●為替安定、インフレ抑制、金利低下効くー家電、消費財 |
順調に回復した家電、耐久消費財
江口:では電気電子部会のほうから報告させていただきます。私どもは4つの分会からなっており、それぞれの分会につきまして「2000年の上期の回顧と2000年下期の展望」について報告させていただきます。
まず第1分会の家電及び耐久消費財の業界ですが、2000年に入りまして為替の安定、インフレの抑制、それから金利の低下、ということから市場が順調に 回復してきました。カラーテレビでは99年上期比で約30%増えて220万台。オーディオが40%増えて100万台というふうに増えています。ただこれは 99年上期が非常に悪く、比率では伸びておりますが、台数的にはまだまだ97年の最盛期には及んでおりません。この中でビデオデッキが99年上期比で5% 減って53万台となっておりますが、これはデジタル・ビデオ・ディスク〔DVD〕が増えているためです。普通の国では、ビデオデッキで録画して見るという のが普通の使い方なのですが、ブラジルではほとんど録画をしないで再生に使っているということから、DVDが同じ目的に使われて、ビデオの伸びが減ってい るという事になります。
第1分会の各社の売上の平均は、昨年同期比で48%増となっております。
下期の展望ですが、このまま順調に推移すれば市場も回復するだろうということで、上期ほどではないですが下期の売上げは大体、99年下期比約10%増というふうに見ております。
順調に伸びる部品業界
電力にぶいが、通信好調
続きまして第2分会の部品業界ですが、携帯電話が非常に大きく伸びまして、中には99年上期比で約3倍も伸びたという部品メーカーさんもあります。それ に引きずられましてオーディオ・ビデオからCATV、自動車関連、いずれも順調に伸びており非常にいい業績であったということで、第二分会の各社の平均売 上は99年上期比で58%増となっています。
下期もおそらくこのまま順調に推移すると思われますが、携帯電話がヨーロッパ、あるいは 日本でやや在庫がたまり始めたようです。今まで部品不足で生産に追いつかなかった状況だったんですが、そういう状況が見えたために、この下期はこういった 売れ筋商品の推移が非常に注目されるということを入れまして、部品メーカーでは下期の売上が大体99年下期比で約18%増だろうというふうに予測しており ます。
第3分会の通信・電力・産業の分野ですが、通信関連が非常に大きく伸びてきております。これは民営化された電話会社が、 2001年末までにそれぞれの電話網整備の目標値を達成しなくてはいけないためです。この期限があと1年半と迫ったために非常に大きな発注をしておりま す。それで各メーカーは97年のピークを上回る受注を抱えて設備の増強、同業他社の買収などによる生産増を図っております。しかしながら、日本での部品不 足あるいはブラジルでの通関ストがあったために生産が追いつかず、売上が伸ばせなかった企業もありました。
電力関係は送電、配電が政 府プロジェクトで伸び悩んでおりますが、変電や配電、こちらのほうが比較的に安定に成長しております。この分会各社の平均売上は99年上期比で19%増と なっております。2000年下期もおそらくこのまま、よほどの事がない限り通信関連は非常に大きな伸びが期待されておりまして、下期の売上は昨年同期比で 約38%増だろうと予測しております。
IT、OA投資のメリット享受 ― 事務機器
第4分会の精密・事務機器・輸入販売ですが、やはり同じ様な理由、それに加えましてIT投資、それからオフィス・オートメーションが進んで参りまして、 こういった事務機器の需要が増えてきました。それからミシンの業界でも、高級ミシンの輸入関税が引き下げられたことで需要が増えまして、こちらも99年上 期比で平均36%の売上増となっております。
下期もおそらくこのまま堅調に市場が回復するということで、平均19%の増という予測を立てております。
私どもの部会では、各社集まる前にアンケートをとっており、その中で特徴的なことがありましたので、一つだけご紹介しておきます。アンケートの中で販売 構成比の中での輸入品販売と現地生産品販売比率をお尋ねしていますが、この数字はいままで殆ど変わらなかったのですが、99年上期比で2000年の上期 は、現地生産がマイナス15%、輸入販売がプラス17%ということで大きな変化がありました。皆さんの意見では製品が大きく変わって例えばフラットテレビ をいま輸入しているとか。普通の曲面のテレビの生産が落ちているとか、あるいは客先が日本でしかないような部品の要求があったからとかいうことで、一時的 なものではないかという見解でした。
対伯投資はばむ点
高金利、装置組立優遇、アンフエア見過ごし
最後に「対伯投資を伸張させるために何が必要か」ということで簡単にご報告いたします、逆に考えますと、何が問題で対伯投資が出来ないかということなの ですが、まず一つはブラジルコストといわれる税制あるいは高い金利の中で、いわゆるメーカーとしては数%の利益しかあげておりませんので、事業の一部を借 金でまかなっていると、そのコツコツと貯めた利益、あるいは原価低減が吹っ飛んでしまいます。それから今の税制恩典制度がいわゆる装置組み立て産業といい ますか、こちらのほうの優遇になっておりますので、素材産業、部品産業にとっては、ブラジルで事業を行う環境にないということになります。やはり日本とし ても、リターンがあるのかと言う事からすれば、こういったいろんな問題が障壁になっているのではないか、ということになります。
その 次がこれは複写機業界の話ですけれども、アメリカの有名な複写機会社イコールこの国では法律と言われておりまして、この壁がなかなか破れない。この会社は アメリカでレンタルバックをした旧式の機械をこちらで再生をして、非常に安くレンタルしています。ところが日本は最新鋭の機械を持ってきますのでどうして も値段の差ができると。そういったところをいろいろつつくんですけれども、先ほど申し上げましたようにその会社イコール法律となっておりますので、なかな か自社の事業が伸びないという事になります。こういうことで皆さんの意見を簡単に申し上げますと、ブラジルコストが常識範囲になって非常に平等に競争でき る環境にならなければ、日本の本社としてもこちらに投資しようということにならないのではないか、という意見がありました。以上です。
司会:どうもありがとうございました。今までの各部会の中で一番好調な部会だったように思います。それでは最後から二つ目、建設・不動産部会の林部会長お願いします。