- 家電製品は昨年需要半減。大手量販店倒産たたる
- 今後DVDが目玉商品か
- 携帯電話は今年5割増期待
- プロバイダーは競争激化
TVメーカー国際競争力つき輸出めざす
江口:それでは、電気電子部会の99年の回顧と2000年の展望についてご報告させていただきます。
電気電子部会は4つの部会から構成されています。一つめが家電および耐久消費財、2つめが部品、3つめが通信・電力・産業、4つめが精密事務機器輸入販 売と、この4つの分会から構成されております。それぞれの分会につきまして、99年の回顧と2000年の展望について御報告いたします。
まず第一分会の家電・および耐久資材ですが、99年始め通貨の大幅切り下げがありまして、輸入商品、輸入部材のコストが急騰しましたので、このコスト アップ分を、販売価格に転嫁しました。その結果、購買力が相対的に減ってしまったと。ということで、需要が激減しました。数字で申し上げますと、需要は 98年比台数ベースでTVが63%、ビデオが55%、オーディオが85%、電子レンジが73%減りました。カラーTVにつきましては、96年850万台の 需要がありましたが、99年度は、先ほど矢島さんが400万弱と申し上げたはずですが、380万台。ビデオデッキは、96年度が240万台が99年では 110万台。半分以上も需要が減ってしまった、という非常に惨たんたる結果になったようです。
この生産台数が減ったということで稼働 力も下がり、これでまた、収益性も一段と下がった。さらに、大手販売店のアラプアンだとか、マッピンなどの倒産で不良債権を抱えてしまって、特に海外から 資金を調達しているメーカーは、この通貨切り下げで非常に大きな打撃を受けたということで大変な1年でした。
しかし一方では、この厳 しい価格競争と、それから通貨の切り下げでブラジルのこういった製品の国際競争力が非常につきまして、アメリカは世界で1番カラーTVの激戦地域なんです が、ICMS、この税金を除けば、ほぼアメリカの市場価格と匹敵するところまで下がりました。これからは輸出を目指そうということです。この分会のアン ケートでは99年の販売実績は98年比55%と非常に大幅に減っています。
セルラー電話今年1,200万台生産予定
2000年の展望のほうですが、需要は99年に底打ちをして2000年は緩やかに回復するだろうと、ということで購買力は大きくは改善されないと予測し ております。せいぜいGDPの伸びの4%程度の伸びではないかという予測です。ただ期待できる商品としてはDVDというのがありまして、アメリカでハード の値段が下がって、ソフトも充実して参りましたのでこれからブラジルでもビデオデッキに代わってこれが大きく伸びるんではないかなと予測をしております。 それから携帯電話ですが99年度は800万台生産して2000年は1200万台生産されるだろうという予測になっております。唯一これが明るい材料になっ ております。
2000年度の売り上げ予測が99年度比約14%増ということです。続きまして第2分会の部品のほうです。99年の回顧 としては為替の切り下げでスタートして年初はインフレ・高金利・不況と、暗い見通しでスタートしましたが、その後の政府の見事な金融政策・情報通信分野の 活況・それから必死の拡販努力・リストラが功を奏しまして、概ね年初の予想を上回る結果となりました。特に情報通信に顧客を持つ部品各社の売上は2ケタ以 上、中には2.5倍の伸びを示したというところがあります。
先ほど申し上げました家電・オーディオビデオ向けの部品を中心としていた 産業の方は、低迷から前年を大きく割ってしまったと、明暗が大きく分かれた部会でした。2000年の展望の方ですが、先ほどの第一分会と同様オーディオ・ ビデオも99年が底でこれからは緩やかに回復するだろうと予測しております。
ただ心配材料としては、ブラジルが国外からのインパクト に非常に弱いという事と、もう一つは携帯電話が800万台から1200万台の伸び5割増というところで各部品メーカーが、これらの部品の供給についていけ るかどうか、というところが非常に大きな問題になっております。2000年の販売予測は、99 年に比べて約12%くらい伸びると予測しております。
民営化後の通信新規発注あるも価格競争激化
