2002年下期業種別部会長懇談会-繊維部会


名取部会長代理の木口社長

原綿状況と綿糸の販売に関して

木口  繊維部会長の名取に代わって報告させて頂きます。
繊維部会は、15のメインメンバーと、新たに加わった6つのサブメンバーから成っております。 その中身と言いますと、綿糸、綿紡、羊毛紡績、絹紡、化合繊紡それから織物、それと一部製品が入っております。 割合多岐にわたっておるわけで、その中で資料の方は殆どそれらをまとめておりますが、時間の関係で、この繊維部会の中の主要メンバーは8社、綿紡でござい ますので、そういう関係でブラジル原綿の状況と、それから綿糸販売について報告致します。

原綿は今年減で推定70万トン生産

まずブラジル原綿ですが、皆さんご存知だと思うんですけども、ブラジルは世界主要の原綿の生産国であったが、90年に入ってから減少し始め、97年には一 時半減しております。 それが98年から去年2001年まで、平均で毎年30%以上の増産をしてきて、その増産の殆どはマットグロッソ州です。
けれども、今年、2002年の状況は全くの様変わりで、去年の生産量94万トンに対して、今年は80万トンの生産予想を立てておりました。この14%の生 産減は、植え付け面積が14%減ったということです。 と言いますのは、去年の原綿相場は(ニューヨーク定期を中心とした相場ですけれども)、市場最低の 値段をつけまして、それとブラジルの綿作業者は天候によって品質が悪いということで採算が悪化しました。

その反面、大豆は世界的に相場 が上がって、この14%が原綿から大豆へ移行したのだろうと、そういう風に見られております。ここにきてアメリカの干ばつもあり、大豆相場が非常に上がっ ています。 ブラジルの輸出大豆は日本にもかなり出ているが、現在もかなり高い相場で移行しております。
14%の植え付け面積減で始まったわけですが、原綿の収穫期に雨が降りますと、非常に品質不良になり、全く天候に左右されるわけですが、この過去3年間ぐらいはあまり大きな品質不良はなかった。
原綿は植え付けて、花が咲いて、実がなるわけですが、実がなり、それが開いてあの白い綿になるわけで、この時に雨が降ると、虫が発生し、それから腐ったり、品質低下が起こるわけです。

ブラジルの場合は、4月ぐらいから綿花の摘み取りが始まります。 サンパウロ州から始まるわけで、サンパウロ州は今年、それほど悪影響を受けずまずまず の収穫が出来たが、6月後半から一番主要なマットグロッソへ移り、ここで天候異変のため非常に品質不良と生産の落ち込みが起こりました。 ブラジル全体で この生産の落ち込みが大体20%です。 従いまして、当初予想80万トンの生産が、70万トンぐらいまで落ち込んだと見られます。そうしますと、トータル で去年から比べますと、25%も落ち込んだ状況になります。品質不良ですから、上級綿が非常に少なくなっております。

次に原綿の相場 ですが、2月ぐらいが一番品不足になって、3月の後半ぐらいから新綿が出るわけで、この時に1ポンドあたり100センターボの値段がついておりました。  それからサンパウロ州で収穫されて、割合このぐらいの値段で移行してたんですが、先ほど言いましたマットグロッソで思うように収穫されずに生産が落ち込 み、ニューヨークの定期相場も上がりました。 それからご存知のようにドル高、レアル安ということで、綿栽培業者は輸出の方へ走ったわけです。今年は70 万トンのうち、12、3万トンは輸出に持っていかれるだろうと予測しております。

原綿相場50%高騰

大体、元々ブラジルの綿は、レアルベースで商売動いてたんですが、輸出が出始めますとドルの相場になるわけですね。 ここへ来て、ずっとドルが上がっ て、綿の相場も上がってきております。それで7月末時点で119センターボになりまして、20%以上の値上げが起こっております。
一方、原綿 の消費が当初86万トンと見られておったんですが、原綿の不足と、それから値が上がったということで、現在80万トンぐらいの消費と見られております。  原綿の消費について我々紡績筋は、昨年末まで比較的順調な綿糸売りで移行してきましたので、ある程度の水準を予想してきたけれども、年度が変わり、アルゼ ンチンの経済危機の影響を受けて、特にブラジルのニッタ-さん、 アルゼンチンの輸出先から回収不能というような影響も受けて、非常に低調で生産縮小が起 こったり、暖冬の冬物の売れ行きの不振、それと消費者の買い控えが起こって、3月以降各社、糸の在庫が増えて、販売に非常に苦心していたという状況が続い ております。
急激な原綿の値上げで、綿糸の値段も少しずつ上げて行こうとしたが、先ほど言いました需要停滞で7、8%値段の方も逆に下がって きておりました。 そんな状況から綿の消費が80万トン切るんじゃないかと言われております。 それからここに来て、8月の半ばぐらいから現在まで、綿花 相場が140センターボから今ではもう150センターボと言われていますので、50%ぐらい値上げしたというような状況になっています。

