FAOは世界的な肥料の需要に対する供給不足の可能性を憂慮(2022年2月8日付けヴァロール紙)

ロシアとウクライナ間の戦争勃発の可能性の上昇に伴って、世界的な肥料供給国である両国からの肥料供給不足による食料品価格上昇への反映を国際連合食糧農業機関(FAO)は憂慮している。

ロシアとウクライナの対立が深まれば両国からの肥料輸出に障害となり、穀物をはじめとした農産物の生産コストを押し上げるために、食料品価格上昇に繋がると国際連合食糧農業機関(FAO)は指摘している。

2022年の先進諸国での農産物生産向け肥料需要は、継続して高止まりすると予想しており、新興国及び発展途上国への供給不足に陥る可能性がある。

FAO貿易市場部門のJosef Schmidhuber副所長は、ヴァロール紙とのインタビューで、地政学的問題についてコメントすることは許可されていないが、トルコ、エジプト、中国、ロシアやその他の農業生産国への肥料供給を保証する必要性を指摘している。

ロシア、ウクライナ及びベラルーシの3国は、肥料の背科的な生産大国であり、特にロシアは窒素・リン酸・カリと三大肥料のいずれにおいても重要な供給国、ウクライナは窒素肥料で一定の地歩を占めており、ベラルーシはカリ肥料の世界的な産出国及び輸出国となっている。

窒素肥料では原料として天然ガスを使用するため、ガス供給をロシアに依存するウクライナは、ロシアとの軋轢が更に高まれば自国の肥料産業は、危機的な状況に陥っている可能性がある。

肥料の三要素のカリウム生産ではカナダ、ロシアに次いで世界3位のベラルーシ―は、米国およびヨーロッパからEU域内への移民の違法な入域を促しているとして制裁を受けているが、ベラルーシ―からのカリウム供給では、劇的で世界的な供給不足には陥らないと予想されている。

ロシアは窒素肥料では世界最大の輸出国であり、カリウムは世界2位、リン酸鉱輸出では世界3位の地位を占めており、ロシアとウクライナとの軋轢が開始されれば、米国並びにヨーロッパは、即座にロシアに対する経済制裁を開始すると予想されている。

昨年の肥料価格が2倍に高騰している影響で、2022/23向けの世界の肥料の消費量は、前年比3.0%減少で推移すると世界肥料協会(IFA) は予想している。

今年の第2四半期に北半球と南半球で窒素とリン派生品の不足が予測されており、これらの肥料価格が現在のレベルを維持すれば、2022/23年の肥料需要の減少をJosef Schmidhuber副所長は指摘している。

たとえば、小麦栽培では窒素肥料が不足した場合、小麦生産量とクオリティが低下するために、少量の肥料で生産可能なトウモロコシに転作する農家が増加すると予想されている。

ブラジル国内で窒素肥料が供給不足した場合は、南マット・グロッソ州、パラナ州、南大河州及びサンタ・カタリーナ州の生産者は、トウモロコシ及び棉栽培から大豆栽培に切り替える可能性をJosef Schmidhuber副所長は指摘している。

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