ブラジル日本商工会議所総務委員会(浅賀委員長)及び企画戦略委員会(多田委員長)共催の「2004年下期の業種 別部会長懇談会」は、8月5日午後3時~6時30分、安田保険講堂で開催された。浅賀委員長司会の下、11部会の部会長、あるいは副部会長それぞれによ る、「ブラジル経済2004年度上期回顧と下期展望」についての発表。
個別テーマとして 「ルーラ政権の政策・方針による影響・課題、FTA問題、中国・アジア関連、部会内の個別業種に絞った課題等々に関する具体的・実体的な見解」にも触れた が、昨年の不況からの景況回復が2、3を除き多くの業種において顕著な半面、PIS、 Cofins増税が各業種に、税制恩典廃止がとくにマナウスの企業に影響していることが印象づけられ、政府当局に対して善処方を働きかける必要性のある事 を痛感させられた。また、質疑応答も活発に行われた。当日の出席者、各部会代表の発表者は次の通り。
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司会の言葉 浅賀総務委員長
浅賀総務委員長前回同様この「部会長懇談会」は、私共の総務委員会と企画戦略委員会の共催です。ここから吸い上げた問題を今後の会議所活動に反映させて行きたいと言うこと から、両委員会の共催とさせて頂きました。要領は皆さんご承知のように、一つの部会の持ち時間は15分です。前半は5つの部会に発表していただき、コー ヒーブレイクをはさんで後半は6部会、1つの部会は一応15分。なるべくその時間の範囲内でやって頂き、目安としてはご説明を10分程度、その後各部会ご とに質疑応答の時間を設けてございます。8分ぐらいたったところで、「そろそろまとめに入って下さい」という意味での合図をさせて頂いて、10分程度で一 度話を締めくくり、ついで「質疑応答」という手順でやってまいりたいと思います。
部会のご説明に入る前に田中会頭のほうからご挨拶を頂いて、そ れから各部会の説明に入りたいと思いますが、会場は禁煙ですので、催された方は外の決められております喫煙場所で、ご懸念なくブカブカ吸って頂きたい。こ こでは禁煙ということで改めてお願いします。それでは会頭、よろしくお願いいたします。
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会頭挨拶 田中会頭
田中会頭経済は成長路線に乗ったが先進諸国及びBRICSの動向に要注意
田中会頭 そ れでは簡単にご挨拶させて頂きます。本日は、当会議所のメインイベントである「業種別部会長懇談会」にご多忙中にも関わらず、多数ご出席頂き、まことに有 難うございました。とくに石田総領事以下の総領事館の皆様、ブラジリアからわざわざお越し頂いた大使館の笹本一等書記官に厚くお礼申し上げます。この懇談 会は1970年代に開始され、約30年の歴史を持つ行事で、年初と年央の2回、ブラジル経済の回顧と展望を行っております。今回「は2004年上期の回顧 と下期の展望」を行うことになっています。近年、「開かれた商工会議所」の方針に則り、会員以外の一般の方々にも自由に参加していただき、日本語からポル トガル語への同時通訳も用意しております。
国民多数の期待を集めて誕生したルーラ政権は1 年半経過しましたが、経済の面ではまさに辛抱の期間であったと言うことが出来ると思います。前政権末期から再燃傾向にあったインフレを抑制し、年金改革な どの構造改革など"負の遺産"を整理するため、持続的経済成長を図るという公約を一時的に犠牲にする厳しい引き締め政策を余儀なくされました
高金利政策の維持、マイナス成長、失業増加などに対する党内、政府内、労使双方からの攻撃を受け、パロッチ蔵相、メイレーレス中銀総裁は四面楚歌の状態に陥りましたが、ルーラ大統領の経済スタッフに対する信頼は失われませんでした。
昨年後半から回復を始めたブラジル経済は、今年に入ってから一段と力強さを加え、レアル・プラン以来10年ぶりとも、あるいは「ブラジル経済の奇跡」いらい30年ぶりともいわれる成長路線に乗ったという意見もあります。しかし、今日の世界経済はグローバル化しておりますので、ほぼ同時並行的な回復傾向にある米国、日本などの先進国やブリックス(BRICS*)と呼ばれる諸国の動向はもちろんのこと、近年影響力を強めている地政学的リスクに対する警戒も必要であると思われます。
終わりになりますが、立派な会場を提供して下さいました安田保険、本懇談会担当の総務、企画戦略の各委員会や各部会を始め、事務局の皆さんの努力、ご協力にお礼を述べて、私の挨拶を終わりたいと思います。
*BRICs諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国など)。 -
コンサルタント部会 桜井コンサルタント部会長
桜井コンサルタント部会長新しい商工会議所に脱皮しよう
桜井 コンサルタント部会長の桜井です。本年度からコンサルタント部会は、コンサルタント部会にふさわしい何らかの提言を行うことにしております。今回は、「いかにブラジル日本商工会議所をより一層活性化させるか」についてお話しさせて頂きたいと思います。
ご承知の通り、日本とブラジルの経済関係はここ十数年来低迷の一途を辿ってきております。ではどちらが悪いかと言いますと、両方とも悪いんですが、更に突 き詰めていきますと、私は日本側のほうにより責任があると思います。その一例として、ブラジル政府の人もよく言いますが、ルーラ政権以降、ブラジルから6 名の大臣が日本に行っています。しかし日本からは一人も大臣が来ていません。この例に代表されるように日本側に責任があるんじゃないかと思っています。但し、ここにきて、両国の関係がかなりの変化を示しつつあります。一つは日本とブラジルの経済が非常に良くなって来たことからであります。2番目は BRICS議論により、ブラジルがいま世界的に注目され、日本でも注目を集めていることであります。 第3番目は、ブラジル側、日本側双方から両国の関係 を正しく評価しようという新しい動きが出ていることです。第4番目はいまアウキミン・サンパウロ州知事が日本に行っていますが、今後、小泉総理の来伯と か、ルーラ大統領の訪日とか予定され、要人の往来も盛んになるだろうと言うことです。
従いまして、今年末から来年にかけて日伯両国の関係が非常 に緊密化して、我々も皆様方も全て忙しくなるんじゃないかと思います。こういう時期に一度、商工会議所のあり方に関わる抜本的な問題点を洗い出し、新しい 日伯経済関係の動きに合致した新しい商工会議所に脱皮する必要があるというのが我々の認識であります。提案内容は、これからお話しすることを受けまして、商工会議所内に「商工会議所活性化特別タスクフォース」、または、「ワーキンググループ」を設置して、 9月から11月まで3ヵ月くらいかけて、新しい日伯関係にふさわしい商工会議所のあり方というのを議論し、その結果を来年度以降の商工会議所の活動に反映 させるということです。
問題提起6つのポイント
人材関連コミテイ新設、委員会、部会の見直し等そ れで、問題提起として、6つのポイントがあります。商工会議所の目的、組織、人、金、会議所の運営プログラム、各種課題の6つであります。最初の目的につ いては、定款にいろいろ書いてありますが、どちらかというと親睦に重視重点がおかれている。このことは、全世界の日本商工会議所永遠の課題ですが、今後は 目的に添った形で、もう少し親睦から目的オリエンティッドにすることが必要かと思います。
組織については、事務局がありますが、事務局の業務の増大にどのように対処するか、あるいは現在の組織図が適当であるか、事務局にふさわしい権限が与えられているかとか、あるいは事務局長の権限をもっと強化すべきではないかとか、そういうポイントがあると思います。
常任理事会については、いま月例の会議では昼食会の前に1時間とか1時間15分位話をしていますが、ルーティンの問題の討議が多い。どうあるべきかについてもう少し時間をかけて話をすべきだと考えます。現在13の委員会があります。これも現在の委員会のままでいいのか、あるいは新しい時代に即した形で委員会を新たに設置するとか、あるいは現状の委員会の数が適当かどうかとか、それぞれの委員会がしっかり機能を果たしているかという分析も必要ではないかと思います。
他の欧米の商工会議所を見ていますと、例えば「人材関連のコミテイ」、これ英独仏米の全部にあって、日本商工会議所にはありません。今後の商工会議所の発 展等を考えますと、例えば企業の社会的責任関連、ブラジルコスト関連、FTA関連、投資促進の関連の委員会の設置を検討する時期に来ています。その他、ブ ラジルにある他の5つの日系商工会議所とかメルコスルの日本商工会議所との関係とか、そういった連絡業務も必要だし、いま27万人日本にいますデカセギの 方々の企業化支援等も必要ではないかと考えます。部会の活動と機能については、これも会 員の増減があるので、現在の部会の数、名称でいいのか、あるいは独自にまた新しく設置するかどうか、そういうことも検討する必要があるかと思います。将来 の発展を考えますと、例えばIT部会、個人会員部会、デカセギビジネス部会とか、あるいはいま運輸サービス部会に入っていますが観光というのが非常に重要 ですので、例えば観光を一つの部会にするとかも考えられるのではないかと思います。
次に 「人」の問題。会議所の運営がうまく機能するかはまさにこれ「人」にかかっています。会議所の仕事はこれ全くボランティアで、仕事の合間を縫ってみんな一 生懸命頑張ることになります。それゆえに更に「やる気」と「ボランティア精神」に富んだ理事,常任理事が望まれるということです。それでここでは、例えば 理事、常任理事の選出方法が今のままでいいのかとか、あるいはその機能、役割がちゃんと明確になっているかも議論する必要があるのかなと思います。
それから部会長の選出もいろいろあり、持ち回りというのが結構多い。持ち回りでも全然構わないと思いますが、その場合でも、やはり腹をくくり、ジタバタしないでしっかり頑張って頂くことも必要と思います。会員数も増やそう
それから「お金」、予算の問題ですが、予算の問題で一番重要なのは会員をいかに増やすかです。米国商工会議所の場合5560社が会員になっています。ドイ ツ商工会議所は1000社、それからフランスは700社ということです。日本商工会議所の場合、まあ280社プラス16個人で300弱です。従って、やは り会員数を増やすのが財政基盤を恭子にする上で非常に重要な要因かと思います。
ではどう すか?未加入の日本進出企業にやはり積極的に働きかける、コロニアの企業に対して積極的に勧誘する、日本に進出しているブラジルの企業を勧誘する、あるい は日本と取引をしているブラジル企業に働きかける、あるいは、個人企業、個人会員を勧誘する、デカセギビジネスの方々にも入って頂く、それから海外メン バーを誘致することも必要です。
それからもう一つは広告収入、スポンサー探し、共催活動の積極的推進という方法もあります。これらの点について は、どちらかというと商工会議所はあまり積極的ではないが、今後はやはり広告収入とかスポンサー探し、それから、共催活動等をやって極力コストを削減し、 それによって、いろんなイベントを楽しく有意義なものにする事がやはり必要かなと思います。次に会議所の運営・各種プログラムですが、例えばいま総会はどちらかというと昼食会になっている。昼食会では飲んだり食ったりしますので、総会はやはり ちゃんと座ってやるのが必要でないかと思います。年に2回ぐらい、そこで新年度のプログラムとか、去年何をやったとか、中間報告とかをやることが必要かと 思います。月例昼食会は、今度アウキミンさんが来ますが、日本商工会議所の重要性から考えますと、やはり年に1、2 回は、その連邦政府の大臣が来るというかたちでやることが必要かなと思います。
年次報告書ですが、他の商工会議所はハードカバーで割合しっかり した年次報告書を出しています。日本商工会議所はハードカバーではなくて、コンピューターで出しているが、やはり、将来的にはちゃんとした、ハードカバー で出して、1年間何をやったか、今後何をするかを明確に打ち出すことが必要だと思います。
それから、いろいろな事態に応じて、臨機応変にサブコミテイも設け、そこで、どんどん新たなことをやって行く。サブコミテイによって隠れた人材等をたくさん発掘できると思います。商工会議所の国際化を目指そう
次に「各種課題」ですが、第1のポイントは、会議所の国際化です。これは永遠の課題ですが、会議所を発展させる上で避けて通れない問題ですので、相当真剣に取り組む必要があると思います。
2番目のポイントは提言能力の向上です。ブラジルでビジネスをする上で皆さん方が困っておられるのにブラジルコストの問題があります。ビザの発給、通関, インフラ,税金,治安等々いろんな問題です。ブラジル政府は往々にして頭だけで考えるという性格があるので、不適切な政策が出てきた場合、スピーディかつ 適確に対応する必要があります。従って、この問題には専任の常任委員を一人設けるぐらいの心づもりでやらないと、うまく行かないと思います。それから企業の社会的責任活動への取り組みがあります。これは日本でも相当話題になっています。ブラジルは私もいろいろと調査しましたが、この分野では、 非常に面白い国であります。いろいろなプログラムをやっており、バラエティに富んでいます。アメリカ商工会議所は 82年より「ECO賞」を設けていますし、フランス商工会議所も、つい3年前ぐらいにLIF賞というのを設け、優れた社会的責任活動を行っている企業に対 し、表彰している。ドイツ商工会議所も熱心です。日本商工会議所もそろそろこの問題に関して頭に入れておいた方がいい時期に来ています。場合によっては、 常任委員会を作るぐらいの力の入れ具合にしても決しておかしくないと思います。
4番目は 全員参加に関連することです、田中会頭のご意見で「開かれた会議所、全員参加の会議所」がスローガンになり、昨年度に比較して、だいぶ良くなっていると思 いますが、やはりまだ「全員参加」から遠いという感じです。従いまして、一度会員企業にアンケート調査をして、参加の状況とか、どのようにすれば参加して もらえるのか、あるいは参加しやすくなるのかをアンケートする。それを受けて、そのコメントを受け入れられるようなメカニズムをつくることが望まれます。 ホームページへの投稿、会議所機関誌の発行とか、いろんな形があると思います。一例として、この7月に EMBRAERの工場見学がありました。これは非常に人気がありましたが、こういった形のプログラムをどんどん増やして行くのが必要かと思います。
最後に、今後の課題ですが、長年会議所に対して、功労のあった人を表彰するとか、そういう特別賞のようなものを設けることが必要かと思います。それから、 商工会議所に入会したからと言って必ずしも商売に結びつくことにはならないと思いますが、お互いに紹介し合うというメカニズムが必要です。とりわけ昼食会 の時は、その前に「カクテル」の時間がありますので、あの人、この人とちょっと知り合いになりたいという人がいれば、事務局で紹介する世話するというメカ ニズムが必要と思います。
東京にブラジル商工会議所OB会をつくろう
東 京の日本商工会議所は、あまり海外の商工会議所のためにやってくれませんが、海外の商工会議所が団結してもっとちゃんと真面目にやってよと言う必要がある と思います。それからもう一つは2008年に、「移民100周年記念」というのがあります。これは、コロニアの方々が主人公であるのは言うまでもないこと ですが、我々も同じ船に乗っておりますし、商工会議所の会員企業もコロニアの方々が今まで一生懸命やってこられたことによる恩恵を相当受けていることもあ りますので、そのオール日本という発想でもう少し、どういう形であれ、このイベントに我々としては乗った方がいいんじゃないかと思います。2008年には 経済も良くなって、日伯関係も良くなっていると思いますので、何もしないと将来において禍根を残すことがあり得ると思います。
商工会議所の文化的活動は比較的少ないのが現状です、サンパウロは非常にエキサイティングな都市なので、商工会議所としても、文化的な活動を取り入れるべ きだろうと思います。駐在員夫人の方々がいま、「ブラジルを知る会」とか、いろいろやっておられますが、駐在員夫人、あるいは会議所の会員企業の夫人も何 らかの形で参加できるような形のプログラムも将来的に必要かなと思います。
それから更に、ブラジリアの日本大使館からは、今回は笹本さんにいらして頂いていますが、経済担当班の方が少なくとも年に4回、3カ月に1回くらい来ていただくともっとコミュニケーションが良くなると思います。最後に「ブラジルの商工会議所OB会」っていうのも東京に設立すればいいと思います。いま、それぞれの駐在時代の人々が集まって、いろいろやっていますが、それをちゃんとした形のOB会を設立すればいいと思います。
以上ですが、提案致しましたこととか、あるいは新しいことを含め、9月から11月にかけて会議所内にワーキンググループ等をつくって頂きまして、引き続き議論して一番合理的かつ、よい会議所の運営が出来るようにすることを提案したいと思います。時間との関わり合いで、全部を話すことは出来ませんので、お帰りの時に、そのフルテキストを事務局にお願いして渡して貰うようにしていますので、皆さん方ご一読して頂いて、どんどんこの会議所活性化に参加して頂くことをお願いしたいと思います。
司会 あ りがとうございました。なかなか悩ましい問題を正攻法でバッサリと斬られた感じもしますけれども、これはこの場で質疑するというよりも、桜井さんのほうか ら9月以降、タスクフォースをつくってとのご提言もあり、この問題は取り上げ方を一度、常任理事会等に計って進め方を考えたいと思います。皆さんもこれま でボランティアで会議所の活動をいろいろ時間的な制約など難しいなかでやって来られたと思うんですが、今回桜井さんからのご提言を受けて会議所としても、 もう一段脱皮するような方向で議論に載せたいと思います。特段なんかご質問があればお受けしたいと思いますが、いかがですか。はい、どうぞ。
桜井部会長の提案は常任理事会で検討したい
田中 ご提言ありがとうございました。ご承知のように工藤会頭時代に一昨年、組織とそれに関連して定款の大改革をやりましたが、まだ十分でないということは、そ の通りだと思います。たまたま桜井さんの新しい目で見られて、ご自分の経験なんかも含めてご提言頂きましたので、早い機会に常任理事会等で検討していく と、そういうふうにしたいと思っております。その節はご協力をよろしくお願い致します。
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コンサルタント部会(レポート)
いかにブラジル日本商工会議所をより一層活性化させるか
「提言」 04年8月5日
1.はじめに
日本とブラジルの経済関係は、この10数年、貿易分野でも投資分野でも低調に推移してきた。日本企業のブラジルに対する関心も、ブラジル企業の日本に対する 関心も低いものであった。しかし、ここにきてかなり情勢が変化しつつある。まず日本経済が低迷から脱し、昨年は、2.7%の成長を遂げ、今年はさらに高い 成長が予想されており、ブラジル経済も、昨年のマイナス成長から今年は、高成長が見込まれている。第2にBRICS議 論により、ブラジルが世界的に注目されるようになったこともあり、日本でも大きな関心を集めつつある、第3に、ブラジル側からも日本側からも両国の関係を 正しく評価しようとする新しい動きが出てきていること等の背景から、両国の関係が変化する兆しが見えており、近い将来より活発化することが予想される。一 方ブラジル日本商工会議所は、1940年に正式に設立され、今年で64年を迎える。本年度より本会議所は、「開かれた会議所、チャレンジする会議所、全員 参加の会議所」という3つのテーマのもとに変化しつつあるが、他の欧米商工会議所の理念や活動に比較すると改善すべきことが多い。またブラジルの変化や現 政権、次期政権のテーマに沿った明確な中長期のビジョンの策定や具体的な会議所の方針の策定も望まれるところである。
一度抜本的に問題点を洗い出し、新しい日伯経済関係の動きに合致した新しい商工会議所に脱皮することを提案する。下記の項目にしたがって問題提起を行なう。
2.提案
今回の問題提起を受けて、商工会議所内に「商工会議所活性化特別タスクフォース」を設置し、9月から11月まで3ヶ月をかけて、「新しい日伯関係にふさわしい会議所のあり方」を議論し提言する。提言結果を来年度事業に反映させることを提案する。
3.問題提起
「商工会議所の目的」
いずれの外国商工会議所の目的もその目的とするところは、多かれ少なかれ同様であるが、実態面において、日本商工会議所の場合、会員間の親睦に重点が置 かれがちである。今後は、少しずつ本来の会議所の目的に添って事業運営をめざすべきであろう。ちなみに当商工会議所の目的は、下記の4点であるが、定款に 定める9項目の内に親睦がある。
① 日伯貿易の促進ならびに両国に関係のある商工業の奨励および助長
② 会員の商工業活動に関する相互啓発
③ 日伯政府ならびに関係機関に対する会員の商工業活動に関する総合的意見の開陳
④ 会員の商工業活動より生ずる諸問題に関する友誼的解決の仲介
「組織」
1)事務局
① 増大する事務局業務にどのように対処するか
② 事務局の組織(図)は、時代のニーズにあっているか
③ 事務局の役割は、極めて重要であるが、それにふさわしい権限が与えられているか
④ 事務局員の給与等は適正かどうか
⑤ 事務局業務が過多になっていないか
⑥ 事務局長の権限を強化する必要はないのか
2)常任理事会
① 現状は、月例昼食会の前の1時間~1時間15分程度で、報告事項が中心。会議所のあり方等につき十分時間をかけて議論されていない。
② 常任委員会で決定すること、事務局が決定できること、各委員会・部会が決定できることが必ずしも明確ではない。
③ 月に1回常任委員会が開かれるが、今後即断が必要なことが増加することが予想される。そこで必要に応じ、持ち回り決裁、臨時会議の開催等フレキシブルに対応できるようにする。
3)委員会の機能と活動
① 現在の委員会のままでいいのか、それとも新しい時代に応じた委員会を新たに設置すべきか
② 委員会の数はどうか。委員会の業務量にバラツキはないか
③ 役割を果たしていない委員会はないのか、それぞれの分析
④ 米 英仏独の商工会議所の委員会は別紙資料のとおりであるが、4つの会議所全部にあり、日本の会議所にないコミテイは、「人材関連コミテイ」。その他今後の日 本会議所の発展を考える上で、設置の可能性を検討すべきと思われるものは次のとおり。「企業の社会的責任関連」、「ブラジルコスト関連」、「FTA関連」、「投資促進関連」、「その他ブラジルにある5つの日本商工会議所、メルコスルにある日本商工会議所との連絡関連」、「出稼ぎ企業化支援関連」等
4)部会の機能と活動
① 会員数の増減によって、部会の数、部会の業種は変化すべきであるが、現在の部会名・数は適当かどうか
② 会員数からみて、成立たない部会はないかどうか(例 建設・不動産)
③ 将来の産業の動向や会議所の新規会員獲得の面からみて、設置を検討したほうがよいと思われる分野はないのか(例 IT、個人会員、出稼ぎビジネス等)観光については、現在運輸サービス部会に所属しているが、将来的には独立させるべきであろう。
④ 部会活動は、少数の例外を除き、部会員間の懇親に重点が置かれがちであるが、商工会議所の本来の目的にそった活動を展開すべきではないか
「人」
会議所がうまく機能するかどうかは、ひとえに「人」にかかっている。会議所の理事や専任理事はすべてボランテイアであり、それぞれの多忙な業務の合間を縫って活動することになる。すべての役員は、「やる気」と「ボランテイア精神」に富んでいなければならない。
1)現在の会議所会員数は、280社、個人会員数、16名である。その中から理事として60名が立候補し、各部会から選出されるという方法になっているが、この方法で良いかどうか。理事の役割を再認識し、定款に定める任務と権限を認識すべきではないか。
2)専任(常任)理事は、理事の中から選出され、現在会頭、副会頭4名、専任理事、8名の合計、13名となっている。委員会の業務と密接に関連するが、専任理事数及び業務の分担は適切かどうか。
3)専任(常任)理事の立候補にあたっては、会議所で何を推進・実行したいのかを総会や会議所レポート等の場で発表し、任期終了時にその結果を広く知らせるというメカニズムが必要ではないのか。
4)専任(常任)理事が同一業種(同一部会)からの企業に偏っていないか。
5)部会長の選出は、立候補形式であるが、持ち回りの場合、引き受けたからには、しっかり任務を果たすという姿勢が必要。
「金」
会議所の活動をする上で、「人」と並んで重要なのは、「金」、「予算」である。
1)会員をいかに増やすか
米国商工会議所の5,560社(ブラジル企業70%、米国企業20%、外国企業10%)にはとても及ぶべくもないが、会員数を増やすことは、会議所の活性化につながるし、発言力の強化に影響する。今後会員数を増やすにはどうすればいいのであろうか?
① 未加入の日本進出企業に対し積極的に働きかけ勧誘する。
② コロニアの企業に対し積極的に勧誘する。
③ 日本に進出しているブラジル企業を勧誘する。
④ 日本とビジネスしているブラジル企業に働きかける。
⑤ 個人企業、個人会員に呼びかける。最近、個人企業の会員が増加しつつあるが、これら個人会員の今までに培われた能力、ノウハウにも着目すべき。
⑥ 出稼ぎビジネスを展開する企業に呼びかける。
⑦ 海外メンバーも勧誘する
⑧ 会員増強のための専任理事を設ける。
⑨ 会費に見合ったサービスを提供しているかを常に考える。
2)広告収入、スポンサー探し、共催活動の積極的推進
① 今後、会議所が発行する各種媒体、ホームページについては、他の外国商工会議所並に広告のスポンサー探しを行なうことが必要である。
② 会議所が行なう各種イベントについてもスポンサーを見つけ、極力コストを削減するようにする。
③ 各種イベント、セミナー・シンポジウムなどのオファーがあれば、内容を分析し、有意義と判断すれば、積極的に共催をすることによって、会議所のプログラムをより有意義なもの、楽しいものにする。
④ 他の外国商工会議所は、無料による一般サービスと有料によるサービスの2つがある、将来的には、有料サービスも検討すべきである。
3)活動予算の査定
本年度から、各委員会、各部会からの予算要求方式が導入された。これは、会議所の活性化に大いに役立つ措置である。今後とも継続し、各委員会、各部 会のやる気を引き出させるような査定を心がけるべきであろう。また年度途中で中間見直しを行い、必要に応じ再配分することも望まれる。
「会議所の運営・各種プログラム」
1)総会
① 現在では、総会と昼食会が一緒になっているような印象だが、総会は、年2回程度食事スタイルではなく、会議方式でやるべきではないのか?そして、全会員が必要に応じて発言できるようにすべきでないのか?
