2001年上期業種別部会長懇談会-建設不動産部会(レポート)

2000年の回顧

建設業

2000年前半は1999年の傾向が継続され、期待していたほど需要は回復しなかった。後半から年末に向かって需要の漸増の傾向があった。しかし、通年で見れば、1999年に比べて微増であり回復したといいがたい状況であった。

また、工事規模が小さくなる傾向と、受注競争の激化により利益が低下してきている。この状況に対し職員数を削減すること等を余儀なくされた厳しい1年であった。具体的には、受注で2000年の計画に対して実績を減らしたのが3社中2社、計画どおりが他の1社であった。社員数も2000年計画に対して3社中2社が減らし、他の1社が計画どおりであった。

 

不動産業

賃貸の場合では、事務所・アパートともにほぼ良好に推移した年であった。事務所では、テナントの物件選別化が進み、テナントの入れ替えも多く発生した。アパートの販売については、売手市場から買手市場になってきている。その原因のひとつに、銀行ローンの金利が高いこと、中古住宅にはローンが利用できないこともあげられる。具体的には、2000年計画に対して実績で減らしているのが3社中1社で、他の2社がやや増であった。社員数では全3社が計画数を維持または達成している。

 

その他

請負業から撤退済みで建物賃貸のみの業務を行っているという報告が1社からと、輸入に依存しているので価格競争で苦戦したという昇降機メーカーの報告が1社からあった。前者では2000年計画に対して売り上げを伸ばしたが社員数を減らしている。後者では2000年計画に対して売り上げを減らしたが社員数は増やしている。

 

2001年の展望

建設業

2000年に比べ業績は少し良くなると思われる。2000年後半から建設の引き合いが増えてきている。2001年では日系企業からの需要は大きくないが、非日系での需要が見込めそうである。ただし、ブラジル経済が外国からの投資に依存している部分が大きいので、この部分の成長が安定していることが前提になる。

2000年の実績に対して、2001年では受注で3社中1社が10%増、他の2社が20%程度の増加を見込んでいる。また、社員数で、2000年実績に対し2001年計画で3社中1社は2000年維持であるが、他の2社は10-20%増を見込んでいる。計画を達成する手段として、非日系企業へのアプローチをあげており、1社は工事量増に対応する社員の補強が必要と考えている。

 

不動産業

2001年では順調に行くと予想している。したがって、売上げで2000年実績に対し3社中2社が10-20%増を見込んでいる。また、社員数では3社中2社が2000年実績を維持する計画であり、他の1社は増員を計画している。計画を達成する手段として、賃貸の場合では改修、保守修理などの投資を考えており、販売の場合では新たな建設を計画している。

 

その他

2000年実績に対し、1社は売上げ、社員数とも現状維持を見込んでおり、他の1社は低価格市場に参入し輸入依存から脱却することにより売上げ、社員数とも大幅増を見込んでいる。

 

足許のブラジルカントリーリスクに対し影響を与える外的要因

1) 建設業:

建設業において外的要因が直接的に影響を与えるリスクは少ないが次の要因は明らかと考えられる。

a.米国とヨーロッパの景気:日系建設業者は日系企業または欧米企業を主な顧客にしている。したがって日系企業または欧米企業の投資意欲が日系建設業者の市場に大きな影響を与える。日本の景気の早い回復を望めない状況で、欧米企業からの建設需要を期待しているので、今後の欧米の景気動向は日系建設業に大きな影響を与える。

b.原油価格:ブラジルのカントリーリスクのひとつに寡占状態の建設材料(鉄、セメント、アルミ資材、等)がある。建設価格が下がっても連動して材料価格が下がらずに、逆に上がることがある。原油価格も原因のひとつになっている。受注競争が激化して建設価格が下がっている中で材料原価があがり、その結果利益が低下することになる。

2) 不動産業:

不動産業においては外的要因により影響されることは少ない。間接的には、外国の景気の停滞による進出企業の撤退がマイナスの影響を与える、また、外資による不動産業の退潮によりローカルの物件が相対的に大きくなるというプラスの影響を与えること、などが考えられる。 以上。

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