移転価格税制に関するセミナーが、10月21日午後1時から午後6時までクラウン・プラザホテルに120人以上が参加して開催された
移転価格税制検討委員会(岩村哲夫委員長)、日伯法律委員会(押切副委員長/矢野副委員長)並びにコンサルタント部会(桜井悌司部会長)共催の移転価格(TP)セミナーが、10月21日午後1時から午後6時まで、サンパウロ市内のクラウン・プラザホテルに会場一杯の120人以上が参加、7人の弁護士達が講演し参加者の移転価格税制への理解に大変役立つセミナーとなった。
押切フラヴィオ日伯法律委員会副委員長が第一セッションの進行役を務め、初めに桜井部会長が、移転価格税制委員会、日伯EPA共同研究分科会、100周年祭典分科会や社会的責任分科会の設立の経緯、ミナス・日本経済フォーラムへの参加や11月にクリチーバ市で開催されるCODESUL・日本経済セミナーへの参加など会議所活動が大いに活発化してきていると挨拶した。
初めにマルセロ・ロドリゲス弁護士が「法律9430/96条における色々な利益率の有効利用の可能性」について、ブラジルは他国とは反対に移転価格税を簡単に算出するために、輸入及び輸出の製品利益率を固定しており、どういう根拠で固定利益率がされたのか分からないと述べた。
続いてトルステン・リーリッツ弁護士は「ブラジル、経済開発協力機構(OECD)及び日本における移転価格の法律の比較分析」について、各国のTPの法律制定の歴史、OECDのTPにおける国際社会への役割、日本のTP税制の特徴、OECD,日本及びブラジルのTP税制の比較分析を説明した。
ラファエル・マセード・マリェイロ弁護士は「移転価格の監査」について、独立価格基準法、再販売価格基準法並びに原価基準法の違いについて説明し、再販売基準法を用いた輸入の計算方法を分かりやすく説明した。
またフェルナンダ・アマラウ・ヴィセンチーニ弁護士は「資本財及びサービス輸出における異論」について、輸出の販売価格、輸出先での小売及び卸売価格及び利益率対する異論や疑問点などを説明、続いて20分のコーヒーブレイクに入った。
後半の第二セッションは矢野クラウジオ副委員長が進行役を務め、レアンドロ・アルノーニ・スカルケッチ弁護士が「資本財及びサービス輸入に関する異論」について、独立価格基準法、マージン20%及び60%の再販価格基準法、原価基準法の応用及び適用、所得税及び純利益に対する社会納付金を加えた輸入コストの比較などを説明した。
アナ・カロリーナ弁護士が「移転価格税制に対する異論」について、利益率を固定しているブラジルのTP税制、日伯間租税協定、2003年から進展していないローヤリティに関する税制、OECDの移転価格ガイドラインなどについて説明した。
最後にエレン・ペイショート・オルシ二元国税局法律監査役で国際関係特別警察署(DEAIN)の元移転価格担当チーフ監査役が「移転価格税制の監査」について、国税局から見たTP税制への視点、TP税制採用国の増加とOECD の役割、DEAINの設立、役目及び業績、一般貿易業務システム(SISCOMEX)の一般検査システム(SIGA)の適用及びソフト開発、監査用提出ドキュメントや検査官対応ノウハウ、TP監査リスクを避けるための事前確認制度(APA)の採用など実務を通してのアドバイスは大変説得力のある講演となった。
続いての質疑応答では、矢継ぎ早に13の質問が浴びせられたが、移転価格税制問題のプロである弁護士達の明確且つ的確な応答やエレン氏のアドバイスに満足していた。