綿糸需要落ち込む、価格も

次に糸の販売状況。原綿と同じような動きするけども、本年の上期の初めは、、先ほど言いましたように割合良好だったが、上期はほとんどカーニバルまでは思 うような販売ができなくて、カーニバルの後、寒くなってくると、実需がついてくると、いうのが繊維の状況ですけども、やや弱含みで始まり、冬物の生産が始 まる2月から、綿糸の需要がさらに落ち込んできました。それで各社、持ち越しの在庫とか、先ほどの暖冬の見通しから、大手アパレルが生産調整、フェーリア スを先にとったりで、非常に苦しい状況が続いていました。

その影響も受けて綿糸相場が6から7%下がって、先ほど言いました原綿の相場が上がったので、各ニッタ-さん、機屋さんがこれで綿糸も上がる、と先物手当てをしているのが現状です。
7月までは、紡績メーカーは20日から1ヵ月以上の在庫を持って ― 1ヵ月以上といいますと、我々にとっては非常に異常な在庫で、 大体10日から 2週間、月の半分ぐらいの在庫を持ってうまく回っているのが普通で ― 1ヵ月を超える在庫があったが、先物手当てをし出して現在ほとんど、我々紡績メー カーに在庫はありません。遅れ馳せながら出たわけです。

原綿の在庫薄、輸入綿頼りは採算悪化

この下期どうなるかですけれど、ここへ来て9月、殆どいま紡績は在庫を持っておりません。需給バランスが好転すると思うけれども、 なかなか先の環境 は、非常に予想は難しいと思います。 一つには、ブラジル経済の不安定要因で一般の衣料品市況も大幅な改善は 見込めないだろう。 2番目は原綿価格の急 上昇で、我々の採算を悪化させる、いわゆる“原料高の製品安”と言うことと、糸値の相場の混乱を招くということですね。

それから、天 候がまだ少し寒くなったりということ続いていますが、小売店は一時夏物を出し、それをまた入れ替えたり、というようなことが続いております。 そういうこ とで、スムーズに販売・消費が進んでなく、またドル高の影響を受けて資金繰りの圧迫が起こるんじゃないか、と今後年末までにかなりの懸念が予想されます。  それから順調に消費が進んで、生産が進んだとしても、先ほど申し上げたように原綿の実在庫がないわけですから、これを売り惜しみをして、値段が上がるの を待っていることもあり、また全体量の不足から輸入綿を使用せざるを得ない、ということもあります。 先物を手当てしてないとそう言うことも起こります。  そうすると、いまのレアルベースでは高い綿を使うという事になり、紡績筋の採算悪化が懸念されると言うようなところです。

 

繊維部会資料

国内綿の生産量(1000t)

ESTADOS

01/02

00/01

São Paulo

57.7 60.0

Paraná

31.4 58.2

Minas Gerais

30.4 29.4

Goias

103.5 113.3

Mato Grosso

426.8 533.9

Mato Grosso do Sul

62.9 66.5

小計

712.7 861.3

Bahia

69.4 61.4

Norte/Nordeste

22.5 16.1

合計

804.6 938.8

註:CONAB資料(2002/5)

2002年の原綿需給予測(1000t)  I     II

期初在庫国内生産  
輸入
198.5
770.1
120.0
200.0
700.0
100.0

供給合計

1,088.6 1,000.0

消費
輸出

860.0
100.0
800.0
120.0

期末在庫

128.6 80.0

I) CONAB資料(2002/2/26)II)業界

綿花相場

R$C

01/12

02/01

02/02

02/03

02/04

02/05

02/06

88.29

96.97

100.08

97.21

97.42

97.49

98.56

 2.綿糸(国内)

