右から藤下総務委員、金岡財務理事、能澤財務理事、宮地財務理事
右から石川専任理事、玉川領事、花田副領事、内田専門調査員
司会:これで10部会の発表を終了いたしました。発表内容につきまして、ご質問もしくはコメント等々いかがでしょうか。
能澤:さっき、北野社長の発表の中に、特定企業に対するインセンティブで、国産メーカーが困っているということ。それは具体的にはどんなセクションなんですか。
北 野:電子部品です。これは実は電子部品のムラタ。特定メーカーというのはカンピーナスにあるモトローラ。セルラー電話用の特殊な電子部品のようですが、そ れを対象にしたインセンティブの法令ができて、輸入したほうが安いと。ムラタさんのマナウス工場で作られている「なんとかコンデンサーとか」というのが売 れなくなった。モトローラに納入できなくなった、いう話のようです。それと、それはどうも、背景にはミクロ電子部品のITを利用した国際調達と抱き合わ せ、になっているみたいです。世界中の安いところから、輸送費のかからないものは一番安いところから買ってくる、いうような話と、そのロビイングといいま すか、が裏にあるようです。そういうものが、輸入関税とかいろんな事を押しのけるインセンティブの法令と抱き合わせになっとるみたいな事です。
山田:それは政府がモトローラだけに、そういうインセンティブを与えている。
北野:与えたというふうに、特定1社を対象にしたインセンティブ法が出来て、国産メーカーは苦労してます。という表現でしたが。
司会:他に如何でしょうか。
石川:建設不動産部会長の鳥羽さんに質問です。2002年正月からこちら、聞いている範囲内では選挙の年もあって、政府がカイシャ・エコノミカ・フエデラー ル(連邦貯蓄銀行)を通じて長期のユーザンスを打ち出しています。政府による住宅建築を増やし失業率を減らす政策が打ち出されているという事で、不動産業 界はちょっと景気が出ると聞いておりますが、その辺のコメントをなにか?
鳥羽:現在のところ、選挙の年だからと言って、今年についての カイシャ・エコノミカ・フェデラール(連邦貯蓄銀行)の特別な措置というのは聞いておりませんけれども、一般論としては、そちらの方を強化していると聞い ています。そういった資金を利用しての住宅建設は、もう少し大きな市場になるであろう、と云うことは推測されます。
司会:ほかにご質問、コメント等ございますでしょうか。
山田:もう一つありますけども。先ほど言われました、その横山さんのフォワーダ-の、割に好調であったというのは全世界に対するフォワーダーですか、それとも対日本だということですか。
横山:えーっと、これはあの複数社の方というよりも一社の方のご報告なんで、限定されたとこだと思いますが、具体的には山九さんの報告なんです。したがってここからの、あの全体的というよりも固定的なものであると思います。
司会:皆様のご協力で、ほぼ予定通りに進んでおりまして、最後、領事館の方々からご感想を含めてコメントございますでしょうか。玉川様、ちょっと口火を切って頂きまして
玉川:この懇談会出席はこれで6回目になりまして、レアルの切り下げ以来、浮き沈みといいますか、変化の激しいブラジル経済を、ずっと各業界の方からお話を 聞かせて頂きました。その中でも、田中部会長のご発言にもありました、「どうかな?」と思う時でもなかなか底割れしない、というその姿に非常な「強さ」と いうものを感じており、そうしたものを十分学んで、これからの活動に我々も参考にさせて頂きたいと思っております。
司会:続きまして花田様。
花田:私もこの振幅の激しいブラジル経済というのを改めて認識させて頂きました。昨年の11月以降、好材料が出て来たと言うお話も田中部会長からありました が、こうしたものが今年も続き、貿易黒字とか海外投資が好調に流入し、為替が安定して、また、米国を始めとする世界経済が回復する事が今年の大きなポイン トではないかと感じました。
司会:内田様いかがでございましょうか。
内田:私、この国に1年数カ月です けども、良い時も悪い時もブラジルには本当に驚かされると感じております。前回の部会長懇談会では国内では電力問題。こんな問題が本当にあるのか、と非常 に驚いたんですけれども、今回は第4四半期に、急激にそのブラジル経済に対する信用が回復しました。