② 年2回の総会によって、年初に新年度のプログラム、予算の採択、前年度の活動・予算報告の承認等を議論し、もう1回の総会では、中間報告をするというのが必要である。総会では、各専任委員、部会長が活動報告を行なう。
2)月例昼食会
① 昼食会には、毎年、必ず開発商工大臣、大蔵大臣クラス、サンパウロ州知事クラス、日本からの大臣、文化人、要人等を招けるように力をつけるべきである。日本商工会議所の重要性からみて十分可能と思われる。
② そのためには、月例昼食会の日程などもフレキシブルに考える必要があろう。
3)部会長懇談会
この懇談会は、産業別の動向がわかるので非常に良い。今後とも続けるべきである。
4)年次報告書の作成
他の外国商工会議所は、総じて立派なハードカバーの年次報告書(ANNUAL REPORT)を発行している。会員名簿と一緒になっているものが多い。1年間に会議所として何をやったのかを知ることができるし、会員企業の概要も知ることができる。さらに新規会員の勧誘にも役立てることができる。日本会議所でも検討すべきである。
5)必要に応じてサブコミテイ(小委員会)の設置
会議所の会員企業は、多くの業種をカバーしているし、会員企業の人材も豊富である。したがって、各委員会及び各部会の必要に応じ、サブコミテイをフレキシブルにつくり、隠れた人材をどんどん発掘・活用する。
「各種課題」
1)会議所の国際化をめざして
国際化は、全世界の日本(人)商工会議所の永遠の課題であるが、会議所を発展させる上で、避けて通れない問題である。
① 会員数を増やそうとすれば、ブラジル企業、コロニア企業、外国企業に働きかけを行なう必要がある。
② 総会、月例会、食事会での使用言語、通訳等の問題にどう対処するのか。
③ 会議所の国際化担当専任理事設置の必要性を検討する。
2)会議所の提言能力の向上
ブラジルでビジネスする上で、ブラジルコストの問題が常に浮上する。ビザの発給、通関に伴う問題、複雑な行政手続きの問題、複雑かつ高い税制、社会負 担金、治安、インフラの整備、ルールの不透明性等々企業活動にとり極めて密接な関係のある政策措置等が採用され、会員企業の立場を擁護、主張する必要性が 出てきた場合、意見を集約し、ブラジル政府当局に提言する機会も増加することが予想される。従来、日本商工会議所は、諸外国の会議所に比して、提言活動は 少なかったように思われる。タイミングを逸した提言は、提言にならないこともあり、今後迅速かつ的確に提言できる体制を整える必要がある。この分野を担当 する専任理事の設置も検討すべきである。
現在大使館が商工会議所に提案している「メルコスルとの具体的改善策についての協議の場」も会議所にとって、提言の場を増やす良い機会ととらえることができよう。
3)企業の社会的責任活動への取り組み
日本でも企業の社会的責任やグッド・コーポレート・シチズンといったことが注目され、大企業を中心として企業活動の一環として位置付けられるように なっている。ブラジルでもこの分野での活動は、非常に積極的で、プログラムのバラエテイをみても大いに学ぶべき点が多い。サンパウロの米国商工会議所も 1982年より、ECO賞(企業-コミュニテイ賞)を設立して優秀企業を表彰しているし、ドイツ商 工会議所も力を入れだしている。ブラジルに進出している日本企業もこの問題につきより一層関心を持ち、実践に努める必要が出てこよう。会議所としても、組 織的に取り組む時期に来ている。専任理事を設けることや優秀なプログラムを実施した企業に対し、表彰する制度も検討に値する。
4)全員参加の会議所をめざして
本年度より、会議所のスローガンとして、「全員参加の会議所」というのがある。本年度は、昨年度に比較し、少しずつ会議所の活動が活発化しているが、全 員参加からは程遠い感がある。少しでも多くの会員に会議所活動に参加してもらうには下記のような点に留意すべきであろう。
① 一度、会員企業(人)にアンケートをし、参加の状況、どのようにすればもっと参加できるか、参加しやすくなるかを問い合わせる。
② 会員の意見、コメントを受け入れられるようなメカニズムをつくる。(ホームページへの投稿、会議所機関誌の発行と寄稿等)
③ 参加しやすいプログラム、有意義なプログラムをより多く実施する。(7月に開催されたEMBRAER見学は、大成功であった)各委員会、各部会で年最低1つのプログラムを実施し、会議所全員に参加を呼びかける。
5)その他今後の課題
① 長年会議所に対し、功労のあった人に贈る特別賞のようなものをつくる。
② 1年間で最も会議所活動に貢献のあった会員企業を表彰する制度をつくる。
③ 商 工会議所に入会したからと言って、必ずしも商売に結びつくことはないが、それでも会員間の商売に繋がるような機会をできるだけ多くつくり、積極的にお互い を紹介し合ったり、アポイントを取り合えるような雰囲気に持っていくべきである。これによって、新規会員を増加させることができよう。
④ 東京の日本商工会議所に働きかけ、もっと世界中に存在する日本(人)商工会議所と連携を深め、場合によっては、支援するメカニズムをつくるように働きかける。
⑤ 2008 年の「移民100周年」はコロニアが主人公であることは言うまでもないが、同じ船に乗るものとして、またコロニアの方々が築いてきた過去の業績によって大 いに恩恵を受けている会議所としても、オール日本という発想を持って、もっと協力・支援する必要性がないのか。2008年に向けて、会議所としてのプログ ラムを考えなくてもいいのか。2008年には、日伯関係は、間違いなく好転していると思われるので、何もしないと禍根を残すことになろう。
⑥ サ ンパウロは世界的にみてあらゆる意味でエキサイテイングな都市であるが、治安の問題、サンパウロには何も見るべきものはないといった先入観によって、その 魅力を理解する駐在員等の数は思ったほどには多くない。そこで会議所としても文化的な面での活動も展開することが望ましい。駐在地を理解することは、仕事 をする上でも大いに役立つ。
⑦ 現在会議所の活動の中で、夫人や家族が参加できる機会は、忘年会、大旅行を除き殆どない。駐在夫人間の「ブラジルを知る会」は、活発に行動しているが、会議所としても夫人、家族も参加できるようなプログラムを増加させることが望まれる。
⑧ サンパウロ総領事館との関係は密接であるが、ブラジリアの日本大使館とのコンタクトの強化が望まれる。年に最低3回くらいは、ブラジリアから月例昼食会等に出席していただくことが望まれる。
⑨ 新しいブラジルを紹介するためのビデオの作成
⑩ ブラジル日本商工会議所OB会の設立
それぞれの駐在時代の仲間が集まり、年に数回集まるというケースは良く見られるが、すべての時代の会員を対象としたOB会は存在しない。設立の検討が望まれる。
以上
主要外国商工会議所の委員会
「米国商工会議所の委員会」(2003年年鑑)
- ビジネス問題コミテイ
- アグロビジネスコミテイ
- 貿易コミテイ
- テクノロジーの権利コミテイ
- E-ビジネスコミテイ
- エネルギーコミテイ
- 財務コミテイ
- クライアント関係コミテイ
- 投資コミテイ
- ヤング・エグセクテイブコミテイ
- ロジステイックコミテイ
- 環境コミテイ
- サービスの質的向上コミテイ
- 人材コミテイ
- リスク・安全コミテイ
- 健康コミテイ
- 技術コミテイ
- テレコミュニケーションコミテイ
- 建設ビジネスコミテイ
- 経済コミテイ
- マーケテイングコミテイ
- ラテンアメリカ・ビジネスコミテイ
- 事務局関係コミテイ
- FTAA タスクフォース
- IT コミテイ
- Advocacy コミテイ
- 27.? ?ブラジル政治情勢分析コミテイ
- カーボン・トレード問題外国商工会議所間関係コミテイ
- 情報化政策コミテイ
- 企業問題コミテイ
- 人材開発担当デイレクター、副会頭グループ
その他FTAAの3つのサブコミテイ等10のサブコミテイがある
「ドイツ商工会議所の委員会」(2003)
- 常設委員会
ブラジル全国- 全ブラジルドイツ商工会議所審議会
- メルコスル域内ドイツ商工会議所審議会
- ブラジル・ドイツ会議
- メルコスル
- 教育・雇用
サンパウロ
- 経済
- 中小企業
- ソーシャル・コミュニケーション
- 特別委員会
- 会員
- 労働・社会
- 学校教育
- 薬品工業
- ブラジルコスト
- 犯罪防止
- 定款
- 会議所イベント
- 経験交流グループ
- 機械工業
- 人材開発
- 権利と税金
- 経済
- 情報化
- コミュニケーション
- 環境
- 食品
- コンタクト
- 支所(パラナ、ミナスジェライス)
- 事務所(サンタカタリ-ナ、バイア)
- 支部(カンピーナス)
- ジュニア・チェンバー
- ユーロ会議所
- 社会文化研究所
- 技術研究所
- その他学校、病院等13のコンタクト先
「フランス商工会議所の委員会」(2003)
- 財務委員会
- インターネット委員会
- 法務委員会
- ビジネス委員会
- 環境委員会
- 社会プロジェクト委員会
- 人材委員会
- 観光委員会
- 欧州・ユーロチエンバー関係
「英国商工会議所の委員会」(2002/2003DIRECTORY)
- 法務・税務コミテイ
- 環境・技術コミテイ
- 人材コミテイ
- CEO朝食会コミテイ
- 産業・インターネット・コミテイ
- 貿易コミテイ
- 倫理コミテイ
- 財務経済問題コミテイ
- 観光コミテイ
コンサルタント部会の活動報告
(2004年度上半期)
1) セミナーの開催
① 2月12日(木) 「ブラジルにおける見本市ビジネスの動向」
② 2月3日(水) 「メルコスール・セミナー」(貿易部会との共催)
③ 2月3日(水) 「第1回CDMセミナー」 (貿易部会との共催)
④ 3月19日(金) 「法律セミナー」(法律委員会との共催)
⑤ 4月16日(金) 「第2回CDMセミナー」 (貿易部会との共催)
⑥ 5月12日(水) 「企業の社会的責任プログラム・セミナー」
(貿易部会との共催)
⑦ 5月20日(木) 「企業の監査セミナー」
⑧ 6月22日(火) 「メルコスルとFTA」(日伯委員会、貿易部会との共催)
「今後の予定」
⑨ 8月20日(金) 「ブラジルでいかに企業PRを行うか」セミナー
講師 遠山景孝氏
⑩ 9月3日(金) 「ブラジルで損しない方法」セミナー」
講師 山下晃明氏
⑪ 10月 「ブラジルの政治事情」 講師 日本大使館政務担当
⑫ 9月から11月にかけて、サンパウロ州政府の協力を得て、IT都市間ピーナスと
州内アグロビジネスの視察を予定
2) ブラジル進出企業現地化調査(進捗状況)
7月下旬 調査項目の最終案作成
7月末 アンケート調査を会員企業に送付
8月20日 アンケート回収
9月中 アンケートまとめ
10月初め 発表
コンサルタント部会提言に対する2004年10月の常任理事会での回答
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金融部会 村田金融副部会長
村田金融副部会長マクロ経済好調だが、政治面の脆弱性見せた半年
村田 ブ ラデスコ銀行の村田です。 今日は部会長の三井住友保険の角田さん、それから副部会長の野崎さんがいらっしゃいませんので、私が代わりに発表させて頂きま す。金融部会は、銀行セクターと保険セクターを分けて発表しておりますが、それと同時にマクロ経済に関しても少しお話しをして行きたいと思います。
まず2004年の上期の回顧ということで、ルーラ政権は前政権を踏襲して、比較的順調な滑り出しを切りましたけれども2年目に入り、会頭がおっしゃったよ うにマクロの数字が非常に好調な半面、政治面等の脆弱性を少し見せた半年だったというふうに大きく括って認識しております。
貿易収支は非常に好調に始まり、1月中旬はブラジルのいわゆるリスク指標であるEMBIも+400bpを割れたというところで始まりましたが、ルーラ政権 誕生初の政治スキャンダル、あのジニス官房補佐官の収賄等もありまして、更に米国金利の引き上げの観測、アメリカのインフレの再燃懸念、国際テロ懸念、原 油高とこういう要因もありまして、5月にはEMBIは+800bp、2倍ほどまで上昇し為替は売られてR$3.2 まで落ち続けました。現段階、足元は落ち着いてきてEMBIも6月末の時点で+641bp、為替もR$3.1で終了しております。
政治面では、 ビンゴ営業禁止の暫定令の否決や最低賃金交渉とかで、上院と下院でいろいろと難航したのに見られるように、ルーラの国会運営能力の低下が確認された時期も ありました。それは昨年12月に84%であった支持率が、6月には71%まで低下したことにその現象が見て取れると思います。特筆すべきは上期150億ドルの貿易黒字
そ うはいうものの、最低賃金も最終的には可決しましたし、破産法、これは上院で承認され、いま下院に戻っているところですが、国会運営能力はそうはいっても 依然、きちんと維持しているところも見逃せないと思います。経済全般は確実によくなって、ファーストクオーターは2003年度の第4クオーター比 1.6%、前年同期比2.7%の成長と予想以上の伸びを示して来ました。小売販売も全体の数字としては順調に伸びております。さらに特筆すべきは貿易収支 でして、輸出は433億ドル、輸入は283億ドルと言うことで収支は150億ドルのプラスで半年を終えています。失業率も景気回復等により足元改善が見込 まれております。
収益を大きく伸ばした銀行業界
そ う言うことで、マクロの大きな経済面、政治面を見てきましたが、銀行業界全般を簡単にお話ししますと、ファーストクオーターの民間の上位3行平均利益が前 年同期比で22%の増加、それからバンコ・ド・ブラジルに28.5%の増加と言うことで、銀行業界は前年比の数字を見れば、非常によい数字をあげておりま す。足元ですね、ブラデスコ、イタウーも速報で6月の決算を出しておりますが、そちらのほうも大体この数字の範囲内で収益は増加しております。Selic 金利ですが、これは2003年に26.5%から16.5%へ大きく下げてきたが、2004年度の前半は引き下げが非常に限定的だと言えます。16.5%か ら 16%までしか下がっていないのは、途中でいろいろアメリカの金利引き上げだとかと言うタービュレンスもあって、大きな引き下げが出来なかったということ です。為替は先ほど申し上げましたようにR$2.8で始まって3.2までつけて、6月末3.11ということです。
貸し出しスプレッド縮小、競争激化の下期予想
Selic金利は年末15~16%/年、為替は同R$3.10~3.20予想
下期の展望ですが、引き続きアメリカの金利動向が大きく影響すると考えており、こちらの動向を注視する必要があると思います。政治面では10月に地方選 挙、市長選挙が行われますので、こちらはルーラ政権の次の大統領選、2006年の大統領選の前哨戦という意味で非常に大切なポイントだと見ております。先 ほど、前半でのべました低下傾向のルーラ政権の支持率は、足元の景気が回復している、失業率もそれに伴って回復するのではないか、それに伴い所得の改善も 来るという見込みもあって、下期はやや回復するのではないかと考えられております。
貿易収支は、おそらく前年の248億ドルの貿易黒字を大幅に上回って、270億ドルの黒字を積み上げると見ておりますが、大豆取引問題に代表されますように、中国向けの輸出の不安、ブラジル牛の口てい疫問題などいくつかの注視していくポイントもあるかと思います。
経済成長率は今年3.5%を見込んでおります。引き続き好調な輸出、内需回復というところが牽引車になると思われます。直接投資は5月までの累計で33億ドルと非常に低いんですが、6月にはルーラ大統領がニューヨークで投資家向けの会合を実施するなど努力も重ねており、下期には回復が見込まれ100億ドル、110億ドル程度の数字まで上げるのでないかと見る向きもあります。
銀行業界に関しましては、金利が低下することにより、いわゆる企業取引の貸し出しに企業や個人の貸し出しに向けなければいけない事もあり、貸し出しスプ レッドの減少、それから競争の激化が顕在化してくると思われます。個人消費者のローンを各行とも伸ばすという風に制約をしていますが、このあたりどのぐら い伸びてくるか、個人のですね、足元の回復にもよるかと思いますが、ここは一つ注目ポイントだと思います。
我々いつもですね、各銀行四行で12月末の為替と金利の予測をしております。12月の末は、3行が個別とは申しませんが3行がR$3.10での着地、1行が3.20での着地というアンケートをまとめております。
金利に関しましては1行が15%、もう1行が15.5%、16%ちょうどが2行ということで、まあ、15から16%が金利のゾーンだと各行は見ています。保険料は上期に全体で拡大
下期は収益環境が厳しくなる見通し
そ れでは、足早に来ましたけれども、保険のほうを簡単にご説明したいと思います。保険業界のほうは収入保険料が、これはVGBL(運用型年金保険)を除いた 数字ですが、全体で10.4%の増加と市場は拡大傾向です。中身を見ますと、自動車保険が12.2%、それから人保険、これは生命保険プラス傷害保険とい うのが13.3%と増加しております。自動車保険におきましては全体の保険料の44%、人保険は26%を占め、この部分が大きく牽引しております。地域別 にもサンパウロが50.7%、リオが 11.6%、ミナス・ジェライス州が6.9%とこのいわゆる市場マーケットの規模も、地域別の規模も前年比そこそこ変わらずに来ており、従って地域によっ て大きく増えたということはなく、均一的に全国的に市場を拡大していると見ております。
収益性の大項目である損害率、こちらは60.9%と2.2%の改善をしております。一方、中身を見ますと、自動車保険では1.8%の悪化。強盗や盗難事故 件数が改善しないことに、プラス価格競争が激化していると言うことで損害率が悪化しております。それから保険業界でも大切な運用益は0.6%の減少と、こ れは市場金利が下がって来たということで影響を受けております。
下期の展望は、引 き続き市場は拡大の傾向にあります。ただ、市場金利が低下してくることが大体読めておりますので、価格競争が一服しまして、今後、保険料水準が見直しにな る動きも出て来るのではないかと見ております。強盗や盗難、保険金詐欺については抜本的な対策が見当たらないと言うことや、足元の経費はインフレに応じて 増加して行く部分もあり、保険業界の収益環境は下期に向かいましては、非常に厳しいものになって行くと見ております。以上でございます。
司会 ありがとうございました。非常に広い範囲を駆け足でご説明頂きましたが、皆さん一番ご興味があるお金の話ですんで、ご質問がありましたらどうぞ。例年、ここの村田さんの所は神様しか分からない領域についてもよく質問が出るところですが(笑い)。はい、どうぞ。
田中 いま言われた金利が15から16%というのは年末?
村田 はい、あの年末のSelic*予測金利です。
金岡 (ブラジル伊藤忠) い ま一番ホットな話題であります、中銀の総裁、それからバンコ・ド・ブラジルの総裁が海外に不正な口座を持っていると報じられ、ルーラ大統領は一生懸命それ を抑えようしているようですが、これからどういう風に展開しそうですか? なかなか予測は難しいと思うのですが、コメント頂ければ幸甚です。
中銀総裁の脱税暴露記事を注視
インフレは先行き上方修正可能
村田 こ れはマーケットが求めたのか、ガバメントが求めたのか、メディアがあれしたのか、一寸ことの発端は分かりませんが、そこに対する対応がですね、中銀として もきちんとして行かないとマーケットがまた不安になると思います。 中銀自体は金融監督庁として単独で、きちんと、まあ、オートノミィを与えるというのが パロッチの当初の意見でしたから、その中でどう解決して行くかっていうのを非常に、逆に我々もよく見ていきたいと思います。
残念ながら月曜日に 行われた中銀総裁とのランチでは、一方的に中銀総裁が話しまくって、そのまま帰ってしまいましたので、「どうなるの?」という質問をするひまがありません でですね、銀行を中心とした昼食会もあったんですが、そこでも聞けずじまいでして、非常にまとまらない答えですが、あの、よくこの問題は皆さん見ておかれ た方がいい、というのが結論なのかなと思います。司会 ありがとうございました。それ以上でもそれ以下でもないって言うなかなか難しい質問だったと思います。はい、どうぞ。
大前(ブラジル三井物産) た だ今、経済指標は概ね良好だとのご説明がありましたが、その中で、インフレ率については政府の当初の予想より高いものになりそうだということ、また、経済 成長率についても、むしろご指摘の3.5%よりもかなり上方修正されるのではとの意見が多いと理解しております。その辺についてどうお考えになりますか?
