6月の懇親昼食会は150人以上参加して開催

6月の懇親昼食会は、2019年6月19日正午から午後2時過ぎまでマクソウドホテルに150人以上が参加して開催、司会は平田藤義事務局長が務め、初めに特別ゲストとして商工会議所の2回目の参加となるXP Investimentosの著名なチーフエコノミストのZeina Latif氏、3期連続で下院議員を務めたサンパウロ商業登録所(Junta Comercial de São Paulo)のWalter Ihoshi所長を紹介した。

初めに村田俊典会頭は6月常任理事会・臨時理事会報告として、6月11日午前9時から11時までブラジリア市の下院本会議場で開催され、日系議員のルイス・ニシモリ下院議員、キム・カタギリ下院議員、山田彰大使、佐藤洋史JICA所長などが参加したブラジル日本移民111 周年記念式典で商工会議所活動を紹介、7月24日から26日の間にマルコス・シントラ経済省連邦歳入担当次官と税制改革で意見交換、7月29日から30日に第22回日伯経済合同委員会で日メルコスールEPA早期締結要請するための意見取り纏めを行っていると説明。

臨時理事会では讃井慎一総務委員長から案内したが、今年1月の建設不動産部会と繊維部会を統合し生活産業部会(建設不動産・繊維)としての合併編成に続き、今回は運輸サービス部会に所属する通信分野企業を電気・電子部会に編入し、電機・情報通信部会に変更することで承認され、8月の業種別部会長シンポジウムに向かって新部会で意見交換会すると説明した。

6月常任理事会・臨時理事会報告をする村田俊典会頭

総領事館からの報告として野口泰総領事は、総領事館関係行事関係として、各地で日本食につぃて講演活動を続けているレストラン藍染の白石テルマ・シェフに対して、5月10日に総領事公邸で日本食普及の親善大使任命式が行われた。5月20~21日,サンパウロで石川昭政・経済産業大臣政務官との意見交換会開催。5月30日,総領事公邸で天皇陛下御即位祝賀レセプション開催した。

日系社会支援関係では、太平洋戦争終結を信じず、フィリピン・ルバング島に30年近く潜伏し闘い続けた〝伝説の日本兵〟小野田寛郎さんが農場を経営していたバルゼア・アレグレ市で、5月25日,同市日本人会館でバルゼア・アレグレ入植60周年記念祭開催。6月1日,インターコンチネンタルホテルで日系社会が造ったサンタクルス病院開院80周年記念式典開催。6月1日,山田大使による憩いの園訪問。6月8日,県人会で唯一文化祭を開催している石川県人会は「第20回文化祭」開催。6月8日,カンピーナス日伯文化協会会館で第15回カンピーナス日本祭り開催。6月8日,オザスコ日伯文化体育協会会館で第10回オザスコ日本祭り開催。7月5日から7日には県連主催による第22回日本祭り開催。6月18日,イビラプエラ公園内慰霊碑及び文協ビルでブラジル日本移民111周年記念祭開催を説明した。

日本企業支援では、国費留学生と日本企業との接点拡大に向けた取組として、日本への国費留学生として,毎年,文学(日本語研究),工学,法学,経済学等の幅広い分野において,約30名の留学生を日本に派遣、これまで国費留学生と日本企業との接点があまりなかったとの問題意識の下,ブラジルに帰国した国費留学生による帰国報告会を開催し,日本企業関係者の参加で接点を拡大していくことを検討中で商工会議所とも相談予定。6月13日,C.T. Sã、o Paulo F.C.に700人が参加してサッカー日本代表との交流イベント開催。

6月16日,ジャパンハウス サンパウロで講演会「サッカーを通した交流と人材育成」開催、元選手のセザール・サンパイオ氏やワルテル・フィールドマン氏が参加してパネルディスカッション開催などを説明した。

連絡事項として、蔵掛 忠明日伯法律委員長は、2019年上期税制変更に関するセミナーは6月25日にコンサルタント部会との共催、マクソウドホテルで午後1時20分から6時まで開催、まだ席に余裕があるので参加を要請した。長野 昌幸異業種交流委員長は、異業種交流委員会主催の講演会として6月26日午後6時から盛和塾最終年の企画として、前代表世話人である板垣氏に稲盛経営哲学、JAL再生について講演。大久保 敦 企画戦略委員長/ジェトロサンパウロ所長は、ジェトロは日本経団連、ブラジル日本商工会議所と共同で、8月1日(木曜)~2日(金曜)にかけて南米大陸の中心に位置するパラグアイへ、ビジネス環境視察ミッションを派遣、主なプログラムは各国のビジネス環境、投資インセンティブなどの概要セミナー、日系企業等訪問、投資誘致機関・業界団体等とのネットワーキング構築、まだ募集人員に余裕があるので参加要請した。

