2001年上期業種別部会長懇談会-自由討論

 

司会: 質問を含めまして、これから自由討論に移りたいと思いますが、玉川領事様、いかがですか。質問を含めまして、今回の皆様の発表に関しましてのご感想を。

玉川: 為替切り下げの直後ぐらいに赴任してきまして、部会もずっと出させていただいているのですが、こんなに早くマイクが回ってきたのは始めてで(笑 い)、まだ考えをまとめている途中であったのですけど、そういう意味では非常に業績の回復と言うのを実感させていただきました。できればこういうマイクの 順番が続く事を願っております。

司会: 花田様いかがでしょうか。

花田: 前回の部会で初めて参加させてもらったの ですが、昨年の部会の時の皆様のご意見というのが、やはり2000年はよくなるだろうと予想が大半を占めて、結果的に今回、一部の業界を除いて全般的には 好調であったという事だと思います。その中で私達の関心事項の一つであります、日伯の経済交流がこれから本格的に活発化してゆくという事が、どういう風に 行われればいいのかなという事も、ちょっと気になっています。以上です。

司会: 内田さんは来られて、まだ間もない

内田: 9月の末に参りまして、あっという間に4カ月間過ぎてしまったので、昨年の状況に関しては皆さんと一緒に体感するという感じではなかったのです が、いろいろと公開情報を読んでおりまして、昨年好調という事で、今年に関しては、非常に意見が分かれている所なのかなという気がするのですね。ただ、ブ ラジルの新聞を中心に読んでますと、やはり楽観的な見方が多いので、これはちょっと、ある意味でアナウンスメント効果と申しますか、ある程度心理的な面 で、持ち上げて行こうと言うような、持っていき方がマスコミの中にあるのかなというのを感じる一方、本日のように業界の皆様の話をきいていますと、やはり 具体的に厳しい部分とか感じ取れまして、非常に勉強になりました。ありがとうございました。

司会: 先ほど10の部会の部会長様のお話で、質問、およびコメントがアトランダムにお話いただけらと思っているのですけれども。

田中: さきほどメルコスール貿易が増加したとのご説明がありましたが、99年はブラジルの切下げの影響で大きく減少しました。切下げ前の98年と比較した数字をお持ちであれば教えて下さい。

 

●対亜輸出98年は68億ドル

能澤: 98年でよろしいですか?99年は切り下げがあったけども、それほど大きく落ち込まなかった。98年のアルゼンチンに対する輸出、これが68億 ドル。1 -10月の資料でですね。今までこの会議では1-12月の資料が間に合わなかったのですね。ですから、1-11月でご報告していたのですが、ブラジルの IT化は非常に進んでまして、今年から非常に早くなり1-12月がもう出るようになったのです。ところが、昨年以前は、1-10月とか1-11月しかない んです。

田中: 1-10月ではどうなるのですか。

能澤: 1-10月ではですね、98年が68億ドル。それで、 1-12月になりますけど、アルゼンチンが54億ドル、2000年が62億、やはりちょっと落ちていますね。輸入の方はよろしいですか? アルゼンチン2000年度、対前年比16.2%輸出が伸びていますけども、主な物は通信機器、これが203%伸びています。あと、乗用車、トラクター、そ ういう感じです。

赤嶺: 名取繊維部会長、先ほどは情容赦もない非情な計測係りに、お話をカットされてしまいましたけども、私のつい不 注意でしょうか、先ほどのお話の中で、ブラジルの繊維業界の今ままで辿ってきた足取り、といいますか、変遷は良くわかったのですが、繊維業界が現在置かれ ている状態、とくに去年の状況なども、お話にございましたでしょうか?2000年度における繊維業界は、売れて売れて仕方がないとか、そういうような状況 にございましたでしょうか?

 