村田 こ れを取りまとめている時期からすると、その後刻々と状況が変わり確かに足元の経済は非常に良くなっております。6月末時点で締めて、7月中旬に我々会合し た時点ではこの数字で読んでいましたが、若干、経済成長は、このままのペースで行けば消費も非常に伸びるという予想がありますので、上方修正される可能性 が高いと思います。
インフレも予定より一寸上がるというような動きもあると思いますが、いま足元の予測とか持って来ていないのでお答えできません。 すいません。*Selic=経済基本金利
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金融部会(レポート)
「2004年度上期の回顧と2004年度下期の展望」(案)
1.2004年度上期の回顧
銀行業界
前政権の政策を踏襲して国際信用を回復し、順調なスタートを切ったルーラ政権であったが、政権2年目となる2004年の上期は、マクロ経済の確実な良化を確認しつつも、改めてその脆弱性を認識する半年となった。
昨年の好調な貿易収支等の発表に伴い、1月中旬には対外的なブラジルリスクの指標となるEMBI+は400bp割れとなり、C-bondも100セント以上の値をつけた。こうした好環境のもと、連邦政府の他、CVRDが民間企業としては初となる30年物の債券の発行にも成功した。
然しながら、このような安定した状況は長くは続かず、カーニバル前に発覚したルーラ政権初の政治スキャンダル(ジ ニス官房補佐官の収賄)に加え、米国金利の早期引き上げ観測、インフレの再燃懸念により、カントリーリスクの悪化に拍車をかけることとなった。更に、中国 の投資抑制政策、中東情勢や国際テロ懸念、原油価格の高騰によって、1月には400bp割れまで改善していたEMBI+が5月には2倍の水準となる 800bpまで悪化し、為替も3.2レアルまで後退した。
その後、予想以上に好調な結果となった第1四半期の国内総生産、新記録となった5月の貿易収支、最低賃金が与党案で決着したこと等を好感し、市場は落ち着きを取り戻し、EMBI+641p、3.11レアルで上期を終えている。
政治面では、年金/税制改革といった重要な政治課題があった昨年と比べ、今年はルーラ政権の政治手腕が試される機会は少ないと考えられていた。
然しながら、ビンゴ営業禁止暫定礼の否決、最低賃金交渉の難航に見られるように、ルーラ政権の国会運営能力の低下が確認されることとなった。この背景には、昨年から続く景気不振、雇用の不足等に対するPT党内外の不満が蓄積されてきたことが大きな要因となった。また、政治スキャンダルによってクリーンなイメージが傷つけられたこともあり、ルーラ政権の支持率は昨年12月の84%から6月には71%まで低下することとなった。
但し、結局最低賃金が紆余曲折の末とはいえ与党案で決着したことや破産法案が可決したことからも、ルーラ政権の国会運営能力は陰りがあるとは言え依然として維持されていると考えられる。
経済全般は昨年に引き続き確実に良化していることを確認することとなった。第1四半期の国内総生産は昨年の第4四半期比1.6%、昨年第1四半期比2.7%の成長と、予想以上の伸びを示し、その後も鉱工業生産、自動車の生産/販売等の景気回復のニュースが相次いでいる。また、小売販売も6ヶ月連続で拡大している。
特筆すべき事項は貿易収支であろう。ルーラ政権が経済成長の重要な施策として輸出拡大を位置付けていることは明確である。上期にはメルコスルとEUとの自由貿易協定、FTAA交渉の他にも、中国・インド・アラブ諸国に大々的なミッションを引き連れて訪問し、輸出の拡大を推進しようと画策しており、今後の更なる輸出拡大が期待される。
上期の貿易収支は、輸入が内需の回復もあり昨年同期比23%の上昇となる283億ドルとなったものの、膨大な中国の需要やアルゼンチンの需要回復に加え、米国の狂牛病問題やアジアの鳥インフルエンザ問題にも後押しされ輸出が過去最高の433億ドルを記録したことから、貿易収支も150億ドルの記録的な黒字を計上している。
懸念される事項としては、高い失業率、実質所得の減少が挙げられるが、景気の回復に伴い改善が見込まれている。
銀行業界では、年当初には低迷する需要により貸出が伸び悩んだことに加え、特にトレードファイナンス向けの潤沢な調達資金があり、金利収入の低下を余儀なくされた。然しながら、手数料収入と支出の削減により、第1四半期は好決算が相次いだ。民間3大銀行は第1四半期に平均22%の純利益の増加を記録し、Banco do Brasilも28.5%の増加を記録した。
また、各行とも業容と規模の拡張を計画しており、中小スーパー、商店、小売業者との提携により、リテール業務の拡大を視野に入れている。
2003 年度に26.5%から16.5%まで引き下げられていたSELIC金利であるが、上期の引き下げは限定的なものとなった。インフレ再燃の懸念から、 SELIC金利は1月、2月は据え置かれ、3月に0.25%の引き下げに転じたものの、4月の0.25%引き下げの後は、レアル安/原油価格の高騰等に伴 うインフレ上昇の懸念が根強く、5月、 6月は再び据え置かれることとなった。この結果、年初比0.5%の引き下げとなる16%で上期を終えることとなった。
為替相場に関しては、年初2.8レアル台でスタートしたものの、冒頭に述べたように、カントリーリスクの悪化に伴い一時3.2レアルまで下落し、その後のカントリーリスクの改善や好調な貿易収支に支えられ若干押し戻したものの、3.11レアルで6月末を迎えることとなった。
2.2004年度下期の展望
2004年度下期は、6月に0.25%引き上げられた米国金利の動向を注視しつつ、原油や食料、卸売物価等に見られるインフレ上昇の懸念を押さえ込み、どこまで好調な景気を維持/促進し、失業率/所得の改善を図れるかが注目される。
政治面では2006年の大統領選の前哨戦とも言われている10月の市長選挙が最大の関心事であり、選挙直前の各党、各候補者の動向に注目いたしたい。また、低下傾向にあるルーラ政権の支持率に関しては、景気回復に伴う失業率/所得の改善等によって、下期には相応の回復が見込まれる。
貿易収支は、内需回復による輸入の増加が見込まれているものの、過去最高の貿易黒字となった昨年の248億ドルを超える270億ドル程度の黒字が見込まれている。但し、大豆引取り問題に代表される中国向輸出の不安や、ブラジル産牛肉の口諦疫問題等、動向を注視する必要があろう。
また、経済成長率は、引き続き好調な輸出、内需回復により牽引され、3.5%程度の成長を見込んでいる。
直接投資は、5月までの累計で前年同期並みの33億ドルとなっているが、6月にはルーラ大統領がNYで外国投資家向けの会合を実施する等、地道な努力を重ねていることもあり、下期には回復が見込まれ、市場関係者は昨年比若干の増加となる105-110億ドル程度と見込んでいる。
銀行業界は、経済全体の回復と相俟って業界全体では引き続き成長と競争激化が見込まれる。
手数料収入が好調とは言え、貸出スプレッドが低下し、競争が激化する中、貸出ボリュームの積み上げは極めて重要な位置付けとなっている。所得の回復等に伴う個人・消費者ローンの伸びは期待されるが、最低でも15%の増加を計画していた各行の年初の目標が達成できるかに注目いたしたい。
レアルの対ドル為替相場動向は、国内景気の改善状況、好調な貿易収支の持続、外貨資金繰り、米国金利動向等によって左右されるであろうが、市場関係者は年末も6月末と同水準となる3.10レアル程度を見込んでいる。
SELIC金利は、景気回復を持続するためにも、引き続き引き下げが見込まれるものの、インフレ上昇の懸念が根強いことから、その引き下げ幅は限定的と予想され、年末時点で15%程度となる見通しである。
以上
各銀行の今年末為替レート及び金利予測
銀行
為替US$/R$
Selic金利%
A行
R$3.10
15.5
B行
3.20
16.0
C行
3.10
16.0
D行
3.10
15.0
2004年8月
保険業界
1.2004年上半期の回顧
Susep(保険監督庁)が発表した2004年5月末現在の公式データに基づき、2004年上半期のブラジルの保険業界の動向は次のとおり。
(1)収入保険料
2004年上半期(1月~5月)の全種目の収入保険料(但し、健康保険及び運用型年金保険(VGBL)は除く)は107,6億レアル(約3.841億円)であり、対前年同期比で10,4%の増加となった。ブラジルにおける保険市場の拡大傾向は継続している。
保険種目別では、自動車保険12,2% 増、火災新種保険5,8%増、運送保険4,8%増、人保険(生命保険+傷害保険)13,3%増という結果であった。ブラジルの保険市場における主要種目 (自動車保険は全収入保険料の44%、人保険は26%を占める)の2桁以上の増率により、保険市場全体の拡大に繋がっている。
また、地域別にはサンパウロ州が50,7%、リオデジャネイロ州が11,6%、ミナスジェライス州が6,9%、リオグランジドスル州が6,3%、パラナ州が5,7%と前年とほぼ同じ割合となっており、ブラジル全土で均一的に保険市場が拡大していることを示している。
(2)収益性(損害率、運用益等)
保険会社の収益を大きく左右する指標である損害率(支払保険金/ 収入保険料)は全種目通算で60,9%と、対前年同期比で2,2%改善した。保険種目別の損害率を対前年同期と比較すると、自動車保険は1,8% (72,4%→74,2%)悪化し、火災新種保険は10,8%(56,7%→45,9%)、運送保険は5,9%(52,5%→46,6%)、人保険は 3,8%(53,7%→49,9%)それぞれ改善した。
最大種目である自動車保険の損害率の悪化が継続していることは(2002 年末:71,0%、2003年末72,7%)保険会社にとっては非常に大きな懸念材料である。その原因としては、支払い保険金に対して大きな割合を占めて いる強盗・盗難事故件数が一向に改善しないことや保険会社間の価格競争がより一層、激しくなっていることが考えられる。
また、市場金利の低下に伴い、2004年上半期(1月~5月)の保険会社全社合計運用益は18,3億レアル(約653億円)であり、対前年同期比で0,6%の減少となった。
(3)トピックス
2003 年に自動車保険をめぐる、詐欺行為(車両保険の全損処理をめぐるもの)が世間の注目を集め、多くの保険会社が車両保険の引受方法を事前に契約者と支払い保 険金額を取り決める方式から事故時点での市場価格を支払う方式に変更をした。しかしながら、契約者への説明が不足し、消費者保護の観点から新たな問題と なっており、現在も、引き受け方法については混乱している。
また、Susepの保険会社への管理監督が強化されており、特に内部監査体制の整備と実行やマネーロンダリングを防ぐための通達が出されている。
2.2004年下半期の展望
(1)収入保険料
ブラジルの経済状況の安定した発展が見込まれるため、下半期も引き続き保険市場の拡大傾向は継続するものと思われる。
一方、市場金利の更なる低下や損害率の悪化により、価格競争も一服し、保険料水準の見直しの機運が高まることもあり得る。
(2)収益性(損害率、運用益等)
保 険事業自体の収益に多大な影響がある自動車保険の損害率の悪化に歯止めを掛けるためには、収入保険料を増やすか、支払い保険金を減らす以外に方法は無い が、車両の強奪・盗難、また保険金目的の詐欺を減少させる抜本的な対策が見当たらず、ブラジルの治安状況も好転することが見込まれないことから支払い保険 金を減らすことは難しく、他方、インフレによる経費増があるにもかかわらず、大手保険会社による激しいシェア獲得競争が続いており保険料水準の大幅な引き 上げも難しい。そのために保険事業自体の収益性を向上するためには引受リスクの厳格な選別が重要となってくる。
さらに、市場金利の更なる切り下げがある可能性もあり、資産運用環境が好転することはあまり期待できず、運用収益は昨年同期比で減少する可能性が高いため、保険会社の収益は前年以上に厳しくなることが予想される。
(3)トピックス
昨年以降、Susepによる保険会社に対する管理監督が厳しくなってきているが、この傾向はさらに強まり、契約者保護のために、契約内容(保険料の支払い期限等)を正確に契約者へ伝えることや、保険会社内部監査体制を整備することが通達で求められている。
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貿易部会 中村貿易部会長
中村貿易部会長通年で260億ドルの貿易黒字予想
中村 それでは、貿易部会よりブラジルの貿易概況に関しまして「上期の回顧、通年の見通し」を中心にして報告いたします。資料等につきましては、ジェトロサンパウロ事務所のご協力を戴きました。後日、商工会議所のホームページに掲載されますのでご参照下さい。
先ず、貿易収支全般についてですが、本年上期の貿易収支は150億4900万ドルの黒字となりました。 上半期としては史上最高を記録しまして、引き続き記録を更新中です。要因は輸出の増加、アルゼンチン経済の回復に加えて、依然として旺盛な外需によるものです。通年では下期も好調な輸出が持続する見通しで、同時にブラジル国内の景気の回復で輸入増も見込まれることから、ブラジル中央銀行は昨年の248億ドルの貿 易黒字を上回る260億ドルの黒字を予想しております。 上半期の輸出は輸出額の記録を更新中で、カテゴリー別に見ますと、一次産品、半製品、完成品全て の項目で大幅な増加を記録しています。金額ベースでは一次産品の増加が42% と最も大きく、数量的には9.8%の伸びになっており、一次産品の価格の上昇による影響が大きいものと思われます。数量ベースでは完成品の増加率が最も大 きく26.9%でした。一次産品で主として増加したのは大豆関連の輸出です。大豆は数量ベースで3.3%の増加ですが、金額ベースでは 39.7%と大幅に伸びております。また、大豆粕は金額ベースで62%の増加となっています。 仕向先としてはオランダ、ドイツなど欧州向けが増加してい ます、畜産物ではアジアでの鳥インフルエンザや狂牛病の影響で、チキンが金額ベースで58.3%の増加、牛肉が金額ベースで82.1%と大幅な増加となっ ております。
完成品の最大輸出は航空機、乗用車がこれにつぐ
半製品で最も大きな割合を占めたのはスラブなどの鉄鋼半製品ですが、金額ベースでは18.2%となっているものの、数量ベースでは8.4%の減少となっています。主要輸出相手国別では米国向けが62.1%増加した他、タイ向けが倍以上の増加を記録しています。
完成品では最大の輸出品目は航空機で前年同期比67.8%の増加となっております。仕向国はメキシコ、スウェーデン、ポーランドなど前年に実績のなかった 仕向先が記録されております。完成品の輸出の第二位は乗用車で、金額ベースで28.8%増、台数ベースで20%の増加となっております。主要輸出先として は前年に続いてメキシコ、アルゼンチン、米国と続きます。米国向けは62.3%と減少しましたが、アルゼンチン向けが225.3%と急速に回復しておりま す。乗用車全般の輸出は、ラテンアメリカ各国向けが顕著となっているのが実情です。
輸出全般に関して仕向国別に見ますと、多い順にアメリカ、アルゼンチン、中国となっていますが、特に昨年 79.3%の伸び率を記録した中国は本年34.3%の増加となっており、減速傾向に入ったと言えるのではないかと思います。一方、特徴的なのは欧州向けの 輸出が増加したことで、特に大豆関連品目や鉄鉱石などの一次産品が牽引しています。ユーロ高の影響もあると考えられます。また、前年に引き続きアフリカ、 中東向けなど非伝統的な相手国への輸出の増加も加速しており、それぞれ63%増加、52%増加となっております、因みに昨年はそれぞれ20%程度の増加で した。
経済回復に連れて輸入増大
次に輸入についてですが、2004年第1四半期のGDPの成長率は前年同期比2.7%の増加で今年に入っても着実に回復傾向にあると言えます。そのため、 上半期の輸入額も25%の増加となりました。品目別に見ますと、資本財では事務用機械、工業用資本財部品が増加しております。企業による生産拡大、設備投 資の回復傾向を表していると思われます、特に集積回路の輸入増が著しくなって、主要輸出相手国の米国、韓国からの輸入が大幅に増加しております。また、台 湾、中国、日本、シンガポールからの輸入も大きく増えております。これは携帯電話をはじめとする電気電子製品の生産拡大によるものと思われます。消費財で は装飾品、家庭用機器、耐久消費材用部品などが増加しており、国内消費の回復が伺われます。輸入相手国別に見ますと、とりわけ中国とナイジェリアからの輸 入増が顕著です。特に中国からは送受信機の部品、集積回路、液晶ディスプレイなど電気電子関連部材が大きく増加しました。
対日貿易は伸びたが、伸び率は低い
次に、対日貿易についてですが、2004年上半期の対日貿易は輸出、輸入共に伸ばしました。然しながら、ブラジル貿易全体の伸び率に比較しますと、依然として低い伸び率に留まっております。
日本のシェアを貿易額ベースに見ますと、輸出で前期比0.33ポイントの減少、輸入で0.36ポイントの減少となっております。輸出品目では今年初めにア ジアを中心に発生した鳥インフルエンザの影響でチキンが金額ベース、数量ベースでそれぞれ189%、79.8%と大幅に増加しました。主要品目の鉄鉱石で は金額ベースで6%の増加とはなっていますが、数量ベースでは14.3%の減少です。日本の製鉄産業向けと思われますが、ニッケルカソードの輸出は 203.7%と大幅に増加しています。中国景気の影響で日本の製鉄産業は活況を呈 しており、ニッケル、コバルトなど希少金属のニーズが高まっていると思われます。また、エチルアルコールの輸出額も187.6%と増加しています。日本で は昨年8月にガソリンへのアルコールの混入率の上限が3%に定められたこともあり、ブラジル側では燃料用アルコールの対日輸出への期待が高まっておりま す。
最後に2004年通年の貿易見通しですが、下半期につきましても輸出・輸入ともに順 調に増加するものと思われます。中央銀行では、貿易収支の黒字として冒頭に申しました通り、260億ドルの黒字を予想しております。これは外的な要因のみ ならず、ここ数年続いた国内経済の停滞でブラジル企業の輸出シフトが定着したことによって引き続き、好調な輸出が続くであろうとの見方からです。また、こ れから注視すべき点はアルゼンチンとの貿易摩擦の深刻化、中国による大豆、鉄鋼関連製品の買い控え並びに市況の混乱、イラク問題の悪化、原油の高騰などが あると思われます。また、増加している輸出に伴い、コンテナ不足、海上運賃の高騰、輸送インフラの整備などロジスティック面での問題がブラジル側で顕在化 しているのが実情だと思われます。
部会活動では積極的にセミナーを開催した
最後に貿易部会は上半期の活動といたしまして、コンサルタント部会、貿易部会の共催で1月にNEXI(日本貿易保険)ニューヨークの長谷川所長をお招きし て、貿易保険についてのセミナーを行いました。3月にはジェトロの竹下氏をお招きしてメルコスールについてのセミナー並びにCDMのセミナーを開催いたし ました。4月にはこれは協力ですが、JBICの肥沼氏とブラジルDNAの局長ミゲルさんをお招きして、CDMについてのセミナーを開催いたしました。5月 には、コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティー(CSR)につきましてETHOSのアゴスティーニョ専務理事、並びにジェトロの桜井所長の協力を 得ましてセミナーを行いました。6月にはジェトロ・ブエノスアイレスの稲葉所長をお招きして、メルコスールの FTAの交渉状況全般についてのセミナーを行いました。
下半期につきましても、会員の皆様のご興味があって、且つ共通のトピックスと思われるものについて、引き続きいろいろなセミナーを積極的に開催して行きたいと思いますので、是非ともご参加をお願いいたします。
司会 ありがとうございました。それでは会場の皆様でご質問がある方は挙手でお願いいたします。
佐原 か なり輸出ドライブがかかっているという認識ですね。その中でとくに7 月に、サンパウロ州の中部にあるアルコールを製造しているところで、年に一度シエンペックというシンポジウムがあり、7月の12日から1週間、その会に商 工開発大臣のフルランさん、農務大臣のロドリゲスさん、BNDESのカルロス・レッサー総裁も来られて、かなりブラジル側は、次にブラジルが売るのはアル コールだと、えらい力が入っているわけですね。
そういう意味で日本のほうでアルコールが 3%許容されると、とくにブラジルのほうで、自動車のフレックス・フィエルですか、そういうのも最近よく自動車として売れている。さらにその100%アル コールの車も市内では結構、経済性よくノーメンテナンスで最近は走っておる、ということになりますと、次に輸出するのはアルコールだというブラジル側の意 見を、これどういう具合に我々としたら取り上げて、協力するのか。なんか日本側で3%、許容認可されたことについてかなりブラジル側はバッテリー上がって いるんですよね。輸出しようと。だけど、なかなか具体化しない。そしたら大体どういうスケジュールで、どういう問題を解消してそういうプログラムが成り立 つのかと、いうあたりをザクッと貿易部会で誰かご存じの方からご説明願えたら有難いんですが。
司会 これはハッキリ言って、大前さんに振りますけど一言コメントお願いいたします。
日本側とブラジル側に未だ大きな見解の差がある-燃料アルコール混入
大前(ブラジル三井物産) ブラ ジル側に気合入っていると言っても、実態的には、日本側とのギャップがどんどん広がっているのが実情です。ご承知のように、日本では去年8月、いわゆる 「品確法」の改定により、ガソリンの強制規格に3%までアルコールを混入してもよいとの規定が追加されましたが、これはマンダトリーではなく、もし混入し たければ3%までは認めるというものです。その意味で、この法律に強制力は無いものの、将来一律アルコールを3%混入する、いわゆるE3の導入が実現する とすれば、それを可能ならしめる法的規制の緩和という具合には評価できると思います。問題は、これをブラジル側が非常に過大評価しておりまして、それがあ たかもマンダトリーのごとく理解している人が非常に多い。実体はそうではないんですが・・・。
E3の導入により日本側で最も直接的被害を受けるのは、石油業界だと言われています。装置産業である石油業界はこれまで相当のリストラを強いられてきてお り、ここでまたアルコールの混入が義務付けられると、それに見合いの分だけガソリンの生産量を減らさなければならない。それも一つの大きな理由で燃料アル コールの導入には非常に慎重であり、その意向を受けてという言い方はおかしいかも知れませんが、政府側では経済産業省がある意味で非常に慎重であるという のが現状です。一方、京都プロトコール、これはロシアが批准すれば発効しますが、発効すると日本は2008年から 2012年までの5年間で1990年基準の6%削減義務を負うことになります。しかも、1990年以降現在までにまだ温暖化ガスの排出量が増えている訳 で、実質的には1990年基準で10数%削減しなければならぬという、非常に重い義務を負うことになります。これに対し色々な再生可能エネルギーの選択肢 が検討されていますが、その中で恐らく時間的にも、また、経済的にも最もプラクティカルと判断されるのが燃料用エタノールの導入であろうと言われていま す。この点、日本政府内では環境省が最も積極的に対応しておられるように聞いております。
このような状況下で、ブラジル側では一体いつからそれを導入するんだという質問が非常に多いわけですが、現状、日本側では、スケジュールを含めて未だ何も 具体的なものは決まってないというのが実情です。但し、品確法の改定により、地域によってはいくつかの自治体でアルコールを3%混入したガソリンを使って 小規模な実験をやって見ようという動きが起こりつつあるのは事実です。
それから、 環境省が一つの目標として掲げているのが、地域実験から始めて徐々にE3、即ち、アルコール3%混入ガソリンの導入対象地域を増やしていき、最終的には 2012年までに全国一律E3を導入することですが、これはまだ相当先の話なので、そういう観点から、冒頭で申し上げたように、ブラジル側と日本側の ギャップが非常に大きく、従って、ブラジル側の期待が高まれば高まるほど、日本側の進展が遅いことに対するブラジル側の苛立ちにつながるという展開となっ ているのが、ある意味で大きな問題と認識されます。
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貿易部会(レポート)
ブラジル貿易概況-2004年上半期実績と通年の見通し
1.貿易収支、黒字記録を更新中:
開発商工省の統計によれば、2004年1月‐6月における貿易収支は150億4,900万ドルの黒字となり、同期間における過去最高記録を更新しました。黒字増加の要因は大幅な輸出増加によります。輸出額は前年同期比31.2%増の433億600万ドル、輸入額は同25.0%増の282億5,700万ドルとなっています。輸出増加の要因は順調なアルゼンチン経済の回復に加えて、依然として旺盛な外需によるものです。2004年下半期も好調な輸出は持続する見通しですが、同時に国内経済の回復で輸入増が見込まれると思われます。ブラジル中央銀行では6月時点で2004年の貿易収支黒字額を、前年実績(248億ドル)を上回る260億ドル、フルラン開発商工相は280億ドルと予想しています。
2.依然として伸び続ける輸出:
2004年上半期輸出は、前年の増加ペースを引き継ぐ形で輸出額記録を更新中です。製品カテゴリー別にみると一次産品、半製品、完成品全ての項目で大幅な増加を記録しています。なかでも輸出額の3割強を占める一次産品の増加率が金額ベースでは42.0%と最も大きくなっていますが、数量ベースで見ると9.8%増に留まっています。即ち、一次産品については価格の上昇による影響が大きいものと見られます。数量ベースで伸び率を見ると、完成品の増加率が最も高く26.9%増となっています。