上期の回顧

上期綿糸市況
やや弱含みでスタート。 各機関の楽観的経済予測、節電政策終了などから前年並み、もしくはそれ以上での推移期待だったが、冬物生産開始の2月後半から綿糸の需要は、特に我々の主要販売地区のサンタ・カタリーナを中心にコーマー糸が大幅に落ち込んだ。
4月に入り、昨年の冬物商戦の持越在庫と暖冬の見通しから大手アパレルは生産調整を開始。 例年4-6月に比較的引き合いの多いカード糸も期待を裏切ら れ、コーマー糸と共に需要が落ち込んだ。 低迷を続ける国内綿糸市況打開に紡績各社は輸出の成約に注力したものの、在庫は徐々に増加、綿糸相場は年初より 段階的に6-7%程度下落。
一般衣料品の商況も夏物は年初から低調続き、バーゲンセールも盛り上がりを欠いた。 ただ長びく暖冬のおかげで製品在庫調整は一応の目途はついたと思われるが、冬物の商況は昨年より不調に終わる予想で、今後各段階で資金繰り悪化懸念。

下期の展望
シーズンインの下半期に市況回復を期待。
8月に入り、秋冬商戦不調から春夏物への期待感強まり、備蓄段階での需要マインドい。 上期膨張の紡績在庫の調整徐々に進む。ドル高は輸入品流入を大幅 に制限、当分は需給バランス好転を背景に、上期落ち込み相場の回復と更なる価格アップを図るタイミングでもある。 しかしながら本年下期の紡績経済環境は 近年とは違い、厳しくなる可能性強い。 すなわち、

1) ブラジル経済は不安定要因多く、一般の衣料品市況も現時点では大幅改善は見込めず。
2) 原綿価格急速に上昇、我々の採算悪化以外に、綿糸相場の混乱を招く可能性あり。
3) 秋冬商戦における小売不振と現在のドル高は各流通段階で資金繰りを圧迫、さらにそれぞれの段階で”原料高の製品安”懸念。
本年の繊維業界は近年とは違った動きをしており、綿糸市況も楽観的な予想は難しく極めて不透明。

3.綿糸(輸出)

上期の回顧

輸出実績
2000年(1-12月)17,699t     49,601千ドル
2001年(1-12月)16,993t     39,765千ドル
2001年(1-06月) 7,316t(100)   18,217千ドル(100)
2002年(1-06月)11,095t(152)   23,737千ドル(130) 

上期綿糸輸出は、国内市況低迷から各社共に輸出ドライブを掛け、昨年同期比大幅な伸び(上記表)。 4月まではレアル高で飢餓輸出的色合い濃く、成約状況 も冴えなかったが、レアル安に転じた5月以降はむしろ採算的には国内向けより優位になり商談活発化。 仕向地は従来の北米・中南米(亜国を除く)の他、ス ペイン・ポルトガル・ギリシャ等の欧州向け増加。

下期の展望
国内市況回復兆候だが、シーズン要因によるところ大きく、依然、先行き不透明のため、各社の輸出指向は継続見込み。
不安材料は①米国経済の低迷②インド・パキスタン糸の荷余りに安値売り攻勢。
ここに来て支払いに若干不安のある亜国から引き合い徐々に増え、為替が現状水準維持ならば、下期も輸出は堅調に推移予想。

4.綿糸(太番手)

上期の回顧

(1)ニット関係
ワールドカップや選挙の年の好況予想は期待外れに終わっている。
要因は次の通り。

○前年の冬物販売不調による在庫持ち越し。
経済危機の影響でテキスタイル輸出の25%を占める対アルゼンチン向けなくなり、 
の在庫滞留と支払い遅延による信用不安増加わる。

○電力制限が2月まで続いた。

○公共料金の上昇による消費者の購買意欲の低下。
(レアルプラン8年間のインフレ率は、都市ガス117.7、家賃382、固定電話代381、バス代250.2、電気代227.3、地下鉄225、ガソリン211.2各%等が特に目立っ。)

