7月の懇親昼食会に150人以上が参加して開催

7月の懇親昼食会は、2016年7月22日正午から午後2時までチヴォリ・モファレッジに約150人が参加して開催、進行役は平田藤義事務局長が務め、初めに特別ゲストのFGV大学経済学部のヴェラ・エレナ・ソーステンセン教授、関口ひとみ在サンパウロ日本国首席領事が紹介された。

村田俊典会頭は会頭挨拶で、今年から立ち上がった全伯会議所連携強化委員会が6月28日にポルトアレグレを訪問し、南伯日本商工会議所と意見交換会を開催したと述べた。意見交換会ではAGIR活動を中心に説明、その後、南伯会議所からワーキンググループに参加するなど交流がはかられ、今後はパラナやベレンとの会議所との連携も行なうようにしていくと語った。7月12日から14日まで行われたアルゼンチンインフラミッションには76名、また7月20日に開催された安全対策セミナーにも70人という大勢の会員が参加したことを歓迎した。今後の活動としては、下期業種別部会長シンポジウムが8月25日に開催され、今回のテーマは上期の回顧と下期の展望、そして、副題はどん底の時期ならではの戦略は?-課題整理と対処方策―となっており、これから開催される部会懇談会で各部会がまとめを発表する大きなイベントであるとし、またブラジルドローバック制度についての説明会が7月27日に開催予定、両イベントとも大勢の会員に参加して欲しいと呼びかけた。次に8月3日の下院議会での公聴会には、会頭と松永政策対話委員会委員長が今までブラジル政府と行なっているAGIR活動を中心に説明する予定であると語り、また、8月終わりから選挙の準備に入る予定であり、来月詳しく説明するが地場企業も積極的に理事会社へ立候補するよう呼びかけた。最後に、現代ブラジル事典は1000冊輸入したうちの半分売れたところであるが、800冊の売上を目標にしているので、会員の協力を要請した。

大久保敦総務・企画委員長は、会頭の説明で触れた業種別部会シンポジウムとアルゼンチン・インフラミッションについて説明、まず各部会懇談会での報告が行なわれる部会シンポジウムの案内は来週配信する予定で、多くの会員が参加するように呼びかけた。また、ジェトロサンパウロ、商工会議所の相互啓発委員会、総務企画委員会共催で開催されたアルゼンチン・インフラミッションには、ブラジルからの参加者がほぼ半数を占め、アルゼンチンへのミッションとしては過去最大規模となったと説明、一行は、ミケティ副大統領との会合を中心に、通信大臣、エネルギー大臣、各分野の副大臣、総裁クラスの官僚からのプレゼンによる事業の紹介とのネットワークを構築、また、製油所、地下鉄、下水道などの現場視察を行なったと説明した。

3分間スピーチでは、Sompo Segurosの川部弘明経営審議会副会長、Francisco Caiuby Vidigal Filho社長が、ブラジルで蓄積されたマリチマと安田の経験を生かし、ブラジルではまだ知られていないSompoというグローバルブランドを、日系社会そして日系企業のお客様に満足してもらえるサービスを提供していきたいと述べた。国際交流基金サンパウロセンター深沢陽所長は、リオから東京に繋ぐオリンピック関連で、美術、映像、舞台の3つの事業をリオのセントロを中心に開催される予定で、中平康監督の映画については、リオとサンパウロのブラジル銀行文化センターで開催されると説明した。JCB岡田征泰事業開発マネージャーは、JCBカードはCieloやRedeで活用でき、また2017年には、CAIXA ECONOMICAとパートナーを結んでカードを発行する予定で、オリンピック期間中に行なっているサンパウロとリオでの優待キャンペーンを紹介した。日伯文化連盟(アリアンサ)大城幸夫理事長は、ピニェイロス校にての大型工事の進捗状況を伝え、75%の完了を迎えているもののもう少し会員企業の協力が必要であるとし、また、ブラジル日本移住者協会杓田美代子会長とオイスカブラジル高木オズワルドコーディネーターは、修好120周年の年に会議所の環境委員会と共催で植樹した日伯友好の森の結果報告を行なった。3月に目標の2万本の植樹が完了し、2008年に植樹事業を開始してから14万本に達成し、チャレンジはつきないがこれからも50万本の植樹を目指していきたいと訴えた。

代表者交代挨拶で、NTN DRIVESHAFT DO BRASILの藤井博司社長は、5月末にインボイスすべてがレッドチャネルになる問題を会議所に相談したところ、政策対話委員会の通関WGで対話をしてきている財務省の担当官にレターを提出するよう進められ実行すると、その後全てグリーンに変わったという事例を紹介し、会議所の活動の大切さを感じたと述べ、後任の川井泰之氏は、静岡の本社から6月末に着任したばかりであるが今後積極的に会議所の活動に参加していきたいとした。着任挨拶では、イグアス・コーヒーの前田一郎社長は、6月1日から同社に着任し、今回で4回目計13年のブラジル駐在で、4年ぶりに昼食会に参加することになるが、経済成長率7%の時期とのギャップを感じているとした。イグアスコーヒーはインスタントコーヒーを生産販売しており、パラナ州に世界的に大きな工場があると述べ、平田事務局長は、前田社長は、4年前、丸紅ブラジル会社社長として駐在しており、会議所常任理事も務めていた頃、商用マルチビザの改善提案文章を作成、その改善の実現に敬意を評した。