●繊維業界の期待 普通の年よりよい2001年

名取:  ブラジルの繊維業界が大きく変貌したのは1990年代。その前の80年代はとにかく儲かったのですよ。なんで儲かったかというと、関税障壁に守られてい て、インフレが凄いものだから、為替がどんどん切り下がるでしょう?輸出すると、代金を貰う頃には、それが増幅しているわけですね。そんな事もありまし て、1980年代は8億ドルから9億ドルの外貨を稼いでおった。それが1992年ぐらいからだんだん減ってきまして、95年についに入超に転じました。入 超のピークが、私がターニングポイントと申し上げた、1997年です。例のアジア・ショックがあった年ですね。この年が逆に、12億ドルのマイナスです。 私の記憶ではこの年あたりがブラジルの繊維産業の非常に苦しい時期ではなかったかなと思います。で、ここからしかし、輸出入のバランスが少しずつ改善され て来まして、1999年は4億ドルの赤字に改善された。去年はやはり、4億ドル程度。今後もちょっと、輸出より、輸入が多い。というのは、いま生産力がほ とんどフル稼動で需要の伸びを輸入の増加で補わなければいかんような、状況じゃないかと思います。そういうことで、繊維産業全体にいいのですが、個別の景 気で行きますと、1番良かったのはレアル切り下げ、1999年の1月にレアルが切り下がりまして、大体3月、4月ぐらいから繊維産業非常に好調になってき ました。これは輸入がレアル安のために止まったという事があります。その好調が去年の10月ぐらいまで続きました。しかし、11月、12月に入りまして先 ほど申し上げましたように、大体35,36%の輸入増加があったようで、それが市中の市況を軟化させているということから、去年の11月、12月は普通の 年に戻った、そんな状況です。一昨年の1999年の冬などは、フェリアスを取る工場は少なかったのですが、去年は、もう例えば2週間ぐらい正月の前から工 場を止めたとかですね、そういう、普通の年の状況になっている。先行きは、いまちょっと11、12、1月と弱いのだけども、また2月頃から回復するであろ うというのは、店頭在庫があまりないわけで、よく売れている。だから在庫が中間の段階に殆どないので大丈夫じゃないかと見ております。だからざっという と、去年よりはちょっと悪いけれども、普通の年よりはいいと言うような状況が今年じゃないかと。

赤嶺: はい、どうもありがとうございました。

小島: 去年の外国投資は、一昨年を上回る306億ドルで、現時点の集計では、日本からの投資は21位というように、大国の中でも最下位に落ち込んでい ると言う状況で、今年度以降の動きとして、日系進出企業、地場企業の主なところでいいのですけども、新規投資の動きはどういうものでしょうか?主として製 造業になるかと思いますが。

 

●盛んになってきた製造請負業家電メーカーは投資する気はない

潮: 先に家電の話を少しいたしますと、まあとくに情報機械を中心に製造請負業が非常に盛んになってきて、アメリカの大手が非常に強くなっています。こ れはブラジルにも6社ぐらい来ておりまして、マナウスにも出てきています。ですから家電はどちらかと言うと、投資次第ではないかと。サードパーティーを 使っていくと言う格好でこれは。だんだん家電メーカーそうなると思うのですが、ブラジルだけでなくて日本でも、うちなんか工場を一緒にしまして、合理化を 図る、という動きになってますので、家電としては、うちとしてはあまり投資をする事はない。出来るだけ外の力を借りてやって行くという形になると思います。

 

●投資は頭脳のほうへ転換

江口: NABも今いわれた、カナダの会社なんですけ ども、工場を売却しました。そちらに投資を全部お願いしました。昨年は7MUS$の投資をさせております。で、これはNECだけではなくて、通信では同業 他社のエリクソン、ルーセント、モトローラなどコントラクト・マニファクチュアラーに生産を委託しております。そちらに投資をさせると、本業をむしろ、営 業、企画、マーケティング、そういったほうに投資がシフトして行きますので、どちらかというと、物づくりから、頭脳の方に転換して行きます。生産への投資 よりも人材育成やソフトウェアーへの投資が増えてくるという事で、製造業への投資額は減るのではないかと見ております。

 

●いい話ばかりでない 自動車部品業界 ― メーカー大変な苦労 ―

大沢: 自動車部品関係、自動車の国産化率アップそう言った物が、生き残るための条件として、トヨタさん、ホンダさんに、これからピックアップを大沢: 自動車部品関係、自動車の国産化率アップそう言った物が、生き残るための条件として、トヨタさん、ホンダさんに、これからピックアップをルノーの工場で始 めるという日産さん含めまして、部品の国産化、自分のところで内製できるものは、内製率アップ、そういうようなことがやはり急務になっているわけです。先 日からトヨタさんが3億ドル、この先5年間のうちに投資をすると言う事を発表されましたけども、あれもやはり当然そういった、昔から言われている自動車会 社が、工場が収益を上げるための条件として、年間10万台というラインですね。そこまで持ってゆくためにはやはり、裾野が広いですから、自分達だけでは出 来ない。そういった事で部品工場、そういったところ誘致しているわけなんですけども、実際今まで出てきているところ、出てきて1年、2年、ホンダさんトヨ タさんを中心に納めている所の話を聞きますと、物凄い苦労をされているのですよね。先ほどのいい話ばなりじゃなくて、数量ベースで50%、60%伸びたと いう所でもですね、実際の話を詳しく伺うと、こんな数量じゃとてもじゃないけど駄目だと。実際、数量は増えたけど、実際の話赤字も増えちゃったとそういう ようなことで、ニッチもサッチもいかないというか、国産で増やしたいのだけども、国産でつくるほどの数量が集まらないから、他のところにいろいろアピール してやっているのだけども難しい。かといって、輸入で持っていったら、為替のせいで、これもやっぱり赤字。これじゃどっちにしても赤字じゃないかというな 事で、中にはもっと他の物をやろうじゃないかという事で、ここの既存の自動車部品メーカーを買収して、そこで活路を見出そうというような動きも出ているよ うです。日系の力のある部品メーカーさんですね。ですから、必ずしも売上が増えたから儲けも増えたというのが言えないというのが現状で、またコストダウ ン・リストラ、数量が2割3割増えただけども、首切りリストラをしないと立ち行かないというような所が結構あるのです。そういった面でまあ、悪い話という のはそういう所なんですけども、ますます、皆さんのところもそうだと思うのですけども、収益性が悪化してるという事は言えるようです。もう一つ日本で下請 けメーカーさんにこちらに来い来い声がかかっても、腰が重いのは日本の状況があるのですけども、そういうようなことも言えるんじゃないかと思います。ただ 案件としては何件かありますし、今年も5社や6社は出てくると思います。以上です。

