用されたというケースで、中々これ面白いケースだなというふうに思ったところになります。

 あとEdTtechですね。EdTechは今どういう市場になっているかというところですが、会社数については364社ありますと言われております。ただ、コーポレートビジネス、会社に特化したものについては8%しかなくて、初等教育がほとんどですというふうに言われているところになります。ただ、一応ブラジル、先程言いました、教育していくかという比率、グローバルからは低いんですがそれでも7割ぐらいあったという意味では、ブラジルの社員教育というのはやっていくということは、ブラジル人は考えているというところは一つ言えるのかなというふうに思います。そういう意味ではEdTechに対する期待値というのはブラジルでも非常に高いんじゃないかなと思うところになります。

 それでは、あとはスタートアップ企業との協業というところで、どういうところの協業があるかというのをいくつか紹介させてもらっているんですが、時間の関係で一つだけ紹介させていただくとですね、皆さん行ったことありますでしょうか、ブラジルにもAmazon Goのような無人店舗がありますと。最初は2017年にビトリアの方でできたんですけども、サンパウロには今年の3月にできました。私行ってきました。無人店舗なので、どうやってやるんだろうなと思って。アプリも何もダウンロードしないで行ってしまったがためなんですが、お店の前でQRコードを読み取ったら、クレジットカード番号もそこで入れないと当然入れないんですけども、お店の前で携帯を持ってクレジットカードを持って立つのはちょっと勇気がなかったので中には入らなかったんですけども、一応ブラジルにはこうやって無人店舗ができている。実際Amazonn Go、アメリカには今13店舗、将来的には何百店舗も広げていこうとなっているかと思うんですが、Carrefourもこういう試みを今始めているというところで、新しいビジネス形態がどんどんブラジルには出てきているということが一つ言えるのかなというところになります。

 あと、EdTechのところもですね、インターネットを使って教育をやっていくというところについて今非常に盛んになっているというケースがこちらになるというところです。

 最後ですね、それ以外の分野でも非常に色々と、新興企業と伝統的な企業が組んでやっているビジネスがありますというところの紹介になります。特にVale、ダムの事故があったと思うんですが、そのダムを使わずして選鉱できる技術の会社、Newsteelというのがあるのを、そこを買収していると。それが本当にうまくいくと、Valeのああいうような事故は将来なくなるかもしれないというところで、そういう意味では、先程言った七転び八起きではないんですけども、何か壁に当たった時に打ち破る一つの手としてこういう会社があるのかなというふうに思ったところになります。

 最後にというところなんですが、基本的には景気の波がありますと。景気の波にブラジルをあてはめると、こちらですね、株価は上がってきている、景気回復の途中にあるんじゃないかと。そういう意味では、アメリカはもうかなり株価も上がりすぎていて、景気も好調だと言われているのであれば、今後ブラジルはアメリカに向かっていく可能性もあるんじゃないか、という意味では、非常に苦しい時かもしれないんですが、新しいビジネスも起きているこのブラジルにおいては、皆さんの努力によって今後さらに皆さんの会社が伸びていく可能性もあるんじゃないかというところになります。

 以上、駆け足になったんですが、私の方のセミナーは終了させていただきます。

司会

 ありがとうございました。ご質問よろしいでしょうか。いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、吉田部会長たいへんありがとうございました。時間がないと何回も仰っていただいて、税制改革の説明を飛ばしてでもスタートアップ投資の話をされたということで、ブラジルもずいぶん変わってきたなというふうに、それだけ興味のある話題だったんじゃないかなというふうに思います。ありがとうございます。今ですね、3時30分でございます。予定3時15分でしたけど、15分遅れではございますけど、まあ根拠はないですが帳尻はたぶん合うと思いますので、予定通り15分間休憩をとらせていただきます。3時45分にこちらにお戻りいただければと思います。吉田部会長たいへんありがとうございました。

 

コーヒーブレイク

 

後半の部

司会 大久保敦 企画戦略委員長

                               

 時間になりましたので、これより業種別シンポジュームの後半に入りたいと思います。私、後半の司会を務めさせていただきます企画戦略委員長の大久保でございます。Jetroサンパウロ事務所の大久保でございます。よろしくお願いいたします。それでは、早速ですね、化学品部会の発表から入りたいと思います。村松部会長より発表をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

化学品部会

村松正美 部会長

                  

 皆さんこんにちは。化学品部会部会長を務めます、パイロットペンの村松と申します。本日は余計な事はさておいて、化学品部会のアンケートの調査の内容についてご説明したいと思います。

 式次第にのっとりまして、化学品部会、8つの市場がございますが、それを6つの市場に決めまして発表したいと思います。それと、まとめ。最後に副題、内外の環境変化にどう対応するかということを発表していきたいと思います。

 化学品部会所属企業・団体は全部で75社ございます。アンケートに協力いただきました企業・団体は21社で、そのうち工場保有が10社ございます。アンケートにつきましては、8つの市場の売上と利益をそれぞれ、増加、不変、減少の3つの表現で回答いただきました。ただし、増加、減少につきましては、どのぐらいの増加なのか、どのぐらいの減少なのかについては細かい資料はございません。表現として増加、不変、減少の3つで表現しております。

 それでは、その8つの市場はどんなものかと申しますと、一つは輸送関連、自動車、二輪車など。ヘルスケア関連、食品、化粧品、医療品など。それと農業関連、農薬、飼料、酵素など。そして印刷関連、インキ、製紙など。機器関連、電気電子、医療など。それとコンシューマを対象とした筆記具、接着剤、潤滑剤など。それと建設関連、服飾関連となって、8つの市場がございます。本日はこれから6つの市場をとらえまして、状況をご報告いたします。アンケートの総数は40件でありました。

 それでは、8つの全ての市場、2019年上期の振り返りを見ていきたいと思います。売上で22.5%が増加と答えられております。悪くなっていない、不変を含めますと67.5%。利益は、増加と答えられたのは8%。不変を含めますと全体で55%と回答を得ております。

 それでは下期、どうなるんだろう、どう臨みたいというところにおきましては、47.5%が売上の増加を見込んでおりまして、不変を含めると85%が回復を望んでいるというデータが入っております。利益は37.5%が増加と見込み、不変を合わせまして85%と回答を得ております。データから直接読み取ることはできませんが、細かい各会社のデータを見ますと、下期、楽観的な見方はまだできないのかなというような感じを受けております。

 それでは市場ごとに、上期どうであったか、下期どうなるだろうというところをご説明したいと思います。

 まず輸送関連。自動車、二輪などですが、用途は内外装のプラスチック部品、エンジン用シール材、樹脂添加剤などとなっております。売上が増加したと答えられたのは15.4%と低く、不変をあわせて約70%、69.2%の回答を得ております。輸送関連では、皆さんもご存知のように、アルゼンチンの景気後退などで市場が低迷しているという回答を得ております。利益面でも、増加が15.4%、不変を含めますと61.5%の回答を得ております。売上の減少の主な要因は、やはり先程申しましたアルゼンチン向けの輸出の不調、あるいは新モデルへの展開がなかった、あるいは価格競争が激化しているよという回答を得ております。

 それでは下期どうなるんだろうと、どうしたいというところを含めまして、発表いたします。下期では売上増が増えて、不変が減っております。売上増は25%、不変を含めると69.2%、約70%。わずかに復調は望んでいるという状況になっております。利益面では23%が増加と見込み、不変を含めると84.5%と、維持が増えると見込んだというデータが入っております。自動車分野では売上増の原因に挙げられたのは、下期新規採用があるだろうと、増加するだろうと見込み、新規採用に期待するとしたデータと、あるいは新規メーカーへの拡販もねらっているよというようなデータもいただいております。逆にマイナス面におきましては、やはり輸出市場の回復の遅れ、あるいはエタノール市場の下落、さらにはますます激化する価格競争、これが予測されるというようなデータをいただいております。

 続きましてヘルスケア関連。食品、化粧品、医療品など。用途は食品添加剤、包装フィルム、改装着色剤、それと一般医薬品などとなっております。まず上期はどうであったかといいますと、売上が増加したと答えられたのは42.9%の回答を得ております。ヘルスケアでは商品が健康志向ニーズが増加したと、こういうことを挙げておりまして、また化粧品市場は非常に堅調であったと、需要が堅調であったと回答を得ております。利益面では増加が28.6%の回答を得ております。逆に、やはりアルゼンチン向け輸出の減少や、原材料の高騰、これによって利益が減ったということが言われております。また、ヘルスケア関連でも価格競争が厳しくなっているということも挙げられております。

 下期展望では、売上増加が75.4%と高くなっております。不変を含めますと85.7%。市場回復の望みを強めているという状況が見て取れます。利益面では42.9%が増加と見込み、不変を含めますと85.7%と、さらなる回復を見込んでいるというデータが上がっております。売上が増えたその要因に挙げられたのが、国内需要の堅調、また健康志向ニーズのさらなる増加、それと新規取引先の開拓も進めているよというような話をいただいております。逆にマイナス面では、やはりアルゼンチン向けの輸出の減少、あるいは原材料の高騰といったことが挙げられ、厳しい面ものぞかせております。

 次に農業関連。農薬、飼料、酵素などであります。用途は殺虫剤、殺菌、除草剤、飼料添加剤などとなっております。まず上期の回顧ですが、売上が増加したと答えられたのが50%であり、不変を含めると62.5%でありました。農業関連では顕著な伸びがあったということでデータをいただいております。反面、ジェネリック攻勢や、中国製品の供給不足、あるいは高騰といったことが挙げられております。売上増の主な要因は、やはり好調な農業生産、ここにきての大豆の需要の拡大、綿の作付面積の拡大といったことが売上増になったという回答を得ております。利益面では37.5%が増加と回答を得ております。

 それでは下期どうなるんだろうと。展望におきましては、売上増加が62.5%、上期を上回る予測をしております。不変を含めますと87.5%と、さらなる市場の回復の期待を強めているというデータが上がっております。利益面では50%が増加と見込み、不変を含めますと87.5%と、期待を大きく寄せているというデータが上がっております。売上増の要因に挙げられたのが、大豆需要、好調な農業生産、あるいは綿の作付面積拡大を期待といったことや、ソフト面では農薬審査登録処理の若干の短縮が好材料として、期待として挙げられているという情報もあります。反面、やはりジェネリック品の激化が予測され、価格競争もさらなる厳しさが出るとも予測されております。

 続きまして印刷関連。インキ、製紙など。用途は出版、パッケージ用インキ、印画紙などとなっています。上期の回顧につきましては、売上増加したと答えられたのは残念ながらなく、安定需要があったとして不変が75%を占めたという状況です。反面、やはりマイナス面は価格競争も厳しいよと、ここでもそのようなデータが上がっている。あるいは原材料の高騰が挙げられております。利益面では50%が減少として回答があり、非常に厳しさを浮き彫りにしております。

 下期の展望では、売上増加が50%と回答があり、不変を含めますと100%と、市場回復の期待を強めております。利益面では50%が増加と見込み、不変を含めますと75%と、これもまた期待を高く寄せているという状況であります。売上増の要因に挙げられたのが、販売品目の増加や新規案件の増加、売上実施を検討しているといったような内容の回答が寄せられております。反面、価格競争のさらなる激化、これが予測されると回答が寄せられております。

 続きまして機器関連。電気・電子機器、医療機器などであります。用途は眼科治療用デバイス、あるいは透析装置、外装部などとなっております。まず2019年の上期の回顧ですが、売上が増加したと回答したのはゼロで、厳しさが伝わる内容になっております。不変を含めますと75%。状況は変わらなかったというデータであります。利益面では売上と同じく厳しく、マイナス面ではドイツ、アジアメーカーとの競争の激しさが増えたこと、あるいは人件費高騰があったよということで、市場の回復の遅れを指摘しております。

 それでは下期の展望につきましては、売上が25%で、不変を含めると100%というデータがあり、市場の回復の期待を強めているということであります。利益面では25%が増加と見込み、期待を大きく寄せているというデータになっております。売上増の要因に挙げられたのは、競争力のある価格づくり、あるいはテクニカル営業強化を急ぐとしております。反面、上期と同じように、ドイツ、アジアメーカーの動向が非常に気になるという回答も上がっております。やはり、価格競争もさらに激化するだろうというようなデータも上がっております。

