金融部会は英語経済セミナー

金融部会はウニバンコの著名なサロマンチーフエコノミストを迎えて、8月31日午後3時30分から英語経済セミナーを開催した

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金融部会(福田勝美部会長)は8月31日午後3時30分から5時まで商工会議所会議室に27人が参加、マスコミに頻繁に登場するウニバンコ銀行のマルセ ロ・サロマンチーフエコノミストを迎えて、英語経済セミナー「ブラジル経済の見通し」を開催した。福田金融部会長はマルセロ・サロマン氏の略歴を紹介して セミナーを開始した。

サロマン氏は左派のルーラ政権誕生直前には、1ドルが4レアルまで上昇して先行きが心配されたが、前政権と同じ経済政策採用で経済基盤が強固になっており、力を付けてきた。

サロマン氏はフェデラル・ファウンド(FF)、消費者物価指数(CPI)及びISM景気動向調査のグラフで、消費者物価指数とFFが2年前から上昇に転 じ、今年6月には米国金利の先行き不透明感上昇で、S&P500の株式市場のヴォラティリティを表示するVixインデックスが2004年以来23 ポイントを突破した。

今年に入って米国の10年国債金利が上昇及びS&P500の株 価変動にも関わらず、ブラジルのカントリーリスクは低下してきているが、米国の住宅販売及び個人消費が低下してきており、来年の米国のリセッションの可能 性が高まってきて、世界経済の先行きが心配されるが、経済ファンダメンタルズが強固で貿易収支黒字が増加の一途を辿っているブラジルは乗切る可能性が強 い。また新興市場の中でブラジルの外貨準備高はインドとメキシコに次いでおり、タイ、トルコやインドネシアを上回っている。

連邦政府の公共負債及びドル連動の国債比率低下で、GDP比に占める外債比率の低下、輸出増加で外債/輸出及び外貨準備高/輸出の比率も低下してきてい る。またインフレも5年間で最も低く目標以内に入っており、政策金利(Selic)も下がってきているが、経済成長率が上昇するには、内需や投資が牽引し なければならないが、連邦政府の家族補助金の恩恵を受けている貧困層の多い北部及び東北部の小売が伸びている。

また実質賃金の上昇及び個人向けクレジットの拡大で消費は拡大しているが、2004年との比較では、インフレプレッシャーは低下している。製造設備稼働率は拡張サイクルから落ちてきており、金利低下及び好調な国際商品価格に後押しされて投資が伸びてきている。

プライマリー収支黒字は目標の4.25%を上回っているが、下半期は落込みが予想され、大幅な最低給料調整および大統領選を前にしての連邦政府の支出が増 加、また公共負債のGDP比が未だに50%を上回っており、税収はGDP比35%を上回って先進国並みの重税が続いている。

大統領選挙予想ではルーラ候補の支持率が上昇してきて54%に達し、37%のアルキミン候補を抑えて、第一次選での当選が現実味を帯びてきた。

ブラジル経済の今後の予想では、経済成長率が今年及び来年が3.5%、鉱工業4.5%、4.0%、インフレ指数のIGP-Mが3.2%、4.5%、貿易収 支黒字が390億ドル、360億ドル、輸出が1,380億ドル、1,518億ドル、カントリーリスクは共に220ポイント、年末のSelic金利 14.0%、13.0%となっている。

海外リスク要因として、米国のリセッション突入で世界経済の冷え込み、コモデティー価格の下落、石油価格の更なる高騰、国内リスク要因として経済成長の伸び止まりや税率調整などが考えられる。

ブラジルの主な輸出品としては、第一次産品は輸出の29.3%を占め、大豆が6.9%鉄鉱石 6.2%、肉類5.9%、半製品は13.5%で砂糖が2.0%、粗鋼1.9%パルプ1.7%、完成品は55.1%で自動車が3.7%、圧延3.3%、自動 車部品2.7%、輸入では完成品が49.2%、燃料16.6%、資本財21.4%、消費財12.6%、2005年度のブラジルへの投資トップは米国21% オランダ15%、日本4%であった。最後の質疑応答後に福田部会長より記念のプレートが贈られ、盛大な拍手を受けた。

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