代表者交代挨拶では、HISAMITSU FARMACÊUTICA DO BRASIL LITDA.の平松太郎社長は、前任者の中村社長は4年間勤務サロンパス以外でもスプレーなどを販売、2002年にマナウスに生産工場を建設、ブラジル国民の健康向上に寄与したいと述べた。新入会員紹介では、BRAZIL SUPPORT SERVICE EVENTOS E SERVIÇOS LTDA.の塚本 恭子代表は、ブラジル未来塾、7月から本格オープンするジャパンハウスのカフェ・サボール・未来、商工会議所の新年会のおせち料理を提供したグルメクラブ未来、教育・食、作法など日本の素晴らしさを紹介している。

HISAMITSU FARMACÊUTICA DO BRASIL LITDA.の平松太郎社長

3分間スピーチでは、JICAの佐藤洋史所長は新体制として本店をブラジリア市から南米のハブと なるサンパウロに中心拠点を置き、多様な協力パートナーと共に JICAビジョン「信頼で世界をつなぐ」を追求。日本の64大学と連携して実施するJICA開発大学院連携のブラジル版「フジタ・ニノミヤチェア」を始動、藤田大使や二宮教授のような人材育成を本年3月から開始、9月から大学院レベルの講義も開講。資金提供の日本進出企業とのイベント開催通知と更なる支援を要請。また、本年がブラジルへのODA60周年で、イベント企画中と報告。

元青年会議所会頭の中野マルシア コーディネーターは、文協主催の国際日系人デー 記念パネル「Os Legados de uma Cultura」は6月25日午後3時から文協で開催、2018年6月8日に国際日系の日と定められた。ブラジルには200万人に達する世界最大の日系コロニアが存在、日系人の価値観を継続するために参加を要請。平田事務局長は、マルシア コーディネーターは小柄であるが、バイタリティに富んでいると紹介した。

講師歓迎の辞で、ブラジル金融界に顔の広い村田会頭の招待を快諾したXP InvestimentosチーフエコノミストのZeina Latif氏は、エスタード・デ・サンパウロ紙の経済欄コラムニストで2016年2月にも講演している。また連邦下院議員を3期連続で務め、日伯議員連盟会長を務めたサンパウロ商業登録所(Junta Comercial de São Paulo – JUCESP)所長の飯星ヴァルテル(Walter Ihoshi)氏の略歴を村田会頭は紹介した。

初めにZeina Latif氏は「今後の経済展望」と題して、現在の経済状態は経済・政治・社会学面からも考察する必要があり、経済状態を説明するのはフラットな発言は難しい。テーメル政権時よりもボルソナロ新政権に対する企業家の信頼感が低下して憂慮している。今年のGDP伸び率はカルドーゾ政権やルーラ政権の年間平均3.5%を大幅に下回る1.0%にしか達しない。GDP伸び率を引き上げるには、構造改革以外にもマンパワーの質向上で生産性を図るための人材育成のために教育向上が不可欠となっている。

税制も簡素化が第一歩であり、国会に責任を負わせてはいけない。ブラジルでは政党が多すぎる。米国は2大政党だけであるが、ブラジルは30政党もあり、政治工作に無駄な時間を費やす。また失業者や就職活動を停止した人などを含めると失業率が25%に達している。勉強も仕事もしないニート状態の若者が増加の一途となっており、早急な若者向けの教育向上政策の採用が必要であるが、ボルソナロ新政権の政治の方向性が明確でない。今年のブラジルは緊急救命室の患者の状態で、緊急室から出るには早急な年金改革をしなければならず忍耐が必要となっている。

ジウマ大統領は弾劾で追放され、後を継いだテーメル政権は一桁台の支持率で不人気であったが、プロテストされていない。後を継いだボルソナロ新政権はテーメル政権の経済政策を継続しており、ゼロからの出発ではなく、ブラジルは年金改革をはじめとした構造改革遂行で再び経済成長サイクル入りできる。

ジウマ政権の無責任な政策で致命的な公共財政赤字を記録。総人口に占める働く人の割合が上昇し経済成長が促進される人口ボーナスは、昨年で終了して今後は高齢化が進み、60歳以上の人口の割合が増加する。1960年代は女性の平均的な子供の数は6.0人であったが、昨年は1.7人に減少、特に富裕層の子供の数は劇的に減少している一方で、貧困層の出生率が高い。昨年の年金・恩給の支出はGDP比14.0%と若年層が多いにも拘らず、年金支出率が非常に高く、早急な年金改革をしなければ財政破綻が避けられない。