○平均気温上昇。5,6月の気温は観測史上59年来の高温。

この結果、販売不調、小売在庫増加。 冬物バーゲンを早めたが効果なし。 販売面以外に原価高騰顕著、特に原綿、電力料大幅アップ。

(2)布帛関係
ニットと同要因が挙げられる。 気温の影響はないが、原価上昇重なり、更に悪い結果に。 特に自動車販売の不調が影響した産業用や、シャッ地、ジーンズ、病院用、インテリア用など。
アルゼンチン向け輸出壊滅状態だが、ファッション性の強いものは例外であった。

下期の展望
(1)ニット関係
全般的に改善見られない見通し。その理由:

○暖冬のため、小売不調で冬物在庫積み上がる懸念。

○販売不振による、支払面での信用不安懸念。

〇国内原綿生産低下とレアル安による輸出増加が価格高騰を招き、原価アップを来たす。

○輸出実績なく、太番手は原綿高騰の影響大で価格的に不利。

〇期待された政府によるFGTS還付金は小額で、消費者の購買意欲を刺激するには力不
足。

(2)布帛関係
国内綿の需給バランス崩れから、下期にその影響が顕著。綿糸供給も減って上期同様、
全般的に低調予想。
自動車や他産業の回復期待薄から、産業用も落ち込み予想。
他方、ファッション性の強いものは上期同様順調、レアル安が強まれば、輸出に期待。

5.ウール織糸及び横編ニット原糸の状況

2002年の年明けは、アルゼンチン危機波及回避の安堵、マクロ経済の堅実な先行きが語られる中、ウール織糸・横編原糸共に前年末の低調な市況のまま推 移。 2月カーニバル前後からニット糸が活況を取り戻し、3・4月は前年・前々年のペースに戻るかに見えたものの、小売市況は期待ほど回復せず、5月以降 のレアル安に直面。
1年前過熱気味のブラジル横編業界は成長が鈍化、かつ設備投資過多の傾向だったが、暖冬とレアル安は中小企業の集団産地、 特に新興産地を直撃、生産量低下と信用不安を引き起こした。 昨年大量の編機をブラジルに船積した日本・イタリアの機械メーカーは一部産地において代金未 入の編機を回収にかかっている。

現在ブラジルの、横編み染め糸を主力商品とする日本資本紡績メーカーは1社のみで、競合他社はブラジ ル、またはヨーロッパ資本の企業。 漸増原料コストの売値転嫁が思うに任せず、”原料高製品安”の傾向にあり、巨額の販売高を誇る大手ほどこの点に苦しん でいる。 ウール中心の梳毛織糸は衣料用織物原料としての需要はブラジルにおいて減少久しく、官公庁制服類・シャツ等軽衣料向け・輸出に限定され、その他 は椅子張りなど室内装飾用途に転じている。 いずれも輸入原料が大で値上げ交渉の最中にあり、かつコストに占める原料比率が高い、ウール原料の世界的高騰 もあって輸出が加速されないことが悩み。

下期も2ヵ月を経過しようとしている現在、極端な改善は期待しがたいが横編ニット衣料がブラ ジルの生活環境・気候・体型・ファッション的志向に極めて適合した服種であり、今後もおしゃれの中心である事に変わりはなかろう。 また短いリードタイム で回転する業種であり遠隔地からの輸入品の脅威も少ない。 従い消費市況の回復期待と共に中低価格ヒット商品の創出が鍵となろう。
またウール糸については世界的な原料高騰から比較的安価な南米羊毛に注目する動きはあり、日本においても中国品と比較のテーブルに乗り始めてはいる。

6.絹業界

01/02農年期の養蚕動向

ブラジル全体の生繭生産量は、00/01農年期9,916トンが01/02農年期には10,235トンと3.25%の増加。 中小農家にとって他作物より養蚕が比較的優位なのが増加の理由。 製糸3社の操業に必要な原料繭は概ね確保できた。
産地州別シェアでは、パラナ89.4%を筆頭に、サンパウロ5.4%、マットグロッソ5.0%、サンタ・カタリーナ0.2%、ミナスジェライス 0.0%。パラナの一極集中化は相変わらずだが、マットグロッソが前年比110%と伸びており、この増加傾向はしばらく続くと予測。

