セミナー「ブラジルの都市犯罪:日本人の視点からの研究」に25人の参加者が、身近な問題でもある犯罪の実態について熱心に聞き入っていた
日本学術振興会サンパウロ連絡研究員の山田睦男氏によるセミナー「ブラジルの都市犯罪:日本人の視点からの研究」に25人が参加、急増する都市犯罪の実態に ついて熱心に聞き入っていた。 セミナーは環境安全対策委員会(岩村哲夫委員長)及びサンパウロ総領事館共催で、29日午後3時から商工会議所で開催され た。
初めに都市犯罪について、犯罪率の上昇、外向的暴力性、危機の内向指数、火器の果たす役割、ブラジルや日本の事例を挙げて説明した。
組織犯罪に関してブラジルは、警察が踏込めないスラム街、全世界の麻薬取引の17%を占めるマネーローリングしやすい偽造口座開設や地理的に南米の麻薬取 引中継地点など有利な条件が揃っており、麻薬取引、人身売買やパラグアイからの密輸などは国際化してきている。国内では賭博、積荷強盗、薬品偽造、誘拐や マンション強盗など組織犯罪が増加している。
また自殺率の国際比較では、バルト3国を含 む旧ソビエト連邦諸国及び東欧諸国が1位から9位を占め、国営企業閉鎖による失業や年金の減少による生活苦が原因と考えられる。10位の日本は先進国の中 ではトップであり、企業倒産や失業による中高年の自殺率が特に高い。ブラジルは70位にランクされているが、カトリック教国であり正確な統計はない。
最後の質疑応答では、自殺率、ブラジルの犯罪の傾向、組織犯罪の地域性、宗教と犯罪、ブラジル刑法などについて活発な意見が交わされた。
このセミナーは環境安全対策委員会の防犯安全対策会議チームの唐木田光男さんが、あちこち走り回ってお膳立てし開催に漕ぎ付けた。また在サンパウロ総領事館から鈴木弘一副領事、同対策委員会の防犯安全対策会議の鍋島直裕チームリーダーも参加した。