第3分会の通信・電力産業ですが、99年の回顧としては電話関係の企業は民営化後の新しいオペレーターが投資計画、あるいは調達メーカーの選定に非常に 遅れてしまいまして、新規の発注が99年の第3四半期、あるいは第4四半期になってからということ、さらにまた、この調達メーカーに入り込もうということ で新規メーカーも加わり、価格競争が非常に激化してしまいまして売上が大きく落ちました。電話関係の業種にとっては非常に厳しい1年に終ったということで す。電話関係以外ではほとんどの分野で第一四半期通貨の切り下げの影響を受けましたが、それから以後だんだん回復して参りまして、レアルベースの売上では 前年比の売上を確保することが出来たということです。
それからコストの上昇分について価格転嫁が出来るところと出来ないところでその 分かれ目が出て、業績にも大きな差がついております。第3分会のアンケートでは販売実績は99年比92%ということで前年を割っております。2000年の 展望の方ですが、まあ為替・金利が比較的安定して推移するだろうと見られておりまして、オペレーターの調達マップも決まって、電話関係を含めて今後は顕著 な需要が期待できると予測しております。それを含めまして2000年の売上は、99年比約19%の伸びと予測をしております。
精密事務機器昨年並み売り上げ予想
第4分会のほうです。精密事務機輸入販売ですが、やはりこの業界でも通貨の切り下げで輸入品、それから部品共にコストアップになって、値上げを価格転嫁 しましたが、幸いなことにブラジルで最大手のゼロックス社が値上げを強行しましたので、価格転嫁が非常にスムーズに行えました。その後も徐々に需要も回復 してきましたので、ドルベースで98年並の売上をできたということでまずまずの年になったということです。
2000年の展望として は、やはり事務機器分野では為替・インフレを含め景気がこのままであれば2000年の売上が、99年並みというふうに予測しております。これは昨今リスト ラ流行りで需要がそれほど伸びて来ないという予測です。しかし商品ではレーザープリンタだとかデジタル複写機と、こういった高付加価値の製品が出て参りま すので若干は伸びるだろうというふうな期待をしております。
インターネットの分野がこの分会に入っておりますのであわせて報告いたしますと、イン ターネットサービスは顧客が増えて競争が激しくなってきましたので、お客は増えたものの業績は予想をかなり下回ってしまいました。2000年も最近ブラジ ルの大手銀行がインターネットの無料接続を始めたということで、ブラジル国内のプロバイダーにとっては非常に脅威になっています。今年は単純にインター ネットのアクセスをするだけのプロバイダーというのは段々淘汰されていって、より付加価値を付けたプロバイダーになっていかなければ生き残れないのではな いかというふうに予測をしております。以上です。
司会:どうもありがとうございました。電子部品を除いては非常に苦しかったということでございますね。日立の出石さん何か、ご指摘とかありませんか?。
国産化率高めたい
出石:今、 江口さん言われた通りでして、私どもは業務用の空調機が主体なので、ちょっと分野としては特殊なんですがご多聞に漏れず、例の為替の切り下げの後しばらく 為替とか金利が大きく振れていた時期は非常に受注が落ち込みました。ただ年の後半にきて注文ベースが増えてきまして、最終的には物量ベースでは98年を業 界全体として上回ったというところです。
需要としてはあるんですけれども、先ほどの江口さんのご説明で価格転嫁が上手くいったところ と上手くいかなかったところとある中で、うちは価格転嫁が上手くいきませんで、その意味で収益はかなり落としたという状況です。受注があるので直接員の方 ではリストラはやってないんですけども、間接員の方はかなりリストラをやりまして、それと国産化をやって今年に期待するというのがうちの状況です。
司会:どうもありがとうございました。それでは引き続きまして建設不動産部会、林部会長お願いします。
林:ご紹介頂きました戸田建設の林でございます。それでは建設不動産部会の発表をさせて頂きます。当部会は建設・設備関連会社が9社、不動産関連会社が5社の計14社で構成されております。最近のブラジル建設業界の主な話題からお話をさせて頂きたいと思います。