 次にコンシューマ。お客さん相手の筆記具、接着剤、潤滑剤などであります。用途は個人用筆記具、あるいはビジョンケア材料となっております。まず上期どうであったかと申しますと、売上が増加したという回答は残念ながら得られず、不変であったという厳しい回答が寄せられております。利益面では50%が増加、50%は減少と、分かれたデータになっております。マイナス面は市場の減少や購買力の低下が挙げられております。また、その一因として安価なインドや中国製品の攻勢が強まり、さらにコストダウン対応が迫られているという状況が伝えられております。

 それでは2019年の下期、その展望はどうであるかというと、売上増加が50%と回答があり、不変を含めると100%ということで、市場回復の期待を強めているというデータが上がっております。利益面でも50%が増加と、強い回復見込みを期待しているというデータが寄せられたということであります。売上増の要因に挙げられたのは、一つには新規製品の投入、機械化によるコストダウン対策、これをやっていこうということであります。反面、市場の減少や購買力減少はこのまま続くんだろうというデータが上がっております。また、中国製品の動向と価格競争の激化を懸念しているというデータも上がっております。

 それでは化学品部会の全体を見てみますと、上期と下期、それぞれやはり業種によっては好調なものもあれば、回復の遅れ、あるいは下期においては農業関連は好調維持といったデータが上がっておりますが、全体的にはやはり楽観的な見方はできないかもしれないという状況のデータが上がっております。脅威といたしましては、やはりジェネリック品の攻勢、それと中国、インドの安価製品の台頭というようなデータも上がっているということであります。その対策として、下期にやはり新製品の拡販をやっていきたい、ニッチ市場の開拓をしたい、営業強化、取引先の開拓といったものが挙げられております。

 続きまして副題、内外の環境にどう対応するかということにつきまして、各企業から挙げられた関心事としてまとめてみました。

 まず、農薬登録審査の短縮ということで、許認可プロセスの簡素化あるいは敏速化を望むということで、関心事として寄せられました。最近は若干スピードが上がったというようなお話も聞いておりますが、やはりさらなる改善が必要だというふうに関心事として寄せられております。

 続きまして、規制緩和。これは一つには広告表現の規制緩和を求めると。具体的には一般医療品の販売の広告規制において、世界的に見て非常に厳しいと。ここをグローバルレベルまで緩和を期待したいという関心事が寄せられております。その中に、広告表現の規制緩和として、タレントの起用なども考えているよというような関心事を寄せられたということです。

 それと、もう既に皆様ご存知の、年金・税制改革の動向はどうなるのかと。それと、物流需要の増加を期待しているよということで、それぞれの関心事が挙げられて、ちょっとまとまりがつきませんが、副題として列挙させていただきました。

 以上で化学品部会の発表を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

司会

 村松部会長どうもありがとうございました。全体としては、まあ色々業種によって違いはありますけれども、2019年下期というのは、楽観はできないけど上期よりは良くなったということで、若干アルゼンチンの動きとかですね、足を引っ張る動きがありますけれども、やはりヘルスケアですとか、農業が良いと言われていましたね。それからあとはヘルスケア等ですね、内需関連は比較的いいんじゃないかと、そういった印象を受けました。脅威としては、ジェネリック品の攻勢とか価格競争ということで、新製品拡販や市場開拓、営業強化、取引先の開拓といったところが課題としてあって、あと内外環境の変化への対応として、まあ去年も出ていましたけどね、農薬登録の審査を短縮するということ、これ今回初めて出ていましたけど規制緩和ということで、広告規制の緩和というのは今回初めて出た動きだったかと思います。

村松部会長

 まだ世界レベルより厳しいという回答をいただいております。

司会

 それから年金・税制改革の動向ということで、ちょっとコンサルタント部会で時間がなくて省略されましたけど、関心があるということかと思います。以上の発表につきましてご質問のある方、挙手をお願いできればと思います。いかがでしょうか。では、質問ないようですので、化学品部会の発表は以上とさせていただきます。もう一度盛大な拍手をお願いいたします。

 それでは、引き続きまして電機・情報通信部会の発表に移りたいと思います。電機・情報通信部会は、今年の6月ですか、電気電子部会から名称を変更しまして、運輸サービス部会の情報通信の企業さんが電気電子部会の方に入られて、名称が電機・情報通信部会ということになっておりますので、また新しい内容の発表になるかと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは、小渕部会長代理ですね、発表をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

 

電機・情報通信部会

小渕洋 部会長代理

                  

 ただ今ご紹介に預かりました、小渕と申します。私どもの部会はですね、電気電子部会と称しておりましたが、今大久保さんから仰っていただいた通り、この6月より電機・情報通信部会と部会名を変えさせていただきまして、部会長はNECの髙田でございますが、本日は都合がつかず、誠に申し訳ございません。私NECの小渕と申しますが、代理でプレゼンさせていただきたいと思います。あとですね、大久保さんの方からご紹介がなかったので、新しい部会の名称、前の電気電子の気は気体、gasの気だったんですけど、機械、machineの機に変わりましたので、こちらもあわせて新しい部会名、よろしくお願い申し上げます。

 まず、最初に部会の中のアンケート結果の方からご報告申し上げさせていただきたいと思います。今年の2月の時点で2019年のですね、通年の展望をさせていただきました。その展望と比べて、今回の半年経ったところのアンケートではですね、部会の中の販売動向が改善すると回答いただいた企業の割合が残念ながら減ってしまったという状況でございまして、維持ないしは悪化という回答をいただいた企業の割合が少々増加してしまっていると、こういうのが上半期終わったところのアンケート結果でございます。

 このアンケートの結果はですね、3つぐらい理由が挙げられると思うのですが、販売動向改善が少なくなってしまったアンケートの結果としては、まず一番目に、年初に期待していたほどブラジルの景気が回復しなかった。それから2番目に、レアル安の価格をですね、国内の販売・サービスの価格に転嫁できないという環境が続いているということと、それから3つ目に、隣のアルゼンチンの経済危機が、ブラジルから対アルゼンチンビジネスをやっておられる企業が多いのですが、そのビジネスに隣の国のビジネス環境が影響してしまった、というふうにして私ども分析をしております。

 また、このアンケートでコメントが多数あったことをちょっといくつかお話しさせていただきたいのですが、一つ目が、日本とメルコスールのEPAの早期締結への期待、これがまず一つ目。それから、2番目に韓国ないしはEUとメルコスールのFTAが進捗の状況、これについてのコメントが多数ございました。韓国やEUとですね、メルコスールのFTAが先行してしまいますと、日本企業はメルコスール域内でビジネスの環境で非常に不利になるということでございますので、日本とメルコスールのEPAの早期締結が急務だという意見が非常に、まあご想像の通りだと思いますが、非常に多かったということをここで述べさせていただきたいと思います。また、あと皆様もご注目されていらっしゃると思いますけども、ブラジルの年金改革、それから税制改革の動向ですね、これも当然ながら国内の景気に大きな影響を与えるというふうに判断を我々も、している部会の会員企業が多くてですね、引き続き当部会内でもモニタリング、注目していきたいと、こういうアンケートのコメントが多かったということでございます。

 次にですね、当部会の業界の動向について触れさせていただければと思います。まずはですね、ブラジルの国内のセルラー、携帯電話の回線契約数、ちょっとこれについて触れさせていただければと思います。ブラジルの携帯電話回線の契約数は、総数でですね、約2億3000万回線でございます。これはですね、ほぼ世界の人口に比例するのですけど、1番が中国、それからインド、アメリカ、インドネシア、続いて世界第5位がブラジルであると、こういう回線数になっております。

 左のグラフでございますけど、ブラジル国内のVivo社が7000万回線以上で1位を誇っていると。ClaroとTIMが6000万回線で激しい2位争いを演じているという状況でございまして、その下のグラフ、左の一番下がこれが民事再生中のOiでございますけれども、4000万回線弱ですね、ということで大きく差が開いているということでございます。

 それから右のグラフはですね、これは4Gの回線契約数でございますけど、ブラジルでは第4世代と呼ばれる4Gのですね、回線が急に普及してきていると。各社の契約数はここ2、3年で増加が急になっている。グラフで見ていただくと分かる通りでございまして、大体ですね、ブラジル国内のセルラー、携帯電話の契約の約半分、ざっくり半分がいわゆる4G、第4世代に移行していると、こういう姿になっているということでございます。

 巷では5G、5Gと言われているのに、前のページで言ったようにようやく半分4Gになってきたというのがブラジルなんですが、世界全体に目をちょっとここで転じさせていただくと、皆さんご存知の通り第5世代、いわゆる5Gと呼ばれているサービスが段階的、少しずつではあるんですけどスタートしています。というのが他の国、先進国の状況でございます。4Gから5Gになると通信速度が大体100倍に上がると言われております。それから同時にですね、接続できる端末の数がかなり増加するということと、我々が色んな端末を見て行って応答で感じる速度も約10倍以上に向上すると。これが4から5になると起こる現象だと言われていて、別の言葉で言うと、光ファイバーだとか有線とですね、そんなに遜色のない通信がこのモバイルの世界でも可能になると言われて、世界が劇的に変わりますよと、IoTとかそういう世界などで画期的な変化が5Gになると起きると言われています。

 今年の4月3日にですね、アメリカと韓国で、両国が競うような形で世界最初の5Gの商用サービスが、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、スタートされました。ただしですね、速度も対象地域も限定的でございますので、今後、もっと、出てくるスピードとかエリア、そういったものが拡大、増加していくということで、まだ5Gも始まったばかりだというふうにご理解頂ければよろしいかなと思います。では日本ではどうかということでございますが、日本での5Gですけども、今年の夏、日本の夏、キャリア各社が順次5Gのプレサービスを開始して、来年の東京オリンピックまでに商用の5Gサービスを開始したいということで予定していると、こんな状況が日本でございます。

 ひるがえってブラジルでございますけども、ブラジルでの5G対応ですが、先月ちょうど5Gに関する意見公募というのが実施されまして、来年3月には通信事業者向けのですね、5Gの周波数割り当ての入札が行われるという予定でございます。ちょうどそういう5Gに関する動きがブラジルでも起きたということで、来年に周波数の割り当てが入札されると、こんな状況でございます。あとブラジルではですね、中国企業のファーウェイが5Gの基地局、これは5Gになると基地局をたくさん作らないといけないんですけども、その製造工場の建設のためにブラジルに8億ドル規模の投資をすると発表しています。なので、今後本当にそれが実現していくのか、実行されるのかというところを注目したいなというに考えている次第でございます。

 携帯の話はちょっとやめまして、次、固定回線ですね。固定回線の方の契約数について触れさせていただければと思います。ブラジル国内の固定電話の回線契約数は、これ左のグラフですが、日本と同じに減少傾向、やや減少傾向ですと。それから、右のブロードバンド回線、これはインターネット回線でございますけど、これは逆に増加傾向にあるということでございます。固定回線が減少している一方で、ブロードバンドの回線は増えていると、こういうことでございまして、大手のですね、ブラジル国内の通信事業者には大きな変化はないんですが、一方でこのインターネット回線のブロードバンドの方は中小規模のプロバイダの会社、このOthersという灰色のところのグラフがぐわっと伸びているんですけど、こういったところ、例えばブラジルでいうとAlgar社とか、そういった企業が契約数を伸ばしてきていると、こういう姿が展開しています。

 次のページに行かせていただきます。これは携帯・固定通信事業のですね、企業の売上推移でございます。売上に目を向けますと、業界全体でみるとですね、携帯、固定どちらもほぼ、ざっくりですけど横ばいに推移しているところです。ただし、民事再生中のOi、第4位のOi社の売上は低下してしまっていると、こういうのが構図でございます。