赤嶺: もう一つよろしいでしょうか。NECさんは最近、2世のトップを起用なさいましたけど、そのあたり、特定の会社を対象にしての質問で申し訳ないのですが、どういうお考えに基づいていらっしゃるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

 

●商売優先 ― トップに ブラジル人を起用したわけ

江口: 2世というか、ブラジル人と思っていいのですが、やはりここで商売しようと思いましたら、私どもの売り先は必ずしも日本企業、進出企業ではござ いませんので、やはりブラジル人の顔で、こちらの言葉を話して、こちらの文化を持った人が向こうのトップとわたり合う。これが一番重要だと思います。日本 人が出て行きまして、日本の文化で、日本語でしゃべったら決して商売できないと思いますね。そういう意味でトップにこちらの人を据えまして、副社長には日 本人が来まして内部を統制する。外はブラジル人、中は日本人、という体制を組んでやっております。その方が商売上は非常にいいんじゃないかと思っています。

 

●現地の人登用は英断

名取: その事に関連して、この間、住友商事の後藤さんと お話したのですが、あそこは、ナンバーツー、ナンバースリーにこちらの現地の方を入れました。私は非常に英断であるといったのですが、それは確かにそう で、非常に語学の問題で、精力を使うけれど。そんな話をしたんです。実は、うちも現地の方をこれまで日本からの出向者だけがしめていた営業部長担当と、人 事、経理担当ジレトールに致しまして、一人は日系人で日本語が話せるのですが、一人は全く日本語が話せません。しかし双方歩み寄ってですね。言葉の問題は 解決しているのですが、私が言いたいのは、紡績業界のなかで、最低価格制度をはずしましょうと。日本だったら紡績業界で決議して、通産省に陳情しても 「じゃあ、調査」という事で2年ぐらいゴタゴタやっているうちに、景気が悪くなって、自粛してうやむやになる。そういう歴史だったのですが、ここは問題が 起きるとすぐに対応できる。その対応できる時に、政府に交渉するのに我々の語学ではどうしようもないわけでそれをやはり、こちらの現地の人間に経営を任し て行くのは非常に大事。かつても台湾から急に輸入が増えた時も台湾に数量規制かましたのですけど、そういう事もただちに紡績業界の中で、こちら側の人に政 府、あるいは協会のトップと交渉させる事によって普通に出来るわけですよね。それからもう一つ、こちらは訴訟社会です。労働訴訟を恐れて人事政策をやりま すと変な事になってしまう。こちらの人を人事のトップに据えますと彼は労働訴訟なんて恐れないですね。何件も労働訴訟を抱えながら、これは50%で勝ちだ から、このくらいでちょっとお金を積んでおくとか、平気でやっているわけです。それはやはり、強味だろうと思います。

司会: 定刻の3時になりましたので、最後に貞方会頭から。

貞方: 本日は大変貴重なご報告を拝聴させて頂き、ありがとうございました。総領事もすでにこの会議に2回出られているそうですけども、私は去年6月に 三好会頭から引継ぎまして、ちょうど7月のこの会議は病気をして、退院したばかりで、出れなかったのですけど、今後は是非、出させて頂きたいと思います。 本日は大変ありがとうございました。

司会: それでは大変ありがとうございました。ご多忙中集まっていただきまして。本日の業種別部会長懇談会、これで終了させて頂きたいと思います。ありがとうございます。

― 終わり ―

 

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