一次産品の輸出額は136億6,300万ドルで、主に増加に貢献したのは大豆関連輸出です。大豆は数量ベースで3.3%増と低い伸び率になっているものの、金額ベースでは39.7%と大幅に増加しています。仕向け先別に見ると、金額ベースでオランダ、ドイツ、スペイン、イタリアなど欧州各国向けの伸びが20%~55%程度と著しくなっています。一方、最大の大豆輸出相手国の地位にある中国向けは38.8%となっています。大豆かすは金額ベースで62.0%増、数量ベースで19.3%増でした。大豆かすも同様に欧州向けが増加しています。
また、畜産物ではアジアにおける鳥インフルエンザや狂牛病の影響で、鶏肉が金額ベースで58.3%増、数量ベースで21.7%、牛肉が金額ベースで82.1%増、数量ベースで35.7%増と大幅に増加しました。
半製品の輸出額は前年同期比19.8%増の59億5,000万ドルで、最も大きな割合を占めたのは鉄鋼半製品(15.5%)です。同品目では金額ベースで18.2%増となっていますが、数量ベースでは8.4%の減少となっています。主要輸出相手国別に見ると、金額ベースで米国向けが62.1%増加した他、タイ向けが倍以上の増加を記録しています。なお、前年に輸出が好調であったパルプは、数量ベースで9.3%増、金額ベースで0.9%減となり、輸出価格の低下が見られます。
完成品の輸出額は前年同期比29.9%増の230億2,300万ドルで、輸出額全体の53.2%を占めています。完成品の中で最大の輸出品目は航空機です。航空機輸出額は前年同期比67.8%増の15億5,200万ドルで、メキシコ、スウェーデン、ポーランドなど前年同期に実績のなかった仕向け先への輸出が記録されています。完成品の輸出品目第2位の乗用車は金額ベースで28.8%増(14億5,300万ドル)、台数で20.0%増(23万3000台)でした。乗用車の主要輸出先は前年に続きメキシコが1位で、以下アルゼンチン、米国と続きます。米国向けは62.3%と減少しましたが、アルゼンチン向けの輸出が225.3%増と急回復しています。乗用車輸出では全般的にラテンアメリカ各国向けの増加が顕著となっています。
輸出相手国別にみると、輸出額の大きい順に米国、アルゼンチン、中国となっています。米国向けが7%と低い伸び率となる一方、アルゼンチン向けが乗用車、送受信機など工業製品を中心に大幅な増加を示しています(78.0%増)。中国向けは34.3%増ですが、前年の中国向け輸出額の伸び率79.3%を考慮すると増加ペースは減速傾向に入ったと言えます。一方で特徴的なのは欧州向けの輸出増で、大豆関連品目や鉄鉱石をはじめとする一次産品が牽引しました。また、ユーロ高の影響もあると考えられます。
前年に引き続き、非伝統的な相手国への輸出増も加速しています。アフリカ向けが63.0%増、中東向けは52.2%増と軒並み増加しています。因みに両地域向けはそれぞれ前年はおよそ20%の増加率でした。
3.順調に増加する輸入:
2004年第1四半期のGDP成長率は、前年同期比2.7%増、前期比で1.6%増でした。
前年はマイナス成長を記録しましたが、今年に入って着実な経済回復傾向を示しています。その為、上半期の輸入額も増加し、前年同期比25.0%増の282億5,700万ドルとなりました。財別に見ると、輸入額の53.6%を占める原材料・中間財の輸入増が著しく、前年同期比26.7%増の151億4,600万ドルとなっています。資本財は14.0%増の55億3,700万ドル、消費財は21.1%増の31億6,700万ドルとなっています。燃料・潤滑油は38.5%増の44億800万ドルでしたが、数量増に加えて国際的な原油価格の上昇による影響もあると思われます。
品 目別に見ると、資本財では事務用機械・装置、工業用資本財部品などが増加しました。資本財輸入増は企業による生産拡大、設備投資の回復傾向を現していま す。増加率が大きかった原材料・中間財では、医薬・化学品、中間製品、鉱物製品などの主要品目で増加しています。また、集積回路の輸入増が著しくなってい ます。同品目では主要輸入相手国の米国、韓国からの輸入額がそれぞれ58.3%、51.4%の増加を記録し、それ以外にも台湾、中国、日本、シンガポールからの輸入額が大きく増加しています。これは携帯電話をはじめとする電気電子製品の生産拡大によるものと思われます。消費財では、耐久消費財の増加が著しくなっています。乗用車の輸入は3.9%減少したものの、装飾品等、家庭用機械・装置、耐久消費財用部分品などで増加しており、国内消費の回復が伺われます。
輸入相手国別にみると、主要相手国の多くで輸入が増加しています。とりわけ輸入増加が顕著なのは中国とナイジェリアです。中国からは送受信機部品や集積回路、液晶ディスプレイなど電気電子部材が大きく増加し、また、ナイジェリアからは原油の輸入が大幅に増加しました。
4.貿易額は増加するも全体に占めるシェアは低下:
2004年上半期における対日貿易は輸出が前年同期比17.4%増の12億2,000万ドル、輸入が同15.6%増の12億8,500万ドルとなり、輸出入ともに増加しました。然しながら、ブラジルの貿易額全体の伸び率に比較すると依然として低い伸び率に留まっています。日本のシェアを貿易額ベースで見ると、輸出で前年同期比0.33ポイント減の2.82%、輸入で同0.36ポイント減の4.55%となっています。輸出では今年初めにアジアを中心に発生した鳥インフルエンザの影響で、鶏肉が金額ベースで前年同期比189.3%増の2億3500万ドル、数量ベースで79.8%増の14万8000トンと大幅に増加しました。尚、主要輸出品目の鉄鉱石は金額ベースで6.0%増でしたが、数量ベースでは14.3%減少しています。 ニッケルカソードの輸出額も前年同期比203.7%と大幅に増加していますが、日本の製鉄産業向けの原材料としての輸出と見られます。中国需要の影響もあり、日本の製鉄産業は活況を呈しており、ニッケル・コバルトなどの希少金属のニーズが高まっています。また、エチルアルコールの輸出額も187.6%増加しています。日本で2003年8月にガソリンへのアルコール混入上限が3%に定められたことを受けて、ブラジル側では対日輸出への期待が高まっています。
一方、輸入では自動車部品、ベアリング・歯車及び同部品、集積回路と主要な品目で増加しています。
5.2004年貿易の見通し:
2004年下半期についても輸出入は順調に増加するものと見られます。中央銀行では6月時点で2004年の輸出額は前年比14.5%増の830億ドル、輸入額は同18.0%増の570億ドル、貿易収支額を同4.8%増の260億ドルと予想しています。又、フルラン開発商工相は輸出額を880億ドル、輸入額を600億ドル、貿易収支額を280億ドルと予想しています(7月1日時点)。好調な輸出が持続する一因として、外的な要因だけではなく、ここ数年続いた国内経済の停滞で企業の輸出シフトが定着したとの見方もあります。ブラジル貿易協会(AEB)のジョゼ・アウグスト・カストロ氏は、「大部分の企業が今までに獲得した海外の顧客を失わない為に輸出を続けるであろう」との意見です(2004年7月20日付けValor紙)。
輸入については国内消費が上向き、好調な輸出が持続すると見られていることから、引き続き原材料・中間財を中心に増加が予想されます。尚、2004年の国内経済成長率は今年はじめの予想通り3.5%~4.0%が見込まれています。
為替については、中央銀行が市中銀行の予測をまとめた資料(7月27日時点)では年末値が1ドル=3.10レアルとなっており、安定が見込まれています。
なお、今後のリスク要因はアルゼンチンとの貿易摩擦問題の深刻化、中国による大豆、鉄鋼関連製品の買い控えや市況混乱、イラク問題の悪化、原油価格の上昇などが考えられます。特にアルゼンチンとの摩擦ではマナウス製のカラーテレビに21.5% の対外共通関税が課され、日系進出企業への影響も懸念されます。又、同問題では、家電製品だけではなく、その他の品目に波及する懸念があり今後も注視が必 要と思われます。又、増加する輸出に伴いコンテナ不足、海上運賃の高騰、輸送インフラの整備などロジスティック面の問題がブラジル側で顕在化しています。
表1 ブラジルの主要商品別輸出入 (単位:100万ドル,%)
2003年(1-6) 2004年(1-6) 金額 金額 構成比 伸び率 輸出総額(その他を含む) 33,002 43,306 100.0 31.2 一次産品 9,620 13,663 31.5 42.0 大豆 2,171 3,032 7.0 39.7 鉄鉱石 1,628 2,080 4.8 27.8 大豆かす 1,072 1,737 4.0 62.0 原油 989 1,290 3.0 30.4 鶏肉 742 1,175 2.7 58.3 半製品 4,967 5,950 13.7 19.8 鉄鋼半製品 779 922 2.1 18.2 パルプ 840 832 1.9 △ 0.9 革 507 629 1.5 24.1 完成品 17,720 23,023 53.2 29.9 航空機 925 1,552 3.6 67.8 乗用車 1,129 1,454 3.4 28.8 鉄鋼圧延品 587 890 2.1 51.6 靴・同部材 771 882 2.0 14.4 自動車部品 678 877 2.0 29.4 自動車用エンジン・同部品 834 854 2.0 2.3 輸入総額 22,605 28,257 100.0 25.0 資本財 4,856 5,537 19.6 14.0 工業用機械 1,641 1,470 5.2 △ 10.4 事務用機器 984 1,233 4.4 25.3 原材料および中間財 11,950 15,146 53.6 26.7 化学・薬品 3,617 4,457 15.8 23.2 中間製品(部品) 1,952 2,552 9.0 30.8 鉱産品 1,686 2,268 8.0 34.6 輸送機器部品 1,750 2,243 7.9 28.2 その他農業用原材料 712 1,262 4.5 77.2 消費財 2,616 3,167 11.2 21.1 非耐久消費財 1,461 1,672 5.9 14.5 医薬品 584 664 2.4 13.8 食料品 451 500 1.8 10.8 耐久消費財 1,155 1,495 5.3 29.5 装飾品 328 411 1.5 25.4 燃料および潤滑油 3,183 4,408 15.6 38.5 出所:開発商工省貿易局表
表2 ブラジルの主要国・地域別輸出入(単位:100万ドル,%)
2003年(1-6) 2004年(1-6) 金額 金額 構成比 伸び率 輸出総額 33,002 43,306 100.0 31.2 米国 8,100 8,679 20.0 7.1 アルゼンチン 1,843 3,281 7.6 78.0 中国 2,161 2,901 6.7 34.3 オランダ 1,866 2,373 5.5 27.2 ドイツ 1,495 1,974 4.6 32.1 メキシコ 1,210 1,667 3.8 37.8 イタリア 1,054 1,475 3.4 39.9 日本 1,039 1,220 2.8 17.4 チリ 857 1,120 2.6 30.6 フランス 784 1,042 2.4 33.0 英国 829 982 2.3 18.5 スペイン 659 912 2.1 38.4 その他 11,105 15,682 36.2 41.2 輸入総額 22,605 28,257 100.0 25.0 米国 4,392 5,385 19.1 22.6 アルゼンチン 2,345 2,552 9.0 8.8 ドイツ 2,095 2,319 8.2 10.7 ナイジェリア 677 1,643 5.8 142.5 中国 902 1,492 5.3 65.3 日本 1,111 1,285 4.5 15.6 フランス 856 1,119 4.0 30.7 イタリア 877 926 3.3 5.5 アルジェリア 504 797 2.8 58.1 韓国 553 780 2.8 41.0 チリ 357 619 2.2 73.3 英国 605 615 2.2 1.6 その他 7,330 8,727 30.9 19.1 出所: 開発商工省貿易局
表3 ブラジルの対日主要品目別貿易(単位:100万ドル,%)
輸出 2003年(1-6) 2004年(1-6) 金額 金額 構成比 伸び率 鶏肉 81 235 19.3 189.3 鉄鉱石 212 225 18.4 6.0 アルミニウム 200 169 13.9 △ 15.3 コーヒー豆 52 60 4.9 15.5 鉄合金 56 57 4.7 1.9 パルプ 57 55 4.5 △ 2.9 大豆 47 41 3.4 △ 12.0 冷凍オレンジジュース 36 35 2.8 △ 3.6 ニッケルカソード 9 29 2.4 203.7 木材 21 24 1.9 13.9 その他 267 290 23.7 8.3 合計 1,039 1,220 100.0 17.4 輸入 2003年(1-6) 2004年(1-6) 金額 金額 構成比 伸び率 自動車部品 94 134 10.5 42.8 ベアリングおよび歯車・同部品 59 74 5.8 25.7 集積回路 60 64 4.9 6.7 自動車用エンジンおよび同部品 52 54 4.2 3.7 乗用車 31 41 3.2 32.1 自動データ処理機部品 24 39 3.0 60.7 測定および点検機器、装置 35 38 3.0 9.3 送信・受信用機器・部品 32 33 2.6 3.6 コークス等 17 33 2.6 93.8 ポンプ・コンプレッサー・換気扇・同部品 36 31 2.4 △ 12.4 その他 672 743 57.9 10.7 合計 1,111 1,285 100.0 15.6 出所:開発商工省貿易局
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化学品部会 板垣化学品部会長
板垣化学品部会長司会-それでは、ちょっと時間がオーバーして来ましたので、次の化学品のほうに参りたいと思いますが、化学品はもうこれ例年、対象範囲が広くて、部会長さん説明が大変なんですが、今日もよろしくお願い致します。
化学品 - 全般は10%増と工業部門平均を上回った上期
板垣 化 学品部会の発表をさせて頂きます。いま浅賀委員長のほうからもご説明ありましたように、化学品部会は、いろんな業種が混ざっており、私個人的に思うのは、 貿易部会、自動車部会とか、それから食品部会の中に入るような企業がたくさんあるんじゃないかと。先ほど冒頭に桜井さんがおっしゃられた、部会の再編がも しあるとすれば、化学品部会はそういったところに分けられるんじゃないかと常々思っております。
今回の発表内容のなかも多くは、やはりブラジルの輸出の主力であります大豆とか、いまお話のありましたエタノールとか、農産物と関わるようなところも多々出てきております。とりあえず、化学品部会の源流、原料となるところの化学原料の分野から、発表させて頂きたいと思います。本年の上期、化学・製薬部門におきましては、3 月、4月にかけて輸入が35.7%減少、輸出も7.4%減少となり昨年比、貿易収支では3億6千万ドルの赤字となっております。しかしながら生産量は、昨 年同期比で製薬では18%、シャンプー、石鹸、洗剤といったような分野では23%の増加。それからアルコール精製分野では2.5%増。化学品、製品全般に おきましては10%増と工業部門の平均を上回る進展となっております。
それから、 石化全般でみますと、原油価格上昇によるナフサ高騰から製品全般が値上げを余儀なくされまして、特に、アクリル酸エステル、吸収性樹脂など一部商品におき ましては、原料不足による供給不足が深刻化しております。このような状態は来年はじめごろまで続くのではないかと予想されております。
それと自動車の生産台数が先ほど、中村さんのほうからもありましたように、昨年比で生産台数は上期10%増。その他、マナウスにおきます携帯電話、音響機器といった電気電子製品、それから家電製品の好調を受け逆に樹脂、レジンが不足になっております。
また、世界規模で見ますと、昨今の中国の生産の勢いが凄まじいと言うこともあり原油の生産、使用量もいま世界第二位ですか。で石化関連製品、とくにポリエチレンとかポリプロピレンといった原料エチレンの不足によって、こういった原料が品薄の状態になっております。下期に大きな変化はなさそう
燃料アルコール品薄が懸念材料
こ の分野におきます下期の展望ですが、化学品全般に大きな変化はないと思われます。不安要素と致しましては、先に発表されたように、海上運賃の値上げ、それ から中国に物がどんどん行っており、船、それからコンテナ等が不足して、輸出入に対する影響が大きいと予測されております。
それと先ほど来、話題にのぼっております燃料用エタノールですが、砂糖きびを原料とするアルコールと言いますと、私はピンガぐらいしか思い浮かばなかった が、今回、会議において、砂糖きびを原料として燃料用エタノールをつくっておると。また、輸出が非常に活発化して、昨今インドの砂糖きびが非常に不作と言 うことでエタノールだけではなく、砂糖も不足して相場が高騰しており、ブラジル国内のメーカーは、砂糖主体の生産体制にシフトし、また、燃料用アルコール の輸出も活発化しているために燃料用アルコール、エタノールが品薄感を見せておると言うことです。
先ほど日本では3%、マックスで入れてもいい と言うことですが、現在、ブラジルではガソリンの中に25%アルコールが入っているそうです。で、それが品薄になって来ているので、22%ぐらいまでに減 少するのではないか。それによって、ガソリンが値上げし、燃料用のアルコール、エタノールの値上げにつながって行くことが懸念されております。工業材料業界、大衆商品業界は2ケタ進展
続 きまして、こういった原料を使って製品をつくっております工業用の接着剤、シール材、まあ、実は私共の会社ですが、それと工業用のレジンに対する着色剤等 をつくっています工業材料業界を見ますと、上期は自動車、オートバイ、化粧品、工業商品、家電といったものが生産好調で原材料は値上がりしている、あるい は、2月のPIS、Cofinsの増税。これに対応して大幅な値上げを実施したことにより、販売は昨年同期に比べ2ケタ進展した企業が多くなっておりま す。
下期は大幅な金利の低下は期待できない。それから原油価格がおそらく高くな り、そのために関連商品、関連原料が値上げされるであろうと。それから電気代、電話代などの値上がりによって経費も上がるであろうと不安要素がある一方 で、下期は商品の供給先である自動車関連、工業製品関連、家電関連の業界が好調を維持するであろうから、上期以上の販売が予想されております。
次に化粧品、文房具、家庭用の接着剤、それからフィルムと言った大衆商品業界に関しては、昨年に比べインフレの低下、金利が昨年に比べて低下したことで、 一般消費者の購買力が増した。また、PIS、Cofinsの増税分を、年初に値上げしまして、文房具、家庭用接着剤の分野は昨年同期比2ケタ進展しており ます。
また、こういった業界は、原材料はほとんど海外からの調達になっており、為 替安定のお陰で予想より調達が安くすんで、増収・増益につながっている企業が多くなっております。大衆商品分野は、すでに値上げしており、下期は値上げし にくい状況にある。それと昨今、中国製廉価版とか模造品が入って来ておりますので、上期ほどの好条件は望めない、厳しい状況になるであろうと予想しており ます。
好調だった農薬、飼料添加物 - 下期も好調予想
最 後に農薬、それから殺菌剤、防虫剤、飼料添加物の業界。輸出の花形であります大豆の作付面積が増え2200万ヘクタールほどになったそうです。日本の米の 作付面積が200万ヘクタールですから、これに比べますと約10倍から11倍の面積で、日本国土の約二分の一の広さ。それが全部大豆で埋まっているという 国です。 前回のこの会議の時に発表させて頂いた、この業界で懸念しておりましたサビ病がありました。サビ病が今期の大豆に蔓延するんではないか、心配だ というお話があったと思うんですが、実際には、サビ病を防止するために殺菌剤が爆発的に売れ、逆に、心配どころか上期は、昨年同期に比べ殺菌剤の販売が 75%増、業界全体で75%増で非常に好調さを堅持しております。
そのなかで懸念されたのは皆さんご存じ、ブラジル大豆の最大の輸出相手国であります中国からの農薬混入クレーム問題でしたが、最終的には技術的な裏付けって言うものが、中国のほうから示されないまま輸禁が解禁されて元に戻った、と言うことで落ち着いております。
それと飼料添加物は、アジアの鳥インフルエンザを背景にして鶏肉を中心にした食肉輸出が増大。それから、飼料添加物のいろいろな品揃えの拡大で、上期販売は非常に好調で、年間予算の約60%強を達成しております。一方で、価格競争が激化してドル建てで比べますと、昨年比若干減少という状況です。先ほど来、 Pis/Cofins*のお話しをさせて頂いていますが、この農薬とか殺菌剤の分野は、Pis/Cofins*とか関税がかからない、恵まれた業界で、非 常にブラジル政府から優遇されている化学品部会のなかでも特に増収・増益の業界です。
そのなかに家庭用殺虫剤がありますが、この家庭用殺虫剤だ けは贅沢品とみなされ、これだけはすべての税金がかかります。 そういった訳で、上期はあまり蚊も出て来なかったと言うことで、あまり売れなかった。ま た、安い競合品が非常に出て来て、値下げ圧力が強まり大苦戦していると言うことです。下期の展望として、農薬・殺菌剤の分野は、おそらくこのまま好調さを堅持していき、通期では前年比約25%から30%の進展をするであろうと予測しております。
それと飼料添加物の分野は、上期の値下げ、競争の激化が更に進むと言うことで、品揃えをたくさん行って、顧客の満足度を上げて対抗して行くと考えています。以上です。
*PIS=社会統合プログラム(基金)、*COFINS=社会保険融資納付金
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化学品部会(レポート)
1.2004年上期の回顧と下期の展望
1)2004年上期の回顧
昨 年、ルーラ政権は大方の予想に反しインフレ抑制を主眼にした堅実な政権運営を実施した。高止まりではあったが金利低下、貿易収支大幅黒字、対ドルレアル 高、カントリーリスク低下などの反面、国民の平均給与前年比マイナス、失業率前年比アップ、購買力低下、と国内経済の活性化には厳しい1年であった。
2004年上期は引き続き税制改革、社会保障制度改革、インフレ抑制、貿易黒字拡大、慎重な金利引下げ、最低賃金引き上げなど実施し、好調な輸出とアグリビジネスに支えられブラジル工業連盟(CNI)によれば1-5月の生産は昨年同期比6.5%の拡大となりブラジル経済に回復傾向が見られた。 しかしインフレターゲットを重視するあまり、金利が期待されたほどは下がらず、また積極的な経済推進策も見られず本格的な経済回復までには至っていないとみている。 個々の業界に関しては以下の通り。
【化学原料】商社
1)化学・製薬部門では3~4月にかけての輸入が35.72%減、輸出も7.41%減となり、貿易収支は3.6億ドル赤字。しかしながら生産量は昨年同期比で製薬18.61%増、シャンプー・石鹸・洗剤23.67%増、アルコール精製2.46%増、化学製品10.74%増と工業部門平均を上回る進展となった。
2)石化全般でみると原油価格上昇によるナフサ高騰が製品全般の値上りを余儀なくされている。 特にアクリル酸エステル、吸水性樹脂(SAP)など一部商品では原料不足による供給力不足が深刻化。ある商社ではSAP輸入量が前年比30%減で、この状態は来年始めまで続くと予想。
3)自動車の生産台数が昨年比10%増、携帯電話・音響機器など電気電子、家電製品の好調を受けて、逆にレジンが不足気味。また世界規模で見れば中国の生産の勢いが凄まじい為、石化関連製品、特にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などが原料エチレンの不足による品薄の状態。
4)下 期についても化学品全般では大きな変化は無いと思われるが、不安要素として海上運賃の値上げ、船・コンテナ不足による輸出入に対する影響が大きいと予測。 また砂糖黍を原料とする燃料用エタノール輸出の活発化とインドの砂糖黍不作も相まって砂糖相場が高騰しており、国内メーカーは砂糖主体の生産にシフト、そ の結果燃料用エタノールに品薄感が広がりを見せている。ガソリンへの添加率変更、ガソリン値上げ、燃料用エタノール値上げなどの影響が懸念される。
【工業材料業界】工業用レジン着色剤、工業用接着剤・シール剤など
1)自動車・2輪、化粧品、工業製品、家電の生産好調により、また原材料の値上がり、PIS/COFINSに対応した値上げにより販売は昨年同期比2桁進展した企業が多い。
2) 下期の見通しとしては、①大幅な金利低下が期待できない ②原油価格高による石油関連商品、原料の値上げ ③電気代、電話代などの値上がりなどの不安要素 がある一方、商品供給先である自動車、工業製品、家電などの業界は下期も好調さを維持すると見られ、上期以上の販売とコストダウンによる収益確保を目指 す。
【コンスーモ業界】写真フィルム、化粧品、文房具、家庭用接着剤など
1)昨年に比べインフレの低下、金利低下により購買力が増し、またPIS/COFINS増税分の値上げを実施したため、文房具、家庭用接着剤分野では売上が昨年同期比2桁進展。また為替が比較的安定していたため海外からの原料調達が予想より安く済み、増収増益につながった。
2)下期の見通しとしては、①金利の現状維持、②インフレ上昇、③為替のドル高模様、④上期に実施したため値上げし難い状況、⑤中国製廉価品、模倣品の横行など、上期ほどの好条件は望めないため、厳しい状況になると予想。
【農薬業界】農薬、殺菌剤、防虫剤、飼料添加物
1)大豆の作付面積が増え2200万ヘクタール。 これは日本国土の約2分の1、日本の米作付け面積(200万ヘクタール)の約10倍の規模。
