セミナー「日墨経済連携協定(EPA)の締結と今後の経済交流の促進」に、30人近くが参加し、日墨EPA交渉の支援に5年間従事した長島忠之ジェトロ・メキシコセンター次長の話に、真剣に耳を傾けていた
日伯経済交流促進委員会(大前孝雄委員長)とコンサルタント部会(桜井悌司部会長)共催のセミナーが、10日午後3時30分から商工会議所会議室に、日伯 FTAに関心を寄せている30人近くの会員が参加し、日墨EPA交渉の支援に5年にわたり従事してきた長島忠之ジェトロ・メキシコセンター次長の話に、真 剣に耳を傾け数々の質問を浴びせていたが、それに対して長島次長はテキパキと的を得た回答やアドバイスをしていた。
大前委員長の開催挨拶で始まったセミナーは、参加者に配布された分厚い資料を手元に、プロジェクターを使用しながら、長島次長は1998年11月に訪日し たセデージョ大統領の提案によって始まった日墨EPA交渉に至る主な経緯から説明を始め、支援業務の内容、日墨経済緊密化委員会の設立、メキシコ日本商工 会議所アンケートの結果、日墨政府間共同研究会の設置、ヨーロッパ連合とのFTA発行後の実害論、委託調査などEPA交渉前の支援について説明した。
その次に交渉期間中の支援として、外国貿易企業間調整会議への8回に及ぶインタビュー、日系進出企業への投資環境、知的財産被害事例、政府調達被害事例や 日墨EPAによる関税撤廃アンケートなどの30種類に及ぶ個別調査の実施、現地交渉団への支援、日系進出企業との連携や協力、メキシコ政府、産業界、国会 議員とのコンタクトなど2002年11月から2004年4月の締結までの苦労話を語った。
続いて2004年4月の実質合意後について、日墨EPAの対メキシコ広報、ビジネス環境改善活動への取組み、同環境整備委員会の実施や同委員会の治安、知的財産や債権回収分科会の設立及びフォローアップ、最後に日墨EPAのメリットについて説明した。
また質疑応答では、NAFTAやEUとのFTA締結後の直接投資の増減、マナウス自由貿易港の存亡、NAFTA内の人や物の移動及び原産地証明、EPA締結後に現地生産を中止し、日本からの輸入に切替えた企業など参考になる話が満載で、閉会時の拍手は一段と大きかった。
講師を務めた長島次長は、1979年ジェトロ(日本貿易振興会)に入り、スペイン、メキシコ研修生、在ウルグアイ日本国大使館勤務や国内事業課長を経て、 2000年6月より現職。当初より在メキシコ日系企業団体と共に日墨経済連携協定の早期締結に向けた支援業務に携わる。