 次にですね、ITデバイスの売上に触れさせていただきます。携帯電話、いわゆるガラケーですね、それだとかあとはPC、パソコンの売上は減少傾向です。一方で、まあ皆さんご想像もされてて実感もあるかなと思いますけど、いわゆるスマホ、それからタブレット、こういったITデバイスの売上は引き続き増加していいると、こういうマーケットでございます。

 通信インフラですね。右の通信インフラ関係への投資を見ますと、通信事業者のネットワーク投資、これが引き続き上昇をかなりしているということと、それから先程も触れさせていただきました、来年以降の5Gですね、第5世代の5Gのインフラの投資が来年以降始まれば、さらに通信事業者の投資が高まっていくんじゃないかなと、こう期待している次第でございます。一方でですね、世界のネットワークインフラの投資トレンドは、通信機器のハードウェアからクラウドに移行してコストを抑えようというこういう動きもございますので、ブラジル通信事業者が今後どういったですね、選択をしていくか、どういうふうに推移していくか、この点でも注目をしているということを触れさせていただきました。

 次にですね、ブラジルのITサービスとかソフトの支出の傾向という切り口で見させていただきますと、IT関連のコンサルですね、どうやって設計していくかというコンサルだとか、実際にそれを設置していくインプリメンテーション、それから、いわゆるマネジメントクラウドサービスとかのサービスへの支出は非常に、グラフを見ていただくと分かる通り、これも増加しているということで、中でもIT関係のコンサル、それからマネジメントクラウドへの支出は今後さらに増加するというふうに見ております。それから、ソフトウェアがありまして、これは経営管理ソフトへの支出、例えばここにも書いてあるんですけど、ERP、これはエンタープライズ・リソース・プランニングだとか、SCM、サプライ・チェーン・マネジメントとかのこういった経営管理ソフトですね。経営管理系のソフトというのも投資が各企業さんはしてきていて、これも今後伸びていくんじゃないかというふうに予測しています。

 次に、テレビをはじめとしました家電の方について触れさせていただきます。

 テレビはですね、昨年のワールドカップロシア大会、この特需がございましたので、去年販売台数が非常に伸びました。それから、ワールドカップ以降もですね、昨年度並みの水準をこのテレビは例えば維持していたんですが、今年の4月ぐらいに入ってから減速してきているという傾向が残念ながら見られているという状況でございます。それからオーディオですけども、オーディオは逆にワールドカップ大会以降にマーケットが回復してきて、以降横ばいで推移してきたという動きがありました。あと製品の中の特色でいくと、スリーボックス型といったやつ、本体があってスピーカーが別々にある、これをスリーボックス型というんですけども、そういったオーディオの販売台数は減少しているんですけど、いわゆるワンボックス、一体型になっているものについては引き続きブラジルでは好調になっているという様相を呈しております。

 ちょっと切り口を変えまして、マナウスフリーゾーン、Zona Franca de Manausについてちょっと、業界の中でこういった意見が出てきたので、触れさせていただく次第です。

 連日のようにですね、韓国とかEUとメルコスールのFTAの報道がされております。これらFTAが韓国とかEUの方で先行して発効してしまいますと、このマナウスのフリーゾーンで工場を持って作っておられる企業のメリットが非常に少なくなってしまうと。高い国内のロジコストの分が不利になってしまうのではないかという声がかなり出てきています。マナウスフリーゾーンがですね、さらに発展ないしは維持していくためにはインセンティブが不可欠なわけでございますけども、ボルソナロ政権が今やろうとしている年金改革に続く次の重要な施策である税制改革と、このマナウスのフリーゾーンへのインセンティブをどういうふうに、この税制改革とフリーゾーンへのインセンティブを併存、共存させていくのかというのがキーになるかなというふうに我々見ている次第でございます。

 それから、じゃあ具体的にブラジル、ボルソナロ政権がこのフリーゾーンに対してどういうふうに発言しているかということでございますけれども、先日、この税制恩典、それからインセンティブは非常に重要だというふうにコメントしていたこともございますので、今後それが具体的にですね、どういうふうになっていくのかということに引き続き着目していきたいというふうに考えている次第です。

 次ですね。韓国とメルコスールのFTAです。昨年9月から韓国とメルコスールの間でFTA交渉がご存知の通り進められています。この交渉はおそらく来年の中頃に終了をするかなという見通しでございますが、そうしますと例えばSamsungだとかLGのですね、韓国メーカーがウォン安を前面に出した低価格販売攻勢、これを展開し、さらにしてきて、シェアを伸ばしてくるんじゃないかということでございますので、韓国とのFTAが締結されますと電子製品、それから自動車およびその部品も当然そうだと思いますが、さらに安く韓国から輸入されることになり、ますます韓国勢が勢いづくということになるかと思いますので、早期の日本とメルコスールの間のEPAの締結が急務というのがアンケートでも非常に多かったということでございます。

 それから、すみません、また違う話題で、米中関係の影響がこの中南米に、ブラジルを含む中南米にどういうふうになるかと、ちょっとこれについて触れさせていただきます。

 米中関係、悪化していますと。中南米は基本的には親米路線をとっているということではあると思うんですが、一方でですね、中南米にとっては中国は非常に重要なパートナーだということもあり、関係が強化しているように見えています。例えば、中国の通信機器メーカーである、ファーウエイと同じような会社であるZTEという企業がありますが、それはですね、アルゼンチンのサンサルバドール市から市の中の監視システムを既に受注して、導入をしております。この中国のZTE社はですね、たびたび報道にも出てきますけど、ウイグル地区の監視システムにも関わっているということでですね、情報セキュリティの面から米国政府がこのアルゼンチンの案件に懸念を示しているというようなこともみられるということですね。

 それからあと、アメリカによる禁輸措置問題で今話題になっている中国のファーウェイですけども、先程述べさせていただいた5G、第5世代の関連のプロジェクトから、中国のファーウェイの締め出しをブラジル政府としては行わないというのをですね、先日ブラジルのアミルトン・モウラン副大統領は発表したということもありますので、親米路線はとっている中南米ではある一方、中国はビジネス上の重要なパートナーとして排除していないということが起こっているということをちょっと触れさせていただきます。

 中国勢が中南米においてこういった営業活動を強化しておりますので、今後日本勢も官民一体となって、ブラジル政府筋とのですね、関係構築を引き続き行っていきたいなと、行う必要があるというふうに我々認識しております。

 最後のページになります。最後に要望について触れさせていただきたいと思います。

 日本とメルコスールの間の、これも繰り返しになっていますけども、日本とメルコスールの間のEPA締結の促進、これをぜひお願いしたいなということと同時にですね、ライバルでございます韓国、それからEUとメルコスールの間のFTAの進捗のモニタリングを引き続きお願いして、引き続き情報をいただければなというふうに考えておりますので、よろしくお願いします。

 それから、隣のアルゼンチン市場ですね。ブラジルからビジネスを行っている企業もたくさんございますので、アルゼンチンはこの間予備選があって厳しい状況だというふうに認識しておりますので、今後もこの大統領選挙の動向も含めて、引き続きアルゼンチンの政治経済動向をウォッチして、それから情報をご共有いただければなというのがご要望事項、お願いになります。

 それから、最後になりますが、中国・韓国勢の、繰り返しになりますがアグレッシブな動きがございますので、これに対応するためにですね、日本勢も一体になって活動を引き続きしていきたいというふうに考えておりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

 以上になります。ありがとうございました。

司会

 小渕様、どうもありがとうございました。ただ今のプレゼンにつきましてご質問のある方、挙手をお願いできればと思います。いかがでしょうか。

小渕部会長代理

 私この部会に移って日が浅い、一部の方は分かっていらっしゃると思いますけど、あまり難しい質問をされるとですね、商工会議所さん経由でご回答させていただきますとなるかもしれませんが、お手柔らかにお願い出来ればと思います。

司会

 じゃあ、特にいじめたいという方はいらっしゃらないようなので。一応、小渕様のプレゼンですね、若干増加・維持が割合が減ったということですけれども、テレビなんですかね、そこはですね。この部会、電気電子部会の時には、日本・メルコスールのEPAというのはですね、だんだん回数を追うごとにですね、声が強くなってきたかなという印象がございます。その影響というのはやっぱり韓国・メルコスールのEPAの交渉が来年半ばに合意するのではないかといった懸念と、あとEU・メルコスール、まあフィリップスですかね、そういった競合が激化する懸念があるといったことなのかなというふうに考えております。また、アルゼンチンの動きのモニタリングという話がございましたけれども、ちょっとここはですね、対応していきたいと思っておりましてですね、来月、9月の17日にですね、アルゼンチンセミナーをですね、商工会議所の方でやりたいと思っております。うちの紀井所長がこっちに来ると言っておりますので、ちょっとセミナーをお願いしたいと思っておりますので、ぜひ参加をいただければと思います。あといろいろ宿題も他にいただいておりますので、この辺はですね、商工会議所、それから大使館様、それから総領事館様と色々話し合いながらですね、前向きに検討できればというふうに考えておりますので、ご協力を今後よろしくお願いできればと思います。以上、盛大な拍手をもってですね、終了したいと思います。ありがとうございます。

 引き続きまして食品部会の発表に移ります。佐々木部会長より発表をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

食品部会

佐々木達哉 部会長

                   

今年の7月から前任の黒崎に代わりまして食品部会長を拝命いたしました、ブラジル味の素の佐々木でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。夕方も大分遅くなって参りましたので、食品部会は分かりやすい身近な事例を多めに入れるスライドで対応しておりますので、ぜひお楽しみいただければというふうに思います。

 まず発表内容ですが、このような形になっておりまして、前半に会員の企業様からいただいたアンケート結果ですとか声に基づいたまとめ、それから最後に副題ということで、内外の環境変化にどう対応するかということについてお話しをいたします。

 こちらが食品部会の会員の企業様でございます。左の方の箱が食品部会を主登録にされているところで17社。それ以外にサブ登録ということで、他の部会に入っていらっしゃいながら食品部会にも登録いただいている会社さんが42社ということでございます。グレーになっている会社様から今回、アンケートであったり資料の提出を頂戴したということでありますので、ご紹介をさせていただきます。

 まず市場および会員企業状況ということでございますが、小売市場ということで、食品部会、小売の状況と非常に密接な関係があるわけでございます。2016年以降の回復基調が19年も継続ということでありますが、流通の動向というところに少し変化が起きておりまして、いわゆる一般のスーパーマーケットのところが少し伸びが鈍い、止まっているという一方で、キャッシュアンドキャリーという大型の業務用スーパーの業態、ロードサイド等でC&Cと書いた看板をご覧になる方も多いと思いますけども、この部分が伸びてきております。これは統計上もこういうデータが出ておりますし、各社様からの状況の報告の中でもこういう実感があるという声を多くいただいておりまして、このところが大きな変化なのかなというふうに思います。キャッシュアンドキャリーの形態は日本でもありますけれども、総じて、業務用の商品とかも含めて販売をしておって、単価が安いという傾向がありますので、ここが特徴の一つということになります。

 また、外食の市場については安定して拡大傾向が続いているということで、市場統計等を見ると、景気動向が悪いので、外食を控えて内食にというようなデータも一部見られますけれども、大きなトレンドとしては外食の拡大傾向は続いているというふうにみてよいのかなと考えております。

 これから2枚ですが、会員企業様からいただいた、それぞれの所属する業界の市場の動向と会員企業様の状況ということであります。調味料、醤油、酒類、コーヒー、チョコレート、即席めんといったのがまずこのスライドでございまして、やはり全体的に家庭用の商品の状況は微減もしくは横ばいというところがある中で、先程触れましたキャッシュアンドキャリーのところが伸びているという声もいただいておりますし、あとは、後ほど出てまいりますけども、いわゆる二極化といって、プレミアムをお求めになるお客様と低価格をお求めになるお客様が完全に分かれてきているということ。これはブラジルだけではなくて、グローバルでこういう傾向に食品はありますけれども、このブラジルにおいてもそういう傾向が出てきていると。後ほど事例をご紹介いたしますけれども、こういったところが目立つところかなと。