2)農薬業界の上期ドルベース売上実績は好調であった昨年同期比75%増と更に好調さを堅持。 主な理由は02/03シーズンから顕在化した大豆サビ病対策用殺菌剤が昨年末の品不足から本年当初に大量出荷されたため。
3)販売が好調な中にあって、1つ懸念されたのは伯国最大の大豆輸出相手国の中国が、農薬混入問題で輸入拒否という政治問題に発展したことであったが、技術的裏付けを中国が示さぬまま禁輸は解禁された。
4)アジアの鳥インフルエンザを背景に鶏肉を中心とした食肉輸出増大と商品品揃え拡大により、販売は好調で年間予算の6割強に達した。 一方で価格競争激化によりドル建て換算では昨年比微減。
5)農薬、殺菌剤などはPIS/COFINS、関税がかからないが、家庭用殺虫剤は関税、PIS/COFINS、ICMSがかかる。上期は不需要期でもあり、またジェネリック品の攻勢もあり値下げ圧力が強まった。
6)下期の展望として、農薬・殺菌剤では①大豆農家の生産意欲は強く作付面積も増えると予想。 ②サビ病対策不可欠 ③中国禁輸騒動解決などにより上期の好調さを維持し、通期では前年比25~30%の進展予想。
不安材料として上期に発表された農業資材へのPIS/COFINS適用除外に関して実施細目が決まらず、8~10月の出荷ピークを前にロジスティックを含め甚大な影響が危惧される。飼料添加物は上期の傾向が更に強まる見込みで、品揃え拡大し顧客満足度を高め対抗していく。
2.ルーラ政権の政策、方針による影響、課題
1)ブラジルは石油産出国ではあるが、これを原料にした石化品への改質は行なっていない。このため国内で製造する化学品メーカーは原料調達を輸入に頼っているのが現状。 昔から言われ続けてきた「ブラジルコストの解消」がなされるどころか、PIS/COFINSの上昇、移転価格税制の過剰適用強化など、益々製造業にとっては厳しい環境となっていると思われる。
2)国の根幹は製造業の成長であり、雇用機会拡大、失業率減少を掲げるのであれば製造業を育てる政策を急ぎ強化していただきたい。
以上
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機械金属部会 佐原機械金属部会長
佐原機械金属部会長鋼材の価格高騰で活性化の鉄鋼分野
佐原 機械金属部会の佐原です。当機械金属部会も幅広く、製鉄、重機械、重電、それから一般建設機械。さらに工具、ネジ、ベアリング、はたまた航空機部門まで包含しております幅広い部会でして、非常に難解な報告になるかと思います。
2004年上期の回顧は、経済全般については金融部会、貿易部会のご報告を参考にしてお聞き頂ければ幸いです。まず製鉄鋼材分野。非常に活性化して、鋼材国内価格も印象によりますと、.マックス40%アップしているものがある。大体今日の新聞をみますと、国際相場 で33%くらい上がっている。さらにブラジルのIBSという製鉄関統計院の統計では平均13%と言っていますが、われわれ機械金属部会の鋼材を買う方と致 しましたら、20%以上は上がっているのが実感です。
ということで、製鉄関係は浅賀総務部長さんの出資されている会社の収益性も非常に高い。更 にその分野全体で積極投資して行くと。とくに今後、今年も含めて 5年間にて74億ドルを投資して行くと言うことで、ブラジルの製鉄は世界に稀なる、非常に元気のいいビジネスであると言うのが力点とされます。- 積極的投資に欠けるエネルギー分野
- 車両入札では、低価格の海外メーカーに大敗
- 重機、紙パ、石化、製缶分野に受注増
- 農業機械はアグリビジネス公共背景に好調
- 一般産業向け工具、ネジ及び軸受け分野も好調 - 特殊工具は50%増
2 番目に電力・エネルギー分野。2年前に多数計画されていたガスを使った火力発電案件が頓挫している。PT政権の電力料金統制価格、水力発電、風力発電の開 発、再評価等の方針が明確になった後、民間投資の火力発電プロジェクト、いわゆるIPPが止まってしまっている。天然ガス利用の小型高ジェネレーション案 件のみが実施されている程度で、積極的な投資が少ないという状況に変わってきました。
3番目、新規大型プラント分野。先ほど申し上げました、製鉄および紙パルプ分野での新規大型投資案件が成約している。また、交通システム案件。バイーア、 サルバドール市の車両商談に引き続き両市の車両入札があったが、海外車両メーカー、とくに韓国勢の低価格にすべて大敗している。と言うことで国内の製造 メーカーは非常に苦しんでおると。
4番目、重機械、製缶分野、紙パルプ、石油化学のそれぞれの業界は好況で、設備投資も堅調であり、受注による仕事量は確保できている。
5番目、農業機械、建設機械分野。アグロビジネスの活況な市場を背景に、農業機械業界全体では、生産台数が前年度同期比約21%伸びて好調である。更に農 産物輸送のための道路整備向け建設機械の出荷も増加している。輸出市場では北米、欧州、アジア、アフリカ、中南米ともに好調に推移しており、とくに欧州諸 国とアルゼンチンの回復が顕著であった。実際に輸出が増加した原因として、アメリカキャタピラ社、欧州ボルボ社が、ホイルローダー機種の生産をブラジルに 特化、一極集中し海外への出荷体制を確立したこともある。
6番目、一般産業向け工 具、ネジ及び軸受け分野。精密切削対摩耗工具は昨年下期より顕著な右肩上がりの好調を持続している。毎月新記録を更新しており、特殊工具は50%増の状況 もある。生産量は新規投資の稼働を待つ状況である。自動車、鉄鉱石及び鉄鋼圧延業界向け出荷は好調が持続されると。
次に一般電動工具分野です。従来主力の建設関連は横ばいの状況であるが、工業関係工具の事業増加で販売は対前年比 20%アップしている。ネジは国内経済の回復基調に伴い、ネジの主要業界である自動車、同部品工業及び電機・家電業界業容アップにより、生産・販売量も アップした。自動車部品メーカー向けは約40%増、電機・家電メーカー向けは23%増であり、上半期全体では昨年同期比13.7%の増加となった。
次に軸受け。ネジ業界同様に自動車向けが堅調であり、第2四半期から家電等の消費財の需要増も加わり極めて好調であるが、供給側の生産能力不足と材料費高騰がネックになりつつあると言うことで、上期の回顧でかなり好調な業種が多数見受けられる状況であります。
下期もFGV予測は良好
次 に下期の展望。ゼツリョ・バルガス財団が7月に工業分野の企業に対して行った調査では、事業の経営環境の改善と将来への楽観的予想が確認されている。今後 3カ月の事業に対する予想と生産に対する予想は共に最高であり、6カ月間の事業の見通しについては良好と回答があった。
上期の業種より、広範囲な業種を包含する当機械金属部会では、好調分野として素材メーカーの製鉄ビジネス及び農業建設機械メーカー、アグリビジネス向けがあり、更に一般産業向け、工具、ネジ、軸受け業界では、好調が昨年下期より持続している。
それぞれの分野について簡単に報告しますと、製鉄素材っていう分野では、中国経済の一時的な過熱調整等から国際市況が軟化し、それに伴う一部鋼材の国内市場への回帰から国内事業が一時的に緩和される局面は予想されるが、全体としては引き続きタイト状況は変わりない。
農 業建設機械の下期の展望では、国内農産物市況の景気より、現在の好調が持続する見込みであり、農業界全体で国内販売は約5%増、輸出は約25%増の予想で ある。海外市場は中国経済の減速傾向、及び最近の北米住宅着工件数の減少傾向を判断材料とするが、一方、他の市場はブラジル国内と同様に好調を維持する見 込みの予想である。工具、ネジ、軸受け、工具業界では下期の販売増加20ないし 30%アップに備えて輸入量の増大、または新規設備の早期稼働を期待する。ネジ業界では、自動車、家電業界の増加率予想、上半期の半分程度を見込み、昨年 同期比の10ないし15%程度の増を見込み、軸受け業界ではすべての軸受けはフル生産状態にあり、設備投資を検討し始めている状況で、上半期を上回る予想 でああります。
そのように製鉄素材、農業建設、一般工具、ネジ、軸受けとすべて好調な業績が下期も続く予想です。
更に、プラント、重機械業界は消極的になった電力エネルギー分野以外の紙、パルプ、製鉄及び石油化学の分野にて引き続き投資意欲旺盛で、日系企業の大型案件の受注を期待したいと言うことです。ルーラ政権で唯一評価できるのは緊縮財政
年金改革、労働法・税制改革は未完の状態
個 別テーマとしては、とくにここでルーラ政権の政策方針における影響、課題。とくに、製造業界にとり現ルーラ政権について唯一業績を評価出来るのは、パロッ チ大蔵大臣の緊縮財政であり、年金改革、労働法及び税制改革は未完の状態である。とくに国内製造業及び輸入販売ビジネスでの複雑な税制は、各社の重い負担 になっている。複雑で不明確な税制を簡略化し、透明性を高めるための税制改革が早急に肝要と考える。とくに今年 2004年度より大幅に変更になったCofins問題は現政権の改革方針と大きく異なるという考えが大半でした。
個別業種に絞った問題。農業機械のジョンディア、建設機械のキャタピラ、ボルボのグローバル生産体制方針として、ブラジル国内にて生産する機種を特化、本 国での生産を打ち切りブラジル国内、および海外への生産拠点と位置づけて投資している。また、世界の大手工具メーカー、Sundwuch(スゥエーデン) も本国の主力工場をすべてブラジルに移管した生産体制を構築している。日系メーカーのブラジル進出、投資方針に参考になる事業事例が最近目立つようだ。
トピックスはエンブラエルの対米国防省売り込み成功
最 後に事務局の方からトピックスとして、最近、輸出でがんばっている航空機メーカーのエンブラエル社について一言。先般、航空機メーカーのエンブラエル社 が、米国防総省向けのACS、アエリア・コモン・センサー、情報収集電子システムを搭載したERJ145型を 58機受注しました。川崎がエンブラエル社と共同開発いたしました170、190シリーズの民間ジェットも受注活動を展開中であり、現在受注総数として 170型が300、190型が200機に達しています。170型ジェットはすでに客先への納入を開始しています。ブラジル国内の主力組立工場であるCEB 社にても190型用の主翼をすでに5機を試験テスト用に、更に2機をエンブラエルに納入しています。現在、ガヴィオン・ペイショットの飛行場にて、フルア センブリングされた3機の190型ジェットがフライトテスト中であり、来年度中にも型式証明を取得し、客先に納入する予定であります。
ちょっと蛇足でありますが、トピックスとして一つ、事務局の方から現状報告するように言われましたので付け加えました。以上でございます。司会 ありがとうございます。電力エネルギーを除くとほとんど絶好調、というようなご報告でしたが、ご質問はございますでしょうか。はい、どうぞ。
河内山(日立) 全 ての分野で絶好調と言うことですが、材料価格が非常に高騰してきていると。まあ、鉄鋼関係で大体20%とかなりの値上げだと思うんですが、好調を背景に、 売り上げ価格の方にはこれ転嫁できていると言うことでしょうか? 一般の農業機械だとか、製鉄所のほうは転嫁できていると。
佐原 わ れわれ機械金属部会の全体の意見では、とてもとても販売価格に転嫁できない。 さらにまた、納期もかなり長期を要求されますので、材料が入るまでの納期で すね。非常に苦しい状況だということで、一つの考え方として、輸入枠を海外からの安い鋼材の輸入枠を増やして欲しいと。まあ、その税率も少し下げて欲しい と、特に去年の後半から国内市場に出回っている鋼材が非常に少なくなってきた。輸出ドライブがかかってみんな輸出しちゃう。
ところで、この前、ウジミナスのリナルド社長は、「ブラジル国内の製造業のために、われわれは無理してでもブラジル国内に製品を回帰させる」、とおっしゃられたので、われわれも非常に期待するところは大でございます。 -
機械金属部会(レポート)
1.共通テーマ
<ブラジル経済2004年上期の回顧と下期の展望>
=上期の回顧=
① 製鉄・鋼材分野
-非常に活性化して、鋼材国内価格もMax.40%Upしているものもある。
-収益性も高い。
-積極投資して行く。今後、今年を含めて5年間にて74億ドルを計画している。
② 電力・エネルギー分野
2年前に多数計画されていた火力発電案件が頓挫している。PT政権の電力料金統制価格、水力発電・風力発電の開発再評価等の方針が明確になった後、民間投資の火力発電プロジェクト(IPP)が止まっている。
天然ガス利用の小型Co-Generation案件のみが実施されている状況にて積極的な投資がない。
③ 新規大型プラント分野
-製鉄及び紙・パルプ分野での新規大型投資案件が成約している。
-交通システム案件ではBahia/Salvador市の車輌商談に引き続き、Rio市の車輌入札があったが、海外車輌メーカ(韓国勢)の低価格にすべて敗退している。
④ 重機械・製缶分野
-紙・パルプ、石油化学の夫々の業界は好況で設備投資も堅調である。受注による仕事量は確保できている。
⑤ 農業機械・建設機械分野
-アグロ・ビジネスの活況な市場を背景に農業機械業界全体では生産台数が、前年度同期比にて約21%伸びて好調である。更に農産物輸送のための道路整備向け建設機械の出荷も増加している。
-輸出市場では北米 欧州 アジア アフリカ 中南米ともに好調に推移しており、特に欧州諸国とアルゼンチンの回復が顕著であった。実に輸出が増加した要因として米国Catapillar社、欧州Volvo社がホィールロータ機種の生産をブラジルに特化一極集中し、海外への出荷体制を確立したことにある。
⑥ 一般産業向け工具、ネジ及び軸受分野
-精密、切削、対磨工具
昨年下期より顕著な右肩上がりの好調を持続している。毎月新記録を更新しており、特殊工具にては50%増の状況もある。生産増は新規投資の稼動を待つ状況である。
自動車、鉄鉱山及び鉄鋼圧延業界向けの出荷は好調が持続される。
-電動工具
従来主力の建設関連は横ばいの状況であるが、工業関係工具の需要増加で販売は対前年比20%Upしている。
-ネジ
国内経済の回復基調に伴い、ネジの主使用業界である自動車、同部品工業及び電気・家電業界の業容Upにより、ネジの生産・販売量も増加した。
自動車部品メーカー向けは約40%増、電気・家電メーカー向けは23%増であり、上半期全体では昨年同期比13.7%の増加となった。
-軸受
ネジ業界同様に自動車向けが堅調であり、第2四半期から家電等の消費財の需要増も加わり極めて好調である。 供給側の生産能力不足と、材料費高騰がネックとなりつつある。
=下期の展望=
FGV(ゼッリオバルガス財団)が7月に工業分野の企業に対して行った調査では、事業経営環境の改善と将来への楽観的予想が確認されている。
今後3ヶ月の「需要」に対する予想と「生産」に対する予想共に最高であり、6ヶ月間の事業の見通しについては <良好>と回答があった。
上期の業績より、広範囲の業種を包含する当機械金属部会では好調分野として素材メーカーの製鉄ビジネス 及び農業・建設機械メーカーのアグリ向けビジネスがあり、更に一般産業向け工具・軸受・ネジ業界では、好調が昨年下期より持続している。
① 製鉄・素材
中国経済の一時的な過熱調整等から 国際市況が軟化し、それに伴う一部鋼材の国内市場への回帰から国内需要が一時的に緩和される局面は予想されるが、全体としては引き続きタイトな状況は変わらない。
② 農業・建設機械
国内農産物市況の景気より、現在の好調が持続する見込みであり、農業業界全体で 国内販売は約5%増、輸出は約25%増の予想である。 海外市場は中国経済の減速傾向、及び最近の北米の住宅着工件数減少傾向を判断材料とするが、一方他の市場はブラジル国内と同様に好調維持する見込みの予想である。
③ 工具・ネジ・軸受
工具業界では下期の販売増加(20~30%Up)に備えて輸入の増大、または新規設備の早期稼動を期待する。
ネジ業界では、自動車及び家電業界の増加率予想(上半期の半分程度)を見込み、昨年同期比の10~15%程度を見込む。
軸受け業界では、全ての軸受けメーカーはフル生産状況にあり、設備投資を検討し始めている状況である。上半期を上回る予想。
④ プラント・重機械業界にては、消極的になった電力・エネルギー分野以外の紙・パルプ、製鉄及び石油化学の分野にて引き続き投資意欲旺盛で日系企業の大型案件の受注を期待したい。
2. 個別テーマ
=ルーラ政権の政策・方針による影響・課題=
ルーラ政権にて唯一業績を評価されるのは、パロッチ大蔵大臣の緊縮財政であり、年金改革、労働法&税制改革は未完の状態である。特に、国内製造業及び輸入販売ビジネスでの複雑な税制は各社の重い負担になっている。
複雑で不明確な税制を簡略化し、透明性を高めるための税制改革が早急に肝要と考える。
2004年度より大幅に変更になったCofins問題は、政権の改革方針と大きく異なる。
=個別業種に絞った課題=
農業機械のJohn Deer社(米)、建設機械のCatapillar社(米)、Volvo社(ス)のGlobal生産体制方針として、ブラジル国内にて生産する機種を特化(本国での生産を打ち切り)して、国内及び海外への生産拠点と位置付けて投資している。また、世界の大手工具メーカ Sundwuch社(英)も本国の主力工場での生産を全てブラジルに移管した生産体制を構築している。
日系メーカーのブラジル進出投資方針に参考になる事業事例が最近目立つようだ。
以上
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繊維部会 二宮繊維部会長
二宮繊維部会長今冬は寒波襲来で店頭在庫一掃
下期も春夏もの生産が順調に行きそう
二宮 東洋紡、二宮です。繊維部会の報告をさせて頂きます。司会の方からもう、言って頂いたんで、実を言うとその一言で終わるんですが、それだったら1秒ぐらいになる(笑い)。せっかく準備してきたんで、気合入れてご報告させて頂きます。
まず上期の回顧ですけども、皆さんご存じのように繊維の小売市況は、昨年の後半、夏の天候不順により、夏物衣料の売れ行きがいま一つでして、本年1、2月 まで同じような傾向がありました。先行きを心配したんですが、カーニバル明けの3月ぐらいから少しずつ、売れ行きがよくなり、特にいまお話がありました 5、6月の寒波襲来。これで重衣料、これはウールなんかの厚手の生地ものですけども、それから軽衣料ですね、綿など使用の下着やシャツもよく売れ、お陰様 で店頭在庫は一掃されました。
この効果は、あとでご説明します各分野の上期業績を押し上げる要因となり、また、下期の春夏もの生産が順調に行きそうな期待感を持たせております。
ブラジルでは日本と違い、生産段階と小売段階が直結しております。日本の場合は間に中間段階、問屋さんと言うような流通段階があるものですから、えー、備 蓄在庫(中間在庫)という概念があり、小売屋さんが売れても、生産段階が良くなるかは、なかなか読みづらいけれども、ブラジルでは大変に読みやすいと言う ことです。綿糸、羊毛糸は堅調
ま ず糸の生産販売動向ですけど、綿糸、綿の糸。国内販売は、小売市況の好調さや地方選挙需要により好調に推移しました。地方選挙用って言っても、一寸分かり にくいと思うんですが、選挙用のTシャツ、あれは、綿糸の空紡糸という安い糸で出来ております。で2年に1度選挙がありますので、まあ、非常に我々にとっ てはいいと言う形です。
それから綿糸の輸出は、為替のレアル高と国内原綿高により昨年比、量で68%、金額で92%と不調に終わっております。 採算面では昨年半ばからの中国要因による原綿の国際相場、これは大豆と同じですが、悪化が予想されたが、年初からの値上げとかPIS、Cofins分の転 嫁が比較的スムースに行き、それとその後、原綿価格が下落して、業績は堅調でありました。もっと有り体に言えば、「お陰様で儲かりました」と言うことです (笑い)。羊毛糸は原毛相場が落ち着いたことと装飾用途の需要を確保出来たこと、寒波によるセーターの販売が好調でして、業績も堅調でした。
ブラジルで絹糸をやっているのをご存じの方は、多分あまりいないと思うんですが、絹の糸は生産量の80%が日本向けでして、これまで業績不調だったのが30%の値上げにより、やや好転したと言うことです。縫製品生産も好調
それから生地縫製の生産販売動向ですが、これも、まあ好調でありました。
ジー ンズは相変わらず好調です。ブラジルがジーンズに大変強いというのは皆さん、多分ご存じだと思うんですが、相変わらず好調で、付属品も好調を維持してい る。もっと具体的に言うと、石川さん(YKK)のところのジッパーも大変によかったと言う。YKKさんから数字も貰らっていますけど、余り言うといかんか も知れないので、「よかった」ということで(笑い)。
輸入生地は、5月からこれにもPis/Cofins 9.25%が課税されています。結果的には12%ぐらいコストを上げるので、採算的には苦しくなっていると言うことです。綿花は国内消費向けが輸出指向に変更
そ れから最後に綿花の生産量と価格ですが、ブラジルの綿花生産は、これまで主として国内消費向けでありまして、国際相場へのリンク度が非常に少なかったんで すが、近年、オーストラリアの作付け面積の減少、それから中国の買い付け量アップ等により、国際的に買い付けられ始めております。で、2000年から生産 量が急増しており、本年の生産量は前年比68%アップの125万トンと予想されております。輸出はそのうち 36%の45万トンと見られており、これはわれわれの国内紡績に多少影響ありまして、輸出のほうが先物契約、国内紡績は原則、近場買い契約です。また輸出 はドル決済、費用ともドル決済と言うことでお百姓さんは出来れば輸出したいと言う感じでして、われわれの買い方に影響が出ています。
次に下期の展望ですが、まず繊維の小売市況のほうは、先ほど申し上げたように寒波の襲来や在庫一掃ということで、小売店の資金繰りは大変楽になり、春夏衣 料の店頭導入がスムースに行くと予想されております。8月の気温次第ですけれども必ず活発化すると言うふうに縫製産業は楽観しております。
それから最近の報道によりますと各種の経済指標、いろんな指標は上向きのようで多分、消費傾向はさらに上向くと予想しております。まあ、多少懸念材料があ りまして、二、三申し上げますと、まず綿糸の生産販売は、国内の原綿動向がちょっと読みづらい段階に来ております。綿にも下級綿、上級綿がございますが、 下級綿は相場が下がりすぎて、来年の作付面積はダウンするのではないかと言う感じが一つあります。
それから上級綿は、相場が今後急騰するという 見方はありませんが、量に関しては二通りの見方が現在あります。最近は天候が不順で、そういうのが継続して行きますと、生産量が少なくなり、手当に困るん じゃないかと言う見方が一つあります。 もう一つは、売り惜しみって言いますか、一寸相場が下がっていますので、売り惜しみしが見られます。えー、そうい う玉が出現するかどうか。それからまた、船積みが非常に出来にくい。そういう輸出玉の還流で数量の心配がなく価格もダウンするか。まあ、いい方と悪いほう と我々にとっては、二通りの可能性があるということです。今後綿花相場は中国次第、綿糸輸出はコンテナ不足が業績に影響予想
そ れから綿花の国際相場は中国次第という点で、下期から来年にかけては変わらないが、来年度の収穫は北半球綿産国で非常にいいんじゃないかと皆みており、全 世界の生産量は多分上がって行くと見られております。価格弱含みというのが大方の見方ですが、これも中国動向次第ということです。
懸念材料は、やっぱり綿糸輸出ですね。これは船便とかコンテナの不足、船賃の高騰、レアル高の傾向、それから、アジア勢との競争、他、いろいろありまして前年実績は下回りそうと言うことです。
あと、コスト的にはやっぱり電力料金の高騰があります。サンパウロ州ですでに30%、一番安いサンタ・カタリーナで20%と言うようなかたちです。30%も上がりますと大変にコストを押し上げます。
絹糸は仕入れ値を17%アップしたにも関わらず、養蚕の休止に歯止めがかからず、原料繭の手当に苦労しそうであると言うことです。
それから、薄地織物の輸出ですけれども、アルゼンチンの輸入規制を心配しております。クォーター等の規制が実施されると大きな打撃を受けると言うことです。FTAAではいい方向だが、中国とのFTAは繊維に打撃
そ の他ですね、最近、FTAの問題をいろんなところが取り上げておられますが、我々にしますと、もちろんアメリカとのFTAは非常にいい方向で、輸出しやす くなるけれども、最近、中国との接近ということで見ますと、もし中国とのFTAでとくに縫製品。そちらのほうの関税が下がりますと、繊維産業界はかなり打 撃を受けるじゃないか。製品メーカーが少なくなりますから糸が売れなくなると言うような事があると思います。
あと、「ルーラ政権下の影響と課題」っていうテーマがありましたけれども、これは他の業界とほとんど同じでして、当業界特有の問題というのはありません。 まあ、普遍的なことですが、今後やはり税金の問題ですね。それからストライキ頻発の問題。これは、原綿輸入と原糸輸出に影響が出ています。
それとあと、センノッタ、メイアノッタ、まあ、そう言うような事です。それからあとですね、これは、課題にはなかったんですけれど、ブラジルの繊維産業、まあ、この機会にちょっと宣伝しておきます。綿花生産、ブラジルは世界第6位
ブラジルの繊維産業に就労する人口は143万人です。工業就労人口の約11%ということで、副大統領さんもご自身の繊維企業を持っていますから、このブラ ジルでは、そういう関連の発言力が強いと見ていますんで、さっき中国との問題を申し上げましたが、多分政府は国内繊維産業の保護を当分続けるだろうと見て います。
それから先ほどの綿花の話ですけれども、ご参考までに綿花、先ほど125万トンというようなお話しをしましたが、これは世界第6位ですね。1位は中国、487万トン、2位がUSA396万トン、3位がインド259万。パキスタン4位で160万トンですか。司会 それではご質問を受けたいと思います。はい、どうぞ。
ブラジル繊維品の輸出競争力は?
金岡 中国のFTAの影響などについてご説明頂きましたが、輸出という意味でブラジルの繊維製品、アパレルと言うことにしたらいいと思うんですが、品質、価格、デザイン面で世界的にどの程度の競争力があるのでしょうか?