30年の国際貿易関連の業務についているヴェラ・エレナ・ソーステンセンFGV大学経済学部教授は、今世界やブラジルの経済貿易協定の構造が大きく変動していると強調した。アメリカを含めた世界規模の貿易協定は徐々に拡大してきており、その特徴として、大規模な協定、グローバルチェーンへの配慮、輸入税やアンチダンピングなどの規制の影響の衰退、そして為替変動の影響を指摘した。世界の貿易協定の数は年々増え続けている中、ブラジルはその波に乗り遅れ孤立しているとした。中国の動きに注目すると、ブラジルとアルゼンチンなどの南米諸国の資源事業への投資を積極的に行なっており、南米諸国に目を向けると、チリ、コロンビア、ペルーなど太平洋側諸国で貿易協定が積極的に取り組まれているのに比べて、大西洋側のメルコスール諸国は協定を結んで来ていないと分析した。ブラジル政府は、カルドーソ大統領の時代は開放的であったが、労働党政権のルーラ大統領、ジルマ大統領時代には、イデオロギー主義を通し、世界から隔離する政策を取ってきたことは大きな間違いであると指摘、労働党政権は、大国意識で、BRICSとの協調や南南協定を推進、アメリカに対抗する政策を取ってきたとしたと述べた。そして、ここ2ヶ月で暫定政権へ移行し、ブラジルは変わると信じていると主張した。また、ブラジルがTPPやTTIPなどの大型貿易協定に参加する場合としない場合の影響を比較、参加していくべきであるとの数字が出ていると分析、ブラジルが貿易協定を進めていく上で、EUとの協定より、アメリカと協定を結ぶことが重要であるとした。もちろん日本との貿易協定にも興味はあるが、カナダや韓国などもブラジルと協定を結ぶことに興味を持っている国があるとした。大型の貿易協定の特徴としては、関税規制ではなく、ルールや基準の集約で、これは政府が決める規制や基準のみならず、業界毎に民間が規制や基準を決めていくことが多くなると述べた。民間基準が、国際標準化してきており、ISO規制や世界統一規準など、新しい規制競争が生まれてきている。例えばフィトサニタリー証明や技術障壁数が増え、ブラジル製品のコーヒーや生肉など、民間企業や研究所などの規準への相互協力が必要となってきているとした。今までのブラジル貿易の特徴は、生産過程の付加価値製造品からはずれ、鉄鉱石などの一次産品に頼り、製造分野の貿易を比較するとブラジルの部品の輸入比率は低く、付加価値の少ない製品の貿易を中心に行っていることから、世界経済から孤立していることが判断できるとした。製造技術が高く製造業の多い日本は、ブラジルに大きな貢献ができると説明した。ブラジルは、政権交代の暫定政権の真っ只中で曇りが晴れ始め、世界の貿易協定に参加する方向で動き始めており、ブラジルがグローバルチェーンに参加していくには、日本の民間企業の役割は計り知れないと講義を締めくくった。会員からは、ブラジルにおける規制の不透明さやインフラの貧弱さ、メキシコとブラジルを比べると日本企業が進出しにくく、まだ心配ごとが大きいとの質問に対して、確かにブラジルは世界貿易構図から外れていたが、変化が起こっていると信じているし、経済危機より政治危機に陥っており、政治・政策危機を乗り越えていく必要があると伝えた。また、今後のブラジルと日本との関係の質問には、TPPは日本とアメリカの2国間での交渉が締結成功への大きな鍵を握っている見ており、両国ともに中国を見ながら貿易協定が進められていると分析、ブラジルは、中国規準の不安定さや中国は需要経済ではないことを意識し、協定結んでいくよう注意を促し、更にはTPPなどアメリカと日本が主導する貿易協定の重要さを述べた。

ソーステンセン教授講演資料「ブラジルの国際貿易におけるチャレンジ-南米諸国、EU、米国あるいはTPPか」: PdfApresentação da Palestra (em inglês)

Vera Helena Thorstensen, professora e pesquisadora da Escola de Economia de São Paulo da Fundação Getúlio Vargas (FGV) (Fotos: Rubens Ito / CCIJB)

Toshifumi Murata, presidente da Câmara

Vera Helena Thorstensen, professora e pesquisadora da Escola de Economia de São Paulo da Fundação Getúlio Vargas (FGV), Toshifumi Murata, presidente da Câmara e Hitomi Sekiguchi, cônsul-geral-adjunta do Japão em São Paulo.

Francisco Caiuby Vidigal Filho, presidente da Sompo Seguros, Satoshi Awaya, diretor-executivo da Câmara e Vera Helena Thorstensen, professora e pesquisadora da Escola de Economia de São Paulo da Fundação Getúlio Vargas (FGV).

Presidente da Câmara, Toshifumi Murata (d), faz entrega de placa de agradecimento à 
professora e pesquisadora da Escola de Economia de São Paulo da 
Fundação Getúlio Vargas (FGV), Vera Helena Thorstensen (e).

Membros da Diretoria e demais autoridades com a professora e pesquisadora da Escola de Economia de São Paulo da Fundação Getúlio Vargas (FGV), Vera Helena Thorstensen

Rubens Ito / CCIJB

 

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