1)00年上期の回顧
昨年の為替変動相場制への移行により、ブラジル経済の実力が試される年となるが、上半期の耐久消費財等の堅調な回復、インフレの低位安定など、全般的な各経済指標は底堅い推移を見せていると言ってよかろう。
しかしながら、こと食品業界に限ってみれば、ガソリンの値上げや各種公共料金の値上げ等が消費者の実質可処分所得の縮小につながり、なかなか市況の回復が見られないというのが実感である。
【業界別動向】
1.農産・畜産
1)プロイラー
上期は、為替切り下げの影響で数量ベースでは20%伸びたものの、価格は軟調。
通年では、数量ベース15%の伸び、金額で10%程度のダウンとなろう。
2)大豆
旱魃の影響でサンパウロ、パラナ、マトグロッソ・ド・スル州では生産が20%減ったが、全体では昨年並で推移した。
通年でも世界的な余剰感から数量、価格とも伸びる要素に乏しく、前年同程度となる見込み。
3)オレンジ
00年の生産は前年比6%増加、欧州、米国向け輸出価格は、1,150―1,200US$ FOBサントスと搾汁メーカーにとっては満足の行くレベルとなった。
通年では、昨年の旱魃の影響で搾汁の開始が一月遅れとなり、収穫量は8%以上の減産予想。価格面では、期末在庫が多かったことから軟調傾向が言われている。
4)砂糖
99/00の砂糖生産は前年比6%増の19百万トンとなった一方で、アルコールは8%減の13百万m3。昨年度の輸出が大幅に増加したことにより、国内向け数量が減少し価格の大幅アップとなった。
サンパウロ、パラナ両州で4―5月に深刻な雨不足があり20%生産が減り、00/01で13百万トンと大幅ダウンが予想されている。通年の輸出も大きく減ることが確実。
5)コーヒー
昨年12月にブラジル旱魃懸念が払拭されて以降、供給過剰感もあり、ニューヨーク定期市場価格は6月には85¢と1月比30%の下落となった。
7月初旬に生産地帯での寒波による被害に加え、5月以来の旱魃の影響により、来年度クロップ減産が予想されている。世界的には、他の生産国の生産量増加、大手消費国の在庫過多、需要低迷傾向もあるため、ブラジルの被害状況とACPC加盟国のリテンションプランの進捗により、NYの定期市場価格の方向性が決定されよう。
2.外食産業
上期のインフレが1.6%に抑えられたことで、全般的には外食産業において、ある程度の伸びが見られた模様。ただし、相変わらず各レストランの間では、好調不調が見られ、業界全体の回復までは至っていない。
下期は、公共料金の値上げ等不安要素もあるが、このところの金利の下げなどにより、消費の多少の盛り上がりも期待されている。
3.加工食品
1)乳酸菌飲料
上期は、引き続き価格競争と市場の冷え込みによりほぼ横ばいの結果となった。一方豆乳、輸出が好調のりんごジュースは前年比で大幅な増加となった。
下期は景気の回復が期待できることから、栄養補助食品の発売や好調な豆乳のバラエティー化などを行い、積極的な売上の拡大を図る。主力製品については販売組織の強化などを通じてシェアの回復を狙う。
2)即席麺
上期の即席麺市場は、前年同期に比べて5%のマイナス成長となった。耐久消費財にみられる好調さが、食品業界においては実感できない状況。スーパーマーケットの売上も、企業間の価格競争もあってか伸び悩んでいる。
下期は金利の下げ等のプラス材料はあるものの、公共料金、ガソリンの値上げが消費に与える影響が懸念される。
3)調味料
上期は、各流通が自社のマージンを多少犠牲にして価格競争を積極的に行った結果、家庭用調味料全般に好調な結果となった。また昨年発売の甘味料も全国配荷をほぼ達成し、順調に拡大している。
下期もマクロ経済の安定により一般消費財市場は拡大するものと思われる。各商品群のシェアを上げることに加え、新製品の投入も予定。
以上