サンパウロ州というのは、比較的繊維産業がいろいろやっているところで、先日、サンパウロ州のFiespのミッションが日本に行った時も、かなり繊維関係 のメ-カ-さんが参加されたようですが、彼らの話を聞くと結構世界的にも、アメリカ、ヨーロッパに出ていると。あるいは、サンパウロ・ファッション・ ウィークもそのうちにパリ、パリコレ近くまでやるんだと意気込みはあるようですが、二宮さんの、ご専門のところから見てどの程度の力があるのか教えて頂き たいと思います。ブラジル品は高関税で守られているが、ジーンズは圧倒的に強い
二宮 ま ず輸入品との競合関係ですが、私のところは綿紡なんで、綿糸に関係のあるところを申し上げますと、2002年の綿糸の輸入量は、1800トンで対国内生産 比0.2%。それから綿布の輸入量は5千トンで0.6%。縫製品の輸入量が2万1千トンで 1.6%と言うことからみると、ブラジルは大変競争力があると見えますが、実は関税が非常に高く製品で18%、糸で16%、原綿で10%の関税に守られて いるので国内にまだ入っていないということで、すなわち国際競争力があると言うことではありません。
それから綿糸の輸出。先ほど輸出を申し上げましたが、まあ、バクッといってブラジルの糸の生産量は約100万トンで、そのうち輸出が昨年度で4万トン程度、2003年で4万6千トン。全体にまあ、国内産業ですね。
その中で一番強いのはジーンズで、ジーンズはもう圧倒的に強い。これはもう問題ない。全世界の中で一番強いんじゃないですか。それからあと製品で強いのは水着。ファッション性はまだだが、モデルは世界一の折り紙つき
さっきのアパレル・ファッション。私の知っている限り、今日現在、衣料品では世界でファッション性があるとは認められていないのではないですか。
ただ、一番認められているのはモデルですね、モデル(笑い)。これは、まあ、私もそうですが、日本から来た人は特にそう思うように。モデルは世界一位。こ れ間違いないです(笑い)。これはあの、主観と独断ではなくて、ある雑誌にも載っています。そういう意味におきましては、モデルが大変にいいので着ている 物がよく見える(笑い)。で、その中でも水着は特にですね、えへへへ、これだけ小さくて、あと全部身体ですから、大変に水着もよく見えるとと言うことじゃ ないですか。水着はもう日本でも買い付けています。だからまあ、そういう意味でブラジル・ ファッションは近い将来大躍進するであろうと言う期待感はありますが、国内の縫製レベルはそれほど高くないと思います。私の知っている限り中国のほうが上 ですね。あの、要するにいい物をつくるという縫製段階でははるかに上と言うことです。南米では、アメリカから型紙を持って来てその通りにつくると言うこと は、かなりやっていると聞いております。まあ、ざっと、このようですが、商社さんの商売からみると期待はずれのような答えになるかも知れませんが、モデル は輸出できると思います(笑い)。
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繊維部会(レポート)
2004年上期の回顧と下期の展望
Ⅰ.上期の回顧
1.繊維小売市況
昨 年度後半の市況は夏の天候不順によって夏物衣料の売れ行きが今ひとつであった。本年1~2月は同じような傾向で先行きを心配したが、カーニバル明けの3月 から少しづつ売れ行きが良くなった。特に5~6月の寒波襲来で重衣料(ウール等使用の厚手生地物)が売れ、ついでに軽衣料(綿など使用の下着やシャツ等) も売れて、店頭在庫は一掃された。この効果は後述する各分野の上期業績を押し上げる要因となり又下期春夏物生産が順調にいきそうな期待感を持たせている。
2.分野別状況
ブラジルでは生産段階と小売段階が直結している。日本の問屋のような中間流通段階がなく流通在庫、備蓄在庫はほとんど無い。従って小売りの売れ行き動向がすぐに糸販売、生地販売、縫製の各段階の売れ行きを左右する。
(1)糸の生産販売動向
綿糸(リング糸、空紡糸)の国内販売は繊維小売市況の好調さや地方選挙用需要により好調に推移した。綿糸輸出は為替のレ アル高と国内原綿高により昨年比、量で68%金額で92%に終わった。
採算面では昨年半ばからの中国要因による原綿の国際相場高騰で悪化が予想されたが年初からの値上げやPis,Cofins分の転嫁が 比較的スムースにいった事、その後原綿価格が下落した事によって業績は堅調であった。
羊毛糸も原毛相場が落ち着いたことによって、椅子ばり等の装飾用途需要を確保できたことや、寒波によるセーター販売好調により業績は堅調で あった。絹糸は生産量の80%が日本向けでありこれまで業績不調であったが30%の値上げによりやや好転した。
(2)生地、縫製 の生産販売動向
小売冬物製品好調を受けて厚地、薄地とも好調であった。ジーンズは相変わらず好調で、付属品も好調を維持している。輸入生地は5月か らPis,Cofins9.25%が課税され(結果12%↑)採算的には苦しくなっている。
(3)綿花の生産量と価格について
ブラジルの綿花生産はこれまで主として国内消費向けであり国際相場へのリンク度が少なかった。しかしオーストラリアの作付け面積減少、中国の 買い付け量↑に伴い国際的に買い付けられ始め、2000年から生産量が急増している。本年の 生産量は前年比68%↑の125万トンと予想さ れている。輸出はそのうちの36%、45万トンと見られている。輸出は先物契約であり(受け渡しも 先)国内紡績は原則期近契約である。本年上 期は天候不順の影響により上級原綿の生産が少なく、また輸出デリバリー優先により(国内紡績は)買い付 けにやや苦戦した。
Ⅱ.下期の展望
1.繊維小売市況
寒波襲来、在庫一掃によって小売店の資金繰りは楽になり春夏衣料の店頭導入はスムースにいくと予想される。8月の気温次第で商品仕入れの本格開始が9月に ずれ込む恐れはあるが必ず活発化すると縫製段階は楽観している。さらに最近の報道によれば各種経済指標は上向きのようであり消費性向はさらに上向くと予想 されていることも製品生産段階の下期展望を明るくしている。この楽観は原糸販売、生地販売、輸入製品販売各層共通である。懸念材料は各分野によって異なっ てはいるが多少見受けられる。
2.懸念材料
(1)綿糸生産販売
①国内原綿動向が読めない
下級綿 相場が下がりすぎて来年の作付け面積↓の恐れがある。
上級綿 相場が急騰するとの見方はないが量に関して二通りの見方がある。
a.天候不順継続で生産量が少なく、手当てに困る事態になるか
b.売り惜しみ玉の出現と船積みが出来ない輸出玉の還流で数量の心配がなく、価格も↓する。
②国際相場は中国次第という点で下期から来年にかけて変わらないが、北半球綿産国の豊年期待のもと全世界の生産量↑が予想されている。価格弱含みというのが大方の見方であるが、中国動向が読めず従って相場も読めない。
③綿糸輸出は船便やコンテナの不足、フレッチの高騰、レアル高傾向、アジア勢との競争の中で販売量、価格とも↓傾向にあり前年実績を下回りそうである。
④電力代の高騰は4月からであるが下期はフルにマイナス寄与してコストを押し上げる。アップ率は州により異なるが10~30%であり企業努力ではカバー出来ず、業績↓が確実である。
(2)絹糸では仕入れ値を17%↑したが養蚕の休止に歯止めがかからず原料繭の手当てに苦労しそうである。
(3)薄地織物ではアルゼンチンの輸入規制を心配している。クオーター等の輸入規制が実施されると大きな打撃を受ける恐れがある。
Ⅲ.その他
1.ルーラ政権下の影響と課題
(1)税金の↑と煩雑さPis,Cofinsの課税範囲
輸入課税
(2)ストライキ頻発原綿輸入の遅れ、原糸輸出の遅れ
(3)インフレの押さえ込みは評価するが、景気対策が少ない。
(4)センノッタ、メイヨノッタ企業問題の放置→安値玉対策
2.中国とのFTAで糸、生地、製品の輸入関税が無くなると繊維生産業界は壊滅状態になる恐れがある。(綿花生産は除く)
以上
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食品部会 疋田食品部会長
疋田食品部会長輸出は好調だが、船腹、コンテナ不足に悩まされる
国内はまだ素直に「儲かった」といえず、下期に期待をかける
疋田 食品部会の三井アリメントス、疋田でございます。食品部会上半期の回顧では、食品部会を輸出と国内の二つに分けてお話します。輸出は引き続き好調を持続しています。ただ好調を持続しているが故にいろいろな問題が起こっています。
それは船積みの問題。それから積み出し港の処理能力不足の問題。それから商品を詰めるコンテナ不足の問題などです。
一方、国内市場は、昨年は停滞状況にありましたが、今年は、回復の兆しが見えています。食品全般については、生産量で前年同期比3%程度の伸びと言われていま すが、食品でも多くの種類の商品があり、一部の商品を除いては国内消費市場での好況感がわれわれメーカー、あるいは販売会社のほうには、もう一つ実感され ておらず、二宮さんの繊維部会のように素直に「儲かった」と言えるような状況にはまだありません。従って、下期に期待をかけているのが現状です。もう少し詳しく申し上げますと、輸出のほうは先ほどから何度も出ております大豆、これは今年の収穫が5200万トンという予想でしたが、天候上の干ばつとか病虫害の影響で4980万トンと当初の予想よりも減産になっています。
しかし輸出は依然好調でして、中国との品質問題も6月下旬に政府間で一応の決着を見まして、これですべてが解決したとは思えませんが、これからも中国向けの輸出を中心に好調持続が期待されます。
来年の大豆の収穫量は、今年の約5千万トンから6千万トン規模にまで拡大すると見込まれています。大豆収量は6千万トン規模見込み - コーヒ園が大豆畑に変わる
実際、私はコーヒー屋でして、ミナス・ジェライス州のコーヒー農園をまわっていましても、つい数ヵ月前までコーヒー農園だったところがコーヒー樹を切り倒して、大豆畑になっていると言う例がいくつもあります。
ブロイラーですが、これは上半期で111万トン。これは前年比21.5%増。砂糖は上期で630万トン。これは前年比53%増という記録的な増加になっております。
オレンジ果汁は135万トン。 これはブラジルの輸出の新記録です。それからコーヒー、これは、コーヒーの豆とインスタントを合わせた数量ですが、上期で 1170万袋。これは数量では前年比約7%ダウンです。しかし金額では8億6600万ドルで前年比19.4%増となっています。コーヒーもここ3、4年続 いた歴史的な国際相場の安値から少し回復して来て、昨年2003年の上期の平均から比べると、国際相場の指標であるニューヨークの先物市場価格で平均約 16%値上がりしている。これが、輸出金額が伸びている原因です。食品添加物の対日輸出増加
あとは食品添加物、香料等です。これは主に日本向けですが、日本市場の末端消費が好転している結果、これらの輸出も増加しています。
ただ先ほど、触れましたように、船腹の不足、また、船に積んだはいいけども、抜港により貨物が本来の仕向地で降ろされないと言うような問題も起こっており ます。コンテナ不足による港での滞貨、それによる保管費用の増加が報告されています。それから、サントスはじめ積出港の、貨物の処理能力の不足というよう な、インフラ上の問題も表面化して来ています。
国内では、これは今年の上半期に総需要の拡大が期待されたけれども結果としては1.3%程度、わずかに前年を上回る程度で、期待ほどには盛り上がりませんでした。
価格も若干下がり気味で、シェア拡大、数量拡大をメーカーさんは努力されましたが、各社の評価としては厳しい上期であったということです。
乳製品市場は競合が激しくて、特価販売が常態となっており、乳酸菌飲料、これは特に競争が激しくて、生産量で前年同期比13%減。それからヨーグルト類が4.7%減、デザート類が18%減と、この辺は前年対比で生産量が落ちております。調味料、コーヒー共に増加 - 日本食レストランは飽和状態(サンパウロ市)
調 味料のほうは前年同期比で2%の増で、金額は19%増と、比較的順調な推移となっています。それからコーヒーは、国際相場が16%程度、値上がりしたこ と、また、ブラジル国内市場の成長が依然として続いていることから数量、金額ともに前年比増加。ブラジル・コーヒー工業会(Abic)の発表では国内の コーヒー市場は前年比5%程度拡大するだろうとの予想です。
それから日本酒、しょうゆ等ですが、これらの主要顧客である日本レストランについて、以前、サンパウロ地区で600軒あるという記事が出ました。 皆さんもご覧になったと思いますが、どうもこれは誇張された数字のようで、300軒から350軒が実態のようです。
ただ今年に入って、新規開店のペースが昨年に比べてだいぶ落ちて来て、とくに市内では新規開店が減っており、日本レストランは飽和状態、最近の新規開店は地方都市のほうが多いそうです。
販売の状況としては上期、お酒は前年同期の水準は数量的には確保出来たが、競争が厳しくて採算的には苦しいと言う報告がありました。業界は政府にトレーサビリティ-体制確立を希望
下期輸出は引き続き好調を持続。ただ、消費国から品質管理の要求が更に強まると思われ、品質管理の一環であるトレーサビリティー体制の確立が必要であると思われます。
それから国内は雇用の更なる改善等によって、景気回復が末端商品に及ぶことが期待されており、すでに6月は、大手スーパーの売り上げが前年同期比11%増で、下期がよくなるとの予想の一端がすでに見えて来ているような気がします。
ブラジル政府への要望ですが、これはもう皆さんが挙げた項目と殆ど同じですが、トレーサビリティー体制の確立のために、ブラジル政府が積極的に関与して欲しいという希望がありました。
それから輸出港の能力改善への設備投資、インフラ整備。先ほどから出ております税金の簡素化、明確化。それから、まあ、一般的な話しですがインフレの回避、そして通貨の安定というのが食品部会からの報告です。以上です。司会 それではご質問をお受けしたいと思います。いかがですか。はい、どうぞ。
多田(伯国三菱商事) ブラジル政府への要望という、そのトレーサビリティー体制確立のために、ブラジル政府に関わって欲しいと言うことですが、もうちょっと具体的に言うと、どう言うことなんでしょうか?
トレーサビリティー情報、チリの例
疋田 こ れは、一つにはチリで、チリ財団と全国商業会議所が、チリの産品、食品の業者向けに、インターネットで「食品トレーサビリティー情報」を提供するようなサ イトを立ち上げて、それをチリ政府が積極的にバックアップした例があるとの報告がありまして、それと似たような事を実現するための後押しが欲しい、という 希望がありました。
伯国産と輸入日本酒、三井、三菱の競争?
司会 すいません。私いま一寸、医者から禁酒を命ぜられているんですが、先ほどのご説明で、お酒の価格競争が厳しいって言うお話しがあったんですが、例えば東麒麟に対する対抗馬はあるんでしょうか?
疋田 現在、市内の日本レストランにおいてあるのは東麒麟に代表される国内生産物、それと輸入のお酒ですね。輸入のお酒も日本から輸入された製品と、カリフォルニアから輸入されたお酒などがあります。それぞれに価格は違いますが、全体が、競合相手とおっしゃっています。
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食品部会(レポート)
1. 2004年上期の回顧
「総 論」
輸 出農産品目は引き続き好調を持続しているが、それが故に、船腹不足、積出し港の処理能力不足、コンテナー不足などの問題が表面化している。一方、国内市場 は、停滞状況にあった市場にも回復の兆しが見られており、食品全般については生産量で前年同期比3%程度の伸びが伝えられる。しかし、一部の商品を除いて は国内消費市場での好況感はまだ実感されておらず、下期に期待がかかる状況となっている。
「輸 出」
主要輸出品目である大豆は、中国との品質問題が6月下旬に政府間で一応の決着を見たものの、今後も影響は懸念される状況であるが、2005年クロップは60百万トンを上回ると予想されており、輸出の主役であることは変わらない。
ブロイラー輸出は1-6月で1,110千トンと前年比21.5%増。砂糖は上期6.3百万トン(前年比53%増)。オレンジ果汁1,351千トンと輸出の新記録達成。コーヒー(豆及びインスタント合計)数量では上期11.7百万袋と前年比92.8%なるも、金額は866百万ドルで前年比19.4%増。
日本市場の末端消費が好転した結果、食品添加物、香料等の輸出も好調。一方、積出し時の問題が数多く報告された。船腹の不足、船の跋港による貨物の仕向け地未着問題、コンテナー不足による滞貨及びその保管倉庫費用の増大、積出し港の貨物処理能力不足等々。
「国 内」
即席麺は、総市場拡大の期待に反し、前年を僅かに上回る程度で、販売価格も幾分下がり気味、シェア、数量拡大を図るも厳しい上期となった。乳製品市場は競合激しく価格は特価販売を余儀なくされている。
乳酸菌飲料類は特に競合厳しく、生産量で前年同期比13%減、ヨーグルト類が4.7%減、デザート類が18%と大幅な落ち込み。
調味料市場は前年同期比数量102%、金額119%と伸長を見せ順調な推移。コーヒーは、国際相場が前年比約16%程度値上がりしたこと、ブラジル国内市場の成長が依然続いていることから、数量、金額共に前年比増加。国内市場の規模は、焙煎業者協会(ABIC)の発表では前年比5%程度の成長という。
酒、醤油等の主要顧客である日本レストランは、以前サンパウロ地区で600軒と報道されたが、実際には300-350軒ほどである。新規開店のペースも昨年の半分程度に落ちて来ており、地域的にもサンパウロ市内はほぼ飽和状態、現在は地方都市の方が動きは良い。
上期の酒の販売は、前年同期の水準は確保できたが、価格競争は激化している。
1. 下期の展望
輸出は引き続き好調持続の見通し。消費国からは、品質管理の要求は更に強まると思われ、トレーサビリティ体制の確立が必要。
国内は、雇用の更なる改善等により景気回復が末端消費にまで及ぶことが期待される。既に6月には、大手スーパーの売上、前年同期比11%増とその一端が見られている。
2. ブラジル政府への要望
- トレーサビリティ体制の確立のための伯政府の積極的な関与
- 輸出港の能力改善への設備投資、インフラ整備
- 税金の簡素化、明確化
- インフレ回避、通貨の安定
以上
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電気電子部会 瀬山電気電子部会長
瀬山電気電子部会長1-6月はきわめて好調だった家電業界
カラーデレビは今年700万台を超えるいきおい
瀬山 電気電子部会から、ご報告させて頂きます。パナソニックの瀬山でございます。われわれの部会は、事業している企業数、登録会員社、25社あります。それを 四つに分けまして、家電耐久消費財7社、電子部品産業6社、通信・電力・産業機器7社、精密事務機器5社という構成で、それ以外に個人とか、オブザーバー で部会を構成致しております。
今日、あの、三つのポイントからご報告をしたいと思うんです が、一つは業界の全体の動きを代表すると言うことで、家電のこの上期全体の動き。二番目が会員企業のこの上期の実績並びに下期の見通し。それから、三番目 に、ルーラ政権の影響と課題、というポイントからご報告したいと思います。
最初に業界の動きですが、これはいろんな統計資料等で発表されており、ご覧になられている方もおられると思いますが、一部推定を含みます。
2004年の上期、1~6月ですね。これはメーカーとしての出荷台数を見て行きますと、カラーテレビが前年同期比160%、オーディオ機器が115%。そ れからDVDの再生機214%、倍以上ってことです。それから電子レンジ146%。車に備え付けられていない、市販されておりますカーステレオが117% と言うことで、浅賀さんのほうからもご紹介ありました通り、家電業界1~6月のメーカー出荷台数としては非常に好調です。で、これが前年同期比です。前期比、去年の7月~12月とを見ますと、カラーテレビが105、オーディオ機器で 69、DVDの再生機が100、電子レンジが117、カーステレオが100%で、傾向的にはカラーテレビ等の去年の7月以降、前年同期比で上回り始めた傾 向が今年の上期も続いていると言うことで、去年の1~6月がまた、前年、前々年比で悪かったいうことで、数字が非常に大きく見えると言うふうにご理解頂い たらいいと思いますが、おしなべて、家電のメーカー出荷台数は、申し上げた通り非常に好調というのが、実体であります。
ちなみに代表的なカラー テレビの年間の見通し数字を見ますと、今年1~12月で700万台を超えるであろうと言われております。この台数は1997年にさかのぼり、その時に 800万台という数字があります。その前年96年が870万台で、それ以降は実は500万台前後をウロウロしておりまして、7年ぶりの大台700万と言う ことで、非常に活況と言えると思います。家電関係の価格は、工業材料値上げとは反対に値下がり
一方、では単価は先ほど化学品部会とか、機械の部会のほうから、鉄の値段、鋼材の値段とか、工業材料が2割上がったとか、2ケタ値段を上げたとか、われわれは全部被害者であります(場内笑い)。
そういう、値上げを受けながら、これは工業界の実際の数字ですが、じゃあ価格はどうなっておるかと言いますと、私共の一般消費家電関係、テレビは去年の同 じ6月に比べて9%値段が下がっております。今年の1月に比べて6月はマイナス1.5と値段が下がっております。おしなべてですね、大体8%、9%前後。 それから今年1~6月を見ましても、価格が、1.5~2%下がっている。もちろんヘアルベースですが、それが価格実態でありまして、インフレが抑えられな がら、1~6月で消費者物価指数3.5%だと思うんですが、それ以下、マイナスの単価下落が続いておる業界と言うことも一つの特徴だと思います。もう一つの特徴は、マナウスのデジタル機器の生産が活発に行われております。プラズマテレビ、デジタル・スチール・カメラ、それからDVDレコーダー等の現地生産が始まっておると言うのも特徴であります。
では、なぜこれだけメーカー出荷台数が増えておるかですが、一つはやはり、大手量販、流通による「10カ月金利ゼロの割賦販売」という信用売りの拡大が、 このメーカー出荷台数増加の大きな要因ということで、それ以外は会員メンバーが集まって部会をやっても「なかなかいい要素ないね」と「でも売れているね」 と言うところです。二番目に、会員企業でずっと、毎年、年2回アンケートを採っております。上期の販売はどうであったか、その施策はどうであったか、業績はどうであったか、という観点であります。
家電関係で行きますと、やはり、いま申し上げましたようにメーカー出荷の好調な数字を背景にして、少ないところで2割、多いところで、まあ、本格生産を始めた特殊要因から「2倍になりました」、というところを除きまして、やはり20%から30%以上は伸びています。部品、精密事務機器も増収、業績も「よかった」
で、それのバックにあります、部品産業もやはり120%から130%伸びています。通信産業機器も100%から一部180%。精密事務機器で100から113%。と言うことで、上期は皆さん増収であったと言うことです。
そのなかで企業業績はどうだったか、ですが「大変よかった」が3割。「よかった」が4割でですね、7割が「よかった、大変よかった」で、あとの3割も「計画通り」と言うことでした。
昨年同じようななかで比較を一寸みますと、昨年、「よかった」というのが3割、「悪かった」というのが5割で、「計画通り」っていうのが2割ありました。で、昨年「計画通り」の2割はですね、「計画通り悪かった」と(笑い)。今年は「計画通り」の3割も「計画通りよかった」と言うことですので、「おかげ様で、二宮さんのところ程じゃあないかも知れませんが、まあまあ」という業界だと思います。
下期につきましても、いまの流れのなかで、後ほど述べます不安要因がいくつかありますが、業績見通し、売り見通しとしては家電関係すべて、大体低いところで、「前年下期並み」。多いところで「120から130%の増収を見込んでおります」と言うことです。
えー、 「よかった」のやはり、要因の大きなものは為替の安定。私共の業界、マナウス生産の比重が家電、部品、それから精密事務機器を含めて高こうございます。そ のなかで、やはり輸入比率が高いと言うなかでは、やはり為替の安定が業績の安定に非常に寄与をしたと言うことかと思います。リストラ、ソフト化後に通信産業機器は好調
だが、今後大きくのしかかる税制恩典一部廃止のインパクト
ま た、一つ特徴的なのは通信産業機器。従来、インフラ整備一巡、民営化一巡等で苦しんでおられ、リストラを行ったり、仕事の中身を大きくソフト化されたりと 言うことで、通信網の整備の進捗等からインフラ環境整備の投資増加と言うことで、通信産業機器の業界の皆さんも非常に好調というのが特徴だと思います。
三点目の「ルーラ政権への影響と課題」という観点ですが、これは非常に大きな問題があります。マナウス生産での製造事業に対する恩典の変更です。非常にド ラスティックな変更が行われております。2004年の4月から中間材メーカー、まあ、特殊部品のメーカーと言うのをイメージして頂けるといいんですが、州 税のICMS(商品流通サービス税)の恩典がなくなりました。これで、部品価格が約15%、値上げ要素になっております。
それから、実は今週か らといいますか、2004年8月からマナウス域内で調達する部材についてのPis/Cofinsの恩典が撤廃されました。 これは、あの、商品価格に対し てインパクトが5%から8%あります。これは今月からで、私、こんなところで悠長な話をしている場合じゃない。見てみますと、家電の皆さん、誰もここに来 られていないようです。下期は不安をいっぱい抱えて走っている業界
そ れから10月から、アマゾナス州以外の12州が、州外調達品のPis/Cofinsの恩典を撤廃するとかですね、税制変更、恩典変更によりもろに悪影響、 コストアップ影響を受けております。これについては市場価格への反映と言うことなんですが、先ほどご紹介致しましたような市場価格の状況のなかで、これか ら、家電、精密事務機器等マナウス生産部分につき、これを市場価格にいかに反映できるのか、転嫁できるのか課題でありますが、過去マナウス製造事業につい ては、「輸入部材を入れ過ぎ、輸入でドルを遣い過ぎる」と。「マナウスでもっと物を買え」と。それから「ブラジル産品を使いなさい」と業界に対して非常に 大きな働きかけがありました。
今回の税制変更、恩典の撤廃は、それを真面目にやったところがみんな割りをくらうと言う非常に腑に落ちないというか、一貫性のない方向性であります。
実は一昨日もブラジリアのほうで、業界、それからアマゾナス州政府を含めた陳情を行っておりまして、私共からも人を派遣しましたが、その時の様子を聞いて おりますと、やはりパロッチ大臣の力が非常にこの面では強くて、増税、税収アップと言うところに対する、閣内の力が強くて、今回の恩典撤廃が非常に、いま のところ、ロビー活動を展開するなかでも不利な状況にあると言う実態でありまして、非常に危惧をしております。ということで、私共の電気電子部 会の各メーカーはご紹介しましたように非常に好調な、業界出荷ベースではありますが、この下期に向けては税金の、恩典廃止の問題、並びに為替動向等、非常 に不安をいっぱい抱えて、一生懸命走っていると言うことです。以上を、電気電子部会の報告とさせて頂きます。
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建設不動産部会 阿部建設不動産部会長
阿部建設不動産部会長景気回復の実感がなかった上期
阿部 7月から建設不動産部会の部会長をさせて頂いています、戸田建設、阿部と申します。よろしくお願い致します。
われわれの部会のほうは、いままで、聞かせて頂いたみなさんの部会とは違って、あまり好景気な話はありません。今回の部会に参加して頂いた会員の方がアン ケート調査を含めて4社と、非常にその分母が少ないものですから、全体をまとめた形で発表させて頂くと、なんか一寸、えー、無理があるかなと言うことで、 大変恐縮ですが、箇条書き的に各社さんのポイントを述べさせて頂きたいと思います。
急に話しが飛ぶような所もあるかと思いますが、ご容赦願いたいと思います。まず、2004年上期の回顧ですが、全体的に設備投資が低調で、昨年後半から期待されていたほど発注案件は増えなかったと。景気回復の実感はあまりない。
二点目として、4月以降に資材の値上がりが顕著になり、収益を圧迫している。その影響もあり業績確保のため、人員削減を余儀なくされている。ブラジル国内 の主要建設資材の値段は、需給バランスによる市場価格というよりも、一部の寡占業者による価格操作により決められている面が強いため、先の見通しが立てに くい。三番目として建材販売は4月以降、回復傾向にあるが、価格的には非常に厳しい。
四番目。昨年顕著に見られた工事進捗の遅れは、今年は少なくなっている。
五番目。サンパウロ近郊のABC地区のアパート販売は低調で、成約ずみローンの、CEF(連邦貯蓄銀行)の資金不足で実行が遅れている、ということなどが、会員の方のお話であがっております。下期も企業設備投資は低調推移見込み
次に、副題にもありますポイントに触れながら、下期の展望をのべて見ますと、まず一番目としまして、景気回復を期待はするが、現実には明るい見通しとはい えない。失業率が依然高く、また、ガソリン、交通、通信関連費値上がりの影響で、可処分所得も目減りしているため、国内向けの設備投資は、今後も低調に推 移し続けると思われる。とくにルーラ大統領が、まるで独裁政権をとったように外遊や専用機購入など景気回復とは無関係な行動をしている限り、景気回復はあ り得ない。この辺は、先程からの各部会の発表のですね、それらの流れとまるっきり逆の感想が出ているので、ちょっと面白い感じも致します。
二番目は、市長、市議会選挙が間近に迫り、公共工事は停滞し市場の活気が失われる。この辺は逆に、そういう選挙目当てに公共事業の発注が増えるのでは、と 言う意見もあったのですが、そう言うことが起こるのは半年からそれ以前であると。ごく間近になると、発注業務はされないという傾向があるということです。
サンパウロ市内の集合住宅物件は回復傾向
三番目は、サンパウロ市内の集合住宅物件。これに関しては昨年のゾーニング変更の影響で、建築許可取得件数が、昨年は、一昨年に比べて20%減少しました が、今年は回復して一昨年程度、年間で600~650件。これはあくまでも正規に建築許可を取得した件数なので、まあ、取得しないで建設した物件も数多く あると言うことで、総数が一寸つかめないが、いずれにしましても、サンパウロ市内での集合住宅物件に関しては、非常に回復傾向にあると言われています。
四番目。一部輸入に頼らざるを得ない資材に関しては、フレート等の上昇が大きなコストアップの要因となっている。
五番目。中国の好景気によりアルミ地金が高騰し、しばらく継続する見通しである。為替の動き如何によっては更なる上昇も考えられる。
六番目。社会的に厳しい状況が続くなかで、今年は社内改革、人材育成に努めているが、失業率が高いと優秀な人材は流出しがたいので、なかなか良い人材を市場で見つけ出すことができない。
七番目。建設業界には最低賃金に近い職種が数多く含まれているので、賃金アップは政府の後押しもあって、確実に行われることになり業績を圧迫している。
八番目。不動産業界では一部の高級集合住宅への投資が引き続き期待が持てる。九番目。FTA問題が業界に直接、影響を及ぼすことはないと思われる。
と、以上のように、やはり先行きの見通しとしては、一部の不動産物件に関しては、上昇傾向があるのですが、それ以外は期待が持てない、という意見が多くありました。セメント販売量は上期に増加
最後に、サンパウロ州建設業組合の最近の統計値から業界の動きを見ますと、われわれの大きな指標になっていますセメント販売量。これが過去4年間はずっと 減少し続けておりました。それが今年の1月から6月の上半期はですね、前年比でプラス5%と、久しぶりにプラスに転じております。と言うことで、建設工事 量そのものは昨年に比べて増えています。ちなみに昨年1年間のセメント販売量を前年比で比べますとマイナス11% ダウンしておりました。