今後数年間で連邦政府の財政赤字はGDP比80%に達する。大半の州政府は公務員の年金支払いで破たん状態となっている。年金改革をしなければジウマ政権の二の舞になる。テーメル政権の支持率は10%以下であったが、財政政策を正しい方向に戻し、労働改革やメンサロン以来初めて経済成長政策を導入した。

ボルソナロ新政権による年金改革は上期かどうかわからないが必ず達成する。XPでは下半期の年金改革を予想、年金改革による財政赤字は減少するが、赤字はなくならない。実業界の信頼回復や設備投資の再開が予想されるが、堅調なGDP伸び率達成には税制改革などの構造改革が不可欠。また高校生の60%が算数の初歩的な水準に留まっており、機能的な識字率が低い。15歳から19歳の国民の23%がニート状態で最小限の教育水準の若者の確保が急務となっている。

ボルソナロ大統領は年金改革をしなければブラジルが財政破綻することを承知しており、支持率は低いながらも昨年5月のトラック運転手による抗議ストライキなどは発生しない。年金改革に続いて税制改革など一連の構造改革を進めればブラジルコスト低減と共に国内外投資家の信用回復に伴ってインフラ整備が進み、持続可能な成長に繋がるが、困難な政治改革に着手する必要があると説明した。質疑応答では人間ドックを受けたみたいで病状が分かりやすかった。今後の投資時期はいつになるかとの問いに、作りかけの国であるが将来は膨大なポテンシャルがある。テーメル前政権から構造改革に向かって進みだして、構造改革を議論する国になった。外的要因がよくなれば投資環境は改善する。しかしいきなりスイスのような国、GDPが4.0%伸びる国にはならない。ブラジルは初めて構造改革を進めており、実業界の改革を理解している。財政赤字の累積でお金が無くなったのもかえって良かったかもしれないとコメントしている。

Investimentosの著名なチーフエコノミストのZeina Latif氏

続いてサンパウロ商業登録所(Junta Comercial de São Paulo – JUCESP)所長の飯星ヴァルテル(Walter Ihoshi)氏は、「サンパウロ商業登録所」と題して、初めに下院議員を3期連続で務め、昨年サンパウロ州政府のジョアン・ドリア知事から指名を受けてJUCESP所長に就任したことを説明、飯星氏は所長就任後に脱官僚化並びにビジネス環境整備、デジタル化によるペーパーレス化を目標に、果敢にJUCESPの組織改革や仕事の見直しによる簡素化促進で、ひいては日本とブラジル実業界の関係強化に繋がると説明した。

JUCESPは1985年設立、2012年に独立行政法人となり、ブラジルにおいて法人は会社の設立、株式の増資、経営者、取締役会、住所などの変更、支店の開設および閉鎖等において法的効果を得るためには商業登録所にて登録する必要があり、代理人の任命 、会社形態の選択 、会社定款の作成、定款登記、法人登録番号(CNPJ)の取得、 資本金の送金、ブラジル中央銀行への登録 、輸入許可・製造許可の取得 などの煩雑な業務を行っている。

しかしJUCESPの組織は硬直的な官僚制が残っており、仕事の速度が遅い。また1890年代の書類も保存してあったので、早急なデジタル化によるペーパーレスを目指している。昨年の情報検索は380万件、登記手続きは150万件、投資書類はデジタル媒体で会社の申請が可能となる。州内には42カ所の支店が網羅されており、JUCESP本部は全国27カ所の本部で行う投資の42%を占め、2位はパラナ州並びに3位はミナス州、4位はサンタ・カタリーナ州であるがそれぞれ一桁台に留まっている。

昨年1月から4月までの企業開設は1万3,000件で平均3.6日を要していたが、今年は手順に見直しで1万9,000件をさばいてドリア知事が要求していた平均24時間に短縮した。全国の商業登録所のシステムを統合して年末までにファストトラップ化して、どこの商業登録所でも検索できるようにする。またプロセスの再構築化、書類審査の簡略化で3年以内に100%のペーパーレス化を目標にしていると説明した。質疑応答では政党数が30党に及ぶ影響に対して、飯星氏は、所長ではなく一国民の回答として、政治改革の一環として政党数の削減で生産性のある国会の必要性を強調。村田会頭から両氏に記念プレートが贈呈された。

サンパウロ商業登録所(Junta Comercial de São Paulo)のWalter Ihoshi所長

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