 それからコーヒーにつきましては、国内の市場拡大中。また、原料のコーヒーの生豆の豊作が続いておりまして、相場も低位で推移ということで、前半のパートの中の商業統計のところでもご紹介ございましたけれども、コーヒーについては非常に、輸出のインスタントコーヒーも国際的に競争力が維持できているという状況であるということでございます。

 それから二つ目ですけども、乳酸菌飲料、外食、農産加工、B to Bの素材、あるいは関連業種ということで、こちらからも動向をいただいております。この中でいくつかキーワードとして挙げておりますけれども、これも先程のプレゼンにございましたが、いわゆるナチュラル志向といったトレンドに対して、非常に根強い、もしくはきわめて強い志向の伸びというものを感じるというところが出てきておりまして、これも今後の大きなトレンドの一つであろうというふうに実感をしております。これもブラジルだけということではなくて、グローバルにほぼ同じ状況になっておりまして、ここは非常に食品にとっては大きな変化というふうに私自身も考えております。

 これからのキーワードということで、市場の今後というふうになりますけども、3つ挙げております社会保障制度改革等、政権の運営の行方次第ではありますけれども、景気全体は回復基調にあり、今後も緩やかな成長は期待できるのではないかというような声が多かったと思います。一方でやはり先行きの不透明感というものは残っているのも事実で、企業としてはこういったところへの変化への対応は必須であると状況としてはあまり変わらないということと、ライフスタイルの変化に伴いまして、お客様、消費者のニーズに新たな変化が来ているということで、品質へのこだわり、あるいは健康志向、ナチュラル志向、あと二極化といったようなところがトレンドとしてかなり出てきているのかなと感じております。

 この環境変化への備えということで、会員企業様の事例でありますけれども、まずは景況感の変化に対応できる基礎体力の強化ということで、現場の創意工夫による継続的なコストダウン、あるいはキャッシュフローの管理等というところに非常に注目が集まってきていること。あと為替変動への対応については、これまでもこういうふうに取り組んでおりますけれども、やはり為替感度を高めて状況を常に分析するというようなことが必要であろうということ。あとは、3番目に挙げておりますけれども、表示規制や税制変更への備えということで、ここについては次のスライドでも紹介しておりますが、いかに迅速に正しい情報を収集・対処するかということがキーということになります。これは、情報はですね、正しい情報というのは中々難しくて、かなり人によって持っている情報に質に差があるということもありますが、例えばこのあと触れます表示規制については、各社さんが持っている情報をうまく情報交換したり勉強会等することで、よりお互い、部会全体としての認識を強めて行こうということが部会の中でも確認されましたし、関係省庁との取り組みについても、オールジャパンチームということで一体となって取り組んでいくということを是非やりたいというような声が上がっております。

 この表示規制ということで一枚紹介しておりますけれども、こちらは食品の栄養成分に関する警告表示規制ということで、FOPラベリングというふうに書いております。砂糖ですとか、ナトリウム、まあ塩分だと思っていただいて構いません、それから飽和脂肪酸といった栄養成分をですね、ある水準を超えて含む食品には、警告表示を商品のパッケージの前面に行うというものでありまして、二つの方式があり、ここで示しています黒いマークを前面につける方式と、信号機のように赤青黄色でタイプということで、すでにこういう法規制が導入されておりますペルーですとかチリではこの黒いマーク方式、エクアドルは、通常信号機方式と言っていますけども、こういった方式ということであります。見ていただいてお感じになると思いますけども、非常にこの黒いマークがつくとですね、なんか体に悪いものだというイメージがストレートに伝わるということで、先日私も導入されたペルーのマーケットを見てまいりましたが、売り場の数多くの商品にこういった黒いマークが付加されており、なおかつ黒いマークがつくことで、お客様がお買い上げになる回転個数は明らかに落ちているというような店主の声もいただいております。

 これ、今ブラジルが一応検討途中に入っておりまして、どちらの方式をとるかということも含めて、今情報を収集しているところでありますが、非常に食品業界にとっては影響の大きい法規制というふうになります。これ、法規制ということでいうとそうなりますけれども、グローバルにいわゆる健康志向が強まっている中で、こういった形で国民の健康を守ろうという動きはラテンアメリカ以外にも起こっているわけでありまして、これは法規制に対して正しく理解することはもちろんですけれども、これを受けて我々としてどういうふうにこれにうまく対応していくかということを当然考えていく必要があるだろうということであります。ただ、非常にこれは影響の大きい法律だなというふうに感じております。

 それでは、続きまして副題のカッコ2番ということで、内外の環境変化にどう対応するかということで、新たな市場トレンドやお客様のニーズをとらえた施策ということで、いくつか事例を挙げてご紹介をいたします。

 まず、確かな品質へのこだわりということで、一部のものについては日本発のブランドの価値の認識ということになりますが、そうでないものも含まれます。ここのスライドで紹介しておりますのは、外食のチェーンということで、一幸舎さんですね。リベルダージに店がございますけれども、主力の豚骨ラーメンにこだわらず、お客様の嗜好に合わせてラインナップを展開して、非常に業績がよろしいということで、フランチャイズ展開を既に検討されているということと、2号店の検討も開始されているということで、どこの地区に出すかというのは一応情報をいただいているんですけど、まだ確定ではないということで、居酒屋スタイルにしたいということのようでございますが、楽しみにしていただければというふうに思います。

 それからキッコーマンさんの事例ですけれども、醤油ベースの液体調味料だけにこだわらないということで、わさびソースを発売されたということであります。ブラジルのお客様、わさびにあまりなじみがないというふうに思われるんですけども、やはり、ちょっと食べてみたいなと、ただこれまできっかけがなかったというところをうまく提案されましてですね、ハンバーガーですとかディップソースに使うということで、好評を得て、こういったトライアルもされているということでございます。

 それからコーヒーのところでは、先程触れました通り、コーヒー自体は非常に好調でありますが、その中でイグアスコーヒーさん、フリーズドライの乾燥設備への投資ということで、いわゆる凍結乾燥スタイルの品質の高いコーヒーになりますが、付加価値の高い製品を増産して、商品のポートフォリオの見直しを図られておられる。

 それから三井アリメントスさんについては、ドリップコーヒーの新発売ということで、ブラジルのナショナルメーカーとしては初めて一杯取りのドリップコーヒー、日本だと最近なじみがありますけども、カップの上に一杯ずつぱかっと置いてですね、お湯を注ぐというスタイルです。ブラジルのお客様にとってはなじみがないわけですけども、逆にお湯さえあればどこでも飲めるというところを提案するということで、こちらも反応は上々で、こういったトライアルもされておられると。

 それから、即席めんのところでは、カップヌードルでありますけども、市場シェア、数量・金額とも好調ということでございます。カップめんが全体を牽引されているということで、昨年シーフードを発売されましたけれども、今度はカレーを発売されるということで、もう発売が決まっておられるということでございますが、ブラジルでカレー味を出すにおいて非常に本社との間でたいへんなバトルがあったというふうに聞いております。その辺の経緯は浅野社長にぜひ聞いていただければと思います。新しい商品ということと、補足情報といいますか、前回のこのシンポジュームで浅野社長が自らご出演されたTVコマーシャルが非常に好評だったというご紹介をしたというふうに聞いておりますけれども、実は8月25日がラーメン記念日ということだそうでございまして、これはチキンラーメンが発売された日が8月25日ということで、それに関連付けたキャンペーンということで、それを展開されて、今度は脇役でありますというふうに仰っておられますけども、再びデジタルコンテンツに浅野社長が登場されるということで、ちょうど昨日からですね、日清食品さんのFacebook、InstagramあるいはYoutubeで公開が始まったということで、脇役とはなんなのかというのを是非興味のある方は実際にご覧いただければというふうに思います。ちょうど今日に合わせたかのように昨日からオンエアが始まっているということなので、ぜひご覧いただければと思います。ただ、ああいったキャンペーンはものすごいフォローがついてですね、新しいアイデアとしては非常にユニークな成功事例ということで、グローバルにも有名になってきました。こういった取り組みを続けるということ。

 それから、弊社におきましては、調味料と書いてありますけれども、調味料というよりは、いわゆるトップアスリートの皆様を支援するということで、日本でビクトリープロジェクトということで展開してきたプロジェクトをブラジルにおいても開始をいたしました。アミノバイタル、あるいは栄養バランスを考えた「勝ち飯」というメニュー展開ということで、ブラジルのオリンピック、パラリンピックを目指すアスリートの方々の支援を具体的にスタートさせていただいているということでございます。

 それから、健康志向ということでは、例えば機能性の糖質・酵素剤というナガセさんの商品についても、これについても現地パートナーとの共同開発によって、減糖ですね、糖分を減らす、あるいはクリーンラベル等の食品領域におけるソリューションの提案をされているということ。

 それから、3番目ですけども、高付加価値志向と低価格志向の二極化への対応ということでは、東麒麟さんについては低価格帯の清酒を大幅にリニューアルされて好調ということで、競合のお酒のメーカーさんと同じ価格帯なんですけども、圧倒的に品質が良いというところが実現できたということで、プレミアム価格帯と低価格帯の両輪で市場開拓を進めるという戦略を進められておられます。

 それから、新たな流通チャンネルへの対応という事例では、乳酸菌飲料、ヤクルトさんでありますけども、主力品のヤクルトの40のライトというものに、通常は6本パックで売られていますけども、これの3本パックというものを発売されました。6本パックだとスペースがなくて入らなかった小さい店とかの開拓もこれで可能になるということで、そういった工夫が新しいチャンネルを開拓するというところに非常に分かりやすい成功事例になっているのかなというふうに思います。

 ということで、最後に、ということになりますけれども、チームジャパンとして、企業の垣根を越えて積極的な交流や連携をやるということで、これは食品部会の会員の企業様に工場見学をしていただいたと聞いておりますけども、そういう機会を。あるいは先程の法規制といった共通の問題に関する情報交換会等をやって、お互いの強みをいかした情報交換と、あとはビジネス上の協業なんかも可能性を模索していきたいということで、最終的には事業を通じてブラジル社会、消費者への貢献ということを、変化を見極めて対応しながらも成長していこうということを目指していきたいというふうに考えております。

 以上になります。

司会

 佐々木部会長どうもありがとうございました。ただ今の発表につきましてご質問のある方、ぜひとも挙手をお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。チームジャパン、年々強化されていて、非常に熱いなというふうにですね、毎回毎回そう思っておりまして、特に、チームジャパンってジャパンが入っていますので、日本のブランドの価値を再認識して、やっぱり日本のこだわりとかですね、日本人がもっているお客様への配慮とかですね、そういうのが商品のパッケージなんかにも生かされていたり、あと日本が得意とするチームワークで色々情報交換しながら対応していくということでですね、非常に素晴らしい取り組みなのではないかなと感じた次第でございますので、チームジャパンの発展を祈念してですね、ぜひジェトロの方でも参加させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。それではただ今の発表に盛大な拍手をもって終了したいと思います。

 続きまして、運輸サービス部会の発表に移りたいと思います。湯原部会長、発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

運輸サービス部会

湯原慶 副部会長

                      

 皆さんこんにちは。運輸サービス部会で副部会長をやっております、日本郵船の湯原と申します。よろしくお願いします。では早速発表に進みたいと思います。

 まず海運業界の方から発表させていただきます。ブラジルに主に関係するコンテナ輸送、自動車輸送、ドライバルク、ばら積み輸送について2019年上期の回顧を報告いたします。まずコンテナ輸送ですが、ブラジル、アルゼンチンの経済低迷にもかかわらず、マーケットは堅調に推移し、2018年上期と比較し物流は増加しました。特にセカンドクォーターは顕著です。これは為替安によるものと見ております。

 次に自動車の輸送ですが、2019年上期のブラジル輸出台数は前年同期比の約42%減、輸入は昨年並みとなっております。この輸出の激しい落ち込みは、ブラジルの自動車輸出の約7割を占めるアルゼンチンが2018年半ば以降深刻な経済危機に直面しており、国内販売が減少したことによって同国向け輸出が大きな打撃を受けたものという結果となっております。