それから建設労働者、これも今年上半期の半年間で、昨年末の時点で比べると、人数で13,000人増、率で言いますと約1.1%の増加となっております。 と言うことで、まあ、無理やり最後に結論付けますと、建設業界では昨年に比べて若干上向きの傾向が見られるものの、はっきりとした業績回復には至っておら ず、また不動産業界でも一部の高級集合住宅を除いては、同様に厳しい状況にあると言うのが、結論です。一般的に申しまして、建設業というのは世間一般の経 済指標の約1年から1年半、長いときは2年遅れで同じぐらいの率の回復をすると言われていますので、これは希望的観測も含めてですが、今年後半、それも年 末から来年にかけて業界全体が業績アップ出来るのではないかと思っております。以上です。
不動産投資が高級アパート建築増につながる
司会 あ りがとうございました、ご質問ございませんか。ちょっと私の個人的興味というか、あの、私共ジャルジンスに住んでいる人間多いんですが、あの近辺でこの1 年半ぐらいですか、駐車場が3つ4つあるようなアパートが相当な勢いでバタバタと建って来ているような感じがするのですが、それはどう言う傾向の中でそう 言う現象が出ているんでしょうか。
阿部 これは今回の部会で、直接お話しを伺えなかったのですが、別の機会に何人かの方から聞いている話しでは、やはり言われているように、お金の投資先の分散、 銀行ですとか、株式投資だけではなく、不動産という残るモノ、価値のあるモノに投資してそれを持つという考え方のお金持ちの方が投資をされていると。です から決して実の需要がそこまであるとは言いきれないと。これは、又聞きなので大変恐縮ですけど、そう言うふうに聞いたときもあります。
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建設不動産部会(レポート)
建設不動産部会は、建物の建設 を主体とする建設業者(ゼネコン)と、アパート・住宅の販売、及び事務所ビルの賃貸・販売を含む不動産業者から成っている。今回初めて部会長という立場で 会員の方々のお話を伺ったが、業界全体の現状を表すには分母となる参加企業数が余りに少なく、全体像ではなく、特定個別企業の話しのまとめである。
2004年上期の回顧
①全体的に設備投資は低調で、昨年後半から期待されていた程発注案件数は増えなかった。景気回復の実感はあまりない。
②4月以降資材の値上がりが顕著になり、収益を圧迫している。その影響もあり業績確保のため人員削減を余儀なくされている。ブラジル国内の主要建設資材の 値段は、需給バランスによる市場価格というよりも一部の寡占業者の価格操作によって決められているため、先の見通しが立ちにくい。
③建材販売は4月以降回復傾向にあるが、価格的には厳しい状況にある。
④昨年顕著に見られた工事進捗の遅れは、今年は少なくなっている。
⑤サンパウロ近郊のABC地区のアパート販売は低調で、成約済みのローンもCEFの資金不足で実行が遅れている。
2004年下期の展望
①景気回復は、期待はするが現実には明るい見通しとは思えない。失業率が依然として高く、また、ガソリン・交通通信関連費が値上がりしたため可処分所得も目減りしている。国内向けの設備投資は今後も低調に推移すると思われる。
②市長、市議会選挙が間ぢかに迫り公共工事は停滞し、市場の活気が失われる。
③サンパウロ市内の集合住宅物件は、昨年のゾーニング変更の影響で建築許可取得件数が前年に比べ20%程度減少したが、今年は一昨年度程度(600~650件/年)まで回復するものと見られている。
④一部輸入に頼らざるを得ない資材に関しては、フレートの上昇が大きなコストアップの要因となっている。
⑤中国の好景気により一部資材(アルミ等)が、世界的高値安定状態に成っている。
⑥社外的に厳しい状況が続く中で、今年は社内改革・人材育成に努めているが、失業率が高いと良い人材は流出し難いので、なかなか市場で見つけ出すことができない。
⑦建設業界には最低賃金に近い職種も多数含まれているので、賃金アップは政府の後押しもあり確実に行なわれ業績を圧迫している。
⑧輸出を伸ばしている業種での設備投資には期待が持てる。
⑨不動産業界では、一部の高級集合住宅への投資が引き続き期待が持てる。
以上
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運輸サービス部会 平野運輸サービス部会長
平野運輸サービス部会長通過ビザたたり、米国経由路線は減便
平野 華 麗なキャリアさんから「運び屋の私」、まあ、別に密輸やっている訳じゃないんですが、受け継ぎましたので今後とも一つよろしくお願いします(笑い)。ウチ の部会は「運輸サービス部会」と言うふうになっていまして、運輸のほうは、それなりにまとめられるんですが、サービスのほうが、全部で会員67社ですか、 その中を取りまとめるのは大変なんです。実は、「事前部会開きますよ」と号令掛けても、出席される方はなかなかいなくて、いつも見る顔ばかりで、その中で まとめた内容ですので、一つご了承願いたいと思います。
まとめ方としまして、まず旅客関係、ついで貨物関係、それからサービス業界、それぞれの、「回顧と展望」という形で、要約的にまとめましたのでご了承願います。まず航空業界の回顧ですが、根本的にこれはテロから始まっていますが、前回も、発表されたと思いますが、米国通過のビザ取得の影響。この影響が非常に大き く、とくに日伯間の米国経由の部分が旅客も少なくなるので減便せざるを得ない。これは日本航空さん、及び VARIGさんは減便しています。その減便した流れは欧州経由のほうへ皆さんが回避している。で、このビザ取得のためのアメリカ領事館は二カ所に限られ て、取得料だけでも100ドルかかる。そこに行くまでの旅費を考えればとんでもないと。これが欧州経由のほうへ回避している事の原因です。
二番目は、DAC(運輸省航空局)の運賃統制。運賃統制っていうか運賃の均一化という法令が出て、そのルールを遵守することは当然良いのですが、それが逆に外国キャリアにして見れば競争力に欠け、集客力が弱まる影響があると言うことです。
三番目は、VARIGとTAMの統合。これは消滅して、今後は共同運行で経営の向上を図って行くと言うことになりました。
下期の展望としても期待するところは多いが、日本経済の立ち直り及び国内為替の動向は安定してもらいたい。もう一つは、ブラジル・中国の親密化により、今後中国は脚光を浴びてくる。その中で人の往来増大に期待したいと言うことです。国内旅行者増えたが、原油高による航空運賃値上がりが心配
それから旅行業界は、航空業界と同じようにビザ、運賃統制によって販売がやはり苦しい。特に国際間旅客の人数が鈍化した。 逆にその半面、ブラジル国内旅行に人気が出て、特にリゾート地には、ここに来てシーズンに向けての予約が急増していると言うことです。
従いまして、展望はそう言うところに期待していますが、一寸心配なのが原油の問題でまた運賃が上がる事です。それからアメリカ通過によるビザ問題の継続及び検査の強化、これらが引き続き懸念されるところです。輸出好調でコンテナ定期船、自動車船に船腹不足
次 に貨物関係です。まず、船社さん。いままでの皆様の発表のなかで、船腹が足らないと言うお話ですが、全くその通りの報告が来ていまして、とにかく荷動きが 好調で、バラ積中心の農産物の好調さが加担し、その影響としてコンテナ定期船の船腹不足、自動車関連の輸出急増が、今上期に波及している。またブラジル・ 極東間の荷動きが活発で、とくに中国を中心に往復路で急増している。
ブラジル・欧米間はブラジルからの輸出が顕著ですが、輸入の伸び悩みが先ほどのお話しのコンテナ不足に影響しているような感じです。
それから船舶の混雑。これは去年もそうだったのですが、例年の税官吏のストライキや港湾インフラの不整備等で、貨物滞貨が恒常化している。
もう一つ運賃ですが、先ほどもおっしゃいましたが、運賃が上がったと言う事ではなくて、船舶需要の逼迫で、いまの運賃は2001年のレベルへ回復していると言うことです(笑い)。展望ですが、引き続き荷動きは好調であろうと。で、定期船社のサービスの増強を図り、自動車部品主体の輸入増に期待。またブラジルからの輸出は、日本向け の綿花や収穫後の農産物に期待。これらが下期に向けて増加すると予想され、船社さんとしては、更なるコンテナ、船腹の供給に努力したいが、コンテナの供給 不足の影響が下期に危惧されるという報告です。
伸びているフォワーダー扱い貨物
次にフォワーダー業界。私のところもそうですが、フォワーダーというのは、船も飛行機も持たずそれらを利用して物を運ぶいわゆる混載業者ですが、上期回顧 としては、船社さん同様にやはり貨物は全体的に伸びています。輸出入ともに増えているところは、やはりアジア発。日本発も含めて増加していますが、やはり 中心は中国発。その貨物の内容としては自動車の部品、部材、並びに電子機器、部品、部材です。
また、ブラジルからの輸出もやはり同様に自動車部品、部材、それから農産物、海産物、切り花、健康食品等が出荷されています。
なお、フォワーダーは、どちらかと言うと航空便を主体にした貨物取扱いですので、船荷の取扱い部分では若干違います。船便で動いている部分は皆さんも FCLですべて準備されますが、残りの少量貨物を取扱うという意味合いで、とくに航空貨物取扱いを念頭に入れて貰らえれば良いです。それから燃料の高騰とテロの影響で、輸出国から出荷する場合、ブラジルにとっては輸入ですが、その貨物輸送に対してセキュリティ-サーチャージとフュエー ルサーチャージと言う取扱料かかっています。当然アジア、日本もそうですが、アメリカ、ヨーロッパ、すべての輸送貨物にそれがかかっていますが、各キャリ アによって若干差はあります。
セキュリティ-サーチャージは大体、10セントから15セントですね。それからフュエールサーチャージがやはり10セントから15セント。これらは運賃とは別にキロ当りの料金でかかっています。
ブラジル発輸出の場合、このフュエールサーチャージだけがかかり、ヨーロッパ系の航空会社が25セント、VARIGは20セントです。ただし、セキュリティーサーチャージの方は、ブラジル側では取っていないです。船腹、航空機のスペース不足は慢性的
下 期の展望ですが、輸出はやはり好調で、先ほどと同じようにコンテナ、船腹、航空機スペース共に供給不足が危惧されます。キャリアさんの対策としては、輸出 入両面において、増便並びに機材の大型化に期待したいですが、なかなかキャリアさんとしても難しくて、現在、アメリカ・ブラジル間を飛んでいる大きな、 ジャンボは別にしまして、普通アメリカ系は767ですね。 777であればジャンボ機より若干少ない重量まで積めますが、それら大型機材はやはり、アジア 方面へ持っていかれています。だから、こちらになかなか持って来る事が出来ない状況のようですね。たまたま昨日、 UAの人間と話していたら、そういう話しがありまして、ちょうど良い機会と思いご説明しました。
アジア・日本間では貨物機が飛んでいますが、ブラジルに飛来する貨物機会社も数社しかなく、それも週に1便、2便ですので、やはり航空会社としても荷動き が大量で活発な地域へ大型機材を持って行く流れにあります。そういう意味合いでは、やはり船社さんも同様で船を大型化することを考えているが、なかなかこ ちらまで配船出来ないと、伺っています。
次にサービス業界ですが、これはご報告を頂いたところだけの発表にさせて頂きます。固定電話の需要急落、日本の既存サービス導入に注力
ま ず、通信サービス。KDDIさんの報告ですが、確か前回も同様でしたが、固定電話の需要が急落している。低所得者層はプリペイド方式の携帯電話へ移行して いる。固定通信業界としては、今後付加価値を付けたサービスの提供、通信先進国へのアプローチが進んでいく。そういう意味合いでは、今後は差別化する必要 があり高付加価値サービスの提供。要するに、現在の日本の既存サービスを今後導入していくと言うことですね。
それからクーリェサービスですが、われわれフォワーダーと同じですが、やはり税官吏ストの影響によって、例えば新聞配送が遅れたとか、通関の簡素化・迅速化が過去から大きな問題になっている。
それから市内のバイク便は、相変わらず会社設立が簡単なので、ずいぶんと会社も増えて来ている。脚光あびている中国観光 -インフラ整備不足が難
最 後になりますが、個別テーマとして皆さんから頂いた意見ですが、まずは中国観光。問い合わせも結構入って来るのですが、要するに中国側の観光インフラの整 備。これが、北京・上海であれば良いのですが、地方の整備がまだできていない。要するにホテルとか、航空便だとか、そういう情報がなかなか取れないと言う 部分があるらしいですね。
それから、中国関連としては、当然われわれ運送業、キャリアさんもそうですが、中国へは皆様メーカーさんと一緒に進出 していますが、ブラジルと中国間の物流においても、少なくともブラジル系の業者より我々日系業者のほうが情報を持っていますし、中国も広いですから輸送及 びロジスティック関連のことで何かございましたら、部会並びに所属している企業へ問い合わせて頂ければ良いと思います。
もう一つは、日伯のFTAの件です。これも先ほどからお話しが出ていました燃料用アルコールには注目できますが、逆にそれを運ぶためのケミカル・タンカーの建造だとか、ブラジル・日本側のターミナル整備など、やはり投資がかなり必要ではないかと言う意見がありました。
最後に先ほどの通関の問題ですが、ルーラ大統領にお願いしたい。税関通関体制の簡素化、何とかならないかと言う意見がありました。 一応、今回私初めてでしたので、ざっと要領だけまとめて発表させて頂きました。どうもありがとうございました。司会 どうもありがとうございました。ご質問お受けしたいと思いますが、はい、どうぞ。
何時解消されるのか? コンテナ不足
二宮 コンテナだけに絞って聞きたいんですが、コンテナ不足の問題いつごろ解消されますか? 見込みで。
平野 そ うですね、かなり、先ほどのお話しから、貿易収支のなかで、ブラジルの輸出がやはり増えています。ということは、入ってくるよりも出る方がもっと多くなっ て、ホントは入ってきて出る、そう言うバランスが取れればいいんですが、まだそういう意味合いではインバランスで、出る方が多いと。
しかもそう 言うコンテナは、もうすべてアジアのほうに行って、いまは、アメリカへの輸出もかなり日本から増えていますから、そちらに行って、どうしてもこちらに回っ てくるのが少ない。 要するに、物流の量が全然違いますので、どうしてもこちらが少ない状況になっているというお話しですね、船社さんの。
どう でしょうね。ブラジルの景気がよくなれば、それなりにまた、上向いてくると思います。ただやはり、物流の量が違いますのと、農産物の普通のそう言うのと繊 維さんとか、家電さんのようなコンテナは別物ですし、ここはとくに農産物のほうで輸出が多いですよね。結局そういう意味合いで、コンテナ不足があるんじゃ ないないかと思います。佐原 あの中国とブラジ ルの間の貿易活発化で荷動きが激しくなる。中国からブラジルに運んでくるときにナショナルフラグという、そういう船のどういうんですか、船主、中国側の船 主ですね。そういう船腹の量いうのは彼らが出す以上に、自分たち潤沢に持っているんですか。ちょっとお尋ねしたいんですが。
平野 い や、それはないと思いますね。中国側の船社って言うのもありますが、そんなに大手の会社はあまり聞かないですよね。まあ一寸、私の経験なんですが、香港に なりますとかなりの船社さんも入っていますし、今後はやはり上海、香港ですよね。ここを中心に動くと思いますし、香港より少し西北上に塩田港が中国にはあ りますし、そこが今ものすごく活発化しています。だから、華南地区よりそちらに持って行くと思われます。または、香港ですけどもね。
佐原 料金はどうでしょうか、まあまあというか、あるいは、国際価格で、彼らディスカウントして安く、と言うようなのはないんでしょうか?
平野 ど うでしょうねぇ。やはり、基本的に考えるのが、航空業務ですが、実はいまからものすごい荷物がアメリカ向けに動くんです。クリスマス用商品で、もうすでに 航空運賃のほうは値上がっています。で、当然、やはり 供給の方が少なくなりますので、それは、船のほうも同じだと思いますね。とくにこの時期から増えます。
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運輸サービス部会(レポート)
「2004年度上期の回顧と下期の展望」
【旅 客 関 係】
航空業界
『回顧』
日伯間については、2003年8月から実施された米国のVISA強化策により南米国籍者はトランジットの場合でもVISA取得が義務付けらた為、今日に至るまでVISA取得の面倒さから、米国経由便が敬遠され、VISA不要な欧州経由並びにカナダ・メキシコ経由便を利用する方が増加傾向にある。この結果、ヴァリグの名古屋便の運休(3便減)、日本航空も1便減となっている。DAC(運輸省航空局)が運賃の統制(均一化)に乗り出し、ファイルしていない運賃を適用した航空会社に違反金の支払を義務付けられているが、全社のルール遵守は効果があるが、米系など多くの会社が反対しているために実効性は懐疑的である。
ヴァリグとタム社の経営統合は実質的に消滅しており、コードシェアー(共同運行)により経営の向上を目指している。
『展望』
航空業界は景気の影響が他業界に比べて遅れがちで、日本経済の全体的立ち直りの効果が下期には実現化してほしいと期待する。また、昨年比較的に安定していたレアル通貨の為替レートが動きつつあるので要注意。ルーラ大統領の訪中以来、活気付いた伯中関係に注目。
旅行業界
『回顧』
航空業界と同様に、VISA問題・運賃統制が販売上非常に厳しい環境となっており、全体的な国際間旅客の動きは鈍化している。反面、ブラジル国内旅客の動きはある程度活発で、特にリゾート地への人気が高く、ルゾートホテルのシーズン期予約が急増している。
『展望』
世界的な原油問題の背景を受けて、国内・国際路線の航空運賃の値上げが懸念される。
継続されるか更に強化されるか米国VISAの取得は、ブラジル国籍を持つ旅行者にとっては非常な経済負担となり、下期も厳しい環境となることが予想される。
【貨 物 関 係】
船社業界
『回顧』
昨年下期に異常な船腹不足が現出したバラ積貨物船(鉱石・鋼材・穀物等を主とする船種)
の市況は一服したが、今期はこの要因でコンテナ定期船や自動車船に波及し、特に輸出貨物へのスペース供給が困難な状況となった。伯国/極東間の荷動きが中国を中心に往復路で急増(前同比30%up)、伯国/米欧間は伯国からの輸出は顕著な伸びであるが、輸入は伸び悩みの状況。伯国主要港では船舶の混雑と、例年の税官吏のストもあり滞貨が恒常化しつつある。このようなコンテナ・船腹需要逼迫状況の中で、やっと運賃が2001年レベルまで回復した。
『展望』
荷動きの明るい見通しであり、各定期船社は主要トレードでのサービス増強を図る。
(北米-南米東岸、北西欧州-南米東岸、亜-南米東岸、各航路:10~20%増供給)
自動車生産部品のアジアからの輸入、伯国発日本向け綿花、伯国農産物収穫後の出荷等、輸出への期待は大きいが、反面、コンテナ・船腹の供給が大いに危惧される。
フォワーダー業界
『回顧』
フォ ワーダー即ち利用運送業者であるが、航空会社・船会社を利用して輸送する業務であり、各キャリアーと同様に伯国における輸出入貨物を取扱う上で、輸出入貨 物共に増加傾向にある。輸入貨物は、量的には圧倒的にアジア・日本からが主流であるが米欧からも増加している。輸出貨物は、伯国の1次・2次産品の好調な 輸出に支えられ、自動車部品・部材の輸出が急増している。また農産物・切り花・健康食品も順調に伸びている。
燃料の高騰・テロ対策に対する各サーチャージが輸出国より付加され、輸入貨物にとってトータル・コスト高となっている、また税官吏・検疫官ストも最終的コスト高を招いた。
『展望』
引 き続き好調な伯国の輸出増に期待できるが、キャリアー同様に貨物スペースの供給が大きく危惧される。各航空会社・船会社によるスペース、あるいはコンテ ナ・船腹確保による供給手段として、増便、機材・船舶の大型化が急務である。好調な輸出は輸入にも反映され、生産用部品・部材並びに消費財の輸入が増加す るものと期待する。
【サービス業界関連】
『回顧・展望』
* 通信サービス:
固定電話の需要は低下傾向にあり、購買力の減少によって月額33レアルの契約額でさえ敬遠する所得者層が、プリペイド方式の携帯電話へと移行する傾向が加速中。携帯電話業界の勢いが止まらない中で、固定通信業界ではデータ・音声の付加価値による差別化を図り、日本含む通信先進国へのアプローチを強化している。
両業界共に、他社サービスとの差別化を模索中であり、既存ベーシックサービスから一歩踏出した高付加価値サービス提供へと脱却し、日本の既存サービスも近い将来に伯国へ導入される可能性を秘めている。
* クーリエサービス:
クーリエと言えども税官吏ストの影響が配送遅延を招く。通関の簡素化・迅速化が課題。
市内バイク便会社は相変わらず増加中。会社設立が簡単過ぎる。
「個別テーマ」
* 中国観光:
ルーラ大統領の訪中以降、ブラジル人の中国旅行の問合せが急増しているが、中国での観光インフラ(国内線便、ホテル、車輌、レストランなど)は、北京・上海大都市を除いて未整備であり、情報収集に留意が必要である。
* 日伯FTA:
仮に締結された場合、船社として注目できる燃料用アルコールであり対日輸出量にも因るが、ケミカルタンカーやターミナル整備が必要でかなりの投資を要する。
* 伯中アジア間輸送関連
輸送・ロジスティック関連については、運輸部会並びに所属企業へ問合せ願いたい。
* ルーラ大統領へ:
税関・通関体制の簡素化を望む。
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自動車部会 内山自動車副部会長
内山自動車副部会長自動車好調、上期に103万8000台生産
収益は素材値上がりや増税に圧迫された
内山 内山でございます。部会長であるトヨタの岡部社長に代わりまして、今日はご報告させて頂きます。部会を大きく自動車、まぁ乗用車と二輪車、それから自動車部品という3つの大きなカテゴリーに分けてご報告させて頂きます。
まず自動車。乗用車のところですが、ここは非常に好調に推移して、この上半期が103万8千台と、1997年に102万台だったんですが、それを上回る生産台数で記録をつくったと言うことです。
内訳でみますと、国内が72万3千台、輸出が27万6千台で、生産、国内販売共に14%の前年比伸張。輸出は4%ですが。まぁ、生産、国内販売は非常に大きな伸張を得ることができました。
で、これの背景、どんなことがあったかですが、国内景気そのものが安定して来たということは弁を待たないわけですが、それと共に、自動車メーカー各社さ ん、低金利、あるいは長期融資というような事で、非常に積極的に売って出られた。一方、週末の販売キャンペーン等と、この上半期は非常に積極的に売ってお りまして、これが大きな伸張をもたらした第一の原因じゃないかと思います。一方で、輸出については隣国であるアルゼンチンの景気がかなり回復しておりますので、この辺を中心に、貿易部会の中でもお話ありましたが、輸出がかなり伸びると言うような状態にありました。
自動車、乗用車は、この下半期どうなるかですが、Anfaveaのいろいろな予測、統計の中では、下半期も順調に推移するだろう、同じような伸び率を維持するであろうと見ております。
ただ一方で、収益面でいきますと、皆さん何度も言われた話しなんですが、鉄鋼、アルミ、あるいは原油を含めまして、素材値上げが非常にきつうございまし た。それに合わせてPIS、Cofinsの増税がありまして、これをすべて売値に転嫁できているかと言うと、自動車の場合は、非常に小刻みに値上げはして いるんですが、十分な価格転嫁はできておりません。ですから収益のほうを相当圧迫する要因になっています。まぁ、それを量の増大である程度カバーしている と言うところのようです。二輪は昨年末来の落ち込みから回復基調にあり
次に二輪車のほうですが、昨年の下半期からちょっと低迷傾向にあり、それまではここ数年間、毎年10%、2ケタ成長を続けて来たんですが、昨年の下半期から鈍化傾向にあります。
その鈍化傾向がこの、1月、2月のところで、いや3月ぐらいにやっと止まり、成長軌道に戻ってまいりました。結果としてこの上半期は、生産台数で3%増、国内販売で3.2%増となっております。
輸出のほうは、国内と比べますと非常に量が少ないんで、変化指数だけ大きくなり、対前年比で53%増となっております。
この輸出が大きく伸びた原因は、各社とも日本で生産していた北米向けモデルをブラジルに生産移管したんだと。昨年から、生産移管が各社とも一部ずつ始まっ ており、これが大きく影響しまして、要するに新規の市場ではなくて、日本が輸出していたものをこちらに生産移管して代替輸出と言うことになって、輸出は増 えております。わずかですが、3%伸びましたので、二輪としては、また新記録を一 応たてたと言うことにはなるが、多少先に向かって懸念があります。二輪業界の場合は生産拠点をすべてマナウスに持っております。日系の会社、あるいはブラ ジル系の会社がマナウスでやっとるんですが、昨年の末からこちら大きく3回ほど増税がありまして、1回目はPIS、Cofinsが上がったこと。2回目 は、瀬山さんからお話しありましたマナウスの商品流通税をはじめとした総合的な税制改革が行われまして、これが各社、それぞれの企業にとって影響度は違い ますけども、おおむね、以前の税制と比べますと3 割ぐらい増税になっているのではないかと思います。
それ、会社さんによって差はありますから何んとも言えませんが、それをいろんな形で1本の減税措置、一律税率じゃなくて、マナウス、州政府との間の個別交 渉という形での減税、あの減税というか、暫定措置がとられましたんで、会社さんによってどこまで最終的に影響が出ているか、一寸ここでは分かりませんけど も、かなり大きな増税があります。
それからまた、7月の末といいますか、この8月から発効されているPIS、Cofinsに対する免税措置の撤 廃と言うことで、二輪の場合、今年は3月に各社とも、3月を基準に各社とも2、3%から4%の値上げはしとるんですが素材値上げ、あるいは税制の変更、 まったくこれ、なんというか、価格の中に入れ込んでおられ、値上げできません。増税には価格転嫁しか対策はない
今 回の8月からの増税に対して、どのように対応するか非常に苦労、苦慮しているところですが、いずれにしても増税には、これを価格転嫁しない限りやって行け ませんので、いずれかの段階で価格転嫁しますが、一方で、先ほどもお話ししましたように、日本からの生産移管を含めまして、輸出を非常に伸ばす、あるいは 全体の生産量を伸ばすと言うことで、各社大型の増産投資をここ数年繰り返してきました。現在も各社共まだ増産投資計画を持っておりますが、これの抜本的な 見直しに入らざるを得ないと。価格を上げれば当然相当量の需要減につながりますので。
まぁ、このような状況で、現段階では、二輪について下期は見通せないと言ったところです。数量を伸ばして、欠損を膨らましても話にならないんで、相当な覚悟が必要ではないかと言うように思います。
そんな中で、また後ほど言いますが、マナウスの公務員ストを含め、港湾荷役が1ヵ月以上にわたって止まるという状態もありまして、生産活動にも大きな支障を来たしておりました。部品も自動車に引っ張られて好調
次 に自動車部品業界ですが、自動車部品業界は大きく自動車、乗用車の影響を受けます。 二輪車の影響は、二輪車そのものが数量的に少ない事もありますが、二 輪車に特化した部品業界がマナウスにありまして、すべてマナウスの商工会議所のほうに入っております。サンパウロ商工会議所には入っておりませんものです から、二輪専業部品メーカーはこの中におらず、自動車に大きく影響されると言うことを、まずお断りしておきます。
自動車が、乗用車が非常によろしかったものですから、部品業界も非常に好調に推移しております。各社さんのお話では、設備稼働率も大幅に上がって、かなり ピークの状態にあると言うことですが、一方で、ここ3、4年間、自動車、乗用車そのものが一寸低迷期といいますか、1997年にピークをつけて以来減産傾 向にありましたので、かなり設備余力の分をその間に、顧客開拓ということで海外にシフトしておりました。
で、販売先をかなり海外開拓に求めた結果、ここで乗用車が伸びると部品さん、あるいは、ある会社さんによっては十分それに対応できない。設備能力的に対応できないと言うところがチラホラ出始めております。
それに対して増産設備、増産投資をするかどうかについては、いまの景気が持続するというのがまだ読み切れませんので、非常に慎重に構えざるを得ないと言うことで、部品業界も苦労しております。部品業界もその設備稼働率が最高の状態にありますので、非常にいいんですが、ここも、ご多聞にもれず、他社と同じように素材値上げ、あるいはPIS、Cofinsの問題を吸収しきれておらず、設備稼働率が上がったことを十分享受している状態ではないようです。
下期は、四輪、乗用車業界が非常に下期もこうやって強気に読んでおりますので、自動車部品業界としても、「このまま下期は大丈夫だ」と言うふうに見ております。政府の朝令暮改の税制、解釈によって変わる税金などが不安材料
個 別のテーマにつきましては、度々出てくる税金の問題、それもありますが、ルーラ政権、ま、部分的には非常に経済面うまくいっていて、安心して見ていられる が、個別の問題に行きますと、透明性がない、一貫性がないという言い方になるのか、税金も、解釈によってどんどん変わってくる。朝令暮改のように新しい税 制が出て来ると言うことで、非常に苦慮しているところです。これは皆さん一緒でしょうけども。
それから、ま、支持率が昨今下がっておりますの で、もともと労働政党政権ということで、大衆迎合的な、いろんな政策が出てくるということを危惧はしております。このまま行って頂ければいいんですが、 どっかで、人気回復のために迎合的なことが出てきますと、われわれ企業側、企業の立場としては、それによって、かなり右往左往とうこともありますので。それから、FTAの問題は、個別の中国とのFTA、EUとのFTA、いろいろありましょうが、自動車部会の場合は、もともと生産拠点を世界展開している関 係で、日本からの部品調達というものは、日本との部品関係での部品調達というだけではなく、いろいろありますので、対応といいますか、時間がありさえすれ ば、多少の対応はできると思っております。
ただ、一方で、そうは言っていますが、開発拠点が日本ですし、日本に依存するところは、将来とも中心 になると言うのは当然ですので、日伯の、あの、FTA が他国に遅れをとる事になりますと、非常に競争的には窮屈な状態になって行くだろうな、ということは懸念しております。中国とブラジルのFTAは脅威
それで一方、完成品につきましては、これはニーズの問題ですが、中国、ブラジルのFTAが締結されると非常に脅威ですね。低品質、低価格のものが多量に入って来ると言うことになりますと、その、いわゆる市場の品質そのものを落としてしまうと言うことで懸念はしております。
あと、業界内の課題ということで、皆さん、各社さんからいろんなご意見が出とるんですが、大きな意見としては、複雑な税制に悩まされている。あるいは、港 湾サービスが劣悪でコストが高いという問題。それから国内物流コストが非常に高額であると言う問題。さらにこの国は労働法が過度に労働者のほうに偏ってお り、その厳然としてある法律の運用がだんだん厳格になりつつあるんではないかと。ある会 社さんから出ましたのは、本業意外のところはなるべくコストダウンして行こうと言うことで、アウトソーシングなり、分社化なりしたんですが、実質、なんで すか、同企業であるとか、同一企業であると言うことで、まぁ、そこの面でもいろいろやられて結局は、せっかく分社化した会社をまた元に戻さざるを得なかっ たと言うようなことも出ておりまして、ま、これは一つの例ですけども、いろんな意味で、ルーラ政権がどの方向に行くのかって言うので心配な面はあります ね。以上でございます。
司会 どうもありがとうございました。後半少しあの走りながらやって参りましたが、最後の自動車部会のほうにご質問がある方はどうぞ、挙手お願いいたします。はい、どうぞ。
田中 2つお尋ねしたいのですが。1つはあの、この間ルーラ大統領が中国へ行った時に、マナウスに二輪車のメーカーをブラジルと中国の合弁でつくる話しを決めた と言う話しが出たが、それがどうなったのか。もう1つは、さっきおっしゃり、これは瀬山さんもおっしゃった、「かなり大きく変わった」と言う税金の問題で すね。 それに対して、個別の企業でいろいろコンタクトされておると言うお話しですが、たとえば、業界とかですね、あるいはまた、外国企業同士でまとまる とか、あるいは政府ベースで交渉するとか、そういったような動きはあるんでしょうか?