昨年11月に金融部会さんのパネル・ディスカッションに参加させて頂いた時点では、まだ、これほどまでのレアル高は、予想されてなかったような記憶があるんですけれども、そういうわけで、本当にいい意味でも悪い意味でも驚きの多い国だなと感じました。
輸 出に関しては、前回の部会長懇談会の時、ちょうど商工開発相が今までの産業界に非常に密着した形のターピアス大臣から外交官出身のアマラル大臣に交代する ことで「どうなるかな」というようなことを、懸念を込めて申し上げたけれども、蓋を開けてみるとカルドーゾ大統領の発言にもあります「輸出か死か」という ことで、非常に次々に輸出振興策が打ち出されて、言って見れば、その昨年のいろいろな問題を受けて、ブラジルがいかに外国資本に依存しているかが、かなり 明らかになった形でかえって政策ドライブがかかったのかな、というような感想を持ちました。
貿易収支の改善は、実際には輸入が非常に減った と言う側面が大きかったことと、また、お話にもありましたように、レアル安に頼った部分と言うのもあったかと思うんですけれども、そういう意味では構造的 な改革として、ずっと宿題のままになっている税制改革、あるいはロジスティックスの改善ということが、今後も政府の動きで注目される所だと思います。ま た、ブラジル側の民間の方と機会がある時にお話している時、あるいはセミナーでお話を聞いている感じですと、先ほど柳田部会長からお話がありました、輸出 をしなければいけないという意識、これが非常に高まっていると感じます。同時に付加価値の付いたものの輸出をいかに増加するかと。それは、ブラジル・ブラ ンドと言うものを広めて行くという意味も含めて、それに対するその意識が強まって来ている兆候も感じます。それによって、今までは、外国資本に頼った二流 の国だったところを、なんとかプリメイロ・ムンド(先進国)に持って行きたいと、そういう発言が結構目立っていたように思います。すみません、長くなりま した。ありがとうございました。
司会:ありがとうございました。それでは最後に池田総領事代理にご感想含め一言ご挨拶を頂きまして、第一部の締めくくりと致したいと思います。お願いいたします。
池 田:本来であれば総領事が出席するところ、出張のため私が代わりにさせて頂きました。本日、10部会代表の方々のお話を伺いまして、企業の方々の自助努力 を超えるさまざまな要因、為替変動、テロ事件、アルゼンチンの経済危機等、に苦しめられながら、大変なご苦労をなさっておられることが非常によく分かりま した。
今年も引き続き、ブラジルのマクロ経済情勢は若干良くなって行くようですが、やはり、「また何が起きるか分からない」。そういった中 で、おそらくそれぞれの業界の中で、競争も激化して行くでしょうし、そうした中で、最大限の努力をなさって、乗り越えて行かれる皆様のご健闘を期待したい と思っております。
領事館としましては、皆様方のお役に立つ領事館でありたいと思っております。昨年を思い出しますと、一つはやはり、 治安問題に対する対応が非常に重要だと思っております。そうしたことで、昨年は「安全対策レター」の発行、サンパウロの警察、誘拐担当警察の方々の講演、 あるいは直接、商工会議所の方々に領事館に集まって意見交換をさせて頂いたとか、ありましたけども、そうした問題につき、今年も引き続き重点的にやって行 きたいと思っております。
それから昨年11月、サンパウロにおいて行われた官民合同会議が、今年はリオ・デ・ジャネイロで行われると聞いて おります。そういった場等を通じて、官民一体的な戦略を構築し、お互いに助け合って、ブラジルにおける日伯の経済関係の緊密化に共に働ければいいな、と 思っております。3月のマルタ・スプリシー・サンパウロ市長の訪日について今準備中ですが、これはサンパウロ市との関係強化、サンパウロ市長の日本に対す る認識を深めてもらうためです。
我々としては、もしサンパウロ州政府、あるいはサンパウロ市に対して、何か皆様方、お仕事の上で問題がある 場合には、我々の方から取り次ぐことは出来ると思いますし、連邦政府に対して何らかの形で申し入れることがあれば、それは大使館の方から取り次ぐと、ある いは助力させて頂くことは出来ますので、ご遠慮なくおっしゃって頂きたいと思います。以上、簡単ですが、これで終わります。
司会:ありがとうございました。それではこれで第一部を終了致したいと思います。