 続いてドライバルク輸送ですが、ブラジルの主要貨物の輸出量推移はこの左のグラフの通りです。上から鉄鉱石、穀物、砂糖の折れ線グラフになっております。お気づきの通りですが、鉄鉱石の輸出が、グラフでは5月までの数字で6月の数字は含まれていないんですが、セカンドクォーターが急激に落ち込んでおります。これは1月に発生したVale社の鉱山ダムの決壊事故による影響です。これにサイクロン来襲による豪州産鉄鉱石の輸出減も重なり、特に鉄鉱石輸送に従事するケープサイズといわれる15万~30万デッドウェイトトンの大型船舶の船舶需要が急激に緩み、上期のスポット市況が暴落いたしました。汎用性のある7~10万デッドウェイトトンのパナマックスといわれる中型船型の市況も、この大型船型の市況にある程度ひきずられる格好で、ファーストクォーターに底打ちはしたものの、様々な要因で横ばいが続いております。挙げられるとすれば米中貿易戦争の影響がありますが、中国におけるアフリカ豚コレラの大流行による飼料輸入減が響いているものと見られます。2019年上期の南米穀物輸出は前年比増加しましたが、ブラジルの輸出量は前年を下回っております。

 続いて19年下期の展望です。コンテナ輸送ですが、米中貿易摩擦や世界経済の低迷のおそれもあって、またアルゼンチンの大統領選などの不確定要素があるものの、需給は何とか持ちこたえるのではないかと予測しております。

 次に自動車輸送ですが、ブラジルで自動車を製造しているメーカー各社は新規市場の開拓に努力していますが、同国最大の完成車輸出先であるアルゼンチンの消費が麻痺状態、次期大統領選の前哨戦の結果改革後退派が頭角を現し、将来の経済への悪影響も懸念され、引き続き厳しい状況が続くものと思われます。

 ドライバルクの輸送については、上期は厳しい状況が続きましたが、下期は輸送需要は比較的緩やかに回復していくものとみられています。Vale社の北部ダムの増産や、ミナス・ジェライス州ブルクツ鉱山の操業再開などによるブラジルの鉄鉱石輸出増が市況回復のドライブ要因になると期待されています。そして、鉄鉱石供給の回復が中国の輸入増にもつながるとみています。一方、米中貿易戦争は特に南米からの穀物輸送需要増への期待を抱かせますが、中国、ベトナムでのアフリカ豚コレラの流行によって飼料としての穀物需要が減っている事なども影響し、それほど増加しないものと思われます。

 最後に、国連の船舶による大気汚染防止規則の改訂で、2020年1月1日より、船舶からの硫黄酸化物排出規制が全世界的に強化されることになっています。同規則順守にはいくつかの対処方法がありますが、世界的規模でできる現実的な対応策としては、高価格な超低硫黄燃料への切り替えを行うしかなく、運航コストが上昇することになります。船会社は常日頃からコスト削減に努力しておりますが、この運航コスト上昇を全て引き受けることは経済的には成り立たないことから、ご利用いただく荷主殿にも相応のご負担をお願いせざるを得ない状況です。具体的には船会社から荷主殿のご担当には説明させていただいている、もしくは説明させていただくことになりますが、何卒ご賢察賜り、ご理解いただきますよう、この場を借りて改めてお願い申し上げます。

 続いて航空旅客業界に移りたいと思います。まず2019年上期の回顧ですが、航空需要としてブラジル民間航空庁Anacのデータから旅客需要、RPK、有償旅客キロと、座席供給量、ASK、有効座席キロ、座席利用率、搭乗客数の4つの指標を国際線と国内線でそれぞれ示しております。ここにある数字の国際線は、ブラジルの航空会社のデータのみとなっていますので、ご承知おきください。

 ここにある数値を見ると、南米の航空業界を取り巻く環境は良さそうにも見えますが、そもそも、有償旅客キロは運送量、有効座席キロは生産量の伸びを示す指標ですので、そこに客単価、売上利益率などが伴わないと、生産能力は大きく伸びたけど売れず安売りして収支は赤字になるのと同じで、この指標だけでは航空会社の収支の良し悪しは判断できません。実際に、至近の12月にAviancaブラジル航空が民事再生手続きをとりましたし、アメリカン航空のリオ=ニューヨーク線からの撤退などがありましたが、業界情報によると、南米路線を就航しているそれ以外の外国航空会社にも収支状況が厳しい会社があると聞いています。

 ここで、国内線のサンパウロ=マナウス間の平均運賃と国際線のサンパウロ=東京間の平均運賃を例にとりたいと思います。すいません、お手元の資料ではなく、前のスライドをご覧になっていただきたいんですが、サンパウロ=東京間の方が、距離が7倍なのに、なぜ運賃が同じぐらいになるのかということをちょっとご説明したいと思います。理由としては南米特有のコスト構造があります。毎年CPIで5%程度ずつ着実にコストが上がり、グアルーリョス空港の発着料も高いため、ブラジルを本拠とする航空会社は高コスト構造になるのですが、Aviancaが破たんしたことによって国内線が寡線化し、競争のない路線で価格をつり上げて、そのコストアップを吸収する傾向が見られ、国内線は価格が上昇していると考えられます。しかし、国際線は運賃は国際競争力にさらされているため、料金は簡単には上げられず、短距離線の国内線と長距離線の国際線が同じぐらいの運賃になるというような状況が起きています。そのため、国際線を就航している航空会社は、常にコストアップ分をどこで削るかということに頭を悩ませ、機材費や預け荷物の制限の強化などサービスの見直しを迫られるという構造になっております。

 続いて下期の展望ですが、南米に進出している日本企業の皆さんの懐事情も同様に苦しいらしく、従来はJALのビジネスクラスの常連企業の中にも、LATAMコードシェア便名での発券が散見されるようになってきました。例えば、一部のレグをアメリカンやJALが運航しているフライトでも、LATAMで通しで発券をすれば比較的安い運賃で購入することができますが、その場合には次のような障害が発生いたします。

 例えばLATAM運航便は旅行会社やウェブで事前に指定できる座席が少ないため、JALで発券した場合にはLATAMに頼んでご指定のお席を手配することは可能なんですが、これがLATAMで発券した場合にはそういった対応はできないということになります。また、手荷物のミスコネクションやダイバートなどトラブルが発生した際にも、JALで発券いただければJALからLATAMに掛け合うことができるんですが、LATAMで発券した場合には、これはJALとしては裏でカバーリングを実施してお手伝いすることができません。あと、本人の認識がなく、価格のみでコードシェア便名で発券をすると、年間のフライト数などの要件を満たせず、翌年のマイレージの更新時にステータスが下がってからあわてることになるなど、自己管理が難しくなっております。

 最後に、内外の環境変化への対応という点で、自助努力への具体的な取り組みについてお伝えします。競争環境が厳しい中、これからも引き続き、安心して日本まで乗り継げる日本品質のサービスを地道に継続していきたいと思います。また、現地通貨決裁のクレジットカード使用でたまるポイントをJALの航空券と交換できる制度を開発しています。そして、クレジットカード会社と提携し、航空運賃を分割払いできる制度の導入も進めております。

 続いて物流業界に移りたいと思います。まず2019年上期は新政権による景気回復への期待に伴う物流増を見込んでいたものの、1月~4月の累計取扱量は全ての輸送モードで前年に比べて低調に推移しました。年金改革反対といった抗議行動は各地で発生するも、税関など公的機関のストライキ発生はなく、物流停滞は発生しませんでした。3月末にトラック運転手が、原油の国際価格高騰による国内燃料の上昇、政府の補助金拠出による燃料価格据え置きが年度末で終了したことに起因して、再びストライキを示唆しました。しかしボルソナロ大統領がディーゼル油の値上げ調整頻度を調整するといった対処案を示したため、パラナ州で40台程度のトラッカーが抗議運動をした以外は大きな混乱もなく、沈静化しました。ただし、根本的な解決にはなっておらず、今後もストライキの要因になる可能性を秘めています。経済回復が大きく進展する材料も見当たらず、航空業界、海運業界いずれも輸出入のスペースは余剰であるため、運賃高騰にはつながっておりません。

 あと、ロジスティックスコンサルタント会社、ILOS社の調査で、2018年6月から2019年4月までの内航船、カボタージュの取扱量は前年同期と比較して18.2%の増加と発表されました。2019年第1四半期に限りますと、21%増になっているということです。内航船の取扱量が増加した要因は、ひとつに2018年5月末のトラックストライキの影響、二つ目にトラック運賃の値上がりによる貨物が海上輸送にシフトしたものと考えられています。

 かかる状況下、インフラ省のタルシジオ・フレイタス大臣は、政府として内航船利用の推進を明言しています。その内容は、1、今後2、3年以内に内航船の取扱量を現在の3倍にすることが目標であるということ。2、内航船利用によるトラック長距離輸送を短距離輸送に代え、トラック運転手のコスト、運行時間の削減を図るというものです。

 内航船利用の推進にあたる課題は次の4点と考えています。1、内航船を運航する会社が10社程度しかいない。2、主な取扱貨物は肥料、ボーキサイト、セルロース、鉱石類で、工業製品の輸送での使い勝手をいかに良くするか。3、運賃およびリードタイムの改善。4、内航船の規制および税制の変更です。国内輸送の60%をトラック輸送に依存するブラジルでは、トラック輸送の高コスト化、運転手の高齢化、道路整備をはじめとしたインフラ整備拡充の代替としてモーダルシフト、つまり内航船の利用の推進は理にかなっていますが、内航船を利便性のある身近な輸送手段にするためには、環境整備を含めさらなる投資と時間が必要と考えます。

 木製の梱包材を使用した輸入貨物が空港・港に到着した際の検査が厳格になっています。検査が厳格になった理由は、農務省、MAPAの検査で昆虫が見つかったことに起因しています。木製の梱包材は国際基準であるISPM15で定められた熱処理、あるいは燻蒸処理スタンプが必要なんですが、最近スタンプが不鮮明であるという理由で梱包材の積み戻し手続きをしないと輸入貨物が引き取れないという事態も発生しています。余計なリードタイム、コストを避けるためには、輸出者とともに定められた処理の実施の徹底、あるいは木製以外の梱包材の使用の検討をお勧めいたします。

 あと、サンパウロ市内の橋梁の破損および、安全基準に達していない橋のメンテナンスに伴って、道路の閉鎖が続き、交通渋滞が蔓延化したことにより、市内物流に影響を与えました。

 以上が上期の回顧です。続いて下期の展望に移ります。

 物流業者への米中貿易摩擦のインパクトは大きく、サプライチェーンの変化に合わせた物流ネットワークの拡充や、プラットフォームの整備が必要と考えます。緊迫した中東情勢が原油価格を左右するため、航空、海上そして陸上輸送の燃油費に多大なインパクトを与えます。最終的には物流コストに反映されるため、注視が必要です。昨年起きたトラックストライキを再び発生させないため、政府の適切な対策を切望します。

 そして、税関システムの導入が遅れています。本年末には導入の見込みでありますが、現時点では確約されていません。新システム導入による混乱を最小限に抑えるためには、貨物量が少なくなる年末に導入するのがタイミング的には良いと考えますが、2020年2月に延期になるものとも言われています。

 あと、従来からの要望ですが、通関、貿易関係の各法令の見直し、手続き簡略化への動きに期待します。海上輸送においてはMARPOLの条約改正に伴う、船舶燃料の硫黄濃度規制強化が2020年1月から実施されるのに伴い、燃油費の上昇が見込まれます。そして、空港、港湾、道路インフラ整備の促進にも期待をしております。

 今年、旧運輸省を継いでインフラ省が設立され、タルシジオ・フレイタス大臣が就任しました。ブラジルは世界経済フォーラムで発表された世界競争力レポートのインフラ面でラテンアメリカ9位、世界で81位でした。同大臣は、国際競争力を高めるため、まずラテンアメリカの交通インフラのリーダーになることをビジョンとして掲げていますが、実現に向けた行動力に大いに期待したいと思います。