内山 中国メーカーとの話しですが、これは以前からありますし具体的な会社名がどこで、どの時期にというところまで正確ではないが、噂は常にあります。今回の訪問によって、ある程度、真剣っていうか俎上にのぼって来たんではないかと。
ただ、問題はなんというか、FTAの一環として、そのー、輸入自由化という観念へ持って行ってしまえば、影響は大きいですし、非常に分かりやすいんです が、企業誘致となりますと、ブラジルだと例えばマナウスでやる。二輪の場合はもうマナウスでやらざるを得ないという状態に追い込まれちまっていますが、マ ナウスでやる場合には、もう地域化率の問題だとか、ようするに地域調達率を何パーセント以上にしなければ、税金の恩典が得られないとか、国産化率をどこま でにしないとブラジル国内はいいけども、他国には売れないとか、いろいろあります。だからそういう意味で参入障壁が非常に大きい。それからもう1つ大きな参入障壁は、中国の二輪車メーカーはいまのところ、日系メーカーのコピー品を中心にやって来たところで、技術的な蓄積はまだそうあ りません。で、一方で、ブラジルはもう排ガス規制についても、2006年からEU2を実施するともう決まっておりますし、2008年には多分EU3まで行 くと言っております。
エンジンのところで見ますと、今日現在ではEU3を達成できるエンジンは、世界中に二輪の場合はまだありません。 ですか ら、これからやって行くでしょうが。で、EU2を達成するには相当な設備投資と技術投資がかかります。果たして中国がいま持っている技術でそこまで出来る のかどうか。そのためにルーラさんが、特別にそれを曲げてしまえば別ですが、そこの面で非常に難しいのではないかと見ております。
もう1つの難 しさが、自動車、二輪共にありますが、ブラジルは販売がぜんぶ専売店制度でして、販売の投資に莫大なお金がかかります。中国メーカーどこに行ってもそうで すが、彼らが販売も投資もやるってことはまずありません。それから部品供給、サービス、アフターサービス供給をやるって事もほぼありません。世界中で製品 の売りっぱなしですから。ですから、本当に彼らが出られるのか、出たとして消費者が受け入れるのかという問題は非常に難しいと思います。次に税金。在マナウス企業の一番の問題、PIS、Cofinsの免税撤廃、免税のなくなった問題ですが、これは各業界でやっておられると思うんですが、二輪はAbracicloというところがあり、そこでやろうと言う動きは出ております。
ただ、先ほど瀬山さんのお話しにもありましたように、連邦政府がこれについては非常に強硬にものを考えておりますので、ブラガ州政府が昨日話しはしたんでしょうが、どこまで行けるかと言うと非常に悲観的です。で、その前のマナウスの地域全体に対する恩典につきましては、一応、連邦が2013年から2023年まで、10年間の免税措置を延長した際に、州政府とし ても10年間延長すると。ただ、言ってみればま、二輪の完成車、あるいは部品さん、電気の一部のところがこの恩典を持っていたわけですが、ある一定数量を 超えた分に関しては完全免税だったんです。ICMSゼロというような状態で。これはマナウスの地域発展にもつながらないと言うことで、これが廃止されると 言うのは、ある意味じゃ仕方がないと思うんですが、それの見返りとして、それを廃止する代わりに2023年まで連邦と同じように税制の恩典を続けましょう と、10年間の延長を約束しました。
ただ一方で、その前の9年間も増税されますと、いま の状態では企業も立ち行かなくなりますので、州政府との間で各個別企業での交渉になったんですが、緩和措置をある一定期間もらっています。その緩和措置期 間の間に、州政府が、望んでいる方向に持って行けば、税金の負担は少なくなると。
州政府が思っている方向とは何かと言いますと、要するに「マナ ウスに投資しなさい。マナウスから調達しなさい。そうすれば税金はかなり下がりますんで。そういう方法でやるために、数年間の緩和措置をとりましょう」と 言うことで。これはもうすでに決着ついておりますが、ま、PIS、Cofinsにつきましては、時間かけてやって行かなきゃいけないと思っていますが、難しいと思いますね。 -
自動車部会(レポート)
1.共通テーマ「2004年上期の回顧と2004年下期の展望」
■ 自動車
2004年上期,自動車の生産・販売実績は以下の通り。単位:千台
2003年合計 2003年上期 2004年上期 前年同時期比 生産台数 1,827.7 904.2 1,038.2 +14.8% 新車登録台数 1,428.6 649.0 723.0 +14.4% 輸出台数 535.4 266.4 276.6 +3.8% 2004年上期の自動車生産台数は104万台、前年同時期比にして14.8%増と、史上最高を記録した1997年の102万台を上回った。国内販売台数、輸出台数共に前年同時期を上回り、内外共に好調に推移する形となった。
内訳で見ると、国内新車登録台数は72.3万台と前年同時期比で13.2%増を記録した。理由の一つは経済に対する消費者の信頼度の高まりによるものと見られている。また、大手自動車メーカーが低利子・長期融資などのメリットを購買者に提供し、週末などに在庫整理を目的とした大型販売キャンペーンを実施したことも販売台数を上向かせた。
また、生産台数の約3割を担う輸出に関しては、アルゼンチンの景気回復等から上半期は27.6万台と、これも過去最高を記録する結果となった。ANFAVEAはすでに今年の予想輸出額を66億ドルから前年比25%増の69億ドルへと上方修正している。
2004年下期も貿易収支黒字の継続、カントリーリスクの低位推移また国内経済の安定的成長などの好条件が期待されていることから、大手自動車会社またブラジル自動車工業会は、内外共に引き続き上期の好調が継続されていくだろうと予測している。
ただ、生産・販売実績を見ると業界全体は好調に見えるが、鉄鋼製品などの部品コストの上昇や、PIS/COFINなどの増税が簡単に最終商品価格に転嫁されないことから、大手を始めとする自動車メーカーは厳しい収益内容を余儀なくされている。
■ 二輪車
2003年、二輪車の生産・販売実績は以下の通り。単位:千台
2003年合計 2003年上期 2004年上期 前年同時期比 生産台数 954,620 508,925 510,452 +3.0% 販売台数 848,377 449,523 450,962 +3.2% 輸出台数 100,440 40,381 62,026 +53.6% 過去数年間、平均約10%の成長を記録していた二輪車市場も、今年2004年上期は慎重な経済運営による金利引き下げの速度鈍化、高失業率の継続により、生産販売ともに前年比3%程度の成長に留まった。特に第一四半期は、主力商品のモデルチェンジがあり、前年同時期比5%マイナスと前年割れを呈したが、第二四半期は前年比12%増と、下期への期待をのぞかせた。輸出は販売地域の新規開拓、および需要の増大により、前年同時期比50%強の大幅伸長を記録している。ただ、世界的な素材価格・原油価格高騰の影響もあり、国内原材料の価格上昇が著しくなっている。
下期の展望として、景気回復の速度・金利低下速度が二輪車需要回復の鍵と言える。足元6月の失業率が低下傾向ということもあり、今後の需要伸長に期待をしている。ただその一方、マナウス地区の税制恩典制度の変更により、最終商品価格に影響が出ることが予想され、市場回復の足かせになる可能性が懸念される。
■ 自動車部品
2004年上期の部品メーカーにおいては国内自動車市場の好転、および輸出好調の継続により、稼動効率も大幅に上がり、損益も改善の方向に向かった。
内 外の需要拡大により、一部供給が需要に対応しきれない業種も出てきている。特にエンジン、ギア、ブレーキ関連のコンポーネントが不足しており、その背景と して国内市場の低迷から海外市場開拓に注力してきたことが挙げられる。またさらには、原材料調達問題に直面している部品メーカーもあらわれている。自動車 部品業界でも同様に、鉄鋼などの原材料費および部品コストの上昇やPIS/COFINSなどの増税により、必ずしもマーケットの動向と平行して収益が改善されているとは言いがたいのが現状である。
部品業界でも下期の自動車生産台数は上期の水準が維持されるものと予想されており、その結果、部品業界の生産も好調に推移することが見込まれている。ただ一方で、一部の部品メーカーでは国内供給不足の深刻化が懸念されている。
2.部会別個別テーマ
■ ルーラ政権の政策方針による影響・課題
- 初の労働党政権ということで、大きな政策変化が危惧されたが、政権発足から現在までの経済政策を見る限り、従来政権との大きな乖離は見られず、無難な 政権運営を続けている。今後は内需を拡大すべく、金利の引き下げ、租税負担の軽減、失業対策など国民主体の政策が望まれるところである。
- 公約にもあるが、輸出拡大のため積極的に海外へ販売路を拡大していこうという外交政策は一応の評価に価する。
- 但し、今後、支持率下落による人気取りのために大衆迎合的な政策に走り、経済混乱を招く事態に一抹の不安を感じる。
■ FTA関連問題・課題、中国・アジア関連
- 「BRICs」と言いながらも、日本の関心は中国・アジアに偏っており、ブラジルに対する関心はきわめて薄いのが現状である。EU間およびFTAAが締結された後には、欧米競合メーカーとの輸入コストに差が発生することから、価格競争の面で在伯日系企業は不利な立場に立たされる。設備の輸入にしても同様のことが予想される。(部会全体)
- メルコスールとEUまたFTAAの進展は不安定ながらも、条約締結へ向けて確実に向かっている。今後はFTA対象国によりメーカー競争力格差が広がっていくことが予想される。FTA増により当地の輸出拠点化が進んでいくだろうが、対象国により大きく戦略が変わっていく可能性がある。(自動車メーカー)
- 当業界では中国とのFTAが締結されれば、中国からの輸入完成車が増加し、在ブラジル企業との競争激化が想定される。(二輪車メーカー)
- 中国とのFTAがいつ、どういう形で成立するか、国内の自動車および部品産業がいかように扱われるか、注視していかなければならない。(部品メーカー)
- メルコスールに関してはアルゼンチンの動向が気掛かりである。協約規定外である輸入制限を家電製品に対して実施し始めていることから、自動車業界にもその影響が降りかからないか懸念されている。(部会全体)
■ 業界内の問題・課題
- ブラジルコストに関しては、相変わらず改善の方向へ向かっていない。PIS/COFINS、移転価格などの税制の複雑化、劣悪な港湾サービス、高額な物流コストなどが挙げられる。また、外注に関しても、労働法が過度に労働者を保護しているため、外注していたサービスを社内に取り込み直さなければならなくなった企業もある。
- 好調な自動車生産を受けて、高い生産水準が続いている状況にあるものの、過去の自動車生産の変動の中で、大きな過剰設備を抱えた経験から、なかなか増産投資に踏み切れないジレンマがある。
- マナウス地域での新税制恩典が4月から発行されたため、各社とも新税制に向けた社内システムの整備等々の対応が必要となった。なお、7月末にPIS/COFINSのマナウス地域での扱いについて、連邦税庁から出されることになっている。詳細は検討中なるも、在マナウス企業にとっては大きな税負担増になる模様である。
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講評 石田総領事
石田総領事税金、労働、ブラジル・コスト問題解決メカニズム構築に官側も協力の必要あり
本日は、各部会長の皆様方からのお話しを聞かせて頂いて、本当にどうもありがとうございました。大変参考になりました。
印象ですが、第一番目に今年に入ってからいろいろ、エコノミストの人の話しを聞いたり、あるいは新聞の報道を見ていて、今年のブラジルの成長はかなり高い という印象を持っておりましたが、さきほど田中会頭のほうからも、「ブラジルはマクロ的には、30年来とも、あるいはレアル・プラン以来ともいわれる経済 成長の基礎が築かれた」というようなお話があり、印象が確認されたとの感を深くしました。
さらに各部会長の方からは、それぞれの分野におけるパフォーマンスと展望をお聞きして、もちろん、各分野それぞれに濃淡はあるとは思いますが、総じて非常に高い前向きな経済成長ぶりが確認されたと思います。次に金融部会のほうから、政治面ではいろいろとルーラ政権もスキャンダルが出て、かなり人気が低下して、政策運営にも影響を与えていると言う話しがありま した。その関連では、さきほど一寸言及がありましたように、中銀、あるいはブラジル銀行総裁の脱税問題なども問題になっております。こういう問題が起こる のはもちろん、今年が市長・市議選の年である、政治的な季節であると言うことも影響があると思いますし、それと同時にルーラ政権が1年目を経て、1年目は まぁ、いろいろご祝儀的なご意見があったと思いますが、本格的にそのルーラ政権の公約なり、政策なりがチェックされている事も影響していると思います。こ の点に関しては、今年とくに3、4月ぐらいまではいろいろな人と話をしていて、「ルーラさんの再選は難しいのではないか」と言うような意見を、わたしは、 新聞記者とか、あるいは学者の人たちから聞いておりました。もちろん、たまたま私が会った人がそういう意見の持ち主だったと言うことかも知れませんが、そ ういう意見が多かったと思います。
他方、最近の報道を見ていると、ほぼ連日たとえば投資が すごくいい、雇用も非常にいい、貿易も好調だとか、そして、経済の前向きな面の報道が連日見られます。私は、ルーラさんの再選があるかどうか、もちろん現 在の段階では何んとも言えませんが、経済がどうなって行くかに大いに依存すると考えています。今年の前半まで、3、4月までは、「ルーラさんの再選は一寸 ない」という意見が多かったが、最近は「そうでもないのかな」、という感じもしております。
第3点としては、次にコンサルタント部会長の桜井さんのほうから、日伯関係は今年の後半から暮れに向けて強化の兆しが見られるとご指摘がありました。私も それに同意します。まさに今年だけをとっても、3月にはブラジルから外務大臣が訪問していますし、5月にはルーラさんの中国訪問の後に農務大臣と大蔵大臣 も訪問しております。それからFiespのミッションも訪問しました。今日からはアウキミン知事が10日までの予定で訪日中です。 従いまして、日伯関係 の特にブラジル側からの働きかけは、これまで同様に非常にあると思います。それに反して、日本からはどうかと言うことですが、ブラジル側に見合ったような 要人、閣僚級の訪問はいまだありません。しかしながら、この最近2、3ヵ月だけでも、非常にたくさんの国会議員の方が来ておられますし、先々週には、農水 政務官も訪問して、こちらの農水次官とも会談されていますし、今月には衆議院の議員運営委員会の一行、武部元農水大臣をヘッドとする議員らが、奥様を含め れば20人近くがブラジルを訪問されます。さらにODA調査団という参議院の議員6名の方も訪問されます。従いまして、日本からも、こういった議員団が多 く訪問するのは、私は、ブラジルに対する関心の高まりを、もちろん、それぞれの目的は別個ではあっても、ブラジルへの関心の高まりの反映だと思っていま す。従いまして、ぜひともこの流れを、さらに助長をして行きたいと考えておりますし、私どもも何か出来ることがあれば、ぜひやりたいと思っております。
そしてこの点に関連して、桜井コンサルタント部会長のほうからは、商工会議所の活性化への提言がありました。一言に言えば、よりアクション・オリエン ティッドな商工会議所を目指すと言う事だったと思います。もちろん、日ブラジル関係の活発化を見越して、そう言うふうな形の組織にして行くことは必要です し、そうじゃなくても組織自体、常に自らのあり方、あるいは役割をリバイズする、そのその結果に基づいて方針を立てて行くのは不可欠なことだと思いますの で、私もこういった動きを、歓迎したいと思います。これは今後、常任理事会で検討されると言うことですので、そのご意見に期待したいと思います。
それから最後に、FTAの話しで若干皆さんからの言及もありましたが、ブラジル、あるいはメルコス-ルとEUとのFTA、あるいはFTAAですね。これについては最近、一寸見通しが余りよく分からなくなって来たというのが実情であろうと思います。
当初は、EUとメルコス-ルの協定は10月が目標とか言われ、FTAAも年末までぐらいにと言われていましたが、どうもそこら辺の見通しがだいぶ先になるという感じがします。
それに伴って、では日本とブラジルの、あるいは日本とメルコス-ルとのFTAはどうなるかと言いますと、5月ですか、こちらの商工会議所の中にある研究会 で出された提言を元に、日本のほうで経団連から政府に対して、「日伯、日メルコス-ルFTA結ぶべし」という提言が出されております。従いまして、それに 基づいて今すぐどうこう言う話しにはならないと思いますが、政府としても当然それを考慮に入れて今後のFTA戦略を練っていくと思います。最後に、先ほどから税金、労働、ブラジル・コストの問題が出ておりました。そういった、当面する問題をどうやって解決して行くのか、商工会議所でもどう言 うメカニズムで、ブラジル側に改善を問い掛けて行くのか、と言うことを改めて考えていく必要があるんじゃないかなと言う感じがいたします。これらの問題の 解決については、FTA締結を待つことなく、商工会議所と大使館、総領事館が協力してメカニズムを構築する必要があると考えます。以上、わたしの感想でご ざいます。
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講評 笹本一等書記官
なかなか難しそう、政府の目玉「PPP」の分野
笹本一等書記官 大使館の笹本でございます。私いつもブラジリアに住んでおりますので、こういった機会に皆様の生の声を聞かせて頂くのは、非常に貴重な機会でして、有難うございました。
報告を聞かせて頂いて、だいぶブラジル経済に回復の兆しがあると言うことを確認できまして、非常に喜ばしいことだと思っています。
先ほど出ていましたが、BRICSという言葉を造ったゴールドマン・サックスの予想によると、2004年の後半、ブラジルは4%台成長するという仮定があ りました。一方で、この成長は本当に長期的に続くかという懐疑的な見方もありました。とくに投資に対して、十分な資金の投入がなされていないと言う指摘が ありました。とくにロジスティックスですとか、エネルギーといった分野に対して投資が不足しており、これが将来の成長の妨げになりかねないと言う指摘が、 私が聞いた限りでも多々ありました。もちろん、それはブラジル政府も重々承知しており、 最近、PPPと称する民間の活力を利用したロジスティックス、あるいはエネルギーといった分野でのプログラムへの投資を非常に積極的に呼びかけていまし て、さきごろルーラ大統領もニューヨーク訪問のさい、ぜひブラジルに投資して欲しいと呼びかけておりました。
しかし、本当にブラジルに投資して収益があるのかと冷ややかな目もあったと言うこともあり、なかなかPPPの分野も、それほど簡単ではないと言うようにも思えます。ただ、先ほどお話が出ましたエタノールにしても、あるいはこういったインフラの投資にしましても、ある意味では、これをうまく活用すれば、日伯関係の強化 につながる。ブラジル経済の成長にもつながりますし、日系企業のビジネスチャンスも広がるという点では、今後いかにして日伯経済関係の強化につなげて行く かという工夫が必要ではないかと思っております。
また、再三出ておりました税制、Cofinsの問題。これはブラジル全体の問題ですので、日系 企業、あるいは、日本だけが言ってどうにかなる問題ではないが、マナウスの税制の問題となると、これは非常に日系企業が大きな影響を受ける点では日本に とっても非常に関心の高い事項ですので、こういった点に関しては大使館のほうにご相談いただければと思っております。以上です。
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閉会の言葉 多田企画戦略委員長
多田企画戦略委員長多田 今日は皆さん、3時間半以上にわたって、どうもご苦労さまでございました。今回、総務委員会と企画戦略委員会の共催と言うことですが、わたくし7月からこの 企画戦略委員会の委員長をおおせつかったと言うことで、実質なにもしておりませんで、浅賀さん、及び浅賀さんの下で副委員長をやっていらっしゃる秋山さん や皆さん、あと事務局長の平田さん、事務局の皆さんにお世話になったという状況でございます。
今日は皆さん、3時間半以上にわたって、どうもご苦労さまでございました。今回、総務委員会と企画戦略委員会の共催と言うことですが、わたくし7月からこの 企画戦略委員会の委員長をおおせつかったと言うことで、実質なにもしておりませんで、浅賀さん、及び浅賀さんの下で副委員長をやっていらっしゃる秋山さん や皆さん、あと事務局長の平田さん、事務局の皆さんにお世話になったという状況でございます。
前回、初めて出させて頂いて、今回これで2回目ですが、前回は日本企業の皆さん、かなり明暗が分かれていて、明のほうは輸出関連とか、一部、自動車関連とか だったと思うんですが、ここに来て、ま、半年経ったところで、相当明るい業界、ほとんどが明るい業界に変わって来たと。ま、一部、食品とかまだ苦しいとこ ろありますが、今後、明るくなっていく兆しも見えると言うことなので、ま、良かったんじゃないかと思います。
今回いろいろ問題提起がされております、最初に桜井さんから商工会議所の活性化と言うことで相当大きな問題がドンと投げられたわけですが、これ以外にもマ ナウスでの問題、あるいは一般に言われるブラジルコスト、とくに最近ではインフラとか、そういった問題も指摘されておりますので、商工会議所として、どう 取り上げて何ができるかって言うのはまぁ、あるんですが、その辺はこれから常任理事会等で議論されていく問題だろうと言うふうに思います。
最後 になりましたけれども、今回、石田総領事、それから笹本一等書記官、どうも出席ありがとうございます。それから今回、会場を提供いただきました南米安田保 険の遠藤さん、ありがとうございます。商工会議所の事務局の皆さん、それから副会長、とくに浅賀さんは、実はまだ病気でご療養中なんですが、この会議のた めだけに特別に出てきておられますので、どうもご苦労さまでした。