1.2002年下期の回顧
1-1)市況について
① 家電主要製品メーカー出荷動向(台数ベース、対前年同期比)
2001年 | 2002年 | |||||
上期 | 下期 | 年間 | 上期 | 下期 | 年間 | |
カラーテレビ | 111% | 73% | 89% | 108% | 97% | 103% |
オーディオ(ミニコンポ) | 99% | 88% | 93% | 95% | 86% | 90% |
ビデオ | 92% | 71% | 80% | 78% | 73% | 76% |
DVD | 467% | 254% | 304% | 215% | 165% | 183% |
電子レンジ | 99% | 43% | 70% | 73% | 163% | 101% |
―下期はDVDと電子レンジを除いて電力問題で需要が縮小して2001年に
比べてさらに落ち込む結果となった。
―食料品公共料金などが値上りし生活必需品に金がまわり、耐久消費財などは
買控えされている模様。
② 電子部品は家電、自動車関連、移動体通信メーカー向けが主な取引先であるが、輸出を主とした携帯電話メーカー向けが比較的好調であった。
③ 通信関連はキャリアー向けインフレビジネスが2001年上期に完了済みであり極めて低調。
④ 粗蜜・事務機器では複写機関連が前年同期比マイナス16%。
1-2)政治経済動向で大きく影響があったもの
① 大統領選挙戦動向が影響した為替切下げの進行と高金利政策。
② 景気の低迷と為替切下げに伴いコスト上昇の下で、価格への転嫁ができず収支を大きく圧迫。
③ 通信キャリアーには資金調達難に苦しむところもあった。
1-3)会員企業の対応と業績
① 市況低迷、コストアップ(特に輸入品主体の業種並びに輸入比率の高い部材の生産業種)の中で、デフレ傾向もあり、苦しい対応でしのいだ半年といえる。人員削減を含む固定費の圧縮に取組み、前年同期マイナス3%~マイナス27%を実現。
② さらに高金利下で資金圧縮、CFフロー良比に収支管理強化推進をほとんどの企業が実施。
③ 一方厳しい市況下ではあったが販売確保の取組みとして、新製品・モデルの投入や新規販路・顧客の開拓努力により活路をみいだした企業もあった。
④ 前年同期比(ドルベース)の販売については、家電83%-105%、電子部品105%-118%、通信電力産業30%-70%、精蜜事務機器、57%-125%と業種間並びに企業間でバラツキの多い結果であった。
⑤ アンケート回答会社の2002年下期の業績自己評価は、良かった 10%、計画通り30%、悪かった・大変悪かった60%でした。
2.2003年下期の展望
2-1)ルーラ新政権とその影響について
① 年金制度の改革、税制の見直しなどに茶九手してくれると期待。一方で国際政治上や国際金融上でボロをださぬか、心配という声。
② 前政権を受け継いでインフレ抑制一高金利政策を維持されると思われることとイラク・ベネズエラ情勢もあり、上期の景気回復は望めず、悪かった2002年下期よりさらに低迷するという不安大。市況回復は下期後半からか?
③ 雇用機会創出の面と貿易バランスの不均衡是正(得にマナウス経済特区)の目的から、ローカルコンテンツ規制や輸出促進策などが具体的に検討されており、業界としては要注視である。
2-2)会員企業の対応と見通し
① 引き続き厳しい市況が予想されるのでさらなる合理化(リストラ、コストダウン活動)の推進さらに輸出拡大と新製品の投入で販売増を目論むという取組みが大半の企業の対応。
② 環境は厳しいが、アンケート回答各社は2003年上期売上見通し(前年同期比 ドルベース)について積極的取組む計画をもっている。
③ 家電105%-162%、電子部品100%―150%、通信電力産業40%―120%精密・事務機器104%―112%
3.その他
① FTAAの動きや日伯FTAについて懇談会の中で討議したが、ブラジル政府が推進している二国間協定の中で事業に活かせるものは大いに活用していくという姿勢。業界の動きの中で積極的に参画している会員企業もある。
② 伯中FTAなどが実際に進展すると現在のマナウス生産事業に影響があると危惧される業種もあるが、グローバルな事業展開の中では、一番メリットのある生産拠点からの供給というルーツ変更で対応できるのではないかとの見方が多かった。
③ 一方でやはり欧米諸国や中国・韓国・インドと二国間協定・多国間協定が締結されていくと日伯間で協定がないことが将来競争上大いに不利になるとが予想されるので日伯FTAの動きも急がれるとの声もあり。
以上、ご報告とさせて頂きます。