 次に、航空貨物業界の2019年の回顧です。世界の動向としては、主要地域を中心に荷動きが鈍化しています。左側のグラフは2014年から現在までの世界航空貨物量の推移になります。赤線が実績、青線が季節調整後の輸送量を示しています。

 2019年の業界全体のFTK、貨物トンキロメートルは、2019年初めには前年比3.5%伸長するとの予測でしたが、6月末には0%に見通しを下方修正しました。つまり2018年と同レベルになると予測しています。貨物主要レーンであるアジア=太平洋間の停滞が主要因ですが、他地域の動きも同様に鈍化しています。米中貿易摩擦の影響が大きいと言えます。南米の動向は、この地域の政治的および経済的な不確実性にもかかわらず、低伸長ではあるものの、前年比1.3%の増となっています。

 ブラジルの動向はIATAブラジルが発表した2018年7月から2019年6月の実績に基づきますが、対前年比で1.68%のプラスとなっています。レーン別では欧州向けが好調である一方、北米向けが低迷しています。特筆すべき点としては、ブラジル発コロンビア向けが二桁の伸長となりました。主要な輸送品目は医薬品、化学品、自動車部品が挙げられます。同期間、ブラジル発の航空貨物は貨物需給がひっ迫しておらず、値上げ要素はないものの、燃油費は中東情勢の影響を直接受けるため、継続的に不確定要素となります。航空施設のインフラ整備が特段進んだという訳ではありませんが、空港での貨物搬入・搬出の遅延等は発生しておりません。

 続いて下期の展望です。IATAは今年の世界の航空貨物業界マーケットの見通しを2018年並みへと下方修正しました。先行きの見えない米中貿易摩擦、世界景気の停滞が背景にあります。米中貿易摩擦によるインパクトは大きく、サプライチェーンの変化に合わせた物流ネットワークの拡充やプラットフォームの整備が必要と考えます。米中貿易摩擦がブラジル=中国間の荷動きにどのような変化を与えるのか、動向を注視したいと考えています。コスト面では、2019年下期は燃油費が上昇傾向にあるとの見通しです。その理由として、中東情勢の不安および船舶燃料のIMO2020規制導入に伴う価格上昇圧力が挙げられます。

 このIMO2020は船舶燃料の規制なんですが、新規制で定められた低硫黄の船舶燃料は、航空燃料であるジェット燃料と同じ中間留分の石油精製カテゴリーにあたるため、需要が大幅に上昇し、その結果価格上昇につながると考えられています。輸送業界の燃料需要は世界経済の動向に左右されます。景気が堅調に推移すれば輸送業界からの需要が高まり、その逆であれば燃油価格上昇圧力が緩和されます。ただし、IMO2020の開始は、石油需要の歴史において比類のない需要シフトをもたらずイベントであり、どの程度石油市場に影響を与えるか不確実です。しかし、燃油費は航空会社の最大の費用項目であり、各社ともリスク管理戦略に組み込んでいますので、現時点で燃油費の上昇の可能性は非常に高いと言えます。

 あと、税関システムの導入に伴う航空需要に与える影響は限定的と考えています。

 ブラジル航空業界を支えているのは欧米とのトレードであり、欧米の景気に大きく左右されます。景気の低迷時には利用者のコスト削減意識の高まりと相まって、航空サービスの需要が低下する傾向にあります。かかる状況下、業界で生き残るためには、新たな需要の掘り起こし、利用者のニーズに合致した低コストサービスの開発・販売が必要であると考えており、鋭意取り組んでいく所存です。

 あと6分50秒ですので、もう少し辛抱しながらお付き合いください。

 最後に旅行ホテル業界です。2019年上期の回顧ですが、ABRACORP、ブラジル・ビジネス旅行代理店協会の発表では、第1四半期は国内線の発券枚数が8.8%増、売上額は11.3%増と顕著な伸びを示しました。一方、国際線は発券枚数がマイナス0.57%、売上額がマイナス4%と微減となりました。航空会社別で見ますと、売上額では国内線はGOLが35.6%で1位、Azulが32.2%で2位、LATAMが23.6%で3位でした。国際線の売上高ではLATAMが19.1%で1位、アメリカンが13.8%で2位、ユナイテッドが11.2%で3位でした。やはり便数の多い航空会社が上位を占める結果となりました。

 Aviancaブラジル航空が経営破たんした影響で、2018年4月から2019年4月の1年間で国内線運賃が平均で30.9%上昇しました。Aviancaが運航していた路線に限っては、その上昇率は39.9%でした。

 我々日系旅行代理店にとって、日本からブラジルに来る旅行者の地上手配業務は商売上、常に大きな割合を占めてきました。しかしながら、あいかわらず日本からブラジルへ来る旅行者は減少傾向にあります。2013年から2017年までの4年間にブラジルへ来た日本観光客の推移をこの数字で表しておりますが、2016年はオリンピックがあったため前年よりも増えておりますが、それ以外の年は日本旅行者数が年々減っていることが分かります。2018年は前年比5%ほど日本旅行者が増えていますが、これはブラジルが日本人に対し短期滞在目的の電子ビザを発行し始めたことにより、商用と観光の区別がつかなくなったため、商用目的の渡航者の数字も含まれているものと分析できます。

 先日、NHKがサンパウロ在住日本人が殺された事件を報道した際に、ブラジルでは日本人や日系人が標的になっているといったおおげさなニュースを流したり、「これでわかった!世界の今」という番組でボルソナロ大統領が銃の規制を緩和しようとしているというニュースを紹介した時に犯罪現場の生々しい画像を見せたりしていましたが、こういうニュースは当然、視聴者にブラジルは危険だということを強く印象付けます。ニュースを見た日本の家族が心配して電話をしてこられたという方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。結果、日本からブラジルに来る旅行者は減少傾向にさらに拍車をかけることになり、旅行代理店の商売もいっそう厳しくなることが懸念されます。

 今年7月19日に、日本で南米、特にブラジル向けのアウトバウンド業務を専門に手掛けていたウニベルツールという旅行社が49年の歴史に終止符を打ち、廃業しました。これも日本からブラジルへの旅行者が減ったことが大きな原因と考えられます。

 次に2019年下期の展望です。全体的な見通しとしては、社会保障制度の改革案が9月中にも上院で可決される見込みとなり、それによってブラジルに対する国際的な信頼が回復、ブラジルへの投資が増え、経済が好転することが期待されます。旅行市場もその恩恵を受けて旅行数が増えることが期待できます。

ラグビーワールドカップが9月から日本で開催されますが、ブラジルはラグビーが盛んではなく、もちろんワールドカップにも出ませんので、このイベントによる恩恵は全く見込めません。ちなみに、アルゼンチンはワールドカップ参加国なので、アルゼンチンからは大量のサポーターが日本を訪れるものと思われます。

 あと、東京オリンピック開催まで1年を切り、ブラジルでのチケット販売も開始されました。ご参考までにブラジルのオフィシャルサイトのリンクがこちらに書いてあります。オリンピック期間の航空運賃はもう出ていますので、下期は問い合わせが増えることが期待されますが、実際にオリンピックを日本までわざわざ見に行く人も少ないと思いますので、東京オリンピックによる恩恵はこれもあまり期待できません。

 あと、100%外資の航空会社のブラジル国内線への参入が認められました。既にAnacが第1号として、グローバリア系のエアヨーロッパに対して運航許可を出しています。ブラジル国内線を就航する航空会社が増えることで、競争が促進され、運賃が下がることが見込まれています。

 ブラジルの景気があいかわらず低迷する中、上半期もこの狭い日系マーケットの中で十数社の旅行代理店が、わずかな手数料や国際民間航空局、IATAが定めた支払期日よりも長い期日をオファーするといった、決して健全とは言えない状況の中で顧客の争奪戦を繰り広げております。そのため、旅行代理店の経営状況はさらに厳しくなっています。この状況は改善されるどころか、逆に悪化の一途をたどっています。こういった状況の中、各旅行代理店が健全な競争ができるよう、いかに差別化を図っていくかが引き続き今後の課題と考えています。

 最後にトピックスを二つ紹介します。新移民法になって外国人登録証がRNEからRNMに切り替わりましたが、RNMにはブラジルに入国した年月日が記載されておりません。よって、RNEからRNMに切り替えた人で、ブラジルに10年以上居住している人は、JRパスを購入する時にRNMと一緒にRNEのコピーの提示が求められるようになりました。RNMに切り替える時にはRNEのコピーを必ず取っておきましょう。

 国内線は受託荷物の個数によって運賃が異なるということは今や当たり前になりましたが、国際線の航空会社でも受託荷物を有料にするところが出てきましたので、予約の際には注意が必要です。詳しいことはご利用になられる旅行代理店にご確認ください。

 以上です。

司会

 湯原部会長、どうもありがとうございました。多岐にわたる、情報通信が抜けてもかなり多岐にわたるプレゼンになっているかなというふうに思います。ただ今のプレゼンにつきましてご質問のある方、挙手をお願いできればと思います。いかがでしょうか。後半まだ誰も質問されていませんけど、いかがですか。よろしいですか。それではですね、盛大な拍手をもって運輸サービス部会の発表を終わりにしたいと思います。

 それでは最後の発表になります。生活産業部会、今年1月から生活産業部会として、今回2回目になります、生活産業部会の発表に移りたいと思います。今川部会長よろしくお願いいたします。

 

生活産業部会

今川尚彦 部会長

                       

 生活産業部会部会長、戸田ブラジルの今川です。今年、生活産業部会は、建設不動産部会と繊維部会が合併しまして新しくできた部会です。生活産業部会としましては今年として2回目の発表となります。まだ中々ですね、建設不動産と繊維ということで接点が見出しにくくて、今回もですね、旧部会それぞれの発表をあわせたような内容となりますので、ご了承ください。それと、ちょっと私事ですけども、昨日から風邪をひいていまして、朝から大量摂取で薬を飲んで何とかこの場に立っているんですけれども、途中でしゃべれなくなったらスターツの森口さん、よろしくお願いします。

 生活産業部会はですね、主に部会員は16社あります。16社あるんですが、非常に多岐にわたっておりまして、建設、不動産、あと繊維のほかにですね、エネルギーサービス、ファスニング、エンジニアリングプラスチックなど非常に多種多様です。そのために、業種ごとの動向としては非常にまとめにくくてですね、半期ごとに実施しているアンケートの回答を基に、まず一つ目としましては各部会員企業の現状をお伝えします。続いて、二つ目として旧建設不動産部会の業界の概況をお伝えして、さらに三つ目としてはEcogen社さんのビジネスモデルの紹介、最後に旧繊維部会さんからカーペット市場についてのお話をさせていただきます。

 それではまず、ご覧のグラフですけれども、こちら各会員企業の昨年と今年の上期、それと下期を含む来年の予測を2017年比で表したものです。業種が多岐にわたるため、業界ごとではなく、企業ごとに説明をさせていただきます。左側4社は旧建設不動産部会員、右側が旧繊維部会員となっています。

 まず旧建設不動産部会は、上期は建設のA社、一番左側ですね、A社が一昨年比で40%まで上期は落ちています。B社は130%と伸ばしていますけれども、下期および来年以降はですね、同水準もしくは増加という予測をしております。ただ、リセッション前と比較しますとまだまだ低水準な状況ということが言えます。いずれも、これまでの発表にもありました、各産業界からの工事の請負を中心としていますので、各産業界の設備投資動向に大きく影響を受けるということです。

 次に不動産のC社についてですけれども、一昨年比で昨年、今年ともに倍近くに伸ばしております。ただこちらもリセッション以前の業績と比べますと、まだまだ低い水準から抜け出せていないということが言えます。

 次に、見ていただいて目をみはる部分だと思いますけども、エネルギーサービスのD社、こちらがですね、その他の会員企業とは比較にならないような急激な売上増を示しております。今年が28倍、来年については60倍という非常に大きな予測を立てております。同社については後ほどまた成功例として紹介をさせていただきます。

