2001年上期業種別部会長懇談会-電気電子部会(レポート)

主題:「ブラジル経済2000年の 回顧と2001年の展望」

副題:足許のブラジル・カントリー リスクに対し影響を与える 外的要因」

 

電気電子部会は次ぎの4つの分会から構成されています。

  • 第一分会「家電及び耐久消費財」(パナソニック・ド・ブラジル 喜多川雅彦)
  • 第二分会「部品」(東光 ・ド・ブラジル 谷口真平)
  • 第三分会「通信・電力・産業」 (Industrias Hitachi 天羽 義一)
  • 第四分会「精密・事務機器・輸入販売」(ミノルタ・コピアドーラ・ド・アマゾーナス 北野孝明)。 ()内は分会長

 

本レポートは各分会の「回顧と展望」及び副題について報告します。

I.第一分会「家電及び耐久消費財」

2000年の回顧

2000年に入り為替の安定、金利の引き下げなど経済が安定に推移すると共に需要が大きく伸びた。カラーTVは99年比31%増の528万台、オーデイ オは60%増の約300万台と市場が回復した。ビデオデッキは99年比4%減の110万台と減少したが、DVDが20万台と伸びた。

市場回復傾向の中でTVの品揃えを増やした事が好評であった。また、オーデイオ商品も順調な伸びを示 した。

さらに、メーカーの自然淘汰現象が見られたが競争は依然きびしい。また、2000年前半はレアル高もあり、業績を大きく伸ばせた。 第一分会の各社の売り上げは99年比34%の増となった。

 

2001年の展望

2001年も堅調に推移すると予測している。しかし、給料が上がっていない事もあり、個人消費はまだ弱いと見ている。

最近はインターネットで先進国の新製品や価格を知っており、旧製品で高い商品は売れなくなった。新しく安い商品でなければ買ってくれない時代がきた。

ブラジルでは、エストラやカレフールなどの雑貨大手が強く、専門店が弱いので、販売に説明を要する商品が売りにくい市場である。

2001年はカラーTV、オーデイオ共に10%の伸びが期待でき、過去の販売ピークに戻るのではないかと予想している。

第一分会では、2001年の売上は2000年比で約20%の増を予測している。

 

II.第二分会「部品」

2000年の回顧

AV・家電・自動車の回復、通信の好調持続に支えられ、非常に活況のあった年であった。

現地生産よりも輸入品が多く、貿易収支悪化の一因とも言われている。逆にこの事でブラジル政府が部品産業の育成に目を向け始めるきっかけになり、今後の展開に注目している。

第二分会の販売実績は99年比で平均39%増となった。

 

2001年の展望

政治・経済の安定が続けば、AV・家電・自動車や通信も依然好調に伸びて行くので、部品業界にとっても好調が持続すると予測している。

部品産業への政府の取り組みが行われ、制度改善があればさらに業績を伸ばせると考えている。いずれにしても需要は順調に伸びるという見方で一致している。

第二分会の2001年の平均売上は2000年比19%増と予測している。

 

III.第三分会「通信・電力・産業」

2000年の回顧

通信関連も非常に大きい伸びとなった。電話会社は2001年末までに、それぞれの電話網整備の目標値を達成しなければならず、多少のあせりもあり予想以 上の投資になった。空前の受注を抱え、設備の増強、同業他社の買収などにより生産増を図った。しかし、部品不足で生産が止まり、思うように売上が伸ばせな かった企業もあった。 電力関係では、発電、送電は低迷した。プロバイダーなど通信サービスも大きく伸びた。

第三分会の売上は2000年比で28%増となった。。

 

2001年の展望

通信関連では、電話会社が年前半で民営化の目標を達成し、他地域に進出しようと、年間計画を前倒しして発注が行われているので、年後半は投資が減ってくると予測している。上期はさらに大きな伸びが期待できるが、下期は減少傾向に入ると予測している。

第三分会の2001年売上は2000年比20%増と予測している。

 

IV.第四分会「精密・事務機・輸入販売」

2000年の回顧

事務機器も大きく伸びた。ミシンも絶好調に推移した年であった。

複写機はこれまでXEROXが古い機械を安く売ってきたが、ここにきてXEROX本社がおかしくなった事とデジタル複写機の良さが認められてブラジルで も浸透し始めた。デジタル複写機は複写機というよりもPCのネットワークにつながれて利用されるので、プリンターと競合するようになった。競争相手は XEROXからHP社に移っている。  第四分会の各社の売上は昨年比で平均14%増となっている。

 

2001年の展望

デジタル複写機やミシンもコンピュータ化され、商品説明が難しくなり、売りにくい商品になっている。高級ミシンは輸入通関に時間がかかり、また税率も高く他国に比べ輸入しにくい商品である。

しかし、デジタル化の波に乗り、2001年も堅調に延びると予測している。

2001年の売上は2000年比で平均19%増と予測している

 

V.「足許のブラジル・カントリー・リスクに対して影響を与える外的要因」

上記について、アンケートの中でコメントを頂いた。  要点を下記に記す。 アメリカのソフトランディング、アルゼンチン情勢や原油価格の動きがいずれもブラジルの通貨や株価に大きく影響する。これは依然と してブラジルの経済基盤が脆弱であると見られている事による、で意見が一致した。 これらの外的要因がとくに為替に敏感に反応し、レアル安に動く事が各企 業の業績の足を引っ張る事になっている。ブラジルの体質強化が望まれる。

以上

https://camaradojapao.org.br/jp/?p=30775