- 人員削減でしのいだ2000年 ― 建設業
- 価格競争で苦戦―エレベーター・メーカー
- 寡占的建材は価格上昇 ― 建設業
●受注競争激化の建設業
司会:ありがとうございます。皆様順調に消化しておりまして、これもやはり好調な年は順調にいくのかなという、いまの江口様のお話でございますけども。(笑い)
続きまして後二つ、建設不動産部会の鳥羽部会長よろしくお願いいたします。
鳥羽:建設不動産部会の鳥羽でございます。前任者、戸田建設の林さんの後を引き継ぎまして、私が受け持ちさせて頂きます。建設不動産部会、大きく分けて二つのグループがありまして、建設業とそれから不動産業と分けて報告させて頂きます。
●2000年の回顧、建設業
2000年前半は1999年の傾向が継続されていて期待したほど需要は回復しませんでした。後半から年末に向って需要の漸増、徐々に増加してきた傾向が ありましたが通年で見れば、1999年に比べて回復したというほどの状況ではありませんでした。また一方で、工事の規模が小さくなる傾向、簡単に言えば、 新規の建築がなくなっているという事です。それと受注競争の激化。つまり件数が減って、利益が低下しています。こういった状況下、職員削減で急場をしのい できたのが、昨年でございました。私ども建設業は三社あり、前年度に比べて実績を減らしたのが2社でございました。人数もやはり2社が大幅に削減して、何 とかしのいできたというのが、昨年でございました。
●不動産業2000年の回顧
賃貸 の場合では、事務所、アパート等はほぼ良好に推移した年でした。事務所ではテナントの物件の選別が進んで、テナントの入れ替えも多くなってきたという事で ございました。またアパートの販売については、売り手市場から買い手市場になっている。つまり、それだけ需要が増えてきているという事ですが、これは低利 のローンを使う機会が増えて、むしろ、低い所得者層の方に需要が増えています。その他に、請負業から撤退してサンパウロにまだ駐在されている会社が一社、 それから、建設不動産部会に所属する昇降機、エレベーターのメーカーさんが一社ございます。この一社さんから価格競争でだいぶ苦戦したという報告を受けて おります。
2001年、今年の展望ですが、建設業グループとしては2000年に比べて少しは業績が良くなるであろうと思っています。毎年これは思っているのですけど も、なかなかそういう風に行かないのが現状であります。ただ、現在、2000年後半からそういった建設の引き合いが確かに増えております。
●2001年は外資系の工事に期待
2001年は日系企業からの需要というよりは、非日系、非日系というのは地元というよりは、外国資本なんですけども、そういった非日系の需要が見込めそ うであるという事です。ブラジル経済、まあ建設の市場自体が外国からの投資に頼っている部分があり、この部分が順調に投資が増えてくるという事が前提と なっております。
2000年の実績に比べまして2001年は、私ども3社とも受注が増加するであろう、と期待しているところです。不動 産業の2001年の見通しとしましては、順調にいくであろう。したがって売上も約10%から20%の増加を見込んでおり、社内の社員の増強等も考えている という事です。ただテナント側のそういった選別が進んでおり、賃貸の場合は改修ですとか、保守修理などの投資を継続してやって行く必要があるという事で、 この辺が業績計画を作るときに非常に重要なポイントになっているとの報告を受けました。
ブラジルのカントリーリスクに対して影響を与える外的要因、これについても報告を受けております。まず建設業において、外的要因が直接的に影響を与えるというリスクは比較的少ない。直接的な原因が少ないという意味です。
●外国景気の停滞による企業撤退を懸念 (不動産業)
ただし米国あるいはヨーロッパの景気という事ですけども、私ども日系建設業者は、日系企業または欧米企業を主な顧客にしております。したがって、日系企 業または欧米企業の投資意欲が、日系建設業者の市場に大きな影響を与えております。ですから、日本の景気の早い回復を現在望めない状況にいますと、欧米か らの建設需要を期待しているわけでして、欧米の景気動向が日系の建設業に大きな影響を与えるという結果になります。
日系進出企業からの投資金額というのは、大きな意味でほぼ固定されている状況ですので、やはりその他の外国からの投資に頼るというところが当然の成り行きかという風に思っています。
それから原油価格。これは私どもの産業の中のブラジル・カントリーリスクの一つとして建設材料の一部が寡占状態にあるわけです。例えば鉄ですとか、セメ ントですとか、アルミ資材。建設の価格が現在下がっている訳ですが、そういった市場に連動せず、逆にむしろ上がっているという状況です。これはもとをただ せば、原油価格であろうと一般的に思われているわけですが、そういったことで、原油価格が寡占状況にある建設材料の価格に影響してそれが、私どもの業績に 非常に大きな影響を与えているという事です。不動産業におきましては、外的要因に影響される事はまず少ないという事ですけど、一つこういう報告がございま した。間接的には、外国景気の停滞によって進出企業が撤退するケースが非常に多いと。従ってそういった時に不動産業側から見ると、業績に非常に影響を受け ると報告されておりました。以上でございます。