2002年の製糸業界見通し

販売数量の80%強が輸出依存のブラジル製糸経営は、海外市場動向や貿易為替の変動はもとより、世界の絹業界をリードし価格決定権を握る競争相手国の中国の動向に多大な影響を受ける。
最大生産国の中国における原料繭並びに生糸・撚糸の供給過多、それに起因する単価下落、ブラジル生糸・撚糸の最大消費国日本の長引く経済不振による絹需要減退がブラジル製糸経営の大きな悪化要因をなす。
特に、世界的な需給バランス失墜に起因する輸出単価下落著しく、2002年上半期は販売数量では 昨年同期比104.7%と増加だが、販売価格は逆に昨 年同期比82.5%と大きく下落。 この傾向は今年一杯継続推測で、今後の為替動向いかんにもよるが、本年度は大変苦しい製糸経営を余儀なくされそうであ る。

7.化合繊(短)

上期の回顧

今年1月の繊維部会の「上期展望」では楽観見通しを述べ、年初の対本社レポートでも、経済情勢について下記報告した。 ( )内は2001年度。

A)中央銀行の2002年予想は全般的に楽観視。

B)貿易黒字50億ドル(20億ドル)、GDPは2.4%、基準金利は17%にまで下がる、インフレ率も4.8%(7.4%)に下がる。

C)為替も、01年12月末は多少レアル高過ぎるので、対ドル2.6レアルか。インフレ率も4.8%に下がる(7.4%)。

D)大統領選挙の年でもあり、経済情勢は一般的に好転する。

E)しかし、終わってみないとなんともいえない国情ゆえ安心できない。

現状は、唯一貿易黒字のみ達成の可能性があり、その他は全て異変が生じているのが現状。
ポリエステル国内原綿建値は依然ドル建て。 上期多少の値下げはあったが、レアル安(上期で12%強切り下げ)で実質的には大幅な値上げとなった。
レーヨン綿は、そう値段は変わっていないが、原料コストは着実に上昇している。
販売面は、大統領選挙での本命与党候補の人気低下による市場全体の不安感、業界でいえば、5、6月に売れるべき冬物が暖冬影響で不振。 全体的には冴えない上期だった。
本来、レアル安で繊維全体の輸入が抑えられ、追い風となるべきが、市況の低迷がそれを上回っている感がある。

下期の展望

7月は1ヵ月で20%強のレアル安が進行。また、IMFからの300億 ドルの与信供与は決定したものの、一向に明るい見通しはない。
ポリエステル原料のPTA価格などが、4月頃からアジア向け中心に値上げ傾向にあり、上昇に一服感。国内ポリ原綿はドル建てとあって大きな値上げは抑えられてきたが、下期からは建値自体が上昇予想。 レーヨン綿についても、下期の価格動向は要注目。

販売は、上期以上に厳しい情勢が続く予想。 原料コストアップ、綿糸価格の値上げなどで化合繊(短)業界も値上げを行うべき情勢ながら、各社事情にもよるが不透明な状態ではなかろうか。
底の浅いブラジル経済を露呈させた年で終わりそうな予感。新大統領が、国内もさることながら、海外に向け政局運営の自信とその裏づけを見せぬ限りブラジルの信用は取り戻せないところまで来ていると言える。

8.「薄地織物」

前半の回顧

昨年末の小売好調を受けて、年初の在庫補充販売を期待したが意外と出足悪く、縫製業者は早々に冬物生産へ切り替え。 年初から”アルゼンチン効果”が繊 維業界に大きくのしかかり、特にニッター、厚地織物メーカーに多大な損害。 薄地分野にも影響少なくなく繊維業界全般に景気悪化をもたらした。
寒気の到来遅く冬物の引き取り遅れ、縫製業者は夏物生産開始前に一時休業の会社も出た。
業界の販売状況は対昨年比-15%と推定。
価格は昨年中のコストアップを吸収するため、一部企業で5%~7%程度の値上げ実施。

後半の予想

前半は不景気感強く苦戦。アルゼンチン影響も是正され、後半に入り業界の雰囲気も徐々に年末販売に期待感を持ち始めた。 ドル高による輸入コスト急上昇 で原料、製品ともに輸入品の激減は必至で、業界の需給関係は更なる改善期待。 業界最大手の SAN-TISTA が薄地織物に参入、今後の競合状況は予 測出来ず。
輸入原料コストアップによる製品コストアップは厳然たる事実であるが、売値への転嫁は後半の荷動き次第。

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