 次に、右側の旧繊維部会4社についてですけれども、G社を除いてあまり大きな変化がないと、増減がありません。言い換えれば、リセッション時からいまだ大きな回復がないということが言えます。2016年に繊維業界から撤退したG社はエンジニアリングプラスチックをメインとする新事業に取り組んでおります。ただこちらは自動車生産台数の減少、伸び悩みに影響を受けまして、昨年から今年にかけて落ち込んでおります。ただ、下期、来期は回復する見込みであるという報告を受けております。

 今回、シンポジュームの副題である環境の変化について、どのようなものがあり、どう対応しているかについては、各会員企業よりご覧の内容が上がってきております。業種や事業により、業績に影響を及ぼす変化は様々です。

 国内変化においては、建設業はやはり各産業界の設備投資動向に影響を受けるため、建設請負業のみからの脱却が大きな課題となっております。

 ガスエネルギーサービス業においては、ガス価格の影響を受けるため、ガス以外のエネルギーを扱った事業への多角化を図っています。

 繊維業界は業界全体が落ち込んでおり、厳しいながらも高付加価値の商品の開発、あと販売促進に努めています。

 国外の影響としては為替という回答が最多でありました。これに対し、内製化や地場材料の調達、あと、全世界的にグループ全体で調達して変動幅を抑えるといったような対策がとられております。

 不動産企業においては、ブラジル進出日系企業へのアテンドをメインとしていますので、日本の景気とあと不動産価格、国際情勢などが影響をしております。対策としては、今後ブラジル企業や各個人への事業拡大を模索しているということです。

 続いて、エンジニアリングプラスチックとアグリビジネスを展開する部会員は、世界的にいま脱プラ、脱化学農薬といった国際世論ですね、あと気候変動といったものが影響を受けるというのがあがっております。

 以上が部会員の現状をお伝えしました。続きまして建設・不動産部会から業界の概況をお話しいたします。まず建設業界についてです。

 建設部門は常に不況のあおりをまともに受け、回復も他の業界に比べてずいぶん後に回復してくるというのが常です。GDPの成長率を示したご覧のグラフですけれども、緑色の棒グラフが全体のGDPを表しています。これに対しまして、紫色が建設部門です。2014年以降ですね、建設が極端にGDPが下がっておりまして、2017年以降、全体では回復していますけれども、いまだに建設部門としてはマイナス成長が続いているという状況です。

 2019年の第1四半期は全体が0.2%のプラスだったのに対しまして、建設はいまだマイナスの2.2%でした。第2四半期の全体GDPは、今月の頭の中銀の発表によればマイナス0.13%ということでしたが、その他のFGVのモニターによれば0.2%プラスということで、近々発表される国立地理統計院のGDP発表、これが最終公式発表で分かると思いますが、どちらにしてもあまり良い結果が出ていないということになります。これに対しまして、建設部門の第2四半期も引き続きマイナス2.2%ということが現在見込まれております。これにより、2014年からですね、5年にわたって建設部門ではマイナス成長が続いておりますけれども、まだまだ引き続きプラスに転じない、非常に厳しい状況が続いております。危機的状況にあるのではないかというふうに思っております。

 次に、建設に携わる就業者数ですね、これについてです。8月初めに公表された統計によれば、建設部門の上期の新規雇用は約6万5000人上昇と。昨年下期と比べて約3%増ということでした。ただ、2013年から18年の5年間で120万人の就業者数が減っております。これも他産業と比べても非常に際立った減少幅だと思っております。これに対しまして、2019年上期はですね、6万5000人増えてはおりますけれども、過去5年間の減から比べると約5%ですね、回復したというに過ぎない状況で、まだまだ建設需要、あとそれに従事する建設従事者の需要がないというのが言えます。

 先程から述べていますように、建設業の回復というのはやはり、他産業のですね、好調な業績に伴うものが非常に多いです。ですので、やはりブラジル全体のですね、目に見える回復基調、これがなければ中々回復はできないのかなというふうに感じています。経済回復のスピード感が今なかなかない。ややもするとリセッションにまた入ってしまうという可能性を秘めている中で、やはり公共工事・事業を含めて各業界の投資意欲がなかなかは上がらないというのが見て取れると思っております。また、今後将来にわたり安定成長がなかなか見込めないという中で、建設業界各社は体力勝負に入っているというふうに感じております。先程も述べたように、建設請負業のみからの事業形態から脱却しなければならないというふうに、非常に強く感じている訳です。

 続きまして、不動産市場の概況についてお話しいたします。こちらはサンパウロ市に限っての報告となりますので、ご了承ください。

 サンパウロ市のマンション市場は2018年以降回復をしてきております。2014年から2017年の成約数は1万6000戸~2万3000戸と低調でしたが、昨年は約3万戸を記録し、今年はさらにそれを上回る勢いとなっています。月当たり3000戸程度で推移しておりましたが、6月に6300戸を記録し、上期の累計は1万8000戸を上回っております。市場としては好調な状況になっております。市場供給数と売却数のバランス指標である成約率、こちらも上昇傾向にあり、6月は単月で21.5%を記録しております。

 あと、まあ皆さんの関心にも関わって来ると思います、賃料についてですけれども、賃料につきましては物価上昇程度の家賃上昇が見られます。あと、サンパウロ市の南部の辺りの新築物件は非常に人気が高くて、賃料の上昇率も高い傾向にあります。ただ、日本の、皆さんのよく住まわれているパウリスタ地区ですね、この辺りは非常に、新しいアパートの供給が少なくてですね、古い建屋が非常に多い。その分賃料は横ばいで進んでいるということです。ただしですね、コンドミニオとかIPTUとかっていうのはですね、毎年10%程度上がっていっていますので、住居費としてはやはり上がっていっているというのが現状でございます。サンパウロ市のアパート、マンションに対してですね、事務所関係についてはかなり不調な状況です。空き物件も多くなってきていまして、その分、築年数が古い物件であったり、価格交渉ができる、逆に皆さん、企業的にはですね、事務所の家賃、賃料を交渉する時期にはなっていると思います。

 以上がサンパウロ市の不動産市場の概況報告でした。続きまして、3つ目はですね、Ecogenさんの、これをビジネスモデルの一つとしてですね、皆さんにご紹介をいたします。先程もちょっと述べましたけれども、今年、来年と急激に売上を伸ばされている企業様で、どういうことが成功につながったかという、少しヒントになればと思って報告させていただきます。

 まずEcogen社はですね、英国ブリティッシュガス傘下企業の子会社として2002年にサンパウロで設立をされております。約17年前になりますね。2012年に東京ガス子会社と三井物産が共同出資し、ブラジルの天然ガス利用設備を活用したエネルギーサービスの専門業者となりました。その後、2016年に東京ガスが全株式を譲渡し、三井物産の100%子会社となった会社です。

 事業としましては、熱源より電力と熱を生産し供給するコジェネレーションシステムサービスです。2015年以降は天然ガスだけでなく、バイオマスを使った蒸気の製造等、多角化を進めてきました。現在、サンパウロ州、リオ州を中心に、国内15州で78件のプロジェクトを遂行しており、主な客先が工場、ショッピングセンター、商業ビル、ホテル等になっております。

 Ecogen社は今年に入り、先程から重ねて報告しておりますけれども、急激に業績を伸ばしております。上期の売上が昨年同期の28倍と。来期が60倍ということになっております。この不況下にあって、驚異的に業績を伸ばしているのはなぜなのか。今回のシンポジュームの副題でもある、環境変化への適応のひとつの答えではないかということで、今回これを報告いたします。

 不況時には、どの企業もですね、まずコストの抑制、これにかかると思います。まず投資の初期コスト、それからランニングコスト、これらを絞っていくのが一般的です。こうした顧客ニーズをとらえるのが、三つのソリューションを挙げるEcogen社のサービスです。

 最もインパクトが大きいのは、初期投資のコストです。これに対するソリューションでありますけれども、ガス発電設備建設費をEcogen社が全て負担すると。それをその後数年かけてリーシングの形を取ることで、お客さんの方はですね、設備投資費用が不要になると。また、ランニングコストについても、まあブラジルでは電気代というのは非常に高いですから、安価な電気でランニングコストを下げていくということにも非常に魅力的なサービスということが言えます。

 また、先程の電気料についでですけれども、ガス発電および、あと分散型電力に対する優遇制度とかですね、再生エネルギーの活用といった色んなスキームでですね、コストカットを提案していくということをされております。さらに、電力の自由市場からの電力調達に関するコンサルティングサービスや、先程から述べている、初期の設備投資、建設、あとそれを運営、メンテナンスをしていくということについて一貫したパッケージでのサービスをされているということです。こうしたセールスポイントが、不況時でさらに効果を発揮し、受注につながっているのではないかというふうに推測をいたします。

 あと、同社によればですね、今年の業績急伸の主因は、政権交代という環境変化に慎重だった企業が、今まで様子見をしていたのが少し投資側に向いたと。さらに、先程もあったように、初期投資がいらないというようなですね、非常に魅力的なソリューション、あとそれにあわせて大型案件の受注が今回あったということです。かねてからの営業努力や企業戦略ですね、これが奏功していると言えます。この、初期投資をEcogen社さんが負担をしているんですけれども、まあこういうスタイルというのは中々、膨大な資金力がないとですね、中々できないので、どのような企業でもできることではないんですけれども、ただ、時代のニーズ、変化にあわせて業績を伸ばしているということは言えると思います。

 最後になります。最後は旧繊維部会の発表として、カーペット市場について紹介をさせていただきます。ここからの資料についてですけれども、これは旧繊維部会から出られた副部会長の、関西人の方が作成されたプレゼンテーションですので、ちょっと今までと雰囲気が若干変わりますので、ご了承ください。

 まず、ブラジルでもカーペットはたくさん生産されておりまして、50社以上のメーカーが約2500万平米の規模で生産をしております。2500万平米といってもピンとこないと思いますけれども、坪で言えば750万坪。東京ドームで言えば530個分ということです。で、関西人が作りましたので、関西人向けに言いますと、甲子園球場で言いますと640個分ということです。まあ中々ピンと、それでもこないですよね。ということです。

 使用される原料としましては、この場合、糸ということになりますけれど、約3万5000トンの糸が使用されています。この市場の中の数%を占めるプレミアムゾーンに入り込んでというのが、先程から述べている、繊維業界さんの高付加価値の部分ということになります。

 さて、カーペットにも非常に色々な種類があります。非常にオーソドックスなタイプ、あと織物を工夫した形のもの、あとジャガードタイプ、それから天然繊維をふんだんに使ったもの、その他、大きくは10数種類のカーペットが存在すると言われています。また、厚みについてもですね、非常に多種ありまして、事務所に使われているような毛足の短い5ミリ程度の厚みのものから、リビング等に使われる毛足の長いラグまで、これも非常に多くの種類がございます。あと、業界的にはですね、使用される素材としては、多種使用されておりまして、まあ強く軽さがあり値段の安いポリプロピレンから、ぬめりと光沢のある高級なナイロンが使用されたりしております。

 あと、カーペット糸のもう一つの特徴はですね、非常に太い、とにかく太い糸が使われております。皆さんが着ておられる衣服に使われているような糸の数十倍、あるいはもっと太い糸が使用をされております。これらの糸にはですね、色んな種類のカーペットを、お客様に対して提案を、開発をしております。現在の開発のキーワードは、ウールライク+ソフトということであります。このソフトというのが、衣料全般的に、そして世界的に現在言われていることでございます。

 ブラジルは非常におしゃれな国でですね、そして住まいについてもそのおしゃれ感を演出するのが非常に好きな国民性というか国です。リビングや寝室、そして玄関、トイレなど様々な場所に、色々なカーペットを敷き詰めて、皆さん利用されております。

 最後、皆さんにおかれましてもですね、ブラジル生活で、カーペット一つで生活空間変わりますので、ぜひおしゃれな生活空間に、新しいライフスタイルに挑戦されてみてはいかがでしょうか。

 以上、生活産業部会の発表とさせていただきます。ご清聴ありがとうございます。

司会

 今川部会長、どうもありがとうございました。ただ今の発表につきましてご質問のある方、いかがでしょうか。結局後半は質問が出ていませんけれども、それではですね、生活産業部会の発表を以上で、盛大な拍手をもって終了したいと思います。

