RS州知事と面談

2月26日、平田事務局長は機械金属部会(造船分科会)のブラジル三菱重工(相原社長)と伴にサルトリRS州知事を訪問、ペトロブラスのスキャンダル案件に対し政治的、経済的、社会的な側面から意見交換を行った。同知事には今年8月末から9月初旬に掛け行われる民間の合同委員会および政府間のハイレベル協議のブラジル開催を前に7~8月の当所昼食会に招待した。

2012年12月、機械金属部会の中にペトロブラス事業対応のためJICAの支援を得ながら造船分科会(ブラジル三菱重工、ブラジル川崎重工、IHIブラジル)を設置。翌年の2013年10月には、ブラジル造船大手エコビックス社に日本連合5社(三菱重工業株式会社、今治造船株式会社、株式会社名村造船所、株式会社大島造船所、三菱商事株式会社)がブラジルの海底油田開発を推進するため高度な技術を移転、日伯造船業の相互振興を図る目的で資本参加。

その後、ブラジル三菱重工は日本人スタッフを24人に増やし、僅か8か月の期間にブロック・アセンブルの生産量を4倍に増強、各種鋼板の切断時間、溶接時間を各々1/6、1/20(自動溶接)に短縮し、生産性向上に協力、RS州リオグランデ市の造船所で活発に展開、昨年12月にブラジル最大のFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)HULL(P66)1隻をペトロブラスに納入。現在ドリルシップ1隻、FPSO2隻の注残を抱えERG Dry Dockで目下建造中。

平田事務局長談話:
当所定款には以下の目的(※)が記述されている。迅速かつ適切な対応が求められている中、今回RS州政府からの要請もあり当所の造船分科会企業と伴にサルトリ知事を訪問し面談を行った。(※)第3条  本会議所は次の目的を持つ。Ⅰ- ブラジルと日本との間の経済交流、貿易の助長、並びに両国間の商工業の促進と協力。Ⅱ- 会員の商工業活動の上での相互啓発への協力。Ⅲ- ブラジルと日本の政府や関係機関への会員の商工業活動に関する総合的な意見の提出。Ⅳ- 会員の商工業活動より生ずる諸問題の友誼的解決の仲介。
昨年、安倍晋三総理のブラジル訪問に係る日伯戦略的グローバルパートナーシップ構築に関する共同声明の中では貿易投資に焦点を当てた第4項に 【両首脳は今次訪問の機会に海洋資源の開発の促進のための造船分野における協力に関する日本国とブラジル連邦共和国との間の共同声明が発表されたことに満 足の意を表し海洋資源開発のための関連産業に関する協力を推し進めることで一致した。これに関連して安倍晋三総理は,洋上ロジスティックハブシステムの重 要性について繰り返し述べた。】とあり、
また、技術協力に関する第14項では【 両首脳は,経済・社会分野の発展において人材育成が果たす重要な役割を踏まえブラジルにおける人材育成を更に推進することを確認した。この点について安倍 晋三総理は我が国が人材育成分野で今後3年間に約900名をJICA研修プログラムを通じて受け入れることを発表した。協力分野は造船、自動車部品、廃棄 物処理、防災、インフラ整備、医療・保健の各分野に加え、「交番」システムの全伯展開を目指す協力プロジェクトなど市民安全対策分野における人材育成が含 まれる。】と謳われている。
より緊密な日伯の協力関係が、また欧米勢に比べブラジル進出に出遅れた日の丸勢がようやくスタートした矢先に、今回のペトロブラスのス キャンダルが起こったのは非常に残念としか言いようがない。経済成長への影響を最小限に食い止め関係当局は事態収拾に向け早期の解決を望みたいと語った。

写真提供: ルイス・シャベス氏 (ピラチニ宮広報コーディネーター)

左から伯国三菱重工業の 相原 良彦社長/中島毅行取締役/南大河州のジョゼ・イヴォ・サルトリ(José Ivo Sartori)州知事/平田藤義事務局長

右からジルベルト・マシャド・デ・ピンニョ(Gilberto Machado de Pinho)政府経済開発・科学技術・中小企業局官房室長/レオナルド・ガフレー・ジアス(Leonardo Gaffrée Dias)同局技術顧問/平田事務局長/サルトリ知事/通訳のアストリッド・シュネマン(Astrid Schünemann)氏/相原社長/中島取締役

 

https://camaradojapao.org.br/jp/?p=40387