鳥羽部会長発表
ポイント
- 日系建設会社は、外来投資減を心配 ― 建設業
- 日系建設会社は、大統領選挙がらみ受注の影響なし ― 建設業
- 今年再び人員整理を考えざるをえない ― 建設業
- ビル・テナント退去、賃貸面積縮小、品質向上が課題 ― 不動産業
- 昨年アパート販売は好調、今年は在庫整理が課題 ― 不動産業
工事受注競争いっそう激化
鳥羽:建設不動産部会は大きく分けて、二つの業種、一つは建設業です。もう一つは不動産業、ということで、本日の報告は建設業界として3社、不動産産業として2社、この2社、一つはビル・テナント業、もう一つは住宅建設販売です。それを前提に報告さしあげます。
建設業の2001年下期の状況は、好調な上期に比べて、一般的に受注が落ち込みました。一般的な経済状況としまして、電力危機や9月のアメリカの同時多発テロにより、海外からの投資も慎重になり、予定していた案件が延期されたと推測されております。
こ れは基本的に現在、建設市場が収縮している状況で、昨年度で言いますと、3月から4月頃が一つのピークで、それから減少傾向にあった訳ですけれども、それ に輪をかけて、と言うことでした。経営的に見ますと、少ない工事受注率と、受注競争の激化により利益が低下してきびしい期間を経験しました。
受注状況から言いますと、3社のうち2社が減らし、1社が予定計画を達成したと言うことですが、全体的にはマイナス傾向でありました。従業員数で申し上げま すと、私どもの部会に参加している建設業者の各社がだいたい従業員を維持してきましたが、これは実は背景がございまして、一昨年、つまり2000年度にか なり難しい状況になった時に、社内の従業員整理をした結果、昨年1年はそれを維持できたと理解しております。
業績としましては、やはり業績を減らしたところが2社で、1社が多少増やしたということですが、一般的にはマイナス傾向でありました。
今年上期の展望
2002年度上期の展望ですが、ブラジルの国内経済状況や海外企業からの設備投資に大きく影響される建設業界は、各社ともアルゼンチン経済の破綻、アメリ カ経済の後退がマイナスに響いて来ることを心配しています。私ども、日系建設会社は、日系の進出企業をお手伝いしていると言うのが基本ですけれども、最近 になって非日系企業からの受注も手掛けておりますが、非日系と申しましてもやはり海外から投資されている企業、つまりアメリカ企業、ヨーロッパからの企 業、あるいはアジアからの企業ですので、やはりこの辺の経済状況というのが非常に大きく影響しています。
今年は大統領選挙の年であり、前 倒しの公共工事が発生し易い年ですが、日系建設会社は公共工事を手掛けていないので、受注に影響を及ぼすことは考えにくいと思われます。むしろ今、説明し ましたように、海外からの投資が慎重になることを考えると、受注が伸びることは少ないと考えています。したがって大型案件は少なく、中小工事の発生にとど まる程度ではないかと思われます。また、インフレの向進と給料の引き上げで、建設物価も上昇するのではないか、と懸念されています。
2001年の実績に対する2002年の受注見通しは、3社中2社が10%の減、他社は同程度であろうと予想しています。ただし、2001年に設備投資を延 期されていたお客様方の案件が今年実現するのではないか、という期待を込めて、そういう予測をしている訳ですが、全般的に言えばマイナス傾向であると言え ます。
また、社員数で見ますと、昨年度はそういうことで、前年度の合理化を引き継いで我慢していた訳ですが、今年はまた、従業員数を減らすということも考えざるを得ないのではないか、というふうに殆どが考えています。
ビル環境の品質向上で勝負の年
も う一方の不動産業では、2001年の下期の状況はビル・テナント業の1社の報告では、ビル・テナントの退去、賃貸面積縮小化の動きが見られたが、ビル環境 の品質向上ですとか、あるいはメインテナンスをきちっとする事によって、その中でやって行けると言うことで、逆に言いますと、その必要性を感じた年であっ たと言うことです。
アパートの販売は好調な年でして130%、通年で180%と売り上げを伸ばすことが出来たが、多少在庫が残っているので、これをどう整理するかが今年の課題だ、との報告でした。
不動産業の会社は実績、あるいは会社の従業員の数等につきましては、まあまあ計画通り、むしろ少し良いほうの傾向であったと言うことです。
先行き悲観的ではない不動産業界
不動産業の2002年に対する見通しは、それほど悲観的ではないが、他物件との競争が一段と激しくなることが予測されています。リストラ、経費節減により テナント需要は減少しているが、高品質で立地条件が良いところへの入居希望は少なからず存在する、と考えております。したがって、賃貸ビルの高品質化を計 るため不可欠な改修を行い、ビルの評価を上昇させる努力は継続しなければならないと考えています。逆にいえば、そういうことをしておけば、必ずお客さんは ついてくるという考えです。
業績の見通しとしては、1社は昨年と同じ程度、もう1社は下降すると考えていますけれども、全体から言えば不動産業界としては、昨年度と同じ程度の実績が残せるのではないか、それを達成できるんじゃないか、と予想しています。
司会:それでは最後に九つの業界を抱え、まとめるにご苦労されたと思います、運輸サービス部会の横山様お願いいたします。