 以上で、前半5部会、後半5部会、計10部会の発表をすべて終了いたしました。内外の環境変化にどう対応するか、最後の生活産業部会でですね、その答えがなぜか、コスト削減需要のビジネスと。やっぱり環境変化でやはりコストを削減しないといけないといったところをとらえてですね、そういった需要をとらえてビジネスをされたEcogen社のビジネスというのが非常に印象的だったかと思います。

 それではですね、ここで本日出席いただいております在サンパウロ日本国総領事館の野口総領事より、本日の各部会の発表につきまして講評等ございましたらお願いしたいと思います。それでは野口総領事、よろしくお願いいたします。

 

講評

在サンパウロ日本国総領事館

野口泰 総領事

                     

 こんにちは。長時間にわたりまして、ご苦労様でございます。私の方からですね、今日のシンポジューム、途中からの出席となりましたけれども、いくつかちょっとお話しをさせていただければと思っております。

 私、今年の4月の初めにですね、東京で行われました日伯賢人会合という、賢人というのはwise manですね、日伯両国の経済界の重鎮の方の会議に出まして、そこで非常に感じましたのはですね、日本の出席者の方から非常に問題意識としてありましたのは、いま世界でですね、非常に不透明感がただよっていると。まあヨーロッパはBrexitがどうなるか、そして米中の経済的な摩擦がある中でですね、こうした中でやはりブラジルというのが非常に魅力的になってきているんじゃないかと。人口も多く、天然資源にも恵まれ、農業のポテンシャルもあり、非常な潜在力を秘めるブラジルというのが、こうした、大きなエコノミーが不透明感がただよう中でですね、ブラジルへの注目を非常にされているんじゃないかなという印象を、日本側の出席者の話を聞いて思ったところであります。今年になってですね、ボルソナロ大統領、まあpro-buisinessな大統領がブラジルにできたということでですね、そうした期待を非常に感じたところであります。

 そしてブラジル側もですね、今回は閣僚クラスの方も出席されて、賢人会合ですね、ここでやはり日本に対する熱い視線というのを感じました。おそらくそれはですね、今ブラジルが非常に経済的には中国に大きく依存していると。輸出の3割は中国でですね、こうした中国だけに頼るといいますか、依存する体質はあまり健全ではないんじゃないかということでですね、そこでアジアの伝統的な友好国である、まあ日系社会もある、そうしたブラジルにとっての日本の重要性というのが高まっているのではないかというふうに感じたところであります。

 ボルソナロ政権は、大統領の方は日々いろんな発言がですね、取り沙汰されておりましてですね、まあ政治的にはちょっとごたごたしている面もあるのかなという感じもいたしますけども、かたや経済政策についてはですね、まあこれはボルソナロがかなり、パウロ・ゲデス経済大臣に任しているということもありまして、比較的まあ堅調といいますか、6月末のEUとのFTA交渉の妥結と。20年以上にわたって妥結に至らなかったのがようやくこの政権になってできたというは一つの成果ではないかというふうに思っております。もちろんこれから最終的な文書を詰めたり、あるいは批准手続きというのはまだまだ時間がかかるかもしれませんけども、まあ一つの大きな成果ではないかというふうに思っています。そして年金改革も下院を通過しましてですね、税制改革もいろいろ検討が進んでいるようでございます。そうした経済政策についてはですね、比較的堅調に推移しているのではないかというふうに思っております。

 そして今、ラテンアメリカ、中南米を見ますとですね、中南米の2大エコノミー、おそらくメキシコ、ブラジルだと思うんですけども、メキシコがロペスオブラドールという、左派政権になってですね、かたやブラジルが、保守政権といいますか、右派政権になった中でですね、これまでは全く逆だったんですね。メキシコが非常にビジネスがしやすいと、経済が自由化されていてしやすいという中でですね、日本企業がどんどん行っていて、日本企業数も今メキシコの方がはるかに多いんですけども、そうした大きなピクチャーがちょっと変わってきたかなと。メキシコが若干ビジネスがやりにくくなる中でですね、ブラジルの重要性というのが高まっている面もあるのではないかなというふうに思った次第であります。

 いずれにしましても、今日も何度も指摘がありましたけれども、日・メルコスールEPAのですね、交渉についてですね、日伯経済合同委員会、7月の終わりに開催されました合同委員会でも提言をいただきましてですね、たいへん重く受け止めております。何とか、こうした声を受けてですね、政府としても動かすように引き続き検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

 そして最後に、中国ですとか韓国の動きについていくつかお話しがありました。中国につきましてはですね、ご案内の通りドリア・サンパウロ州知事が8月の上旬に中国を訪問されてですね、上海にサンパウロの、事務所といいますか、サンパウロの経済代表事務所を設置する等、あるいはファーウェイの投資が発表される等ですね、色々動きが出てきたところであります。こうした中で、ドリア州知事はですね、9月の中旬には日本にも行かれるというふうなことを聞いておりまして、まあ日本との関係にもですね、意を用いておられるということをご紹介しておきたいと思います。

 そして韓国についてはですね、まあ日韓関係非常に厳しい所でありますけども、韓国はですね、8月の上旬に韓国文化センター、これはちょっとパウリスタ大通りから離れたところにこれまであったんですけども、それをパウリスタ通りに移転する形でですね、オープニングをされております。多分にジャパンハウスがパウリスタ通りにできたということもあって、移転されたというふうな見方もありますけども、非常に、韓国のK-POPをですね、前面に打ち出した文化施設になっておりまして、こうしたところでどういった、文化あるいは経済の推進をしていくかということも引き続き注目をしていきたいというふうに思っております。

 とりあえず私の方からは以上でございます。本日はどうもご苦労様でした。

司会

 野口総領事、どうもありがとうございました。それでは、本日、在ブラジル日本大使館より濱浜坂参事官、そして塩野書記官が出席しておりますので、お二人から挨拶とコメントをですね、もしありましたらお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

 

在ブラジル日本国大使館

濱坂隆 参事官

                  

 ただ今ご紹介に預かりました、在ブラジル日本国大使館の濱坂でございます。先程野口総領事の方から、内政、外政、包括的な講評がありましたから、私の方からも一言申し上げさせていただきます。

 大使館では、日本企業の支援、これを一つの大きな柱として掲げております。ただ残念ながら我々、大使館はブラジリアにありまして、これはブラジル政府との接点を持つという点では非常にアドバンテージはある一方で、中々日本の企業の方々の、どのような活動をされているのか、あるいはどんな課題があるのか、中々直接お話を伺う機会がありません。残念なことです。そうした中、今日のシンポジュームで皆様のお話を伺うことができました。非常にありがたい機会だと思います。この場をお借りしまして、カマラの事務局、プレゼンターの皆様、そして各部会に参加の皆様にありがたく御礼申し上げます。

 本日、業界ごとに様々な課題、大きなポイントとしてご指摘いただきました。自動車部会のプレゼンでは私も質問させていただきましたが、こうした課題、我々がブラジル政府関係者とお話しする場で指摘したり、意見交換したり、あるいは追加情報を得たり、こうした形でフォローしていこうと思っております。また、日本とブラジルの間には様々な政策対話、こういったダイアローグの機会があります。こうした機会を使って取り上げて、状況の改善、こういったことを図っていきたいと考えております。

 また、本日のサブタイトル、内外の環境変化、この要因として年金・税制改革の状況、韓国、EU、これらのメルコスールとのFTA、こういった情勢が何度か指摘されております。これに対しまして、我々どもも当然情報として追いかけております。何かの機会に皆様とその情報を共有させていただきたいと思っております。

 また、日本とメルコスールのEPA、これ先程野口総領事の方からもお話しさせていただきましたが、我々として非常に重たく受け止めているところでございます。今現在では検討中ということでございますが、皆様の企業活動に対して望ましい環境となるような形で進めていきたいと、そのように思っております。

 最後になりました。電機・情報通信部会より、官民一体の取り組み、こういった重要性が要望されております。それに対する大使館の答えとしては、ぜひやりましょう、この一言をもちまして私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

司会

 濱坂参事官、たいへん力強いお言葉をいただきまして、どうもありがとうございます。それでは、塩野書記官よりご挨拶ならびに、もしコメント等ありましたらお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

 

在ブラジル日本国大使館

塩野進 書記官

                   

 ただ今ご紹介をいただきました、日本大使館経済班の塩野でございます。国土交通省からこの6月に着任をいたしまして、本日初めてお会いする方もたくさんいらっしゃいますけども、今後とも様々意見交換させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。また本日は貴重なお話をいただきまして、ありがとうございました。着任したばかりでございますので、私から何かコメントということはございませんけれども、一つ思いましたのは、私国土交通省でこの5年、10年、建設業、観光業、それから海運業に関係する仕事をしてまいりました。その中で一貫して共通したテーマとして日本で取り組んで参りました、例えば働き手の処遇の改善、優秀な人材の確保、生産性の向上、あるいはICT、AIといった新技術への対応、こういったテーマについては本日もたくさんお話しをいただきましたので、日伯関係なく普遍的なテーマなのではないかなというふうに思った次第でございます。一方で、ブラジルの今後の見通しの中で、隣国アルゼンチンの動向ですとか、あるいはボルソナロ政権の税制改革をはじめとした構造改革の今後の進展、そういったことについても皆様からご関心事項としてご教授をいただきましたので、私どもしっかりブラジリアで情報収集をして、皆様と共有をさせていただきたいというふうに思います。今後ともよろしくお願いいたします。

司会

 塩野書記官、どうもありがとうございました。ただ今6時10分、ちょっと10分オーバーしてしまいましたけれども、以上で本日の業種別部会長シンポジュームを終了したいと思いますが、終了にあたりまして、閉会の辞を讃井総務委員長にバトンタッチしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

閉会の辞

讃井総務委員長

                             

 あらためまして讃井でございます。長時間にわたりまして、今日はお疲れ様でございました。大変ありがとうございました。前回申し上げたんですけども、ずっと高い所から座ったまま大変申し訳ございません。1分だけお時間を頂戴したいと思います。

 まずもって、本日お付き合いいただきました野口総領事、あと大使館の方から濱坂様、塩野様、ご参加いただきまして大変ありがとうございました。今回のセミナーでですね、各種要望というのがいくつか出てきておりましたけれども、税制ですとか、規則ですとか、特にEPAの課題、これについては先程総領事の話にありましたけども、日伯経済合同会議でも大きく前進をしている、こういった状況にあるかと思っておりますので、引き続き官民ご一緒させていただいてですね、カマラ、進出日本企業の、あるいは在ブラジル企業の盛りたてにいきたいというふうに思ってございます。

 あと、先程ご案内ありましたけど、9月17日ですね、アルゼンチンのセミナーということもご案内させていただいております。ブラジル、メルコスール、世界、あるいは産業構造、色んな意味で変化が起きているというのは踏まえつつですね、今後やっていければなと思います。

 皆様の発表自体はですね、目先不透明、どちらかというと暗い内容が多いかなと正直思ったところではございますけども、ただし民営化ですとかイノベーションだとか、新しいアイデアだとか、オールジャパンだとか、そういった言葉の中でですね、希望の持てるところというのは必ずあると思いますので、次回は半年後の2月に向けてということですけども、ぜひともカマラの活動を通じまして、皆様で力をあわせてですね、盛りたてていければなというふうに思います。

 一つだけ、今回のこの資料はおそらくカマラのウェブサイトに全てアップされると思うんですけど、ちょっと私も自分のところで思ったのは、若干資料が、明るくない部分も多いものですから、間違ったインプットにご本社なりなんなりならないようにですね、適宜見られる方を想像して、補足をしていただくというのが大事なことなのかなというふうに思いましたので、そこは考慮いただければというふうに思います。

 すいません、長くなりまして恐縮でございますが、今日は大変ありがとうございました。この後懇親会が外でご用意されているということですので、ぜひご参加いただければと思います。以上で終わります。ありがとうございました。

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